デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

5章 農・牧・林・水産業
1節 農・牧・林業
5款 帝国開墾株式会社
■綱文

第54巻 p.206-208(DK540047k) ページ画像

大正8年2月6日(1919年)

是日栄一、総理大臣原敬ヲ宮邸ニ訪ヒ、政府ノ補助ニヨル当会社ノ設立ニ関シ協議シ、次イデ二十三日及ビ二十八日ノ両度ニ亘リ、同様協議ス。三月六日、総理大臣原敬、実業家六十余名ヲ官邸ニ招待シ、当会社ノ成立ニツキ尽力ヲ要望スル所アリ、同席上ニ於テ栄一、武井守正・益田孝等二十名ト共ニ、創立準備委員ニ挙ゲラレ、次イデ創立者総代ニ推サル。然ルニ議会ニ於テ、政府提出ノ開墾補給法案不成立トナリタルタメ、当会社ハ設立ニ至ラズシテ熄ム。


■資料

渋沢栄一 日記 大正八年(DK540047k-0001)
第54巻 p.206 ページ画像

渋沢栄一 日記  大正八年          (渋沢子爵家所蔵)
一月二十一日 晴 寒
○上略 正午事務所ニ抵リ東北振興会委員会ヲ開キ、開墾会社設立ノ事ヲ談ス○下略
  ○中略。
一月二十三日 晴 寒
○上略 正午○中略事務所ニ抵リ、武井男爵来リ開墾会社設立ノ企望ヲ述ヘラル○下略
  ○中略。
二月六日 晴 寒
○上略 午後二時永田町首相官邸ニ抵リ、原総理ニ面会シ、東北振興会ニ関シ開墾会社設立ノ事○中略ヲ述フ○下略
  ○中略。
二月二十三日 曇 寒
○上略 十一時原首相ヲ訪ヘ、開墾会社ノ事其他ノ要件ヲ談話ス○下略
  ○中略。
二月二十八日 晴 軽寒
○上略 五時永田町総理大臣官邸ニ抵リ、首相及大蔵・農商務大臣ト共ニ来会者数名ト開墾会社創立ノ事ヲ協議ス、夜飧後モ談論ヲ継続シ、夜十時帰宅
(欄外記事)
 開墾会社設立ニ付テハ東北振興会関係上武井・益田二氏ト共ニ来ル三月三日ヲ以テ小集シ、会社設立ノ順序ヲ議定スヘキ事ヲ約ス


竜門雑誌 第三七一号・第四九―五〇頁大正八年四月 ○帝国開墾会社不成立(DK540047k-0002)
第54巻 p.206-207 ページ画像

竜門雑誌  第三七一号・第四九―五〇頁大正八年四月
○帝国開墾会社不成立 一昨年来米価暴騰の為め、政府は之が応急策として外米の輸入を図り、米価に多少の下落を示せるも、永久に食糧
 - 第54巻 p.207 -ページ画像 
を充実せしめて以て国民生活の安定を図るの途は、未開墾地整理を以て其根本的良策と為すべく、而も我邦には尚ほ未だ約二百万町歩の未開墾地あり、国産奨励会・東北振興会に於ても夙に之に着目し、種々計画を立つる所あり。原首相亦三月六日夕、右に関し東京・京都・大阪・神戸・名古屋・横浜等の重なる実業家六十余名を永田町宮邸に招待して晩餐会を催したるが、是より先、原首相は前述の趣旨に基き、政府は今期議会に開墾助成法案を提出したるも、尚ほ未だ満足する能はず、切に諸君の尽力に依りて民間に一大開墾会社の設立あり度き旨希望せるより、武井守正男・益田孝男の賛成的挨拶あり、床次内相亦立つて、将来の耕地見込と其収穫高を述べて、開墾会社の成立を懇請したるに、満場一致、賛意を表し、更に山本農相より該会社払込資本に対する政府補助金(年八朱)の提案其他を陳述し、之れ亦満場の意見と一致し、結局、設立すべき会社名を帝国開墾株式会社と称し、又其資本金額は参千万円として以て開墾の実を上ぐる事とし、更に農相は武井・益田両男と協議の結果、該創立準備委員として青淵先生・武井・益田・大倉・古河・中島各男、馬越・村井・植村・大橋・藤山氏以下十名、都合弐拾一名を選定し、終つて晩餐会に入り、首相の挨拶大倉男の答辞等ありて散会したる由なるが、越えて同七日午後より同会社設立に関し、農相官邸に於て委員会を催し、会社の設立事務所を内幸町太平生命保険会社に置く事、及び会社創立者総代として青淵先生・武井男を選定し、又株式引受割当は各発起人壱千株つゝたる事、並に会社の営業其他の具体案は、政府の議会に提出中なる同会社の補給案通過を待つて協議決定する事として散会せる趣なるが、該法案は衆議院より貴族院に送附したるも、期日切迫の為めか貴族院を通過するに至らざりしより、同二十九日午後不忍池畔国産奨励会事務所に於て同社発起人会を開き、其善後策に就き協議を凝したる結果、右は創立計画を全然打切る事に決し、創立費の負担方を協議して散会し、折角の該会社設立も遂に不成立に了れり。因に当日の出席者は、青淵先生(代理増田氏)・武井・益田・大倉各男、藤山・松方・植村の諸氏及び三井・古河の代表者諸氏なりしと。


竜門雑誌 第三七一号・第五九頁大正八年四月 大正八年三月日誌(DK540047k-0003)
第54巻 p.207-208 ページ画像

竜門雑誌  第三七一号・第五九頁大正八年四月
    大正八年三月日誌
○上略
      六日
開墾会社設立懇談 原首相、東京・横浜等六大都市の重なる実業家六十余名を招待し、民間に一大開墾会社設立を懇談す。
○中略
      十五日
開墾案討議 上院に於ける開墾助成法案及下院に於ける開墾補給案の討議漸く盛なり。
○中略
      廿一日
開墾助成補給案 下院を通過す
 - 第54巻 p.208 -ページ画像 
○中略
      廿六日
開墾会社補給案 該案の予算案は貴族院に於て削除の結果自然消滅に帰す。
○下略