デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
1款 株式会社第一銀行
■綱文

第50巻 p.23-27(DK500005k) ページ画像

明治43年2月1日(1910年)

是日栄一、東京銀行集会所ニ於テ開カレタル、当行第二十七期定時株主総会及ビ臨時株主総会ニ出席シテ議事ヲ司宰シ、同期業務報告ノ外、韓国ニ於ケル当行業務引継ノ経過ヲ報告シ、更ニ昨秋渡米実業団長トシテ渡米セル経緯ヲ報告ス。


■資料

渋沢栄一 日記 明治四三年(DK500005k-0001)
第50巻 p.23 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四三年         (渋沢子爵家所蔵)
二月一日 晴 寒
○上略 午後一時銀行集会所ニ抵リ、第一銀行株主総会ヲ開キ、本店及各支店ノ営業概況並ニ韓国銀行設立ニ付、第一銀行カ従来享ケ得タル特権ヲ譲渡シ、同時ニ発行銀行券償却方法ニ付別段ノ約定ヲ以テ年賦完済トナシタル顛末ヲ報告ス、畢テ臨時総会ヲ開キ定款ヲ改正ス○下略
  ○中略。
二月十九日 晴 軽寒
○上略 今日第一銀行ノ為メニ当邸ニ於テ招客アルニ付、朝来其準備ニ関シテ指揮スル所アリ○中略四時ヨリ来客アリ、洋館ニテ種々ノ談話ヲ為シ、五時半頃配膳ス、女優ノ演劇ヲ以テ余興トス、来賓皆興ニ入リタル様子ナリキ、夜十時散会○下略


株式会社第一銀行第二十七期 自明治四十二年七月一日至明治四十二年十二月三十一日 営業報告書 第三―八頁刊(DK500005k-0002)
第50巻 p.23-25 ページ画像

