デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

8章 政府諸会
1節 諮問会議
3款 米価調節調査会
■綱文

第56巻 p.537-549(DK560123k) ページ画像

大正4年10月7日(1915年)

是月六日、当会ニ関スル官制公布セラレ、是日栄一、当会副会長ヲ仰付ケラル。


■資料

法令全書 大正四年上巻 内閣印刷局編 刊 【朕米価調節調査会官制ヲ…】(DK560123k-0001)
第56巻 p.537 ページ画像

法令全書 大正四年上巻 内閣印刷局編  刊
朕米価調節調査会官制ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
 御名 御璽
  大正四年十月六日   内閣総理大臣 伯爵 大隈重信
             農商務大臣     河野広中
  勅令第百七十九号
    米価調節調査会官制
第一条 米価調節調査会ハ農商務大臣ノ監督ニ属シ、其ノ諮問ニ応シテ米価調節ニ関スル事項ヲ調査審議ス
第二条 調査会ハ会長一人、副会長一人、委員七十人以内ヲ以テ之ヲ組織ス
第三条 会長ハ農商務大臣ヲ以テ之ニ充ツ
 副会長ハ農商務大臣ノ奏請ニ依リ委員ノ中ヨリ内閣ニ於テ之ヲ命ス委員ハ農商務大臣ノ奏請ニ依リ高等官・貴族院議員・衆議院議員及学識経験アル者ノ中ヨリ内閣ニ於テ之ヲ命ス
第四条 会長ハ会務ヲ総理ス
 会長事故アルトキハ副会長其ノ事務ヲ代理ス
第五条 調査会ニ幹事ヲ置ク、農商務大臣ノ奏請ニ依リ農商務省高等官ノ中ヨリ内閣ニ於テ之ヲ命ス、幹事ハ会長及副会長ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ整理ス
第六条 調査会ニ書記ヲ置ク、農商務大臣之ヲ命ス
 書記ハ上司ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ従事ス
      附則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス


青淵先生公私履歴台帳(DK560123k-0002)
第56巻 p.537 ページ画像

青淵先生公私履歴台帳           (渋沢子爵家所蔵)
    任免叙授
大正四年十月七日 米価調節調査委員被仰付   同 ○内閣
大正四年十月七日 米価調節調査会副会長被仰付 内閣


