デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

8章 政府諸会
1節 諮問会議
1款 生産調査会
■綱文

第56巻 p.458-467(DK560118k) ページ画像

大正元年9月24日(1912年)

是日ヨリ、農商務省会議室ニ於テ、当会第四回会議開カル。是日、栄一出席シ、政府当局ニ対シ、当会ノ答申事項ニ関スル実行状況ノ説明ヲ求メタル後、諮問事項「工業ノ発達助長ニ関スル件」等ヲ審議ス。


■資料

竜門雑誌 第二九三号・第六六―六七頁 大正元年一〇月 ○第三回生産調査会《(第四回)》(DK560118k-0001)
第56巻 p.458 ページ画像

竜門雑誌  第二九三号・第六六―六七頁 大正元年一〇月
    ○第三回生産調査会《(第四回)》
△第一日 第三回生産調査会《(第四回)》は予定の如く九月廿四日午後一時より農商務省会議室に於て開かれたり、劈頭牧野農相の諮問事項に関する演説あり、次で織田幹事より休会中に於ける委員の移動及諸般事務の報告あり、牧野会長開議を宣するや、副会長青淵先生起ちて
 前第一・第二回に於て我々委員が調査研究の上決議せし各種の事項は、其後政府に於て着々実行しつゝあるは曩に配付せられたる印刷物に於て之を知るを得たるも、尚ほ其実施せられつゝある状況に関し当局者より詳細説明を得たし
と請求するや、折柄西園寺首相臨席して一場の演説を為し、次で押川次官は立ちて青淵先生の請求に応じて説明をなし、終りて諮問事項の議事に入り
  第一 工業助長に関する方法如何
此第一諮問案に関しては岡工務局長の詳細なる説明あり、大谷嘉兵衛氏の動議にて会長指名十八名の特別委員附託と決し、次に
  第二 重要輸出物産同業組合法改正の件
是れ又岡工務局長の説明に次で、星野錫氏の動議により、会長指名十五名の委員附託と決し、午後四時四十分散会せり
○下略


生産調査会録事(第三回)《(第四回)》 第七―八頁 大正元年一一月刊(DK560118k-0002)
第56巻 p.458-459 ページ画像

生産調査会録事(第三回)《(第四回)》  第七―八頁 大正元年一一月刊
    第三 農商務大臣諮詢事項
○上略
                    生産調査会
 其ノ会ニ左ノ事項ヲ諮詢ス
  大正元年九月五日    農商務大臣 男爵 牧野伸顕
    一 工業ノ発達助長ニ関スル件
○中略
理由
      一 工業ノ発達助長ニ関スル件
 我国生産力ノ増進ヲ図ルカ為大ニ工業ノ発達ヲ助長スルノ必要アルハ言ヲ俟タス、多年ノ宿望タリシ関税ノ改正モ昨年七月ヨリ実施セラレタルヲ以テ、従来輸入ニ俟チタル工産品ヲ我国ニ於テ製造シ、内地ノ需要ヲ充タシタル後、更ニ海外市場ニ新輸出品ヲ供給スルニ
 - 第56巻 p.459 -ページ画像 
至ルノ時機モ漸ク将ニ近キニアラムトス、仍テ将来ハ益々此ノ方面ニ於ケル事業ノ発達ヲ期スルト共ニ、一面ニ於テハ輸出品ノ多分ヲ製造スル固有工業ノ発達ヲ助成セサルヘカラス、此等ノ目的ヲ達スルノ方策ニ付将来ノ方針ヲ確定セムトス、是レ本問題ヲ提出スル所以ナリ


生産調査会録事(第三回)《(第四回)》 第三九―九五頁 大正元年一一月(DK560118k-0003)
第56巻 p.459-467 ページ画像

生産調査会録事(第三回)《(第四回)》  第三九―九五頁 大正元年一一月
    大正元年九月二十四日(火曜日)午後一時三十分開議
○議長(男爵牧野伸顕君) 唯今ヨリ第三回生産調査会《(第四回)》ヲ開キマス
○中略
先ニ工場法制定ニ付キマシテ御審議ヲ煩ハシマシタノデアリマスルガ幸ニ第二十七議会ニ於テ成案ニナリマシテ既ニ発表ニナツテ居リマスルガ、此工場法ノ実施ニ付キマシテモ目下之ヲ実際行フ上ニ於テ調ベモ進メツヽアリマスルカラ、遠カラヌ内ニ行ハレルコトヽ信ジテ居リマス ○中略