株式会社第一銀行第二十七期 自明治四十二年七月一日至明治四十二年十二月三十一日 営業報告書
                         第三―八頁刊
    営業景況
例ニヨリ当半季間ノ金融概況ト、当銀行営業ノ大体トヲ略叙センニ、前季以来緩慢ノ趨勢ヲ持続セル金融界ハ、後季ニ入テ其傾向一層甚シク、商工業界何レノ方面ニ於テモ、資金ノ需要ヲ惹起スヘキ事情ニ乏シク、市場ノ資金ハ益々潤沢ヲ加ヘ、近年稀有ノ閑散ヲ以テ経過セリ今試ミニ当季間ノ経済状態ヲ査察スルニ、我対外貿易ハ内地不景気ノ影響ト綿花ノ価位騰貴ノ為メ、前年ニ比シテ輸入額ヲ減退シタルニ反シ、輸出貿易ハ欧米諸国経済界ノ好況ニ向ヒタルト、銀貨ノ恢復、南清排貨熱ノ衰頽トニヨリ、漸次好調ニ向ヒ毎月輸出超過ヲ見ルニ至リ又内地ニアリテハ米作豊穣ノ声到ル処ニ唱ヘラレ、加フルニ中央銀行利子引下ノ事アリテ、是等諸般ノ事情ハ公債株式ノ市価ヲ高メ、商業界亦幾分ノ生気ヲ帯ヒ、八・九月ノ交ニアリテハ一時稍活動ノ機運ニ
 - 第50巻 p.24 -ページ画像 
向ハントスルノ状ヲ示セシガ、全国各地豊作ノ結果ハ近年比類ナキ米価ノ暴落トナリ、生糸市価ノ低落ト相俟テ大ニ地方ノ購買力ヲ萎縮セシメタルノミナラス、一方ニハ国民一般ニ消極的勤倹ノ風行ハレテ、商品売買ノ活気ヲ押ヘ、他方ニハ事業繁栄ノ時ニアリテハ比較的苦痛ヲ見ルコト少ナキ国民ノ負担ハ、商況不振収益減少スルノ時ニ当リテ之ヲ感スルコト一層深ク、各般ノ事情相俟テ益々不景気ノ嘆勢ヲ助長セシムルニ至レリ、此ノ如ク商工業界沈衰シ、資金ノ需要更ラニ加ハラサルノ時ニ当リ、春来海外ニ於テ募集セラレタル市債・社債金ハ、続々トシテ流入シ、加之国庫債券ノ償還セラルヽアリテ、益々市場ノ資金ヲ充溢セシメ、貸出ハ回収多クシテ預金ハ愈々増加シ、公債ノ市価ハ頻リニ騰貴シテ、大蔵省証券ノ如キ日歩一銭ノ低歩ヲ以テシテ、尚且ツ其売行毫モ渋滞セサルノ状況ヲ呈シ、貸出利子歩合ハ十数年来未タ嘗テ見サルノ低率ヲ唱フルニ至レリ、此趨勢ハ延テ季末ニ及ヒ、十二月ノ末ニ至リテ決済資金ノ移動ハ予想外ニ多額ニ上リタルモ、金利ノ引上ケヲ見ルニ至ラス、全ク一時ノ需要ニ過キスシテ新年早々回収セラルヘキ運命ヲ以テ、当半季ヲ了レリ
次キニ韓国支店ニ付テ一言センニ、韓国ニ於ケル当銀行ノ業務ハ当季ニ於テ一大変革ヲ来シ、従来享有セル紙幣発行ノ特権、及同国ニ於テ経営セル業務ノ大半ハ、挙テ之ヲ韓国銀行ニ譲渡スルニ至レリ、事ノ玆ニ至リタル由来ハ、前季株主総会ノ席上ニ於テ各位ニ報告シタルヲ以テ之ヲ省略シ、其後業務引継ニ至ル迄ノ経過ノ大要ヲ叙述センニ、日韓両国政府ハ韓国銀行ノ設立ニ関シ、七月二十七日ヲ以テ日韓協約ヲ締結シ、八月十六日之ヲ中外ニ公布シ、協約第二条ヲ以テ当銀行ノ発行セル銀行券ヲ韓国銀行ノ発行セルモノト看傚シ、同行ヲシテ其銷却ノ義務ヲ継承セシムルコトヽセリ、而シテ十月二十九日韓国銀行ハ其成立ヲ告ケタルニヨリ、当銀行ハ業務ノ引継ニ関シ政府及同銀行ノ当任者ト協議シテ、同銀行ハ業務引継後第一銀行券ノ引換ニ付全責任ヲ負ヒ、当銀行ハ何等ノ義務ヲ負ハサルコト、又引継ト同時ニ正貨準備ハ当銀行ヨリ同銀行ニ交付シ、保証準備ニ相当スル金額ハ、無利息二十ケ年賦ヲ以テ同銀行ニ年賦償還スヘキコト、及中央銀行ノ職責ニ属スル業務、並ニ京城・釜山両支店以外ニ於ケル各支店・出張所ノ業務ハ、土地・建物及使用人ト共ニ挙ケテ之ヲ同銀行ニ引渡スヘキ旨ヲ契約シ、十一月二十日ヲ以テ監理官立会ノ下ニ、双方ノ当事者ハ円満ニ其引継ヲ終了セリ、其結果第一銀行ハ当日ノ発行高千百八十三万三千百二十七円八十銭ヲ韓国銀行ニ承継セシメ、其三分ノ二ニ当ル七百八十八万八千七百五十一円八十銭ヲ、無利息二十ケ年賦ヲ以テ同銀行ニ償還スルコトトシ、同時ニ曾テ韓国政府トノ間ニ締結セル銀行券発行事務、国庫金取扱事務及貨幣整理事務ニ関スル契約ヲ解除セリ
回顧スレハ当銀行カ明治十一年初メテ韓国ニ支店ヲ設置シテヨリ年ヲ閲スルコト玆ニ三十有一年、爾来拮据経営年ト共ニ其業務ヲ拡張シ、枢要ノ各地ニ支店・出張所ヲ設置シ、以テ韓国金融ノ調理ト日韓貿易ノ発達トヲ計リ、公私ノ為メニ力ヲ尽シタルノ結果ハ、遂ニ銀行券発行ノ特典ヲ附与セラレ、韓国貨幣ノ整理及官金取扱ノ事務ヲ委托セラルルニ至レルニヨリ、当銀行ハ明治三十八年以来必要ノ諸店ニ貨幣整
 - 第50巻 p.25 -ページ画像 
理部ヲ設ケ、旧来ノ白銅貨・青銅貨・葉銭・鉄銭・鉛銭等ノ悪貨無慮三億余枚ヲ、或ハ新貨幣ト引換ヘ、或ハ時価ヲ以テ之ヲ買収シ、同時ニ新貨幣ヲ発行シテ之カ弘通ニ力メ、同国経済界ニ何等ノ動揺ヲ生セシメスシテ、数百年来紊乱セル貨幣ヲ統一スルノ大業ヲ補翼完成セリ又国庫金取扱ノ事務ハ金庫制度創設ノ当時ニアリテハ、諸般ノ設備不充分ニシテ其経営ノ不便名状スヘカラサリシモ、鋭意取扱ノ敏活ト事務ノ改善トヲ計リ、政府各般ノ事業整理ト徴税制度ノ改正トニ伴ヒ漸次支金庫ヲ増設シ、二十五支金庫一派出所及郵便官署ニ於テ其事務ヲ取扱ヒ、秩序相整ヒテ徴税ノ状況ハ良好ニ向ヒ、国庫金ノ取扱モ稍々謬遺ナキニ至レリ、又銀行券発行ノ業務ハ明治三十五年ノ一覧払手形ニ濫觴シ、爾来彼国民人ノ妨害ニ遭ヒタルコト一再ニシテ止マラサリシモ、漸次其根底ヲ固クシ次第ニ信用ヲ高メ、克ク韓人ヲシテ紙幣通用ノ利便ト安全トヲ知得セシメ、約千二百万円ノ流通高ヲ以テ韓国銀行ニ引継クニ至レリ、此等ノ事実ハ当銀行カ韓国中央金融機関トシテ同国財政経済ノ為メニ聊カ其職責ヲ尽セルモノトシテ自カラ満足スル所ナリ、抑々此中央金融機関ノ一大変革ニ際シ、当銀行カ其営業上別ニ損失ヲ蒙ムルコトナクシテ能ク円満ニ本問題ヲ解決シ、而カモ一ノ動揺障碍ヲ見ス、極メテ平穏ニ其事務ノ引継ヲ了シタルハ、韓国経済界ノ為メニ喜フヘキコトニシテ、此ノ間ニ於ケル当任者ノ苦心経営ハ蓋シ株主各位ニ於テモ諒察セラルヘキ所ナリト信ス
内地及韓国ニ於ケル当銀行業務ノ概況ハ大略上述ノ如クニシテ、常ニ多額ノ余資ヲ抱キ恰当ナル放資ノ途少ナカリシモ、黽勉業務ヲ執行セシ為メ、其決算ニ於テ八十四万九千余円ノ純益ヲ収メタルハ、金利低落ノ今日トシテハ良好ノ成績ヲ挙ケ得タルモノト云フヲ得ヘシ、其詳ナルコトハ別表○略スニ付キ了知セラレンコトヲ望ム


