デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

3章 商工業
7節 造船・船渠業
1款 株式会社東京石川島造船所 付 株式会社石川島飛行機製作所
■綱文

第52巻 p.567-576(DK520076k) ページ画像

大正5年1月5日(1916年)

是月四日、栄一アメリカ合衆国ヨリ帰国ス。是日、烏森湖月楼ニ於テ当会社主催歓迎会開カレ、栄一出席ス。爾後、毎年一月五日ニ開カレシ当会社新年宴会ニ屡々出席シ、演説ヲナス。


■資料

集会日時通知表 大正五年(DK520076k-0001)
第52巻 p.567 ページ画像

集会日時通知表  大正五年       (渋沢子爵家所蔵)
一月五日 水 午後六時 男爵歓迎会 石川島造船所催(湖月)
  ○栄一、一月四日アメリカ合衆国ヨリ帰国ス。歓迎会トハ帰国歓迎会ノ意ナリ。渡米ニツイテハ本資料第三十三巻所収「第三回米国行」参照。


集会日時通知表 大正六年(DK520076k-0002)
第52巻 p.567 ページ画像

集会日時通知表  大正六年       (渋沢子爵家所蔵)
一月五日 金 午後六時 石川島造船所渡辺嘉一氏ヨリ御案内(湖月楼)


渋沢栄一 日記 大正六年(DK520076k-0003)
第52巻 p.567 ページ画像

渋沢栄一 日記  大正六年       (渋沢子爵家所蔵)
一月五日 快晴 寒
○上略 湖月楼ニ抵リ、石川島造船所新年宴会ニ出席ス、一場ノ訓示演説ヲ為ス、夜九時過帰宿○下略
  ○栄一演説筆記ヲ欠ク。


集会日時通知表 大正八年(DK520076k-0004)
第52巻 p.567 ページ画像

集会日時通知表  大正八年       (渋沢子爵家所蔵)
一月五日 日 午後六時 東京石川島造船所ヨリ御案内(烏森湖月)


渋沢栄一 日記 大正八年(DK520076k-0005)
第52巻 p.567 ページ画像

渋沢栄一 日記  大正八年       (渋沢子爵家所蔵)
一月五日 快晴 寒
○上略 六時烏森町湖月楼ニ抵リ、石川島造船所ノ新年宴会ニ出席ス、酒席ニ於テ一場ノ懐旧演説ヲ為シテ会員一同ヲ奨励ス、渡辺社長及他ノ重役諸氏又ハ工務ノ担任者等ト種々ノ談話ヲ為ス○下略
  ○栄一演説筆記ヲ欠ク。


集会日時通知表 大正一〇年(DK520076k-0006)
第52巻 p.567 ページ画像

集会日時通知表  大正一〇年      (渋沢子爵家所蔵)
一月五日 水 午後五半時 石川島造船所ヨリ御案内(烏森湖月楼)

 - 第52巻 p.568 -ページ画像 

渋沢栄一 日記 大正一〇年(DK520076k-0007)
第52巻 p.568 ページ画像

渋沢栄一 日記  大正一〇年      (渋沢子爵家所蔵)
一月五日 晴 寒
○上略 五時過ヨリ新橋湖月楼ニ抵リ、石川島造船所ノ新年会ニ出席ス、渡辺工学博士及他ノ重役等ト会同ス、酒間一場ノ訓示演説ヲ為ス○下略
  ○栄一演説筆記ヲ欠ク。


集会日時通知表 大正一二年(DK520076k-0008)
第52巻 p.568 ページ画像

集会日時通知表  大正一二年      (渋沢子爵家所蔵)
一月五日 金 午後五半時 渡辺嘉一氏ヨリ御案内(湖月楼)


渋沢栄一 日記 大正一二年(DK520076k-0009)
第52巻 p.568 ページ画像

渋沢栄一 日記  大正一二年      (渋沢子爵家所蔵)
一月五日 晴 寒
○上略 午後六時新橋湖月楼ニ抵リ、石川島造船所開催ノ新年会ニ出席シ一場ノ訓示演説ヲ為ス○下略
  ○栄一演説筆記ヲ欠ク。


