デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2021.9.1

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

6章 対外事業
2節 支那・満洲
4款 中国興業株式会社
■綱文

第54巻 p.515-520(DK540097k) ページ画像

大正2年3月20日(1913年)

是日、三井集会所ニ於テ、当会社第一回発起人会開カレ、栄一、大倉喜八郎・安田善三郎・倉知鉄吉・益田孝・三村君平・山本条太郎等ト、当会社設立ニ関スル協議ヲナス。次イデ四月二十日、同所ニ第二回発起人会ヲ開キ、資本金・定款等ニツキ協議シ、更ニ五月十九日、帝国ホテルニ第三回発起人会ヲ開キ、発起人ノ公表員数及ビ其氏名・引受株数、其他ノ件ヲ議了ス。栄一、発起人総代タリ。


■資料

中日実業会社書類(二)(DK540097k-0001)
第54巻 p.516 ページ画像

中日実業会社書類(二)          (渋沢子爵家所蔵)
(写)
    中国興業株式会社創立事項報告案
      大正二年八月十一日創立総会席上ニ於テ
一、大正二年三月二十日、中華民国及日本両国人ノ合辦タル中国興業株式会社設立ノ趣旨ヲ以テ、孫文・大倉喜八郎・安田善三郎・倉知鉄吉・益田孝・三村君平・山本条太郎及渋沢栄一発起人トナリ、其第一回発起人会ヲ三井集会所ニ開催シ、設立ニ関スル最初ノ協議ヲナシタリ
一、次テ四月二十日、第二回発起人会ヲ三井集会所ニ開催シ、会社設立発起人トシテ公表スヘキ員数、人選、会社ノ資本金、定款事項及附随ノ事項等ニ付キ協議ヲ為シタリ、
一、五月十九日、第三回発起人会ヲ帝国ホテルニ開催シ、発起人ハ日本側八名、支那側 名、都テ 名ト定メ、且ツ本会ニ於テ略ボ其人選、引受株数、其他定款条項ノ要領ヲ議了シ、次回ノ委員会ニ於テ凡テノ事項ヲ確定スベキ準備ヲ為スコトニ決定シタリ
○下略
  ○右三月二十日ノ第一回発起人会ニ孫文ノ出席セル如クナルモ、孫文ハ三月五日帰国ス。前条参照。


青淵先生職任年表(未定稿) 昭和六年十二月調 竜門社編 竜門雑誌第五一九号別刷・第一七頁 昭和六年一二月刊(DK540097k-0002)
第54巻 p.516 ページ画像

青淵先生職任年表(未定稿)昭和六年十二月調 竜門社編
              竜門雑誌第五一九号別刷・第一七頁昭和六年一二月刊
    大正年代
  年 月
 二 三 ―中国興業株式会社発起人総代―大、二、五、―〃創立委員長―大、二、八、―〃相談役―○下略


中国興業関係書類(DK540097k-0003)
第54巻 p.516-519 ページ画像

中国興業関係書類             (白岩竜平氏所蔵)
    中国興業株式会社設立ノ主旨
東亜ニ於ケル同種ノ二大国民ノ結合ヲ一層鞏固ナラシムルト共ニ、唇歯輔車ノ交誼ヲ厚フシ、提携ノ実ヲ挙ケンカ為メニハ国民相互ノ経済的連鎖ヲ密ナラシムルニ若クハ莫シ、是レ玆ニ中日両国ニ於ケル有力ナル実業家相集リテ東亜百年ノ大計ノ為メニ誠意ヲ披瀝シ、中日合辦中国興業株式会社設立ノ挙ヲ提唱スル所以ナリ
今ヤ中華民国新ニ成リ、国力ノ充実ヲ要スルコト益々急ナリ、即チ中国興業株式会社ハ中国ニ於ケル富源ヲ探究シ、有利ノ事業ヲ調査シ、中日両国人ノ責務トシテ之カ実際的ノ解決ヲ与ヘントスルモノナリ、試ミニ別紙本会社定款ヲ見レハ其設立ノ主旨ト必要トハ自ラ明瞭ナルヘキヲ信ス
  大正二年三月
                   発起人総代
                     孫文
                     渋沢栄一
 - 第54巻 p.517 -ページ画像 
(別紙)
    中国興業株式会社定款
      第一章 総則
第一条 本会社ハ中国興業株式会社ト称ス
 但中華民国ニ於テハ中国興業公司ト称シ、英文ニテハThe China Development Co., Ltd.ト称ス
第二条 本会社ハ左ノ業務ヲ営ムヲ以テ目的トス
 一、各種企業ノ調査・設計・引受及仲介
 一、各種ノ企業ニ対シ直接又ハ間接ニ資金ノ供給及融通ヲ為スコト
 一、各種債券ノ応募又ハ引受
 一、其他一般金融並ニ信託ノ業務
第三条 本会社ノ資本総額ハ金五百万円トス
 但株主総会ノ決議ヲ経テ之ヲ増額スルコトヲ得
 前項ノ資本金ハ中日両国人ニ於テ、各其半額ヲ引受クルモノトス
第四条 本会社ハ本店ヲ東京市ニ支店ヲ上海ニ置ク
第五条 本会社ノ公告ハ本店所轄裁判所カ商業登記ヲ公告スル新聞紙及支店所在地ニ於テ発行スル二種以上ノ新聞紙ヲ以テ之ヲ為ス
    第二章 株式
第六条 本会社ノ株式ハ記名式トシテ壱株ノ金額ヲ壱百円トシ、総株数ヲ五万株ニ分ツ
 株券ハ壱株券・拾株券及百株券ノ参種トス
第七条 株金払込ハ壱株ニ付第壱回ニ金弐拾五円トシ、第二回以後ハ事業ノ必要ニ応シ株主総会ノ決議ヲ経テ之ヲ為ス
第八条 株主ハ住所及印鑑ヲ本会社ニ届ケ置クヘシ、氏名・住所又ハ印鑑変更ノ場合亦同シ
第九条 本会社ノ株式ハ取締役会ノ承認ヲ得ルニアラサレハ譲渡ヲ為スヲ得サルモノトス
第十条 相続・遺贈・婚姻其他法律ノ作用ニ因リ会社ノ株式ヲ取得シタルモノハ、其株券ニ事実ヲ証明シタル書面ヲ添ヘ名義書換ヲ請求スヘシ
第十一条 株券ノ毀損、又ハ分合ニ依リ書換ヲ請求スルトキハ、会社ハ相当ノ手続ヲ経テ前株券ト引換ニ書換株券ヲ交付スヘシ
第十二条 株券ノ紛失、又ハ滅失ニ因リ新ニ株券ノ交付ヲ請求スルトキハ、会社ハ其事実ノ証明ヲ得タル後、請求者ノ費用ヲ以テ其旨ヲ公告シ、六十日ヲ経テ発見セサルトキハ新ニ株券ヲ交付スヘシ、此場合ニ於テハ前株券ハ当然無効トス
第十三条 滅失、又ハ紛失ノ届出アリタル株券ニ関シ異議ノ申立ヲ為スモノアルトキハ、本会社ハ裁判所ノ判決ニ依ルニアラサレハ、新株券ヲ交付セサルヘシ
第十四条 会社ハ手数料トシテ株券壱通ニ付第九条及第十条ノ場合ニハ金弐拾銭、第十一条及第十二条ノ場合ニハ金五拾銭ヲ徴集ス
    第三章 株主総会
第十五条 定期総会ハ毎年四月之ヲ開キ、臨時総会ハ必要アル毎ニ之ヲ招集ス
 - 第54巻 p.518 -ページ画像 
本条削除(欄外朱書)
第十六条 定時総会ニ於テハ前営業年度ノ計算書類・報告書類ヲ調査シ積立金及利益配当金ニ関スル議案、其他総裁又ハ副総裁ヨリ提出スル所ノ議案ヲ決議ス
第十七条 総会ノ決議ハ出席株主ノ議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス、可否同数ナルトキハ議長之ヲ決ス
第十八条 資本ノ十分ノ一以上ニ当ル株主ヨリ、会議ノ目的、及其招集ノ理由ヲ記載シタル書面ヲ提出シテ総会ノ招集ヲ請求スルトキハ総裁又ハ副総裁之ヲ招集ス
第十九条 総会ヲ招集スルニハ、総会ノ日時・場所・目的及事項ヲ記載シタル通知書ヲ、開会日ヨリ少クトモ三十日前ニ各株主ニ発スヘシ、但定款ノ変更ヲ目的トスル場合ニハ其議案ヲ添附スヘシ
第二十条 総会ニ於ケル株主ノ議決権ハ壱株毎ニ壱個トス
第二十一条 株主ハ代理人ニ委任状ヲ交付シテ議決権ヲ行フコトヲ得
 但其代理人ハ本会社ノ株主ニ限ル
第二十二条 定款変更、任意解散、合併及社債募集ハ、総株主ノ半数以上ニシテ資本ノ半額以上ニ当ル株主出席シ、其議決権ノ過半数ヲ以テスルニアラサレハ決議ヲ為スコトヲ得ス
第二十三条 前条ノ場合ニ於テ出席株主カ定数ニ満タサルトキハ、出席シタル株主ノ議決権ノ過半数ヲ以テ仮決議ヲ為シ、其旨ヲ各株主ニ通知シ、更ニ一箇月以内ニ第二ノ総会ヲ招集シ、出席株主ノ議決権ノ過半数ヲ以テ仮決議ヲ決スルモノトス
第二十四条 総会ニ於テ決議シタル事項ハ其要領ヲ決議録ニ記載シ、議長署名ノ上会社ニ保存スヘシ
第二十五条 総会ノ議長ハ総裁又ハ副総裁之ニ任シ、総裁又ハ副総裁事故アルトキハ、他ノ取締役互選ヲ以テ之ニ任ス
    第四章 役員
第二十六条 本会社ノ役員ハ取締役十名以内、及監査役四名以内トス
第二十七条 役員ノ選任ハ、総会ニ於テ壱百株以上ヲ有スル中日両国大株主中ヨリ各半数ノ取締役、及五十株以上ヲ有スル中日両国人株主中ヨリ各半数ノ監査役ヲ選挙ス
 取締役中ヨリ総裁一名、副総裁一名、及専務取締役二名ヲ互選ス
第二十八条 取締役カ監査役ニ供託スヘキ株券ノ員数ハ壱百株トス
第二十九条 総裁及副総裁ハ会社ヲ代表シ、其業務ヲ執行ス
第三十条 専務取締役ハ総裁及副総裁ヲ補佐シ、其業務ヲ執行ス
第三十一条 取締役ノ任期ハ三ケ年トシ、監査役ノ任期ハ一ケ年トス
 取締役及監査役ノ任期カ最終ノ配当期ニ関スル定時総会前ニ満了シタルトキハ、其総会ノ終結ニ至ル迄其任期ヲ延長ス、但任期満了後再選セラルヽコトヲ得
第三十二条 取締役ハ取締役会ヲ設ケ、会社ノ内規、其他重要ナル業務ヲ議定ス
 取締役会ノ議事ハ総裁、総裁事故アルトキハ副総裁ヲ以テ会長トシ過半数ニ依テ決ス、可否同数ナルトキハ会長之ヲ決ス
第三十三条 取締役会ハ、会社ノ重要事項ヲ諮詢スル為メ相談役及顧問若干名ヲ推薦スルコトヲ得
 - 第54巻 p.519 -ページ画像 
第三十四条 役員中死亡又ハ辞任ニ因リ不時ニ欠員ヲ生シタル時ハ、株主総会ニ於テ欠員役員ノ国籍ニ準シ補欠選挙ヲナスヘシ
 但其補欠当選者ノ任期ハ前任者ノ残期間トス
第三十五条 総裁・副総裁・専務取締役・普通取締役及監査役ノ給料又ハ報酬ハ、総会ノ決議ヲ以テ之ヲ定ム
    第五章 計算
第三十六条 本会社ハ毎年三月末日ニ於テ総勘定ノ決算ヲナス
第三十七条 本会社ハ毎決算期ノ営業純益金ノ中ヨリ左ノ金額ヲ控除シ、其残額ヲ株主配当金ニ充テ、又ハ次期ニ繰越スコトヲ得
     一、積立金       百分ノ五以上
     二、別途準備金     百分ノ五以上
     三、役員賞与金     百分ノ二十以内
第三十八条 総裁又ハ副総裁ハ毎営業年度ノ終リニ於テ其年度中ノ決算ヲ遂ケ、財産目録・貸借対照表・営業報告書・損益計算書並ニ準備金・利益配当金及役員賞与金ニ関スル議案ヲ作リ、監査役ノ調査ヲ受ケ、定時総会ニ提出シテ承諾ヲ求ムヘシ
第三十九条 配当金ハ毎年三月三十一日現在ノ株主ニ払渡スヘシ
    第六章 附則
第四十条 本会社ノ負担ニ帰スヘキ設立費用ハ金壱万円以内トス
第四十一条 発起人ノ氏名・住所ハ左ノ如シ
     (氏名及住所略ス)
     大正 年 月 日此定款ヲ作成シ発起人一同署名捺印スルモノ也
        (以上)
  ○原本ニテハ第三十三条ハ欄外朱書ニテコノ間一条追加トシテ第三十二条ト第三十三条ノ中間ニ記入セリ。故ニ次ノ第三十四条ハ原本ニテハ第三十三条ナリ。以下一条宛繰下グ。


