デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2021.9.1

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

6章 対外事業
1節 朝鮮
2款 稷山金鉱(稷山金鉱株式会社)
■綱文

第54巻 p.349-364(DK540075k) ページ画像

明治44年8月4日(1911年)

是ヨリ先、当金鉱ヲ母体トスル株式会社設立ノ議進ミ、是日、渋沢事務所ニ於テ、栄一、浅野総一郎、アンダーソン、ゲーリー、デシラ等ノ関係者会同ノ上、定款・鉱区譲渡証書及ビ其他必要書類ノ手続ヲ了シ、稷山鉱業株式会社ノ設立成ル。栄一、浅野総一郎ト共ニ顧問ニ推サル。
 - 第54巻 p.350 -ページ画像 
十七日、栄一、浅野総一郎ト共ニ、当会社重役等ヲ浅野総一郎邸ニ招待シ、晩餐会ヲ開ク。

稷山鉱業株式会社ハ後、稷山金鉱株式会社トナル。


■資料

渋沢栄一 日記 明治四四年(DK540075k-0001)
第54巻 p.350-351 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四四年         (渋沢子爵家所蔵)
一月十三日 曇 寒
○上略 午飧後、兜町事務所ニ抵リ、前原・葛原二氏ヲ会シテ稷山金鉱ノ事ヲ談ス、八十島氏来会ス○下略
  ○中略。
一月十七日 曇 寒
○上略
夜稷山金鉱ニ関シテ前原・葛原二氏ノ慰労ノ為、招宴ス、浅野総一郎氏・前川益以氏来会ス
  ○中略。
四月十七日 曇 軽暖
○上略
増田明六来リテ、朝鮮稷山金鉱ニ関スル書状ヲ数通記載シテ逓送方ヲ托ス、前原・前川・竹山・葛原ノ四氏ニ宛テタルモノナリ
  ○中略。
七月十日 晴 暑
○上略 午飧後、事務所ニ抵リ○中略 稷山金鉱ノ事ニ関シテ八十島・前原二氏ト談話ス○下略
  ○中略。
七月十四日 晴 暑
○上略
午後一時浅野氏来リ、稷山金鉱ノ事ヲ談ス、八十島・前原参加ス
  ○中略。
七月十七日 晴 暑
○上略 午後一時ヨリ米国人デシユラー、テーラー二氏来リ、稷山金鉱ノ事ニ関シ、将来ノ経営ヲ協議ス、浅野総一郎氏来会ス○下略
  ○中略。
七月二十日 曇 暑
午前七時起床、入浴シテ朝飧ヲ食ス、後○中略 浅野総一郎氏来リテ、稷山金鉱ノ事ヲ談ス○下略
  ○中略。
七月二十四日 晴 暑
○上略 十時兜町ニ抵リ○中略 白石元次郎氏来《(白石元治郎)》リ、稷山金鉱ノ事ヲ談ス○中略 一時半事務所ニ帰ル、前原厳太郎氏来話ス○下略
七月二十五日 曇 暑
○上略 午前十一時事務所ニ括リ前原厳太郎氏ト稷山金鉱ノ事ヲ談ス○下略
七月二十六日 晴 暑
○上略 午飧後兜町事務所ニ抵リ種々ノ来人ニ接ス、八十島・前原二氏ト稷山金鉱ニ関シテ米人ヨリ送付セル来書ニ付、種々ノ協議ヲ為ス○下略
  ○中略。
 - 第54巻 p.351 -ページ画像 
七月三十一日 曇 暑
○上略 午飧畢リテ後、二時事務所ニ抵リ、米国人アンダーソン、ゲーリー、デシユラー氏等ノ来訪ニ接シ、高根・八十島・前原諸氏ト共ニ、稷山金鉱ニ付新会社設立ノ順序ヲ協議ス○下略
  ○中略。
八月四日 雨 暑
○上略 三時稷山金鉱ノ事ニ関シ、アンダーソン氏、ゲーリー氏其他諸氏来会シテ、高根氏、ヒーズ氏ノ弁護士モ来会シテ、会社設立ニ付テノ書類ヲ調査シ、且会議シテ要件ヲ決定ス○下略
  ○中略。
八月十七日 晴 暑
○上略 六時浅野総一郎氏宅ニ抵リ、稷山金鉱ニ関スル米国人十数名ヲ招宴ス、アンダーソン氏・ゲーリー氏悉ク来会ス、種々ノ余興アリ、宴散シテ後、稷山金鉱将来ノ経営ニ付、アンダーソン氏及ゲーリー氏・タウンセント氏等ト種々ノ意見ヲ交換ス、又浅野・八十島・前原・白石等ト向後ノ施設ニ付協議スル処アリ、夜十二時半王子ニ帰宿ス○下略