集会日時通知表 大正一三年(DK520076k-0010)
第52巻 p.568 ページ画像

集会日時通知表  大正一三年      (渋沢子爵家所蔵)
一月五日 土 午後五半時 石川島造船所新年宴会(紅葉館)



〔参考〕(東京石川島造船所) 三十五年(五十八期)間概記 (未定稿) 自明治四十四年一月至大正十二月十一月末日 (営業報告書摘録)(DK520076k-0011)
第52巻 p.568-576 ページ画像

(東京石川島造船所)
三十五年(五十八期)間概記 (未定稿)  自明治四十四年一月至大正十二月十一月末日
    (営業報告書摘録)
                    (財団法人竜門社所蔵)
 明治四十三年上半期
一月二十七日本社ニ於テ第三十回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決ス、続テ臨時総会ヲ開キ、取締役一名欠員、監査役一名辞任ニ付之カ補欠選挙ヲ行フ(取締役ニ横山徳次郎ヲ選任シ、監査役ニ前任者ヲ再選ス)
 同四十三年下半期
七月二十七日本社ニ於テ第三十一回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決ス、続テ臨時総会ヲ開キ、監査役二名辞任ニ付之カ補欠選挙ヲ行フ(前任者再選)

 明治四十四年上半期
一月二十七日本社ニ於テ第三十二回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決ス、続テ監査役一名満期ニ付改選ヲ行フ(前任者重任)
負傷者治療所ヲ開設ス
貸借対照表及財産目録ノ厘位廃止ヲ決行ス
株式会社芝浦製作所ニ於テ営業方針変更ノ結果主トシテ電気機械ノ製造ニ従事シ、汽缶・煙突・水管ノ三種ヲ除キ他ノ機械類ハ一切其ノ製造ヲ遏ムルコトヽナリタルヲ以テ、本会社ハ同会社ト協定ノ上、此等ノ機械類ハ同会社ト相互連絡ヲ計リ、総テ本社ニ於テ註文ヲ引受クルコトヽナシ、五月二十二日ヲ以テ其ノ旨各取引先ニ通知シ、尚ホ新聞紙ヲ以テ広告ス
 - 第52巻 p.569 -ページ画像 
 同四十四年下半期
七月二十七日本社ニ於テ第三十三回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決ス、続テ臨時総会ヲ開キ、監査役二名満期改選ヲ行フ(前任者重任)
前年来引続キ施工中ナリシ鉄道院中央停車場鉄骨製作及組立工事ハ好成績ヲ以テ予定ノ期日ニ先タチ八月ヲ以テ竣成ス