米価調節調査会録事 (第一回) 第二―五四頁 大正五年三月刊(DK560123k-0003)
第56巻 p.537-544 ページ画像

米価調節調査会録事 (第一回)  第二―五四頁 大正五年三月刊
    第二 会長・副会長・委員・幹事及書記ノ任命
米価調節調査会会長      農商務大臣 河野広中
          米価調節調査委員男爵 渋沢栄一
米価調節調査会副会長被仰付(大正四年十月七日)
 - 第56巻 p.538 -ページ画像 
                 内務次官 久保田政周
               内務省参政官 藤沢幾之輔
              内務省地方局長 渡辺勝三郎
                 大蔵次官 菅原通敬
               大蔵省参政官 加藤政之助
              大蔵省主計局長 市来乙彦
              大蔵省理財局長 神野勝之助
                農商務次官 上山満之進
              農商務省参政官 町田忠治
            農商務省参政官男爵 坪井九八郎
             農商務省農務局長 道家斉
             農商務省商工局長 岡実
          農事試験場技師農学博士 古在由直
           朝鮮総督府度支部長官 荒井賢太郎
            台湾総督府財務局長 中川友次郎
                貴族院議員 室田義文
                貴族院議員 藤田四郎
                貴族院議員 高橋新吉
              貴族院議員伯爵 林博太郎
                貴族院議員 勝田主計
              貴族院議員子爵 酒井忠亮
                貴族院議員 木村誓太郎
                貴族院議員 美馬儀一郎
                衆議院議員 浜口雄幸
                衆議院議員 井原百介
                衆議院議員 渡辺修
                衆議院議員 高木正年
                衆議院議員 鈴木梅四郎
                衆議院議員 指田義雄
                衆議院議員 加賀卯之吉
                衆議院議員 小西和
             従三位勲一等男爵 渋沢栄一
           正四位勲二等農学博士 佐藤昌介
           正四位勲三等法学博士 松崎蔵之助
           従四位勲三等農学博士 横井時敬
    (各通)   従四位勲四等法学博士 田島錦治
               正四位勲三等 岡田良平
           正四位勲二等法学博士 水町袈裟六
             従四位勲四等男爵 本多政以
               従四位勲三等 小山健三
               従四位勲三等 志村源太郎
           正五位勲四等法学博士 桑田熊蔵
           従五位勲六等法学博士 矢作栄蔵
                  勲四等 中倉万次郎
 - 第56巻 p.539 -ページ画像 
               正六位勲四等 滝口吉良
                  勲四等 根津嘉一郎
               従七位勲四等 斎藤宇一郎
               正六位勲四等 伊藤長次郎
               正六位勲四等 加藤寛六郎
               正七位勲三等 中野武営
               従五位勲三等 土居通夫
                  従五位 鈴木馬左也
               正六位勲四等 美濃部俊吉
              従五位工学博士 団琢磨
                  勲八等 和田和
                      伊藤又一郎
                      石村虎吉
                      堀尾茂助
                      岡本忠蔵
                      折田兼至
                  正六位 和田豊治
                 法学博士 田中穂積
                      高倉藤平
