デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

3章 商工業
12節 電気
1款 広島水力電気株式会社
■綱文

第53巻 p.300-304(DK530052k) ページ画像

明治44年――大正14年(1911-1925年)

栄一、当会社相談役辞任後モ、当会社ノ指導ニ尽力ス。尚、当会社、他会社トノ合併ニ依リ、明治四十四年広島呉電力株式会社ト改称シ、更ニ大正十年広島電気株式会社トナル。


■資料

広島電気沿革史 川村丈夫編 第三七三―三七四頁 昭和九年一一月刊(DK530052k-0001)
第53巻 p.300 ページ画像

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渋沢栄一 日記 明治四五年(DK530052k-0002)
第53巻 p.300 ページ画像

渋沢栄一 日記 明治四五年         (渋沢子爵家所蔵)
三月二十三日 晴 寒
○上略 十二時第一銀行ニ於テ午飧シ○中略 二・三ノ来人ニ接ス、桐山可造氏来リ広島水電ノ事ヲ談ス ○下略


渋沢栄一書翰 松本清助・海塚新八宛 (大正四年)一月二八日(DK530052k-0003)
第53巻 p.300-301 ページ画像

渋沢栄一書翰 松本清助・海塚新八宛 (大正四年)一月二八日 (松本清助氏所蔵)
別申 其後多忙の為め来示に対する拝答も兎角代筆にて申上、欠敬にのみ相成候段御海容被下度候、偖会社の業務は爾来之御丹精にて追々都合よく相運、毎季相応の利益も有之、此度は増資之議案御提出被成候様立至り候は会社の為実に慶賀此事に御座候、小生は先頃重役は辞任せしも最初より熱心に関係致来候事柄に付、決し而等閑ニ相考不申時時御営業之模様も相伺居候次第に御座候、而して今般の株主総会手続は何分にも不適法の嫌有之候ニ付、別紙を以て再応御熟考を乞ふ次第ニ御座候、何卒貴地之法律家ニ御相談の上御処分有之度候、蓋し会社の事務殊に営利事業の合本組織に従事致候ニは、第一其会社を自己之財産同様ニ相考へ、勉而役人根性を棄て、一身之責任として経営すべきものと存候、苟も一会社と相成候上は相応の条理に拠らざれば共同の利益は保有難致ものに付、常に条理如何を考究すべき事に有之候畢竟商法之制裁は是等之趣旨に出候義と存候、就而仮令当日出席の株主ニ於て一時之便宜上同意致候とて、最初より議案として通知無之議件は或は適法に決定致兼候哉と懸念仕候間、右様面倒ニ申出候次第能
 - 第53巻 p.301 -ページ画像 
能御再思被下度候、決して小生は法律的ニ相考候ニは無之、可成常識を重し、簡易に事を処するを好み居候得共、只道理に欠点有之候様にてはと懸念不少候に付、終に再三申上候までに御座候、右は婆心陳上之為一書相添如此御座候 匆々拝具
  一月二十八日
                      渋沢栄一
    松本清助様
    海塚新八様
       各榻下
   ○別紙ヲ欠ク。


渋沢栄一書翰 松本清助・海塚新八宛 (大正四年)二月二日(DK530052k-0004)
第53巻 p.301-302 ページ画像

渋沢栄一書翰 松本清助・海塚新八宛 (大正四年)二月二日 (松本清助氏所蔵)
御書翰拝読仕候、然らば客月廿八日株主定時総会も無異議相済候由委細御通知被下承知仕候、昨季の処は御丹精に依り其前に比較致候へば進歩の姿には候へ共、尚損勘定と相成候は残念の事に御座候、既に株主に対し、数年無配当の儘打過ぎ候儀に付、此上御同様非常に苦配致し会社の事業拡張之一方に利益の増加を謀り、又一方には飽迄も経費の節減を為して、是非共本年中には損勘定を補塡致候様必至尽力の場合と存候間、両台にも一層御精鋭奉仰候
先般も御打合申上候如く、会社動力の供給は勉めて呉港に電灯相増候儀此上なく利益と存じ候ニ付、市中の分も別して点灯増加候様御心配被下度、且鎮守府の方も此程海軍総務長官斎藤実君面会の際切に依頼致候処、早々書状にて引合申上くべくとの申聞けに付、先頃も御引合の模様御申越には候へ共、今一段入念御願試被下度と存じ候に付、御返事に依りては当方にて再応斎藤君へ申上候都合も可有と存じ候、又曾て協議も有之候アセチリン瓦斯製造の工場新設の儀は、其後如何の模様に候や、発起者間の実況能々御聞合せの上御通知被下度候
幸に呉港に電灯充分相増し、其上前書アセチリン瓦斯工場にても出来候様に候はゞ、動力の供給は広島へ巨額の送附は如何やと存候、然る時は電灯会社との契約に関する将来の取扱に付ても其辺は注意を要し候事と存候、是には目下直ちに必要と申儀に無之候も、前以て御考慮の方と存じ申上候次第に御座候、昨年参上の際児玉支配人の儀に付御内話も申上、其後帰京後梅浦氏とも再三相談致候へ共、矢張貴方の御意見と同様に候間、不得已此際別紙辞職勧告書体の書状封入差上げ候ニ付、早々御受附被下速に辞職為申度御取扱被下度候、但いよいよ以て辞任の場合には永年勤務上支配人の事務取扱候人にも有之候ニ付、相応の恩給金下さる様御詮議被下度と存じ候、案は貴方にて御見込相立御申越下さる様御願申上候、前段拝答旁内々一書申上度如斯御座候
                         匆々不一
  二月二日
                      渋沢栄一
    松本清助様
    海塚新八様
  尚本文の義は梅浦氏連名は致さず候へ共、打合済の事に付此段御
 - 第53巻 p.302 -ページ画像 
承引被下度候也
   ○別紙ヲ欠ク。


