デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

8章 政府諸会
1節 諮問会議
1款 生産調査会
■綱文

第56巻 p.443-458(DK560117k) ページ画像

明治43年11月30日(1910年)

是月二十九日ヨリ、農商務省会議室ニ於テ当会第三回会議開カレタルモ、栄一、病気ノタメ欠席ス。先ニ特別委員付託トナリタル工場法案ニツイテハ、是日、委員浅田徳則、委員長栄一ニ代リテ、委員会審議ノ経過及ビ結果ヲ報告ス。

右ハ報告通リ可決セラレ、十二月一日、農商務大臣大浦兼武ニ答申セラル。


■資料

渋沢栄一 日記 明治四三年(DK560117k-0001)
第56巻 p.443 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四三年     (渋沢子爵家所蔵)
十一月七日 晴 軽寒
○上略 午後一時農商務省ニ抵リ、工場法ノ委員会ヲ開キ、逐条質問ノ事ヲ進行ス、岡局長詳細ニ説明セラル、午後五時ニ至リテ未了ノ儘閉会シ、更ニ来ル十四日午後開会ヲ為ス ○下略


竜門雑誌 第二七一号・第五四頁 明治四三年一二月 ○生産調査会(DK560117k-0002)
第56巻 p.443-444 ページ画像

竜門雑誌  第二七一号・第五四頁 明治四三年一二月
    ○生産調査会
○上略
翌三十日も前日に引続き午後一時より農商務省会議室に於て調査会を開きたり、出席委員四十二名、大浦会長議長席に着き、前日の本会議に於て決議を延期せる外国貿易増長の方法及び施設に関する第四・十一議案を附議したるが、二・三字句の修正を為し可決し、次で工場法案に関し、委員長青淵先生欠席の為め、浅田徳則氏之を代理し、特別委員会の決議報告あり、直に討議に移り、第一条の当時十人以下《(常)》の工場にも工場法を適用すべしとの意見出でたるも、少数にて否決せられ
 - 第56巻 p.444 -ページ画像 
同法案は全部委員長報告通り可決し ○中略 同三時半散会、本会議は之を以て終了閉会を告げたり
○下略