(八十島親徳)日録 明治四四年(DK540075k-0002)
第54巻 p.351-354 ページ画像

(八十島親徳)日録  明治四四年    (八十島親義氏所蔵)
一月十三日 曇 寒
風気尚昨ノ如シト雖トモ、稷山今後ノ方針打合ノ為召喚シタル前原厳太郎・葛原益吉ノ二氏昨午後来京、今日ハ事務処ニテ打合ノ要件多キニ付○中略 出勤ノ上種々談合、午後男爵モ来会セラル、夕七時帰宅○下略
  ○中略。
一月十六日 晴 烈風
○上略 兜町ヘ出勤、男爵又下痢出勤無シ、稷山事務整理等多忙、六時帰宅○下略
一月十七日 晴
朝出勤、本日午後五時ヨリ浅の総一郎氏ヲ招キ、前原・葛原及予等同席ノ上稷山向後ノ方針ニツキ決議ヲセラル、即砂金部ハ来七月末アンダーソン氏ガヲプシヨンヲ利用スヘク決スルヤ否ヤノ定マル迄ハ縮少シ、一時直営中止、又鑑札掘モ将来ドレツヂ使用不可能ト認メラルヽ地ノミニ留ムル事、又良垈石金部ニ此際スタンプ十台増設ノ事、又上納金解釈ノ事、砂金部解雇者手当ノ事、其他決定アリ、終テ前原・葛原二氏ニ対スル慰労晩餐会ニ移リ、高根・前川・佐藤氏等ヲモ招キ、若主人モ来会○下略
  ○中略。
五月十日 晴
○上略 午前十時兜町ニ於テ男爵ハ、稷山金鉱ノ件ニツキ米国ヨリ到着ノジヤツク・デシラト会見、予亦参与ス○下略
  ○中略。
五月十二日 晴
○上略 午後四時、兜町ニテデシラ等ト第二回ノ会見、新会社設立条件ニ関シ、アンダーソン氏トノ契約条項ヲ少シニテモ変更シテハ不同意ノ旨強硬ニ返答セラル○下略
 - 第54巻 p.352 -ページ画像 
  ○中略。
七月五日 晴
朝兜町ヘ、稷山ノ件ニツキ、アンダーソン代理トシテデシラ氏ヨリ、愈撰択権ヲ採用シ新会社ヲ建テタル旨確定ノ来書アリ、愈之ヨリ本件種々要務ヲ生ス○下略
  ○中略。
七月十日 晴 八十八度
朝兜町ヘ出勤、午後前原厳太郎氏稷山ヨリ上京ス、稷山ノ件ニ付テハアンダーソン氏代理デシラヨリ新会社書類ヲ提出シ来リ、夫等ノ調査及内議等ニ頗ル多忙ヲ極ム、七時半帰宅
○下略
  ○中略。
七月十四日 曇夕雷雨
○上略昼兜町ニ出ツ、後一時兜町ニ於テ男爵ハ浅野氏ト会見シテ、デシラ申出稷山新会社ノ件ニツキ協議セラル○下略
  ○中略。
七月十七日 晴
朝大磯ヨリ帰京、直ニ兜町ヘ出ツ、後二時デシラ氏兜町ニ来リ男爵ニ面接シ、稷山新会社ノ件、大体ノ相談ヲ為ス、先方株式引受者ノ内容等ハ未確定ノ様子ナレトモ、アンダーソン氏近々着ノ上確定スベク、新株主中ヨリノ重役ハ凡ソゲーリー、バグナル、グリムシー、トレサイズ、タウンセンドノ五人ノ見込、又組合ノ方四人ノ内二人ハ米人側ノデシラー及テーラートシ、当方側二人ノ内一名ハ前原トシ、他ノ一名ハ八十島・白石両名ノ内トスル事ニ略談合ス、又米国ニテ設立ノ会社ナレトモ、本店ヲ横浜ニ置カントノ希望ヲ充タス為、定款其他ハ日本法律ニ適合セシメサルベカラス、夫等ノ事ハ高根博士トヒース弁護士ト会合整理セシムル事ニ申合ヲナス、今日ハ浅の氏モ来会、テーラーモ来リ、前原・八十島同席、佐藤毅不相変通訳ヲナス○下略
  ○中略。
七月廿四日 晴
○上略
今日男爵ヨリ稷山新会社ノ取締役トシテ予ヲ指名アリ○下略
  ○中略。
七月三十一日 半晴
朝出勤、午後二時ヨリ稷山ノ件ニツキアンダーソン、デシラ、ゲーリー、ヒース等来ル、当方ハ男爵ノ外前原及予、外ニ佐藤氏依例通訳、又高根博士モ列席、過日来高根氏ノ手元ニテ調査中ナリシ定款修正案漸ク本日出来、彼等ニ交付ス、彼等不同意無シ、但米国法律ニ依リテ組織シタル会社ノ本店ヲ横浜ニ設立ノ積ナリシモ、設立登録税ニ一万円ヲ要スルハ不経済ニ付、寧米国ニ置カンカトノ先方ノ気付相談アリ当方ハ寧ロ朝鮮ニ置ク方可ナラズヤトノ概見ヲ申陳ヘ、ツマリ一両日取調ノ上返事スル事ニシタリ○下略
  ○中略。
八月二日 晴
 - 第54巻 p.353 -ページ画像 
朝兜町ヘ、午後高根氏来訪、前原氏横浜ニ赴ク、男爵ノ意見トシテハ本店米国ヨリハ朝鮮トスル方、種々ノ方面ヨリ見テ便益ナリトスルノ説ヲ主張スル事ニ決シ、前原氏ヲシテゲーリー等ニ伝ヘシム
○下略
  ○中略。
八月四日 雨
○上略
本日午後三時ヨリ稷山ノ件ニ関シ、関係者兜町ニ会シ、新会社組織及鉱区譲渡其他必要ノ書類・契約書・定款等ニ署名捺印ヲ了ス、来会者ハアンダーソン、ゲーリー、デシラ、テーラー、浅野総一郎、白石元治郎、前原厳太郎、高根義人、ヒース、佐藤毅及予也、男爵ガ中心タルハ勿論ノ事也、定款、鉱区譲渡証二様、二十万弗仕払ノ証書、其他数通ノ要書悉皆結了、又形式上株主会ニ於テ重役ノ選挙ヲモナセシ事トス、当選者ハゲーリー、グリムシー、ツレサイズ、バグナル、タウンセンド、八十島、前原、テーラー、デシラノ九名ヲ取締役トシ、白石、グレーノ二氏ヲ監査役トシ、取締役ノ内ゲーリーヲ社長、バグナルヲ副社長ト定メ、又主要職員ノ任命ハテーラーヲ総支配人、デシラヲ文書総長兼財務総長ト定メ、又取締役ノ内タウンセント、テーラー前原ノ三名ヲ在鮮実行委員ト定ム、外ニ取締役中ゲーリーヲ日本ニ於ケル代表者トシ、タウンセントヲ朝鮮ニ於ケル代表者トス、外ニ渋沢浅野両氏ニ顧問ヲ嘱託ス、六時終了
○下略
  ○中略。
八月六日 晴 日曜
男爵ハ今朝出発、伊香保ヘ避暑セラル○中略
稷山ノ件ニ付テハアンダーソン帰米前、即来ル十七日男爵及浅野氏主人トナリ、重役其他関係者一同ヲ招待セラルヽニ付、其前、前原、テーラー、アンダーソン等ハ大急ニテ稷山ヘ往復スルコトトナリ、汽車不通ノ為汽船ニ依ル事トシ、前原氏ハ横浜マデ今朝汽車ニテ赴クニ付予ハ同車シテ諸事打合ヲ為ス○下略
  ○中略。
八月十六日 大南風 時々少雨 夕凪グ
○上略 朝兜町、午後一時四十五分発車ニテ前原氏(今朝、朝鮮ヨリ帰京)ト共ニ横浜廿三番チクサン・マイニング・コムパニー第一回重役会ニ臨席ス、白石氏モ同車ス、各員皆集会、ゲーリーノ議長ニテ議事ヲドシドシ進メ、前原ヨリ官庁手続準備報告、次ギテ取引銀行ノ事、テシラ給料三百円、外ニ百円トスル事、執務方法、朝鮮ノ実務監督ノ為、タウンセント氏ニハ可成多クノ時間ヲ割愛ヲ求ムル事、砂金調査ノ為適任者ヲアンダーソン氏ノ目金《(眼鏡)》ニ依リ聘スル事、砂金取立係責任者トシテフヮーナムヲ雇入ルヽ事、其他ヲ議ス、予ハ葛原以下現任者継続任用ノ提議ヲナス、素ヨリ異議ナカリキ、尚山ノ現業方針ハ明後日ノ会議ニテ相談スル事ニ定ム、六時散会
○下略
八月十七日 快晴
 - 第54巻 p.354 -ページ画像 
男爵、昨夜伊香保ヨリ帰京アリ、朝出勤、午後四時一寸帰宅、和服ニ改メテ五時田町浅野邸ニ至ル、徳子モ本日一寸帰京シ、夕浅の邸ニ至ル、本夕ハ稷山新会社成立ニツキ男爵及浅野氏ヨリ関係者一同ヲ招待セラレシ也、米人アンダーソン・同夫人・同母、重役一同及妻、ヒース、日本人ニテハ高根・佐藤・白石・予・鶴田・前川等合併三十人ニ近シ、六時来客集リ、小憩ノ后、階上ニテ洋食中、新橋芸妓ノ琴曲、次ニ手踊、食後階下ニテ柴田環女史ノ独唱、丸一連中ノ太神楽等種々ノ催アリ、外人連中大ニ満足ノ体ニテ十時半散会ス、本日男爵ハ別席ニテアンダーソント山ノ前途方針ニツキ交話セラレ、終テ又ゲーリー及タウンセントト談話セラル(要点ハテーラー等従前ノ実蹟ニハ極メテ満足ト言ヒ難シ、故ニ現状ノ継続トシテ姑息的ニ大金ヲ投スルハ考ヘモノ也、寧ロ砂金ノ方ニ重キヲ置キ、此際十分ノ調査ヲ経タル上ニテ、正式ノドレッヂヲ入レテ大仕掛ニ砂金ノ採取ヲナシタキモノナリトノ趣意ニシテ、一同賛成セリト、只テーラー丈ハ不得意不満足ナラン)徳子ト共ニ十二時帰宅
八月十八日 晴夜雨
朝兜町、十二時半発横浜行、チクサン礦業会社ノ第二回重役会ニ臨ム前原・白石二氏亦同断、テーラー提議ニ係ル現在事業ノ拡張案(大拡張ニアラズ、現状維持的ノ)ニツキ協議、結局必要不可欠モノヲ採リ不急ノモノハ廃シ、三万金円ノ資金ヲ投スル事ニ決ス、本日陪席ノアンダーソン氏ヨリ、石金部ニ付テモ高給ノ立派ナル技師ヲ入レ、計画ヲ立テシムルノ必要論ヲ唱フ、テーラーハ自己ノ立場ヨリ同意セズ、結局ゲーリー氏ハ今数月現状ニテ試ミ、且自分等モ追々智識《(知)》ヲ得タル上ニテ、山ノ為真実必要ト思惟スル改良ヲ講シ遅カラズ、今ハ暫ク現状維持ニ留メント主張シ、先ツ其事ニ定マレリ、今日白石氏午前中ニゲーリー、バグナルヲ別々ニ訪問シ、種々話セシニ、両人共テーラーヲ絶対ニ信スル訳ニハアラザル事明白トナリタリトイウ、夕六時半帰宅○下略


