デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

3章 商工業
6節 窯業
3款 浅野セメント株式会社
■綱文

第52巻 p.534-538(DK520068k) ページ画像

大正2年2月5日(1913年)

是ヨリ先、当会社ハ社業ノ発展ニ伴ヒ、株式会社ニ組織変更ヲ必要トスルニ至リ、別ニ浅野セメント株式会社ヲ設立シ、従来ノ浅野セメント合資会社ヲ之ニ合併スル形式ヲトルコトトシ、是日、帝国ホテルニ於テ臨時株主総会ヲ開キ、之ヲ議決ス。栄一出席ス。

尚、栄一、爾後当会社ノタメ尽力スルトコロ少ナカラズ。


■資料

渋沢栄一 日記 大正二年(DK520068k-0001)
第52巻 p.534 ページ画像

渋沢栄一 日記  大正二年         (渋沢子爵家所蔵)
一月二十四日 晴 寒
○上略 三時半田町浅野総一郎氏邸ニ抵リセメント会社総会ニ出席ス○下略
  ○中略。
二月五日 曇 寒
○上略 午前十一時帝国ホテルニ抵リ、浅野セメント会社ノ総会ニ出席シ株式組織ノ改正ヲ議決ス○下略


浅野セメント合資会社総会提出議案綴(DK520068k-0002)
第52巻 p.534-535 ページ画像

浅野セメント合資会社総会提出議案綴
                (浅野セメント株式会社所蔵)
    浅野セメント合資会社臨時社員総会決議録
大正元年拾月弐拾四日浅野セメント株式会社取締役浅野総一郎ト、当会社業務執行社員浅野総一郎トノ間ニ締結シタル両社合併仮契約承認ノ件ニ付、大正元年拾壱月拾壱日帝国ホテルニ於テ当会社臨時社員総会ヲ開キ、該契約条項全部ヲ承認シ、左ノ事項ヲ決議ス
第壱 当会社ハ大正弐年弐月五日ヲ以テ、其事業全部ヲ現状ノ儘(即所有財産及債権全部ヲ其債務全部附随ノ儘)ニテ浅野セメント株式会社ニ合併スル事
第弐 右合併ニ付浅野セメント株式会社ニ於テ金四百九拾万円ノ増資ヲナシ、当会社社員ハ壱株金額五拾円全部払込済ノ株式九万八千株ノ内ヨリ各持分ニ比例シテ削減シタル総数四千五百株ト、割当ノ結果生シタル五株トヲ合セテ四千五百五株ヲ浅野総一郎氏ノ名義トナシ、其残額ヲ各持分ニ応シテ取得シ、割当ヲ受クル事
第参 当会社ノ権利義務一切ハ、大正弐年弐月五日現在ヲ以テ浅野セメント株式会社ニ引継ク事
右決議候也
  大正元年拾壱月拾壱日
          浅野セメント合資会社
               無限責任社員 浅野総一郎
 - 第52巻 p.535 -ページ画像 
               有限責任社員 浅野サク
               同      浅野泰治郎
               同      浅野良三
               同      穂積重威
               同      白石元治郎
               同      清水幸一郎
               同      鈴木紋次郎
               同      渋沢栄一
               同      徳川家達
               同      徳川慶久
               同     明石照男
               同     八十島親徳
               同     尾高幸五郎
               同     尾高次郎
               同     尾高豊作
               同     大川平三郎
               同     大川テル
               同     安田善三郎
               同     安田善之助
               同     安田善四郎
               同     安田善五郎
               同     安田善雄
               同     安田善衛


