デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

3章 商工業
8節 鉄鋼
5款 富士製鋼株式会社
■綱文

第53巻 p.58-61(DK530013k) ページ画像

大正8年1月(1919年)

是月十六日及ビ二十四日、栄一、当会社社長星野錫・取締役藤井光五郎ノ来訪ニ接ス。


■資料

渋沢栄一 日記 大正八年(DK530013k-0001)
第53巻 p.58 ページ画像

渋沢栄一 日記 大正八年         (渋沢子爵家所蔵)
一月四日 快晴 寒
○上略 正雄来リテ○渋沢事務所富士製鋼会社ノ事ヲ談ス○下略
   ○中略。
一月十六日 晴 厳寒
○上略 八時星野錫・藤井光五郎氏来リ、富士製鋼会社ノ業務ニ付テ種々ノ談話ヲ為ス○下略
   ○中略。
一月二十四日 曇 寒
午前七時起床入浴朝飧例ノ如シ○中略 星野・藤井二氏来リ、富士製鋼会社ノ事ヲ談ス○下略
   ○中略。
一月二十八日 晴 寒
○上略 朝食ヲ畢リ藤井光五郎氏ノ来訪ニ接シ、富士製鉄会社《(鋼)》ノ事ニ付訓戒ヲ与フ○下略


青淵先生関係会社調 雨夜譚会編 昭和二年十月十二日(DK530013k-0002)
第53巻 p.58 ページ画像

青淵先生関係会社調 雨夜譚会編 昭和二年十月十二日
                     (渋沢子爵家所蔵)
    富士製鋼株式会社
                    白石元治郎氏談
                     昭和二年十月十二日、日本鋼管事務所に於て
富士製鋼は星野錫さんが創立の依頼を受けて、渋沢子爵に相談に行かれたそうです。其時八十島親徳さんが私に意見を聞かれて「星野さんから今子爵に富士製鋼会社創立に就て相談をして来られたが、如何なものでせうか」と云はれました。聞いて見ると此会社の創立を思ひついた人は(例の海軍で問題を起した)藤井さんで、事業の種類が多種多様で種々な物を製造するといふ事でした。そこで私は「現在の様に戦時好況の際なればこそ製鉄業は良いが、将来も甘く行くかどうか考へものです。殊に其事業内容を聞いて見ると非常に手広くやると云ふ事だが、斯んな事は理想だけで実際行はれるものではないから、御止めになつた方が宜しい」と強く意見を申しました。
其後子爵と星野さんとの御話が何うなつたか私知りませんが、富士製鋼会社が成立して正雄○渋沢さんが役員となられました。


(富士製鋼株式会社)第二回報告書 自大正七年六月一日至大正七年十一月三十日 第一―九頁刊(DK530013k-0003)
第53巻 p.58-60 ページ画像

(富士製鋼株式会社)第二回報告書 自大正七年六月一日至大正七年十一月三十日
                       第一―九頁刊
 - 第53巻 p.59 -ページ画像 
  第二回報告書
大正七年六月一日ヨリ大正七年十一月三十日ニ至ル間ノ営業報告書・貸借対照表・財産目録及損益計算書ヲ調製シ報告スルコト左ノ如シ
    営業報告
      一 一般状況
一本期間ニ於テハ既ニ第一期ニ於テ着手シタル工場ノ建設及機械ノ整備ヲ完了シタルヲ以テ、直ニ予定計画ノ増設ニ着手シ、今ヤ其大半ハ竣成シタリ、唯殺到スル各方面ノ註文品ノ為メ昼夜兼行之ヲ製作スル一方、設計・建築・機械ノ据付等其繁忙極リナキコト誠ニ株主諸君ニ一顧ヲ乞フヘキナリ、然レトモ之等業務ノ施行ニ就テハ凡テ機ヲ誤マラズ、黽勉其最善ヲ悉シタルヲ信スルモノナリ
      一 商況
今期間ニ於テハ欧洲戦争休止トナリタルモ、幸ニシテ本社ハ既ニ契約済ニ係ハルモノノミナレハ、其製品価格ニ就テハ何等影響ヲ蒙ムル事ナク頗ル順調ニ経過セリ
尚今後ニ関シテハ、平和条約終結ノ後ニアラザレバ確言シ難キモ、既ニ今期ニ於テ相当ノ註文ヲ保有シアルヲ以テ、其経営宜シキニ適セバ相当ノ成績ヲ挙ゲ得ルモノト信ズ
○中略
    利益金分配案
一当期総収入金        四、四参七、八七七・五九五
一当期総支出金        参、五四〇、六九弐・九〇〇
  差引
一当期純益金           八九七、壱八四・六九五
一前期繰越金            壱壱、五五〇・参九五
 合計 九〇八、七参五・〇九〇
  内
 一法定積立金           五〇、〇〇〇・〇〇〇
 一特別積立金           五〇、〇〇〇・〇〇〇
 一固定資産償却金        壱五〇、〇〇〇・〇〇〇
 一社員職工退職病傷者保護基金   参〇、〇〇〇・〇〇〇
 一株主配当金
   普通 年壱割五分      弐弐五、〇〇〇・〇〇〇
   特別 年壱割五分      弐弐五、〇〇〇・〇〇〇
 一役員賞与金           六〇、〇〇〇・〇〇〇
 一後期繰越金          壱壱八、七参五・〇九〇
右ノ通リニ候也
  大正七年十一月三十日
               富士製鋼株式会社
                取締役社長     星野錫
                副社長兼常務取締役 藤井茂太
                取締役       田村新吉
                取締役       原真一
                取締役       山本唯三郎
 - 第53巻 p.60 -ページ画像 
                取締役       渡辺勝三郎
                取締役       藤井光五郎
右調査候処適法正確ト相認メ候也
                監査役       室田義文
                監査役       佐藤政五郎
                監査役       鈴木茂兵衛


