デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2021.9.1

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
1款 株式会社第一銀行
■綱文

第50巻 p.58-60(DK500008k) ページ画像

明治43年7月26日(1910年)

是日栄一、東京銀行集会所ニ於テ開カレタル、当行第二十八期定時株主総会及ビ臨時株主総会ニ出席シ、議事ヲ司宰ス。


■資料

(八十島親徳)日録 明治四三年(DK500008k-0001)
第50巻 p.58 ページ画像

(八十島親徳)日録  明治四三年      (八十島親義氏所蔵)
七月廿六日 雨
○上略 午後一時、第一銀行総会ニ臨ム(銀行集会所)、配当ハ年一割、男爵○栄一議長席ニ即カレ、依例営業報告ノ説明アリ、一語ノ質問ヲ試ムルモノナク余リニ平穏無事也○下略


株式会社第一銀行第二十八期自明治四十三年一月一日至明治四十三年六月三十日営業報告書 第二―四頁刊(DK500008k-0002)
第50巻 p.58-59 ページ画像

株式会社第一銀行第二十八期自明治四十三年一月一日至明治四十三年六月三十日営業報告書
                        第二―四頁刊
    営業景況
例ニヨリ本年上半季金融ノ概況ト、当銀行営業ノ大体トヲ略叙センニ前年以来継続セル経済界一般ノ不振ハ、順次回復ニ向ヒツヽアルカ如キモ、金融ノ大勢ハ益緩慢ニ赴キ、市場ノ遊金ハ一層増加セシヲ以テ各銀行ハ一月早々預金利子ノ引下ヲ行ヒ、貸出日歩モ亦従テ低下セシト雖モ、未タ以テ事業ヲ興起セシムルニ至ラス、金融界ハ依然余資ノ運用ニ苦メリ、是ニ於テカ我政府ハ内債低利借替ノ大計ヲ発表シ、二月及四月ニ於テ四分利公債各壱億円ヲ発行シ、一面ニハ国庫債券・海軍及整理公債約六千万円ノ現金償還ヲ行ヒ、他方ニハ大蔵省令ヲ以テ四分利公債乗替希望者ニ便宜ヲ与ヘラレシカハ、我内国債利率ニ一紀元ヲ劃スル借替計画ハ能ク其効ヲ奏シテ良好ノ成果ヲ得タリ、然リ而シテ、コノ報一度海外ニ伝ハルヤ、我国外債ノ市価ヲ騰貴セシメ、遂ニ四月三十日巴里ニ於テ四億五千万法、五月六日倫敦ニ於テ壱千百万磅ノ第四分利外債ノ約成リ、依テ以テ五分利外債ノ償還ヲ為シ、進ンテ其残余ヲ以テ内地ニ於ケル整理及軍事公債ノ全部償還ヲ決行シ、尚引続キ帝国五分利公債ノ償還ヲ行ハントセリ、此結果トシテ当季ニ於テ約壱億余万円ノ現金ハ市場ニ散布セラレシカハ、資金ハ益横溢シ金利低下シテ、夏物仕入製糸資金需要ノ期ニ入ルモ、金融界ニ何等ノ影響ヲ見ルニ至ラス、大蔵省証券ノ如キ日歩八厘ノ低歩ヲ以テシテ尚其
 - 第50巻 p.59 -ページ画像 
売行盛況ナリキ、此ノ如ク金融ノ状態ハ政府ノ公債政策ニ因リ、益緩慢ノ歩ヲ進メツヽ当半季ヲ了レリト雖、此金利ノ低下ハ公債ノ市価ヲ高メ、自ラ事業界ニ好調ヲ与ヘ、就中瓦斯・電灯・電力等ノ事業ハ各地ニ企劃セラレ、諸会社銀行等ノ社債発行及借替等盛ンニ行ハレ、何レモ良好ノ成績ヲ収ムルヲ得タリ、而シテ対外貿易ノ有様ヲ見ルニ、生産力ノ増加ト国力ノ発展トハ、昨年同季ニ比シ輸出入共ニ二千四百余万円ノ増加ヲ示シ、全体ニ於テ国家ノ健全ナル発達ヲ表セルハ喜フヘキ現象ナリト云ヘトモ、経済界ハ尚未タ以テ大ニ資金ノ需要ヲ喚起スルニ至ラス、金融業者ハ何レモ巨額ノ余資ヲ抱キ、貸出利率ハ十数年来未タ嘗テ見サルノ低位ニアリシカハ、当銀行ノ如キモ普通貸出ヨリ生スル利益ハ減少シタリシモ、幸ニ国債社債ノ引受、整理・軍事両公債ノ償還等ニヨリ、相当ノ収益ヲ挙ケタルヲ以テ、所有公債ニ多額ノ価格引下ヲ行ヒシモ、尚能ク前季ニ優ルノ純益ヲ得タルハ、相当ノ好果ト云フヲ得ヘシ○下略


