デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
1款 株式会社第一銀行
■綱文

第50巻 p.60-62(DK500009k) ページ画像

明治44年1月24日(1911年)

是日栄一、東京銀行集会所ニ於テ開カレタル、当行第二十九期定時株主総会ニ出席シ、議事ヲ司宰ス。


■資料

渋沢栄一 日記 明治四四年(DK500009k-0001)
第50巻 p.60 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四四年       (渋沢子爵家所蔵)
一月一日 晴 寒
去年ヨリ腹部ヲ損シテ、昨夜モ脚湯薬用等種々ノ手当ヲ為シタルニヨリ、朝来稍快方ノ様ナレトモ平常ノ如ク蚤起スルヲ得ス、午前八時半起床シ衣服ヲ改ムルト云トモ、褥中ニ在テ先ツ家人ノ年賀ヲ受ク○中略佐々木氏・石井氏、其他第一銀行員多数来賀アリ○下略
  ○中略。
一月七日 晴 暖
○上略
夜ニ入リテ明石照男来話ス、昨日第一銀行ヨリ送リ越シタル株主総会ニ提出スヘキ営業景況ノ草案ヲ修正ス○下略
  ○中略。
一月二十四日 晴 寒
○上略 午飧後阪本町銀行集会所ニ抵リ、第一銀行株主総会ヲ開キ配当案ヲ議決ス○下略
  ○中略。
一月三十日 晴 寒
○上略 午後一時王子ニ帰宅シ、午飧後第一銀行支店長一同来会ス、本店重役諸氏モ皆会同ス、囲碁・雑談等アリテ五時頃ヨリ宴会ヲ開キ、女優ノ余興アリ、一同歓ヲ尽シ、夜十一時散会ス
  ○中略。
二月二日 晴 寒
○上略 第一銀行ニ抵リ、重役会ヲ開キ、後余カ七十ヲ寿スル為メ製造セシ物品ヲ一覧ス○下略


株式会社第一銀行第二十九期自明治四十三年七月一日至明治四十三年十二月三十一日営業報告書 第三―五頁刊(DK500009k-0002)
第50巻 p.60-61 ページ画像

株式会社第一銀行第二十九期自明治四十三年七月一日至明治四十三年十二月三十一日営業報告書
                        第三―五頁刊
    営業景況
当半季ニ於ケル金融ノ概況ト、当銀行営業ノ大体ヲ叙述センニ、前年
 - 第50巻 p.61 -ページ画像 
来引続ケル金融緩慢ノ大勢ハ当季ニ入リテ更ニ其度ヲ増シ、金利ハ低落ノ一方ニ傾キ、資金ハ愈々潤沢ヲ極メタリ、此ニ於テカ各地交換所組合銀行ハ、当座預金利子計算法ノ改正ト為換尻預金ノ無利息ヲ決行シタルモ、何等ノ反響ナク、各銀行ハ何レモ巨額ノ遊資ヲ抱テ其使途ニ苦メリ、加フルニ八月稀有ノ大洪水アリテ各方面ノ交通ハ一時全ク杜絶シ、金融市場モ著シク打撃ヲ蒙ルニ至レリ
水害後交通機関ノ復旧サルヽヤ、時恰モ旧盆節季ニ際シ且我国多年ノ宿題タル韓国併合ノ決行サルヽアリテ人気幾分回復シ、金融市場亦従テ多少ノ活気ヲ呈スルニ至レリト雖モ此レ皆一時的ノ現象タルニ止マリ、大勢再ヒ緩慢ノ状態ニ復帰シ、冬物仕入及米価騰貴ニ伴フ外米輸入資金ノ需用モ能ク此ノ大勢ヲ動カスコトヲ得ス、大阪ニ於ケル日本貯金銀行ノ解散ハ準備資金トシテ同方面ニ多少ノ需用ヲ喚ヒタルモ、第二回国庫債券及煙草専売国庫債券等ノ償還ニ由リテ助長セラレタル金融緩慢ノ大潮流ハ、依然トシテ経済市場ヲ横流セリ、然レトモ右ノ状況タルヤ、畢竟数年来引続キタル緩慢ノ惰性ニ過キス、翻テ他ノ方面ヲ観察スルニ、彼ノ関税問題ノ未決ハ多少前途ノ雲翳ヲナスト雖モ海外貿易ハ前年ニ比シテ輸出入共ニ多大ノ増加ヲ示シ、大洪水ニ伴フ関東・東北ノ凶作ハ米価ノ騰貴ヲ惹起シ、欧米ニ於ケル生糸需用ノ増加ハ糸価ノ上騰ヲ促シ、電気・瓦斯等ノ新事業ハ各所ニ企図セラレ、既設会社ノ増資及株金ノ払込ハ頻々相踵キ、経済社界ハ着々回運ノ機ニ向ヒ、景気回復ノ時機、其遠カラサルヲ思ハシムルモノアリ
事情斯ノ如キ有様ナルヲ以テ、年末ニ近クニ従ヒ金融ハ次第ニ引締リ銀価ノ暴騰ニ伴フ対清貿易ノ盛況ハ、季末資金ノ需用ト相待テ、市場ハ近来ニナキ活気ヲ呈シ、曩ニ遊金ノ多キニ苦ミタル各地銀行ハ、何レモ貸出資金ノ少ナキヲ患フルニ至リ、大蔵省証券ノ如キ日歩一銭ニ引上ケラレタルニ拘ハラス、尚多大ノ売残ヲ生スルニ至リ、近来稀有ノ繁忙ヲ以テ当季ヲ終レリ
斯ノ如ク金融ノ状況ハ、終末ニ於テ意想外ノ繁忙ヲ呈シタリト雖モ、本季間ヲ通シ金融緩慢ナリシ為メ、貸出日歩ノ如キハ非常ニ低落シタルヲ以テ、当銀行当半季収益ノ如キモ、之ヲ前期ニ比シ稍々劣ル所アルハ止ムヲ得サル結果ニシテ、寧ロ昨年同季ニ比シ遜色ナキヲ得タルハ、株主各位ニ於テモ諒トセラルヘキコトナリト信ス


