デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2021.9.1

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

6章 対外事業
2節 支那・満洲
6款 日華実業協会
■綱文

第55巻 p.402-409(DK550072k) ページ画像

大正15年1月27日(1926年)

是月二十日付ノ書翰ヲ以テ、上海駐在商務書記官代理加藤日吉ヨリ、当協会ニ対シテ、上海商工館設置ニ援助方依頼アリ。是日、当協会幹事会ヲ開キテ、之ニ関シ協議ス。栄一、会長トシテ之ニ与ル。


■資料

日華実業協会往復(一)(DK550072k-0001)
第55巻 p.402-409 ページ画像

日華実業協会往復(一)          (渋沢子爵家所蔵)
(欄外別筆) (朱書)
会長 御参考
(写)
合第一号 大正十五年一月廿日
                上海駐在商務書記官代理
                  副領事 加藤日吉
    日華実業協会御中
 - 第55巻 p.403 -ページ画像 
    上海商工館設置案ニ関スル件
本件ニ関スル私見別紙ノ通リ開陳致スニ付テハ、御研究ノ上、将来適当ノ機会ニ於テ其ノ実行方御援助賜ハリ度
(別紙)
      上海商工奨励館設置案
(一)上海商工奨励館設置ノ必要
 上海ニ於テ商工奨励並ニ中日実業家社交上ノ機関トシテ一会館ヲ設置スルノ要ハ曾テ提唱セシコトアリシガ、其ノ機未ダ熟セザリシト其後帝都ノ大震災ノ如キ出来事ノ為、遂ニ何等具体的進行ヲ見ル事出来ナカツタガ、欧洲戦後財界ノ整理、震災打撃ノ復興等ヨリシテ我対外貿易促進ノ気運ハ大イニ動キ、国内産業改善、輸出諸機関ノ整備、販路開拓等ノ如キ、最近其ノ研究愈々緊密ヲ加ヘ来レルノ観ガアル、例ヘハ茶業組合ガ三十万円ノ予算ヲ以テ米国ニ対スル広告宣伝ヲ画セルガ如キ、又各府県其他商業団体ニ於テ見本市或ハ見本展示会ノ如キ催シガ着々トシテ実益ヲ挙ゲ来レルニ従ヒ、遂ニ今ヤ中央亜細亜・南洋・支那等海外市場ニ向テ其力ヲ致サントスルカ如キ、更ニ海外市況調査事業ノ方面ニモ亦漸ク実行ノ緒ニ就ケルモノアリ
 是等諸事業ハ決シテ一時ノ流行ト目スベキニアラザルノミナラズ、将来益々其ノ必要ヲ認識セラル可キニ至ルハ、  《(欠字)》ニ当然ノ帰結ナリ特ニ中国ト我国ノ貿易関係ハ年ト共ニ密切《(接)》ヲ加ヘ来リ、特ニ昨年ノ如キ、我対支輸出五億八千五百万円、輸出超過三億一千四百万円ト謂フカ如ク、空前ノ大「レコード」ヲ示シ、益々其ノ前途ノ多望ヲ思ハセルモノアルカ、中国自体ハ政府ノ基礎愈々堅固ナラズ、而カモ法権回復、関税率ノ改訂、思想界ノ混乱、排外運動乃至労働問題等時局益々多端ナラントシ、経済上ノ利害ハ日ト共ニ切実緊張ヲ加ヘツツアリ、然リ而シテ其対策ニ付テハ、我国家並ニ国民ガ共ニ研究緩カニス可カラザル次第デアルガ、貿易販路ノ調査研究ハ其基礎的事業デアラネバナラヌ
