デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

6章 対外事業
2節 支那・満洲
6款 日華実業協会
■綱文

第55巻 p.383-388(DK550067k) ページ画像

大正14年10月30日(1925年)

是ヨリ先、中華学芸社及ビ上海日本商業会議所ヨリ、当協会ニ対シ、学芸大学資金援助方依頼アリ、是日、当協会幹事会ヲ開キテ協議ス。栄一、会長
 - 第55巻 p.384 -ページ画像 
トシテ之ニ与ル。


■資料

日華実業協会往復(一)(DK550067k-0001)
第55巻 p.384-386 ページ画像

日華実業協会往復(一)          (渋沢子爵家所蔵)
「東京商業会議所、会長・副会長・幹事各位宛」
拝啓
中華学芸社計画ノ学芸大学資金募集勧説ノ為メ、今回同社代表幹事法学士呉澣濤氏上京中ノ処、別冊
 「中華学芸社ノ略歴及創立学芸大学予算案」
廻示有之、不取敢御参考迄ニ一部御手許ニ差出候間、御覧置願候
                           敬具
  大正十四年三月二十三日
                     日華実業協会
(別冊)
(表紙)

   中華学芸社の略歴及創立学芸大学預算案

    中華学芸社の略歴
          及び
    学芸大学設立の計劃
 本社ハ民国五年ニ東京ニテ成立シ、当時其年ノ干支ヲ採リ丙辰学社ト号セリ。本社組織ノ発起人ハ、当時東京帝国大学・早稲田大学・高等工業学校・高等師範学校・千葉医学専門学校ニ在学セシ陳啓修・王兆栄・呉永権・楊棟林・周昌寿・楊梓林・文元模・屠孝実・何熙曾・鄭貞文等四十七名ニシテ、本社組織ノ宗旨ハ専ラ学芸ノ昌明、真理ノ研究、智識ノ交換、文化ノ促進ニアリ。創立以来、学芸雑誌・学芸叢書・学芸彙刊等ヲ発行シ、講演会ヲ挙行シ、以テ聊カ学界ニ貢献スル処アリシガタメ、欧米留学生及ビ国内ノ識者ノ入社スルモノ漸次ニ多ク、目下遂ニ千名以上ノ社員ヲ有シ、民国学術会ニ一ノ有力団体トナルニ至レリ。民国十二年六月、本社ハ社名ヲ中華学芸社ト改メ、爾来社員同人ガ悉ク協力シテ中華文化ノ振興ニ努メツツアリ。同年日本議会ガ庚子賠款ノ一部份ヲ以テ対支文化事業ヲ興ストノ決議ヲ為セシヲ以テ、本社ハ鄰国ノ好意ニ対シ大ニ感謝ノ忱ヲ表スト同時ニ宣言ヲ発表シ、以テ日本人士ノ注意ヲ促シ、彼ノ十三年一月両国ノ間ニ成立セシ中日文化事業協定ノ内容ノ(北京ニ人文科学研究所及図書館ノ設立上海ニ自然科学研究所ノ設立等重要ナル項目)如キハ大体本社ノ意見ニ根拠セルモノナリ。
 現在ニ於テ本社ノ事務所ハ凡ソ二十五ケ所アリ。社員ノ名額ハ一千二百人アリ。今特ニ本社事務所ノ所在地、幹事ノ人数、社員出身別、社員学科別、社員業務別社員現在住所分布表等ヲ次ニ掲グ。
      事務所及幹事人数表
   事務所     所在地    幹事人数
 総事務所       上海     二八
 - 第55巻 p.385 -ページ画像 
