デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

1編 在郷及ビ仕官時代

2部 亡命及ビ仕官時代

4章 民部大蔵両省仕官時代
■綱文

第3巻 p.271-276(DK030086k) ページ画像

明治四年辛未十月二十日(1871年)

是ヨリ先下阪シ、造幣寮ノ事務ニ鞅掌セシガ、是日造幣寮中出納寮処務準序及ビ金銀地金買入規則ヲ定ム。栄一ノ立案スル所ナリ。


■資料

造幣事務書類提要 第二輯 第二冊(DK030086k-0001)
第3巻 p.271-274 ページ画像

造幣事務書類提要 第二輯 第二冊       (造幣局所蔵)
造幣寮中出納寮官員処務準序並地金買入規則共先般伊藤造幣頭ヨリ大蔵卿輔ヘ伺済之上決定致シ候処、尚更正ヲ要スル件々有之候ニ付、乃別紙之通相改候就而は追而大蔵卿輔之高裁ヲ得、更ニ公達有之候迄右更正ノ条款ヲ以御践行被成候様致度、此段及御達候也
  未十月廿四日            渋沢大蔵大丞
    馬渡造幣権頭殿
    遠藤造幣助殿
  造幣寮中出納寮処務準序
今玆ニ造幣寮中ニ出納司寮官員ヲ置キ、左ニ掲載セシ条々ノ規則ヲ遵守シテ出納ノ事務ヲ厳密ニ取扱ハシムルコトヲ決定セリ
    第一条
此出納寮官員ハ政府ノ地金大蔵省或ハ其他諸地方諸鉱山ヨリ受取、之ヲ預リ置キ、或ハ之ヲ鋳造ノ為造幣寮ニ渡シ、或ハ鋳造ノ貨幣ヲ受取リ、之ヲ預リ置キ、時々成規ト本省ノ命令ニヨリテ之ヲ出納スヘシ
    第二条
此出納寮官員ハ本省或ハ其他ヨリ地金及金銀之物品ヲ受取ル時ハ受取証書ヲ出シ、其写ヲ留置ヘシ、又貨幣或ハ金銀物品ヲ払出シタル時モ慥ナル受取証書ヲ取置ヘシ
    第三条
内外人民ヨリ貨幣鋳造ノ為ニ造幣寮エ差出タル地金ハ、造幣権頭又ハ助直ニ之ヲ受取リ、受取証書二枚ヲ認メ、一枚ハ之ヲ地金差出シ主エ渡シ、一枚ハ之ヲ此出納寮官員ニ渡スヘシ
出納寮官員ハ右受取証書ノ明細ヲ兼テ備ヘ置タル帳面ニ写取リ、本書ハ大切ニ之ヲ保持スヘシ、但シ仮受取ノ分モ同様ノ手続タルヘシ
右差出シタル地金ノ代リ貨幣ハ鋳造ノ上定規ノ時日前ニ之ヲ出納寮官員ノ手ニ受取、兼テ備エ置タル帳面ニ其明細ヲ写取リ置、外国人ノ分ハ之ヲ十一番会社東洋銀行日本人ハ三井為換座ヘ相渡スヘシ
  但貨幣ヲ受取ル時前条ノ受取証書ヲ返スヘシ
十一番会社及ヒ三井為替坐ト此出納寮トノ間ニハ、時トシテ勘定ノ過不足アルヘキニ付、両会社十一番三井トノ取引勘定ヲ明亮ニスヘキ為、兼テ設ケ置キタル勘定帳ヘ其渡シタル度毎ニ其明細ヲ写シ置、且其度毎ニ受取証書ヲ互ニ保持スヘシ
    第四条
造幣頭ニ特任シタル金銀地金買入ノコトハ、別ニ設ケタル規則アレハ
 - 第3巻 p.272 -ページ画像 
之ヲ遵奉シテ取扱ヘシ
    第五条
此出納寮官員ハ分析局ニ於テ出納スヘキ金銀地金ノコトヲモ管与シ、時々局中ニ詰合スルコトアルヘシ、此出納寮官員ハ政府ノ地金ヲ精製スル為メニ受取リ、之ヲ分析局江渡シ分析ノ上造幣寮エ渡シ鋳造スルニ付分析料鋳造料等ハ造幣寮ニテ差引ヘシト雖モ、出納司ニテモ之カ為特ニ備ヘタル帳面ニ分析スヘキ金銀地金ノ量目。名称分析ノ上定リタル量目。品位。分析料。並ニ其月日ヲ明細ニ書入ヘシ
