デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
1款 東京商業会議所
■綱文

第56巻 p.25-28(DK560011k) ページ画像

大正5年11月9日(1916年)

是日、当会議所ニ於テ、聯合国経済会議特派委員長阪谷芳郎帰国歓迎晩餐会開カル。栄一、陪賓トシテ出席ス。


■資料

集会日時通知表 大正五年(DK560011k-0001)
第56巻 p.25 ページ画像

集会日時通知表  大正五年      (渋沢子爵家所蔵)
十一月九日 木 午後五時 中野武営氏より御案内(東京商業会議所)


東京商業会議所月報 第九巻第一一号・第五七頁 大正五年一一月 男爵阪谷芳郎君外一行招待会(DK560011k-0002)
第56巻 p.25 ページ画像

東京商業会議所月報  第九巻第一一号・第五七頁 大正五年一一月
    △男爵阪谷芳郎君外一行招待会
一、聯合国経済会議特派委員長阪谷男爵及同委員鶴見・矢部両君帰朝ニ付、十一月九日午後五時当所ニ招待シ晩餐会ヲ開キ、中野会頭ノ挨拶ニ次テ阪谷男爵ノ欧米ニ於ケル経済上ノ視察談アリ、主客懇談ヲ尽シテ午後九時散会シタリ


中外商業新報 第一〇九八七号 大正五年一一月一〇日 阪谷男招待会 九日商業会議所(DK560011k-0003)
第56巻 p.25-26 ページ画像

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〔参考〕竜門雑誌 第三四二号・第八三―八四頁 大正五年一一月 ○阪谷男爵帰朝(DK560011k-0004)
第56巻 p.26-28 ページ画像