渋沢栄一書翰 松本清助宛 (大正四年)四月一三日(DK530052k-0005)
第53巻 p.302 ページ画像

渋沢栄一書翰 松本清助宛 (大正四年)四月一三日 (松本清助氏所蔵)
爾来益々御清適御座可被成奉賀候、然者水力電気会社之儀に付ては引続き厚く御心配被下、御丹精によりて近来は少々利益も相生じ御同慶此事に御座候、何卒此気運に際し今一段の御高配を以て利益を増加し社債償却の途も相立、一方には幾分宛にても株主利益配当も出来候様致度希望の至に御座候
右に付ては第一に貴地電灯会社に供用する電力の代価は此際引直す必要有之候儀と存候に付き、別紙書状に当方の意見詳細に申上候間御熟覧被下度候、只小生特に懸念仕候は、貴台と海塚君と共に当会社に御尽力被下候も幾分関係上之差違有之候為早くより御意見を異にし、終に不一致なる事共相生じ候儀に御座候、小生等に於ては単に当水力電気会社の一方に着目致候間、自然電気会社を他人視致候様相成可申と存候得共、別状に述べし価格引上之見込は敢而得手勝手に我会社の都合にのみ拘泥せし考には無之候、併而貴地に於ての打合上少々の事はいづれに相成候とも、可成は前陳貴台及海塚君の間柄に隔意等不相生儀は尤御肝要に付、其辺之処呉々御注意被下度候
右之段内々御答まで一書申上候、可然御判読被下度候 匆々敬具
  四月十三日
                      渋沢栄一
    松本清助様
        拝答
   ○別紙ヲ欠ク。


渋沢栄一書翰 松本清助・海塚新八宛 (大正四年)五月六日(DK530052k-0006)
第53巻 p.302-303 ページ画像

渋沢栄一書翰 松本清助・海塚新八宛 (大正四年)五月六日 (松本清助氏所蔵)
爾来益御清適御座可被成抃賀之至に候、然者今日呉電鉄会社御経営被成候桐山可造君出京之由にて来訪せられ、貴会社と電鉄会社と合同之義ニ付是迄貴地に於て関係諸氏之間には種々御心配有之候次第も詳細ニ被申聞、且其可否に付小生と梅浦氏との意向御諮問有之候間、早々梅浦君とも会合之上篤と其利害得失を討論考究仕候処、桐山氏申聞の如く、貴会社之株券一個ニ呉電鉄之株一個七分五厘と相定め、双方とも此際同様に壱株と壱株の割にて増株引受候様相成候ハヾ、合併いたした方広島水力に取りては目前少々不利益ノ様見へ候得共、向後事業拡張上大ニ安全にも有之、随而未来之利益と存候事と一致仕候間、其段両人より桐山氏へ確答致候、就而同氏ハ直に帰県之上、其次第両会社関係之人々と協議いたし、速に実施之手配致義と申居候、右様梅浦君と共に充分に審議を尽し候も、是迄貴会社と電灯会社との合同ニ付ても色々と御心談いたし候も、終に不調に相成、今又呉電鉄と破談と相成候時ハ、貴会社経営之将来には容易ならざる杞憂を抱く事ニ付、切に両台ニ於て御奮発相成、早々御取纏被成候様いたし度と相考候、旁以て桐山氏之帰県前、右之趣旨小生も梅浦氏と各自詳細ニ呈書ノ事に打合せ、即ち此書差上候次第に御座候、呉々も眼前之小利に御拘泥
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無之、将来之大局に御注意相成、前書合同之件協定相成候様御尽力之程奉祈候、右可得貴意如此御座候 匆々拝具
  五月六日
                      渋沢栄一
    松本清助様
    海塚新八様
        各榻下