生産調査会録事(第参回) 第一二〇―一四五頁 明治四四年三月刊(DK560117k-0003)
第56巻 p.444-448 ページ画像

生産調査会録事(第参回)  第一二〇―一四五頁 明治四四年三月刊
    明治四十三年十一月三十日午後一時五十分開議
○上略
○議長(男爵大浦兼武君)其次ギニハ工場法案ヲ議題ニ供シマス、是レハ特別委員ノ熱心ニ攻究セラレマシタノデアリマスカラ、其特別委員ノ報告ヲ以テ致シタ方ガ宜カラウト思ヒマス、委員長ノ御説明ヲ願ヒマス
    工場法案
  (委員長代理浅田徳則君登壇)
○十七番(浅田徳則君) 工場法案ノ特別委員会ノ委員長渋沢栄一君ハ病気デゴザイマシテ御出席ガゴザイマセヌカラ、私ガ代リマシテ玆ニ委員会ノ経過及ビ結果ヲ御報告申上ゲマス、委員会ハ都合七回開キマシテ、最モ極メテ精細ニ又慎重ニ審査ヲ致シマシタノデアリマス、其結果ト致シマシテ諸君ノ御手許ニ配付ヲ致シテアリマス通リ、修正決議ニナリマシタ次第デゴザイマス、御承知ノ如ク本案ハ多年ノ宿題デアリマシテ、工業社会ニハ最モ重要ナ関係ヲ有ツテ居リマス、ソレデ委員会ニ於キマシテハ、農商務省ノ当局者ヨリ精シク説明ヲ承リマスニモ拘ラズ、尚ホ進ンデ吾々委員ハ此当業者ニ就イテ其実況ヲ親シク聴キタイト云フ希望ガアリマシタ、夫故ニ各地ノ紡績業者、或ハ製糸業者其他此工場衛生ニ経験ノアリマスル所ノ医師等ヲバ出席ヲ請ヒマシテ、精シク其実況ヲ承ツタノデアリマス、斯様ニ種々ノ問答其他研究ヲ遂ゲマシタ末ニ、尚ホ各地ノ商業会議所或ハ学術協会等カラ農商務大臣ノ諮問ニ答申ヲサレマシテ、夫等ノ要旨等モ参考致シマシテ然ル後ニ今日ノ報告ニナツタノデアリマスル、デ本案ヲ議シマスルニ当リマシテ、最モ議論ノ多クアリマシタモノ、及ビ又質問ノ多ク出マシタ箇条ハ、申スマデモナク此第一条デアリマス、第六条、是レガ最モヤカマシイ問題デアリマシテ、夫故此各条ニ就キマシテ理由ノ要領ヲ摘ンデ申上ゲヤウト思ヒマス、第一条ノ原案ニ依リマスルト云フト、本法ヲ適用致シマスル工場ノ範囲ト云フモノハ、勅令ヲ以テ指定サレルト云フコトニナツテ居ル、デ斯ク致シマスルト云フト、本法ハ施行サレマシタ所デ其範囲ト云フモノハ分ラヌノデアリマスカラ、行政官ノ意向ニ依リマシテ之レヲ伸バス事モ出来拡張スルコトモ出来ル、又之レヲ縮少スルコトモ出来ルト云フコトニナツテ、当業者ガ甚ダ迷フヤウナ場合ニ至リハセヌカト云フコトト、又法律ハ発布サレマシタガ更ニ勅令ヲ以テ法律ノ範囲ヲ伸縮スルト云フコトハ如何ニモ立法上好マシカラヌコトデアリマスカラシテ、是レハ原則トシテハ一般ニ之レヲ適用スルコトニシナケレバナラヌ、斯ウ云フ所カラ致シマシテ、初メノ本条文ノ中ヲ修正ニナリマシテ勅令ヲ以テ云々ト云フコトハ削除ニナツタノデアリマス、去リナガラ之レヲ全ク削除致シマシテ、一般ニ之レヲ適用スルモノト致シマスルト云フト御承知ノ如ク工場トシテ
 - 第56巻 p.445 -ページ画像 
微細ナル、極ク軽微ナル所ノ工場ガ多々アルノデアリマス、ソレヲ悉ク此法律ヲ適用スルト云フコトハ、実ニ是レハ繁雑ニ堪ヘナイコトデアリマスルカラシテ、夫故ニ末項ニ於キマシテ御覧ノ通リニ「本法ノ適用ヲ必要トセザル工場ハ勅令ヲ以テ之レヲ除外スルコトヲ得」ト斯ノ如ク致シテ、明カニ此工場法ニ拠ラザル所ノモノハ是レハ勅令ニ依ツテ明示スル、斯ウ云フコトニシタ方ガ穏当デアラウト云フコトニナツタノデアリマス、又此第一条ノ中ノ原動力ヲ用フルモノヲ削除スルト云フコトニナリマシタ、是レハ事実上十人以上ノ職工ヲ常時使用スルモノト云フコトニナリマスル以上ハ、大抵ハ此原動力ヲ用ヰザルモノハアルマイ、又事業ノ性質危険ナルカ又ハ衛生上ニ有害ノモノガアル、斯ウ云フコトモ原動力ヲ使用スル以上ハ必ズサウ云フコトハ伴フテ来ルデアラウト云フコトデアルカラシテ、特ニ玆ニ原動力ヲ用フルモノト云フコトヲ記載シナクテモ宜カラウト云フ所カラ、此原動力ト云フ文字ハ之レヲ省イタノデアリマス、去リナガラ此原動力ヲ実際用ヰマシテ、之レニ適合セザルモノガアル、夫レハ即チ除外ニナルモノデアリマスガ、サウ云フモノニ対シテハソレデハ如何ニ職工ノ保護ヲスルカ、又社会ノ公安上或ハ音響ノ喧騒ノタメニ其他ノ危険ノ場合ニ之レヲ如何ニ予防スルカト云フコトハ、是レハ無論必要ナコトデアリマス、故ニ此箇条ニ対シマシテ別ニ二十四条ヲ以チマシテ一条ヲ加ヘマシテ、是等ノ取締ヲ必要トスル条項ヲ規定スルコトニナツタノデアリマス、第一条ノ修正ノ趣意ハ大体唯今申上ゲタ次第デゴザイマスルソレデ第三条ニ於キマシテハ工場主ハ十六歳未満ノ者トナツテ居リマスル、之レヲ十五歳ト修正ニナリマシタ、此ノ理由ヲ簡単ニ申シマスルト云フト、法律上十六歳ト称ヘマスルノハ、即チ満十六歳デアリマスルカラシテ世俗ノ所謂十七歳、十八歳ト称スル者モ矢張リ此満十六歳以上ノ者ト称スルモノニナルノデアリマス、デ今日男子ガ数ヘ歳デ十七ニモ至ツテ居ツテ、十二時間ノ労働ヲスルコトガ出来ナイト云フマデニ制限ヲスルノハ、少シク制限ヲ為過ギルデハナイカ、ノミナラズ我国ハ古来既ニ十五歳ニ遠シマスレバ、夫レヲ以テ成人ノ期トシテ場合ニ依ツテハ戦争ニモ飛出スト云フ位ノコトモアルノデアツタ、又サウ云フ歴史モアル、又社会ノ実際ノ、又工業ノ状況ヲ考慮シテ見マスレバ、十六歳位ニナツテ居リマスルナラバ、大抵此生活ヲ自ラ助ケナケレバナラヌト云フコトハ、各々考ヘナケレバナラヌコトニナツテ居リマス、夫等ノ貧民ノ職業、収入ト云フモノヲ此労働ヲ減ジタガタメニ従ツテ減ゼラレルト云フコトノ弊ニ陥ルノハ、甚ダ不利ナコトニ帰着シヤスマイカト思フ、故ニ実際ノ利害ヲ比較シテ十五歳未満トナスノガ、コレガ相当デアラウト、斯様ナル意見カラ致シマシテ此十六歳未満ト云フノヲ十五歳未満ト修正ニナツタノデゴザイマスル、デ尚此条ノ中ニ第二項ニ「主務大臣ハ其業務ノ種類ニ依リ、本法施行後十五年間ヲ限リ前項ノ就業時間ヲ二時間以内延長スルコトヲ得」ト斯ウナツテ居リマス、是レモ永久ニ既ニ此十二時間ガ長イ就業デアルニモ拘ラズ、之レヲ特ニ就業時間ヲ二時間、或ル種類ニ依ツテハ延長ヲ許スト云フコトニナツテ居ルガ、斯ノ如キ事ヲ無期限ニ何時マデモ許シテ置クコトハ今日各国等ノ権衡上カラ見マシテモ甚ダ穏当ナラザルコ
 - 第56巻 p.446 -ページ画像 
