デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

3章 商工業
2節 蚕糸・絹織業
1款 社団法人大日本蚕糸会
■綱文

第52巻 p.322-325(DK520029k) ページ画像

大正2年3月29日(1913年)

是日栄一、小石川植物園ニテ開カレタル、当会第八回総会ニ於テ、本邦蚕糸業発達ニ貢献セシ多年ノ功績ニヨリ表彰セラル。


■資料

渋沢栄一 日記 大正二年(DK520029k-0001)
第52巻 p.322-323 ページ画像

渋沢栄一 日記 大正二年         (渋沢子爵家所蔵)
二月十三日 曇 寒
午前七時半起床○中略 朝飧ヲ食ス後○中略 蚕糸会書記加藤知正氏来ル○下略
 - 第52巻 p.323 -ページ画像 
二月十四日 晴 寒
午前七時半起床入浴シテ朝飧ヲ食ス、後、蚕糸会書記加藤知正氏来リ余カ製糸ニ関係セシ年来ノ経歴ヲ問ハル、依テ青年ノ頃ハ旧郷里ニテ養蚕又ハ製種ニ従事シ、明治ノ初官途ニ在リテ富岡製糸場ノ設立ニ尽力シ、第一銀行ニ入リテ後生糸為替又ハ其売込等ニ努力シ、且十四年ニハ荷預リ所設立ニ助力セシ事ヲ詳話ス○下略


大日本蚕糸会報 第二五六号 大正二年五月 第八回総会記事(DK520029k-0002)
第52巻 p.323-324 ページ画像

大日本蚕糸会報 第二五六号 大正二年五月
    第八回総会記事
 時有り、春来つて百花四海に充ち、鳥謳蝶舞人界の行楽を誘ふ、人有り、斗酒坐にあらば以て此の春に狂せんか、惟ふに今や国情益々多事にして、我が財政は一狐の腋だも之を匱うするを許さず、況や国家の隆昌に日夜力めつゝある我会員諸氏、晏ぞ烟霞の裡に此春を送るべけんや、本会即ち三月二十九日を期して其第八回総会を小石川植物園に開き、一は以て
 総裁宮殿下台臨の下に国家百年の計を樹て、一は以て東都の春色を紹介せんとしたり。
      △会場の光景
 此日の天気晴朗、軽暖衣に適し、満都の春光坐に人を艶殺するの概あり、会場は小石川植物園の西部大庭園を以て之に充て、正門を西門に設く、入口には大国旗を交叉し、門際に受付を設け、門より会場に至る迄の沿道は悉く紅白の幔幕を廻らし、会場に充てたる大建物には是又清洒なる装飾を施し、庭園中丘上池辺には大天幕を張りて各会員の休憩所・食堂に充てたり。
 既にして午前七・八時頃に至るや会員の参集するもの跡を絶たず、定刻前既に満場立錐の地なく、遅れて来れる者は場外に堵を為し、雪崩を打ちて庭園に迄溢るゝの盛況を呈したり。
      △総裁殿下台臨
 定刻前将に十時二十分前門外に警蹕の声聞ゆ、殿下の台覧《(臨)》なり、会頭○松平正直・副会頭○吉川重吉・各理事以下恭しく御出迎申上ぐれば 殿下にはカーキ色御軍服にて、永山御附武官を従へさせられ、御機嫌麗しく着御、各員に御会釈を賜りて便殿に入御あり、御休憩の後会頭以下に有難き御言葉を下し賜へり。
      △開会
 時辰進みて十時を報ずれば、第一振鈴は場の内外に響渡りて、玆に第八回総会は開れぬ、会員蕭然として定席に著く、かくて第二鈴に依りて来賓着席するや、松平会頭は徐ろに登壇、開会の辞を陳告し壇を下れば、総裁殿下には各員最敬礼中に玉音朗に左の令旨を読上げさせ給ふ○令旨・奉答略ス
      △業務成蹟報告○略ス
      △評議員の選挙○略ス
      △功績者の表彰
評議員の選挙終るや、会頭は恭しく台前に進み、功績褒賞の御親授を稟請し奉り、殿下には左の通り一々御手づから第一種・第二種金賞
 - 第52巻 p.324 -ページ画像 
牌を御授与遊され、会頭は賞状を授与せり。
  第一種功績表彰者
    東京府北豊島郡滝ノ川村
         従三位勲一等 男爵 渋沢栄一
   ○表彰文略ス、以下同断。
     神奈川県横浜市南仲通 小野光景
     埼玉県入間郡豊岡町 石川幾太郎
     群馬県佐波郡島村 故田島弥平
     長野県小県郡丸子町 故下村亀三郎
  第二種功績表彰者○略ス
      △優良組合の表彰○略ス
      △模範製糸工男女の表彰○略ス
      △有功章の御授与○略ス
      △来賓の告辞及祝辞○略ス
      △受賞者の答辞○略ス
      △閉会
右にて式全く終れるを以て、松平会頭は謹厳の態度にて閉会の陳告を為し、殿下には総員起立最敬礼中に御退場、御少憩の後諸員の奉送を受けさせられ、御気色殊の外麗しく還御遊されたり。当日の来賓は山本農相以下二百余名にして、来会者千余名、頗る盛況を極めたり。