是ヨリ第一案 ○工業ノ発達助長ニ関スル件ニ付キマシテ会議ヲ開キマス、主務局長ヨリ説明ヲ致シマス
○中略
○五十四番(山本悌二郎君) 私ハチヨツト御尋ヲ申シテ置キタイノハ此第一案ノ工業ト云フコトデゴザイマスガ、是ハ単ニ狭キ意味ニ於ケルトコロノ製造工業ノ御諮問ノ意味デゴザイマセウカ、ソレトモ例ヘバ石油トカ金山トカ云フ風ノ鉱山ニ関係シタヤウナ事柄ナドモ此中ニ含マレテ居ルト解釈シテ宜シウゴザイマスカ、之ヲ御尋シテ置キマスソレカラ第二ニ御尋ヲ致シタイノハ、今回此御諮問ニナリマシタ工産品奨励ノ方法ト云フコトハ、単ニ内地ノミニ限ツテノ意味デアリマセウカ、ソレトモ新領土即チ朝鮮・台湾・樺太等ヲ包括シタ意味ニナツテ居リマスノデゴザイマスカ、ソレ次第ニ依ツテノ方々ノ案ノ立テ方意見ノ立テ方モアラウト思ヒマス、此二ツノ点ヲ御伺ヒ致シマス
○議長(男爵牧野伸顕君) 唯今御質問デアリマスガ、此工業助長諮問ノ件ニ付キマシテ主務局長ヨリ大体ノ説明ヲ致サセマス、ソレノ説明ヲ御聴キニナツタ上デ或ハ御質問モ明瞭ニナルカモ知レマセヌ、先ヅ以テ大体ノ説明ヲ致サセマス
○中略
○番外(岡工務局長) ソレデハ第一ノ議案ニナツテ居リマス「工業ノ発達助長ニ関スル方策如何」ト云フ問題ニ付イテ大体ノ説明ヲ致シマス、此問題ハ前回ニ皆様ノ御審議ニ為リマシタトコロノ「外国貿易ノ助長ノ方針如何」ト云フ問題ト殆ド同ジヤウナ性質ヲ有シテ居ル問題デゴザイマス、本省ト致シマシテハ斯々ノ方法デ斯ウヤレバ如何デアルト云フコトハ申上ゲズニ置キマシタ、皆様ノ御意見ノアルトコロヲ各種ノ方面カラ御纏メ下サリマシテ御答申ニ与カレバソレデ結構ト存ジマス、先程問題ノ範囲ニ付キマシテ山本君カラ御質問ガアリマシタガ、ソレニ御答ヲ致シマス、御質問ニハ工業ト云フ意味中ニハ鉱山業等ハ含マナイカドウカ、ソレカラ又此助長ノ方法ヲ研究スルニ付イテハ台湾・樺太等ノ新領土ヲ含ムヤ否ヤト云フコトデアツタヤウニ考ヘ
 - 第56巻 p.460 -ページ画像 
マスガ、第一ニ対シテハ鉱山業ヲ含マズ、又第二ノ中ニハ新領土ハ含マナイ積リデアリマス、此問題ノ意味ニ付キマシテハ此レ以上申上ゲルコトモナイノデゴザイマスルガ、御参考ノタメニ極メテ簡単ニ此工業ノ助長方法ニ付イテハ農商務省ハ従来如何ナルコトヲ施設シテ居ツタカト云フコトヲ簡単ニ陳ベマス、先ヅ第一番ニ申上グベキハ工業試験所ヲ設ケテ各種ノ工業上ノ問題ニ関シ或ハ分析ヲ行ヒ、或ハ鑑定ヲ行ヒ、或ハ試験ヲ致シマシタ、此ハ当業者カラ依頼ノアル場合、及ビ縦令依頼ハナクトモ、農商務省ニ於テ斯々ノ問題ヲ研究スレバ必ズ工業界ノ為ニナラウト思フヤウナ事柄ヲ捉ヘテ、ソレヲ研究スルノデアリマス、此ノ研究ニ必要ナル設備ガ出来テ居ルノデゴザイマス、其ノ所在地ハ深川越中島デゴザイマス、是ガ初メテ出来タノハ三十三年デアツテ、即チ昨年度マデニ十二ケ年経過致シテ居リマスル訳デアリマス、其間ニ国費ヲ使フコト総計百十五万円ニナツテ居リマス、唯今ノトコロ大凡一ケ年ニ十万円ノ会計ヲ立テヽ居ルノデアリマス、ヤツテ居ル仕事ノ中デ分析ハ当業者ノ依頼ニ応ジテヤルノモアリ、又自ラ問題ヲ発見シテヤルノモゴザイマス、即チ第一部トシテ分析部ヲ設ケマシテ、工業上如何ナル問題タルトヲ問ハズ分析ヲ行ツテ居リマス、ソレカラ第二部トシテ化学工業部ト云フモノヲ設ケマシテ、主ニ応用化学ニ関スル事柄ニ付イテ当業者ノ依頼ニ応ジテ或ハ試験・鑑定・分析ヲヤリ、若クハ自ラ進ンデ各種ノ問題ヲ解決スルコトヲ努メテ居リマス、第三部ハ窯業、主ニ陶磁器ニ関スルコト、或ハ琺瑯鉄器ニ関スルコト、或ハ硝子ニ関スル事柄、一般ニ窯デヤル仕事ニ付イテノ試験事業ヲ行ヒマス、第四ニハ色染、是ハ毛デアルトカ、或ハ木綿デアルトカヲ問ハズ一般ニ色染ニ関スル各種ノ問題ヲ試験研究致シテ居リマス最近ニ至リ更ニ第五部ト致シマシテ、近時欧米デ最モ長足ノ進歩ヲ為シ来ツテ居ルトコロノ電気化学ニ関スル試験ヲヤルコトニナリマシタ右陳ブル如ク多クノ部ニ分カレテゴザイマスガ、唯今ノトコロデハ先ヅ十万ノ経費デアルガタメニ部ノ割分ニ多クノ技術家ハ居ラヌノデアリマス、所長ヲ合セテ技師ガ十一人、其他ハ判任官技手ガ十九人居ルバカリデゴザイマス、此工業試験所ハ即チ帝国ニ於ケル唯一ノ工業試験、民間ニトリテハ工業ノ相談所デゴザイマシテ、御承知ノ如ク我国ノ工場ハ自分ノ工場内ニ試験室ヲ備ヘルト云フマデノ設備ヲシテ居ルノガ少ナイノデアリマス、何カ問題ガ起レバ先ヅ公ケノ試験所ヘ持ツテ行ツテ、ソコデ研究シテ貰ハナクテハナラヌト云フ今日ノ現状デゴザイマス、而シテ其目的ニ応ズルガタメニ此東京ニ設ケラレタトコロノ工業試験所ノ状態ハ只今申スガ如キ現状デゴザイマス
ソレカラ此官立ノ中央工業試験所ノ外、各府県庁ニ於キマシテハ其地方々々ニ必要ナル問題ヲ解決スルガタメニ、即チ地方工業ニ必要ナル試験設備ヲ為シテ居ル、之ガ即チ中央ノ農商務ノ試験所、即チ中央試験所ニ対シ地方試験場トデモ申スベキモノデアツテ、其数ガ只今ノトコロデ十三箇所デアリマス、其多数ハ染織ニ関スルモノデアリマシテ経費ガ四十四年即チ去年度ニ於キマシテ総計約二十五万円デアリマス此試験場ニ対シマシテハ農商務省ハソレゾレ希望若クハ注文ノアルコトデゴザイマシテ、唯各地任意ニ分立的ニ割拠的ニ試験ヲヤルコトハ
 - 第56巻 p.461 -ページ画像 
好マシカラヌノデ、或ル地方ニハ斯ク斯クノ試験他ノ地方ニハ何々ノ実験ヲヤラセタイト云フ様ニイロイロノ注文ガアル、此注文ヲ実行セシムルタメニハソレダケノ補助ヲシナクテハ地方ノ経費デハ到底行ヒ切レヌト云フ場合モゴザイマスカラシテ、明治三十九年以来工業試験費ヲ補助スルト云フコトニ付テ帝国議会ノ協賛ヲ経タ法律ガゴザイマス、此法律ノ根拠ニ基イテ毎年約三万円ノ国庫金ヲ支出シテ総計十三箇所ノ地方試験場ヲ補助シ、同時ニ此金ヲ以テ斯ク々々ノ試験ヲヤル若クハ斯ク々々ノ器械ヲ買入レテ貰ヒタイト云フ様ナ事柄ヲ指定シ、以テ其事業ヲ助成スルコトヽナツテ居リマス、三十九年以来支出シマシタ補助累計ハ十九万八千円デアリマス、又此地方々々ノ工業試験場ハ本省ノ中央試験所ト分業ヲ致シマシテ、且聯絡ヲ保ツト云フ必要ガアルガタメニ常ニ本省内ニ工業試験所長ノ会議ヲ開イテ事務ノ聯絡ヲ取ルコトヲ努メテ居リマス、又年々報告ヲ取ツテ居ルノデアリマスガ此報告ニ付テモ中央試験所ノ技術官ハ各其専門々々ニ従ツテ之ヲ校閲致シテ、必要ナル技術上ノ注意ヲ為シテ行クコトニナツテ居ル
尚ホ試験所ノ外ニ普通ノ学校教育デハナクシテ、極ク実施的ノ人ヲ養成スル組織ヲ各府県デヤツテ居ル、是ハ工業講習所デアリマス、此工業講習所ニ対シテモヤハリ文部省ノ実業国庫補助ト同ジヤウナ方法ヲ以テ多少ノ経費ヲ補助シテ居リマス、此金額モ又場所ノ数モ多クゴザイマセヌカラ以下略シマス
ソレカラ第三ニハ工業用ノ器械ヲ民間ノ団体ニ貸付スルト云フ仕事ヲヤツテ居ル、此趣意如何ト云フニ、大キナ工業家デゴザイマスルト、総テ必要ナル器械ヲ購入スルノニ何等ノ不自由ヲ感ジナイノデゴザイマスガ、我国ノ工業ハ御承知ノ如ク非常ニ発達シタ大工業ノ傍ニハ全ク発達ノ遅イ在来工業ガアルノデアル、此在来工業者ニ対シマシテハソレゾレ各府県ニ於テモ工業ノ技術官ヲ任命シ、種々ノ補導、種々ノ技術ヲ授クルコトヲヤツテ居ルノデアリマスガ、農商務省ニ於テモ亦此等ノ中以下ノ工業家ニ望マシイ設備装置ヲ為サシムルガタメニ、年年海外カラ若干ノ器械ヲ購入致シマシテ、此器械ヲ共同ニ使ウ――此器械ハ斯ク々々ノ効用ガアルノデアル、此器械ヲ使ヘバ忽チ是ダケノ生産費ガ減ゼラレル、ナドト云フコトヲ教ヘテ之ヲ使用セシメテ居リマス、此器械ハ日本ニトリテハ可成新ラシイモノヲ選ムト云フ方針ヲ執ツテ購入スルガタメニ、器械