                      武市利美
                      中村貞介
                      上原豊吉
                      八木久兵衛
                      山田斂
                      秋本喜七
                      気賀勘重
米価調節調査会委員被仰付(以上大正四年十月七日)
               農商務書記官 片山義勝
    (各通)
               農商務書記官 副島干人
米価調節調査会幹事被仰付(以上大正四年十月七日)
              農商務省参事官 宮内国太郎
                 農商務属 土岐義太郎
                 農商務属 玉江素義
    (各通)         農商務属 桑原正祥
                 農商務属 竹崎直人
                 農商務属 文野安蔵
                      橋本慶治
米価調節調査会幹事被仰付(大正四年十月十八日)
    第三 米価調節調査会設置ノ趣旨
大正四年十月十一日農商務大臣ノ公表シタル米価調節調査会設置ノ趣旨左ノ如シ
産業行政上各般ノ問題ニ付テハ常ニ部下ヲ督励シテ其ノ調査研究ニ怠ルナカラシム、然ルニ今米価調節問題ニ関シ特ニ調査会ヲ設ケテ之カ考究ヲ為サントスル所以ノモノハ、此ノ問題ハ国民ノ生活及経済ニ至
 - 第56巻 p.540 -ページ画像 
重至大ノ関係ヲ有スル根本方策ヲ定メントスルモノナルカ故ニ、社会各方面ノ智識ヲ網羅シテ慎重ナル研鑽ヲ尽スヲ相当ナリト信シタレハナリ
日本米ハ経済上特種ノ性質ヲ有ス、即チ日本米ハ日本人以外ニ需要者少ク、而シテ日本人ハ此ノ米ニアラサレハ好ンテ常食トナサス、従テ日本米ハ商品ノ内外有無相通スルノ理ニ於テ甚ダ欠クル所アルモノナレハ、其ノ需要供給ハ主トシテ国内ニ於テ調和セラルルヲ要ス、固ヨリ年々日本米ノ輸出ト外国米ノ輸入トヲ見ルハ事実ナリ、然レトモ輸出米ノ大部分ハ海外在留邦人ノ食料ニ供セラルルモノニシテ、僅少ナル部分カ外国ニ於テ食料及製造原料等ニ用ヰラルルニ過ギス、畢竟日本米ハ邦人ノ食料以外ノ用途ニ於テハ価格上外国米ト競争スルヲ得サルヲ普通トス、是レ日本米ハ日本人以外ニ需要者少シト謂フ所以ナリ又外国米ノ我国ニ輸入セラルルハ、彼我米価ノ差異甚シキカ為メ細民ノ已ムヲ得スシテ之ヲ使用スルニ由リ、其ノ余ハ少許ノ製造原料ニ供セラルルニ過ギス、要スルニ日本人ハ日本米ニ対シ特別ノ嗜好ヲ有シ外国米其ノ他ノ食品ヲ以テ常用ニ充ツルヲ好マサルモノナリ
日本米需要供給ノ関係ハ叙上ノ如クナル故ニ其ノ価格ハ主トシテ国内ノ豊凶ニ支配セラレ、而シテ其ノ騰落ノ程度ハ豊凶ノ程度ニ比シテ著シク劇甚ナリ、本省ノ見ル所ニ依レハ、従来豊凶ニ因ル米穀供給量ノ過不足量ハ其ノ量モ甚シキ時ヲ以テスルモ、共ニ約四・五百万石ナルカ如シ、之ヲ産米総量ニ比例スレバ百分ノ八九《(マヽ)》ニ過ギス、然ルニ其ノ価格騰落ノ状況ハ世人ノ熟知セルガ如ク、近年ノ事実ニ於テ其ノ高キハ一石二十五円ニ垂ントシ、低キハ十円ニ下ラントス、此ノ如キハ我産業ノ最大生産物ニシテ、国民必需ノ食料ニ供スヘキ物品ノ価格トシテハ等閑ニ付スルヲ得サル所トス
本官ハ米価ヲ騰貴セシメントスルニアラズ、又之ヲ低落セシメントスルニアラス、偏ニ之ヲシテ相当ノ地位ニ在ラシメ、以テ生産者ト消費者トヲシテ其ノ所ニ安ンセシメント欲ス、然ルニ前述ノ事実ノ如キハ常ニ両者ニ甚大ノ不安ヲ感セシメ、国民一般ノ経済上ニ及ホス影響測リ知ルヘカラサルモノアリ、米価ノ著シキ騰貴ハ一見生産者タル農民ノ利益ナルカ如シト雖、是レ眼前ノ事ノミ、退テ之ヲ察スレハ是レ即チ物価労銀ノ騰貴ヲ促シ、結局農民ノ不利ヲ速クノミナラス、米価ノ暴騰ハ直ニ農民ノ奢侈ヲ長ジ、他日ノ困厄ヲ醸スモノナリ、又米価ノ低落ハ之ニ反シ細民ノ福利ナリトシ、私カニ之ヲ庶幾スルモノアルカ如キモ、是レ亦謬レルノ見解ニシテ、米価ノ低落ハ国民ノ大部分タル農民ノ消費力ヲ減殺シ、一般経済界ノ沈衰ヲ来スモノナルコト言ヲ須タス、此ノ両様ノ現象ハ近年米価ノ暴騰暴落ニ伴ヒ経世ノ士ノ親シク目撃シテ深ク憂慮スル所ナルヘシ、故ニ本官ハ米価ノ常ニ相当程度ニ在リテ、生産者・消費者共ニ安ンジテ職ニ従ヒ業ニ進ムヲ得ルニ至ルヲ必要ナリト信ス、是レ農商工各般ノ産業ヲシテ堅実ナル発達ヲ遂ゲシムルノ関鍵ナラン
本省ハ米価ノ急激ナル変動ヲ憂フルコト久シク、多年相当ノ考慮ヲ用ヰタリト雖、未タ一定ノ方法ヲ立ツルニ至ラズ、蓋シ物価ヲ自然ノ趨勢ニ一任スルハ経済政策ノ原則ニシテ、米価ニ付テハ前陳特別ノ事情