渋沢栄一書翰 松本清助宛 (大正四年)八月二二日(DK530052k-0007)
第53巻 p.303 ページ画像

渋沢栄一書翰 松本清助宛 (大正四年)八月二二日 (松本清助氏所蔵)
其後は多忙に取紛れ御疎情申上候得共貴台益御清穆御座可被成奉賀候然者此程梅浦君と連名の一書を以て申上候如く、当会社の事務も爾来の御高配にて漸く追々竣功致し、営業時季にも相移候様可相成、就而此度別而御尽力被下折角之御骨折を完成候様致度ものに御座候、支配人児玉氏の事に就ても種々御懸念の点有之候由御察申上候、乍去何方を御穿鑿被成候とも到底何もかも満足の人は無之筈に付御辛抱被下、且一方には貴台様常々会社事務に御精通の上万一にも児玉に我儘の行為有之候はゝ御矯正被下度く、総而業は精于勉と申処別而御心掛専一に御座候、電灯会社と合併の事に付、梅浦氏に心附有之、今日の処にては精々電力を呉に売却の方法相立候様に候はゞ、寧ろ合併は見合方を申出候、是は貴台に於て篤と御取調被下度ものに御座候、株金払込の都合も御同様に精々規則通に取計ひ、他人をも責立整理相謀申度と存候、他の御同僚へも御打合被下度く、案は過日梅浦君と共に申立候一書の外尚御参考の為得賢慮候方と存じ内々呈書仕候、何卒御聴容の上且御同僚皆様へも可然御伝声被下候様拝願仕候 匆々不一
  八月廿二日
                      渋沢栄一
    松本清助様


渋沢栄一書翰 松本清助宛 (大正四年)一〇月五日(DK530052k-0008)
第53巻 p.303-304 ページ画像

渋沢栄一書翰 松本清助宛 (大正四年)一〇月五日 (松本清助氏所蔵)
拝啓 其後は御疎音に打過候得共賢台益御清適御座被成奉賀候、然者近頃唐突の申上方に候も貴会社と広島電灯会社と合同の問題は、先般以来時々両者間に相生候も今以て協調之場合と相成不申候処、過日来貴方中国新聞社山本三朗氏より東京大倉組なる門野重九郎氏に再三書状又ハ面談有之、終に大倉老人も其事を聞知し是非協議相成候様世話いたし度、就而先以老生より賢台へ申上、貴会社ニ御同意を得申度存候事にて、即此一書差上候次第に御座候、尤も併合の条件に就ても資産状態等に付別に詳細申出無之候得共、重役之割合には差詰め賢台を合併後の社長に推し、高束と申仁其副と相成候はゞ権衡も宜を得る事と相考候云々被申聞候、尚本件に就而色々前書山本氏より賢台へは申上候趣も門野氏之来状に記載有之候、老生に於ては爾来実業界之事は全然関係せざるに付、合併に就而之適否如何明言仕兼候も、両者一致戮力と申事に相成方将来の便益は勿論の儀に付可成は御協定被成候様御勧誘申上候
右一書可得貴意匆々如此御座候 敬具
 - 第53巻 p.304 -ページ画像 
  十月五日
                      渋沢栄一
    松本清助様
        梧下
  追而本書御一読の上尚御相談被下候事共有之候はゞ、早々御上京奉待候、大倉老人も頻に此際之合同御勧告申上候旨申居候也


(増田明六) 日誌 大正一四年(DK530052k-0009)
第53巻 p.304 ページ画像

(増田明六) 日誌 大正一四年     (増田正純氏所蔵)
三月十三日 金 晴
○上略
広島電気会社常務取締役守屋義之氏来訪、同地松本清助氏の表彰ニ付き政府ニ交渉方渋沢子爵ニ依頼伝言の件談話あり、尚又同会社々債を外資ニ頼り度希望談ありしを以て目下来邦中の羅府    《(原本欠字)》氏ニ一応交渉を試むべきニ付、担保物件所要金額等を報告ある様と談置きたり


渋沢栄一書翰 松本清助宛 年月日未詳(DK530052k-0010)
第53巻 p.304 ページ画像

渋沢栄一書翰 松本清助宛 年月日未詳  (松本清助氏所蔵)
益御清適奉賀候、然らば先頃貴会社取締役増員の儀に付御内状も有之旁小生より一書を以て岡本氏へも其段申送候へ共、同氏に於ても強て主張候も又貴方の重役御両君間の打合に懸念候由にて其儘と相成候趣不得已次第に及聞候、其中又機会も可有之と存候間暫時御辛抱下され度候、当季の報告書拝見いたし候処、重畳之計算に相成大慶の至に候畢竟貴台・海塚君及岡本氏等の御丹精により候義と別而拝謝致し候、尚此上二・三季此姿に押行き候はゞ、社債も大に減少致し、営業上一段堅固に相成申すべく候と存候、折角御勉励願上候
右之段申上度如斯御座候 早々不一
                        渋沢栄一
    松本清助様
        座右