(富士製鋼株式会社) 第二回報告書 自大正七年六月一日至大正七年十一月三十日 付・第二五頁刊(DK530013k-0004)
第53巻 p.60 ページ画像

(富士製鋼株式会社) 第二回報告書 自大正七年六月一日至大正七年十一月三十日
                       付・第二五頁刊
    株主一覧表
 株数   府県別  株主氏名
○中略
 二〇〇  東京  渋沢同族株式会社
○下略


(富士製鋼株式会社) 第二回報告書 自大正七年六月一日至大正七年十一月三十日 表紙裏刊(DK530013k-0005)
第53巻 p.60 ページ画像

(富士製鋼株式会社) 第二回報告書 自大正七年六月一日至大正七年十一月三十日
                         表紙裏刊
    富士製鋼株式会社定款
   第一章 総則
第一条 当会社ハ富士製鋼株式会社ト称ス
第二条 当会社営業ノ目的左ノ如シ
 一精良ナル鋳鋼及鍛鋼ノ製造販売
 一特種鋼鉄・鋳鉄・砲金類及諸機械・兵器製造販売
 一前二項ニ附帯シタル事業
第三条 当会社ノ資本総額ハ六百万円トス
第四条 当会社ハ本店ヲ東京市ニ、工場・支店・出張所ヲ便宜ノ地ニ設置ス
○下略


渋沢栄一 日記 大正九年(DK530013k-0006)
第53巻 p.60 ページ画像

渋沢栄一 日記 大正九年         (渋沢子爵家所蔵)
二月二十日 半晴 寒
○上略
夜ニ入リテ正雄東京ヨリ来リテ、富士製鋼会社ニ関スル談話アリ○下略
   ○栄一、大磯ニアリ。


(富士製鋼株式会社) 第九回決算報告書 自大正十年十二月一日至大正十一年五月三十一日 第一―一一頁刊(DK530013k-0007)
第53巻 p.60-61 ページ画像

(富士製鋼株式会社) 第九回決算報告書
             自大正十年十二月一日至大正十一年五月三十一日 第一―一一頁刊
  第九回決算報告書
○上略
    営業報告
      営業概況
本期ハ時勢ニ鑑ミ最モ質素堅実ナル経営方針ノ下ニ終始シタレトモ、事業界益々不況ニ陥リ殊ニ鉄鋼界ニ於テ甚シキモノアリタル為メ、遂ニ所期ノ効果ヲ収メ得サリシコトハ甚タ遺憾トスル所ナリ
 - 第53巻 p.61 -ページ画像 
乍併一面整理方面ニ於テハ第二回優先株式発行モ其後著シク進捗シ、不日之レカ完了ヲ告クヘキニ依リ、之レト同時ニ予定ノ如ク予メ準備セル平和的産業方面ノ製品産出ニ着手シ、来期ニ於テハ奮テ其業績ヲ挙ケンコトヲ期ス
○中略
    損益計算書
一金参拾万壱千壱百五拾九円四拾八銭也   当期総益金
一金参拾万五千七百五拾参円八拾七銭也   当期総損金
  差引
一金四千五百九拾四円参拾九銭也      当期損失金
  右ノ外
一金壱百七拾弐万九千六百五拾参円参銭也  前期繰越損失
 合計金壱百七拾参万四千弐百四拾七円四拾弐銭也
                     総損失金
    損失金処分案
右総損失金ヲ処分スルコト左ノ如シ
一金壱百七拾参万四千弐百四拾七円四拾弐銭也
                    後期繰越損失金
右ノ通リニ候也
  大正十一年六月
                 富士製鋼株式会社
                  取締役 浅野総一郎
                  取締役 吉川雄輔
                  取締役 新井源水
                  取締役 皆川芳造
                  取締役 久保田権四郎
                  取締役 児玉静治
右調査候処適法正確ト相認メ候也
                  監査役 松岡虎吾
                  監査役 長谷川源次郎
   ○浅野総一郎ハ大正九年十一月二十八日ノ当会社臨時株主総会ニ於テ取締役ニ選任セラル。
   ○右報告書中ノ「株主一覧表」ニヨレバ、渋沢同族株式会社ノ所有株数ハ普通株一〇〇株ナリ。


(増田明六) 日誌 大正一一年(DK530013k-0008)
第53巻 p.61 ページ画像

(増田明六) 日誌 大正一一年     (増田正純氏所蔵)
十月三十日 月 晴
○上略
富士製鋼株式五拾株(各株五拾円宛払込済)ヲ各株壱円宛で売却した同株ハ其創立ノ際より百株を引受け五千円の払込をしたのであるが、其後減資して五拾株弐千五百円と変更して今日に至つたのであるが、到底事業回復の見込が無いから、思い切つて幸ニ買手があつたのニ乗じて四千九百五拾円を損して売却した次第である
○下略