トデアル、故ニ是等ノ時間ヲ延長セシメルト云フコトニ就イテモ、相当ニ制限ヲ置クガ必要ト認メルト云フ所カラ致シマシテ、十五年間ヲ限リマシテ之ヲ許シ得ルコトニ致シタノデアリマス、ソレカラ第四条ニ移リマシテ、是レモ工場主ハ十六歳未満ノ者トナツテ居ルノヲバ、十五歳未満ト云フコトニ改メタノデアリマス、是レハ本案ノ最モ必要ナル骨子トモ申スベキ夜業ニ関係ヲ有ツテ居ルノデアリマス、――アリマスルガ、既ニ第三条ニ於テ十五歳未満ト云フコトヲ認メマシタ以上ハ、是レモ矢張リ此十五歳ノ方ニスルガ適当デアルト云フ所カラシテ斯様ニ修正ニナリマシタ、次ギハ第五条ト第六条デアリマスガ、此第五条・第六条ハ便宜上第六条ノ方カラシテ説明ヲ致サウト思ヒマスデ第六条ハ施行後五年間ト云フノヲ十五年間ニ改メマシテ、以下ノ一号・二号是レハ削除ニナツテ居リマスルガ、此大体ノ修正ノ趣意カラ申シマスルト云フト、原案ハ御覧ノ通リニ漸次禁止ノ主義ヲ採ツタモノデアリマスルノヲ、之レヲ全ク変ヘマシテ、十五年ノ猶予期間ヲ置クト云フコトニ改メタノデアリマス、本条ハ職工ヲ二組以上ニ別ツテ交替ニ就業セシムル場合ニ関スル条項デアリマシテ、殊ニ紡績事業ニハ最モ重大ナル関係ヲ有スル規定デアリマス、此事ニ関シマシテハ、委員中ニ於テモ事業ニ経験ノアル諸君ヨリ縷々御意見ヲ吐露セラレマシテ、又各委員ニ於カレマシテモ慎重ニ考慮セラレマシタ末ニ、工業殊ニ我国ノ紡績事業ノ我国工業上ノ地位ニ激甚ナル変動ヲ及ボスト云フ恐レノアルモノヲ之レヲ、直チニ今日原案ノ如ク実行スルト云フコトハ容易ナラヌコトデアルカラシテ、相当ノ年月ヲ以テ夜業ヲ禁止スルコトニシナケレバ、之レヲ強イテ実行スルト云フコトニナリマシタナラバ、今日折角我邦ニ於テ紡績事業ノ発達ヲ遂ゲ、且ツ今後益々海外ニ向ツテモ発展ヲスルト云フコトヲ頓挫スルト云フヤウナコトニナルデアラウ、是レニ就イテハ委員ノ中ノ日比谷君カラシテ実際ノ計算等ヲ示サレマシテ精シク説明ガアツタノデアリマスルガ、是レハ私カラ御報告ヲ申スヨリハ、或ハ日比谷君ヨリ更ニ御聴取リニナツタ方ガ却ツテ詳細ヲ尽スデアラウト思ヒマスカラ是レハ略シマスルガ、其結局ヲ申シマスレバ、今日ノ紡績業ノ高ハ殆ンド半額マデニモ減ズルコトニナリハスマイカト云フ御説デアリマシタ、又各地ノ紡績業、紡績聯合会等ヨリ意見ヲ徴シマシタガ、夫レニ依リマシテモ略々同様ノ意見ヲ聴キマシタ次第デアリマシテ、是レハ実ニ容易ナラヌコトニナラウト云フコトカラシテ、今日ハ之レヲ十五年ト云フ期間ヲ置イテ、其間ニ徐ロニ夜業ヲ廃止スルニ相当ノ準備ヲ遂ゲシムルト云フコトノ精神ヲ以テ、斯ノ如ク修正ヲスルコトニナツタノデアリマス、第五条ノ十年ヲ十五年ト改メマシタノハ、即チ最終ノ猶予期間ニ矢張リ比準ヲ取リマシテ、十五年ト云フコトニ改メタノデアリマス、第七条ノ工業主ハ十六歳未満、是レモ即チ十五歳ト云フ即チ第三条ト同様ナル趣意ニ依リマシテ、斯ノ如ク修正ニナリマシタ、ソレカラ第八条、是レハ唯第六条ニ修正ヲ加ヘマシタ結果ト致シマシテ、乃チ第五条ニ第六条ノ規定ヲ適用スル必要ガナクナルノデアリマスカラ、是レハ斯様ニ修正サレマシタ、第九条第十条ヲ束ネテ修正ニナリマシタ理由ヲ述ベマス、デ原案ハ列挙致シマスル主義ニ依ツテ、法文中ニ業務ノ名称ヲ列
 - 第56巻 p.447 -ページ画像 
記シテアリマス @列記シテアリマスガ、却ツテ是レハ繁雑デアリマシテ、到底斯ノ如キモノハ施行規則ニ拠ルノ外アルマイト云フノデ、法律トシテハ概括的ニ之レヲ規定シテ置キマス方ガ却ツテ其事実ヲ尽スデアラウト云フ所カラ斯ノ如ク修正ニナリマシタ、デ、十六歳ヲ十五歳ニ改メマシタノハ、是レハ即チ第三条ノ修正ト同一デアリマス、第十条ノ十六歳ヲ、是レモ即チ十五歳ト改メマシタノハ、第九条ノ修正ノ結果デアリマス、第十一条、本条ノ修正モ第九条及ビ第十条ノ修正ノ結果等ヨリ文字ノ不用ニナリマスルタメニ削除ニナリマシタ、第十三条、是レハ原案ニ依リマスルト云フト、原案ノ二項ニ於テ前項ノ処分ニ不服アルモノハト云フコトニナツテ居リマスガ、独リ、此前項ノ処分ニ不服アルノミナラズ、此法全体ノ処分ニ亘ツテ、ソレデ此訴願ヲ許ス方ガ一層広ク救済ノ途ヲ開クコトニナルカラシテ、其方ガ適当デアルト云フ斯ウ云フコトノ意見ヲ以テ、第二十三条ニ別ニ一項ヲ設ケマシテ、即チ此救済ノ事ヲ規定致シタ訳デアリマス、即チ此二十三条ノ通リデアリマス、ソレカラ二十条ハ是レハ千円以下ト云フ罰金ノ範囲ヲ――罰金ノ最高額ヲ千円トアリマスノヲ五百円ト修正ニナツタノデアリマス、是レハ別ニ格別ノ意味ヲ有タナイノデアリマス、唯最高額ヲ少シク低メルト云フニ過ギナイノデアリマス、ソレカラ二十一条、是レモ「正当ノ理由ナクシテ」ト云フ字ヲ被ムラシメタノデアリマス、唯趣意ノ明瞭ヲ期シマシタノニ過ギマセヌ、其臨検ノ際トアルノハ、後ニ二十三条ヲ設ケ、ソレカラ十三条ヲ削除致シマシタ故ニ是レガ唯今申述べタ通リノ次第デアリマス、第二十四条ハ第一条ノ場合ニ申述ベマシタ通リニ、第一条ニ於テ原動力ヲ削除致シマシタ結果トシテ、此第一条ニ該当セザル所ノ工場ニハ職工ヲ保護シ、若クハ公安上取締リノタメニ是等ノ条項ヲ適用シマシテ相当ニ之レヲ取締ヲスル、斯様ナタメニ此規定ヲ必要トスルノデアリマス、先ヅ大体ハ唯今御報道申上ゲタヤウナ次第デゴザイマス、此委員会中ニハ余程詳細ナル御意見モ出テ居リマシタガ、何分是レヲ悉ク玆デ申述ベルト云フコトハ、迚モ今日中ニハ尽ス訳ニ往カヌ位多ク御意見モ出テ居リマシタ又実業――当業者ノ意見ト云フモノモアリマスルガ、是等ハ何レ速記ニナツテ居リマスルカラシテ御配附致サレルコトヽ考ヘテ居リマス、是ダケヲ……
○中略
○議長(男爵大浦兼武君) ソレデハ総テ御異論ハナイト認メマス、サウ致シマスレバ此問題ハ別ニ第一読会、第二読会ト云フコトハヤリマセヌ、始メ質問シテソレカラ特別委員会ト成ツテ、ソレカラ今日ノ問題ト成ツタノデアリマスカラ、是レデ全部結了シタト云フコトニシテ良カラウト思ヒマス
  (「異議ナシ」ト呼ブ者アリ)
○議長(農商務大臣男爵大浦兼武君) ソコデ一寸申シマスガ、此工場法案ハ昨年議会ニ出シタノデアリマスガ、政府ニ於テモモウ一度ビ研究ヲ致シタイト云フノデ撤回ヲ致シマシテ、サウシテ今日諸君ノ御意見ヲ伺フコトニ成リマシタノデ、諸君モ亦タ工場法案ヲ来ル議会ニ提出シタイト云フ御希望ノゴザイマシタ為メニ、其事ヲ御意見ヲ承ツテ
 - 第56巻 p.448 -ページ画像 
今日此案ガ生産調査会ニ於テハ可決致シマシテ、洵ニ私ニ於テモ満足致シマス、是レヨリ来ル議会ニ提出スル手続ヲ致シタイト存ジマス、尚ホ此案ノ通過スルコトニ御竭クシ下サルヤウニ御尽力ヲ願ヒタイト存ジマス○下略
  (午後三時三十分閉会)