 明治四十五年上半期
一月二十七日本社ニ於テ第三十四回定時総会ヲ開キ、前期間ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決シ、次テ左ノ事項ヲ議決ス
 一、取締役四名満期改選ノ件(前任者重任)
 二、取締役一名増員選挙ノ件(内田徳郎ヲ選任ス)
 三、監査役一名満期改選ノ件(前任者重任)
 四、株主中ヨリ梅浦専務取締役ハ就任以来鋭意社務ノ整理ト事業ノ発展ヲ計リ、引続キ良好ノ成績ヲ挙ケ会社ノ基礎愈々鞏固ヲ加ヘタルニ依リ、其ノ功労ヲ表彰スル為、同氏ニ金杯一組並感謝状贈呈ノ件建議アリ、全会一致ヲ以テ之ヲ可決シ、其ノ方法ハ之ヲ監査役ニ一任ス(然ルニ本決議ハ梅浦社長ニ於テ就任以来三年ノ任期満了前ニモ有之、殊ニ株主総会ニ於テ重役並使用人ニ対シ慰労金分配ノコトモ決議セラレタル次第ニ付、右ノ贈与ヲ受クルコトヲ辞退セラレタルヲ以テ遂ニ実行中止トナル)
 五、前期株主定時総会ニ於テ出席株主中ヨリ、次期ニ於テ尚ホ本期ニ優ル好成績ヲ挙ケタル場合ニハ、重役並従業者ニ対シ臨時慰労トシテ金五千円ヲ贈与スルノ建議アリシモ、当時重役ニ於テハ其ノ好意ヲ謝シ、金員ヲ受クルコトヲ辞退セリ、然ルニ重ネテ右株主ヨリ本期ノ成績ニ基キ右慰労金支出ノ件建議アリ、全会一致ヲ以テ之ヲ可決(本決議ニ依ル慰労金ハ前期繰越金ノ内ヨリ之ヲ支出ス)
三月十七日専務取締役社長梅浦精一病死ス、依テ専務取締役社長ノ後任決定スル迄ノ間ハ、清水取締役ニ於テ社長事務ノ取扱ヲ為ス
五月十三日本社ニ於テ臨時総会ヲ開キ、左ノ事項ヲ議決ス
 一、取締役一名選挙即チ梅浦取締役死亡ニ因ル補欠選挙ハ工学博士渡辺嘉一ヲ選任スルコト
 二、故梅浦専務取締役社長在任中ノ功労ヲ表彰スル為同氏遺族ニ金五千円ヲ贈呈スルコト

同四十五年大正元年下半期
七月二十七日本社ニ於テ第三十五回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決シ、次テ監査役二名満期改選ヲ行フ(前任者重任)
英国ニ於ケル機械工業視察ノ為内田取締役兼支配人技師長ヲ派遣ス(八月十八日出発明年一月七日帰朝)
内田取締役滞英中グラスゴー市サー・ウヰリアム・アーロル会社ニ交渉ノ結果、鉄骨建築起重機等ノ製作ニ関シ必要ノ場合同社ノ設計又ハ
 - 第52巻 p.570 -ページ画像 
製作材料ノ供給ヲ受クルコトヲ得ルコトトナル

 大正二年上半期
一月二十七日本社ニ於テ第三十六回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決シ、次テ取締役一名、監査役一名ノ満期改選ヲ行フ(孰レモ前任者重任)
福岡県枝光所在ノ製鉄所及其ノ附近ニ於ケル請負工事作業ノ便宜上同県遠賀郡黒崎町緑町海岸ニ一工場ヲ設ケ、本会社八幡出張所ト称シ、六月二十三日業務ヲ開始ス
 同年下半期
七月二十八日本社ニ於テ第三十七回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決シ、次テ監査役二名満期改選ヲ行フ(前任者重任)
株式会社芝浦製作所ニ於テ去ル明治四十四年五月営業方針ヲ変更シ、主トシテ電気機械ノ製造ニ従事シ、汽缶・煙突・水管ノ三種ヲ除キ爾余ノ機械類ノ製作ハ挙ケテ之ヲ本会社ニ継承シ営業シ来レル処、同社ニ於テハ更ニ右三種ノ製造ヲモ廃止シ、専ラ電気機械器具ノミノ製作ニ従事スルコトヽナリタルヲ以テ、此等汽缶・煙突・水管ノ類モ亦同社ト相互連絡ヲ計リ、総テ本会社ニ於テ之カ註文ヲ引受クルコトヲ協定シ、八月十三日ヲ以テ其ノ旨各取引先ニ通知シ、尚ホ新聞紙ヲ以テ広告ス
 大正三年上半期
一月二十七日本社ニ於テ第三十八回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決シ、次テ監査役一名満期改選ヲ行フ(前任者重任)
四階建木造瓦葺(建坪七十二坪)事務所一棟ヲ新築ス
欧米ニ於ケル機械工業視察ノ為技師栗田金太郎ヲ派遣ス(五月二十四日出発十二月十五日帰朝)
 同三年下半期
七月二十七日本社ニ於テ第三十九回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決シ、次テ監査役二名満期改選ヲ行フ(前任者重任)
東京大正博覧会ニ天井移動電気起重機ヲ出品シ金牌ヲ授与セラル
八月二十日鉄道院ヨリ左ノ賞状ヲ授与セラル
 中央停車場ノ新築ニ際シ鉄骨工事ヲ請負ヒ、爾来約二ケ年間鋭意励精毫モ遅滞ナク完全ニ之ヲ竣功セシメ、成績顕著ナルヲ以テ、玆ニ之ヲ賞ス
本年製品中ニ百噸起重機(天井移動電気)及二百呎スパン鉄道橋アリ孰レモ従来見サル最大ノモノナリトス
工業界ハ益々不振ノ状態ヲ呈シ、特ニ欧洲戦乱勃発以来急転其ノ度ヲ加ヘ、一般ニ時局ノ推移ヲ慮リテ事業ヲ緊縮セル為註文頓ニ減少シ、従テ同業者間ノ競争甚タシク、工事ノ蒐集大ニ困難ヲ極メタリ
 - 第52巻 p.571 -ページ画像 
 大正四年上半期
一月二十七日本社ニ於テ第四十回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決シ、次テ左ノ事項ヲ議決ス
 一、定款全部改正ノ件(其ノ主ナル点ハ営業目的事項ノ字句修正、存立期限ノ撤廃、監査役ノ任期一年ヲ二年ニ変更、決算期六月十二月ヲ五月、十一月ニ変更スル等)
 二、取締役一名、監査役一名満期改選ノ件(前任者重任)
 同四年下半期
六月二十九日本社ニ於テ第四十一回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決シ、次テ取締役四名ノ満期改選ヲ行フ(前任者重任)