 - 第56巻 p.541 -ページ画像 
アリトハ言ヘ、畢竟此ノ経済理法ニ反シテ人為的方法ヲ定メントスルハ、其ノ根本ニ於テ已ニ至大ノ難ヲ胚胎スレハナリ、然ルニ此ノ困難アリト雖、之ヲ排除シテ適当ノ方策ヲ樹ツルノ必要ナルハ、上ニ叙述スル所ノ如シ、是ヲ以テ本官ハ昨年中夏以来深ク思ヲ玆ニ致シ、下僚ヲ督シテ更ニ各種ノ材料ヲ蒐集シ、一層慎重ナル考究ヲ重ネ、遂ニ数多ノ方法ヲ按出セシムルヲ得タリト雖、各案自ラ一長一短アリ、又之ヲ実行スルニ付テハ財政経済上各方面ニ至大ノ関係ヲ有スルカ故ニ、未タ其ノ熟レヲ採用スヘキヤヲ決セス、就中重要ナリト認ムル四者ヲ択ミ、単ニ調査会ノ参考資料トシテ、之ヲ諮問ニ添附セシメントス
    第四 農商務大臣ノ諮問事項並参考案
      諮問事項
米価ヲ常時調節スルニハ如何ナル方法ヲ採用スヘキカ
      参考案
        第一 常平倉案
        第二 米倉証券案
        第三 低利資金案
        第四 米価補給案
      常平倉案
第一 米穀貯蔵ノ制度ヲ採ルコト
 一 米価(東京正米市場ニ於ケル中米相場以下同シ)一石十四円(仮定)ヲ下ルトキハ政府ハ米ヲ買入レ、十八円(仮定)ヲ超ユルトキハ之ヲ売出ス、其ノ価格ニ付テハ時価ヲ参酌ス
 二 政府ハ約二百万石ノ収容力ヲ有スル国立倉庫ヲ設置シ米穀ヲ貯蔵ス
 三 前項ノ数量以上ニ買入レタル米ハ倉庫ヲ借入レテ之ヲ収容ス
第二 外国米ノ専売ヲ為スコト
第三 米価十八円(仮定)ヲ超ユルトキハ、政府ハ米ノ所有者ニ命シテ政府・地方団体・産業組合等ニ米ヲ譲渡セシムルコトアルヘク、其ノ価格ハ時価ヲ参酌シテ政府之ヲ定ムルコト
 備考
  一 本案ニ於テハ政府自ラ本事業ヲ為スコトトセシモ、政府監督ノ下ニ地方団体・地主組合・特種会社等ヲシテ之ヲ行ハシムルモ一案ナリ
  二 本案ニ於テハ国立倉庫ヲ主トシタレトモ、国立倉庫ヲ設置セスシテ専ラ地方団体等ノ倉庫ヲ使用スルカ、又ハ国立倉庫ノ規模ヲ縮少シ、主トシテ地方団体等ノ倉庫ヲ使用スルモ一案ナリ
      米倉証券案
第一 米倉証券発行ノ制度ヲ採ルコト
 一 政府ハ指定倉庫ノ保管米ニ対シテ物権的効力ヲ有スル米倉証券ヲ発行ス
  米倉証券ニ付テハ利子ノ支払、資金ノ融通、通貨トノ引換等ノ方法ニ依リ証券(東京正米市場ニ於ケル中米ニ対スル証券)ノ時価一石ニ付十四円(仮定)ヲ下ルコトナカラシム
 二 米価(東京正米市場ニ於ケル中米相場以下同シ)一石十四円(仮定)ヲ下ルトキハ、政府ハ
 - 第56巻 p.542 -ページ画像 
指定倉庫ノ発行シタル証券ト米倉証券トノ交換ノ請求ニ応ス
 三 米価十六円(仮定)以上ノ場合ニ非サレハ、米倉証券ノ所持人ハ米ノ交付ヲ請求スルコトヲ得ス
 四 米価十八円(仮定)ヲ超ユルトキハ、米倉証券ノ所持人ハ米ノ交付ヲ請求スルコトヲ要ス、若シ一定ノ期間内ニ其ノ請求ヲ為ササルトキハ政府ハ一石十八円(仮定)ニテ之ヲ買取ルコトアルベシ
 五 米倉証券ニ対シテ交付スヘキ米ハ其ノ証券記載ノ品位ニ相当スルモノトス
第二 外国米ノ専売ヲ為スコト
第三 米価十八円(仮定)ヲ超ユルトキハ、政府ハ米ノ所有者ニ命シテ政府・地方団体・産業組合等ニ米ヲ譲渡セシムルコトアルヘク、其ノ価格ハ時価ヲ参酌シテ政府之ヲ定ムルコト
  備考
  一 本案ニ於テハ政府自ラ本事業ヲ為スコトトセシモ、政府監督ノ下ニ特種会社等ヲシテ之ヲ行ハシムルモ一案ナリ
  二 本案ニ於テハ広ク指定倉庫ノ保管米ニ対シテ米倉証券ヲ発行スルコトトセシモ、国立倉庫ニ米ヲ貯蔵シ之ニ対スル米倉証券ヲ発行スルカ、又ハ指定倉庫・国立倉庫併用ノ制度ヲ採ルモ一案ナリ
      低利資金案
第一 低利資金貸付ノ制度ヲ採ルコト
 一 米価(東京正米市場ニ於ケル中米相場以下同シ)一石十四円(仮定)ヲ下ルトキハ、政府ハ指定倉庫ノ保管米ニ対シ一石十四円ノ低利資金ヲ貸付ス
 二 低利資金ノ貸付ヲ受ケタル者ハ、米価カ其ノ借入当時ヨリ二円(仮定)以上高価ト為ルニ非サレハ、米ヲ出庫スルコトヲ得ス
 三 米価一石十八円(仮定)ヲ超ユルトキハ、債務者ハ借入金ヲ返還スルコトヲ要ス、若シ指定期間内ニ返還ヲ為ササルトキハ、政府ハ一石十八円(仮定)ニテ担保米ヲ弁済ニ充当スルコトアルヘシ
第二 外国米ノ専売ヲ為スコト
第三 米価十八円(仮定)ヲ超ユルトキハ、政府ハ米ノ所有者ニ命シテ政府・地方団体・産業組合等ニ米ヲ譲渡セシムルコトアルヘク、其ノ価格ハ時価ヲ参酌シテ政府之ヲ定ムルコト
  備考
   本案ニ於テハ政府自ラ本業ヲ為スコトトセシモ、政府監督ノ下ニ特種会社等ヲシテ之ヲ行ハシムルモ一案ナリ
      米価補給案
第一 米価補給ノ制度ヲ採ルコト