(八十島親徳)日録 明治四五年(DK540075k-0003)
第54巻 p.354-355 ページ画像

(八十島親徳)日録  明治四五年    (八十島親義氏所蔵)
一月十六日 晴
○上略
午後、稷山会社登記未済ノ件ニツキゲーリー氏来談○下略
  ○中略。
一月廿三日 晴又ハ曇
朝、東洋汽船ニ佐藤毅氏ヲ訪ヒ、次ニ高根博士ヲ訪ヒ、稷山鉱業会社本店設置願ニ対シ、朝鮮総督府ニ於テ資本金弗表示ヲ許可セザル件ニ関シ反対意見書ヲ求ム○下略
  ○中略。
一月二十九日 曇、晴
早起、チクサン・マイニング・コムパニー重役会ノ為メ九時半横浜同社ニ至ル、前原氏モ今朝上京、決算ノ方法ニ諸種ノ議論生シ、一旦ホテル・ド・パリニテ午食、二時ヨリ再会、終ニ予ノ説、損益計算ヲ本支店総体分ト稷山ノミノ分(之ニヨリ納税)トニ分ツノ主義ニ決定、
 - 第54巻 p.355 -ページ画像 
五時帰宅ス、依テ兜町ヘハ出デズ
○下略
一月卅日 晴 寒風 孝明天皇祭
朝、前原厳太郎氏来訪、二階ニテ談話、共ニ十一時半品川発ノ列車ニテ横浜ニ至リ、駅階上ニテ昼食ノ上、午後一時稷山鉱業会社ニ至ル、先ツ重役会ニテ計算ヲ承認シ、次ニ総会ニ移リ、下半季即会社第一期ノ利益五万八千円――但充分ナル減価償却等ヲナストキハ二万七・八千円トナル――ハ聊モ配当ヲナサズ、起業費償却ト、積立金ト、旧組合ヘ四十万ノ内入(二万六千余円)トニ供スル事ニ決定、吾人重役一同――即平重役ハ一厘ノ俸給モ賞与モ勿論取ラザルナリ、此ノ如クニシテ総会決了、三時十分発帰京○下略


渋沢栄一 日記 明治四五年(DK540075k-0004)
第54巻 p.355 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四五年        (渋沢子爵家所蔵)
四月十二日 晴 軽寒
○上略午前十時半、事務所ニ抵リ、米国人ヘンリー、デシラー二氏ノ来訪ニ接シテ、稷山金鉱ノ近況ヲ談話ス、蓋シヘンリー氏ハ数日前、米国ヨリ来着シ、デシラー氏ハ近日出立帰国スルニ付、告別トシテ来レルナリ○下略


朝鮮之金鉱 町田長作編 第二二九―二三〇頁大正四年一二月刊(DK540075k-0005)
第54巻 p.355 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。

渋沢栄一 日記 大正二年(DK540075k-0006)
第54巻 p.355 ページ画像

渋沢栄一 日記  大正二年         (渋沢子爵家所蔵)
一月二十二日 雨 寒
○上略 午飧後事務所ニ抵リ○中略 朝鮮梁在衡氏ヨリ請願ノ稷山金鉱稼業ノ事ハ、八十島ヲシテ同会社重役会ニ協議セシムル事トス○下略
  ○中略。
一月二十九日 雨 寒
○上略 午前十時事務所ニ抵リ、米人ゲリー氏ノ来訪ニ接シ、稷山金鉱ノ営業景況ヲ聞キ、其計算ノ詳細ヲ説明セラル、八十島親徳来会ス○下略


渋沢栄一 日記 大正四年(DK540075k-0007)
第54巻 p.355 ページ画像

渋沢栄一 日記  大正四年        (渋沢子爵家所蔵)
一月卅日 雨
午前七時起床、半身浴ヲナシテ、朝飧ス、後○中略 前原厳太郎氏来リ、稷山金鉱ノ事ヲ談ス○下略


