デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
2節 其他ノ経済団体及ビ民間諸会
4款 日本実業協会
■綱文

第56巻 p.268-269(DK560070k) ページ画像

大正2年10月10日(1913年)

是日栄一、東京商業会議所ニ於テ、当協会発起人郷誠之助等ト会見シ、当協会会長就任ヲ請ハレ、之ヲ受諾ス。

十一月二十一日、帝国ホテルニ於テ、当協会協議会開カル。栄一出席シ、当協会ノ目的及ビ方針ニツキ演説ス。


■資料

竜門雑誌 第三〇五号・第五九―六〇頁 大正二年一〇月 ○青淵先生と日本実業協会(DK560070k-0001)
第56巻 p.268-269 ページ画像

竜門雑誌  第三〇五号・第五九―六〇頁 大正二年一〇月
○青淵先生と日本実業協会 少数実業家の発起に依りて成立を告げたる日本実業協会に於ては、青淵先生を会頭《(長)》に、中野武営氏を副会頭《(長)》に推薦したるも、同会の成立如何は青淵先生及中野氏の諾否如何に在りと伝へられしが、十月十日午後三時より商業会議所に於て青淵先生・中野武営氏と発起人側との会見を行はれたり、発起人の一人なる男爵郷誠之助氏は発起人を代表して曰く
 本会設立の趣旨は本邦の財政経済の将来に関し真摯なる研究調査を試み、其是とする所を実行するに在りて、決して他意無きも、只時に各自の我儘を主張するが如き事起らずとも保し難し、之を牽制して万全の発達を期せんが為めに、思慮深く経験に老けたる二氏を煩はさんとする也
と、之に対し、青淵先生は本会々員の顔振を見るに、何れも材幹秀で而かも気鋭に過ぐるの嫌ひなきに非ずとて大いに之を戒めたる後
 本会が果して一点私心を挟まず、一意公共の利を思ふものとせば、余が会長就任不承諾は折角の計画に一頓挫を与ふるに似たるを以て其厚意に対し承諾すべし
とて中野武営氏と共に就任を受諾せられたり。
因に同会の規則は左の如し。
    日本実業協会規則
 第一条 本会は日本実業協会と称す
 第二条 本会は事務所を――に置く
 第三条 本会は財政及経済に関する問題を研究し、之が実行を期するものとす
 第四条 本会々員は商工業に従事する者及会社銀行其他の経済団体の代表者に限る
 第五条 本会の会員たらんと欲する者は会員二名以上の紹介を要す
 第六条 本会に会長一名、副会長一名、幹事七名、常議員若干名を置く
 第七条 正副会長及常議員は会員中より幹事は常議員中より選挙す
   但任期は一ケ年とす
 - 第56巻 p.269 -ページ画像 
○中略
 第十条 経済及財政に関する時事問題に付、会員より請求ありたるときは幹事之を審議し、会長の承認を経て常議員会又は会員総会を開催するものとす
 第十一条 会長は特に必要と認むるときは会員中より調査委員を選定して会議の事項を研究調査せしめ、又は専門家を聘して其意見を聴取することあるべし
 第十二条 本会は毎年春秋二季に定時総会を開催し、同時に会員相互の懇親輯睦を図るものとす
 第十三条 会員は会費として一ケ月金弐円を醵出するものとす
 第十四条 本会は維持費として会員又は会員外より寄附金を受くることを得


青淵先生職任年表(未定稿) 昭和六年十二月調 竜門社編 竜門雑誌第五一九号別刷・第一七頁 昭和六年一二月(DK560070k-0002)
第56巻 p.269 ページ画像

青淵先生職任年表 (未定稿) 昭和六年十二月調 竜門社編
                竜門雑誌第五一九号別刷・第一七頁 昭和六年一二月
    大正年代
 年  月
 二 一〇 ―日本実業協会々長―大、四、一〇。


竜門雑誌 第三〇七号・第八二―八三頁 大正二年一二月 ○日本実業協会彙報(DK560070k-0003)
第56巻 p.269 ページ画像

竜門雑誌  第三〇七号・第八二―八三頁 大正二年一二月
○日本実業協会彙報 日本実業協会にては十一月十七日午前十時会長青淵先生・副会長中野武営氏其他の諸氏会合協議の上、青淵先生の指名にて左記諸氏を評議員《(常)》に推選したり。
 郷男爵・大橋新太郎・藤山雷太・和田豊治・若尾幾造・根津嘉一郎小野金六
越へて同月廿一日午後五時より重なる会員諸氏を帝国ホテルに招きて協議会を開きたり、青淵先生会長席に着きて、郷男・根津・和田・大橋・藤山・若尾諸氏を幹事に推選したる旨を披露し、且つ同会の目的方針を演説して会員一同の努力を望みて協議会を終り、午後六時別室に於て晩餐会を催し同七時半散会したり、当日の出席者は左の如し。
 青淵先生・中野副会長、郷男・大橋新太郎・根津嘉一郎・若尾幾造(以上幹事)、朝吹英二・浅野総一郎・安田善三郎・原六郎・前川太兵衛・小池国三・佐竹作太郎・野沢源次郎・杉原栄三郎・福沢桃介・堀江帰一・植村澄三郎・美濃部俊吉・岩崎清七・岩原謙三・伊藤幹一・福原有信・稲茂登三郎・久米良作・服部金太郎・藤村義苗渡辺福三郎・佐藤政五郎
尚ほ同月廿六日午前十一時交詢社に於て幹事会を開きたる由。