 一 米価(東京正米市場ニ於ケル中米相場以下同シ)一石十四円(仮定)ヲ下ルトキハ、指定倉庫ニ米ヲ寄託セル者ハ政府ト米価補給契約ヲ為スコトヲ得
  米価補給契約期間ハ次ノ十月末限トス
 二 十月中ノ平均米価カ左ニ掲クル金額ニ達セサルトキハ、政府ハ十月末現在ノ補給契約米ニ対シ其ノ不足額ヲ補給ス
   前年十月中ニ契約シタル分ニ対シテハ
                一石 十五円二十銭
 - 第56巻 p.543 -ページ画像 
   前年十一月中ニ契約シタル分ニ対シテハ
                一石 十五円十銭
   前年十二月中ニ契約シタル分ニ対シテハ
                一石 十五円
   一月中ニ契約シタル分ニ対シテハ
                一石 十四円九十銭
   二月中ニ契約シタル分ニ対シテハ
                一石 十四円八十銭
   三月中ニ契約シタル分ニ対シテハ
                一石 十四円七十銭
   四月中ニ契約シタル分ニ対シテハ
                一石 十四円六十銭
   五月中ニ契約シタル分ニ対シテハ
                一石 十四円五十銭
   六月中ニ契約シタル分ニ対シテハ
                一石 十四円四十銭
   七月中ニ契約シタル分ニ対シテハ
                一石 十四円三十銭
   八月中ニ契約シタル分ニ対シテハ
                一石 十四円二十銭
   九月中ニ契約シタル分ニ対シテハ
                一石 十四円十銭
 三 補給契約ヲ為シタル者ハ随時補給契約ヲ解除スルコトヲ得
 四 米価十六円(仮定)ヲ超ユルトキハ政府補給契約ヲ解除スルコトアルヘシ
 五 契約期間ノ満了又ハ契約解除ノ場合ニ於テ米価カ相当高価ナルトキハ、其ノ価格ニ応シ一定ノ料金ヲ政府ニ納付セシム
第二 外国米ノ専売ヲ為スコト
第三 米価十八円(仮定)ヲ超ユルトキハ、政府ハ米ノ所有者ニ命シテ政府・地方団体・産業組合等ニ米ヲ譲渡セシムルコトアルヘク、其ノ価格ハ時価ヲ参酌シテ政府之ヲ定ムルコト
  備考
   本案ニ於テハ政府ヲ本事業ヲ為スコトトセシモ、政府監督ノ下ニ特種会社等ヲシテ之ヲ行ハシムルモ一案ナリ
      参考案説明 ○略ス
    第五 議事規則
      米価調節調査会議事規則
第一条 委員半数以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開キ議決ヲ為スコトヲ得ス
第二条 止ムコトヲ得サル場合ノ外ハ、会議ニ付スヘキ事項ハ少クトモ開会二日前ニ之ヲ委員ニ通知スヘシ
第三条 議長ハ会長ヲ以テ之ニ充ツ
 会長事故アルトキハ副会長議長ト為ル
 議長事故アルトキハ臨時代理者ヲ指名ス
 - 第56巻 p.544 -ページ画像 
第四条 委員ノ席次ハ抽籖ヲ以テ之ヲ定ム
第五条 議事ハ出席委員ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス、可否同数ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第六条 提案ヲ為サムトスル者ハ案ヲ具シ之ヲ会長ニ提出スヘシ
  但シ事ノ簡単ナルモノハ口頭ニテ陳述スルコトヲ得
第七条 発議ハ賛成者アルニ非サレハ議題ト為スコトヲ得ス
第八条 本会議休止中ニ於テ米価調節ニ関スル提案ヲ会長ニ提出シタル者アルトキハ、会長ハ之ヲ特別委員長ニ交付シテ審議セシム
第九条 発言セムトスル者ハ議長ノ許可ヲ受クヘシ
 発言ハ議席ニ於テ起立シテ之ヲ為スヘシ、但シ議長ニ於テ必要アリト認ムルトキハ登壇ヲ求ムルコトアルヘシ
第十条 議長ニ於テ必要ト認メタルトキ又ハ決議アリタルトキハ、委員中ヨリ特別委員ヲ設クルコトヲ得、特別委員ノ選出方法ハ会議ノ決スル所ニ依リ議長ノ指名又ハ委員ノ互選トス
 特別委員ノ互選ヲ以テ委員長一名ヲ置ク
 特別委員長ハ其ノ特別委員会ヲ整理シ其ノ会議ノ結果ヲ報告スヘシ特別委員会ニ付テハ本則ノ規定ヲ準用ス
第十一条 当該官吏ハ本会又ハ特別委員会ニ列シテ意見ヲ述ヘ、又ハ説明ヲ為スコトヲ得
 提案者ハ特別委員長ノ要求ニ応シ、特別委員会ニ列シテ説明ヲ為スヘシ
第十二条 議事ノ整理ニ必要ナルトキハ、議長ハ委員ノ発言ヲ止メ又ハ議事ヲ中止スルコトヲ得
第十三条 委員ハ議長ノ許可ヲ受クルニ非サレハ退場スルコトヲ得ス
第十四条 委員病気其ノ他ノ事故ニ因リ参集スルコト能ハサルトキハ其ノ旨ヲ議長ニ届出ツヘシ
第十五条 本則ニ明文ナキ事項ハ議長之ヲ決ス


