デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正12年11月8日（1923年）

是日当協会、東京銀行倶楽部ニ於テ、関東大震災慰問ノタメ来日セル、中華民国人袁良ヲ招待シテ午餐会ヲ催ス、栄一、出席シテ挨拶ヲナス。

日華実業協会往復（一）　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
拝啓
来ル十一月八日（木曜）前十一時半丸ノ内銀行倶楽部ニ於テ、今回大震災慰問ノ為メ入京ノ中華民国袁良氏招待致候間、乍御多用中御繰合セ御臨席奉願候　敬具
　　大正十二年十一月五日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日華実業協会
　　　会長
　　　　渋沢子爵殿
　　追而　当日ハ日華学会々長細川侯爵外、理事内藤久寛氏・江口定条氏・山本条太郎氏・山野井格太郎氏招待致置候

日華実業協会往復（一）　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　幹事会ノ件
来ル十一月八日丸ノ内銀行倶楽部ニ於テ、袁良氏招待午餐会後引続キ幹事会相開キ候間、御繰合セ御臨席奉願候　敬具
　　大正十二年十一月五日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日華実業協会

集会日時通知表　　大正一二年　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
十一月八日　木　午前十一半時　日華実業協会催
　　　　　　　　　　　　　　　袁良氏歓迎午餐会（銀行クラブ）
　　　　　　　　引続　　　　　日華実業協会幹事会

日華実業協会第四回総会報告書　　第二五頁大正一三年一二月刊
　　　　大正十二年六月以降
　　　　　　役員会及会合報告
○上略
十一月八日招待会　震災慰問ノタメ入京セル袁良氏ヲ招待シ、渋沢会長ヨリ其労ヲ謝セリ
○下略

日華実業協会往復（一）　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
 - 第55巻 p.248 -ページ画像 
　　　　辞職願
小生儀大正九年六月本協会設立以来奉職罷在候処、本年ハ丁度初期役員ノ任期満了期ニ相当リ候間、此際小生モ現職ヲ辞シ、明年五月施行セラルヘキ衆議院議員選挙ニハ郷里青森市ヨリ再ヒ立候補タル約束モ有之、自然之カ準備ノ為メ会務ヲ専ラニスル能ハサル虞有之候ニ付キ何分御解職被下度、尚本年定時総会ノ終了ヲ機トシテ御願スヘキ考ヘナリシモ、震災ノ為メ総会期延引致、依ッテ今日ニ及ヒタル次第ニ御座候　以上
　　大正十二年十一月二十二日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　工藤鉄男(印)
　　日華実業協会々長
　　　　子爵　渋沢栄一殿

日華実業協会往復（一）　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　　（別筆）
　　　　　　　　　　一、金壱千円贈与ノ事
　　　　　　　　　　二、協会員タルコトヲ承認スル事（但シ会費ヲ要ス）
　　　　　　　　　　三、調査嘱托ハ現在其必要ナシ、必要アル場合ハ其委嘱ヲナスベキ事アルベキコト
　　　　　　　　　　　　　　　　（栄一鉛筆）
　　　　　　　　　　　　　　　　十一月二十六日落手一覧
　　大正十二年十一月廿四日
　　　　　　　　　　　　　　　　　日華実業協会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　工藤鉄男(印)
　　　日華実業協会々長
　　　　子爵　渋沢栄一閣下
謹啓　愈々御清福ニ被為渡候段奉珍重候
過日ハ親シク謁ヲ賜ハリ愚衷ヲ御採能被下候段厚《（納）》ク奉感謝候、過般本件ニ関シ伊東幹事ト親シク御交談ノ際、伊東幹事ハ小生ニ対シ何カ希望アルニヤトノ御尋有之候間、小生ハ左ノ二点ヲ申上候
　一、協会々員トシテ今後共支那問題ニ尽力シタキ事
　一、本会創立以来蒐集セシ支那資料モ保存シ、又必要ナル新聞・雑誌・書籍等モ備付ケルヲ以テ、支那資料調査嘱托（但シ手当ヲ要セス）トシテ関係ヲ持続シ度キ事
右ニ依リ小生モ当初協会ニ入リタル初志モ貫徹スルヲ得、且支那ニ関スル調査研究モ継続スルヲ得テ、将来政治界及新聞界ニ立ツ場合ニモ常ニ渋沢会長ノ公平ナル対支意見ト本会ノ設立主旨ヲ天下ニ強調シ得ヘキ事ト被存候旨、伊東幹事ニ御答ヘ申上ケタル次第ニ御座候
閣下冀クハ小生ノ愚衷ヲ御採納被遊、一日モ早ク自由ノ境遇ニ解放セラレン事ヲ切ニ奉懇願候　敬具