デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正11年6月23日（1922年）

是日、日本工業倶楽部ニ於テ、当協会評議員会、次イデ第二回総会開カル。栄一出席シ、議長トナ
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リテ議事ヲ司宰ス。

集会日時通知表　　大正一一年　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
三月十八日　土　正午　　　日華実業協会ノ件（工業クラブ）
　　○中略。
五月二日　　火　正午　　　日華実業協会幹事会（同会）
　　○中略。
五月四日　　木　　　　　　日華聯合絵画展覧会ヘ御出向（商工奨励館）
　　　　　　　　午後二時　支那画家諸氏来約（兜町）
　　○中略。
六月六日　　火　正午　　　日華実業協会幹事会（同会）
　　○中略。
六月九日　　金　正午　　　日華実業協会幹事会（同会）
六月十日　　土　正午　　　日華実業協会幹事会（工業クラブ）
　　○中略。
六月廿三日　金　午後四時　日華実業協会評議員会（工業クラブ）

（日華実業協会）　第弐回総会報告（大正十一年六月廿三日丸ノ内工業倶楽部ニテ）
（印刷物）
　　　　第二回総会報告
本協会創立第二年度ノ通常総会ハ去ル六月廿三日午後六時丸ノ内工業倶楽部ニ開会セリ
先是、午後五時評議員会ヲ開キ、総会ニ附議スベキ案件ノ評決ヲ為シ評議員高杉晋氏ヨリ青島大学ノ件ニ関シ質問アリ、又評議員橋本辰二郎氏ヨリ最近支那漫遊中ニ見聞セル所感ヲ述ベラレ、渋沢会長・白岩幹事等ヨリ夫々応酬スル所アリタリ、右終リテ総会ニ入ル、当日出席セル会員及来賓者約四十名ニシテ、会長渋沢子爵議長席ニ着キ、午後六時別記議事録ノ通リ会務報告、会計報告及来年度予算並ニ役員補欠選挙等ヲ行ヒタリ、当日ノ来賓者ハ
　東京駐在中華民国公使代理　江洪杰氏　　　書記官　　朱紹濂氏
　外務省亜細亜局長　　　　　芳沢謙吉氏　　同参事官　小村欣一氏
　同書記官　　　　　　　　　岡部長景氏
　　　　　　○新聞社
　報知新聞社殿　　東京日日新聞社殿　　中外商業新報社殿
　読売新聞社殿　　東京朝日新聞社殿　　やまと新聞社殿
　時事新報社殿　　国民新聞社殿　　　　万朝報社殿
議事終リテ食堂ニ入リ、藤瀬幹事ヨリ本会ノ設立主旨、事業等ニ関シテ挨拶アリ、芳沢局長ハ協会ノ善美ナル事業ハ是非成功セシメタシト希望ヲ述ベラレ、民国公使代理江氏モ藤瀬幹事・芳沢局長ニ唱和シテ親日修好ノ為メ協会ノ奮励ヲ望ム旨述ベラレ、午後八時半閉宴セラレタリ
尚役員ノ補欠ハ欠員中差当リ左ノ通リ補欠スル事トナリ、総会ヨリ一任セラレタル渋沢会長ハ夫々当選者ノ承諾ヲ得タリ
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　評議員　　倉知鉄吉氏　　幹事　　　小野英二郎氏
　　　　　　児玉謙次氏　　　　　　　倉知鉄吉氏
　　　　　　江口定条氏　　　（常任）児玉謙次氏
　　　　男爵森村開作氏　　　　　　　森弁治郎氏
　　　　　　森弁治郎氏
　　　　　　○日華実業協会第二回総会議事速記録
　　　　　　　　大正十一年六月二十三日午後五時五十分
　　　　　　　　丸ノ内工業倶楽部内ニテ開議