製作業者ニ対シテハ年々模範的ノモノガ農商務ノ手ニヨリテ輸入セラルヽワケデアリマス、貸与機械ノ趣意ハ斯クノ如ク極メテ合理的デハアリマスガ、従来ノトコロ未ダ之ガタメニ多クノ金ヲ支出スルマデニハ運ンデ居ラヌノデゴザイマス、先ヅ年々ニ僅カ三万八千円ノ器械ヲ購入シテ居ルニ止マリマス、金額ハ極メテ僅カデアル、大工場デ言ヘバ殆ド一個ノ器械ヲ買ヘバナクナルガ如キ少額デハアリマスケレドモ、併シ之ヲ小分シテ数多キ小機械ヲ買入レル、而シテ之ヲ拝借使用スル当業者ハ前申スガ如キ手工業、若クハ中以下ノ規模ヲ有シタノデアリマスカラ、其ノ之ヲ有難ク思フコトハ予想外デアル、此制度ヲ初メテ実施シタノハ三十五年デ、ソレカラ一旦中断シテ三十九年以後毎年之ヲ予算ニ計上シテ買ツテ居ル、其個数ハ総計二百三十三個、金額ニ於テ累計三十二万円ノ金ヲ支出シテゴ
 - 第56巻 p.462 -ページ画像 
ザイマス、ソレ等ニ付テハ一々効果ニ付テ申上ゲルノハ繁雑ニ渉リマスカラ省キマスガ、総テ到ル処非常ナ喜ビヲ以テ迎ヘラレ、当業者カラ最モ歓迎ヲサレテ居ルノデアツテ、将来ニ在テハ此ノ如キ遣リ方ハ外国デモヤツテ居ルノデアリマスガ、モウ少シ之ヲ拡ゲル計画ヲ立テタイト云フコトヲ始終考ヘテ居ルノデアリマス、ソレカラ此器械ノ貸与ノ次ニハ、工場デ現実ノ問題ニナツテ居ル実地問題ノ試験研究ヲ為サシムルコトデアル、例ヘバ外国カラシテ輸入シテ来ル或ル品物ガドウシテモ出来ナイ、ドウ云フ方法デヤツタラバ宜カラウカト云フ様ナ問題ガ始終工場デ起ツテ居ル、大工場ナレバ直ニ外国ヘ問合ハシテ調査スルトカ、或ハ技師ヲ外国ニ派遣スルコトモ出来ルノデアリマスガ小工場デハ難カシイ、斯ル実地ノ問題ヲ各地方庁ガ捕ヘテソレヲ本省ヘ報道シテ参ル際ニハ、本省デ其問題ノ実質ヲ能ク調査致シタ上、中ニハ極メテ能ク分カルノモアル、是ハ斯ウスレバ宜イ、直グニ解決ヲ与ヘルコトガ出来ルノモアリマスガ、中ニハ是ハ余程研究シテ見ナクチヤナラヌノガアル、ソコデ工業試験所長等ノ技師ガソレハ一ツ民間ノ実地家ニヤラシテ見ルガ宜カラウト云フ意見ノアツタ時分ニハ、農商務省ハ若干ノ金ヲ出シテ実験嘱託ト云フコトヲヤルノデアル、之モ其件数ニ於テ三十九年以後数十件ノ多キニ亘リマシテ、又解決シ得タ問題モ多々ゴザイマス、併シナガラ総テ是ハ解決シタト云フ訳ニハ参ラナイノデアリマス、例ヘバ十ノ中デハ多クテ三・四件、又ハ悪ルイ場合ニハ二・三件シカ解決ガ出来ヌコトモゴザイマスガ、併シ此実験嘱託ニ依テ多少ノ金ヲ本省カラ出シ、当業者ハ或ハ二・三倍又ハ三・四倍ノ金ヲ出テシ学者ヲ雇ヒ、或ハ農商務ノ技師ニ依頼シテ種々ノ実験ヲヤル、此ノ事ハ中以下ノ規模ヲ持ツテ居ル工業家ヲ指導スル為メ一ツノ要件トナツテ居ル次第デアリマス
ソレカラ直接ニ工業ノ助長ト云フ訳デモゴザイマセヌガ、工産品ノ検査ヲ致スコトニ付キマシテハ、又各般ノ設備ヲヤツテ居リマス、其設備ニシテ直接本省ノ主管ニ属シテ居リマスノハ、即チ花莚デゴザイマス、花莚ハ御承知ノ通リ殆ド大ナル工場ハ無イノデアリマス、先ヅ手工業ト申シマスカ家内工業ト申シマスカ、其等ノ製品ガ集リマシテ遂ニ数百万円ノ輸出品トナツテ居ル訳デアリマス、嘗テ我花莚ニ対スル海外ノ評判ハ非常ニ悪ルカツタ、我邦ノ花莚ハ支那ノ花莚又欧羅巴ノ安物ノ敷物ニハ匹敵ガ出来ナカツタ、コレデハイカヌ、ソコデ是マデ同業組合デ検査ヲヤツテ居リマシタノヲ、直接農商務省ノ手ニ収メテ検査所ヲ神戸ニ設ケマシタ、昨年及本年ニ亘リテ根本的ニ検査規則ノ改正ヲシテ、我邦ノ花莚ヲ益々海外ニ売出シ是マデノ不信用ヲ挽回スルヤウニ努メテ居リマス、ソレカラ羽二重等ノ輸出品ノ検査法規及ビ監督、是ハ先程次官カラ御話ガゴザイマシタカラ、総テ略スコトニ致シマス、ソレカラ又此同業組合ノ検査事務、是ハ農商務省及地方庁ガ監督シテヤツテ居ルコトデアリマス、而シテ工業ニ関スル組合ハ同業組合中最モ多数ヲ占メテ居ルヤウナ訳デゴザイマシテ、本省ハ常ニ検査ト云フコトニ重キヲ置キ、時トシテハ其検査規則ヲ立案シテ、之ヲ組合理事者ニ相談シテ之ヲ実行スルコトモアリマス、併ナガラ全体ヨリ観察スレバ同業組合ノ検査ノ成績ハ是マデ十分挙ツテ居ラヌ、此レ