 北京事務所      北京      四
 直隷事務所      天津      一
 江蘇事務所      南京      二
 湖北事務所      武昌      四
 広東事務所      広州      一
 湖南事務所      長沙      二
 福建事務所      福州      二
 四川事務所      成都      二
 雲南事務所      昆明      二
 浙江事務所      杭州      四
 江西事務所      南昌      四
 奉天事務所      瀋陽      一
 吉林事務所      寛城子     二
 山西事務所      太原      四
 貴州事務所      貴陽      一
 青島事務所      青島      四
 東京事務所      東京      四
 京都事務所      京都      二
 英国事務所      倫敦      一
 徳国事務所      柏林      二
 法国事務所      巴黎      一
 美国東部事務所    紐約      三
 美国西部事務所    加利福利亜   一
 美国中部事務所    芝加哥     一
  ○社員出身表、略ス。
  ○社員学科別表、略ス。
  ○社員業務表、略ス。
  ○社員現在住所分布表、略ス。
 民国十三年一月、本社ハ社ノ中心事業トシテ学芸大学ノ設立計劃ヲ議決シ、創立委員ヲ設ケテ社員王兆栄氏ヲ創立委員長ニ挙ゲ、社員何崧齢氏・范寿康氏・郭開貞氏・周昌寿氏ヲ創立委員トナシ、直ニ寄附金募集ニ着手セリ、而シテ此ガ創設資金ハ壱百万弗トシ、主トシテ民国国内ハ勿論、同時ニ広ク日本及欧美各国ノ民間有志者ノ援助ヲ仰ガントスルモノナリ。日本方面ニ於テ、日本全国商業会議所聯合会・日華実業協会・日華学会等有力ナル民間団体ガ、何レモ本大学ニ対シ、熱心ナル御賛助ヲ賜ハレ《(リ)》ツツアルコトハ、本社同人ノ大ニ感謝致ス所ナリ。
 抑本大学設立ノ趣旨ハ二アリ。即チ一ハ教化ノ刷新ヲ謀リ、二ハ真正ノ人材ヲ養フニ外ナラズ。今日民国ノ教育ニ就イテ言ヘバ、学校ハ林立スルガ如ク数甚ダ多シト雖モ、其ノ内容ノ腐敗ニ至リテハ誠ニ識者ヲシテ寒心セシムルニ足ルモノアリ。官立学校ハ積年内乱ノ影響ヲ蒙リ、経費ノ困難絶頂ニ達シタルヲ以テ、教化ノ頽敝ハ更ニ言フヲ待タズ。私立学校ニ至リテハ、或ハ宗教的教育ニ偏ジ、或ハ物質的教育ニ傾キ弊風亦甚シ。従テ当今民国ニ於テ人材ノ興ラザル又故ナキニア
 - 第55巻 p.386 -ページ画像 
ラズト云フベシ。本社ハ斯ル事実ニ鑑ミ、学校ヲ創立シ、専ラ学芸ノ昌明及ビ人材ノ培養ヲ主眼トシ、其設立ノ順序ニ就イテハ、最初ハ文科・理科・法科等各専門部ヲ設ケ、而シテ漸次コレヲ大学組織ニ進メントスルモノナリ。詳細ナル預算案ハ別紙ノ如シ。
 以上ハ本社ノ略歴及ビ今回本社ノ発起ニ係ル学芸大学ノ計劃一般ニシテ、本社ハ切ニ御賛助ヲ懇願スルモノナリ。
  ○別紙略ス。
  ○右ハ横組ニ印刷サレタルモノナルモ便宜竪組トス。