(二)上海ニ於ケル邦人関係調査機関
 現在上海ニ事務所ヲ有スル公立調査機関ヲ示セバ左ノ如シ
 第一、上海商業会議所
  週報ヲ発行シ地方経済事情ノ調査ヲ為ス
  経費年額約三万五千弗
 第二、大阪貿易調査所
  大阪市役所ノ経営ニシテ大正十一年創設、大正十三年以来大阪関係商ノ見本市ヲ開催シ、中日両国商人間ノ楔子トシテ甚大ナル働ヲ為シツヽアリ
  現在経費年額二万五千円見当、大正十五年度ヨリ更ニ事業ヲ拡張内容ヲ充実シ、進ンデ天津ニモ支所増設ノ計画アリ
 第三、大阪府立商品陳列所駐在員
  大正十一年創設、大阪関係商品ノ技術的研究ヲ主トス
  経費年額約四千五百円
 第四、北海道海産物貿易調査所
 - 第55巻 p.404 -ページ画像 
  大正十四年創設、函館・小樽其他北海道内海産商同業組合ノ共同事業ニテ、組合員取扱商品ノ市況調査並ニ取引ノ斡旋ヲ為ス
  経費年額約四千五百円
  大正十五年度ヨリ約八千円ニ増額予定
 第五、蚕糸業同業組合中央会特派員
  大正十三年創設、生糸市況調査研究ヲ主トス
  経費年額約一万円
  大正十五年度ヨリ上海・広東・重慶・山東各所ヘ移動巡回ノ事トナレリ
 第六、朝鮮物産館
  大正十四年朝鮮人有志ニヨリ創立セラレ、朝鮮対上海貿易事情ノ調査並ニ取引仲介ヲ為ス
  経費年額一万円見当
 第七、満鉄調査課駐在員
  大正十三年設置、満洲ト中部支那経済関係ノ調査ヲ主トス
  経費年額約一万円見当
 右ノ外目下計画中ニテ未ダ実現ニ至ラザルモノ、及ビ不定期見本展示会開催ヲ計画セルモノ左ノ如シ
 イ、日本羊毛工業会
  「モスリン」ノ広告試売ヲ主トシ、大正十三年第一回、大正十四年第二回ノ見本展覧会ヲ開催シ、更ニ香港・広東・天津等各地ヘ巡回シ、多大ノ効果ヲ挙ゲタリ
  右ニ使用セシ経費ハ毎回数万円ヲ費セシナラン
 ロ、京都市役所主催見本展覧会
  大正十三年九月挙行ノ予定ナリシ処、江浙戦突発シ、更ニ罷業騒キ等ニ禍セラレ中止セラレシガ、愈々大正十五年三月下旬実行ノ事ニ決定セリ
  尤モ別動隊トシテ大正十五年一月京都商業会議所ヨリ、右蒐集見本中ノ一部ヲ携ヘ来滬、約一ケ月滞在シ、関係中国商ノ意向調査中ナリ
 ハ、愛知県織物同業組合
  大正十三年中毛織物ヲ主トシタル同県産出織物ノ見本覧示会ヲ計画セシモ、動乱ノ為延延トナリ居レリ