竜門雑誌 第三二九号・第三七―三八頁 大正四年一〇月 ○米価調節に就て 青淵先生(DK560123k-0004)
第56巻 p.544-545 ページ画像

竜門雑誌  第三二九号・第三七―三八頁 大正四年一〇月
    ○米価調節に就て
                      青淵先生
 本篇は青淵先生が本月七日九州より帰東の途次、大阪朝日新聞社記者が先生を岡山駅に迎えて米価調節根本策に就て其の意見を問ひて同紙上に掲載せるものなり(編者識)
元来真の米価調節は目的を達し難きこと明白なるを以て、調節策発案当時予は一再大隈伯及び若槻蔵相に対し此の意味を通じたるが、不幸にして昨年来の米価調節は予想せらるゝが如く失敗に終りたり、然るに現今の米価低きに失するが、是は如何にして之が騰貴を策すべきや否やは一時的の調節にあらずして、近来屡々出会せるが如く不相当の米価を見る際、如何にして永遠の調節を図るべきやの問題に至つては必ず研究に値ひすべき何等かの欠陥伏在すべきを以て、此欠陥の研究に就き平常熟慮深思を廻らさんは必ずしも無用の業にあらざるべし、惟ふに今回成立したる調査会の方針は一時的救済を目的とするにあらずして、永久の着眼より調節を講ずるの実に必要を認めたる結果従来
 - 第56巻 p.545 -ページ画像 
の方針に一歩を進めたるものなり、即ち予の意見に頗る接近せるより予は当らずと雖も副会長の重責を甘受し、聊か米価調節の根本策に微力を尽さんとするなり、扨て根本策如何と云ふに、差当りて名案なきも、米券倉庫の設備を各地の主要米産地に整へ、之が運用を完全にせんこと最も有力なる一手段たるを信ず、予は今回の旅行に於て熊本に於て之が発令を見たるが、深く設備に就き研究すれば、啻に学者の参考に実際の一事例を供するのみならず、又米価調節の最も穏健にして且有力なる実行案なるべきを信ず、其の米価調節の方法に関し研究すべきものなきにあらざるも自信ありて調節の根本策として目下実際明示するの勇気なきを遺憾とす、予は十日頃帰京、多分二十三日出発渡米の心組みなるが、帰朝後調節会の初会議に臨み、親しく諮問事項に接して米価調節の具体案を研究せんとす、昨年米価調節に反対の意を表したる予が今回調査会の席に列したるを不思議に思ふ人もあるべけれと、是は唯今説明したるが如く調節方針の一変したるものあるが為なり云々