生産調査会録事(第参回) 第四七―五四頁 明治四四年三月刊(DK560117k-0004)
第56巻 p.448-449 ページ画像

生産調査会録事(第参回)  第四七―五四頁 明治四四年三月刊
    工場法案ニ対スル答申書
 工場法案ハ別紙ノ如ク修正スルヲ可ナリト認ム
右本会ノ決議ニ依リ玆ニ答申候也
  明治四十三年十二月一日
                      生産調査会
    農商務大臣宛
    工場法案
      工場法
第一条 本法ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル工場ニ之ヲ適用ス
 一 常時十人以上ノ職工ヲ使用スルモノ
 二 事業ノ性質危険ナルカ又ハ衛生上有害ノ虞アルモノ
 本法ノ適用ヲ必要トセサル工場ハ勅令ヲ以テ之ヲ除外スルコトヲ得
○中略
第五条 左ノ各項ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ前条ノ規定ヲ適用セス但シ本法施行十五年後ハ十四歳未満ノ者及二十歳未満ノ女子ヲシテ午後十時ヨリ午前四時ニ至ル間ニ於テ就業セシムルコトヲ得ス
○中略
第六条 職工ヲ二組以上ニ分チ交替ニ就業セシムル場合ニ於テハ本法施行後十五年間第四条ノ規定ヲ適用セス
○中略
第八条 天災事変ノ為又ハ事変ノ虞アル為必要アル場合ニ於テハ主務大臣ハ第三条乃至第五条及前条ノ規定ノ適用ヲ停止スルコトヲ得
 避クヘカラサル事由ニ因リ臨時必要アル場合ニ於テハ行政官庁ノ許可ヲ得テ期間ヲ限リ第三条ノ規定ニ拘ラス就業時間ヲ延長シ、第四条及第五条ノ規定ニ拘ラス職工ヲ就業セシメ又ハ前条ノ休日ヲ廃スルコトヲ得
○中略
第九条 工業主ハ十五歳未満ノ者及女子ヲシテ運転中ノ機械若ハ動力伝導装置ノ危険ナル部分ノ掃除・注油・検査若クハ修繕ヲ為シ又ハ運転中ノ機械若ハ動力伝導装置ニ調帯・調索ノ取付ケ若ハ取外シヲ為シ其ノ他危険ナル業務ニ就カシムルコトヲ得ス
第十条 工業主ハ十五歳未満ノ者ヲシテ毒薬・劇薬其ノ他有害料品又ハ発火性ノ料品ヲ取扱フ業務、並著シク塵埃粉末ヲ飛散シ又ハ有害瓦斯ヲ発散スル場所ニ於ケル業務、其ノ他危険若ハ衛生上有害ナル場所ニ於ケル業務ニ就カシムルコトヲ得ス
第十一条 主務大臣ハ前二条ニ掲ケタル業務ノ範囲ヲ定メ及十五歳以上ノ女子ニ付キ前条ノ規定ヲ適用スルコトヲ得
 - 第56巻 p.449 -ページ画像 
○中略
第十三条 行政官庁ハ命令ノ定ムル所ニ依リ工場及附属建設物並設備カ危害ヲ生シ又ハ衛生、風紀其ノ他公益ヲ害スル虞アリト認ムルトキハ予防又ハ除害ノ為必要ナル事項ヲ工業主ニ命シ、必要ト認ムルトキハ其ノ全部又ハ一部ノ使用ヲ停止スルコトヲ得
○中略
第二十条 第二条乃至第五条・第七条・第九条及第十条ノ規定又ハ之ニ基キテ発スル命令ニ違背シタル者及第十三条ノ規定ニ依ル処分ニ従ハサル者ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
第二十一条 正当ノ理由ナクシテ当該官吏ノ臨検ヲ拒ミ若ハ之ヲ妨ケ又ハ其ノ訊問ニ対シテ答弁ヲ為サス又ハ虚偽ノ陳述ヲ為シタル者ハ三百円以下ノ罰金ニ処ス
○中略
第二十三条 本法ニ依ル行政官庁ノ処分ニ不服アル者ハ訴願ヲ提起シ違法ニ権利ヲ傷害セラレタリトスルトキハ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十四条 主務大臣ハ第一条ニ該当セサル工場ニシテ原動力ヲ用フルモノニ付テハ第九条・第十一条・第十三条・第十四条・第十六条第十八条乃至第二十三条ノ規定ヲ適用スルコトヲ得
第二十五条 本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ハ工場管理人ニ関スル規定及罰則ヲ除クノ外官立又ハ公立ノ工場ニ之ヲ適用ス
 官立工場ニ関シテハ所轄官庁ハ本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依リ行政官庁ニ属スル職務ヲ行フ
  附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  ○栄一ト工場法トノ関係ニツイテハ、左記ノ本資料各巻所収ノ各条参照。
    第十七巻所収 東京商法会議所  明治十三年十一月十五日
    第十八巻〃  東京商工会    〃十七年五月二日
    第十九巻〃  東京商工会議所  〃二十四年八月二十九日
    第二十一巻〃 〃        〃三十一年五月二十日
    〃    〃 〃        〃三十一年十月二十二日
    〃    〃 〃        〃三十五年十一月十七日
    〃    〃 〃        〃三十六年三月二十八日
    第二十二巻〃 商業会議所聯合会 〃三十五年十二月八日
    第二十三巻〃 農商工高等会議  〃二十九年十月二十三日
    〃    〃 〃        〃三十一年二月二十八日
    第二十七巻〃 社会政策学会   〃四十年十二月二十二日



〔参考〕竜門雑誌 第二七一号・第五二頁 明治四三年一二月 ○青淵先生御病気全快(DK560117k-0005)
第56巻 p.449-450 ページ画像

竜門雑誌  第二七一号・第五二頁 明治四三年一二月
    ○青淵先生御病気全快
青淵先生には十一月九日頃より少しく風邪の気味あり、引籠り療養中病は稍々昂進して、十三日頃より発熱三十九度以上に及び、同時に気管支加多児を起して数日間に渉りしより、或は肺炎に変ずる如きことなきかと気遣はれしが、主治医高木男爵及堀井医士の治療により、幸に二十日頃より漸く快方に向はせられ、日増しに恢復し終に本月 ○一二月
 - 第56巻 p.450 -ページ画像 
七日よりは常の如く事務所及第一銀行に出勤して事務を執らせらるゝに至れり ○下略



〔参考〕生産調査会録事(第弐回) 第二二―二三頁 明治四四年二月刊(DK560117k-0006)
第56巻 p.450 ページ画像

生産調査会録事(第弐回)  第二二―二三頁 明治四四年二月刊
第二、広軌鉄道ニ関スル建議案
       (提出者 益田孝君、同意者 男爵渋沢栄一君法学博士添田寿一君・岡崎邦輔君・原富太郎君・日比谷平左衛門君・野崎広太君)
 国内ノ富源ヲ利用シテ事業ヲ振興シ、農工商全体ノ力ヲ併セテ一団トナシ、以テ世界ノ競争ニ勝ヲ制セント欲セハ鉄道運輸力ノ強大ナルコトト其輸送ノ迅速ナルコトトヲ期セサルヘカラス、各国皆広軌鉄道ヲ以テ最大ノ利器トナシ、極力国内ノ産業発達ニ資シツヽアルニ方リ、我国独リ狭軌鉄道ヲ以テ、同一ノ成績ヲ挙ケ得ヘキノ理ナシ、今後益々産業ノ発達及貿易ノ増進ヲ企図スルニ当リテハ、競争列国ト同一ノ利器ヲ具備センコトヲ希望セサル可ラス、且又世界ノ大道ハ勿論支那・朝鮮・満洲ニ至ルマテ総テ広軌ヲ用ヰツヽアルニ我邦独リ狭軌ヲ守リテ改メストセハ、恰モ自ラ好ミテ世界ノ大道以外ニ偏倚スルモノニシテ、国家ノ体面ニ於テ不可ナルノミナラス、其結果国運ノ発展ヲ阻害スルコト大ナルヘシ、故ニ政府ニ於テハ広軌改築ニ関スル調査ヲ為シ、果シテ実行シ得ヘシトセハ速ニ之ヲ決定スルノ策ニ出テラレンコトヲ望ム