 ニ、其他以上述ベタル処ハ何レモ定期或ハ常設的ニ行ハントスルモノナルガ、其他ニ公私団体・組合或ハ商社等ニ於テ関係商品ノ試売、見本展示、或ハ紹介ヲ欲スルモノ極メテ多ク、我商務官事務所ニ於テ取扱フモノ、内地・台湾・朝鮮・満洲各方面ニ渉リ、毎年数百件ニ上リ居リ、年一年増加ノ傾向顕著ナルモノアリ
(三)見本市並展示ノ利害得失如何
 大阪市役所主催見本市ハ当業者十数軒ノ団体ヨリナルモノ、既ニ数回行ハレ、其取引高モ毎回数十万円ノ好成績ヲ挙ゲツツアリ、本邦当業者中ニハ直チニ右ノ如キ見本市ヲ開催スルコトニヨリ同様結果ヲ得可シト期待スルモノアルガ、実際上左記ノ如キ事情ニヨリ其影響ヲ受クル事トナル
 - 第55巻 p.405 -ページ画像 
 第一、見本市商品撰択上ノ注意
  商品ハ理想トシテ在留邦商(小売・輸出入商共)ト可成競争関係少キ新規商品タル可キヲ要スルガ、実際ニ当リテ斯ク制限ヲ附スルコトモ出来ザル場合アリ、サレバ従来取引関係ノ有無ヲ明カニシ、若シ取引関係者アル時ハ、原則トシテ該取引ノ受取決済等一切該当業者ノ手ヲ通シテ行フ事肝要ナリ
 第二、顧客招来上ノ困難
  見本市或ハ展示会ノ商品如何ナル種類ナルカニヨリ、主権者側《(催)》ニ於テハ予メ関係邦商或ハ支那商ニ対シ案内通知ヲ為サザル可カラザル次第ナルガ、普通在留邦商ト取引関係ヲ有スル支那商ハ略ホ之ヲ知ル事得ルモ、否ラザルモノハ如何ナル商品ニ対シ何某支那商ヲ案内スベキカ、又其商人ノ信用程度ノ調査等甚ダ困難ナリ
  サレバ大阪市役所並ニ関係邦商ノ如ク、既ニ支那商トノ間ニ相互多年ノ取引ヲ継続シ来リシモノハ兎モ角、否ラサルモノハ先ツ支那商招来方法ニ付相当ノ準備ヲ要ス
  尤モ単ニ見本ヲ一般公衆ニ展示シ、一種ノ宣伝広告ヲ為ス事ニ満足スルナラバ、其ハ別問題ナリ
  然リ而シテ個人ノ信用調査ハ甚ダ困難ニシテ、且ツ縦令信用判明シテモ、先方トシテモ亦邦商ニ対スル一種ノ不安ハアル可ク、而シテ此間受渡・代金決済ノ方法等ハ相互少クトモ相当期間ノ試練ヲ経ルニ非レバ、充分円滑ナルヲ得ザル可ク、此ノ試練期間ニ対シ通信仲介其他斡旋ヲ為スモノナカル可カラズト思ハルルガ、大阪市役所ノ如キ常設機関ヲ有セサルモノニ取リテハ此点ニ付特ニ考慮ヲ払フヲ要ス
 第三、見本品ノ連続的提供
  既ニ相互間充分知ラレタル商品ナラバ兎モ角、新規商品ニ在リテハ一定期間例ヘハ一週間位ノ開催期中、商品並ニ売価ヲ支那商ニ供給スル事出来ルトシテモ、商取引ノ性質上単ナル一回ノ展示或ハ切衝《(折)》ニヨリ商談ノ成立ヲ見ル事能ハザルコトアリ、サリトテ英文・日本文等照会通信ニ不慣ナル支那商トシテ遂ニ億劫トナリ、折角商取引開始ノ意アリナガラモ見ス々々其ノ機ヲ逸スコトモアラン
  如此キ場合、上海ニ常設機関アリ、極メテ簡便ニ見本ノ供給ハ勿論、商談ノ進行ヲ為シ得ルモノトセバ、適《(極)》メテ好都合ナルヘク、大阪市役所調査所ノ如キハ充分此等ノ働キヲ為シ居ルガ如シ