竜門雑誌 第三二九号・第八一―八二頁 大正四年一〇月 ○青淵先生と米価調節会(DK560123k-0005)
第56巻 p.545 ページ画像

竜門雑誌  第三二九号・第八一―八二頁 大正四年一〇月
○青淵先生と米価調節会 青淵先生が米価調査会副会長に任命されたる次第は別項記載の如くなるが、之に就て十月九日午後七時半九州よりの帰途、岡山駅にて訪問新聞記者に語れる談片左の如しと東京朝日新聞は報ぜり
○中略
○青淵先生の任命 米価調査会官制は十月六日正午農商務省に於て公表せられたるが、同会委員も亦た夫々御裁可ありたる由にて、八日の官報を以て左の如く公布せられたり
    会長     農商務大臣
    副会長 男爵 渋沢栄一
           (委員は略す)


竜門雑誌 第三二九号・第八一頁 大正四年一〇月 ○青淵先生の談片(DK560123k-0006)
第56巻 p.545-546 ページ画像

竜門雑誌  第三二九号・第八一頁 大正四年一〇月
○青淵先生の談片 青淵先生が大阪に於て大阪朝日新聞記者の訪問に対し語れる財界時事談の要領なりとて、同紙十月十一日の紙上に掲載せるもの左の如し
 ○中略 △米価調節は予の意見としては賛成せず、凡て突飛の変化を与ふるは慎むべき事にて、米価に対しても人為的の調節を加ふるは如何にやと思はる、政府従来の遣り口たる安くなれば買ひ、高くなれば売るといふが如き単純なるものにては何等働きも効果も認むる事能はず、政府今日迄の遣方の為め米価の如き上るべき相場が伸びず恰も消化せぬ食物が腹にあると云ふべき形勢にて、経済界に妨害こそあれ何等の利益を与ふるに非らず、今更漢の武帝時代の政策を用ひるでもなかるべく、予は米価調節委員会の副会長に任命されたる模様なるも、現在の如き米価調節には賛成出来ず、先づ調節方法としては海外輸出も一策なるべく、米券の最良なる場所例へば新潟とか仙台とか熊本とかを選びて米券を融通せしむる様籾を乾燥するも
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一策たるべし、又組合の申合はせに依るか或は県庁の検査に依るか何れにしても完全なる貯蔵法を講じ、之に信用を附し手形割引の方法を為すに至つて一種の安全なる調節を為すことを得べし ○下略



〔参考〕米価調節調査会録事 (第一回) 第八〇―八一頁 大正五年三月刊(DK560123k-0007)
第56巻 p.546-547 ページ画像

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〔参考〕竜門雑誌 第二八九号・第三七―三八頁 明治四五年六月 米価騰貴に就て 青淵先生(DK560123k-0008)
第56巻 p.547-548 ページ画像