稷山金鉱株式会社定款 第一―一九頁(大正六年)刊(DK540075k-0008)
第54巻 p.355-364 ページ画像

稷山金鉱株式会社定款  第一―一九頁(大正六年)刊
 - 第54巻 p.356 -ページ画像 
    稷山金鉱株式会社定款
      第一章 総則
第一条 当会社ノ名称ヲ稷山金鉱株式会社トス
第二条 当会社ハ本店ヲ朝鮮忠清南道天安郡笠場面良垈里ニ、支店ヲ横浜市ニ設置ス、尚ホ当会社ノ主ナル作業場ハ之ヲ朝鮮ニ置ク
第三条 当会社ノ資本金総額ハ金弐百万円トシ、壱株ノ金額五拾円宛ノ四万株ニ分ツ
第四条 当会社ノ存立時期ハ設立ノ日ヨリ満五拾箇年トス
第五条 当会社設立ノ目的左ノ如シ
 一、朝鮮忠清南道稷山地方及ヒ其附近ニ於テ各種各質ノ礦石・金属及ヒ鉱物ヲ採掘シ及ヒ之ニ関スル副業ヲ営ムコト
 二、会社ハ又以上ノ目的ヲ達スルニ必要又ハ有益ナリト認ムル次ノ行為ヲ為スコトヲ得
  土地・鉱物・鉱区及ヒ採掘権若クハ鉱物権及ヒ各種各質ノ権利及ヒ其請求権ヲ買入収得シ保有シ借入レ、若クハ他ノ方法ニテ取得スルコト及ヒ以上ノモノヲ発展シ作業シ及ヒ運用スルコト、正当ト認ムル条件及ヒ報酬ニヨリ鉱区及ヒ鉱物地、各種各質ノ権利及ヒ請求権ノアルモノヲ試掘シ作業シ及発展スルコト、業務ヲ経営スル上ニ於テ各種各質ノ権利請求権ノアルモノヲ発展シ試掘シ、位置ヲ定メ運用シ所得シ売却シ及ヒ借入ルヽ上ニ於テ斯ノ如キ鉱区及ヒ鉱物地ヲ作業シ、鉱石鉱物ヲ産出スル上ニ於テ及ヒ其鉱石鉱物ヲ商業上最モ有利ナル価値ヲ得セシムルタメ適当又ハ必要ナル一切ノ行為ヲ為スコト、及ヒ必要ナル一切ノ精煉所鎔解所・機械・道路・鉄道・隧道・構・樋並ニ前記目的ヲ達スル為メ適当且必要ト認ムル財産トニ付キ契約シ、建築シ、買入レ、売却シ所有シ及ヒ運用スルコト
 三、朝鮮忠清南道天安郡笠場面良垈里稷山鉱業株式会社ノ営業及ヒ其設備及ヒ同会社ノ有スル鉱業権、其他諸権利並ニ契約上ノ権利義務一切ヲ買収スルコト
第六条 各株主ノ責任ハ自己ノ所有スル株式ニ対シ引受ケタル金額ヲ以テ限度トス
第七条 法令定款又ハ他ノ規定ニ依リ当会社ノ為スヘキ公告ハ、本店所在地ヲ管轄スル登記所ノ公告スル新聞紙ニ掲載シテ之ヲ為ス
      第二章 株式
第八条 当会社ノ株券ハ壱株券・五株券・拾株券及ヒ五拾株券ノ四種トス、記名式ニアラサレハ発行セス、株券面ニハ必ス左ノ事項ヲ記載スヘシ
  イ、株数
  ロ、株主氏名
  ハ、当会社ノ商号
  ニ、本店所在地ニ於テ登録ヲ為シタル年月日
  ホ、資本金ノ総額
  ヘ、壱株ノ金額
  ト、社長及書記役ノ署名
 - 第54巻 p.357 -ページ画像 
  チ、株券ノ登録番号
  リ、発行ノ日附
第九条 会社ハ株式及ヒ其移転ヲ登録スル為メニ株主名簿ヲ備ヘ之ニ少クモ左ノ事項ヲ記入スヘシ
  イ、株主ノ氏名住所
  ロ、各株主ノ株式ノ数及ヒ株券ノ番号
  ハ、各株ニ付払込ミタル株金額及ヒ払込ノ年月日
  ニ、各株式ノ取得ノ年月日
第十条 株主又ハ共同所有ヲ代表スル株主会社、組合若クハ他ノ団体ハ其住所ニ変更ヲ生シタルトキハ其都度株主名簿ニ登録ノ為メ当会社ヘ通知スヘシ
第十一条 株主ノ死去・破産・家資分産若クハ株式移転ニ普通ナラサル適法ノ方法ニ依リ株式ヲ所有スル権利ヲ取得シタル人ハ、取締役会ニ於テ指定シタル形式ニ依リ、書替請求書ニ署名ヲ為シ且其権利ヲ生セシ事由書ヲ添ヘ、保証人弐名ノ証明ヲ附シ並ニ取締役会ニ於テ充分ナリト認ムル他ノ証明ト共ニ提出シ、以テ自己ヲ株主トシ若クハ自己カ指名シ取締役カ承認スル人ヲ株主トシテ登録セシムルコトヲ得ヘシ
第十二条 株式移転ノ場合ニハ右移転ノ事実ヲ社長及ヒ書記役カ株券ニ裏書シ且株主名簿ニ登録スヘシ、而シテ此ノ如ク裏書シタル株券ハ之ヲ譲受人ニ交付スヘシ、或ハ其希望ニヨリ其株券ヲ差出サシメ之ヲ無効ニナシ、之ニ対シ新規ノ株券ヲ交付スルコトヲ得
第十三条 若シ株券カ消磨シ、損傷シ、若クハ紛失セシトキハ其損傷若クハ紛失ノ充分ナル証明ヲ得タル上取締役会ノ満足スル保証ヲ受ケテ新規ノ株券ヲ交付スヘシ
第十四条 新規ノ株券ヲ発行スル場合若クハ会社ノ役員カ株券ヲ裏書スル場合ニ於テモ手数料ハ之ヲ徴セス
第十五条 株式ノ名義書替ハ株主総会前参拾日ヲ超ヱサル期間之ヲ停止スルコトヲ得
第十六条 株主ハ会社ニ其住所及ヒ法律上ニ使用スル印章ヲ有スルトキハ其印鑑ヲ届出ツヘシ、姓名住所・印章ニ変更ヲ生シタルトキ亦同シ
 日本以外ニ居住スル株主ハ日本帝国内ニ特別ノ住所ヲ定メ、若クハ日本帝国内ニ住所ヲ有スル代理人ヲ定メ之ヲ会社ヘ届出ツヘシ、其住所若クハ代理人変更ヲ生シタルトキ亦同シ
第十七条 株主ニ於テ若シ其住所ニ関スル届出ヲ怠ルトキハ、会社ハ株主ヘ送ルヘキ必要ナル通知ニ対シ責任ヲ負ハサルヘシ