  サレバ、上海ニ於テ此ノ重要ナル働キヲ為ス機関ノ設立ハ、寧ロ見本市或ハ見本展示ヲ開催スル上ニ於テ、先決問題ナリトモ謂ヒ得可シ
 第四、会場設備ト駐在員
  見本市或ハ展示会開催上最モ大事ナルハ会場ナリ
  過去ニ於ケル展示会ノ有様ヲ見ルニ、或ハ商友倶楽部ノ文房具市大東旅社ノ「モスリン」市、臨時南京路通リ商舗ヲ借入レテノ第二回「モスリン」市、或ハ邦人旅館ノ一室ニ於テ行ハルル小規模ナル雑貨展示会、甚ダシキニ至リテハ見本行李ヲ持参シテ支那商
 - 第55巻 p.406 -ページ画像 
ヲ個別訪問スル等、種々ナル方法ニ依リテ行ハレタルガ、何時モ関係者ノ頭ヲ悩スハ適当ナル場所ト設備ノナキ事ナリトス
  尤モ大阪市役所ニテハ、大正十四年以来事務所中ニ相当ノ設備ヲ為セシガ、是亦狭隘ヲ感スルニ至リ、最近更ニ拡張ノ計画アルガ如シト雖モ、是トテ理想的トハ謂フ可カラズ、且ツ大阪市関係商以外ニ随時誰ニモ提供シ、又借受出来ルモノニモアルザル次第ナレバ、見本市開催計画ニ対スル経費予算ノ如キ、全ク其見積困難ニテ、従ツテ折角見本市或ハ見本展示会発達ノ気勢ハ、為メニ大イニ阻害セラレ居ルモノアルガ如シ
 第五、見本品ノ保管並ニ処分
  適当会場ヲ有セサル関係上、携帯セル見本品ハ之ヲ分配スルカ、或ハ持帰ルヨリ外ナキガ、折角纏リタル見本ヲ充分有効ニ散布分配シ得サル感モアリ、又可成有利ニ売却処分セント欲シテモ、旅程ノ関係上果シ得ザル事アリ
  又在留邦商ニ托シテモ、扱ヒ慣レザル商品ノ如キ、充分其効果ヲ期待シ得ザルモノモアルヘシ
  如此キ場合、一定ノ場所ニ臨時保管シ、徐々ニ関係支那商トノ引合ニ便スルハ勿論、之ヲ有利ニ処分シ、経費ノ一端ニモ充当スル事トナラバ、見本市主催者ニトリテモ極メテ利便ナルモノトナリ延ヒテハ如此キ催シヲシテ漸次普及セシムルコトトモナラント思ハル
 第六、展示ト即売
  見本市ハ其名ノ示ス如ク、其目的見本ニヨリ取引ヲ為スニアレドモ、時ニハ単ナル展示ニ依リ嗜好並ニ品質改善等ノ調査研究ヲ主トスル場合モアル可ク、又比較的多数ノ見本ヲ携帯陳列シ、試売ノ意味ニ於テ即売ヲ為ササル可ラザル場合モアラン
  上海ノ如キ中心市場ニ於テハ寧ロ取引或ハ展示ヲ主トシ、支那内地市場ニ於テ即売広告ヲ実行スル事策ノ得タルモノト思ハル
  而シテ支那主要都市ニ於ケル見本市ハ従来其ノ例アルモ、少シク内地ニ向ツテハ未ダ行ハレタル事ナキガ如シ
  是レ旅行日程・経費等ニヨリ自然意ノ如クナルヲ得ザル為ナル可キモ、将来此種ノ試ミモ看過ス可キニ非ズ、例ヘハ長江流域諸都市、特ニ四川・雲南・広西地方ノ如キ、又北方ニ於テハ張家口・河南方面ノ如キ、満蒙方面ニ於テハ洮南・白音太拉ノ如キ内地市場ニ対シ、其地方向キ商品ヲ撰択シ之ヲ行フ事ハ極メテ面白カルヘシト思ハル