第廿七期定時株主総会及臨時株主総会決議録(DK500005k-0003)
第50巻 p.25-27 ページ画像

第廿七期定時株主総会及臨時株主総会決議録
                    (株式会社第一銀行所蔵)
    第廿七期定時株主総会及臨時株主総会決議録
明治四十三年二月一日午後一時四十分、当銀行定時及臨時株主総会ヲ東京市日本橋区阪本町銀行集会所ニ開ク、株主総数弐千八名、此株数二十万株ノ内出席株主九十九名、此株数三万百二十一株、委任状ヲ以テ代理ヲ委托シタルモノ千五名、此株数九万五千七百〇八株、合計株主千百四名、此株数拾弐万五千八百弐拾九株ナリ
頭取渋沢栄一議長席ニ就キ、開会ニ先タチ昨秋渡米実業団長トシテ海外旅行ヲ為シタルタメ、其間頭取トシテ行務ヲ見ル能ハサリシト雖、幸ニ取締役総支配人以下行員業務経営其宜敷ヲ得、好箇ノ成績ヲ挙ケタルノミナラス、余ガ渡米モ幾分国家ニ貢献スル所アリタリトセバ各位ニ於テモ之ヲ諒恕セラルベキヲ信ストテ大要左ノ如ク演述シタリ
「一昨年秋、我国五商業会議所ガ米国太平洋沿岸ニ於ケル実業家ヲ招請シテ、握手交驩其誠ヲ尽スヤ、昨春ニ至リ之ガ応酬トシテ彼国沙市外七商業会議所ハ、外務省ヲ経テ我実業家ヲ招致シ、益相互ノ親交ヲ温メ、通商貿易ノ増進ニ資セントセリ、是ニ於テカ当路及民間有志者ハ荐リニ余ノ起テ之ニ応セン事ヲ勧誘セラレタルモ、此行ヤ国家的任
 - 第50巻 p.26 -ページ画像 
務ニシテ責任最大ナルノミナラズ、予ノ如キ老齢且洋語ヲ解セサルモノハ到底其器ニアラストシテ、切ニ之ヲ辞退シタリシモ、外ニアリテハ沙市会議所会頭其他ヨリ電信ヲ以テ余ノ渡米ヲ懇嘱スルアリ、又内ニアリテハ官民有志再三ノ勧誘黙止シ難キモノアリ、余ニシテ起タスンハ渡米実業団ノ人選モ為メニ行悩ノ姿トナルヘキ形勢トナリシカハ此クテハ年々親善ヲ加ヘツヽアル日米ノ国交ニモ影響スルニ至ルヘシトノ懸念ヨリ、断然一身ヲ国家ニ捧ケ奉公ノ誠意ヲ以テ此任ニ当ルヘキ事ヲ快諾スルニ至レリ、而シテ各方面ニ於ケル有力ナル実業家及専門家ヲ以テ渡米団ノ組成セラルルヤ推サレテ団長トナリ、八月十九日横浜解纜、十二月十八日帰朝ニ至ル迄、日ヲ閲スル事百二十有余、舟車ノ行程弐万壱千哩、五十三都市ヲ歴訪シ、到ル処空前ノ盛儀ヲ以テ迎ヘラレ、歓待至ラサルナシ、依テ予等一行ハ相互城府ヲ撤シテ赤誠ヲ披攊シ、一意彼我感情ノ融和ト商工業者ノ意志疎通トヲ計リ、勉メテ彼国人ヲシテ本邦ヲ知悉セシムルノ手段ヲ講セリ、今其既往ヲ回想スルニ、固ヨリ効果ノ直接ニ見ルヘキモノナシト雖、亦奉公ノ微衷ヲ尽シ、彼我貿易ノ増進ニ、国交ノ親善ニ、聊邦家ニ裨益シタルモノアリト信ス、果シテ然ラハ余ガ渡米シテ其間業務ヲ視サリシモ、各位ニ於テ敢テ曠職ヲ責メラルヽ勿ランカ」ト、満場拍手之ヲ迎フ
次テ定時総会ニ入リ、議長ハ例ニヨリ当半季営業景況ノ大要ヲ述ブベシトテ、前季ニ比シ金融ガ一層緩慢ナリシ事、及其原因経過ノ要概ヲ述ベ、結局市場資金ハ益旺溢シテ貸出金ハ回収多ク、預金ハ益増加シテ、貸出利子ハ十数年来未ダ嘗テ見サルノ低位ニ下リ、以テ当半季ヲ了レリト雖モ、尚八拾四万余円ノ純益ヲ見タルハ相当ノ成績ナリト信スル旨ヲ述ベ、進ンデ明治三十八年勅令第七十三号ノ廃止ト共ニ、韓国ニ於ケル当銀行ノ業務ヲ韓国銀行ニ引継キタル顛末ヲ縷述シ、銀行券銷却ノ義務ハ韓国銀行ニ移リ、当銀行ハ保証準備発行高ニ対シ無利息二十ケ年賦ヲ以テ年賦償還スルノ約ヲ結ヒ、従来当銀行ガ其任ニ当リタル中央金融機関ノ職責ニ属スル事務、及京城・釜山両支店以外ノ各店ニ於ケル業務ハ建物及行員ト共ニ韓国銀行ニ承継セシメ、無事ニ引継ヲ完了セル旨ヲ報告シ、数年来ノ宿題ヲ何等ノ障碍ナクシテ、而カモ銀行ニ多大ノ損失ヲ蒙ラシメスシテ円満ニ解決セシメタル当任者這般ノ心労ハ、蓋シ各位ニ於テモ諒察セラルヘキ所ナリト信ズト(満場拍手)、次ニ議長ハ第廿七期貸借対照表・財産目録・営業報告書・損益計算書ノ承認ヲ求メタルニ、一同異議ナク之ヲ承認シ、株主岡田正次郎氏ヨリ、保証準備発行高ニ相当スル年賦償還ノ方法及所有有価証券ノ現在評価格ヲ問ヒ、佐々木取締役之ニ答ヘタル後、満場一致左ノ利益分配案ヲ可決セリ