内外人民ヨリ分析ノ為メ分析局ヘ差出シタル地金モ兼テ設ケ置キタル帳面ニ政府ノ地金同様ノ手続ニ書記シ、其日月及差出シタル人ノ姓名ヲ書加フヘシ
分析局ニ詰合タル出納寮ノ官員ト造幣寮ニ詰合タル官員ノ間ニテモ金銀受取渡シハ受取証書ヲ要スヘシ、内外人民トノ受取渡シハ殊ニ其証書ヲ厳密ニ保持スヘシ
    第六条
此出納寮ノ長官ハ造幣頭又ハ権頭ノ兼任タルヘシ、尤モ出張出納寮ノ長官権頭又ハ助モ都テ此事務ヲ担任シ、時々造幣頭ト其処務ヲ打合ス可シ
    第七条
造幣寮勘定局即地金局ト此出納寮トノ間ニ互ニ其計算ヲ為シ、相対シテ計帳ヲ保持スルヲ以テ造幣頭権頭ハ一人ノ身ニテ両間ニ交渉スレトモ事務ヲ取扱フコトニ於テハ、全其規則ニ従テ明亮厳密ニ区別スヘシ
    第八条
此出納寮ニ於テ出納ノ事務ヲ取扱ヒ、金銀ノ受取リ渡シヲ為スニ付テハ、規則通ノ書面ヲ以テ受取渡シノ手続ヲ経ヘシ
    第九条
大蔵省ノ金銀地金ヲ以鋳造セシ新貨ハ、此出納寮中ノ蔵庫ニ貯蓄シ、現時本省ヨリ何レノ所エモ払渡スヘキ命之無キ時ハ其都合ヲ見計ヒ、造幣寮ニテ内外人民ヨリ受取タル地金ノ代リトシテ出納寮ノ庫中ヨリ右ノ新貨ヲ出シ、之ヲ制限アル期日前ニテモ令状ヲ所持スル者ヘ其令状ヲ受取リ払渡スコトアルヘシ、但期日マテハ日歩利足ハ其時ノ模様ニヨリテ之ヲ収ムヘシ尤モ其制限ノ時日ニ至レハ、無論其金高ヲ出納寮ヘ戻入ルヘシ
 但此処置ハ全ク其時ノ都合ニヨリテ臨機ノコトナレハ造幣頭又ハ権頭ト出張、出納寮長官ト申合セ別テ其計算及証書ノ交付等ヲ厳密ニスヘシ
    第十条
此出納寮ノ庫中ヨリ出張出納寮ノ定費ニ充ル為メ新貨ヲ払ヒ出ストキハ、都テ本省ノ指令ヲ乞ヒ廻金ノ上更ニ受取リシ手続ヲナシ、時々大蔵卿ノ調印シタル書面ヲ証拠トシテ払出スヘシ
    第十一条
此出納寮官員ハ横浜神戸長崎等エ運送スル金銀ノ運賃、或ハ受合料其外運送ニ付テノ雑費ノ勘定ヲモ管与スヘシ
    第十二条
此出納寮官員ハ造幣寮中諸局ノ諸雑費、及ヒ内外官員月給ノ渡方ヲモ取扱ヒ、之カ為備ヘ置タル帳面ヘ詳記シ、寮中経費ノ総額ヲ明瞭ニス
 - 第3巻 p.273 -ページ画像 
可シ
    第十三条
此規則中ニ掲載シタル諸受取証書ハ都テ二通宛ニ認メ、一通ハ之ヲ先方ヘ渡シ一通ハ之ヲ寮中ニ蔵シ置ヘシ
    第十四条
出納寮金庫ノ鍵ハ一ハ造幣頭、又ハ権頭預リ、一ハ出張出納寮ノ長官之ヲ預リ置クヘシ
貨幣或ハ地金ノ類ニテモ受取渡之節手数相済ミシ跡ニ而不足相立、勘定仕詰難出来節ハ基受取渡セシ掛リ官員ノ過失ニシテ其人之ヲ償フヘシ、尤モ確乎タル証拠アレハ直ニ造幣頭又ハ権頭ニ申出吟味ヲ乞フ可シ
右ハ造幣寮中ノ出納寮官員処務準序既定ノ条款ニ就テ聊更正ヲ加ヘ更ニ相定候事
  辛未十月二十日
                      渋沢大蔵大丞
                      馬渡造幣権頭
                      遠藤造幣助
                      長谷川出納助
    ○
  金銀地金買入規則