(四)見本市ト在支総本部設置ノ必要
 前述ノ如ク、見本市ハ種々ノ形式ト状況ニ応ジ、支那各地ニ渉ツテ之ヲ行ハザル可カラズ、特ニ支那関税ノ引上、支那市場ニ於ケル産業勃興等ノ気運ニ随伴シ、我対支輸出商品ノ品種内容ニ於テモ、漸次推移改善ヲ要スル事勿論ニシテ、輸出入業者或ハ我製造業者自ラ見本市ノ如キ方法ニ依リ市場研究ヲ為スノ必要ハ一層切実トナル可ク、而シテ是等事業ニ対シ組織的統括的活動ノ本部タル可キ一機関ノ創設ハ現下ノ急務ナリ
 - 第55巻 p.407 -ページ画像 
 然リ而シテ、此ノ目的ニ適合セル場所ハ交通・金融・取引ノ中心市場タル上海ヲ第一ニ推ササルヲ得ズ
 即チ上海ヲ足場トシテ南中北各地ニ其ノ手ヲ伸バス事、最モ労少クシテ而カモ大ナル効果ヲ獲得シ得可キハ疑ヒヲ容レズ
 即チ上海商工館ノ設置ハ、此ノ重大使命遂行上欠ク可カラザルモノナリ
(五)実業会館設置ノ必要
 上海ノ如キ両国経済関係密接セル土地ニ於テ、両国実業家ガ社交並ニ商談等ニ関シ集会ヲ催スガ如キ何等機関ナシ
 中日聯議会(我在滬実業家ト欧米留学出身支那実業家、中日町内会聯合会壬戊倶楽部(在滬日本官商有志ト日本留学出身者)、中日信友社、其他多クノ団体アリ、又支那側ニ於テモ留日学会・中華学芸社等日本ニ縁故アル学術社交上ノ団体アリ、両国人士ノ交際ハ年ト共ニ密接頻繁ヲ加ヘントスルノ傾向アルハ甚ダ愉快ナル事ナガラ、未ダ何レモ基礎堅固ナラズ、従ツテ其ノ会合ノ如キモ旅館・料理店個人宅等ニ於テ行ハレツツアル有様ニテ、何レモ共同的倶楽部存置ヲ熱望シツツアルモ、財政上俄カニ之ヲ達成スルコト困難ニシテ、従ツテ折角出来上リタル諸団体モ兎角其発達ヲ阻害セラレツツアルノ観ナキヲ得ズ、両国人士ガ経済・学術・社交上接近ヲ密ニスル為ニハ、国家的事業トシテ其ノ誘導ヲ図ル必要アル可ク、其為ニハ国努《(帑)》ヲ以テ適当機関ヲ設置スル、亦決シテ徒事ナリトセズ、若シ亦我国朝野有志ト支那有志トノ共同出資ニテ設置スルコトヲ得バ、更ニ好都合ナリト信ズルモノナルガ、何レニシテモ我ヨリ卒先之ヲ発起スルコトハ急務中ノ急務ナリト思惟セラル
(六)上海商工館設計
 見本市並ニ見本展示会及ビ中日両国実業家共同「ホーム」トシテ商工館ノ設置ノ必要ナル所以ヲ説述セシガ、是ガ実行案ニ付左ニ一・二私案ヲ提出スルコトトスヘシ
 第一案
  イ、創立費 金百四十万円
   内訳 敷地   二畝半(約五百坪) 銀三十七万五千両
      本館   四階建四百坪    銀三十四万八千両
      倉庫                  七千両
      諸設備                十七万両
      合計                 九十万両
      対日為替六〇両トシ約百四十万円
 ロ、経常費 金拾壱万円