第廿八期定時株主総会及臨時株主総会決議録(DK500008k-0003)
第50巻 p.59-60 ページ画像

第廿八期定時株主総会及臨時株主総会決議録
                    (株式会社第一銀行所蔵)
    第廿八期定時株主総会及臨時株主総会決議録
明治四拾参年七月弐拾六日午後一時四十分、当銀行定時株主総会ヲ東京市日本橋区坂本町東京銀行集会所ニ開ク、株主総数千九百九拾名、此株数弐拾万株ノ内出席株主九拾名、此株数弐万六千九百九拾参株、委任状ヲ以テ代理ヲ委託シタルモノ九百弐拾九名、此株数拾万参千六百五拾参株、合計株主千拾九名、此株数拾参万六百四拾六株ナリ
頭取渋沢栄一議長席ニ就キ、明治四拾参年上半季金融ノ概況ト当銀行営業ノ大体トヲ叙述シ、金融緩慢金利低下ノ為メ普通貸出ヨリ生スル利益ハ減シタルモ、公債・社債ノ引受、整理・軍事両公債ノ償還アリタルヲ以テ、所有公債ニ多額ノ価格引下ヲ行ヒタルモ、尚前季ニ優ル利益ヲ収メ得タル旨ヲ述ベ、次デ、文書課長ヲシテ第廿八期貸借対照表・損益計算書等ヲ朗読セシメ、之レカ承認ヲ求メタルニ一同異議ナク之ヲ承認ス、依テ更ニ左記利益分配案ヲ朗読セシメタルニ、満場一致原案ヲ可決ス
      利益分配案
一金九拾万六千七百弐拾八円八拾七銭    当半季純益金
一金五拾六万参千六百拾円八銭       前半季繰越金
合計金百四拾七万参百参拾八円九拾五銭
  内
 一金四万五千参百参拾円       役員賞与及行員恩給基金
 一金参拾五万円           積立金
 一金五拾万円            配当金 壱株ニ付金弐円五拾銭即年壱割
 一金五拾七万五千八円九拾五銭    後半季繰込金
右終ルヤ、引続キ臨時株主総会ヲ開キ、監査役土岐僙・尾高次郎任期満了ニ付、其改選ヲ行フヘキ旨ヲ述ヘタルニ、株主秋山長次郎氏ノ発議ニヨリ投票ヲ省略シ、満場一致ヲ以テ両氏ノ重任ニ決ス
右総会ノ決議ヲ録シ、玆ニ署名調印スルモノ也
 - 第50巻 p.60 -ページ画像 
  明治四拾参年七月廿六日
          株式会社第一銀行
            取締役頭取 男爵 渋沢栄一
            取締役      三井八郎次郎(印)
            取締役      佐々木勇之助(印)
            取締役      熊谷辰太郎(印)
            取締役      日下義雄
            監査役      土岐僙
            監査役      尾高次郎(印)