竜門雑誌 第二九七号・第七〇頁大正二年二月 ○浅野セメント会社の組織変更(DK520068k-0003)
第52巻 p.535 ページ画像

竜門雑誌  第二九七号・第七〇頁大正二年二月
○浅野セメント会社の組織変更 従来浅野総一郎氏を始め青淵先生其他安田・徳川・大川・尾高諸氏の出資に係る浅野セメント合資会社に於ては、業務年と共に盛況に進み、最近には深川本社及門司分工場に於ける製造高は一ケ年百万樽以上に及び、其品質と言ひ製造高と言ひ我国に於ける巨擘の位置を占め来れるが、時勢の進運と共に尚一層其拡張を計る必要あるに伴ひ、之れが組織を改めて株式会社となすの必要を認め、順序として旧臘資本金十万円の株式会社を設立し、之に合資会社を合併するの形式を取りしが、二月上旬に至り、愈適法の手続を了し、資本金五百万円払込済の株式会社として、浅野セメント株式会社の名称を以て営業することゝなり、且左の諸氏役員に就任せしと云ふ
  社長  浅野総一郎  取締役 大川平三郎
  取締役 安田善三郎  取締役 八十島親徳
  取締役 白石元治郎  取締役 浅野泰治郎
  監査役 安田善之助  監査役 尾高幸五郎
  監査役 豊崎信


(浅野セメント株式会社)営業報告書 第二回大正二年七月 刊(DK520068k-0004)
第52巻 p.535-537 ページ画像

(浅野セメント株式会社)営業報告書  第二回大正二年七月 刊
    第二回自大正弐年壱月壱日至同年六月参拾日営業報告書
 - 第52巻 p.536 -ページ画像 
                   東京市深川区清住町壱番地
                   浅野セメント株式会社
      資本金
当社資本金ハ拾万円ノ処、浅野セント合資会社ヲ合併ノ結果金四百九拾万円ヲ増資シ、合計金五百万円トナシ、全額払込済ナリ
      株主総会
一大正弐年壱月弐拾四日芝田町浅野邸ニ定時株主総会ヲ開キ、大正元年拾月七日ヨリ拾弐月参拾壱日ニ至ル決算書類ノ承認ヲ得タリ
一大正弐年弐月五日臨時株主総会ヲ帝国ホテルニ開キ、浅野セメント合資会社出資社員ニ対スル株式割当引受結了ノ件報告ヲナシ、之カ承認ヲ受ケ、定款中改正ノ件及重役報酬決定ノ件ヲ附議シ、満場一致ヲ以テ之ヲ可決セリ
      処務要件
一弐月五日浅野セメント合資会社ヲ当社ニ合併スルト共ニ増資、並ニ門司市大字門司三百番地ニ支店設置ノ登記ヲ弐月拾日完了セリ
一川崎工場建設ノ為メ神奈川県橘樹郡田島村ノ内大島新田拾万四千五拾弐坪ヲ購入シ、六月拾七日之カ登記ヲ了セリ○中略
      貸借対照表

図表を画像で表示貸借対照表

  資産      金額              負債     金額 地所器械建物  五、三六四、六一九・七五七   資本金    五、〇〇〇、〇〇〇・〇〇〇 船舶          七、六四〇・〇〇〇   借入金      三一〇、〇〇〇・〇〇〇 公債証書株券     六〇、五三七・五〇〇   支払手形     五三六、二五三・〇〇〇 得意先       七三八、五七九・七三〇   ○中略 増設費       二一一、五〇五・四八〇   預リ金      四〇四、八二八・〇〇〇 ○中略                     前期繰越金     三六、九四〇・〇〇〇                         当期利益金    四八六、二五二・八六二 合計      七、一一五、〇二二・八四五          七、一一五、〇二二・八四五 



      利益金分配○略ス
右之通ニ候也
  大正弐年七月弐拾八日
              浅野セメント株式会社
                取締役社長 浅野総一郎
                取締役   大川平三郎
                同     安田善三郎
                同     八十島親徳
                同     白石元治郎
                同     浅野泰治郎
右監査候処相違無之候也
                監査役   尾高幸五郎
                同     安田善之助
                同     豊崎信
    株主名簿 大正弐年六月参拾日現在