 - 第56巻 p.463 -ページ画像 
等ニ付テハ第二諮問案ノ時ニ至ツテ更ニ御説明ヲ致シマスカラ唯今ハ省クコトニ致シマス、尚ホ其他細マ細マシイコトガ多クゴザイマスガ主モナルコトヲ掻摘ンデ申上ゲレバ先ヅ以上ノ如クデゴザイマスガ、是等ノ事項ヲ御参酌下サイマシタ上デ、本案ニ付イテノ御意見ヲ拝聴イタシタイト考ヘマス
○議長(男爵牧野伸顕君) 四十九番先刻御発議ガアリマシタガ――
○四十九番(大谷嘉兵衛君) 御説明ガアリマシタヤウデアリマスカラ玆ニ伺ヒマスルコトハ多数ゴザイマスルガ、容易ナラヌ時間ヲ費スコトヽ存ジマスカラ、ドウカ此場合ニ於キマシテハ特別委員ニ付託ヲ願ヒタイノデアリマス、ソレカラ尚ホ之ヲ諸君ノ御賛成ガゴザイマシタナラバ、此特別委員ハ会長ノ御指名トシテ、其数ニ於キマシテモ御一任申上ゲタイト存ジマス、之ヲ建議イタシマス
○五十四番(山本悌二郎君) 先刻私カラ御尋ニ対シテ岡工務局長カラ御答ガアリマシタガ、ソレニ依リマスルト云フト、今回ノ工業奨励ノ範囲ハ単ニ内地ノミニ限ツテ新領土ニハ及バナイノデアル、斯ウ云フコトデゴザイマシタガ、私ハ之ヲ聴キマシテ実ニ少ナカラザル失望ヲ致シマシタ、配付イタサレマシタトコロノ第一案ノ理由書ニ依ツテ見マスト、本邦ト云フコトヲ申シテアリマスカラ、何レ予テ統一ヲ欠キ殆ド産業上ノ方針ニ付キマシテハ支離滅裂ニナツテ居ヤアセヌカト疑ハレタトコロガ、此内地並ニ新領土ノ産業ノ方針ト云フモノヲ一括シテ、帝国ノ大イナル産業ノ奨励ノ方針ヲ此所デ御諮問ニナルコトカト考ヘテ居リマシタ、ソレニ付キマシテハ本員ナドハ多少考ヲ有ツテ居ル積リデゴザイマシタ、惟フニ農商務省ニ於カレテ主催セラレタトコロノ会デアルカラシテ、所管ノ違ツタ所ノ仕事ニハ立入ラヌ範囲ニ置カナケレバナラヌト云フ御趣意ニ外ナラヌコトデアラウト思ヒマスガ翻ツテ此本邦ノ大勢カラシテ見マスルト云フト、是非共斯ノ如キ狭小ナル狭キ意味ニ於ケルトコロノ産業奨励デナクシテ、広ク帝国ノ領土全体ニ渉ツテノ方針ヲ定メルコトノ必要ナル時機ニ到達シテ居リハセヌカト考ヘル、若シ然ラズシテ単ニ此内地ハ内地、朝鮮ハ朝鮮、樺太ハ樺太ト云フヤウナ風ニ、銘々当局者ノ考ヘ次第ニ依ツテ方針ヲ定メテ之ヲ実行シテ往クト云フコトニナリマスルト云フト、大体ニ於テ先ヅ不利益ナル点ハ、力ガ分レル、勢力ガ分レルト云フコトデ、是ハ非常ナ不利益デアラウト思ヒマス、ドウモ統一連絡ヲ欠クト云フコトハ不利益デアル、其実例ハ多々アリマスガ、チヨツト一例ヲ挙ゲテ見マスレバ、例ヘバ此蚕ハ内地ニ於ケルトコロノ主要物産ノ一ツデアリマスガ、近頃広東ニ於キマシテ、又熱帯地方ニ於テ非常ニ養蚕ガ盛ンナルニ鑑ミテ、台湾等ニ於テ之ヲ奨励シヤウナドヽ云フ考ガ夫々当業者ニアルヤウニ考ヘル、所ガヤレバ確カニ出来ルノデアリマス、所ガ内地側ノ当業者ノ話ヲ聞キマスト、唯ダ蚕ヲ沢山作ツテ生糸ヲ沢山産出シタトコロガ、外国市場ノ関係ヲ考ヘテ見ナケレバナラヌト云フ説ガアルヤウデアリマス、是等ハ出来ルナラバ幾ラデモ作ラシテモ宜イト云フモノデアルカ、或ハ又市場ノ趨勢ヲ鑑ミテ、即チ前途生糸ノ生産ト云フコトハ内地ノミニ限ル方針ヲ以テ往クベキデアルカ、其辺ノコトハ調査ノ上デナケレバ分ラナイ、兎ニ角是等ニ付イテハ一ノ方針ヲ
 - 第56巻 p.464 -ページ画像 