功績表彰文(DK520029k-0003)
第52巻 p.324 ページ画像

功績表彰文           (社団法人大日本蚕糸会所蔵)
(控)
 第十回
  大正二年授与(第八回総会ニ於テ)
    第一種功績者表彰文
            東京府北豊島郡滝ノ川町《(マヽ)》
             従三位勲一等 男爵 渋沢栄一
明治二年官ニ仕フルヤ、偶政府ニ生糸改良ノ議起リ、外人ヲ聘スルコトヽナリ、選マレテ之カ監督ノ任ニ当ル、仍テ上武信ニ於ケル蚕業地ヲ跋渉シ、具ニ利害ヲ研究シ、地ヲ富岡ニ相シ、万難ヲ排シテ官立製糸所ノ建設ニ賛画シタリ、爾来之ヲ模範トシ、各地ニ器械製糸場勃興スルニ至レリ、明治十四年横浜ニ於テ内外生糸商間ニ一大紛擾起ルヤ同志ト共ニ調停ノ労ヲ採リ、積年ノ弊習ヲ刈除シ、円満ニ之ヲ解決スルニ至ル、爾後今日ニ至ルマテ蚕糸業ノ為ニ努力ヲ吝マス、明治六年官ヲ辞シ、専ラ商工業ノ発展ニ資セントシ、第一国立銀行ヲ創立ス、是レ本邦金融機関ノ鼻祖タリ、年々製糸業ノ為ニ資金融通ノ便ヲ図リ生糸貿易ニ貢献セルモノ尠少ナラス、其蚕糸業上ニ貢献セル労効洵ニ著大ナリ、仍テ本会功績表彰規則ニ拠リ、玆ニ第一種功績章ヲ贈与シ以テ其功績ヲ表彰ス
  大正二年三月二十九日
         大日本蚕糸会総裁大勲位功二級貞愛親王


竜門雑誌 第二九九号・第五四頁 大正二年四月 ○大日本蚕糸会の功績表章(DK520029k-0004)
第52巻 p.324-325 ページ画像

竜門雑誌 第二九九号・第五四頁 大正二年四月
 - 第52巻 p.325 -ページ画像 
○大日本蚕糸会の功績表章 大日本蚕糸会に於ては、三月二十九日午前十時より小石川植物園に於て第八回総会を開きたり、当日は総裁伏見宮殿下御臨場あらせられて令旨を御朗読遊ばされ、会頭松平正直男の奉答あり、次で理事の業務報告及び議員の補欠選挙を行ひ、次に松平会頭より本会の功績者褒賞授与の稟請あり、総裁伏見宮殿下に於かせられては直に第一・第二両種功績章及賞状を御授与あらせられ、次で松平会頭は第三種功績者に対し功績章を授与し、山本農相の告辞、府県知事其他の祝辞あり、午後は井上正金銀行副頭取・紫藤生糸検査所長の講演ありし由なるが、今回伏見宮殿下より功績章を授与せられたるは左記諸氏なりと云ふ。
△第一種功績章授与者 東京青淵先生・神奈川小野光景・埼玉県石川幾太郎・群馬県故田島弥平・長野県下村亀三郎
△第二種功績章授与者○略ス