デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

3部 身辺

5章 交遊
節 [--]
款 [--] 5. 大倉喜八郎
■綱文

第57巻 p.445-446(DK570201k) ページ画像

大正9年4月8日(1920年)

是日栄一、向島大倉喜八郎別邸ノ感涙会ニ出席ス。


■資料

集会日時通知表 大正九年(DK570201k-0001)
第57巻 p.445 ページ画像

集会日時通知表  大正九年       (渋沢子爵家所蔵)
四月八日 木 午後三時 感涙会(向島大倉邸)


竜門雑誌 第三八三号・第四九頁 大正九年四月 ○大倉男爵の感涙会(DK570201k-0002)
第57巻 p.445 ページ画像

竜門雑誌  第三八三号・第四九頁 大正九年四月
○大倉男爵の感涙会 向島名物大倉男爵別邸に於ける感涙会は吉例の四月八日午前十一時より隅田河畔の村荘に於て催され、席開きとして主人の一中節「羽衣」を始めとして、矢野恒太氏の講談、高橋義雄氏の東明節「夜の雨」、野間五造氏の清元「権八」、諸井其通氏の歌沢其他種々の余興ありて、来会者一同大に感涙に咽びたる由なるが、当日青淵先生にも招待に応じて出席せられたり。 ○下略


中外商業新報 第一二二二九号 大正九年四月九日 ○釈迦無二の友達 つどふ感涙会 大倉別荘の興(DK570201k-0003)
第57巻 p.445-446 ページ画像

中外商業新報  第一二二二九号 大正九年四月九日
    ○釈迦無二の友達
      つどふ感涙会
      大倉別荘の興
お釈迦様の誕生日の八日午前十一時から向島の大倉別荘で吉例感涙会が催された、会主
 □鶴彦翁 の地で一中節羽衣、幸四郎・梅幸の舞を序幕とし、次には同じ帝劇連の珍芸道成寺、三味は長十郎・高助、歌は寒玉、踊は杵屋六左衛門、勿論天下無類の正札附、本当の感涙で大喝采、来賓益田紅艶氏の物語斎藤実盛、尾上幸蔵の義太夫珍版野良子屋の一段終れば更に義太夫珍版与太祭文「ほさき杖」とあつて口上は尾上松助、百姓
 - 第57巻 p.446 -ページ画像 
久作沢村宗之助、娘お光守田勘弥、丁稚久松尾上梅幸、娘お染松本幸四郎、後家尾上幸蔵の顔振れ、此一段は正に当日の
 □圧巻で 会衆悉く感涙に咽ぶ、次は此会の常連岩崎秋郊氏の蓄音機、高橋箒庵氏の東明節夜の雨、野間五造氏の清元権八、久米民之助氏の仕舞歌占、諸井其通氏の歌沢玉川、鈴木宗兵衛氏の義太夫伊賀越など番数の進む程に稍会衆の涙も尽きむとする頃、食堂が開かれて賑しい晩餐となる、食後再び幕明き、伊坂梅雪氏の名作左小刀甚五郎を始め数々の語り物あり
 □最後に 帝劇松尾太夫文字兵衛、志妻太夫外連中の乗合船で大喝采裡に幕となつたのは十時を過ぐる頃であつた、尚ほ此日は珍らしくも大塊逓相・清浦子の顔が見え、其他渋沢・阪谷男・安田・股野翁を始め各方面の名士二百余名にて、相変らず非常な盛会であつた、会主鶴彦翁の席上吟を一つ二つ記せば
 ○釈迦無二の友どちつどふ誕生会趣味も興味もうまれ出らむ
 ○羽衣の舞おもしろくかなづれば客もうまへと声をかけけり
    帝劇幹部連の義太夫野崎村を聞きつゝ
 ○素顔にはお染久松見えぬなりきう作ばかり並ぶ連中