〔参考〕生産調査会録事(第参回) 第八八―九〇頁 明治四四年三月刊(DK560117k-0007)
第56巻 p.450-451 ページ画像

生産調査会録事(第参回)  第八八―九〇頁 明治四四年三月刊
    明治四十三年十一月二十九日午後一時五十分開議
○上略
○議長(男爵大浦兼武君) ○中略 第五項ノ広軌鉄道ニ関スル建議案、是レハ益田君ノ御提出ト思ヒマス、建議案ノ御説明ヲ願ヒマス
    広軌鉄道ニ関スル建議案 ○略ス
○八番(益田孝君) 是レハ実ハ外国貿易助長ノ特別委員会ニ於キマシテ、運輸ノ運賃ヲ低廉ニスルト云フコトガ生産発達ニ最モ効能ガアリ而モ輸出貿易ニ就イテハ世界ノ競争ニ当リマスタメニ運賃ヲ廉クシ得ルノ機関ヲ得タイモノダト云フコトノ論題ガ起リマシテ、此広軌鉄道ノ問題モ出マシタガ、扨テ之レヲ能ク論ジテ見マスルト、貿易助長ト云フ問題ニハ少シク当嵌マリマセヌノデゴザイマシテ、更メテ此問題ヲ建議スルト云フコトニナツテ玆ニ提出致シタノデゴザイマス、モウ別ニ外ノ細ニ此事ハ此処デ説明ヲシ、若クハ理由ヲ申上ゲル必要モゴザイマスマイト存ジマス、是レニ書イテ置キマシタ通リ、何分貿易上ノ競争ノ激甚ナルガタメニ彼レニ等シイダケノ運輸機関ヲ有タザレバ到底此競争ニ勝得ルコトガ出来ナイト云フコトノタメニ、大イニ此問題ヲ要求シタ訳デゴザイマス、勿論時期モアリ、漸次此鉄道敷設ノ都合モアルコトデゴザイマスデ、此事ヲ最モ大事ナル事トシテ政府ニ於テ調査ヲシテ実行シ得ラルヽダケ速カニ之レヲ決定セラレムコトヲ建議シタイノデアリマス、余リ長ク此為メニ煩ヲ懸ケマスト存ジマスデドウゾ御賛成ヲ仰ギタイ
○三十一番(野田卯太郎君) 此問題ハ既ニ政府カラ今年案ヲ出スト云
 - 第56巻 p.451 -ページ画像 
フコトニモ新聞デ見タノデアリマスカラ、兎ニ角延ベタガ宜カラウト思ヒマシタケレドモ、出タ以上ハ特別委員ニ附託サレムコトヲ希望致シマス
  (「賛成々々」ト呼ブ者アリ)
  (「委員ノ数ハ何名デスカ」ト呼ブ者アリ)
○中略
○議長(男爵大浦兼武君) サウスルト唯今野田君ノ御意見ノ特別委員ニ附シテヤリタイト云フコトニ就イテハ、諸君ニ御異議ガナケレバサウ致シタイト思ヒマスガ如何デゴザイマス
  (「賛成々々」ト呼ブ者アリ)
○議長(男爵大浦兼武君) 委員ハドウデゴザイマス、九名デ宜シウゴザイマスカ
  (「賛成々々」ト呼ブ者アリ)
○議長(男爵大浦兼武君) 会長指名ニ致シマシテ九名ト致シマス



〔参考〕生産調査会録事(第弐回) 第二三頁 明治四四年二月刊(DK560117k-0008)
第56巻 p.451 ページ画像

生産調査会録事(第弐回)  第二三頁 明治四四年二月刊
第三、官業ニ関スル建議案
       (提出者 法学博士添田寿一君、同意者 男爵渋沢栄一君・益田孝君・岡崎邦輔君・原富太郎君・日比谷平左衛門君・野崎広太君)
 利益アル大事業ハ之ヲ収メテ国家ノ経営又ハ専業ニ帰セシメ、国家事業ヲ以テ民業ト競争スルカ如キハ一般ノ企業ヲ奨励シ、発達ヲ助長スル所以ノ途ニ非ス、故ニ政府ハ今後民間事業ノ便益ヲ図ルヲ第一要義トシ、出来得ル丈ケ政府事業ノ範囲ヲ縮少シ、少クトモ民業ト競争スルカ如キコトナキヲ期セラルヽコトヲ必要ナリト認ム



〔参考〕生産調査会録事(第参回) 第九一―九三頁 明治四四年三月刊(DK560117k-0009)
第56巻 p.451-452 ページ画像

生産調査会録事(第参回)  第九一―九三頁 明治四四年三月刊
    明治四十三年十一月二十九日午後一時五十分開議
○上略
○議長(男爵大浦兼武君) 此次ギハ官業ニ関スル建議案、即チ利益アル大事業云々ト云フ、添田博士ノ提出デアリマス、御説明ガゴザイマスカ
    官業ニ関スル建議案 ○略ス
○五十三番(法学博士添田寿一君) 別ニ申シ上ゲヌデモ此丈デ明カデアリマスガ、理由ヲ申上ゲマスレバ一般ノ利源発揚ニ関スル事ハ別トシテ、成ベク収益ガアツテ民間デ適当ナル仕事ハ民業ニ委ネラレルト云フコトデナケレバ、所謂産業奨励ト云フコトヽ相容レナイノデアリマス、一方ニ政府ハ産業奨励ト云フコトヲ主義トセラレ、一方ニハ利益アル事業ハ皆自ラナサルト云フコトデハ氷炭相容レナイコトニナルノデアリマス、且ツ又段々サウ云フコトニ総テ利益アル大キナ仕事ガナツテシマウ、即チ官業ニ移リハセヌカト云フガ如キ念ヲ懐カセマスルノハ、民間ノ企業若クハ所謂外資ノ輸入ナドト云フ上ニ於テ大イニ害ヲ生ズル訳デアリマスル故ニ、此点ニ於ケル御方針ヲ一定セラレタイト云フノガ趣意デアリマス
○議長(男爵大浦兼武君) 唯今ノ建議ハ如何デゴザイマスカ
 - 第56巻 p.452 -ページ画像 
○七十二番(若槻礼次郎君) チヨツト質問ヲ致シタイノデアリマス、此建議案ノ御趣意ハ私モ賛成デハアリマスガ、斯ウ云フコトヲ御建議ナサレルト、現在アル事ニ就イテ斯ウ云フコトガ官業ニナツテ居ルノハ往カヌト云フ御意見デモアルノデアリマセウカ、一ツ御伺シタイノデアリマス、而シテ趣意ニハ賛成デアリマスガ、ドウモ生産調査会ガ斯ウ云フコトヲ建議サレルコトハ余程危険ノヤウニ思ヒマスガ、兎ニ角現状ニ対シテ御不満ニナツテ居ル所ヲ承リマシタ上デ更ニ建議案ノ賛否ヲ決シタイト思ヒマス
○五十三番(法学博士添田寿一君) 過去ノ事ヲイロイロ申上ゲルト云フコトハ殆ド無益ト思ヒマス、現在成立ツテ居ル事柄ハ随分民業デアツタモノガ政府ニ移ツタモノモアルト云フコトハ是レハドナタモ御承知ノコトデアリマス、併シ是レハ国家ノ必要ニ依リ止ムヲ得ズ、サウナツタモノト思ヒマス、故ニ其可否ヲ論ズルコトハ致サヌ積リデアリマス、追々或ハ水力モ官業ニナリハセヌカトイロイロ疑惑ヲ民間ニ生ジテ居リマスル、ソレデ成ベクサウ云フ疑念ヲ生ゼザルト云フコトニシタイノガ主眼デゴザイマス、即チ今後ノ御方針ヲ玆ニ御定メヲ願ヒタイノデアリマス、モウソレハ政府デサウ云フ御方針デアルト云フコトデアリマスレバ、其案ノ必要ヲ見ナイト云フマデノコトデアリマス
○議長(男爵大浦兼武君) 是レハ如何デゴザイマスカ、委員デモ拵ヘマスカ
○三十一番(野田卯太郎君) 委員ニ水力マデモ合セテ附託シタウゴザイマスカラ、兎ニ角第六マデ委員附託ニシタイト思ヒマス
  (「賛成々々」ノ声起ル)
○議長(男爵大浦兼武君) 然ラバ委員附託デ以テ矢張リ九名ノ委員デ宜シウゴザイマスカ
  (「宜シウゴザイマス」ト呼ブ者アリ)
○議長(男爵大浦兼武君) 指名ニ致シマス