 大正五年上半期
十二月二十五日本社ニ於テ第四十二回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決シ、次テ左ノ事項ヲ議決ス
 一、監査役二名満期改選ノ件(前任者重任)
 二、資本金百弐万円ヲ弐百四万円ニ増資ノ件並ニ之ニ関聯スル定款条項改正ノ件
五月二十三日本社ニ於テ臨時総会ヲ開キ、新株式第一回払込終了ニ付商法ノ規定ニ従ヒ取締役並監査役ヨリ之ニ関スル報告ヲ為ス
欧洲戦乱ノ為海運界ノ活躍ニ連レ造船業頗ル繁忙ヲ極メ、本社ニ於テモ造船奨励法合格ノ計画噸数二千百噸、載荷重量三千五百噸、計画馬力千二百ノ単螺旋鋼製重構式貨物汽船六艘ノ建造ニ着手シ、夫々手続ヲ了シ、造船認許証書ノ交附ヲ受ケ、本社トシテ未曾有ノ盛況ヲ見ルニ至レリ
 同五年下半期
六月二十六日本社ニ於テ第四十三回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決シ、次テ取締役一名満期改選ヲ行フ(前任者重任)
英国クラークチヤプマン会社専売ノウードソン水管式汽缶並各種船用喞筒ノ日本一手製造販売権ヲ買収ス