 若シ住所姓名ノ変更ニ関スル届出ナキタメ、会社ヨリノ通知配当金領収証若クハ其他ノ書類ノ株主ニ達セサルカ、又ハ遅延スルコトアルモ適当ナル時日ニ於テ達シタルモノト看做シ、会社ハ其紛失若クハ其紛失ヨリ生スル損失ニ対シテ責任ヲ負ハサルモノトス
第十八条 株式ノ取得若クハ譲渡ハ之ヲ会社ノ株主名簿ニ登録シ且株券ニ記載スルニアラサレハ、会社ニ対シ其効無キモノトス
 株券ハ総テ株券台帳ニ依リ順番ヲ追フテ発行シ、其発行ノ順番数ヲ
 - 第54巻 p.358 -ページ画像 
附シ且株券台帳中残半片ニモ同一ノ番号ヲ記入シ置クヘシ、譲受人カ新株券ヲ得ントスル場合ニハ株券ヲ会社ヘ差出シ、会社ハ譲渡ヲ其帳簿ニ正当ニ記入シ、而シテ株券ノ印章署名ヲ切抜キ且譲渡ヲ登録スル役員ノ署名アル取消ヲ券面ニ打印シテ、以テ其株券ヲ取消スニアラサレハ之ニ対シ新株券ヲ譲受人ニ交付セス
 取消シタル株券ヲ悉ク株券台帳ノ元来ノ位置ニ張リ付ケ置クヘシ、然レトモ上文ニ規定スル紛失若クハ破損ノ株券ニ対シ発行スル場合ハ此限ニアラス
      第三章 株主総会
第十九条 株主総会ヲ分チテ定時総会及ヒ臨時総会ノ二種トス、此等ノ集会ハ日本帝国東京市ニ於テ之ヲ開ク
第二十条 定時総会ハ遅クトモ二月及ヒ八月ニ開キ、会社ノ諸計算及ヒ前半年間ノ営業報告ヲ提出シ、又利益配当額ヲモ決定スヘシ
第二十一条 臨時総会ハ取締役若クハ株主ニ於テ必要ト認ムルトキニ之ヲ開ク、若シ会社ノ総株ノ十分ノ一以上ヲ所有スル株主カ、開会ノ目的及其理由トヲ具シ臨時株主総会ノ開会ヲ請求スルトキハ、取締役ハ二週間内ニ招集ノ手続ヲ為スヘシ
第二十二条 総会ヲ召集スルニハ少クトモ十四日前ニ其通知ヲ為スヘシ、而シテ此通知ニハ総会召集ノ理由及決議スヘキ事項ヲ概記スルノ外ニ集会ノ場所及ヒ月日時刻ヲ明記スヘシ
第二十三条 総会ハ本人及ヒ代理人ヲ合セ、総株ノ半数以上ニ当ル株主出席スルニ非サレハ之ヲ開クコトヲ得ス
第二十四条 総会ニ出席スヘキ資格ヲ有スル株主、若クハ取締役会ノ規定シタル形式ニ依ル委任状ヲ株主ヨリ受ケタル者ハ、当会社ノ何レノ総会ニモ出席シ且投票スル権利ヲ有ス
第二十五条 通知書ニ記載セサル事項及ヒ之レニ記載スルモノト関係ナキ事項ハ総会ニ於テ之ヲ議スルコトヲ得ス
第二十六条 株主ノ請求ニ依リ招集セル総会ニ於テ、開会時刻ニ至リ出席者カ定数ニ満タサルトキハ総会ヲ延期スルヲ得、若シ取締役ノ招集セシモノナルトキハ議長ノ定ムル場所時日マテ延期スヘシ、此場合ニ於ケル延期総会ハ開会ノ場所及ヒ日時ヲ株主ニ通知シ、延期ノ日ヨリ十五日以内ニ之ヲ開クヘシ
第二十七条 前条ニ定メタル場合ニ若シ出席株主ノ数定員ニ充タサルトキハ、出席株主ノ多数決ニ依リ仮決議ヲ為スヲ得、此場合ニハ其仮決議ヲ全株主ニ通知スヘシ
 第二回ノ総会ハ少クトモ壱箇月間ヲ経テ招集スヘシ、而シテ其総会ニ於テ出席株主ノ多数決ニ依リ仮決議ノ認否ヲ決ス
第二十八条 社長ハ総会ニ於テ議長タルヘシ、若シ或ル理由ニヨリ議長タル能ハサルトキ若クハ之ヲ拒ム時ハ、副社長又ハ出席取締役ノ壱名カ議長タルヘシ
 若シ副社長若クハ出席取締役カ悉ク議長タル能ハス又ハ之ヲ拒ムトキハ、出席株主中ヨリ多数投票ニ依リ選出スヘシ
第二十九条 各総会ノ議事ハ其概要ヲ議事録ニ記載シ議長及ヒ会社ノ書記役並ニ出席株主ノ壱名若クハ数名之ニ署名シ会社ニ保存スヘシ
 - 第54巻 p.359 -ページ画像 
第三十条 株主総会ニ於ケル日程ハ其総会ノ目的ト一致スル限リハ左ノ如クナルヘシ
  イ、役員ノ報告
  ロ、取締役ノ報告
  ハ、委員ノ報告
  ニ、取締役ノ選挙
  ホ、未結了ノ事項
  ヘ、計算ノ提出
  ト、其他ノ事項
第三十一条 株主ハ何レノ総会ヲ問ハス以上ノ日程ヲ投票ニ依リ変更スルコトヲ得
      第四章 取締役
第三十二条 当会社ノ取締役ヲ五名以上九名以内トス
第三十三条 取締役ハ定時総会ニ於テ当会社ノ資本中参百株以上ヲ有スル株主中ヨリ選挙ス、取締役ノ任期ハ第三十八条ニ規定スル場合ヲ除キ参箇年トス、然レトモ退任取締役ハ其後任者ノ選挙セラルヽマテ引続キ勤務スルヲ得、退任取締役ハ再選セラルヽ事ヲ得ルモノトス、会社設立ノ際及大正九年(千九百二十年)壱月以前ニ選任セラレタル取締役ノ任期ハ大正九年(千九百二十年)壱月ニ於ケル通常総会ノ日ヲ以テ終了ス
第三十四条 会社設立ノ後直ニ取締役会ニ於テ左ノ役員ヲ選任ス
  一、会社ノ社長
  一、会社ノ副社長
  一、会社ノ総支配人
  一、会社ノ出納役
第三十五条 社長及ヒ副社長ニ限リ取締役会ノ会員タルコトヲ要ス、壱人ニテ書記役及ヒ出納役ヲ兼ヌルコトヲ得、社長及ヒ副社長以外ノ会社ノ役員ハ、取締役会ノ会員中ヨリ選フモ亦会員外ヨリ選フモ差支無キモノトス