定ムベキモノデアラウト思フ、又塩ノ如キデモサウデアリマス、現在台湾ノ塩、内地ノ塩、朝鮮ノ塩ト云フモノハ、各々当業者ニ就イテ奨励保護シツヽアルノデゴザイマス、此三ツノモノガ鉢合セヲスルコトハドナタモ御存ジデアル、其他酒精ニ致シマシテモ同ジコト、斯ク数ヘ来ツタナラバマダマダ沢山斯様ナルコトガアラウト思フノデアリマス、折角工業奨励ノ大方針ヲ御定メニナルト云フコトデアレバ、内地ダケニ限ツテ御定メニナツテ、其結果斯ノ如キ衝突ヲ来スヤウナコトデアツテハ、詰リ「プラス」「マイナス」 ニナルヤウナコトニナリハシマイカ、甚ダ懸念ニ堪ヘナイノデアリマス、此範囲ヲ広メルコトハ所管ノ関係ノ上カラ出来ナイノデアリマスカドウカト云フコトヲ、モウ一応御聴キシテ置キタイト思ヒマス
○番外(押川農商務次官) 唯今山本君ノ御説ハ至極御尤ナヤウニ思ヒマスガ、御推察ノ通リ農商務大臣ガ主管シテ居リマスル生産調査会ニ付キマシテハ、農商務大臣ト致シマシテハ、ドウシテモ之ヲ独立ノ総督ガ権限ヲ以テヤツテ居ルトコロノ台湾、或ハ朝鮮ノ事マデモ議シテ貰フト云フコトニハ参リ兼ルト考ヘルノデアリマス、固ヨリ内地ノ工業ニ関聯シテ之ニ相当ノ関係ヲ有ツテ居ル、影響ガアルトイフコトハ是ハ論ノ無イコトデアラウト思ヒマスルカラ、ドウモ此権限ノ定ツテ居ルコトデアリマスカラ、全ク其権限ノ及バナイトコロノコトマデモ農商務大臣ガ夫等ノ事ニ付イテノ審査ヲ願フト云フ訳ニハ参リ兼ルト存ジマス
○中略
○十六番(大岡育造君) 今問題ニナツテ居リマスル工業助長ノ及ボスベキ区域ノコトデアリマスガ、是ハ当局モ恐ラク御見解ガ其当ヲ得ズニ居ルノデハナカラウカト私ハ考ヘマスルカラシテ、是ハ会長ノ一ツ御答弁ヲ煩シタトイ思フ ○中略
○議長(男爵牧野伸顕君) 十六番ニ御答致シマス、今岡局長、次官ヨリ御説明致シマシタ事ハ大抵御承知ノコトヽ思ヒマス、職権ノ及ブトコロ自カラ官制其他ノ例規ニ依ツテ明瞭デアリマスルカラ、其精神ニ依ツテ即チ管轄内ノ事ニ付イテ御答致シタ訳デアル、然ルニ本会ニ於テ帝国ノ産業、工業助長ノ上ニ於テ領土等ノ事マデモ併セテ研究シテ意見ヲ陳ベナケレバ、十分其ノ意思ノアル所ヲ尽スコトガ出来ヌト云フコトデアレバ、無論差支ナイノデアリマス、是ハ今モ御話ノアル通リ、従来モ此本会ノ問題ニナツテ居ル事ニ付イテ他ノ官省ニ関係ノ事ニ付イテ御陳ベニナツテ居ルト同ジ意味デアルノデアリマス、デ御意見ニ依ツテ御意見ノ関聯スル所ニ付イテ領土ノ事マデモ併セテ御議シニナリ、又御研究ニナリ、御答申ニナルコトハ少シモ差支ナイノデアリマス、サウ云フ場合ニハ相当ノ手続ヲ執リ、相当ノ又審議ヲ凝シテ御趣意ノアル所ヲ成ルベク実現サレルヤウナコトニ、勿論其内容ニ付イテ本省ニ於テモ研究ハ尽シマスケレドモ、御同意致ス以上ハ其御趣旨ノアル所ノ実現セラルヽヤウニ力メルコトハ議長――此本官ノ責任上当然致スコトデアリマス
○中略
○十三番(松崎蔵之助君) 此工業助長ノコトニ付キマシテ私モ一・二
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当局ニ御尋ヲ致サウト思ヒマス、先程当局ノ御説明ニ、助長ノ第一ノ策トシテ中央工業試験所ト云フモノヲ拡張ナサル御見込ノ様子ニ拝聴シマシタ、誠ニ御尤ト考ヘマスガ、私ハ尚ホ一歩進メテ伺ヒタイノハ他デハナイ、日本ノ如ク資本モ乏シクアルシ、労働其他ノ技芸ノ上ニ於テモ余リ熟練シテ居ラナイト云フ時ニ方リマシテハ、主トシテ此技術並ニ之ト伴ツテ日進ト申ストチト語弊ガアルカモ知レマセヌガ、兎モ角新シク発明等ヲ利用スル必要ガ大イニアルト確信シテ居ル、ソレデ願クハ工業試験ノ上ニ更ニ進ンデ発明等ヲバ助長又ハ保護奨励スルコトニ付キマシテ、予ネテ御工風ノアルコトデアリマスルカ、又ナイトシマシタナラバ将来之ニ就イテ御考ヲ煩ハスコトニナルノデアリマセウ、此点ヲチヨツト伺ヒタイノデアリマス、ソレカラ其次ニハ多少之ト関聯シテ居リマスルコトデアリマスガ、直接ニ本問題ニ関係ガ無イト或ハ仰セラレルカモ知レマセヌガ、従来此発明等ヲ保護シマスル為ニ謂ハユル特許ナルモノガアルノデスガ、大分我邦ニ於キマシテモ現今此特許数ハ多キニ上ツテ居ルヤウデアリマスケレドモ、聞ク所ニ拠リマスト、此特許権ヲ得マシタル者ガ唯ダ徒ラニ之ヲ得タルニ止マツテ、別段進ンデ之ヲ利用スルトコロノ方法ヲ講ジナイ者モ少ナクナイヤウニ承ツテ居ル、縦シ之ヲ利用シヤウト致シテモ、或ハ資本ノ欠乏デアルトカ、其他ノ理由ニ依ツテ已ムヲ得ズソレナリニナツテ居ルコトガアルヤウニ承知シマスルガ、併シ是等ノ未ダ利用セザル所ノ特許権ノ中ニハ若シ之ヲ利用スルニ於テハ従来其方面アタリニ他ノ保護デモアリマスカ、兎モ角モ有用ノ事業ヲ起ス見込アルモノガ無イデハナイト云フコトデアリマス、是等ノ点ニ付キマシテ大凡ドノ位特許権ヲ得マシタモノデアリマスカ、尚ホソレナラ利用サレズニ居ル物ガアリマスカ、唯ダ心得ノ為ニ伺ヒタイ、ソレカラ次ニハ大体論ニ渉リマスガ、先程カラ工業ノ範囲ヤラ意味ニ付イテノ御質問ガアリマシタ、唯ダ惜ムラクハ範囲ダケニ止マツテ居ルヤウデアリマシテ、其意味ハ何所ニ在ルカト云フコトニ付イテハマダ当局ニ於テ御説明ガ無イ、一口ニ工業ト言ヘバ何トモナイヤウデアリマスガ、此諮問案ノ真意ヲバ窃ニ忖度イタシマスレバ、大分中以下ノ工業ノ助長トデモ私ハ解釈シタナラバ或ハ当局ノ真意ヲ了解スルニ於テ肯綮ヲ得ルコトデアラウト考ヘマスガ、果シテサウデゴザイマスカ、何故ナレバ既ニ大工業トナツテ居ルモノハ尚ホ此上助長スルト云フノモ――助長スルニ増シタコトハアリマセヌケレドモ、併シ左程急デナイモノデアルカト存ゼラレル、ソレデ若シ中以下ノ工業デアルトシマスルト、或ハ日本固有ノ従来ノ工業モアリマスル、或ハ又マダ其技術其他ノ点ガ之ヲ海外カラシテ学ブコトガ完全デナイ為ニ僅カノ資本ナリ僅カニ得タル技術ナドヲ以テ漸クコツコツヤツテ居ルモノナドガ大分アルヤウデアル、私ノ考デハ是等ノ工業ガ将来大工業トナル望ミモアルシ、又既ニ其等ノ方法或ハ経営ニ依ツテ以テエラク発達シタコトモアルヤウデアリマス、要スルニ全体カラ致シマシテ、是等ノ中以下ノ工業ニ付イテノ助長或ハ保護ナドニ付キマシテ、特ニ助長及ビ保護ノ方法ヲバ考ヘマシテ宜シイコトデゴザイマスカ、チヨツト伺ヒタイ
○番外(押川農商務次官) 唯今松崎君ノ御尋ネノ発明ノコトニ付イテ
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其奨励発達ヲ図ルト云フコトデ何カ計画ヲシタコトガアルカドウカト云フコトデアリマスガ、常ニ此発明ヲ奨励スルト云フコトニ付イテハ或ハ懸賞ノ法ナリ、若クハ発明シタ者ニ特別ニ賞与ヲヤルト云フヤウナコトデ、其他ノ方法ヲ以テ発明ヲ奨励スルコトヲ実行致シタイト云フコトハ常ニ考ヘテ居ルノデアリマシテ、又屡々本省ニ於テハ夫等ノ予算ヲ組ンダコトモアルノデアリマスガ、未ダ実行スルノ運ビニ至ラズニ居ル次第デアリマス、ソレカラ次ギニ特許権ヲ得テ居ル発明ニシテ実際ニ利用セラレナイモノガドノ位アルカト云フヤウナコトハ、是ハ本省ニ於テモ特許権ヲ得タ後ノ実況ニ付イテハ十分ニ取調ベタイト云フ積リデアルノデスケレドモ、ドウモ是等ノモノヲ一々取調ベルト云フコトノ実際ノ運ビニ至ツテ居リマセヌ、唯特許権ヲ得テ居ツテ而シテ十分効能ノアルト云フヤウナモノニシテ行ハレナイモノモ遺憾ナガラアルト存ジテ居リマスケレドモ、唯今ドウ云フモノガアルカ、又ドノ位アルカト云フヤウナコトハチヨツト即座ニ御答スル訳ニモ参リマセヌガ、到底其数ハドレダケデアルカト云フヤウナコトノ御話ハ出来ヌト思ヒマスケレドモ、中ニハ斯ウ云フヤウナ特許権ヲ得タモノデアツテ未ダ利用セラルヽニ至ラヌト云フヤウナモノハ取調ベテ見マシタナラバ、主務者ニ於テハ或程度マデハ分ツテ居ルコトヽ存ジテ居リマス、夫等ノ事ハ又機会ヲ待ツテ御説明致スコトニ致シテモ宜シウゴザイマス、ソレカラ第三ニ此問題ニ上ツテ居リマスル工業ノ助長ト云フコトハ、中以下ノ工業デアルカト云フ御尋ネデアリマスルガ、是ハ全クサウ云フ区別ヲ設ケテ居リマセヌ、併ナガラ凡ソ工業ノ助長発達ト云フヤウナコトノ方法ヲ講ジテ之ヲ具体的ニ講究致シタナラバ、自カラ大工業ニアラズシテ中以下ノ工業ガ多イト云フヤウナ結果ガ出ルカ知レマセヌト思ヒマス、大工業ニ向ツテハ夫程ノコトハナイガ、中以下ノ工業ニ向ツテハ是等ノ方法ハ多ク行ハレルコトニハナラウカト思ヒマスケレドモ、本問題ヲ提出スルニ付キマシテ何モ大工業ト中以下ノ工業トノ差別ハ設ケテ居ラヌ積リデゴザイマス
