論語と算盤オンライン 凡例

論語と算盤オンライン 凡例

2024.03.29掲載

1. 「論語と算盤オンライン」について

1) 全般

  • 「論語と算盤オンライン」は、渋沢栄一の言説を広く伝え情報資源としての利用を可能とするために、公益財団法人渋沢栄一記念財団(以下「渋沢財団」)情報資源センターが『渋沢栄一伝記資料』デジタル化プロジェクトの一環として作成した。
  • 今日では不適切と思われる表現も見られるが、歴史資料としての性格に鑑み、原文のまま掲載した。

2) 東亜堂書房版『論語と算盤』について

  • 「論語と算盤オンライン」では東亜堂書房版『論語と算盤』(再版)を底本として使用した。書誌事項は以下のとおりである。
    論語と算盤 / 渋沢栄一述 ; 梶山彬編. -- 再版
    東京 : 東亜堂書房, 1916.09.25. -- (縮刷名著叢書 ; 第37編)
    3, 11, 409p ; 15cm
    初版の発行日: 1916.09.13 ; 天金 ; 外函あり
  • 『論語と算盤』の「凡例」に記されている編纂の経緯によると、同書の編纂は「素より男爵[渋沢栄一]の志」ではなく、編者(梶山彬)が「特に快諾を得て」、渋沢の「訓話」を「蒐集編纂」したものである。奥付に記された責任表示は「述者渋沢栄一」「編者梶山彬」であり、本文冒頭・背表紙・外函には「男爵渋沢栄一述」とある。
  • 東亜堂書房版『論語と算盤』の版(刷)については、2024年3月現在、4版までを確認している。このうち渋沢財団では再版本を所蔵しているが、奥付の価格欄に「正価金壱円弐拾銭」と印刷された紙片が貼付されており、価格改定の過程を示すものとなっている。「論語と算盤オンライン」における「奥付」の価格はこの表記に従った。
  • 『論語と算盤』は、1922(大正11)年に東亜堂が解散・精算した後、関東大震災(1923年)を経て、忠誠堂より1927(昭和2)年2月5日に復刊され、翌1928(昭和3)年には同じ紙型で判型の大きい(つまり余白の多い)版も刊行された。東亜堂書房版と比較すると、版面が異なりテキストの一部に異同があることのほか、前付にある「格言七則」が割愛されている等の違いがある。なお、2023年の調査で判明した出版者(東亜堂書房、忠誠堂)と書誌来歴に関する情報は、下記にまとめた。
    『論語と算盤』の出版者「東亜堂書房」について|情報資源センターだより
    https://www.shibusawa.or.jp/center/newsletter/893.html

3) 「参考記事」について

  • 『論語と算盤』の「凡例」には「本書を編纂するに方りては、之が資料は悉く竜門雑誌に仰ぎたるものなれば」とあるが、調査の結果、渋沢財団の前身である竜門社の機関誌『竜門雑誌』の他に、『青淵百話』(同文館, 1912.06)を出典とする可能性の高い記事が確認された。そこで、『論語と算盤』の各章と、初版刊行(1916年9月)以前に『竜門雑誌』に掲載された渋沢栄一名義の記事、および『青淵百話』の各項とをテキストベースで比較し、適合度が高いと思われる記事を「参考記事」とし、章ページの備考欄にその書誌事項を記載した。
  • 『竜門雑誌』『青淵百話』に掲載されている記事は他の刊行物からの「転載」を含んでおり、必ずしも全てが初出ではない。各記事の初出情報については、さらなる調査が必要である。
  • 『論語と算盤』と参考記事との関係については、下記に概要をまとめた。
    『論語と算盤』の源流を探る|情報資源センターだより
    https://www.shibusawa.or.jp/center/newsletter/854.html

2. 「論語と算盤オンライン」のテキストについて

  • 文字コードはUnicode(エンコードはUTF-8)とし、底本の表記をできるだけ再現するよう努めた。ただし、漢字の字体は、デジタル版『渋沢栄一伝記資料』の「新旧文字置換対照表」により旧字体を新字体に置き換えた。
  • 本文は漢字ひらがな交じり文であり、旧かなづかいとなっている。Unicodeで符号化されている踊り字(々、ゝ、ゞ、ヽ、ヾ、〳〵、〴〵、〻など)はそのまま表示した。合字(ゟなど)は現在主に使用されるひらがなで表記した。
  • 底本における誤記・誤植・欠字などは、当該箇所またはその後に正しいと思われる語句を[ ]で囲み補記した。
  • 底本のルビ、傍線、傍点、訓点などは全て省略した。本文中の割注は〔 〕で表現した。
  • 『論語と算盤』のテキスト化の範囲は凡例から奥付までとし、巻末の広告は割愛した。
  • 『論語と算盤』で目次と本文の章タイトルに表記の異同があるものは修正せずにママとした。また、章タイトルに付されている「◎」は全て省略した。
  • 『論語と算盤』の章末に掲載されている格言には章レベルのタイトルが付けられていないが、渋沢由来のテキストと区別するため「[格言]」と補記した。

3. 『論語と算盤』の著作権について

  • 「論語と算盤オンライン」は、令和6年3月22日に著作権法第67条第1項の裁定を受け作成したものである。
  • 「論語と算盤オンライン」公開にあたり、情報資源センターでは『論語と算盤』を、渋沢栄一の著作物を梶山彬が編纂した“編集著作物”と捉え、渋沢と梶山の2名が著作権者にあたると判断した。渋沢(1931年没)の著作権は1981年で保護期間満了となっているが、梶山は没年が不明で、かつ現在の権利者と連絡を取ることができなかったため、同書のうち梶山に由来する部分について「著作権者不明等の場合の裁定制度」を利用し、文化庁長官の裁定を受け公開した。
    なお、梶山の著作権に関する情報や、現在の権利者については継続して調査を進めている。
    権利者を捜しています | 公益社団法人著作権情報センター CRIC
    https://www.cric.or.jp/c_search/index.cgi
    ・掲載日:2023年07月25日
    ・広告主名:(公財)渋沢栄一記念財団
    ・詳細情報:https://www.cric.or.jp/c_search/doc/search2307_shibusawa.pdf
    ご存知の方は、下記まで情報をお寄せいただければ幸いである。
    公益財団法人渋沢栄一記念財団 情報資源センター
    〒114-0024 東京都北区西ヶ原2-16-1
    電話:03-3910-0029
    E-mail:center_info■shibusawa.or.jp (■は@に置き換えてください)
  • 著作権調査に伴って判明した梶山に関する情報(2023年時点)は、下記にまとめた。
    『論語と算盤』の編者「梶山彬」について|情報資源センターだより
    https://www.shibusawa.or.jp/center/newsletter/896.html