白岩竜平談話筆記(DK540097k-0004)
第54巻 p.519-520 ページ画像

白岩竜平談話筆記              (財団法人竜門社所蔵)
                      昭和十三年五月六日於白岩邸佐治祐吉記
 中国興業会社は、孫文が日本に来た時に話の始まつたものですが、その時の孫文と云ふのは偉い勢です。
 革命後の支那は実業を以て立たねばならない。それで袁には政治をやらせ、自分は実業をやる。其のために自分は実業大臣となる。其実業を発達させる第一手段として支那に十万哩の鉄道を敷く、それに就て、日本の渋沢子爵を相手として其援助を乞ふて来たもので、子爵もやらうといふ決心をせられた。
 暫く経つて、此会社は進行中にいろいろな出来事があり、又会社の形式の変更、株主が袁世凱派に変つた事などから面倒は生じたが、渋沢子爵は一旦孫を援けようと思はれたので、其後も一生懸命、飽迄も尽力せられたのです。
 私は会社の役員にはならなかつたが、渋沢子爵の関係せられてゐる間は、その秘書役ともなり、又顧問としても扱はれ、此会社以外の支那関係にも大小となくお役を勤めました。話は違ひますが、日華実業
 - 第54巻 p.520 -ページ画像 
協会の会長を子爵にお願したのも私でした。