是迄大阪出張大蔵省ニ於テ古金銀貨其他地金ノ類ヲ人民ノ請求ニ応シ、其価ヲ定メ、通貨ヲ以テ時々買入レ来リタル仕来リヲ廃シ、今新ニ此事務ヲ特ニ造幣頭又ハ権頭ニ任シ、左ノ規則ヲ以テ其処務ノ準序ヲ決定セリ
    第一則
造幣頭ハ金銀地金ヲ買入ル、為メ別ニ世間ニ広ク求ムルニ及ハス、唯時々人民ノ請求ニ応シ、寮中又ハ出張出納寮ニアル通貨ヲ以テ其買入ヲナスヘシ
    第二則
右地金買入ノ節ハ造幣寮ニ於テ其地金ヲ以テ貨幣ニ鋳造スルニ付、規則通リノ鋳造料並分析入用等ヲ見積リ、且之ヲ買入タル日ヨリ其地金ヲ鋳造シテ貨幣ヲ出納寮ニ返入スル迄ノ時日ヲ計リ、月毎ニ壱分以上ノ利足ヲ見込ミ、政府ノ損失ニ至ラサル様其計算ヲ予定シテ之ヲ取計フ可シ、而シテ其概算ノ謬誤ナキコトヲ担保スルハ造幣頭又ハ権頭ノ責任タルヘシ
地金ヲ買入ル、為メニハ、別ニ出納寮ニ金高ヲ備フルニ及ハス、現時金庫在高ノ都合ヲ見計ラヒ、造幣頭又ハ権頭ノ考定ニ任セテ其買入ヲ為スヘシ
    第三則
地金ヲ買入レタル時ハ兼テ之カ為メ備ヘタル出納寮ノ地金買入帳ニ其量目地金ノ名称・在様・持参人ノ姓名、其品位若シ知レタル時ハ其代価、鋳造入用ノ見積高、分析料ノ見積リ高、鋳造料ノ利足見積リ高、其買入レタル月日、鋳造済ノ上成貨ヲ出納寮ヘ受取ヘキ月日等ヲ書記シ置キ、造幣勘定方ヨリ其金高利足等ヲ返納セシ時帳面規則通リ書入ル、可シ
    第四則
 - 第3巻 p.274 -ページ画像 
地金ヲ買入ルヽ時ハ前条ノ明細書ヲ書入レタル書面ヲ認メ、造幣頭又ハ権頭之ニ調印シ、出張出納寮長官エ送リ、出納寮ノ帳面ニ写取リ、本書ハ出納寮ヘ預リ置キ、買入レタル地金ハ造幣権頭又ハ助受取置キ受取証書ヲ出納寮ヘ差出シ同寮ニ貯置ヘシ
    第五則
造幣頭又ハ権頭ノ調印シタル書面モ、権頭又ハ助ヨリノ地金受取証書モ、一ケ月又ハ三ケ月ヲ限リ、之ヲ類別シテ出張出納寮ヨリ東京本省ヘ差出スヘシ
右ノ地金ヲ鋳造シテ出納寮ヘ成貨納メタル時ハ、出納寮長官ヨリ受取証書ヲ造幣権頭又ハ助ヘ渡ス可シ
   第六則
買入タル地金ノ代リトシテ、造幣権頭又ハ助ヨリ出納寮ヘ貨幣ヲ返入スル時ハ、分析料鋳造料ハ規則通リ造幣寮エ引去リ、地金ヲ買入タル月日ヨリノ利足ハ出納寮エ受取ルヘシ
    第七則
此利足ノ勘定ハ地金買入ノ時、造幣頭又ハ権頭見積置タル日限ヨリ相違スルトモ、十五日ヲ越サヽレハ其侭見積リノ利足高ヲ書入レ置クヘシ、若シ十五日ヲ越シタル時ハ何々ノ故障ヲ以テ鋳造延引ニ及ヘクト云フ書面ヲ造幣権頭ヨリ出納寮長官ヘ送ルヘシ、但、此書面モ利足日限ニ関係スルヲ以テ追テ本省ニ送ルヘシ
    第八則
右地金買入ヨリ成貨受取済マテノ諸勘定ハ、出張出納寮ニテ一口毎ニ之ヲ詳記シ、其計算ヲ明ニシテ第五則ニ記載スル造幣頭、又ハ権頭調印ノ書類其外共ニ一ケ月又ハ三ケ月ヲ限リ之ヲ類別シテ本省ヘ差出ス可シ
右ハ造幣寮地金買入規則既定ノ条款ニ就テ聊更正ヲ加ヘ、更ニ相定候事
  辛未十月二十日
                      渋沢大蔵大丞
                      馬渡造幣権頭
                      遠藤造幣助
                      長谷川出納助