○十七番(浅田徳則君) 先刻田川君カラノ御尋ネノ事ハ丁度本員モ御尋ネシヤウト思ツタコトデアリマシタガ、其質問ニ対シテ岡局長カラノ御答弁デ略ボ了解致シマシタガ、更ニ進ンデ御尋ネシタイノハ、此諮問案ヲ見マスルト云フト、魚市場ノ如キ、若クハ同業組合法ノ如キハ何レモ政府ガ成案ヲ具ヘテ御諮問ニナツテ居ルヤウデアリマス、ソレデ独リ此工業助長ノ事ニ付イテハ種々外国ノ事例等モ参照ノタメニ御示シニナツテ居ルノデアリマスカラ、此事ニ付イテハ従来ノ保護ノ仕方デナクシテ、凡ソ政府ニ於テハ斯々ノ腹案デアル、成案ト云フマデニハ参ラズトモ略ボ斯ノ如キ腹案ヲ有ツテ居ルト云フコトガアラウト思フノデアリマス、唯漫然ト会員ノ意見ハドウデアルカト云フヨリモ、議事ノ進行上ニモ政府ガ見ル所ヲ以テ斯々ノ事ニ付イテ従来ノ方法ハ不十分デアルカラシテ政府ハ更ニ是ダケノ事ヲシヤウ、斯ウ云フ御定見ガアラウト思ヒマスカラシテ、若シサウ云フ御腹案デモアルト云フコトナラバ大体ヲ御示シヲ乞ヒマシタナラバ、大ニ吾々ノ審議ヲスル上ニ付イテ捗取リガ宜カラウト考ヘマス、此事ヲ伺ヒマス
○番外(押川農商務次官) 此工業助長ノ事ニ付キマシテハ、恰モ此前
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ノ貿易助長ノ事ニ付イテ御諮詢ヲ致シタコトノヤウニ御話ノ如ク定案ガナイノデゴザイマス、ガ固ヨリ農商務省ニ於キマシテ確定シタ意見デハゴザイマセヌケレドモ、凡ソ腹案ハアルニ相違ナイノデゴザイマス、是ハ決シテ省議デ決定致シテ居ルト云フ程ノコトデモゴザイマセヌケレドモ、凡ソ斯ウ云フ風ナ事ト云フヤウナコトハ調ベタモノガアリマスルノデ、何レ此調査ニ付イテハ特別委員ニデモ御付シニナルト云フヤウナコトデアリマシタナラバ、其際ニ是等ノ事ハ御説明スルヤウニ致サウカト思ツテ居ツタトコロデゴザイマス、併ナガラ固ヨリ其工業助長ト云フコトガ、必シモ農商務省所管ノ事ダケデ尽ス訳デハアルマイト考ヘテ居リマス、先程モ大岡君カラ御話ノ通リニ多少ノ関係ノコトガ貿易助長ト云フコトニモ沢山ゴザイマシタカラ、工業助長ト云フ事ニ付イテモ同ジク同様ナ事ガアラウカト思ヒマス、夫等ノ事ハ措イテ、兎ニ角農商務省ノ主管内ノ事ダケハ多少ノ調ベタモノガゴザイマスカラ、此処デソレヲ総テ説明シロト云フコトデアリマスレバ説明致サセテモ差支ナイ次第デアリマス
○十七番(浅田徳則君) 委員会デ宜シウゴザイマス、委員会ト云フコトガ成立チマスレバ兎モ角……
○十六番(大岡育造君) 大谷君ニ賛成
○五十三番(田中芳男君) 最早大分御質問モ進ンダヤウニ思ヒマスガ先刻四十九番カラ委員付託ノ説ガ出テ居リマシタガ、本員ハソレニ賛成ヲ致シマス
  (「賛成々々」ト呼ブ者アリ)
○議長(男爵牧野伸顕君) 四十九番ノハ会長指名デスカ
○四十九番(大谷嘉兵衛君) 左様デゴザイマス
○議長(男爵牧野伸顕君) 人員ハ……
○四十九番(大谷嘉兵衛君) 人員ニ於テモ会長ニ御一任ヲ申上ゲタイ
○議長(男爵牧野伸顕君) 四十九番ノ提議ニ御賛成デアレバ……
  (「賛成々々」「異議ナシ異議ナシ」ト呼ブ者アリ)
○議長(男爵牧野伸顕君) ソレデハサウ云フコトニ取計ヒマス、特別委員ニ付イテノ人名及ビ員数ハ後デ御報告致シマス
○中略
○議長(男爵牧野伸顕君) ソレデハ工業助長ノ方ノ委員ハ十九名ト致シマス
○下略