デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

8章 政府諸会
1節 諮問会議
1款 生産調査会
■綱文

第56巻 p.485-491(DK560120k) ページ画像

大正元年9月28日(1912年)

是日栄一、農商務省会議室ニ於ケル当会第四回会議最終日ニ出席シ、魚市場法制定ニ関スル特別委員会委員長トシテ、委員会審議ノ経過ニツキ中間報告ヲナス。


■資料

竜門雑誌 第二九三号・第六八頁 大正元年一〇月 ○第三回生産調査会《(第四回)》(DK560120k-0001)
第56巻 p.485 ページ画像

竜門雑誌  第二九三号・第六八頁 大正元年一〇月
    ○第三回生産調査会《(第四回)》
○上略
△第三日 廿六日・廿七日は各特別委員会開会の為め休会し、廿八日午後二時より本会議を開き、先づ諮問事項及建議案に就て各特別委員長の報告ありたり、即ち生産調査会に関する建議案に就ては委員長田男爵より委員会の経過及修正報告ありて委員会の修正案通り可決し、次に第一、工業助長に関する方法の件に就ては委員長武井男の報告あり、是れ又委員会の決議通り確定し、第二、重要輸出物産同業組合法改正の件に就ては委員長曾我子の修正報告ありしが、審議の結果更に審査委員を設けて再調せしむることに決し、其委員は会長の指名に一任し、第三、魚市場法制定の件に就ては委員長青淵先生より本問題は委員会に於ては尚ほ調査を要する事ありとて決議するに至らざりし旨を報告し、委員長の報告通り、尚ほ特別委員に附託して調査を続行することに決定し、是れにて議事を終り、牧野会長は第三回調査会《(第四回)》を閉会する旨を告げ、且つ委員附託となりたる問題は可成調査を急ぎ其決定を見たる上、再び生産調査会を召集すべしと宣し、午後五時散会せりといふ