 大正六年上半期
十二月二十六日本社ニ於テ第四十四回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決ス
計画噸数三千二百噸(積荷重量五千噸)ノ鋼製貨物汽船六艘ニ対シ、造船奨励法ニヨリ造船認許証書下附ヲ出願シ、先ツ以テ其三艘ニ対シテ認許証書交附セラレ、他ノ三艘ニ対スル分ハ造船奨励法廃止ノ為メ自然消滅ス
曩ニ日本一手製造販売権ヲ買収セル英国クラークチヤープマン会社専売ノウードソン水管式汽缶ノ支那一手製造販売権ヲ更ニ買収ス
御料地払下年賦金ハ一月二十七日ヲ以テ完納トナリタルニ依リ、四月二十日所有権移転登記ヲ了ス
株式会社日本勧業銀行ヨリノ借入金拾壱万円ノ内、未償還ノ金四万弐
 - 第52巻 p.572 -ページ画像 
千参拾四円弐拾八銭ハ十二月十八日一時ニ之ヲ償還シタルヲ以テ、同月二十二日工場財団抵当権抹消登記ヲ了ス
本社工場敷地ハ今回会社ノ所有ニ帰シタル地域ノ外、三井合名会社ノ所有地ヲ賃借シテ之ニ充テ居タル処、尚ホ狭隘ヲ告クルニ依リ、更ニ新佃島西町ニ於ケル東京市所有地ヲ賃借ス
 同六年下半期
六月二十五日本社ニ於テ第四十五回定時総会ヲ開キ左ノ事項ヲ議決ス
 一、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金処分ノ件
 二、監査役一名満期改選ノ件(前任者重任)
 三、資本金弐百四万円ニ弐百九拾六万円ヲ増資シテ資本総額ヲ五百万円トナスノ件及新株割当募集等ニ関スル件
 四、右ニ関聯シテ定款条項改正ノ件
 五、重役報酬年額ヲ壱万五千円以内ニ増加ノ件
福岡県八幡市ニ設置ノ本社出張所ハ、製鉄所拡張ノ為立退ヲ要スルコトヽナリタルヲ以テ、同県若松市大字藤ノ木ニ於ケル若松築港株式会社ノ埋立地ニ之ヲ移転シ、若松分工場ト改称シ十月一日ヨリ事務ヲ開始ス
十月一日払暁稀有ノ暴風雨ニ次テ大海嘯襲来シ、本社建物其他被害尠ナカラス、且本社工場事務所トモ一体ニ大浸水ヲ被リ、為メニ作業全部ノ復旧ニ約十日間ヲ要セリ

 大正七年上半期
十二月二十五日本社ニ於テ第四十六回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決シ、次テ監査役二名満期改選ヲ行フ(前任者重任)
一月三十日監査役田中永昌病死ス
二月十二日本社ニ於テ臨時総会ヲ開キ、左ノ事項ヲ議決ス
 一、新株式第一回払込終了ニ付商法ノ規定ニ従ヒ取締役ヨリ新株募集ニ関スル事項ノ報告、監査役ヨリ新株総数ノ引受アリタルコトノ報告
 二、株式会社東京月島鉄工所設立ニ付、其資本総額弐拾五万円ノ内拾五万円即チ三千株ヲ引受クルノ件
若松分工場敷地一万六千六百九十三坪三合五夕ハ、所有者若松築港株式会社ヨリ十ケ年年賦代金拾参万参千五百四拾六円八拾銭ヲ以テ買受契約ヲ為ス、而シテ該工場設備略々完成ニ付一部作業ヲ開始ス
海軍省ヨリ二等駆逐艦一艘製造ノ註文ヲ受ク
第二回船鉄交換ニ依リ米国政府ヨリ載荷重量五千噸ノ汽船二艘(イースターンベル、イースターンメイド《Eastern Belle, Eastern Maid.》)ノ註文ヲ受ク、之ニ対シ米国ヨリ供給ヲ受クル船用鋼材ノ量ハ五千噸ナリ
 同七年下半期
六月二十五日本社ニ於テ第四十七回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決シ、次テ左ノ事項ヲ議決ス
 一、取締役渡辺嘉一・同内田徳郎カ株式会社東京月島鉄工所ノ取締役タルコトヲ承認ノ件
 - 第52巻 p.573 -ページ画像 
 二、故田中監査役弔慰金贈呈ノ件(取締役ニ一任)
 三、取締役五名満期改選ノ件(前任者重任)
 四、社長以下役員ニ対シ臨時特別慰労金贈呈ノ件(後期繰越金ノ内ヨリ金弐拾万円ヲ支出贈呈スルコト、尚職員ニ対シテハ社長宜シク之ヲ処理スルコトニ可決)
故田中監査役ニ対スル弔慰金五千円ヲ嗣子田中猪太郎氏ニ贈呈ス
十一月十八日当造船所ノ創立者故平野富二氏ニ従五位ヲ贈ラル