日華実業協会往復(一)(DK550067k-0002)
第55巻 p.386 ページ画像

日華実業協会往復(一)          (渋沢子爵家所蔵)
「会長・副会長・幹事各位、東京商業会議所・日華学会宛」
拝啓
上海中華学芸社計画ノ学芸大学資金募集援助ノ儀ハ、昨年来全国商業会議所及日華学会ト協同ニテ援助方法協議中ノ処、偶東京始メ各地ノ商業会議所議員改選ノタメ今日迄遷延致居候カ、今回上海日本商業会議所ヨリ別紙ノ通リ更ニ後援方申越有之候間、不取敢入貴覧候 敬具
  大正十四年三月三十一日
                     日華実業協会
(別紙)
上商外一、三四八号
    一、中華学芸大学設立援助ニ関スル件
拝啓 益御清栄奉賀候、陳者客年京都及和歌山ニ於テ開催致サレ候商議聯合会並ニ事務協議会ニ当所ヨリ提出仕候首題ノ件ニ関シ、其後格別ノ御配慮ヲ賜ハリ、誠ニ難有厚ク御礼申上候
 中華学芸社ノ支那側寄附金募集運動ハ、其後奉直戦並ニ戦争直後ノ内政混乱ニ禍サレ、一時中止ノ已ムナキニ立至リ候得共、今ヤ戦禍漸ク去リ、人心逐次安定セルヲ以テ、学芸社同人更ニ結束ヲ堅クシ、飽ク迄所期ノ目的ヲ達成スヘク各団斉シク運動ヲ開始シ、仮令仮校ニテモ、来ル九月ヨリ予定通リ開校スル意向ナル旨申居候ニ就テハ、何卒日支文化的提携ノタメ同社ノ希望相達シ候様御後援相願度、此段重而右御依頼申上候 敬具
  大正十四年三月廿三日
                上海商業会議所
                   会頭 田辺輝雄
    日華実業協会 御中