竜門雑誌  第三四二号・第八三―八四頁 大正五年一一月
○阪谷男爵帰朝 本社評議員会長法学博士男爵阪谷芳郎君は聯合国経済会議特派委員長として本年五月一日渡欧の途に上られたるが、無事使命を果し、帰途英米諸国の経済事情を視察し了りて、エンプレス・オブ・ジヤパン号に便乗し、十一月三日午前六時横浜入港 ○中略 帰朝せられたり。当日各新聞記者の訪問に対し、男爵の語れる帰朝談の概要左の如し。
 △経済会議諸経過 経済会議は六月十四日より十七日まで四日間巴里にて開会せられたるが、会議の目的は聯合国側に於て独逸を中心とする中欧経済同盟に対抗し、経済上の同盟を形作らんとするに其基礎を置きたり、而して各国委員の会同するや、経済上の自衛方策に付き熱心に討究したるが、結局聯合各国を一団として同盟側の圧迫を防止せんと欲し、此目的を貫徹する為(一)戦時中に処すべき適当の方法を講ずること、(二)戦時及戦後に於て被る可き聯合各国の経済上の打撃を除去すること、(三)平和克復後聯合各国は一
 - 第56巻 p.27 -ページ画像 
致して永久的の保護政策を講ずること等に付協議せり、而して各国委員の歩調容易に一致し会議は迅速に終了したるが、決議事項に対する具体的の成案は之を会議に上さす、将来聯合国に於て最善の方法を採ることに決定したり
 △交戦国人心一変 今回欧洲巡遊中最も痛切に感じたるは、各国に於ける人心の一変せること是なり、欧洲交戦諸国民は今回の大戦乱を以て国家存亡の別るゝ所となし、一身を抛ちて公に殉する精神の磅礴せるを見る、彼等は如何なる困難に逢ふも敵を屈伏せざれば已まざる意気を有し、其鬱勃たる国民精神の流露抑ゆべからざるものあるを示せり、余は屡々欧洲を巡遊したれど、人心の緊張せること今回の如きは未だ曾て見ざる所にして、恰も別世界に入りたるが如く感じたり、念ふに欧洲交戦国は貴重の生命と富力を消尽し、其物質上の損害実に名状すべからざるも、一方に於て其国民精神の革新に就て千古未曾有の教訓を受けつゝあることを看過すべからず
 △交戦国経済状態 加之交戦国の経済状態は戦乱突発当時に於て一時大混乱を極めたれど、戦乱継続するに従ひ、漸次之に適応する経済組織を見るに至れり、例へば戦乱の為打撃を被れる産業は戦時的需要ある産業、軍需品製造工業に転ずる等、各種経済機関は戦時状態に順応して整備さるゝに至れり、されば交戦国民の経済上の苦痛は他国人の想像するが如く甚だしからず、尤も戦費の調達に付ては各国何れも苦心し、其日々費消さるゝ巨額の資金を得るに就て困難を極め居れど、兎に角各国は何とかして夫々適当の方法を案出し、未だ経済上に於て戦争を不能ならしむるに至らず、即ち経済上より見れば戦争が本年中継続し得るは勿論、明年に入るも其終結の期を予測し得ざるべき状態なり
 △交戦国の共助 而して英・露・仏・伊等の各交戦国は互ひに戦時の困難を共助する為め、軍事・経済・財政の各方面に亘り各国より委員を選任して共通的に其重要事項を処理し居れるが、這は確に聯合国の強味なり、例へば正貨の如き之を一定の中央市場に集積し、之を基礎として各交戦国の金融政策を確立するが如き、其聯合国側の持久力を強からしむる有力の方法なり、然らば独墺側の経済状態は如何と云ふに、固より聯合国側に比し甚しく窮状にあるは疑ひを容れず、左れど独墺の経済状態は之を知る材料に乏しく、多くは新聞雑誌等の断片的報道に依頼する外なきを以て、其真相を知るに困難なり
 △米国財界好況 世界大戦乱の為め米国経済界の大好況を呈せるは更めて云ふ迄もなく、同国金融市場は今尚ほ資金の豊潤を加ふる一方なれば、殆ど其処分に苦める有様なり、又同国は軍需品及各種原料品製造の盛況なるのみならず、一般製造業者も殷盛を呈し、近来は航運業も著しく発農せり、而して戦時米国財界の好況が戦後如何に変化するやは同国の一般に注意せる所なるが、識者の多くは戦後の反動来を期待し、今日に当り之が防止策の必要を絶叫し、財界の先覚者は各方面より其研究調査を怠らす、但し財界一部の論者は米国現下の盛況を以て千九百年来不景気の継続したる結果となし、戦
 - 第56巻 p.28 -ページ画像 
後の反動来を以て杞憂に過ぎずと唱道しつゝあり
 △日米経済関係 戦時激増せる資金を如何に運用すべきやは米国の大問題なるが、其方法としては海外に放資市場を求むるの必要を痛切に感得せり、就中対支放資は最も同国の嘱目せる所にして、支那の富源開発は実に同国財界の重大問題となり居れり、而して有識階級中米国の対支発展は日本との協力に俟つの外なしとの意見を有するもの少からざるが、特に日露協約に於て日本の地位を一層重要視するに至り、日本を除外するは米国の為め甚だ不利なるを覚知し、過般渡米せしゲーリー氏の主唱する如く日米両国は経済上、今後互に提携せざるべからずとの意見大に増加せり
 △戦後経営問題 欧洲各交戦国は今や危急存亡の秋に会し、国民は身を挺して困難に当り、殆ど他事を顧みる遑なきが如くなれど、今回の戦争は一面欧洲人を覚醒して其敢為勇往の意気を振作せること前述の如くなれば、戦後に於ける世界の経済戦に際し彼等の活動は戦前に比し更に目覚しきものあるを覚悟せざるべからず、尤も現在は国力を挙げて戦争に従事せる折柄とて、彼等は未だ戦後経営の方策に付き具体的方法を案出して之が実行を企つるまでには至らざれども、戦後其疲弊せる国力を速かに恢復する所以の道は、支那・南米及亜弗利加の富源を開発するにあることを一般に自覚せり、特に独り英国は戦時中と雖も早く既に此方面に着眼して、其発展方法を講ずることを等閑に附せざるは注目す可き事実なる可し。