 大正八年上半期
十二月二十五日本社ニ於テ第四十八回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金処分ヲ議決ス
若松分工場設備完成シタルニ依リ五月四日ヲ以テ開業式ヲ挙行ス
十二月十三日本社工場構内変圧所ヨリ、漏電ノ為出火シ、材料庫二棟(三三六坪)、現図場一棟(一八〇坪)、木工場三棟(三〇〇坪)、木型工場、並木型置場二棟(三九二坪)及製缶工場附属工場一棟(一四〇坪)、以上九棟ノ木造建物並材料ノ一部烏有ニ帰ス
英国クラークチヤプマン会社専売ノ船用喞筒ニ対スル支那ニ於ケル一手製造販売権ヲ買収ス
英国アルフレツドミツチエル氏発明専売ニ依ルラフイングクレーンノ製造販売権ヲ買収ス
 同八年下半期
六月二十五日本社ニ於テ第四十九回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金処分ヲ議決シ、次テ取締役一名、監査役一名満期改選ヲ行フ(前任者重任)
海軍省ヨリ二等駆逐艦一艘製造ノ註文ヲ受ク(第二回)
九月本社職工共済組合成立シ、社長組合長トナリ、事務所ヲ本社内ニ置キ、同月十四日事務ヲ開始ス(大正十二年末解散ス)
国際汽船株式会社設立ニ付、本社ハ米国政府ト船鉄交換契約ニ依リ供給ヲ受ケタル剰余材料ヲ以テ建造スヘキ載荷重量五千噸ノ鋼製汽船一艘ヲ同社ニ提供スルコトヽス

 大正九年上半期
十二月二十五日本社ニ於テ第五十回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金処分ヲ議決シ、次テ監査役一名満期改選ヲ行フ(前任者重任)
海軍省ヨリ二等駆逐艦二艘製造ノ註文ヲ受ク(第三回計四艘)
同九年下半期
六月二十五日本社ニ於テ第五十一回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金処分ヲ議決ス
本社所有汽船藤ノ木丸(九八六噸)ハ航海中大暴風ニ遭遇シ九月二十八日三重県鳥羽港外ニ於テ難破沈没ス
深川区富川町三番地ニ機械工場ヲ設ケ、深川分工場ト称シ事業ヲ開始ス、同工場敷地三千六百七十坪八八ハ地主土屋子爵家ト二十年間賃貸借ノ契約ヲ為ス
 - 第52巻 p.574 -ページ画像 
神奈川県橘樹郡町田村字潮田地先海面埋立地第五区ノ中、面積約十三万五千坪ヲ工場予備敷地トシテ東京湾埋立会社ヨリ買受ノ契約ヲ為ス