株数     府県名 氏名      株数     府県名 氏名
二一、一三三 東京  浅野総一郎   一一、五二一 同   大川平三郎
 - 第52巻 p.537 -ページ画像 
 八、一一七 同   渋沢栄一     二、三八七 同   安田善三郎
 七、六四〇 同   浅野サク     二、三一五 同   白石元治郎
 五、九六八 同   徳川家達     二、二一五 同   浅野良三
 五、七六八 同   徳川慶久    ○中略
 二、八六一 同   浅野泰治郎    合計    拾万株 五拾壱名
 二、七四五 同   尾高幸五郎   

  ○栄一名義ノ株式ハ大正四年四月ヨリ、渋沢同族株式会社社長渋沢敬三名義トナル。


渋沢栄一 日記 大正四年(DK520068k-0005)
第52巻 p.537 ページ画像

渋沢栄一 日記  大正四年          (渋沢子爵家所蔵)
一月二十日 晴 朝来寒気強ク堅氷到ル
○上略 二時帝国ホテルニ抵リ、浅野セメント会社株主総会ニ出席ス○下略
  ○中略。
三月廿一日 晴
午前七時起床○中略大川平三郎・白石元次郎《(白石元治郎)》二氏来リ、セメント会社金融ノ事ニ付依頼アリ○下略
  ○中略。
三月三十日 晴 風アリ
○上略 午後一時第一銀行ニ於て午飧ス、畢テ再ヒ事務所ニ於テ○中略浅野・大川・白石等来リ、北海道セメント会社ノ事ヲ談ス○下略


渋沢栄一 日記 大正六年(DK520068k-0006)
第52巻 p.537 ページ画像

渋沢栄一 日記  大正六年         (渋沢子爵家所蔵)
一月四日 快晴 寒
○上略 十二時帝国ホテルニ抵リ、浅野セメント会社重役会ニ出席シテ増資ノ事ヲ協議ス○下略
  ○中略。
一月二十九日 晴 寒
○上略 十一時事務所ニ抵リ、大川・白石・八十島三氏ヲ会シテ浅野セメント会社ノ経営ニ付種々ノ協議ヲナス○下略



〔参考〕(増田明六)日誌 大正一二年(DK520068k-0007)
第52巻 p.537-538 ページ画像

(増田明六)日誌  大正一二年     (増田正純氏所蔵)
十一月三十日 金                 出勤
○上略
子爵ノ申付ニ依リ、事務所ヨリノ帰途午後七時尾高幸五郎氏ヲ訪問シ同氏カ浅野セメント・東京湾埋立ノ両会社重役ヲ辞任セラルヽヲ見合ハセ留任セラルヽ様子爵ノ御意中ヲ懇談シタルカ、同氏ノ辞意頗ル堅ク、始メ容易ニ承諾セラレサリシカ、遂ニ子爵ノ御懇命ニ反スルハ不本意ナリトテ暫ク留任スルコトニ決セラレタリ、右懇談スルニ至リシ次第ハ、今朝大川平三郎氏子爵ヲ訪問シ、子爵ヨリ尾高氏ニ辞表撤回ヲ為ス様勧告セラレタシト談話アリシニ因ルモノナリ
○下略
十二月一日 土 晴
○上略
今早朝尾高幸五郎氏代理井田英一氏来訪、昨夜尾高氏訪問の際同氏ニ於て承諾したる浅野セメント及東京湾埋立両会社重役辞任撤回の件、
 - 第52巻 p.538 -ページ画像 
其中東京湾の方は已ニ辞表提出したるものなれは、之丈けハ辞任致度きニ付子爵ニ取次を請ふと之要件なりしかば快諾し、飛鳥山邸参上之節、昨夜の談話と合ハセ子爵ニ言上したるニ、同氏の主張尤の次第なれハ、右の顛末大川氏ニ伝達すべしと命セられたり
  ○所謂浅野セメント降灰ニ付テハ本資料第四十八巻所収「浅野セメント深川工場降灰問題」参照。