デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2021.9.1

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

2章 交通・通信
3節 航空
2款 日本航空輸送株式会社
■綱文

第51巻 p.638-641(DK510137k) ページ画像

昭和3年10月20日(1928年)

是日、日本工業倶楽部ニ於テ当会社創立総会開カル。栄一病気ノタメ出席セズ。創立副委員長西野恵之助議長トナリ議事ヲ司宰シ、当会社成立ス。栄一株主タリ。


■資料

日本航空輸送株式会社第一期 営業報告書・財産目録・貸借対照表・損益計算書・利益金処分 第二―六頁 (昭和四年五月)(DK510137k-0001)
第51巻 p.638-640 ページ画像

日本航空輸送株式会社第一期 営業報告書・財産目録・貸借対照表・損益計算書・利益金処分
                        第二―六頁
                        (昭和四年五月)刊
    営業報告書
      第一、創立総会
昭和参年拾月弐拾日午前十時、本社創立総会ヲ東京市麹町区永楽町二丁目一番地日本工業倶楽部ニ於テ開催、創立委員長子爵渋沢栄一氏病気ニ付、同副委員長西野恵之助氏代テ議長トナリ開議、株式総数二十万株此引受総人員(発起人共)参万五千八百四十二名、内出席株式数拾七万壱千五百弐拾七株、同出席人員参万五千五百四拾七名(委任状共)ニシテ、当日会議ノ目的タル事項ニツキ左ノ通決議セリ
 第一号 本会社創立ニ関スル事項報告ノ件
     原案承認
 第二号 取締役及監査役選任ノ件
     左ノ通リ選定
     取締役 稲畑勝太郎・西野恵之助・大橋新太郎・大川平三郎・根津嘉一郎・最所文二ノ六氏
     監査役 橋本圭三郎・川西清兵衛・松永武吉ノ三氏
 第三号 商法第百三十四条ニ依ル調査報告ノ件
     松本烝治・手塚猛昌二氏ヲ検査役ニ選任シ、監査役松氷武吉氏ト共ニ検査ノ結果左ノ通リ報告アリ、之ヲ承認ス
      一、株式総数二十万株ノ内発起人引受三万四千株、株式
 - 第51巻 p.639 -ページ画像 
引受人ノ引受十六万六千株ニシテ全部引受アリタルコト
      二、右株式総数ニ対シ一株ニ付金拾弐円五拾銭宛総計金弐百五拾万円ノ第一回払込アリタルコト
      三、会社ノ負担ニ帰スヘキ設立費用金四万二千六百八十九円五十五銭也ハ総テ正当ナルコト
 第四号 取締役及監査役報酬ノ件
     左ノ通決定
     取締役及監査役ノ報酬ハ年額合計金四万円以内トシ、取締役会ニ於テ之ヲ決定スルコト
      第二、事業報告○略ス
    財産目録 (昭和四年三月三十一日現在)

図表を画像で表示財産目録 (昭和四年三月三十一日現在)

  科目       摘要                     金額 未払込資本金   二〇〇、〇〇〇株                    円            七、五〇〇、〇〇〇・〇〇             一株ニ付金三七・五〇 建物       格納庫及附属建物(東京支所分)                 坪             延七八二・一二五              一五一、五八一・〇五          格納庫(大阪支所分)                 坪             延六六〇・〇〇          其他建物               坪             延四・〇〇 工物作      コンクリートモルタル舗装其他(東京及大阪支所分)  二一、七四六・九五 飛行機(代用機) 八台                        二四、三九三・〇八 発動機(代用機用)一四基                        九、〇四六・六〇 器具       諸器具類                       四、二八八・二三 什器       金庫、電話其他事務用什器              二七、四五二・九三 貯蔵物品     貯蔵中ノ揮発油及滑油                 八、三八一・四〇 銀行       銀行預金(第一銀行外九銀行)         二、五八六、七九五・七八 現金       手許有高                         四〇六・二一 仮払金      諸仮払金                      四四、二三六・五八 雑勘定      事務所敷金                      四、四五五・〇〇  合計                            一〇、三八二、七八三・八一 