生産調査会録事(第三回)《(第四回)》 第一八七―二〇一頁 大正元年一一月刊(DK560120k-0002)
第56巻 p.485-490 ページ画像

生産調査会録事(第三回)《(第四回)》  第一八七―二〇一頁 大正元年一一月刊
    大正元年九月二十八日(土曜日)午後二時三十分開議
○議長(男爵牧野伸顕君) 是ヨリ開会イタシマス
○中略
○議長(男爵牧野伸顕君) 第二項ノ生産調査会ニ関スル建議案ニ就テ委員長ノ御報告ヲ願ヒマス
○十番(男爵田健治郎君) 私ハ生産調査会ニ関スル建議案ノ特別委員
 - 第56巻 p.486 -ページ画像 
長トシテ審査ノ経過及ビ結果ヲ御報告致シマス、本会ハ昨日午後二時過ギニ開キマシテ全員残ラズ出席デゴザイマシタ、先ヅ第一ニ提出者タル山本君ヨリ提出ノ理由ヲ承ツタノデゴザイマス、是ハ過日本会デ山本君カラ大体御述ベニナツタコトデゴザイマスカラ、御承知ニナツテ居ルノデゴザイマスガ、其要ヲ摘ンデ申シマスルト云フト、其要点ガ二ツニ分レテ居リマス、第一ハ此生産調査会ノ調査ノ範囲ヲ拡張シテ各官省ニ亘ル事柄、若クハ広ク新領土・殖民地ニ亘ル事柄モ調査ヲスルヤウニシタイ、斯ウ云フ希望ガ一点デアリマス、ソレカラモウ一点ハ生産調査会ヲシテ継続的ニ常置機関ト云フヤウナ性質ノモノニシテ、常ニ生産ニ関スル事項ヲ調査スルヤウニシタイ、此二要点デアルノデゴザイマス、ソレデ委員会ハ此二要点ガ現在行ハレテ居ル所ノ生産調査会ノ官制ノ範囲ニ於テ行ハルヽコトデアルカ、若クハ官制ノ改正ヲシナクテハ此二要点ノ《(ハ)》行ハレヌノデアルカ、此点ニ就テ研究シマシタケレドモ、ドウモハツキリ判定ヲ下スコトガシ難イ為メニ、遂ニ農商務大臣ノ代理トシテ押川次官ノ出席ヲ煩シマシタ、サウシテ順次質問ヲ致シマシタ所ガ、押川次官ハ詳細ニ意見ノアル所ヲ述ベラレタノデアリマスガ、其要領ハ第一問題タル範囲ノ狭イカ、広イカト云フコトニ就テハ、官制第二条「生産調査会ハ生産ニ関スル重要ノ事項ニ付関係各大臣ノ諮詢ニ応ジテ意見ヲ開申ス」トアルノデアリマスカラ是ハ決シテ内閣主管ノ事務ニ限ツタ範囲デハナクシテ、即チ内閣ヲ始メ各省ノ主管事務ニ亘ツテ生産ニ関スル重要ナ事項デアル限リニ於テハ、無論調査審議スルコトノ出来ル次第デアル、ソコデ是マデノ経過デゴザイマスルト農商務省ノ主管ノコトヨリ遂ニ諮詢案ガ出タコトガナイ、各省ノ主管ノコトマデモ諮詢セラルヽト云フ官制ノ趣旨ナラバ出サウナモノデアルノニ、遂ニ出タコトガナイノハ如何ナモノデアルト云フ御尋ネニ対シテハ農商務省デハ前回マデニハ各省ヘモソレゾレ通牒モシテアツタ所ガ、何等ノ諮詢案ノ提出ガナイ所ヲ見ルト、各省大臣ハ未ダ諮詢スベキ事項ガナカツタモノト考ヘルヨリ外ハナカラウト、斯ウ云フ答ヘデアリマシタケレドモ、既ニ各省ニ亘ツタコトヲ調査シテアル所ノ例ハ此建議ニ属スルコトナリ、又建議以外ナコトデモ既ニ昨年ノ貿易ノ助長ニ関スルコトナドノコトハ単リ農商務省ノ主管ニ限ラズシテ、広ク各省ニ亘ツタコトヲ現ニ審議調査シテ決議ニナツテ居ルノデアルカラ、即チ広クヤツテ居ルト云フコトハソレヲ見テモ明ナル次第デアル、又ソレニ対シテ、左スレバ此新領土ノコトト云フモノハ、随分重要ナルコトガアルデアラウト思ヒマス、新領土ニ対スル所ノ或ハ拓殖局ナリ、ソレ等ノ所カラ尚ホ委員会ニ一人モ代表者ノ選出ノナイコトハ如何ナル訳デアラウカ、斯ウ云フ御尋ネニ対シテハソレハ今マデ其必要ヲ感ジナカツタガ故ニ任命セナンダノデアリマセウ、決シテ殊更ニ除外スルナドト云フ意味デハ決シテナイノデアル、斯ウ云フ答ヘデアリマシタ、是ニ依ツテ第一問タル範囲ト云フ問題ハ明ニ分ツタノデアリマス、即チ広イ範囲ヲ以テ居ルト云フコトハ明ニ分ツタノデアリマス、ソコデ是ニ第二問タル継続的常置機関ト成シ得ルヤ否ヤ、斯ウ云フ問題ノ質問ニ対シマシテハ、元来此生産調査会ト申スモノハ、独リ生産調査会バカリデナイ、斯ウ云フ類ノ会議ト云フ
 - 第56巻 p.487 -ページ画像 
モノハ或ハ鉄道会議トカ、或ハ港湾調査会議トカ云フ類ノモノハ段々アルノデゴザイマスガ、何レモ皆諮詢機関ノ性質ヲ有ツテ居ルモノデアラウト考ヘテ居ル、ソレデアルガ故ニ諮詢機関ト云フ以上ハ諮詢ガ出テ、サウシテソレニ向ツテ召集ノ上開会セラルヽノデナクテハ自分自分ガ即チ生産調査会自身勝手ニ申合ツテイツデモ開クト云フ訳ニ参ラヌモノデアラウト考ヘル、従ツテ此建議ヲ提出スルト云フコトガ開会中ニアラズト雖モ、即チ出来得ルヤ否ヤト云フ疑問ニ対シテハ、此建議提出ノ方法ニ対シテハ生産調査会議事規則ノ第七条ニ「三名以上ノ同意ヲ以テ建議案ヲ提出スルコトヲ得」ト云フ規定ガアル所ヲ以テ考ヘテ見ルト、此建議案ノ提出ト云フコトハ矢張リ議事ニ対スル行動ノ一ト認メラレテ居ルニ相違ナイ、シテ見ルト矢張リ議事ヲ開カルヽ場合デナクテハ建議案ヲ提出スルノハ本則トハ思ハレヌ、若モ開会ニアラザル場合ニ於テ建議案デモ出サレタ場合ニ或ハ便宜上御受取リスルヤウナコトガアルカモ知レヌケレドモ、是ハ正則トシテ提出サレタモノト見ル訳ニハ参ラヌト思フ、従ツテ建議案ガアツタトシテモ、建議案ヲ議スルダケニ本会ヲ召集セラルヽト云フコトモ亦タナイコトデアラウト考ヘル、斯クノ如キ大体答ヘデアリマシタ、ソレデ官制上ノ解釈ハ先ヅ此押川次官ノ御答弁デ明瞭ニナツタモノト見マシテ、委員会ハ更ニ本建議ノ可否ニ向ツテ頗ル熱心ニ委員諸君モ百方研究ヲセラレタノデアリマス、種々研究ノ末其間ニ協議者小委員的ノヤウナ行動モゴザイマシタガ、結局夕刻ニ及ンデ一ツノ修正案ガ成立タンデアリマス、即チ其修正案ハ只今御手許ニ御配付ニナツテ居ル通リデアリマスカラ、是ハ御覧ニ既ニナツテ居レバ朗読ヲ御省略ヲ願ツテ、私ハ此建議案ノ大体ノ趣意ヲ一ツ委員会ヲ代表シテ申上ゲタイト思ヒマス、御異存ハゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕
○十番(男爵田健治郎君) ソレデハ此修正案ハ朗読ヲ省略願ヒマシテ大体ノ趣意ヲ申上ゲマス ○中略 是等ノコトヲ深ク顧ミテ見レバ今ノ時タル、朝野共同、官民一致奮発努力シテ、以テ此生産事業ノ改良発達ヲ図リマシテ、益々国富ノ増進ノ途ヲ立テナクテハナラヌノデアリマス ○中略 此生産調査会ナルモノハ、チト自画自賛ノヤウニ見エルカ知レマセヌケレドモ、兎ニ角ニモ我ガ現在各種ノ斯ウ云フ似寄ツタ機関ガアリマセウケレドモ、堂々タル朝野ノ各方面ノ有識者・専門家等ノ大多数ヲ集メラレ、斯ル有力ナル人々ヲ網羅シタコトノ盛ンナルノハ恐ラク他ニ比例ヲ見ヌ程ノモノデアル、ソレデアリマスルガ故ニ、社会即チ世間ハ少クトモ生産業ニ関係ノアルトコロノ人々ハ、仮令商業家デアレ、工業家デアレ、若クハ農業家デアレ、苟モ心ヲ生産ノ発達ニ始終向ケテ居ルト云フ人ナラバ、此生産調査会ニ向ツテ多大ナル希望ヲ寄セテ居ルノデアリマス、即チ此生産調査会ナルモノハ一方面ニ於テハ、政府ガ生産事業ニ向ツテ如何ナル施設ヲシ如何ナル方針ヲ執ツテ居ラルヽカト云フコトヲ此生産調査会ヲ通シテ了解シテ居ル、又一方ニハ此生産調査会ノ会員タルトコロノ各方面ノ人々カラ、此実際ニ事業ヲ執ツテ居ル人々ノ輿論トモ申スベキトコロノ希望ヲ集メ来ツテ、或ハ諮問案ニ向ツテノ答案トナリ、或ハ建議案トモナツテ出ルノデア
 - 第56巻 p.488 -ページ画像 
リマス、シテ見ルト云フト此生産調査会ナルモノハ、目下我国ノ生産事業界ニ於ケル官民ノ意思疏通ノ唯一ノ機関ト申シテモ敢テ過当デハナカラウト思ヒマス、デ斯ルモノデアリマスルガ、此生産調査会ガ十分ニ利用セラレテ其効果ガ十分ニ挙ゲラレテ居ルデアラウカ、其機能ガ十分ニ発揮セラレテ居ルデアラウカト云フコトヲ顧ミテ見ルト云フト、御互恐ラク委員諸君モソコニ向ツテハ社会ニ対シテ幾ラカ御赤面――御恥カシイ次第デアルト仰シヤラナクテハナラヌ状態デハナカラウカト思フノデアリマス、斯ルコトハ畢竟未ダ生産調査会ノ利用ガ完タカラヌト云フコトヲ明ラカニ示ス訳デモアリマスルガ、而シテ其利用ノ完タカラヌ最モ大キナ点ハ何処ニアルカト云フト、即チ前ニ申シマシタ通リ、押川次官モ説明サレタ通リ、此官制ノ与ヘタルトコロノ権能ニ於テハ生産ニ関スル重要ノ事項ニ付テ関係大臣ノ諮詢ニ応ジト云フコトガ明カニ書イテアル、ソレデアリマスルガ故ニ、畢リ農商務大臣ノ管理ノ下ニ在ルト云フコトハ論ヲ俟タヌデアリマスガ、生産調査会ガ諮問機関ト云フコトハ、単リ農商務大臣ノ諮問機関ニアラズシテ、即チ我ガ政府全体ノ諮問機関ニ相違ナイノデアル、併シ此農商務省ノ諮問以外ニ於テ、生産調査会ニ掛ケルヤウナ生産事業ガ無イノデアルナラバ又仕方ガアリマセヌガ、内閣ニハ鉄道ト云フヤウナル非常ナル生産ニ関係ヲ有ツテゴザル所ガアル、又各新領土、台湾・朝鮮其他ノモノモ矢張リ内閣デ以