デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正13年4月28日（1924年）

是ヨリ先、中華留日基督教青年会総幹事馬伯援、前年九月一日ノ関東大震災直後、中華民国各地ヲ歴訪シテ其実情ヲ伝ヘ、対日同情ノ喚起ト、日中両国民ノ感情融和ニ尽力ス。栄一等発起人トナリ、是日、馬伯援ヲ東京銀行倶楽部ニ招待シテ、慰労午餐会ヲ開ク。栄一、発起人ヲ代表シテ挨拶ヲ述ブ。

日華実業協会往復（一）　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
謹啓　時下益御清栄之段奉欣賀候、陳者一昨年中華留日基督教青年会会館改築ノ際ハ多大ノ御援助ヲ仰キ候処、同会総幹事馬伯援君昨秋大震災直後帰国ノ上約三ケ月間支那各地都市ヲ歴訪シ、大震災ノ実情ヲ伝フルト共ニ大ニ同情ヲ喚起シ、両国感情融和ニ努メラレタリシカ、最近帰京セラレ候ニ付、同志申合セ、此同君ノ特殊ノ尽力ヲ謝スル為メ特ニ同君慰労会相催度、同時ニ陪賓トシテ民国汪公使ヲ招待致シ、左記ニ依リ午餐会相催シ度候間、乍御多用中御賛同被下、御繰合セ御枉駕ヲ賜ラハ光栄ニ奉存候　敬具
　　日時　四月廿八日正午
　　場所　丸ノ内銀行倶楽部
　　会費　金六円
追而乍御面倒御出席ノ有無別紙ニテ御一報煩度候
　　大正十三年四月廿二日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　発起人（順序不同）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　子爵渋沢栄一
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　内藤久寛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　江口定条
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　白岩竜平
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　武智直道
　　　　子爵渋沢栄一殿
　　○本資料第四十巻所収「関東大震災ニ対スル外国ノ援助」大正十二年九月ノ条中「七〇、馬伯援」ノ項参照。

集会日時通知表　　大正一三年　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
四月廿八日　月　正午　馬伯援・汪公使招待会（銀行クラブ）

日華実業協会第四回総会報告書　　第二八頁大正一三年一二月刊
　　　　大正十二年六月以降
　　　　　　役員会及諸会合報告
 - 第55巻 p.277 -ページ画像 
○上略
招待会　四月二十八日正午、中華留日基督教青年会総幹事馬伯援氏ヲ招待シ、渋沢会長ヨリ、馬氏ノ震災当時ノ奔走並ニ其後対日同情喚起ノ為メ支那各地ヲ歴訪セラレタル特別ナル斡旋ニ対スル、感謝慰労ノ挨拶ヲ述ヘタルカ、当日陪賓トシテ汪公使モ亦出席セラレタリ
○下略

日華実業協会第四回総会報告書　　第二八頁大正一三年一二月刊
　　　　大正十二年六月以降
　　　　　　役員会及諸会合報告
○上略
招待会　四月二十二日午後六時ヨリ、日華学会・東洋協会・東亜同文会・同仁会及本会聯合ノ上、中華民国特命全権公使汪栄宝氏歓迎会ヲ丸ノ内日本工業倶楽部ニ開催ス、主催者ヲ代表シ後藤子爵ノ歓迎辞ニ対シ、同公使ノ対日感想ヲ述ヘ答辞ニ代ヘラレタルカ、盛会ニシテ出席者ハ各方面ノ有力者百三十名ニ達セリ
○下略

支那関係諸方往復（一）　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　　　　　　　　（別筆）
　　　　　　　　　　　　　　　　大正十三年四月
　　　　　　　　　　　　　　　　日華・日鮮青年会館
　　　　　　　　　　　　　　　世話人　大木伯爵　小橋一太　橋本信次郎　氏
謹啓
時下春暖之候倍々御清栄之段奉大賀候、陳者本青年会館は日華青年並ニ日鮮青年の融合親善を図るの目的を以て、大正十一年に設立したるものに有之、過去三ケ年間講演に集会に此目的の為に尽し、殊に昨年大震火災の当時は、支那留学生の援助及在京朝鮮青年の救助保護の為め不少貢献致候、惟ふに支那及朝鮮の問題は我国命に関する根本問題に有之、今後此方面の施設益緊要の事と存候、此際本館設立の趣旨を一層高調し、且つ其維持経営の基礎を確立致し度存候間、何卒御賛同被下、御援助を賜らん事を切望の至りに不堪候　敬具
　　大正十三年四月
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日華日鮮　青年会館
　　　　　　　　　　　　　　　　　　世話人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　伯爵大木遠吉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小橋一太
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　橋本信次郎
　　　　子爵渋沢栄一殿