○議長（子爵渋沢栄一）　実務ニ甚ダ暗イ虚名ヲ有ツテ居ル会長デアリマスカラ、甚ダ此席ヲ辱シメル訳デゴザイマスガ、今日ハ日華実業協会ノ総会デゴザイマシテ、会員ノ皆サン方ノ御出席ヲ得マシタコトヲ先ヅ以テ感謝シマス、先ヅ是迄本会ガ経営致シマシタ経過ノ概要ヲ申上ゲマス、ソレカラ続イテ計算ニ属スル事柄、即チ第二年ノ会計ノ御報告ヲ致シマシテ御承認ヲ請ヒ、第三年ノ予算ヲ申上ゲマシテ其御決議ヲ請ヒマス、ソレカラ役員ガ欠員ニナツテ居リマスカラ、其補欠選挙ヲ願ヒタイ、此三ツガ総会ノ要点デゴザイマス、第一ニ一般ノ会務ノ概況ヲ申上ゲマス、ソレカラ青島ニ大学校ヲ創設スルト云フコトガ玆ニ成立ツテ居リマス、其顛末ヲ申上ゲマス、一応会務ノ要領ヲ書記長ヨリ御聴キニ達シマスカラ、ドウゾ左様御承知ヲ願ヒマス
○工藤書記長　青島大学、駐屯軍撤去ト云フヤウナ重要ナ問題ハ、何レ会長カラ申上ゲルコトデアラウト存ジマス、普通ノ会務ニ就テ一寸御報告申上ゲマス、本年度中幹事会ヲ五十四回開キマシタ、殆ド毎週一度或ハ臨時ニ開イタヤウナ次第デゴザイマス、之ニ依ツテ会務ヲ処理致シマシタ、本年ノ二月三日青島大学《（二）》ニ関スル会ノ方針及態度ヲ決スルト云フコトノ必要ガアリマシタノデ臨時評議員会ヲ開キマシテ、青島大学ハ開始ニ着手スルト云フコトヲ御決定ニナツタ次第デゴザイマス、昨年以来ノ会員ノ異動ハ退会者ガ四名、入会者ガ十一名、現在ハ二十六団体ノ銀行会社ノ会員ト八十二名ノ個人会員ヲ有シテ居ル次第デアリマス、ソレカラ役員ノ内評議員ガ九名、幹事ガ四名ト云フ欠員ニナツテ居リマシテ、是ハ先刻評議員会デ補欠方法ハ会長ニ御一任スルト云フコトニナツテ居リマス、会計ノ報告ハ会計監督ノ幹事ノ御方カラ御報告ガアルコトト思ヒマス、ソレカラ出版物ト云フノハ「欧米人ノ支那ニ於ケル文化事業」、是ハ欧米人ガ非常ニ活動シテ居ル状態ガ能ク分ツテ居ル有益ナ著書ト思ヒマシテ、非常ニ篤志ナ人ガアツタノデ、会ノ方デ補助ヲ与ヘマシテ、之ヲ出版シタヤウナ次第デアリマス、ソレカラ朱啓鈐氏ガ大総統ノ特派使節トシテ此国ニ参リマシタカラ、八月五日会ノ方デ朝野ノ名士ヲ御招待申上ゲテ、此使節ヲ歓迎シタ次第デゴザイマス、ソレカラモウ一ツハ、先達ノ日華絵画展覧会ト、中国医学者一行ノ歓迎会、是ハ会ノ設立ノ趣旨カラ言ヒマシテモ斯ウ云フ方面カラモ矢張接触シテ行クコトガ必要デアルト云フノデ、是ニ対シマシテ相当ナ援助ヲ与ヘマシタ次第デアリマス、是ガ一般普通ノ会務デゴザイマス、青島大学ノ問題ハ可ナリ会ニ於テ慎重ニ研究サレマシタ、是ハ会長カラ直接御話申上ゲルコトニナツテ居リマス
○議長（子爵渋沢栄一）　常務ニ就テハ今書記長カラ概況ヲ御聴キニ
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達シマシテゴザイマスガ、特ニ申上ゲナケレバナラヌコトハ二ツシカゴザイマセヌ、ソレハ常任幹事、吾々共屡々協議ヲ致シマシテ、日支間ノ国交ヲ完全ニ維持スルニハ、ドウシテモ駐屯軍ガ居ルト云フコトハ国交上不利益デアラウト云フ観念カラ、色々評議ノ上、其筋ニ撤廃ヲ為スツタラ宜カラウト云フ意見ヲ一昨年ノ九月ニ建議ヲ致シマシタ其事ハ日本ノ重要問題デアリマスケレドモ、特ニ皆サンノ御集リヲ願ヒマセヌデ、幹部ノ責任ヲ持ツテ其意見ヲ提出致シマシタ、此問題ハ速ニ採納ヲ得マセヌヤウデシタケレドモ、結局吾々ノ意見ガ適当デアツタモノト見エマシテ、追々ニ実行サレルニ至リマシタコトハ、吾々ガ本会ノ目的ヲ過