第三十六条 取締役会ニ於ケル欠員ハ其必要アル場合ニハ特ニ招集シタル総会ニ於テ正式ノ選挙ヲ経テ之カ補欠ヲナスヘシ
第三十七条 補欠ノ為メ選挙セラレタル取締役ハ次回ノ取締役選挙ノ定時総会迄其任ニ在ルモノトス、其権限及ヒ責任ハ他ノ取締役ト同一ナリトス
第三十八条 左ノ場合ニハ取締役ハ退任シタルモノト看做ス
  イ、破産スルカ若クハ仕払ヲ停止スルカ若クハ債権者ト協議契約ヲ締結シタルトキ
  ロ、禁治産ノ宣告ヲ受ケタルトキ
  ハ、取締役会ノ特別承認ヲ経スシテ参箇月間取締役会ニ欠席シタルトキ
  ニ、当会社ノ定款若クハ株主総会ノ決議若クハ取締役会ノ決定ニ対シ故意ニ違反シタルトキ
  ホ、当会社ノ為メニ物品ノ売買ニ関シ直接又ハ間接ニ秘密ノ手数料又ハ割戻ヲ受ケタルトキ、又ハ受クルコトヲ約束セシコト
 - 第54巻 p.360 -ページ画像 
或ハ業務ノ処理上不正直ノ行為アルコトヲ発見シタルトキ
第三十九条 役員ハ取締役会ノ時々定ムル給料ヲ受クヘシ、当会社ノ社長及ヒ取締役ハ、株主総会カ承認シタルニアラサレハ社長又ハ取締役トシテ給料ヲ受クルコトヲ得ス
第四十条 取締役会ノ会議ハ少クトモ取締役全員ノ過半数出席スルニアラサレハ開会スルコトヲ得ス、取締役会ノ議事ハ過半数ヲ以テ決定スヘシ
第四十一条 取締役会ハ特ニ調製シタル帳簿ニ左記ノ事項ヲ記入スヘキモノトス
  イ、各役員ノ選任及ヒ任命及ヒ報酬アル場合ハ其報酬
  ロ、取締役会ノ会議ニ出席シタル取締役ノ姓名
  ハ、取締役会ノ発シタル一切ノ命令
  ニ、総会及ヒ取締役会議ニ於ケル一切ノ議決及ヒ議事
第四十二条 取締役会ハ何時ニテモ或期間会社ノ役員ニ対シ適当ト認ムルタケノ権限ヲ委任シ、及ヒ之ヲ附与シ又之ニ便宜ト認ムル条件及ヒ制限ヲ課スルコトヲ得、又取締役会ニ代リテ其権限ノ全部若クハ一部ヲ対立的ニ若クハ排除的ニ若クハ代位的ニ執行スルノ権ヲ役員ニ附与シ、且随時其全部若クハ一部ヲ取消シ撤去シ若クハ変更スルコトヲ得
第四十三条 取締役会ハ社長之ヲ招集シ、若シ取締役ノ一人ノ請求アルモ社長之ヲ招集セサルトキハ参名以上ノ取締役ニ於テ之ヲ招集スルコトヲ得、何レノ場合ニ於テモ七日前ニ各取締役ニ招集状ヲ発スヘシ
第四十四条 取締役会ノ会議ノ日程ハ其定ムル所ニ従フ、書記役及ヒ議長ハ取締役会ノ議事録ニ署名スヘシ
第四十五条 取締役会ハ当会社ノ業務執行ヲ為シ当会社ノ行使シ得ル一切ノ権限ヲ行使シ、会社ノ為シ得ル一切ノ行為ヲ為ス、但法令及ヒ定款ノ規定ニ従フコトヲ要ス、他ノ方法ニ依リ附与セラレタル一般ノ権限ヲ妨クルコト無クシテ、特ニ取締役会ノ有スヘキ権限ヲ明記セハ左ノ如ク《(シ)》
  イ、当会社ノ為メニ当会社カ取得スル能力ヲ有スル財産権利若クハ特権ヲ、其適当ト認ムル価格条件及ヒ対償ヲ以テ買入レ若クハ他ノ方法ニ依リ取得スルコト、及ヒ当会社カ権能ヲ有スル支払方法ニ従ヒ之ニ対シ支払ヲ為スコト
  ロ、取締役会カ時々決定スル所ニ随ヒ使用人、代理人及ヒ雇人ヲ任命シ及ヒ其裁量ニ従ヒ停職シ若クハ解雇スルコト及ヒ彼等ノ職務及ヒ給料報酬ヲ定メ時々之ヲ変更シ及ヒ適当ト認ムルトキハ保証ヲ要求シ及ヒ其額ヲ定ムルコト
  ハ、当会社ノ役員ニ、部下ヲ任用シ停職シ若クハ解職スル権限ヲ附与スルコト
  ニ、日本及ヒ外国ニ於ケル当会社ノ業務執行ニ関シ適当ト認ムル管理ヲ為スコト、就中取締役会ノ権限ノ幾分ヲ委員・役員又ハ代理人ニ委任シ、及ヒ適当ト認ムル条件ヲ以テ合法ナル範囲ニ於テ適当ト認ムル権限ヲ与ヘテ会社ノ為ニ行為スルモノ
 - 第54巻 p.361 -ページ画像 
ヲ任命スルコト
  ホ、利息付又ハ無利息ニテ預金ヲ受取ルコト
  ヘ、直ニ入用ナラサル当会社ノ金員ヲ時々会社ノ利益上安全ニ且得策ナリト認ムル方法ニ依リ若クハ担保ニ対シ金銭ヲ貸付ケ投資シ其他ノ処分ヲ為スコト
  ト、当会社ノ目的ノ全部若クハ一部ヲ達スルニ必要又ハ有益ナル其他ノ一切ノ権限
第四十六条 取締役会ハ即章ニ関スル法律及ヒ規則ノ規定スル所ニ随ヒ当会社ノ印章ヲ採用シ及ヒ何時ニテモ之ヲ変更スルコトヲ得
第四十七条 一切ノ契約書・委任状其他権限ヲ証スル書類及ヒ小切手手形及ヒ各種ノ債務ハ取締役会ノ指定シタル少クモ弐名ノ役員若クハ役員以外ノ者ニ於テ之ヲ署名スヘシ、然ラサレハ当会社ハ之ニ対シ責任ヲ負ハス、但シ以上ノ契約及ヒ義務ニシテ取締役会又ハ執行委員ニ於テ会社使用人若クハ代理人ニ委任スルモノナルトキハ此限リニアラス
      第五章 監査役
第四十八条 監査役ノ数ヲ壱名又ハ弐名トシ株主中ヨリ選挙スルモノトス、退任監査役ハ再選セラルヽ事ヲ得、取締役又ハ役員ハ其在職期間中監査役ニ選挙セラルヽヲ得ス
