デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

3章 商工業
13節 土木・築港・土地会社
3款 田園都市株式会社
■綱文

第53巻 p.387-391(DK530064k) ページ画像

昭和2年10月3日(1927年)

是日、生命保険会社協会ニ於テ、当会社臨時株主総会開カレ、九月十五日締結セラレタル当会社ト目黒蒲田電鉄株式会社トノ合併契約承認ノ件可決セラレ、当会社ハ昭和三年四月三十日ヲ以テ解散ノコトトナル。


■資料

田園都市株式会社株主書類(DK530064k-0001)
第53巻 p.387-388 ページ画像

田園都市株式会社株主書類        (渋沢子爵家所蔵)
                 9月22日委任状発送済
(印刷物)
拝啓 益御清栄之段大慶之至リニ奉存上候
陳者当会社ノ事業モ各位ノ御後援ニ拠リ著シキ進展ヲ遂ケ、曩ニ御賛同ヲ得テ第一回ノ減資ヲ実行仕候処、爾後引続キ一層ノ業績ヲ挙ゲ、今ヤ殆ト事業完成ニ近キ状態ニ到達致候ニ就テハ、此際第二回ノ減資ヲ行ヒ、更ニ其残余財産ヲ以テ姉妹会社タル目黒蒲田電鉄株式会社ト合併ヲ断行スルコトヲ最時宜ニ適セル良策ト被存候ニ付テハ、来ル十月三日午前十時東京市麹町区有楽町一丁目一番地生命保険会社協会ニ於テ臨時株主総会ヲ開催シ、左記議題ニ付御決議相願度存候間、万障御差繰御出席被下度此段御通知申上候 拝具
 追テ本総会ハ商法ノ規定ニ依リ総株主ノ半数以上ニシテ資本ノ半額以上ニ当ル株主ノ御出席ヲ要シ申候間、万一当日御差支ノ場合ハ予メ同封ノ委任状ニ御記名御捺印(当会社ヘ御届出ノ御印鑑通リ)ノ上御送附被下度為念申添候
  昭和二年九月十七日   田園都市株式会社
                取締役社長 矢野恒太
    株主各位

    臨時株主総会ノ目的事項
第壱号議案 資本減少ノ件
  資本金参百万円ヲ金壱百五拾万円ニ減少スルコト
      減資方法
  一、昭和二年十二月一日現在ノ各株主ニ付株式二株ニ付一株ヲ提供セシメ、会社ハ右一株ニ対シ目黒蒲田電鉄株式会社株式一株(金五十円払込済)及東京横浜電鉄株式会社株式一株(金五十円払込済)合計二株ヲ交附シテ参万株ヲ減少スルコト
  二、消却セラルヘキ株式数参万株ニ対シ前項ニ依ル交付ヲ為ス為ニ別途積立金及繰越金ノ全部ヲ支出スルコト
第弐号議案
  別紙○後掲目黒蒲田電鉄株式会社トノ合併契約承認ノ件
第参号議案
 - 第53巻 p.388 -ページ画像 
  同合併契約書第三条ニ依リ残務委員若干名ヲ選任シ、同条第二項及第三項ノ規定ニ基キ必要ナル事項ヲ適宜処理セシムルコト
第四号議案 定款変更ノ件
  本会社定款中左ノ通リ変更スルコト
 第五条 当会社ノ資本ハ金百五拾万円ニシテ之ヲ参万株ニ分チ壱株ヲ金五拾円トス
  附則
 一、昭和二年十月四日ヨリ十二月一日迄ノ間ハ奇数ノ株式ノ名義書換ヲ停止ス
 二、昭和二年十二月一日ヨリ資本減少ノ登記ノ日ニ至ル迄ノ間ハ資本減少ノ為メ消却セラルヘキ株式ヲ当会社ニ提供セサル者ノ所有株式ノ名義書換ヲ停止ス
 三、昭和三年三月一日以後合併実行ノ日迄株式ノ名義書換ヲ停止ス
   参照
   (現行定款)第五条 当会社ノ資本金参百万円ニシテ之ヲ六万株ニ分チ壱株ヲ金五拾円トス
        以上


(田園都市株式会社)第拾八回業務報告書 自昭和弐年六月壱日至昭和弐年給壱月参拾日 第一―四頁刊(DK530064k-0002)
第53巻 p.388 ページ画像

(田園都市株式会社)第拾八回業務報告書
             自昭和弐年六月壱日至昭和弐年拾壱月参拾日 第一―四頁刊
    ○庶務要項
      一、株主総会
○中略
一、昭和弐年拾月参日午前拾時、東京市麹町区有楽町壱丁目壱番地生命保険会社協会ニ於テ臨時株主総会ヲ開キ、左記諸件ヲ決議ス
  一、資本減少ノ件
    資本金参百万円ヲ金壱百五拾万円ニ減少スルコト
      原案可決
  二、別紙○次掲目黒蒲田電鉄株式会社トノ合併契約承認ノ件
      原案可決
  三、同合併契約書第三条ニ依リ残務委員若干名ヲ選任シ、同条第二項及第三項ノ規定ニ基キ必要ナル事項ヲ適宜処理セシムルコト
    原案可決ノ上、議長ノ指名ニ依リ左記九名ヲ、残務委員ニ選任ス
      矢野恒太  緒明圭造   星野錫
      竹田政智  渋沢秀雄   篠原三千郎
      伊藤欣二  浜口録之助  市原求
○中略
      二、大株主会
一、昭和弐年九月拾五日午前拾時、東京市麹町区永楽町弐丁目壱番地日本工業倶楽部ニ於テ壱百八拾株以上ノ大株主会ヲ開キ、資本減少並ニ目黒蒲田電鉄会社ト合併ノ件ニ付キ協議ヲ為シタリ
○下略
 - 第53巻 p.389 -ページ画像 

田園都市株式会社株主書類(DK530064k-0003)
第53巻 p.389-391 ページ画像

田園都市株式会社株主書類        (渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
    合併契約書
目黒蒲田電鉄株式会社(以下甲ト称ス)ト田園都市株式会社(以下乙ト称ス)トノ合併ヲ為スニ付、両社ノ社長ハ重役会ノ決議ニ拠リ契約ヲ締結スルコト左ノ如シ
第一条 乙カ本契約第五条第三号ニ記載セル資本減少ヲ完了シタル後甲乙両社ヲ合併シ、甲ヲ存続シ乙ヲ解散スルモノトス
第二条 甲ハ合併ノ結果トシテ資本金弐百弐拾五万円ヲ増加シ、壱株ノ額面五拾円払込済ノ株式四万五千株ヲ発行シ、乙ノ額面五拾円払込済株式二株ニ対シ三株ヲ割当テ、合併期日ノ乙ノ株主ニ交附スルモノトス
    但割当交付ニ適セサル端株ハ甲ニ於テ之ヲ競売ニ附シ其代金ヲ端株数ニ応シテ該株主ニ交付スルモノトス
第三条 甲ハ乙ノ解散費用トシテ金四拾七万円ヲ乙ニ交付スルモノトス
    前項ノ金額ハ乙ノ選任スル残務委員ヲシテ左ノ如ク分配セシムルモノトス
      一、金拾五万円 役員慰労金
      二、金拾五万円 社員賞与金及退職手当金
      三、金七万円 功労者慰労金
      四、金拾万円 洗足及多摩川台住宅地改良ノ為ニスル寄附金
    前項各号ノ金額ノ分配方法及其範囲ハ残務委員ニ一任スルモノトス
第四条 合併ノ期日ハ昭和三年四月三十日トシ、乙ハ其期日現在ノ権利義務及一切ノ財産ヲ甲ニ引継クモノトス
    但已ムヲ得サル事故アルトキハ甲乙ノ取締役協議ノ上其期日ヲ変更スルコトヲ得
第五条 前条ノ引継ハ乙ノ提出セル別紙昭和二年八月三十一日現在ノ財産目録・貸借対照表ヲ基礎トシ、同日以後ノ増減ハ別ニ計算書ヲ以テ之ヲ明確ニスヘキモノトス
    但甲ハ乙カ合併期日迄ニ左ノ如キ配当並ニ減資ヲ為スニ付、予メ之レヲ承認シタルモノトス
    一、昭和二年下期ニ於テ乙ノ業績ハ利益金五拾万円ヲ超過スル見込ナルヲ以テ、其利益金ヲ以テ一株ニ付普通配当金弐円五拾銭、特別配当金五円合計七円五拾銭(即年三割)ノ配当ヲ行ヒ、右配当金ニ対シ乙ハ其株主ノ希望ニヨリ右金額ノ三分ノ一迄ハ東京横浜電鉄株式会社第二新株式(金五円払込済)ヲ払込金額ヲ以テ、其三分ノ二迄ハ目黒蒲田電鉄株式会社新株式(金拾円払込済)ヲ払込金額ヲ以テ売渡スコトヲ得ヘキコト
    二、乙ハ前号株主ニ対スル利益配当ト同時ニ乙ノ役員ニ対シ
 - 第53巻 p.390 -ページ画像 
従前ノ例ニ依ル賞与金ヲ分配スルコトヲ得ヘキコト
    三、乙ハ昭和二年十二月一日現在ノ各株主ニ対シ其株式二株ニ付一株ヲ提供セシメ、右一株ニ対シ乙ハ目黒蒲田電鉄株式会社株式一株(金五拾円払込済)及東京横浜電鉄株式会社株式一株(金五拾円払込済)合計二株ヲ交付シテ資本金壱百五拾万円株式参万株ヲ減少シ、資本ヲ金壱百五拾万円トシ其株数ヲ参万株ト為スコト
第六条 乙ハ前条ノ処置ヲ為スニ当リ、不足スル東京横浜電鉄株式会社株式ニ付テハ時価ヲ以テ買入レ、及合併期日迄ニ其所有株式ヲ時価ヲ以テ売却スルコトヲ得ルモノトス
第七条 乙ハ本契約締結後、所有物件ヲ処分シ訴訟ヲ提起シ和解ヲ為ス等其財産ニ重大ナル影響ヲ及ホスヘキ行為ヲ為スニハ、甲ノ承認ヲ得ルコトヲ要スルモノトス
    但乙ノ営業上日常ノ取引ニ付テハ此限リニ在ラス
第八条 甲ハ乙カ其事業地ニ於ケル所有地中従来公園トシテ一般公衆ニ開放セル左記土地ハ引続キ永久ニ公衆ニ開放スル義務アルモノトス
    一、東京府荏原郡調布村大字下沼部字汐見台九十番所在 宝来公園
    二、東京府荏原郡荏原町大字小山字池ノ谷四百九十二番ノ七同四百九十四番ノ八所在 弁天池公園
第九条 合併実行前天災不可抗力其他ノ事由ニ因リ甲又ハ乙ノ財産ニ予期セサル著シキ変動ヲ生シタルトキハ、甲又ハ乙ハ互ニ本契約ヲ無償ニテ解除スルコトヲ得、甲又ハ乙カ本契約ノ条項ニ違背シタルトキ亦同シ
第十条 乙ノ現在ノ使用人ハ甲ニ於テ詮考ノ上採用スルモノトス
    乙ノ社員退職手当積立金ハ第三条第二項第二号ノ金額ノ一部ニ充当スルモノトス
第十一条 第二条ニ依リ甲ノ発行シタル株式ニ対シテハ甲ハ従来ノ株主ト同シク昭和三年上期分ノ利益分配ヲ為スモノトス
第十二条 本契約ニ規定セル事項以外ニ於テ合併ニ関シ必要ナル事項アルトキハ、甲乙代表者ニ於テ之ヲ協定実行スルコトヲ得ヘキモノトス
第十三条 甲及乙ハ昭和二年十月三日同時ニ臨時株主総会ヲ開キ、本契約ニ基キ合併ノ決議ヲ為シタル上、本契約ノ条項ヲ履行スヘキモノトス
第十四条 甲乙双方ノ株主総会ニ於テ本契約ヲ承認シタルトキハ合併契約トシテ其効力ヲ有シ、甲乙ノ双方又ハ一方ノ株主総会ニ於テ本契約ヲ承認セサルトキ、乙カ第五条第三号ニ記載セル資本減少ヲ実行スルヲ得サルニ至リタルトキ、若クハ甲カ本契約ニ付主務官庁ノ認可ヲ得サルトキハ本契約ハ当然無効タルモノトス
右ノ条項ヲ契約シタル証トシテ本証書弐通ヲ作リ各壱通ヲ保有スルモノトス 以上
 - 第53巻 p.391 -ページ画像 
  昭和二年九月拾五日   目黒蒲田電鉄株式会社
                取締役社長 矢野恒太
              田園都市株式会社
                取締役社長 矢野恒太
右契約ヲ承認候也
  昭和二年九月拾五日   目黒蒲田電鉄株式会社
                監査役   伊藤欣二
                監査役   石川善太郎
                監査役   小林一三
              田園都市株式会社
                監査役   伊藤欣二
                監査役   浜口録之助
                監査役   市原求


