デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

5章 農・牧・林・水産業
1節 農・牧・林業
4款 東北拓殖株式会社
■綱文

第54巻 p.203-205(DK540046k) ページ画像

大正8年1月8日(1919年)

是日栄一、総理大臣原敬ヲ官邸ニ訪ヒ、東北振興ノタメ当会社設立ニ関シ協議ス。然ルニ、恰モ同一ノ趣旨目的ヲ有スル別個ノ会社設立ノ計画アリ、政府当局ノ意ニ従ヒ、両者合同ニヨル開墾会社設立ノコトトナル。


■資料

東北振興会調査報告 結論 甲部第十号 同会編 第二七頁大正五年一月刊(DK540046k-0001)
第54巻 p.203 ページ画像

東北振興会調査報告 結論 甲部第十号 同会編
                        第二七頁大正五年一月刊
    十二、拓殖機関の必要
 前来屡論せる如く、東北地方土地広く開拓すべき場所多しと雖も、人口稀薄にして労力乏しきの憾あり、依て内地殖民をなし、之をして開拓に従事せしむを急要なりとす、又東北地方は概して金利高くして資本を得るに難く、且つ生産せる物産も運輸交通不便にして市場と遠かり、之に加ふるに販売機関乏しきを以て利得薄く、殊に貨物産出の数量多ければ販路忽ち閉塞し、為に其の事業を挫折せしむるに至る、是れ東北地方の不振を来す有力なる原因なりと認む、又東北地方は常に勤倹の風に乏しく、一朝凶荒に際会すれば飢餓に迫る者頻出するの嫌あり、依て平素に於て相当の方法を以て備荒貯蓄をなすの助勢を与ふるの必要ありと信ず、故に以上の欠陥を補ひ東北地方の振興を図るには、東北拓殖会社の創設は最も適切なりと認む。
 今参考の為、拓殖機関設置の要綱を記載すれば左の如し
      東北拓殖会社設立要綱○次掲ニツキ略ス


東北振興史 浅野源吾編 上巻・第三〇一―三〇九頁昭和一三年八月刊(DK540046k-0002)
第54巻 p.203-204 ページ画像

東北振興史 浅野源吾編  上巻・第三〇一―三〇九頁昭和一三年八月刊
 ○第三章 東北振興の基礎調査
    東北振興に関する意見書
 左の案は東北振興会が事業の遂行に資するため、別項基礎調査の後を承けて発表したる意見書なり。
○中略
   其の三
  東北拓殖会社設立要項
一、設立ノ目的
 由来東北地方、土地広ク開拓スベキ場所多シト雖モ、人口稀薄ニシテ労力乏シキ憾アリ、依テ内地殖民ヲナシ、之ヲシテ開拓ニ従事セシムルヲ急要ナリトス。○中略依テ平素ニ於テ、相当ノ方法ヲ以テ備荒貯蓄ヲナスノ助勢ヲ与フルノ必要アリト信ズ、故ニ以上ノ欠陥ヲ補ヒ、東北地方ノ振興ヲ図ル目的ヲ以テ、東北拓殖会社ヲ創設セムトス
 - 第54巻 p.204 -ページ画像 
二、資本金
 総額ヲ一千万円トシ、第一回払込ヲ四分ノ一トシ、二百五十万円ヲ以テ業務ヲ経営スルコト
三、株式ノ募集
 一株ヲ五十円トシ、東北地方及汎ク一般ノ経済界ヨリ募集スルコト
四、営業ノ場所
○中略
五、営業ノ方法
 (一)農業 (二)拓殖資金ノ貸付 (三)肥料・種苗及農具ノ購入及貸付 (四)生産物ノ製造及販売 (五)移住民ノ募集及分配 (六)土地ノ売買及貸借 (七)土地ノ経営及管理 (八)建築物ノ築造売買及貸借 (九)救荒予備資金ノ積立代弁
  尚政府ノ認可ヲ受ケ附帯事業トシテ水産・山林其ノ他拓殖上必要ナル事業ヲ営ムコト
六、政府ノ補助及特権附与
 政府ハ払込金額ニ対シ配当率五分ニ充タザルトキハ之ガ補償ヲ為シ且ツ債券発行ヲ許可スルコト
七、政府ノ監督
 役員ノ選任、営業行為等一般ノ監督ハ他ノ特殊会社ノ例ニ拠ルコト
八、設立ノ手続
 政府ハ設立委員ヲ置キ、本社ノ設立マデ一切ノ事務ヲ処理セシムルコト
九、存立期間
 会社ノ存立期間ヲ設立認可ノ日ヨリ五十箇年間トスルコト


渋沢栄一 日記 大正八年(DK540046k-0003)
第54巻 p.204 ページ画像

渋沢栄一 日記  大正八年        (渋沢子爵家所蔵)
一月八日 快晴 寒
○上略 午飧後家ヲ出テ、一時半原首相ヲ官邸ニ訪ヘ、船舶及製鉄事業ニ付談話ス、且昨日西園寺侯トノ会見ヲ告ケ、東北振興ニ関スル拓殖会社設立ノ事其他ヲ談ス○下略
一月九日 曇 軽寒
○上略 午飧後事務所ニ抵リ○中略吉池慶正氏来リテ、東北振興会ニ付柘殖事業経営ノ事ヲ談ス○下略
  ○中略。
一月十七日 晴 寒
午前○中略吉池慶正氏・斎藤某氏等来リ、東北振興会ニ関スル拓殖創設ノ事ヲ協議ス○下略


東北振興史 浅野源吾編 上巻・第三七一―三七二頁昭和十三年八月刊(DK540046k-0004)
第54巻 p.204-205 ページ画像

東北振興史 浅野源吾編  上巻・第三七一―三七二頁昭和十三年八月刊
  第五章 東北振興意見
    東北の振興に就て
             内閣総理大臣 原敬氏談
  此一編は去る大正八年三月四日午後四時より三越呉服店(当時尚ほ三越を呉服店と呼ぶ)内に開催の、東北銘産品陳列会披露会の
 - 第54巻 p.205 -ページ画像 
席上に於て述べられた意見の要領である。
○中略
 亦最近、食糧問題解決の一策として、東北振興会が東北拓殖会社を組織して、東北地方に於ける未開の耕地を開拓せんことを企画せられてゐるが、東北の開発、或は我国に於ける食糧問題の解決の一策として、東北振興会の計画したる東北拓殖事業は、素より余等の意を得たるものなりと雖も、実は、一方、国産奨励会の諸氏に依り、帝国開墾会社の組織を計画せられつゝありし際なりしを以て、余等は政府当局者の立場より、東北振興会に対し、其趣旨の全然同一なる点より、帝国開墾会社の組織に力を注がれては如何と図りたるに、幸に東北振興会側に於ても、余等の意見を容れられ、帝国開墾会社の力を以て、年来東北振興会の主張し来りたる東北地方の開拓をも為さんとすることとなり○下略