第四十九条 監査役ハ諸計算書・営業報告書・貸借対照表・財産目録及ヒ総会ニ於テ株主ニ提出スヘキ積立金並ニ配当ノ分配ニ関スル取締役ノ提議等ハ、之ヲ提出スル総会ノ少ナクモ七日以前ニ其謄本ヲ以テ提示ヲ受クルモノトス、監査役ハ前記ノ書類ヲ其関係スル計算書及ヒ帳簿書類ト突キ合セ総会ニ於テ之ヲ報告スヘシ
第五十条 監査役ハ常ニ通当ナル時ニ於テ会社ノ帳簿書類及ヒ計算書ニ触接スルコトヲ得ヘシ
      第六章 役員
第五十一条 当会社ノ役員ハ取締役会ノ無記名投票ニ依リ其過半数ヲ以テ選任セラルヽモノトス、役員ハ解職若クハ廃職セラレサル限リハ当選ノ時ヨリ次回ノ通常株主総会ニ於テ新取締役ヲ選挙シ、役員ノ後継者ヲ選挙シ権能ヲ与フルマテ在任スルモノトス、役員トシテ社長・副社長・総支配人・書記役及ヒ出納役ヲ置ク、又取締役会ハ其考ニ依リ会社ノ業務ヲ正当ニ執行スル為メ必要ト認ムル処ノ他ノ役員及ヒ顧問ヲ選挙若クハ任命スルコトヲ得
第五十二条 各役員代理人及ヒ使用人ハ一切ノ事務ニ就キ取締役会及ヒ執行委員ノ監督指揮及ヒ統御ニ従フ可シ、而シテ取締役会及執行委員ノ規定附与スル権能ヲ有シ且任務ヲ行フヘシ、役員ハ何時ニテモ取締役会全員ノ過半数ノ是認的投票ニヨリ解職セラルヘシ
第五十三条 社長ハ当会社執行役員ノ首長タルヘシ、社長ハ各株主総会及ヒ取締役会ニ出席シタルトキハ其議長タルヘシ、又取締役会ノ統御ノ下ニ会社ノ業務及ヒ財産ニ対シ一般ノ管理ヲ為スヘシ
第五十四条 副社長ハ社長ノ不在又ハ事故ノ為メ職務ヲ行フ能ハサル場合ニ於テ社長ノ全権ヲ附与セラレ、社長一切ノ職務ヲ行フヘシ
第五十五条 総支配人ハ取締役会及ヒ執行委員ノ指揮ノ下ニ会社ノ鉱
 - 第54巻 p.362 -ページ画像 
区精煉所及ヒ其他一切ノ財産ヲ管理支配シ、産出物ノ製造及ヒ売捌ヲ管理シ、且其手ヲ通過スル一切ノ財産ノ正確ナル計算書ヲ作成シ及ヒ其職務上ニ附随シテ取締役会及ヒ執行委員カ要求スル一切ノ行為ヲ為スモノトス
第五十六条 書記役ハ特ニ其ノ為メニ調製シタル帳簿ニ株主総会及ヒ取締役会々議ノ投票及ヒ記事ヲ記録スヘシ、又会社ノ印章・株主名簿及ヒ譲渡帳簿ヲ保管スヘシ、証書契約書及ヒ其他ノ重要書類一切ハ会社ノ事務所ニ於テ書記役之ヲ保管スヘシ、又法令ノ要求スル所ニ従ヒ各会議ノ通知ヲ発スルコト、各種ノ報告証明書及ヒ通知ヲ作製スルコトヲ為スヘシ、書記役ハ其職ニ関スル一切ノ任務ヲ尽シ又ハ社長取締役会若クハ執行委員ノ時々要求スル所ノ職務ヲ尽スヘシ
第五十七条 出納役ハ会社ノ収入支出ニ関シ完全且明確ナル計算ヲ作リ、総テノ金銭及ヒ他ノ重要品ヲ会社ノ名義ヲ以テ会社ノ貸方トシテ取締役会ノ指定スル預ケ所ニ預ケ入ルヘシ
第五十八条 出納役ハ取締役会ノ命スル所ニ従ヒ適当ナル証票ヲ受取リ会社ノ金銭ヲ支払フヘシ、但小切手若クハ金銭支払命令ニハ悉ク出納役ノ外ニ取締役若クハ取締役会ノ任命シタル役員ノ壱名カ署名又ハ副署スヘシ、出納役ハ取締役会ノ要求アリタル時ハ何時ニテモ出納役トシテ為シタル取引ノ計算書ヲ作製シ、及ヒ会社ノ財政上ノ状態ニ関シ報告ヲ為スヘシ
第五十九条 出納役ハ前条ノ外尚時々取締役会ノ要求スル所ノ職務ヲ行フヘシ
第六十条 役員中ニ欠員ヲ生シタル時ハ取締役全員過半数ノ是認的無記名投票ニ依リ補欠スルヲ得、而シテ斯ノ如クニシテ選挙セラレ若クハ任命セラレタル役員ハ前任者ノ残期間在職スルモノトス
      第七章 委員
第六十一条 取締役会ニ於テ指定シタル参名ノ取締役若クハ株主ヨリ成ル執行委員ヲ朝鮮ニ置ク、而シテ其任期ハ取締役会ノ任意ニ依ルモノトス
第六十二条 最初ノ執行委員ニ限リ当会社ノ成立後出来得ル限リ速ニ取締役会ニ於テ之ヲ任命シ、大正九年壱月開クヘキ株主総会ノ日迄在職セシムルモノトス
第六十三条 執行委員ハ其委員中ノ壱名ヲ委員長ニ選挙スヘシ、取締役会ハ朝鮮ニ於テ会社ノ通常業務ヲ執行スル為メ、朝鮮ニ在ル役員ヲ正当ニ指揮スルニ必要ナル権能ヲ執行委員ニ委任スヘシ、執行委員ノ会議ハ取締役会ヨリ別段ノ命令アルニ非サレハ朝鮮ニ於テ之ヲ開クヘシ
第六十四条 執行委員ノ会議ハ委員長若クハ弐名ノ委員ニ於テ何時ニテモ之ニ招集スルコトヲ得、但委員ノ同意シタル方法ニ依リ各委員ニ集会ノ日時ト場所トヲ通知スルコトヲ要ス
第六十五条 執行委員ノ弐名ハ其定員ヲ組織ス、然レトモ同委員ノ少ナクトモ弐名ノ是認的投票ナクンハ如何ナル行為ヲモ為サヽルモノトス、執行委員ハ総テ其議事ノ記録ヲ保存スヘシ、而シテ規則正シク其記録ヲ取締役会ニ報告スヘシ
 - 第54巻 p.363 -ページ画像 
第六十六条 取締役会又ハ執行委員ハ時々其最モ得策ト思フ所ニ従ヒ随時他ノ委員ヲ任命シ、之ニ必要ト認ムル権能ヲ附与スルコトヲ得ヘシ
      第八章 計算
第六十七条 当会社ノ諸勘定ハ壱年ニ弐回、即チ六月参拾日及ヒ拾弐月参拾壱日ニ於テ決算スルモノトス