 大正十年上半期
十二月二十五日本社ニ於テ第五十二回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算承認及利益金処分ヲ議決シ、次テ左ノ事項ヲ議決ス
 一、資本金五百万円ニ五百万円ヲ増加シテ資本総額ヲ壱千万円トナスコト及右ニ関聯スル定款条項改正ノ件
 二、本社所有ノ土地建物機械器具等ヲ以テ工場財団ヲ設定シ、之ヲ担保トシテ総金額参百万円ヲ超エサル範囲内ニ於テ社債ヲ募集スルコト、及、発行ノ度数・時期・利率・発行価額・償還期限等ニ関スル一切ノ件ハ之ヲ取締役会ノ決議ニ一任スルコト
 然ルニ右ノ時期・利率・発行価額・償還期限等ハ其ノ範囲ヲ定メテ決議ヲ為スコトヲ要スル趣ナルヲ以テ
二月二十五日本社ニ於テ更ニ臨時総会ヲ開キ、十二月二十五日ノ株主総会ニ於テ決議セル社債募集ニ関スル条項中左ノ通追加補正スルコトヲ議決ス
 一、取締役会ノ決議ヲ以テ工場財団ヲ設定セスシテ社債ヲ募集スルコトヲ得ルコト、又社債ノ利率ハ年九分以内、発行価額ハ金百円ニ付九拾五円以上、償還期限ハ六ケ年以内、募集時期ハ決議ノ日ヨリ六ケ月以内トシ、其他ノ細目ハ取締役会ノ決議ニ一任スルコト
社債参百万円ハ無担保ニテ株式会社日本興業銀行及株式会社第一銀行ノ委託引受ヲ以テ価格額面百円ニ付九拾八円。利率年八分。償還期限大正十年四月一日ヨリ二ケ年据置、爾後三ケ年以内ニ随時償還。応募申込期限大正十年三月十日ヨリ十四日マテ。払込期日大正十年四月一日。ノ条件ヲ以テ募集セシニ好成績ヲ以テ終結セリ
瑞西チユリツヒ市エツシヤウヰス会社ノ専売ニ係ルチエリー式舶用蒸汽タルビンノ東洋ニ於ケル製造販売権ヲ買収ス
 同十年下半期
六月二十五日本社ニ於テ第五十三回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金処分ヲ議決シ、次テ取締役五名、監査役一名ノ満期改選ヲ行フ(孰レモ前任者重任)
海軍省ヨリ二等駆逐艦ニ艘製造ノ註文ヲ受ク(第四回計六艘)
仕入製造ノトロール汽船三艘ノ処分方法トシテ、之ヲ日本トロール株式会社ニ売渡シ、其ノ代金ノ一部トシテ該会社株式壱万八千株(拾弐円五拾銭払込)ヲ取得ス
十月八日本社ニ於テ職工ノ同盟罷業勃発シ、同十四日ヨリ十一月四日マテ作業ヲ休止シ、十一月五日開場、十一日ヨリ作業開始、同月末ニ至リテ殆ント前状態ニ復ス、深川分工場ニ於テモ亦同様ニテ、十月十三日ヨリ同三十一日マテ作業ヲ休止シ、十一月一日開場、翌二日ヨリ作業ヲ開始シ前状態ニ復ス

 大正十一年上半期
 - 第52巻 p.575 -ページ画像 
十二月二十四日本社ニ於テ第五十四回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決シ、次テ監査役一名ノ満期改選ヲ行フ(前任者重任)
取締役内田徳郎ハ取締役ノ互選ニ依リ、十二月二十日専務取締役ニ就任ス
曩ニ英国第一流ノ自動車製造者ナルウーズレー会社ヨリ東洋ニ於ケル製造販売権ヲ買収シ、爾来深川分工場ニ於テ其ノ製作ニ従事シタルニウーズレー自動車同等以上ノ優秀ナルモノヲ製出シ得ルニ至レリ
 同十一年下半期
六月二十六日本社ニ於テ第五十五回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決シ、次テ取締役一名満期改選、同一名増員選挙及監査役一名補欠選挙ヲ行フ(取締役ニ栗田金太郎・渋沢正雄、監査役ニ横山徳次郎選任セラル)
鶴見埋立地ノ内弐万坪ヲ日本石油株式会社ニ売却ス
海軍省ヨリ一等駆逐艦一艘製造ノ註文ヲ受ク
若松分工場ハ工業界不振ノ為経営困難ナルニ依リ本年末限リニテ一先ツ閉鎖ス