   内訳 館長     一名  年額  一二、〇〇〇円
      技師並事務員 三名      一八、〇〇〇円
      助手並雇員  十二名     二〇、〇〇〇円
      給仕雑傭   十五名      七、〇〇〇円
      諸給・手当          一〇、〇〇〇円
         旅費           三、〇〇〇円
      見本購入費           二、〇〇〇円
 - 第55巻 p.408 -ページ画像 
      図書並印刷費         一二、〇〇〇円
      消耗品費            七、〇〇〇円
      通信費             五、〇〇〇円
      交際雑費・保険料       一四、〇〇〇円
      合計            一一〇、〇〇〇円
 第二案
  イ、創立費             金六〇、〇〇〇円
   内訳 備品購入代         金五〇、〇〇〇円
      諸雑費           金一〇、〇〇〇円
  ロ、経常費 金拾壱万円
     家賃 月五、〇〇〇円     金六〇、〇〇〇円
     家屋税             金八、四〇〇円
     俸給館長 一名 月六〇〇円   金七、二〇〇円
      事務員 三名         金九、〇〇〇円
      諸雇 十五名         金五、四〇〇円
     手当並旅費           金八、〇〇〇円
     見本購入代           金一、〇〇〇円
     図書類・印刷資         金四、〇〇〇円
     消耗品費            金四、〇〇〇円
     通信費             金一、二〇〇円
     交際雑費・保険料        金一、八〇〇円
     合計            金一一〇、〇〇〇円
(七)上海商工館経営方法ト其財源
 前項ニ於テ述ベタルガ如ク
 第一案 創立費百四十万円 経常費十一万円
 第二案 創立費六万円 経常費十一万円
 ノ二案ヲ得タルガ、第一案ニ於テハ地所及家屋ヲ所有セントスルニ対シ、第二案ニ於テハ適当ナル場所ノ借家ヲ以テスル方針ニテ作成シタルモノナリ
 勿論第一案ヲ以テ理想トスルモノナレドモ、一時ニ多額ノ経費ヲ要セズ、徐々ニ事業ノ基礎ヲ堅固ニシ、時期ヲ見テ地所並ニ家屋購入ノ第二段ノ設計ヲ実行スル事亦妥当ノ方法ナリト思ハル
 然リ而シテ、右創立ノ財源ヲ何処ニ求ムヘキカハ最モ重大ナル問題ナルガ、当局ハ勿論、対支那貿易関係業者其他一般ノ協力ニヨリ、其捻出必ズシモ難事ニ非ル可ク、又経常費約十一万円ハ外務・商工両省及対支文化事業費中ヨリ支出シ、一部中日両国貿易関係当業者其他ヨリ賛助会員ヲ募リ、其会費及ビ印刷物売上代・貸室料等諸収入ヲ以テ之ニ充当スル時ハ、其維持亦困難ニ非ル可キ乎
 尚ホ商工館ハ公会堂・倶楽部・商品見本陳列場・諸駐在員事務室・図書室・娯楽室・酒場・倉庫等ヨリ成リ、名実共中日間商工並ニ社交促進ノ活機関タラシムルヲ以テ主眼ト為スモノナリ
 又設立ノ時期ニ付テハ、関税法権諸会議ヲ控ヘ、大体対日感情良好ニ転換セントシツツアル現在ハ、応ニ逸ス可ラザル好機会ナリト思ハル
 - 第55巻 p.409 -ページ画像 
                (一九二六、一、二〇
                      副領事 加藤日吉)
 (備考)創立並ニ経費ニ於テ最モ重要部分ヲ占ムルハ、地所並建物費ナルガ、若シ横浜正金銀行ノ諒解ヲ得テ同行上海支店旧「ビルデング」(目下空屋)ヲ割安譲受或ハ借用出来得ル時ハ、其儘直チニ使用シ得ルモノナレバ、非常ニ利便ナル可ク、且ツ其位置ヨリ見テモ又ナキ好適ノ場所ナリト思ハル


日華実業協会第六回会務報告書 第八―九頁大正一五年一二月刊(DK550072k-0002)
第55巻 p.409 ページ画像

日華実業協会第六回会務報告書  第八―九頁大正一五年一二月刊
    役員会並ニ諸会合(大正十五年一月以降)
○上略
幹事会 一月廿七日、正午ヨリ会務報告旁本年初会幹事会ヲ開催ス、児玉副会長、白仁・白岩・森・角田・奥村・森・入江各幹事出席、左記各項ニツキ報告並ニ意見交換ヲ為ス
○中略
 一、上海商工館設置意見書ニツキ意見交換ヲ為ス
○下略