第六十八条 諸勘定ヲ決算シタル時ハ取締役ハ損益計算書・財産目録貸借対照表・営業報告書並ニ積立金及ヒ利益金等ノ分配ニ関スル定案ヲ作製シ、承認採用ヲ得ル為メ総会ヘ提出スヘシ
第六十九条 前条ノ承認採用ヲ得タル時ハ取締役ハ貸借対照表ヲ公告スヘシ
第七十条 当会社ノ会計期間ハ毎年壱月壱日ヨリ六月参拾日マテ及ヒ七月壱日ヨリ拾弐月参拾壱日マテトシ、前者ヲ上半期トシ後者ヲ下半期トス
第七十一条 配当金ハ当会社ノ業務ヨリ生スル純益金以外ノモノヨリ之ヲ支出スルコトヲ得ス
第七十二条 取締役会ハ会社カ請求権ヲ有スル株ニ対シ其株ノ受クヘキ配当権ヲ保留シ、之ヲ該請求権ノ生シタル負債義務若クハ約束ヲ履行セシムルニ適用スルコトヲ得
第七十三条 会社ハ株主ノ請求ニ依ルト否トヲ問ハス、最後ニ記入シアル住所ヘ向ケ郵便ヲ以テ送附シタル小切手若クハ配当金領収書カ途中ニテ紛失スルモ之ニ対シテ責任ナキモノトス
第七十四条 配当金支払期日後壱箇年間請求ナキ配当金ハ、其請求アルマテ会社ノ利益ノ為メニ取締役会ハ之ヲ投資シ、又ハ他ノ方法ニ使用スルコトヲ得ヘシ、而シテ其ノ支払期日後拾箇年間請求ナキ配当金ハ会社ノ利益ノ為メニ没収スルヲ得ヘシ、如何ナル配当額ニ対シテモ会社ハ利子ヲ支払ハサルモノトス
第七十五条 配当金ハ各決算期ノ最終日ニ株主名簿ニ存スル株主ニ向ツテ支払ヲ為スモノトス
第七十六条 会社ノ純益金ハ総会ノ決議ニ従ヒ配当金、役員及ヒ使用人賞与金、繰越金及ヒ其他ノモノニ充用シ得ルモノトス
      第九章 雑則
第七十七条 本定款ニ於テ別段ノ規定アルモノヽ外ハ取締役会ノ委任ヲ受クルニ非サレハ当会社ノ個人取締役・役員・代理人又ハ使用人ハ単独ニテモ、若クハ共同ニテモ会社ニ代リ契約ヲ締結シ及ヒ義務ヲ負担スルノ権限ヲ有セス、或ハ会社ノ為メニ又ハ会社ノ計算ニテ金銭財産又ハ有価物ヲ貸借スルノ権限ヲ有セス、或ハ如何ナル手形契約若クハ他ノ義務ノ形式ニ於テモ、会社ノ信用ヲ抵当ト為シ若クハ其名ヲ署スルノ権限ヲ有セス
 又如何ナル取引上ニモ会社ヲ代表シ若クハ会社ヲ束縛スルノ権能ヲ有セス、当会社ノ取締役・代理人・役員若クハ使用人カ本条ノ規定ヲ犯シタル場合ニハ其行為ニ対シ当会社ハ責任ヲ負ハサルモノトス
第七十八条 当会社ノ役員及ヒ取締役ハ交付セラルヘキ通告ニ対シ何時ニテモ棄権スルコトヲ得
 - 第54巻 p.364 -ページ画像 
第七十九条 当会社ハ総会ニ於テ資本ノ十分ノ八ヲ代表スル株主ノ投票ニ依リ可決スルニ非サレハ資本金ヲ増減スルコトヲ得ス
第八十条 法令及ヒ本定款ノ規定ニ従ヒ、当会社ハ総会ニ於テ時々本文ニ記載セル当会社ノ定款ノ全部若クハ一部ヲ変更スルコトヲ得、又当会社ノ定款ノ全部若クハ一部ヲ除外シ、若クハ之ニ附加シテ新シキ定款ヲ作ルコトヲ得、斯ノ如クニシテ作リタル定款ノ本文ニ記載スル元来ノ当会社定款ト同一ノ効力ヲ有スル当会社定款ト見做スヘシ、而シテ同様ニ其後ノ総会ニ於テモ変更、修正若クハ廃止ヲ為スコトヲ得ヘキモノトス、又本条ニ規定セル事項及ヒ解散ニ関スル議案ヲ通過スルニハ、総会ニ於テ総株数ノ百分ノ八拾ノ是認的投票ヲ要スルモノトス
    以上
 下記発起人等ハ頭書記載ノ通リ株式ヲ引受ケ玆ニ本定款ヲ作成スルモノ也
  大正六年(千九百拾七年)拾弐月拾日
            東京市日本橋区兜町二番地
 引受株数 四千株           渋沢敬三(印)
            東京市芝区田町五丁目十六番地
 同    参千株           浅野総一郎(印)
            東京市本郷区弓町二丁目十九番地
 同    壱千百弐拾八株       佐々木勇之助(印)
            東京市芝区二本榎町二丁目二十五番地
 同    七百株           白石元次郎《(白石元治郎)》(印)
            東京市日本橋区兜町二番地
 同    五百株           八十島親徳(印)
            東京府豊多摩郡千駄ケ谷町八百六十一番地
 同    壱百参拾七株        前川益以(印)
            神奈川県横浜市山下町二十三番地
 同    弐万弐千〇五拾四株     J. R. GEARY.
            神奈川県横浜市山下町四十二番地
 同    弐千〇六拾九株       A. L. BAGNALL.
            神奈川県横浜市山下町二十三番地
 同    参千参百八拾株       J. P. HENRY.
            神奈川県横浜市山手町二百五十番地
 同    壱千〇八拾壱株       W. K. TRESIZE.
            神奈川県横浜市山下町四十二番地
 同    壱千九百五拾壱株      L. J. GRIMMESEY.