 大正十二年上半期
十二月二十五日本社ニ於テ第五十六回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ノ承認及利益金ノ処分ヲ議決ス
取締役清水釘吉、監査役横山徳次郎ハ孰レモ自己ノ都合ニ依リ五月三十日辞任ス
会社所有ノ鶴見埋立地全部十一万五千六百三坪ハ左ノ通リ一月十日所有権保存登記ヲ完了ス
 神奈川県橘樹郡町田村大字安善町一丁目一番地
  新開地   十九町二段一畝二十三歩
 同所二丁目一番地ノ一
  新開地   十四町一段二畝
 同所二丁目二番地ノ二
  新開地   五町一段九畝二十歩
五月海軍省ヨリ一等駆逐艦一艘製造ノ註文ヲ受ク
自動車販売営業所ヲ丸ノ内ビルヂング内ニ設置ス
会社所有ノ日本トロール株式会社株式ハ漸次他ニ譲渡シ、本期間ニ於テ全部ノ譲渡ヲ了ス
五月賞勲局ヨリ大正九年十一月一日附ノ左ノ褒状ヲ授与セラル
 大正四年乃至九年戦役ノ際尽力尠ナカラス依テ褒セラル
十二年六月(?)頃賞勲局ヨリ大正三年―七年日独戦役ニ対スル褒状ヲ交附セラル
 同十二年下半期
六月二十五日本社ニ於テ第五十七回定時総会ヲ開キ、前期ノ営業報告並諸計算ヲ承認シ、次テ監査役一名ノ満期改選及同一名ノ補欠選挙ヲ行フ(一名ハ前任者佐藤政五郎再選重任シ、一名ハ西谷常太郎選任セラル)
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仕入製造ノ小型自動車二台並同シヤシー十八台ノ処分方法トシテ其ノ全部ヲ東京実用自動車株式会社ニ売却シ、其ノ代価トシテ該会社ノ株式(弐拾円額面)五千五百二十株ヲ取得ス
九月一日突発ノ大地震ニテハ差シタル被害ナカリシモ、次テ起リタル火災ノ為メ本社工場ハ機械工場ヲ初メ四十棟(建坪三、九六二坪)全焼、八棟(建坪一、七五五坪)半焼シ、又事務所・土蔵・兵員宿舎其ノ他附属家屋等二十二棟(建坪一、七四八坪)全焼ノ厄ニ罹リ、土蔵内ニ格納シタル重要ノ図書一切烏有ニ帰ス、又深川分工場ニ於テモ製品倉庫外一棟ヲ残シ機械工場等十五棟(建坪一、三七五坪)全焼ス、依テ一時事業ヲ停止シ、仮事務所ヲ丸ノ内ビルヂング自動車営業所内ニ設ク
 附記
  大震火災ノ為ニ生シタル損失金四、七二三、二六四円二四銭及十二年下半期ノ損失金二五三、二九一円七三銭合計四、九七六、五五五円九七銭ハ十二月二十五日本社ニ於テ開キタル定時総会ニ於テ之ヲ承認シ、次テ開キタル臨時総会ニ於テ、資本金減少ニ依ル二、〇〇〇、〇〇〇円、準備積立金六九八、〇〇〇円、別途積立金二、〇七四、〇〇〇円、前期繰越益金二二五、三七六円〇三銭合計四、九九七、三七六円〇三銭ノ内ヨリ損失金ヲ塡補シ残リ二〇、八二〇円〇六銭ハ益金トシテ之ヲ後期ニ繰越スコトヲ議決ス
         以上

    技術研究又ハ事業視察ノ為メ海外ニ出張セル社員
 進経太     明治三十三年四月出発 同十一月帰朝
 内田徳郎    大正元年八月  〃  二年一月〃
 栗田金太郎   大正三年五月  〃  三年十二月〃
 村上義諦
 石井信太郎
 杉山勝馬
 村上義諦
 上松彰
 吉江介三
 土光敏夫
 鍵和田良平



〔参考〕(増田明六) 日誌 大正一二年(DK520076k-0012)
第52巻 p.576 ページ画像

(増田明六) 日誌  大正一二年     (増田正純氏所蔵)
十一月二十日 火 晴
○上略
同十時半工業倶楽部ニて東京石川島造船所大株主会あり出席す、震災害ニ因る同社の損失金は総計四百七拾万円、之を法定積立・別途積立金・前期繰越金を以て塡補し、尚不足弐百万円は資本金五百万円の内弐百万円を補塡せんとするものなるが、数名の来会者より平凡の質問ありて原案を可決し、次の株主総会ニ之を提出する事ニ決したり
○下略