      利益分配案
一金八拾四万九千三百九拾九円弐拾七銭   当半季純益金
一金五拾五万六千六百八拾円八拾壱銭    前半季繰越金
合計金百四拾万六千八拾円八銭
  内
 一金四万弐千四百七拾円       役員賞与及行員恩給基金
 一金参拾万円            積立金
 - 第50巻 p.27 -ページ画像 
 一金五拾万円            配当金壱株ニ付金弐円五拾銭即年壱割
 一金五拾六万参千六百拾円八銭    後半季繰込金
右終ルヤ、議長ハ当銀行ノ韓国支店改廃ニ伴ヒ各位ニ報告スヘキ事アリトテ、当銀行ガ遠ク明治十一年韓国ニ支店ヲ創設シテヨリ今日ニ至ル迄ノ沿革ト、爾来三十有一年拮据経営日韓貿易ノ発達ト韓国金融ノ調理トニ尽瘁シタル事実トヲ叙説シ、今回業務ノ引継ニ際シ賞勲局ヨリ、此ノ多年ノ功労ト終始一貫セル誠実ノ経営トヲ嘉納セラレ、之ヲ表彰セラルヽニ左ノ御沙汰書ニ添ヘテ金杯一組ヲ賜ハリタルノミナラス、更ニ大蔵大臣及統監ヨリ感状ヲ受ケタルハ、信用ヲ基礎トセル銀行トシテ非常ノ栄誉トスル所ニシテ、各位トコノ喜ヲ共ニスルハ慶賀ノ至リニ堪ヘサル旨ヲ述ヘ、続テ左記ノ御沙汰書及感状ヲ朗読ス(満場拍手大喝采)
○中略
尚右ノ外、韓国政府総理大臣ヨリモ同シク感状ヲ下付セラレタルモ、其文意略同一ナスヲ以テ朗読ヲ省略スル旨ヲ述ベ、臨時総会ニ入ル、株主秋山長次郎氏原案全部賛成ノ旨ヲ述ベ一同之ニ和ス、依テ議長ハ定款ヲ別冊○略スノ如ク改正スル事、韓国支店積立金七拾万円ヲ積立金勘定ニ、韓国支店新築費積立金弐拾万円ヲ支店新築費積立金勘定ニ繰込ム事、及取締役市原盛宏氏辞任ニ付慰労金ヲ贈与スル事、而シテ其金額ハ取締役ニ一任スヘキ事ノ議案ハ、全会一致ヲ以テ可決確定セル旨ヲ宣シ、満場拍手之ヲ迎フ
右総会ノ決議ヲ録シ、左ニ署名調印スルモノ也
  明治四十三年二月一日
          株式会社第一銀行
             取締役頭取 男爵 渋沢栄一
             取締役 三井八郎次郎(印)
             取締役 佐々木勇之助
             取締役 熊谷辰太郎(印)
             取締役 日下義雄(印)
             監査役 土岐僙
             監査役 尾高次郎(印)
  ○第二十七期営業報告書及同総会並臨時総会決議録中ノ栄一挨拶等殆ト全文竜門雑誌第二六一号(明治四十三年二月)ニ転載シアリ。



〔参考〕竜門雑誌 第二六二号・第五五頁明治四三年三月 ○青淵先生へ金盃贈与(DK500005k-0004)
第50巻 p.27 ページ画像

竜門雑誌  第二六二号・第五五頁明治四三年三月
    ○青淵先生へ金盃贈与
韓廷にては第一銀行頭取渋沢男爵が、韓国金融界に於ける功労及韓国銀行設立に関する功績に対し叙勲の内議ありたるも、男は既に勲一等大極章に叙せられ居り、此上は大勲位を贈るの外なきも、大勲位は官吏外の者は叙せざる内規ある由にて、既報の如く李花勲章及び三ツ組金杯を贈与する事に決定し、目下漢城美術品製作所に命じ製作中なりと云ふ。