〔参考〕生産調査会録事(第弐回) 第二三―二四頁 明治四四年二月刊(DK560117k-0010)
第56巻 p.452-453 ページ画像

生産調査会録事(第弐回)  第二三―二四頁 明治四四年二月刊
第四、水力利用ニ関スル建議案
       (提出者 日比谷平左衛門君、同意者 男爵渋沢栄一君・法学博士添田寿一君・益田孝君・岡崎邦輔君・原富太郎君・野崎広太君)
 低廉ナル動力ノ供給ハ生産ノ一大要件ナルカ故ニ水力ノ利用ヲ最モ盛ナラシメサルヘカラス、然ルニ之カ出願ヲ為スモノ其許可ヲ受クルニ付キ多数ノ歳月ヲ費シ、為メニ事業ノ計画ヲ齟齬セシムルカ如キ事実少ナシトセス、聞ク所ニ依レハ政府ニ於テハ一般ノ調査ヲ遂行シ、然ル後許否ノ処分ニ出ツルノ大方針ナリト、其事実如何ハ姑ク之ヲ措キ、此方針必ラスシモ理由ナキニ非スト雖モ、現下産業ノ振興ニ伴ヒ水力利用ノ必要日ニ其急ヲ告クルノ時ニ方リ、此ノ如ク長歳月ヲ要スルコトアルハ策ノ得タルモノニ非ス、故ニ一般ノ調査ハ之ヲ急速ニ遂行スルト同時ニ、出願ニ対シテハ敏活ニ之ヲ処理シテ当業者ヲシテ嚮フ所ヲ知ラシムルノ必要アリト認ム、又水力使用権許可ノ有効期間トシテ三十箇年ノ制限ヲ附スルカ如キハ永久的大設備ヲ必要トスル此種ノ事業ニ対シテ、之ヲ不適当ノ制ト謂ハサル
 - 第56巻 p.453 -ページ画像 
ヘカラス、斯ノ如キハ之レ大企業ヲ禁止スルニ均シキモノニシテ、事業ノ発達ヲ阻害スルモノト謂フヘシ、故ニ相当ナル改正ヲ加ヘラレンコトヲ望ム



〔参考〕生産調査会録事(第参回) 第九三―九五頁 明治四四年三月刊(DK560117k-0011)
第56巻 p.453 ページ画像

生産調査会録事(第参回)  第九三―九五頁 明治四四年三月刊
    明治四十三年十一月二十九日午後一時五十分開議
○上略
○議長(男爵大浦兼武君) ○中略――ソレカラ次ギノ建議ハ水力利用ニ関スル建議案、日比谷君ノ提出、御説明ヲ――
    水力利用ニ関スル建議案 ○略ス
○十八番(日比谷平左衛門君) 御承知ノ如ク我国デハ石炭・水源ガ甚ダ豊富デゴザイマスガ、石炭ハ有限ニシテ水力ハ殆ド無限デアリマス之レヲ電気ニ起シ、動力ニ起シマスレバ低廉ナル動力ヲ得ラルト云フコトハ諸君モ御承知デゴザイマセウガ、然ルニ許可ガ非常ニ長イ、成ベク調査ノ結果ハ速カニ許可アラムコトヲ願ヒタイト云フノト、ソレカラ水力ヲ起シマスルノニ御承知ノ如ク悉ク水力ハ国有ナリトシテ、許可ノ条件トシテ二十五年トカ三十年トカ、其許可ノ件ニ依ツテハ御承知ノ如ク皆許可ノ年限ガ異ヒマス、大資本ヲ入レテ水力ヲ起ス場合ニ於テ二十五年トカ、三十年トカ云フ期限ヲ附セラルヽコトハ甚ダ事業家ガ最モ心配ヲ起ス所以デゴザイマスカラ、此期限ヲ成ベク長クシテ戴クカ、無限ニシテ戴クカト云フ考カラ此建議案ヲ提出致シマシタ
  (「賛成々々」ト呼ブ者アリ)
○三十三番(大岡育造君) 是レハ第六ノ委員ト同ジ委員ニ附託シタイト思ヒマス
  (「賛成々々」ト呼ブ者アリ)
○議長(男爵大浦兼武君) 御異議ガナケレバサウ致シマス
  (「異議シナシ異議シナシ《(衍)》」ト呼ブ者アリ)



〔参考〕生産調査会録事(第弐回) 第二四―二五頁 明治四四年二月刊(DK560117k-0012)
第56巻 p.453-454 ページ画像

生産調査会録事(第弐回)  第二四―二五頁 明治四四年二月刊
第五、行政官ノ執務ニ関スル建議案
       (提出者 法学博士添田寿一君、同意者 男爵渋沢栄一君・益田孝君・岡崎邦輔君・原富太郎君・日比谷平左衛門君・野崎広太君)
 産業ノ隆替ト貿易ノ盛衰ハ国運ノ因テ繋ル所ナリ、而シテ産業ノ発達貿易ノ増進ハ国民全体ノ一致協力ニ竢ツヘキモノニシテ、独リ民間当業者ノ奮励ニノミ望ムヘキモノニアラス、行政機関モ亦大ニ其力ヲ此ニ致サヽルヘカラス、然ルニ往々ニシテ行政機関ノ間ニ統一聯絡ヲ欠キ、甲官衙ノ是トスル所乙官衙ノ為メニ否認セラルヽ場合アリ@又同一事業ニ関シ各官衙個々別々ノ審査ヲ要スルノ煩ニ苦マサルヘカラサル場合アリ、或ハ法令ノ解釈一様ナラサル場合アリテ為メニ当業者ヲシテ適従スル所ヲ知ラサラシムルカ如キ事例ニ乏シカラス、此ノ如キハ生産ノ振興ヲ図リ貿易ノ発達ヲ期スル所以ニアラス、仍テ政府ニ於テ此ノ点ニ付キ行政機関ノ統一聯絡ヲ完ウスルノ手段ヲ講セラレンコトヲ望ム、加之行政官ノ執務ニシテ往々商工業者ノ便益ヲ顧ミサル如キコトナキニ非サルカ故ニ、此際一般行政
 - 第56巻 p.454 -ページ画像 
官ニ向ツテ如上ノ意ヲ以テ常ニ産業ノ興廃ヲ考慮シ、身ヲ当業者ノ地位ニ置キ以テ事務ノ敏活ト進捗トヲ期スヘキ旨ノ訓示ヲ出サレンコトヲ望ム