    貸借対照表 (昭和四年三月三十一日現在)
      資産之部(借方)
 金七百五拾万円               未払込資本金
 金拾五万壱千五百八拾壱円五銭        建物
 金弐万壱千七百四拾六円九拾五銭       工作物
 金弐万四千参百九拾参円八銭         飛行機
 金九千四拾六円六拾銭            発動機
 金四千弐百八拾八円弐拾参銭         器具
 金弐万七千四百五拾弐円九拾参銭       什器
 - 第51巻 p.640 -ページ画像 
 金八千参百八拾壱円四拾銭          貯蔵物品
 金弐百五拾八万六千七百九拾五円七拾八銭   銀行
 金四百六円弐拾壱銭             現金
 金四万四千弐百参拾六円五拾八銭       仮払金
 金四千四百五拾五円             雑勘定
  合計金壱千参拾八万弐千七百八拾参円八拾壱銭
      負債之部(貸方)
 金壱千万円                 資本金
 金四百参拾四円拾八銭            仮受金
 金参万四千七百弐拾八円八拾壱銭       支払未済金
 金参拾四万七千六百弐拾円八拾弐銭      当期純利益金
  合計金壱千参拾八万弐千七百八拾参円八拾壱銭
   ○同日ノ取締役会ニ於テ西野恵之助ヲ取締役社長ニ、最所文二氏ヲ常務取締役ニ互選ス。
   ○栄一引受株一千株、渋沢同族株式会社引受株一千五百株。
   ○昭和四年四月一日ヨリ代用機ヲ以テ東京・大阪間毎日二往復、大阪・福岡間毎日一往復、蔚山・京城・平壌・大連間一週三往復、郵便物及ビ貨物ノ航空輸送ヲ開始ス。同年七月一日ヨリ大阪上海線ノ一部トシテ大阪・福岡間一週三往復、郵便物及ビ貨物ノ航空輸送ヲ開始ス。而シテ旅客輸送ハ同月十五日ヨリ東京・大阪・福岡間一日一往復ヲ以テ開始ス。



〔参考〕日本航空輸送株式会社十年史 同会社編 第五―六頁昭和一三年一一月刊(DK510137k-0002)
第51巻 p.640-641 ページ画像

日本航空輸送株式会社十年史 同会社編 第五―六頁昭和一三年一一月刊
 日本ニ於ケル飛行機ニヨル最初ノ飛行ハ、明治四三年日野・徳川両大尉ガ欧洲ヨリ帰朝シ、代々木ノ原ニ於テ仏国製飛行機ニテ飛行シタルニ始マル。コレハ米人ライト兄弟ニヨル世界最初ノ飛行ノ六年後ノコトデ、其後航空ノ発達ニ対シ幾多ノ努力ガ払ハレタガ、軍事航空ハ比較的顕著ナ進歩ヲナシタルニ拘ハラズ、民間航空ハ試験・研究・記録作成又ハ興行等ノ目的タルニ止リ、高速度交通通信機関トシテノ航空輸送事業ノ開設ニハ長年月ヲ要シタ。
 大正八年十月、帝国飛行協会主催ノ東京――大阪間郵便往復飛行、二年後ノ金沢――広島間郵便飛行等ヲ経テ大正十一年ハ航空輸送事業ノ萌芽期ニ入リ、十一月井上長一氏ハ日本航空輸送研究所ヲ設立シ、堺(大浜)――徳島間ノ定期航空ヲ開始シタ。コレハ前述日本最初ノ飛行ノ十三年後、世界最初ノ定期航空タル英国会社ニヨル倫敦―巴里間定期航空開始ニ後レルコト二年デアツタ。
 続テ大正十二年七月、朝日東西定期航空会ハ東京―大阪間、川西竜三氏ノ日本航空株式会社ハ大阪――別府(又ハ福岡)ノ航空路ヲ開設スルナド、昭和年代ニ到ルマデ各年コレガ発達ニ苦闘ヲ続ケテ来タガ、欧米各国ノ既ニ長足ノ進歩ヲナセルニ著シク遜色アルヲ以テ、政府ノ補助誘導ノ下ニ一大航空輸送会社ヲ設立シテ、本格的航空輸送事業ヲ開始セシムルコトハ朝野ノ要望スルトコロデアツタ。
 コヽニ於テ、政府ハコレガ設立ニ対シ、充分慎重ナ調査研究ノ要アリトシ、昭和二年七月二十日航空輸送会社設立準備委員会ヲ組織セシメ、会長ニ子爵渋沢栄一氏、副会長ニ井上準之助氏ヲ選任シ、官民ヨリ委員四六名ヲ選ビ、逓信大臣ヨリ起業目論見及定款要項ヲ諮問セラ
 - 第51巻 p.641 -ページ画像 
レ、該委員会ハ鋭意調査ヲ進メ、同年十一月十一日右ニ対スル答申ヲナシタ。
 逓信省ハ之ニ基キ、十一ケ年度間ニ一、九九七万円ノ補助金ヲ支給スル案ヲ定メ、昭和三年度予算ニ所要経費ヲ計上、第五五議会ニ要求シ、コレガ通過ヲ見タ。コヽニ於テ、前記設立準備委員ト略々同様ノ発起人ハ、着々会社設立ノ準備ヲ進メ、遂ニ十月二十日創立総会ヲ開催シ、資本金一、〇〇〇万円ヲ以テ日本航空輸送株式会社ノ設立誕生ヲ見ルニ到ツタ。


渋沢栄一伝記資料 第五十一巻 終