日華実業協会往復(一)(DK550067k-0003)
第55巻 p.386-388 ページ画像

日華実業協会往復(一)          (渋沢子爵家所蔵)
拝啓
    上海中華学芸社ノ件
上海中華学芸社員ノ入京並ニ同学芸大学設立援助ニ関シ、上海商業会議所来翰別紙不取敢御送附申上候間、御覧置願候 敬具
  大正十四年十月二十七日
                     日華実業協会
    子爵渋沢会長殿
 - 第55巻 p.387 -ページ画像 
(別紙)
(ゴム印)
(写)
    一、中華学芸大学設立ニ関シ援助方依頼ノ件
拝啓 益々御清栄奉賀候、陳者日本留学出身者ヲ中心トスル中華学芸社ノ学芸大学設立ニ関シ、昨年来格別ノ御配慮ヲ賜ハリ誠ニ難有厚ク御礼申上候
 同社ノ支那側寄附金募集運動ハ本年三月二十三日附上商外第一、三四八号ヲ以テ御報申上候通リ、奉直戦並ニ戦争直後ノ内政混乱ノ為メ一時中止ノ已ムナキ状態ニ立至リ候得共、同社々員ハ其後益々鞏固ナル結束ノ下ニ運動着歩ヲ進メ、其不撓ノ努力ト四囲ノ後援トニヨリ、本年八月当地静安寺路ニ仮校舎ヲ設ケ、予定通リ九月ヨリ開校致候、学生ハ校舎ノ都合ニ因リ百名ヲ限リテ入学ヲ許可シ、目下法科予科及文科専門部ノミ教授ヲ開始シ居ルモ、本校舎新築ノ上ハ追テ法科専門部及理科ヲ加ヘ、医学専門部ニハ附属病院設置ノ予定ナル由ニ有之候開校後ノ経営維持ニ関シテハ、大体先般御送附申上候予算書ニ基キ実行スル方針ニシテ、北京政府ヨリノ補助金下附モ既ニ或程度ノ諒解ヲ得、殊ニ私交上ノ関係深ク、且ツ同社事業ニ対シ充分ノ了解ヲ有スル李財政総長ニ交渉ノ結果、支那文化事業ニ充当スル事トナリタル例ノ金「フラン」中ヨリ年額十万弗ノ補助ヲ得ルコトニ略決定致候趣ニ付其他民間ノ連続的寄附金ト相俟テ、将来維持費ノ点ニ就テハ悲観ヲ要セザル程度ノ成案ヲ得タル次第ニ有之、殊ニ其経営ノ方針ハ時ノ財政ニ応ジテ計画ヲ進メントスルモノナルガ故ニ、同社幹部諸氏ノ真面目ナル活動ニ徴シテ、将来必ズ堅実ノ発達ヲ遂ゲ、啻ニ支那文化ノ復興上ノミナラズ、日支両国ノ精神的提携上ニ多大ノ効果ヲ齎ス可シト思考被致候、而シテ目下問題トシテ只管計画実行ニ焦心シツヽアルモノハ、本校舎新築用地買収ノ件ニ有之、現在ノ仮校舎ニテハ建物狭隘ニシテ、設備不完全ナル為メ、多数学生ヲ収容シ能ハサル而已ナラズ、比較的多額ノ借家料ヲ要シ、経済上ヨリスルモ不得策ナルヲ以テ、速ニ校舎建築ノ要アリ、且ツ其敷地モ地価累年漸騰ノ当地ニ於テ、将来校舎増築拡張ニ備フルタメ、出来得ル限リ広ク買収スル計画ニテ、例年決済期タル年末ニ於テ土地売物多ク、殊ニ経済界異常ニ不況ヲ呈セル今年末ニハ、安値売地必ズ多カル可キ見込ナルヲ以テ、此際急遽是非共之ヲ実現致度希望ヲ以テ、委員極力奔走中ニ有之候、就テハ之ガ所要経費ニ就キ普ク諸方ノ後援ヲ仰ギ、殊ニ同社々員ノ大部分ガ日本留学出身者タル関係上、本邦実業家方面ノ理解アル後援ヲ最モ期待シ居ル次第ニテ、此点ニ関シ幸ヒ貴聯合会《(マヽ)》ノ有力ナル御後援ヲ得ル事トナリ、昨年十月廿四日、同十一月十四日及本年五月廿五日御開催ノ貴聯合会常任委員会ニ於テ、右設立基金ノ募集ヲ斡旋援助スルコトニ御決定相成候次第、其都度当所ヨリ学芸社委員ニ通報致シ、一同深ク感謝ノ意ヲ表シ居候
 事情右様ノ次第ニ有之、御繁忙中甚ダ恐縮ニ存候得共、此際右寄附金募集ヲ具体的ニ進行方特ニ御配慮賜ハリ度、切ニ御依頼申上候、尚今回日本学術協会ヨリノ案内ニ依リ、中華学芸社々員中ヨリ二十名支那側ヲ代表シテ参加スルコトヽ相成リ、一行ハ同社副総幹事周昌寿氏
 - 第55巻 p.388 -ページ画像 
(帝大理学士)ヲ団長トシテ(副団長江鉄氏帝大工学士)来ル二十四日当地発赴東ノ筈ニ有之、周・江両氏ハ右学術協会ノ用務終了後ハ、専ラ学芸大学寄附金募集ノ件ニツキ奔走ノ予定ナル趣ニ就キ、諸事援助方便宜御取計被下度、此段切ニ御依頼申上候 敬具
  大正十四年十月十九日
                上海日本商業会議所
                 会頭 田辺輝雄
   日華実業協会
    会長 子爵渋沢栄一殿


日華実業協会往復(一)(DK550067k-0004)
第55巻 p.388 ページ画像

日華実業協会往復(一)          (渋沢子爵家所蔵)
拝啓
    幹事会ノ件
曩ニ上海商業会議所ヨリ申越ノ
  中華学芸社学芸大学資金援助ノ件
右ニ干シ至急御相談申上度、来ル三十日(金曜日)正午ヨリ当事務所ニ於テ幹事会相催シ候間、御繰合セ御出席奉願候
  大正十四年十月廿八日
                     日華実業協会
    子爵渋沢会長殿


日華実業協会第五回総会報告書 第六頁大正一四年一二月刊(DK550067k-0005)
第55巻 p.388 ページ画像

日華実業協会第五回総会報告書  第六頁大正一四年一二月刊
    第五回会務報告 大正十三年十二月以降
○上略
  一、上海中華学芸社ノ大学設立援助ノ件
 右ハ前会総会ニ於テ詳細報告致シマシタ通リ、全国商業会議所聯合会及日華学会ト聯合協力シテ援助ヲ為ス事ニ決定シテ居リマスガ、未タ時期熟セサル為メ実現ヲ見ルニ至リマセン
○下略