〔参考〕生産調査会録事(第参回) 第九五―一〇四頁 明治四四年三月刊(DK560117k-0013)
第56巻 p.454-457 ページ画像

生産調査会録事(第参回)  第九五―一〇四頁 明治四四年三月刊
    明治四十三年十一月二十九日午後一時五十分開議
○上略
○議長(男爵大浦兼武君) 此次ギハ行政機関ノ統一ト云フ、即チ第八デゴザイマス、此建議案ニ就イテ添田君ノ御説明ヲ願ヒマス
    行政官執務ニ関スル建議案 ○略ス
○五十三番(法学博士添田寿一君) モウ是レハ文言通リデゴザイマスカラ別ニ申上ゲマセヌ
○三十三番(大岡育造君) 是レハ聴カナイト能ク分リマセヌヤウデゴザイマスカラ、ドウゾ御説明ヲ願ヒタイ
○五十三番(法学博士添田寿一君) 一体此建議案ハ詰リ私ガ申サヌデモ皆サンノ御腹ノ中ニハ能クアルコトデアラウト思フ、ソレデ大体此産業ヲ発達サスルト云フコトニ就イテ皆サン御異存ノアラウ筈ガナイノデアリマスガ、行政官ニ熱心ヲ欠イテ居リハシマセヌカ、又各行政官衙ノ間ニ統一聯絡ノ欠ケテ居ル所ガアリハシマセヌカ、或ハ中央政府ノ方デハ非常ニ力ヲ御用ヰ下サレテモ、其趣意ノ在ル所、方針ノ存スル所ガ地方下級ノ官吏ニマデ徹底シテ居ルヤ否ヤト云フ点ニ於テハ事実疑ヲ抱ク場合ガアルト云フヤウニ考ヘマス、ソレデ今ヤ我国ハ産業ノ発展ト云フコトニ全力ヲ注ガナケレバナラヌト云フ時期ニ到達致シテ居リマスノデ、此為メニ総テノ機関ガ一致シテ働ク、他ノ事ハ犠牲ニスルトモ此大目的ノ為メニ大イニ尽スト云フ事実ヲ挙ゲルヤウニシテ戴キタイト云フノガ趣意ナノデアリマス ○中略
○十五番(和田維四郎君) 第八ノ唯今説明ニナリマシタ行政機関云々ノ建議案ハ特別委員ニ附託スルマデモナク、否決ニナツテ宜シカラウト私ハ考ヘマス、ソレハ此前横井君カラ生産ニ関スル行政機関ノ統一並ニ調和ニ関スル件ト云フ建議ガ出マシテ、既ニ此処デ之レヲ議シマシテ建議ヲシタノデアリマスカラ ○中略 多少ノ意味合ガ異ツテモ同ジ事柄ヲ二度生産調査会ガ政府ニ建議スルコトハ如何ニモ不穏当ト思ヒマスカラ、是レハ否決ニナラムコトヲ希望致シマス
○二十三番(田川大吉郎君) 否決説ニ賛成致シマス
○三十二番(大岡育造君) 既ニ此議ガ通ツテ居ルト云フコトヲ聴キマスルト要ラナイヤウニモ思ヒマスガ、此建議案提出者ノ説明ガ実ハ未ダ不十分ナノデハナイカ知ラン、甲ト乙ト統一ガナイト云フヤウナ唯形容詞ダケデ事実ガ一向挙ツテ居リマセヌガ、生産上大イニ障害ニナルベキ甲ト乙トガ齟齬スルコトガアレバ挙ゲテ貰ツテ、ソレニ依ツテハ斯ウ云フ建議ノ必要ガアラウカト思ヒマスカラ、ドウゾモウ少シ具体的ニ御説明ヲ願ヒタイ
○五十三番(法学博士添田寿一君) 此案ハ成程統一聯絡ト云フコトバカリデゴザイマスレバ、十五番ノ御説ノ通リデアリマス、ケレドモ此案ノ主眼ハ詰リ産業政策ト云フコトニ一層ノ重キヲ置イテ戴ク、サウ
 - 第56巻 p.455 -ページ画像 
云フ考ニ行政官庁モナサツテ戴キタイト云フコトニアルノデアリマスカラ、唯単ニ統一聯絡ト云フコトガ主眼デハナイノデアリマス、ソレデ私ハ重複シナイト考ヘマス、而シテ今大岡君カラノ御尋ネノ点ハ統一聯絡ヲ欠イテ居ル実例ヲ挙ゲヨト云フコトデゴザイマスケレドモ、是レハ御参考マデニ実例ヲ申上ゲマスレバ、或ル鉱山デ以テ探鉱ノ為メニ少シ掘返ヘサウト致シマスルト、ソレハ開墾ニ類スル所為ト云フコトニナリマシテ甚ダ手続ガ面倒ナノデアリマス、ソレカラ是レハ私ガ伝ヘ聞イタノデアリマスルカラ自ラノ経験トシテハ申上ゲ兼ネマスケレドモ、或ハ汽缶ノ検査ノ如キ、是レハ建議案モ出テ居リマスガ、一方デ通ツタト思ヘバ一方デ通ラヌト云フ、又臨検セラルヽ時ノ如キモ、同一ニ一日ニ来テ下サレバ一遍デ済ム事ガ、数回ニ亘ルト云フガ如キ実例ヲ以テ、統一聯絡ノ必要ヲ示スニ足ル所謂例デアルト申上ゲテ宜カラウト思ヒマス、是レハ実際其事ニ当ツテ居ル御方ニ一々承リマシタナラバ其例ハ沢山アラウト思ヒマスガ、先ヅ此一例ヲ申上ゲテ置キマス
○三十三番(大岡育造君) サウシマスト最前ノ建議ヨリハ大キイト云フヤウナ第一ノ御発声デアリマシタガ、矢張リ聯絡ノ取扱上ノ齟齬ヲ取除ケルト云フダケノ意味デアリマスカ
○五十三番(法学博士添田寿一君) サウデハナイノデアリマス、詰リソレハ治リマシテモ是レハ言フニ言ハレナイノデス(笑声起ル)行政官吏ノ御方ニ成ベク産業ヲ進メテヤルト云フ腹ニナツテ戴クト云フコトニ過ギナイノデス、詰リ当業者ノ地位ニ自分ヲ置イテ其便益ヲ図ルコトヲ主トシテ戴キタイ、即チ行政ハ何ノタメニ存シテ居ルカト云フ問題ニナリマス、ソレハ広イ意味ニ於テハイロイロアリマセウケレドモ、今日我国ニ於テハ産業ヲ進メルコトヲ立国ノ方針ニシナケレバナリマセヌカラ、総テガ其方針デ進ムト云フ腹ニナレト云フコトニシテ戴キタイト云フコトガ主眼デアリマス
○十五番(和田維四郎君) 私ハ再ビ此問題ニ就イテ申上ゲマスガ、唯今添田君カラ礦山ヲ例ニ出サレテ行政機関ノ不統一ノ事ヲ申サレマシタガ、其方ノ実例ナラ私ハ沢山ニ聞イテ居リマス、現ニ農商務省ノ中ニモ鉱山局ガ管轄スル鉱山ニ向ツテ鉱業者ガ非常ニ難儀スルノハ、山林ノ事ニ属スル土地ノ貸下トカ、木材ノ払下ニ就イテ非常ナ難儀ヲスルノデアリマスカラ、行政機関ノ調和トカ、統一トカ云フ必要ヲ非常ニ感ジテ居リマスカラ再ビ申上ゲマスガ、其意味ニ於テハ吾々モ当時特別委員トシテ充分ニ審議ヲシ、即チ全会ノ賛成ヲ得テ建議ニナツテ居ルノデアリマスカラ、同ジ意味合ニ於テノ事ハ必要ハナカラウト思ヒマスガ、所謂今添田君ノ言ハレル言葉ヲ以テ言尽セナイ意味ノ行政官ガ非常ニ熱心ニ同心協力デヤルト云フ事デアレバ、ドウカ言葉ヲ変ヘテ御出シ下サレタナラバ宜カラウト思ヒマス、同ジ言葉ノ事ヲ再ビ建議スルト云フコトハ如何ニモ不穏当ト思ヒマスカラ此事ダケヲ申上ゲテ置キマス
○六十三番(上埜安太郎君) 此建議案ノ趣意ハ段々添田君カラ承リマシテ其趣意ニハ賛成ヲシテ居ルノデアリマスガ、併シナガラ今和田君カラ御話ニナツタヤウニ生産ニ関スル行政ノ調和統一ニ関スルト云フ
 - 第56巻 p.456 -ページ画像 
建議案ト略々同様ナ意味ニナツテ居リマス、併ナガラ添田君ノ御趣意ヲ聴イテ見マスレバ其統一ト云フコトヨリカ行政官ヲシテ益々産業ノ発達ニ力ヲ入レサスト云フコトガ大体ノ御趣意ニナツテ居リマス、其事ハ至極私モ同意スルノデアリマス、ソレデ提案者ニ御相談ヲ致シマスガ、行政ノ統一ト云フコトダケ削リマシテ、サウシテ行政官ガ益々産業ノ発達ニ力ヲ尽スト云フ意味ニシマシタラ如何デアリマセウ、ソレデ添田サンノ趣意モ通ルカト思ヒマスガ……
○五十三番(法学博士添田寿一君) 甚ダ馬鹿ラシクツテ恐縮デアリマス故ニ、私ハ今ノ六十三番ノ御相談ニ応ジマシテ、此建議案ノ中カラ統一ニ関シマシタ事ハ総テ削除致シマシテ、文言ハ其力ヲ玆ニ致サザルベカラズ「然ルニ」カラ「是レニ加フル」マデ除キマシタラ大概宜クハナイカト思ヒマス、結局「産業ノ隆盛ト貿易ノ盛衰ハ国運ノ因ツテ繋ガル所ナリ、而シテ産業ノ発達貿易ノ増進ハ国民全体ノ一致協力ニ俟ツベキモノニシテ、独リ民間当業者ノ奮励ニノミ望ムベキモノニ非ズ、行政機関モ亦大イニ其力ヲ玆ニ致サヾルベカラズ、然ルニ行政官ノ執務ニシテ往々商工業者ノ便益ヲ顧ミザルコト無キニ非ザルガ故ニ、此際一般行政官ニ向ツテ如上ノ意ヲ以テ、常ニ産業ノ興廃ヲ考慮シ、身ヲ当業者ノ地位ニ置キ以テ事務ノ敏活ト進捗トヲ期スベキ旨ノ訓示ヲ出サレムコトヲ望ム」斯ウ訂正ヲ致シマス
○三十三番(大岡育造君) 賛成致シマス、是ハ申スモ蛇足ノヤウニ考ヘラルヽ御方モアルカ知レマセヌガ、実ニ此趣意ヲ徹底致シタイノデアリマス、私ハ十年以前ニ其事ヲ時ノ総理大臣伊藤公ニ強ク言フテ伊藤公モ玆ニ意ヲ注ガレントシタコトモゴザイマシタガ、此生産調査会ヲ開カルヽ事ヲ望ミマスル趣意モ実ハ其処ニ在ルノデアリマス、私ガ自ラ直接ニ当局ニ申シマシタコトヲ玆ニ思ヒ起シマスノデアリマスカラ、今玆ニ農商務大臣ヲ会長ニ戴イテ居ツテ其前デ甚ダ言悪イヤウナコトデハアリマスルケレドモ、誠意之レヲ考ヘマシタカラ申上ゲマスガ、実ハ此生産調査会ナルモノハ総理大臣自ラ其衝ニ当ツテ、而シテ各省各別ニ意見ヲ立テルコトナシニ一旦是レガ極ツタナラバ、即チ其事ガ国是トナツテ行ハルベク成立シテ貰ヒタイト云フノガ私ノ此会ヲ主張シタ主眼デアリマシタ、然ルニ実行ニ当リマシテハサウ云フ大キナ運ビニ至ラズシテ、各省ヨリ相当ナル人ヲ出スカラ――実務ヲ執ル人ガ多ク委員ニナルデアラウカラ其希望ハ達セラルヽノデアラウト云フコトデ、此事ハ公言サレタノデハアリマセヌガ、其意味ヲ伺ツタノデアリマス、今ヤ会長ハ特ニ生産ノ事ニ御熱心デアリ、新タニ世界ノ大勢モ御覧ニナリ、且ツ此生産調査会ノ会長トシテ御座ルノデアリマスカラシテ吾々ノ切ニ希望スル点ヲ諒サレマシテ此建議ニハ特ニ力ヲ用ヰ、即チ一ツノ農商務省ノ訓令ト云フ意味デナシニ、総理大臣ニ於テ国家ノ生産ノ発達ノタメニ此趣意ヲ採ツテ方法ヲ講ゼラレムコトヲ希望シテ止マヌノデアリマスカラ、ソレデ先刻カラ屡々質問シテ此処マデ御出ヲ願フタ訳デアリマス、私ハ十分ナル賛成ヲ表シマス
  (「賛成々々」ト呼ブ者アリ)
○議長(男爵大浦兼武君) サウ致シマスルト、前ノ否決論者ノ和田君田川君ノ御意見ハ今ノ添田君ノ中ヲ取リ去ツタトシテモ矢張リ……
 - 第56巻 p.457 -ページ画像 
○十五番(和田維四郎君) 此表題ガ無クナレバ宜イノデス
○議長(男爵大浦兼武君) 然ラバ満場御異議ナイト認メテ宜シウゴザイマスカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼ブ者アリ)
○議長(男爵大浦兼武君) 異議ナシト認メテ此建議案ハ可決致シマス