第廿九期定時株主総会決議録(DK500009k-0003)
第50巻 p.61-62 ページ画像

第廿九期定時株主総会決議録       (株式会社第一銀行所蔵)
    第廿九期定時株主総会決議録
明治四拾四年一月廿四日午後一時三十分、当銀行定時株主総会ヲ東京市日本橋区坂本町東京銀行集会所ニ開ク、株主総数千九百九拾七名、此株数弐拾万株ノ内出席株主百壱名、此株数三万五百壱株、委任状ヲ以テ代理ヲ委托シタルモノ六名、此株数壱万六百弐拾八株、合計株主百七名、此株数四万千百弐拾九株ナリ
頭取渋沢栄一議長席ニ就キ、明治四十三年下半季金融ノ概況ト当銀行営業ノ大体トヲ叙述シ、次テ第廿九期貸借対照表・損益計算書ノ承認ヲ求メタルニ、一同異議ナク之レヲ承認ス、依テ更ニ文書課書記ヲシテ左記利益分配案ヲ朗読セシメテ、其決議ヲ求メタルニ、満場一致原
 - 第50巻 p.62 -ページ画像 
案ヲ可決ス
      利益分配案
一金八拾六万六千弐百九拾六円弐銭     当半季純益金
一金五拾七万五千八円九拾五銭       前半季繰越金
合計 金百四拾四万千参百四円九拾七銭
  内
 一金四万参千参百拾円        役員賞与及行員恩給基金
 一金参拾万円            積立金
 一金五拾万円            配当金 壱株ニ付金弐円五拾銭即年壱割
 一金五拾九万七千九百九拾四円九拾七銭
                   後半季繰込金
右之通リ決議候処相違無之候也
  明治四十四年壱月弐拾四日
          株式会社第一銀行
            取締役頭取 男爵 渋沢栄一
            取締役      三井八郎次郎(印)
            取締役      佐々木勇之助
            取締役      熊谷辰太郎(印)
            取締役
            監査役
            監査役


竜門雑誌 第二七三号・第六七頁明治四四年二月 第一銀行支店長招待会(DK500009k-0004)
第50巻 p.62 ページ画像

竜門雑誌  第二七三号・第六七頁明治四四年二月
○第一銀行支店長招待会 青淵先生には過般第一銀行支店長会議に参列し、会期終了と共に帰任せらるゝ同銀行各地支店長の慰労を兼ね、送別会を一月三十日午後二時より、飛鳥山曖依村荘に於て催されたり、来会者は左記の諸氏にして、青淵先生及渋沢本社長其間を斡旋し、和気靉々たる温き歓待に一同深く感銘したりと云ふ
  佐々木勇之助  熊谷辰太郎  土岐僙
  尾高次郎    石井健吾   湯浅徳次郎
  広瀬市三郎   藤森忠一郎  宇治原退蔵
    以上本店員
  西園寺亀次郎  竹山純平   岸崎昌
  中川知一    野口弘毅   杉田富
  西村道彦    西条峰三郎  清水百太郎
  川島良太郎   小林秀明   山本勘三郎
    以上支店長