渋沢栄一 日記 昭和三年(DK530064k-0004)
第53巻 p.391 ページ画像

渋沢栄一 日記 昭和三年        (渋沢子爵家所蔵)
一月六日 晴 寒
○上略 十時過畑弥右衛門氏及田園都市ノ有志者九名来リ、新年ヲ賀ス、直ニ接待シテ種々ノ意見ヲ交換シ、将来ヲ注意ス○下略


東京朝日新聞 昭和三年一月一二日 田園都市も二十七割 但、解散配当(DK530064k-0005)
第53巻 p.391 ページ画像

東京朝日新聞 昭和三年一月一二日
    田園都市も二十七割
      但、解散配当
大日本ビールが二十割の記念配当をするとかいつて世間の人にあわを吹かしてゐるが、田園都市会社も来る三月に二十七割ばかりの株主配当をする方針であると、矢野社長はあわでなくて頭から湯気を立ててゐる、しかしこれは記念配当でなくて解散配当である
      ◇
そもそも田園都市会社は大正八年の好況時代に、渋沢子が中心で資本金五百万円で創立され、一時は業績良好であつたが、その後打続く財界の不況に同社もひん死の状態に陥つたが、二・三年前から矢野一言子社長となり、小林宝塚子が加はつて営業方針を立直してからは、毎期一割配当を欠かさなかつた
      ◇
今度会社の目的もある程度まで達成したので、姉妹関係の目黒蒲田電鉄が買収する事となり、同時に矢野社長も辞する事となつた、目黒蒲田は更に将来横浜電鉄と合併し、あの方面における勢力を集注する意向であるが、これがうまく実現したら、安田系の京浜電車とも夫婦関係を結ぶといふ抱負を持つて、折々双方で秋波の送りつこをしてゐる