〔参考〕竜門雑誌 第二七一号・第五三―五四頁 明治四三年一二月 ○生産調査会(DK560117k-0014)
第56巻 p.457-458 ページ画像

竜門雑誌  第二七一号・第五三―五四頁 明治四三年一二月
    ○生産調査会
生産調査会は去る十一月廿一日午後二時より農商務省会議室に於て開かれ、当日は予て宿題たりし「日清銀行設立案」に就て審議したり、青淵先生は御病気にて欠席し、大岡育造氏議長席に着く、原案賛成者たる益田孝・添田寿一の両氏は日清貿易の発展上特種の銀行を設立するの必要なる所以を説き、山本条太郎氏は清国金融の状態に就て述べ且つ之れを諸外国の金融状態に比すれば自ら其趣を異にするものあるを以て、特別金融機関を設くるは日清貿易上必要なるものなるべしと説き、各委員は提案者及び賛成者に向つて交々質問する所あり、若槻大蔵次官亦其所信を述べて正金銀行同様の組織なりとせば、余程考究を要すべき問題なりと論じ、決議に至らずして五時半散会せり、越えて廿九日開会の生産調査会にて決議せし左の建議案は、同月三十日大浦会長より農商務大臣に提出したり、即ち左の如し
      建議案
 (一)全国主要工業地に工業試験所を設置するに付ての件
 全国工業地に工業試験所を設置する時は本邦工業発展上益する処少なからざるべし、然れども他に目下一層急を要する事項多く経営其他の関係上之れを全国主要工業地に設置するは困難なるべきを以て先づ以て之を大阪に置き、其成績に依り更に増設すべきや否やを決定せられんことを望む
 (二)行政機関の執務の上に関する件
 産業の隆盛貿易の盛衰は国運の依て繋がる処なり、而して産業の発達貿易の増進は国民全体の一致協力に待つべきものにして、独り民間当業者の奮励に望むべきものにあらず、行政機関も亦其力を之れに致さゞるべからず、然るに往々商工業者の便益を顧みざることなきにあらざるが故に、此の際一般行政官に向つて上の如き叙述の意を以て常に産業の興廃を顧慮し、身を当業者の地位に置き、以て事務の敏活と進捗とを期すべき旨の訓示を出されんことを望む
 (三)機関取締法に関する件
 現今本邦に於て機関の取締は各地方官庁に於て機関取締規則を発布し之れが検査監督を行ひつゝあり、然るに其の実況を見るに取締上遺憾の件多きのみならず、工場主に於て不便不利を感ずること甚だ少なからず、強て工業の発達進歩を沮害するの虞あるを免れず、依て欧米各国に行はるゝ実例により本邦に於ても存立せる機関保険検査会社を当局官庁に於て督励し、其保険検査に合格したるものは官庁の検査を省略することに改め、一つは以て官庁取締の一助となし一つは以て機関使用者の便益を増進せられんことを望む
 - 第56巻 p.458 -ページ画像 
○下略