ツタモノデナカラウト自ラ信ズルノデゴザイマス、是ハ此機会ニ一応申上ゲテ置ク事柄ト考ヘマスノデ、皆サンノ御聴キニ達シ置キマスノデゴザイマス、ソレカラ青島ニ大学ヲ設置シヨウト云フ事柄ハ、今一層手続ヲ定メマシタ上デ、是非本会ノ決議ヲ請ハナケレバナラヌコトヽ思ヒマスケレドモ、未ダ所謂準備中デゴザイマシテ、其準備ガ或場合ニハ滞ルト云フヤウナ有様デゴザイマス、此事ノ起リヲ申スト、一昨年北支那ノ饑饉ニ対シテ其救済方法ヲ講ジマシタサウシテ其集ツタ金額ヲ、欧米人ノ企テタル所ノ一ツノ団体ニ加入スルガ宜カラウカ、或ハ公使ニ御依頼シテ救済シタ方ガ宜カラウカト云フヤウニ、二種、三種ノ方法ガアリマシタケレドモ、折角日華実業協会ガ中心ニ立ツテ募集シタ金額ノ総額ガ六十余万円カ集リマシタ、中ニハ指定ノ寄附モゴザイマシタ為ニ、実際本会デ使ツタ金ハ四十万円位デゴザイマス、是等ノ金額ヲ以テドウ云フ救助ノ方法ヲ講ジタラ宜カラウト云フコトニ就テ、再三ノ評議デ決定致シマシテ、遂ニ工藤書記長ヲ派遣シ、更ニ幹事中カラ出張ヲ請フテ大体其方法ヲ講ジマシタノデゴザイマス、其方法ヲ講ズルト同時ニ、青島ニ於テ一ツノ学校ヲ起ス必要ヲ彼方ニ於テ御勧メモアリ、又出タ人ノ考モアツテ、是ガ吾吾局ニ当ツテ居ル者トノ間ニ一ツノ問題トナリマシタ、蓋シ此山東問題ハ日支交渉ノ結果必ズ還附ニナルデアラウケレドモ、彼処ニ何モ後ニ残ラヌト云フコトハ、吾々トシテ余リニ物足ラヌヤウナ感ジガスル丁度彼ノ万年兵営ヲ一ツノ学校ニシタラ宜カラウ、サウシテ支那人ニ対シマシテ、追々ニ文化教育ヲ進メテ行ツタナラバ至極宜カラウ、但シサウ大ナル金ヲ掛ケルト云フ訳ニモ行カヌカラ、先ヅ商科ヨリ始メテ、追々ニ綜合大学ニシタラ宜カラウ、先ヅ商科大学ヲ作ルトシタナラバ、一年ニ四万乃至五万位ノ金額ヲ費セバ行ケルダラウ、但シ是ハ誠ニ大体ノ御話デアリマシテ、確定シタ訳デハアリマセヌ、斯ル見地カラ其関係ノ当路ニ対シテ、此方ノ希望ヲ述ベテ、追々ニ其準備ニ掛ツタノデゴザイマス、然ルニ御承知ノ通リ華盛頓会議ニ於テ、山東問題ハ決シ、青島及其附近ノ旧独逸租借地ハ大体ニ於テ還附スルコトニナリマシタガ、其還附方法ニ就テハ両国ノ間ニ委員ガ出来テ、其委員ノ協定ニ依ツテ定メルト云フコトニナツテ、今ヤ其委員ノ協議中デアルト思ヒマス、此学校ヲ作ルト云フコトニ就キマシテハ、差支ナイト云フ大体ノ考デ話ヲ進メテ参ツタノデアリマスガ、今申上ゲマス通リ委員ガ出来マシテ協議スルコトニナツタノデアリマスガ、我ガ当局ノ御人々カラ十分ニ御話下サイマシテ、委員会ニ於テ纏リマセウト思フ
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ノデアリマスガ、何レニ決定シマスカ、例ヘバ万年兵営ノ無償貸付、又ハ引渡ヲ受ケルヤウニナリマスカ、更ニ之ニ附属シタ場所ガアル、ソレモ希望シテ居リマス、又此学校ヲ完全ナル綜合大学ニシテ行カウト云フノニハ、相接シタ土地ニ於テ相当ナ地所デモ得マセヌト、之ヲ経営シテ行クニ困リマス、ソレニ就テノ希望モ述ベテアルノデス、即チ附近ニ於テ凡ソ十万坪ノ土地ヲ無償引渡ト云フカ、貸付ト云フカ、拝借ヲ願ヒタイト云フコトガ申出シテアリマス、是等ノコトモ果シテドウナリマスカ分リマセヌケレドモ、今申ス通リ交渉中ニ属シテ居リマス、青島ニ於ケル大学問題ハ、マダ本会ニ対シテ斯クシタウゴザイマスカラ御賛成ヲ乞フト云フコトハ、今申上ゲ悪イノデゴザイマス、モウ少シ要領ヲチヤント御聴キニ達スルヤウニ致シマシタ上デ、御決議ヲ請ハナケレバナラヌコトヽ思ヒマス、ソレデ前ニ申上ゲマシタヤウニ、意見ヲ提出シテ採用サレタト云フ一ツノ日支親善ニ関スル事柄ト、今申上ゲタ文化事業ニ就テ青島ニ於テ何カ一ツノ形ヲ残シタイト本会ガ企テタ学校ノ事、此二ツハ総会ノ席ニ於テ私カラ皆サンニ陳情致シ置クノハ、本会ノ為ニ私ハ大変光栄ト存ズルノデゴザイマス、ソレカラ引続イテ御願シタイノハ、会計ノ御報告ヲ申上ゲマスカラ、之ニ対スル御承認、ソレカラ未来ノ予算ニ対シマシテハ御決議ヲ請ヒタイ、ソレカラ今一ツハ役員ノ補欠選挙ノ方法、此事ノ御議決ヲ請ヒタイ、是ガ今日ノ要件デゴザイマス
○幹事白岩竜平　御報告ヲ申上ゲマス、御手許ニ書面ヲ差出シテゴザイマスガ、大正十年六月カラ本年五月ニ至リマス一ケ年間ノ経常支出総額ガ一万五千六百八十一円三十九銭、是ハ略ボ予算ノ数字ニ近イコトニナツテ居リマスカラ、之ニ就テ一々御説明ハ申上ゲマセヌ、ソレカラ臨時費ト致シマシテ三万二千七百十七円十四銭、之ニ就キマシテハ一寸申上ゲマス必要ガアルト存ジマス、唯今会長カラ縷々御話ガアリマシタ青島ニ商科大学ヲ開設シタイト云フ事柄ニ関シマシテハ、是ハ最近ノ評議員会ニ於キマシテ評議ヲ重ネマシタ結果、取リ敢ヘズ準備ヲ致シマス必要ガ段々迫リマシテ、二万一千七百五十五円九十六銭ト云フ支出ヲ致シマシタ、是ハ相当巨額ノ支出ニナルノデアリマスガ此内備品費ト云フヤウナモノニ五千円程ノ金額ヲ支出シテ居リマス、ソレカラ書記長ガ三回モ向フヘ参リマシテ、種々之ニ関係シマシテ支出ヲ致シマシタ、何レモ是ハマダ精算ヲ致シマシテ御報告スルマデニハナツテ居リマセヌケレドモ、大学開校其事ガ一時外務省ノ注意ニ依ツテ中止致シマシテ、日支交渉委員ノ円満ナル解決ヲ俟ツト云フ方針ニナツテ居リマス為ニ、是等ノ費用ハ準備諸費ノ項目ノ中ニ計上致シマシタ、是ハ愈々之ヲ開始スルコトニナリマスレバ、更ニ相当ノ臨時費ヲ計上シナケレバナラヌト思ヒマスガ、今日ノ所デハ如何ニスルカマダ不明デゴザイマス、此臨時費ノ支出ニ就テ御承認ヲ願ヒタイト思ヒマス、ソレカラ調査費ハ支那ノ新聞ニ少額ノ補助ヲシマシタ、出版費補助、是ハ先刻書記長ノ報告通リニ、書物ノ出版ヲ致シマシテ皆様ノ御手許ヘ差上ゲマシタ、夫等ト併セテ三万二千七百十七円十四銭、此臨時費・経常費ヲ併セマシテ五万一千六百四十六円四十一銭、之ニ対シテ前年度繰越ガ二千三百九円三十八銭、会費収入ガ一万六千三百
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円、利息収入ガ百八十九円三十五銭、不足ハ借入金ヲ以テ支弁シテ置キマシタ、此借入金ガ三万二千八百四十七円六十八銭デゴザイマス、ソコデ尚備考ト致シテ記シテ置キマシタ通リ、第一年度借入金ガ七千八円七十九銭、第二年度借入金ガ三万二千八百四十七円六十八銭、之ヲ合セマシタ金額ガ三万九千八百五十六円四十七銭、其外ニ北支旱災救済義捐金ヲ募集致シマシテ、其分配並ニ所要ノ支出ヲ致シマシタ残高ガ一万九千三百九十円九十九銭アリマス、是ハ幹事会及評議員会ノ決議ヲ経マシテ、此金額ハ寄附者ノ意思ニ背カヌ目的ノ下ニ支出スベク一時会ニ於テ之ヲ保留シテアリマス、之ヲ青島大学ノ如キモノニ転用スルカ、最モ寄附者ノ意思ニ適フ方法ヲ以テ支出スルガ宜カラウト云フコトデ其決定ニ依リマシテ此金額ハ今日マダ保留シテアリマス、従ツテ此金額ハ別途預金ニナツテ居リマス、ソレカラ明年度ノ経常収支予算ニ就テ御説明申上ゲマス、一ケ年度ノ支出総計一万五千五百七十六円、是ハ殆ド本年度同様ノ予算デゴザイマス、成ルベク経費ノ節約ヲ図リマシテ是ダケノ支出ヲ要スルノデゴザイマス、収入ノ部ハ会員会費ガ一万五千七百五十円、但シ先刻会長カラ御報告ニナリマシタ青島大学ノ問題ガ解決致シマシテ、此準備ヲ進メ開校致シマスコトニナレバ、又玆ニ臨時ノ予算ト云フモノヲ相当ニ支出ヲ要スル次第デゴザイマスガ、ソレハ目下ノ所如何ニナルカマダ不明デゴザイマス、今外務省ノ方ニ御依頼致シマシテ、其交渉ノ結果ヲ俟ツテ居リマスノデ此処ニハ計上致シマセヌ、何カ御質問ガゴザイマスレバ申上ゲマス
○議長（子爵渋沢栄一）　今白岩君カラ御報告致シマシタノハ二年度ノ決算、経常費ト臨時費ト併セテ五万一千円ト云フコトデアリマス、是ノ御承認ヲ請ヒタイ、ソレカラ三年度ノ予算一万五千円、此予算ニ就テハ御決議ヲ願ヒタイ、而シテ二年度ニ於テ臨時費ヲ斯様ニ使ツタノハドウ云フ訳カト云フト、ドウシテモ大学ヲ作ルガ宜カラウト云フ考デ、斯フ云フ経費ヲ掛ケタノデゴザイマスガ、愈々日支ノ間ノ交渉ガ出来マシテ、是丈ケノコトガ為シ得ラレルト云フコトニナリマスレバ、案ヲ備ヘテ、此学校ハ斯ル方法ニ依ツテ維持シテ行キタイト思ヒマスト云フコトヲ提案致シタイト思フノデゴザイマス、ドウゾ左様御承知下サルヤウニ御願致シマス――別ニ御質問、御意見モゴザイマセヌケレバ、玆ニ提案致シタ通リ、既往ノ分ハ御承認、未来ノ分ハ御決議ト承知シテ宜シウゴザイマセウカ（「異議ナシ」「原案賛成」ト呼ブ者アリ）
○議長（子爵渋沢栄一）　ソレデハサウ云フコトニ致シマス、モウ一ツハ役員ノ補欠選挙デゴザイマス、評議員ノ御方ガ九名、幹事ノ御方ガ四名欠員ニナツテ居リマス、是ハ唯今評議員会ニ提案致シマシタ所評議員会ノ御考ハ、常任幹事ガアルカラ、是等ト正副会長ニ一任スルカラ、相当ナ人ヲ指名スルヤウニシテ欲シイト云フコトニナツテ居リマス、但シ全部皆補欠スルカ、或ハ一部ヲ残シテ置クカ、ソレハ評議ノ結果ニ委セルト云フコトニナツテ居リマスガ、ソレデ皆サン御異議ゴザイマセヌカ、ドウカ御意見ヲ承ハリタイト思ヒマス（「異議ナシ」ト呼ブ者アリ）
○議長（子爵渋沢栄一）　ソレデハ補欠選挙ニ就テモ、評議員会ノ決
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議通リ、此総会ニ於テ御決議ニナツタト看做シテ宜シウゴザイマスカ（「異議ナシ」ト呼ブ者アリ）
○議長（子爵渋沢栄一）　ソレデハサウ云フコトニ致シマス、会議ハ是デ相済ミマシタ、御苦労様デゴザイマシタ、是デ閉会致シマス

日華実業協会往復（三）　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（謄写版）
謹啓
愈々御清栄之段奉欣賀候、別冊
　「欧米人ノ支那ニ於ケル文化事業」
ハ本協会ニ於テ出版費ヲ補助シ公刊ニ付シタルモノニテ一部供貴覧候
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　敬具
　　大正十一年壱月廿五日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日華実業協会
　　　　（宛名手書）
　　　　子爵渋沢栄一殿