竜門雑誌  第二八九号・第三七―三八頁 明治四五年六月
    米価騰貴に就て           青淵先生
 本篇は青淵先生が時事新報記者の訪問に対し語られたる意見の大要にして五月二十一日の同紙上に掲載せるものなり(編者識)
△米価の騰貴 本年に入りて米価は空前の騰貴を示せり、而して米価の騰貴に就ては世間に兎角の論議が多きが如し、米価の騰貴は何が故に斯く世人の注意を喚起せるか、或は米は国民の必需品なるに基づくと云ふ、成程米は我国多数人民の必要品なり、然れども亦日本人中には一生米を食はずして生活せるもの少なからず、左れば米が人生の必需品なりと云ふは絶対的に非らずして或程度に限らるゝものなり、然し一般都人士並に世間中流以上の食料の主要部分が米なる以上は之が格外の騰貴は日本国民の大多数を苦しましむること論を俟たざるなり
△食塩は如何 然し人生にとりて米以外に必要欠く可らざるものあり塩の如きは其一なり、而して其塩の値段は我国民に何等の苦痛を与へざるや、予は米の騰貴よりも塩の騰貴が却て下層人民を苦しむるの甚だしきを感ずるものなり、其他一般に物価の騰貴せること何れも米価以上の度合いを示せり、世間が米価の騰貴を論議して塩の値段に冷淡なるは何故なるか、固より予は米価の騰貴を等閑視するものに非ざれども、米価騰貴によりて苦痛を感ずると共に、塩の騰貴が一般国民を苦しめ居れるを知らざるが如きは浅見も亦甚だしと云はざる可らず。
△租税軽減関税引下 米価の騰貴に就ては単に本年のみならず、昨年も随分八釜敷問題となり、政府は之が調節策として米籾の輸入税を引下ぐるに至れり、然れども僅か六十日間の引下が果して幾許の効力ありしかを知らず、而して今回の騰貴に就ては政府は何等関知せざるものゝ如し、或は警視庁が過般深川廻米問屋を喚問したるは米穀買占を為せるを慮りて之を抑圧するの手段なりしと云ふ、果して然らば其処置の片手落なるを責めざる可らず、即ち必要品の買収は其程度を超ゆれば社会に危害を及ぼすことゝなるべく、決して等閑に附す可らずと雖も、商人をして買収を容易ならしむるものは政府の政策ならずや、即ち一方に米籾の輸入税を引上げて外国米の輸入を困難ならしむれば機を見るに敏なる商人が内地米の買占をなさんとするは当然のことなり、左れば米価の騰貴を防ぎ買占めを防止せんとせば、先ず第一着に穀物の輸入税を軽減するか、或は無税となすに若かず、之をなさずし
 - 第56巻 p.548 -ページ画像 
て却て目先きの小刀細工を弄するは、却て事に害あらん、米穀の関税を引下げなば、或は米価の低落を来して地方農民を苦しましむ可しと云はん、此処に於てか租税を軽減し、又塩専売の如きは之を廃止するの必要を生ずるなり。
△利益壟断と輿論 米価調節とは騰貴せる米価を引下げんとするの意なる可きが、是等の第一策としては前記の如く関税の引下げを行ふの要あり、然して尚ほ買占め其他の方法によりて利益を壟断せんとするものあるが為めに米価の騰貴を来せりとせば、法律又は行政の力を以て之を禁止せんとすることは、徒らに労多くして効果少きこと明なれば、此場合に於ては輿論に訴ふるの外ある可らず、天下に言論の士少なしとせず、全力を挙げて之を征伐す可きなり、然し此処に注意す可きは天下に壟断の網を張りて利益の収得を擅にせるものは、単に区々なる米商・株屋のみに非ず、或は自己の力の偉大なるを利用して巧に財界に専横を極むるものなしと云ふ可らず、然し是等有力なるものは或は一方に於て慈善めきたる事業をなして社会の眼を眩惑する為めに他方の利益壟断に就ては注意を惹かざることあり、斯の如きは社会民衆を籠絡するの甚だしきものにして、是等のものに対しては社会の耳目たり言論の代表者たるもの、極論して其反省を促さざる可らざる所なり。



〔参考〕渋沢栄一 日記 大正四年(DK560123k-0009)
第56巻 p.548 ページ画像

渋沢栄一 日記  大正四年      (渋沢子爵家所蔵)
一月廿七日 晴
○上略 午前十時事務所ニ於テ渋沢義一・上原豊吉二氏来訪、米価調節問題ニ付種々ノ討議ヲ為ス ○下略
   ○中略。
二月三日 夜来ノ雨ハ歇ミタレトモ天気曇リテ気候少ク暖ナリ
午前七時半起床入浴シテ朝飧ス、畢テ日記ヲ編ス、新日本ノ実業社員来リ米価調節問題ニ付質問アリ ○下略



〔参考〕竜門雑誌 第三二一号・第六三―六四頁 大正四年二月 ○米価調節案の価値(DK560123k-0010)
第56巻 p.548-549 ページ画像

竜門雑誌  第三二一号・第六三―六四頁 大正四年二月
○米価調節案の価値 左の一篇は中央新聞記者が青淵先生を訪うて、政府の米価調節案に就て聴き得たる談話の要領なりとして、同紙上に掲載せるものなり
 米価調節案の内容は未だ知悉せざるも、果して巷間伝ふるが如く政府自ら米の買入れをなすものとせば之れ妙策に非ずと云はざる可らず、曾て明治十二年の頃国立銀行紙幣の暴落を救済せんがため政府自ら銀の売放ちを実行せることあり、其結果は徒に投機者流を利益せしのみにて終に根本の紙幣価格引上には何等の効果なかりし事実あり、恐らく今次の米価調節策も之れと同様の失敗を繰返す如き虞あらざるか。若し然らば結局調節は変じて米価の動揺となり、延ひて財界の攪乱となるが如き事なきを保せざるなり。彼の生糸救済の如き政府の実行せんとする方法は単に現状維持を唯一の目的とする退嬰策に過ぎざるが如く、此一事に於て明かに救済の何物たるかを誤解せるを示せる現内閣は、今又斯の如き政策を敢てして米界の混
 - 第56巻 p.549 -ページ画像 
乱を顧みざるが如き傾きあるは甚だ遺憾なり。吾人は米価調節の要不要を論ずる前に於て先づ政府の誠意を疑はずんば非ざるなり云々