大蔵省沿革志 出納寮ノ部(明治前期 財政経済史料集成 第二巻・第五八〇―五八一頁 〔昭和七年六月〕)(DK030086k-0002)
第3巻 p.274 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。

大蔵省沿革志 造幣寮第一・第一一三―一一五丁(明治前期 財政経済史料集成 第三巻・第四九頁 〔昭和九年五月〕)(DK030086k-0003)
第3巻 p.275 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。

法規分類大全 第一編 官職門十一 官制 大蔵省二・第四六九頁(DK030086k-0004)
第3巻 p.275 ページ画像

法規分類大全 第一編 官職門十一 官制 大蔵省二・第四六九頁
 大蔵大丞ヨリ本省ヘ伺 四年十二月二十二日
造幣寮中出納寮官員処務順序並地金買入規則最前伊東元造幣頭ヨリ伺出御決定相成居候処、其後更正可致件々モ有之候ニ付、別紙補正候間可然奉存候、御判決ノ上ハ其段改テ御達相成候様仕度奉存候也


(大坂三井両替店) 日記録 明治四年(DK030086k-0005)
第3巻 p.275 ページ画像

(大坂三井両替店) 日記録 明治四年 (三井文庫所蔵)
十月六日
八郎右衛門様、三郎助様、次郎右衛門様、篤次郎様、寿之助様、斎藤純造殿、御同舟ニテ昨夕船御下坂被遊候処、今暁六時過御機嫌克為換座ヘ御着被遊候、然ルニ大蔵省渋沢大丞様御旅宿為換座ニテ相勤候事ニ相成候ニ付、俄ニ主中様方当店ヘ御引越被為遊候事
十月九日
主中様方御始斎藤氏其外共、渋沢様御案内として角芝居へ御越被遊候事
十月十八日
寺田忠蔵殿渋沢様御供ニて昨夕舟ニて下坂、為換座ヘ今朝無事着之事則今八ツ頃出店致され候事


(大阪為換三井組) 日記 明治四・五年(DK030086k-0006)
第3巻 p.275-276 ページ画像

(大阪為換三井組) 日記 明治四・五年 (三井文庫所蔵)
(明治四年)
十月六日 晴
一渋沢様御家来弐人御旅宿
一渋沢様御泊リ被遊候
一八郎右衛門様 三郎助様 次郎右衛門様
 篤次郎様   寿之助様 為換店御泊リ
  御附 中井三平 能勢規十郎 吉岡吉太郎
     野依周助 飯田甚之助 御《(マヽ)》
 右御都合之儀ニ付為換座ニ御移
十月九日 小雨
一渋沢様並家来弐人
 主中様方御一同角の芝居江 西村虎四郎
十月十六日
昨十五日夕船ニ而渋沢大蔵大丞様、勝間田清市様 外御壱人
斎藤純造 供付 七五郎 登京
十月十八日
 - 第3巻 p.276 -ページ画像 
渋沢様京都より御帰阪 御附 弐人 勝間田清市様 柴崎角次郎様
京地より御供兼而寺田忠蔵下坂 供付 利兵衛


青淵先生伝初稿 第七章二・第一九―二一頁 〔大正八―一二年〕(DK030086k-0007)
第3巻 p.276 ページ画像

青淵先生伝初稿 第七章二・第一九―二一頁 〔大正八―一二年〕
先生は其在阪中○九月以降 また造幣寮中出納寮処務準序造幣寮中に出納寮の官吏を置きたるなり及び金銀地金買入規則を制定し、造幣権頭、馬渡俊邁・造幣助遠藤謹助・出納助長谷川正省と共に之に連署せり。後者は買入に関する規定を設けたるものにして、前者は出納寮の政府所有の地金を受取りて之を預り置き、造幣寮に交付すると共に、鋳造の新貨を受領して、政府の命令に基き出納するの事務を取扱ふものにて、其長官は、造幣の頭又は権頭の兼任なりき。此外造幣寮の予算を定め、キンドル等を督して製貨の進歩を図るなど、多忙の間に日を送りしが、用務ほゞ了りしかば、後事を馬渡に託して帰京せるは同年十一月十五日なりき。然るに其夜晩香翁重病の急報はいたく先生を驚かしたり。


法規分類大全 第一編 官職門十一 官制 大蔵省二・第四七六頁(DK030086k-0008)
第3巻 p.276 ページ画像

法規分類大全 第一編 官職門十一 官制 大蔵省二・第四七六頁
 大蔵省ヨリ出納寮ヘ達 六年八月十八日
金銀地金買入規則ノ儀、去辛未十月中渋沢元大蔵大丞出阪之節議定、其後準備金方法設立相成、従テ益田元造幣権頭ニ於テ右準備金取扱ノ儀兼務有之候処、今般遠藤造幣権頭申立ニ寄、右兼務差免候ニ付テハ、是迄規則中造幣権頭ニ於テ担任有之候廉其寮大阪出張長官専任ニ帰シ候儀ト可相心得候、此段相達候也