テ主管シテゴザル、内務ニハ治水或ハ道路行政ダトカ、大蔵省ニハ関税或ハ金融ノコト、外務ニ於ケル協定税率ノコトデアルトカ、逓信ニ於ケル航運又ハ電気ノコト、斯ク挙ゲ来ツタナラバ、各省ニ於テ生産ニ関シタ重要ナル事柄ガ挙ゲテ数フベカラザル程アルノデアリマスガ、其モノヽ施設ノ得失ハ悉ク多大ナル影響ヲ此生産事業ノ消長ニ及ボスニ拘ラズ、未ダ曾テ一問題ノ御諮問ヲ受ケタコトハナイ、サウシテ見マスルト、即チ此生産調査会ナル尨大ナル、見タ所ノ非常ナル立派ナ機関ガ、マダ殆ド三分ノ一ドコロノコツチヤナイ、五分ノ一カ、十分ノ一ヨリ利用サレテ居ラヌ事実デアルト云フコトヲ申シテモ決シテ誣言デナカラウト思フ ○中略 既ニ前申ス通リ本会ガ生産上官民意思疏通ノ唯一機関デアルト云フコトデアルナラバ成ルベク度々御開キニナツテ、而シテ此生産上ニ付イテ御諮問ニモナリ、又民意ノ在ル所ヲ御聴キ下サルト云フコトノ便ヲ御開キニナルノニハ、ドウシテモ此会ヲ度々御召集ニナルト云フコトニナルヨリ外ニハ仕方ガナイノデゴザイマスカラ、此本建議案ニ於テハ毎年二回以上位開会サレルヤウニアリタイ、斯ウ云フ希望ヲ申述ベタノデアリマス此以上各省ノ事ヲ御諮詢ニナリ又調査会ノ開会モ多クセラルヽト云フ二点ノ要求ハ、是ハ官制上何等ノ改正モ要シナイコトデアル、官制ガ当然与ヘテ居ルトコロノ権能デアルノデアリマスカラ、ソレダケノ権能ヲ有シナガラ之ヲ空シウスルト云フコトハ、本会ヲ置カレタ所以ノ御趣旨ニ背クデアラウト云フコトヲ深ク憾ムノデアリマス、政府モドウカ此生産奨励ノ目的ヲ維持スル為ニハ、遺漏ナク種々ノ御手段ヲ御執リニナツテハ、謂ハユル官民一致ト云フヤウナコトヲ始終言フコトデアリマシテ、官民一致ドコロデナイ、各省スラ一致シナイデ始終矛盾衝突ヲ来シテ居ルト云フヤウナコトデアツテハ、何ヲ以テ我邦ノ富
 - 第56巻 p.489 -ページ画像 
強ヲ来スコトガ出来ヤウカ、此点ハ吾々ノ委員会ニ於テ最モ熱心ニ御考慮ヲ願ハナクチヤナラヌト云フトコロノ精神デアルノデゴザイマス願クハ満場諸君モ此意ヲ御酌取ニナツテ賛成御可決ニナラムコトヲ希望シマス、而シテ幸ニ満場諸君ノ御同意ヲ得テ此案ガ可決シタナラバ幸ヒ会長タル農商務大臣閣下ニ向ヒマシテモ、何卒此建議書タル決シテ一場ノ議論ガマシイコトヲ申ス次第デハナクシテ、誠心実意国ヲ憂フル赤心カラ出デタト云フコトヲ御酌取リ下スツテ、此案ハ内閣総理大臣及ビ各省大臣ニモ宛テ出シマス筈ニナツテ居リマスガ、会長タル農商務大臣閣下ニ於カレマシテモ特ニ此ノ点ニ御配慮下サイマシテ成ルベク此目的ヲ果スヤウニ願ヒタイト云フコトハ、決シテ吾々個人ノ面目ナドノ為ニ申スノデナクシテ全ク国家ノ消長盛衰ノ岐ルヽ所グラヰニ深ク考ヘテ申上ゲル次第デアリマス、併セテ御希望ヲ申上ゲマス
○七十三番(添田寿一君) 私ハ本案ニ満腔ノ賛成ヲ表スル者デアリマス、賛成ノ理由ハ最早田男爵ノ詳細ナル御言葉ニ依ツテ尽シテ居リマス故ニ、ソレヲ繰返シマセヌ、唯一言此建議ノ実行ト言フコトニ付イテ希望ヲ述ベタイト思ヒマス ○中略 希クハ此建議案タルヤ、農商務大臣ニ於テ今迄トハ異リ、重キヲ之ニ御置キ下サレマシテ、之ヲ政府ニ伝ヘ、各省大臣ニ御通ジ下サレル上ニハ十分本会ノ趣旨ヲ明カニセラレ其希望ノ徹底スルコトヲ御努メ下サルヤウニ切ニ祈リマス ○中略 而シテ希クハ満場ノ諸君モ、斯ノ如キ建議案コソ此会ガ実ニ最モ力ヲ入レナケレバナラヌ案デアリマスル故ニ、満場一致ヲ以テ此案ヲ可決セラレ即チ国家ノ必要ニ応ズルノ趣旨ヲ御貫キ下サレムコトヲ切ニ祈リマス
○九番(松田源治君) 私モ此建議案ニハ同意デゴザイマスルガ、田男爵及ビ添田氏ノ意見ヲ貫クタメニ尚一層拡張シタル修正ヲ本案ニ加ヘテ通過致シタイト思フ、而シテ満堂諸君ノ賛成ヲ願ヒタイト思ヒマス田男爵カラ報告アリマシタガ、本会ハ諮詢機関ト云フコトデゴザイマスルガ、本員ハ諮詢機関ノミトハ認メラレナイ、生産調査会ハ第一条ニ目的ガ書イテアツテ「生産ニ関スル重要ノ事項ヲ調査審議ス」ト、是ガ即チ生産調査会ノ権限デ、此ノ権限ガ二ツニ別カレテ、第二条ガ政府ノ各大臣ニ対シテ諮詢ヲ為シ、第三条ガ関係各大臣ニ対シテ建議ヲ為ス、本会ハ重要ナル生産ノ事項ヲ調査審議スル機関デアツテ、其目的ヲ達スルタメニ諮詢ト建議ト此二ツニ別カレテ居ルノデゴザイマス ○中略 即チ諮詢ニ対シテハ本会ハ十分ニ活動ガ出来ルガ、委員ノ建議ニ付イテ第三条ヲ活動セシメルタメニハ、会長ガ諮詢ノタメニ開イタル機会ヲ待タナケレバナラヌ、然ルニ昨年ノ如キハ政府ハ諮詢スル事項ハナカリシニ拘ハラズ、民間ノ方ノ委員ハ非常ニ生産事業、経済財政ニ関スルトコロノ大問題ハ昨年アツタノデアル、――アツタノデアルケレドモ、之ヲ政府ニ建議セムト欲スルモ其方法ガ付イテ居ナイカラ、本会ノ開会ヲ請求スルコトガ出来ナクシテ、甚ダ我帝国ノ為メ、生産発達ノ為メ本員等ハ遺憾ニ考ヘルノデゴザイマスカラ、三条ノ次ギデモ宜シイ、何処デモ適当ナ場所ニ「委員三分ノ一ノ同意ヲ得テ生産調査会ノ開会ヲ請求スル時分ニハ会長ハ生産調査会ヲ開クヲ要ス」ト云フヤウナ意味ヲ此建議案ニ附ケ加ヘテ、其意味ノ官制ノ改正モ此建議案ノ中ニ含マセテ通過シタナラバ、完全ナル建議案トナツテ、田
 - 第56巻 p.490 -ページ画像 
君及ビ添田君ノ意見モ十分貫徹スルコトガ出来ルト本員ハ考ヘルノデアリマス ○中略 サウ云フ趣意デ諸君ノ同意ヲ得マシテ此建議案ヲ一層有力ナモノニシタイト云フノガ本員ノ意見デゴザイマスルカラ、ドウカ満堂ノ諸君ノ御賛成ヲ望ミマス
○議長(男爵牧野伸顕君) 只今ノ修正説ニ御同意ノ方ガアリマスカ、――賛成ガナイヤウデアリマス、成立イタシマセヌ、特別委員長ノ報告通リ可決ト見テ宜ウゴザイマスカ
  〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕


生産調査会録事(第三回)《(第四回)》 第三一―三二頁 大正元年一一月刊(DK560120k-0003)
第56巻 p.490 ページ画像

生産調査会録事(第三回)《(第四回)》  第三一―三二頁 大正元年一一月刊
    生産調査会ニ関スル建議書
 帝国経済上ノ発達ガ他ノ強大国ニ比シテ大ニ後レタルモノアルハ果シテ何等ノ原因ニ帰スヘキヤ、国民ノ発奮努力ノ足ラサルモノアルヘシト雖モ、亦施政ノ方針産業ニ重キヲ置クニ於テ遺憾ノ点アルノミナラズ、曩ニ本会ノ建議セル如ク各行政官衙ノ間動モスレハ統一ヲ失シ、甚シキハ民業ノ発達ヲ阻害スルノ場合アルニ由ルモノナシトセス、斯クノ如クンハ真正ナル産業ノ発達ハ決シテ望ムヘキニアラサルナリ、故ニ此ノ大目的ヲ達センカ為ニハ宜シク官民一致全力ヲ殖産興業ニ傾注スヘキハ勿論、其施設ノ方法タル単ニ一省一官衙ノミニ限ルヘキニアラサルヲ以テ、生産調査会ニ於ケル諮問案ハ広ク各官庁ノ所管ニ渉リ、且毎年二回以上本会ヲ開キ、以テ調査ノ周到ト産業行政ノ統一ヲ期シ、併セテ国家カ重キヲ産業ニ置クノ趣旨ヲ明ニセラレンコトヲ希望ス
 右本会ノ決議ニ依リ建議ス
  大正元年十月四日
            生産調査会々長 男爵 牧野伸顕
    内閣総理大臣宛
    各省大臣宛


生産調査会録事(第三回)《(第四回)》 第二〇三―二〇四頁 大正元年一一月刊(DK560120k-0004)
第56巻 p.490-491 ページ画像

生産調査会録事(第三回)《(第四回)》  第二〇三―二〇四頁 大正元年一一月刊
    大正元年九月二十八日(土曜日)午後二時三十分開議
○上略
○議長(男爵牧野伸顕君) 次ハ魚市場法改正ニ関スル件特別委員長ノ御報告ヲ願ヒマス
○十二番(男爵渋沢栄一君) 会長、私ハ魚市場法改正ニ関スル特別委員長ニ選バレマシタノデ今日御報告ヲ致シマス、委員会ヲ開キマシタコトガ三回ゴザイマス、一昨日午後カラ日暮マデ、昨日モ午前九時カラ、今日モ午前九時カラ、三日間殆ド寸時モ休マズニ勉強シマシタガ根ガドウモ熟セヌコト故ニ、甚ダ年ヲ取タ幼稚ノ生徒ガ大勢集ツテ、当局カラ段々説明モ伺ツテ初テ事ヲ為ス様ナ有様、故ニ東京ガ一番主ナル魚市場ニ改正ヲ要スル必要地ダサウデス、私ハ而モ日本橋ノ直グ近所ニ長年住マツテ居リマシタケレドモ、事柄ガ違ツテ居リマス為メニ甚ダ鈍イノデ申訳ガナイノデゴザイマスガ、大体質問討論ヲ三日ノ間殆ド寸時モ休マズニヤリマシタガ、到底玆ニ委員会ノ結果ヲ御報告
 - 第56巻 p.491 -ページ画像 
スルコトガ出来マセヌ、今日ハ大体論ニ亘ツテ賛成、反対、或ハ尚ホ早シト云フヤウナ種々ナル議論ヲ戦ハシマシタケレドモ、ドウモ委員会デ多数デ決シテ玆ニ報告スルノニハマダ吟味ガ足ラヌヤウナコトノ憾ミガゴザイマスノデ、尚ホ充分ノ研究ヲ致シテ見タイト云ウコトガ委員一同ノ希望デゴザイマス、ト云フテ、之ヲ二年モ三年モ掛ル訳ニハイキマセヌカラ、或ハ二週間デアルカ三週間デアルカ、相当ナル時日ノ間ニ充分審議イタシマシテ、委員会ヲ結了致シタイト、斯ウ考ヘテ居リマスノデゴザイマス、詰リ武井君 ○男爵武井守正ノ今御話ニナツタト同様ニ、マダ調査中ト申スヨリ外ゴザイマセヌ、ドウゾ左様御諒承ヲ願ヒマス