デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2017.12.19

1編 在郷及ビ仕官時代

2部 亡命及ビ仕官時代

4章 民部大蔵両省仕官時代
■綱文

第3巻 p.306-309(DK030101k) ページ画像

明治五年壬申正月(1872年)


 - 第3巻 p.307 -ページ画像 

政府米穀輸出ヲ許シタルガ、其入札方法ニ付キ諸国公使ヨリ抗議アリシヲ以テ、栄一之ガ解決ニ当ル。


■資料

外務省月誌 明治五年 ○ 第一号 【壬申正月 中略 客歳十一月…】(DK030101k-0001)
第3巻 p.307 ページ画像

外務省月誌 明治五年            (外務省所蔵)
 ○ 第一号
 壬申正月
○中略
○客歳十一月自今皇帝内米穀嬴余アルトキハ、其時宜ニ寄リ、於各開港場公ノ入札ヲ以テ中外人民ヘ売与ヘ、海外輸出ヲ許シ、亦時トシテ政府ヨリモ輸出スヘキ旨ヲ各国公使及領事等ヘ布達シ、既ニ米国某商社ヘ此事ヲ取扱ハセシニ因テ英仏独逸三ケ国公使ヨリ、皇国政府ニ於テ独リ外国一ノ商社ヘノミ輸出ノ特許ヲ与ヘ、偏頗ノ処置アル旨ヲ以テ苦情申来ルニ因リ、則右ハ大蔵省貯蔵米、皇国政府ヨリ直ニ輸出スヘキ分ヲ一時米国某商社ヘ命シ取扱ハセシ事ニテ、必スシモ此商社ニ限ラス、何レノ商人タリトモ便利ノ方法ヲ以テ取扱フ者アラハ相託スヘキナリ、敢テ一人一社等ニ殊典ヲ与ヘシニハ非サルノ旨ヲ答フ
○同上ノ事件本月十七日横浜税関ニ於テ其開札ノ日ヲ定メ入札為サシムルニ因テ、其規則書ノ写ヲ各国公使及領事等ヘ達セシ処、各公使ヨリ、規則ノ件々改正アリ度旨ヲ以テ、幹事長及商社等ヨリ異議申立シ書ヲ添ヘ贈リ来、因テ終ニ不得止分ハ後日刪定スヘシ、即今ハ先旧ニ依テ施行スヘキ旨ヲ談判ニ及フ
○各国公使ヘ、米穀入札規則ノ儀、本月廿七日横浜ニ於テ渋沢大蔵大丞直ニ彼ノ「シヤンブル、オフ、コムメルス」貿易会社ヘ談判ス可キニ因リ、其支配頭ヘ其趣通達有リ度旨ヲ達ス
○下略

外務省月誌 明治五年 ○ 第二号 【壬申二月 中略 第一号ノ米穀…】(DK030101k-0002)
第3巻 p.307-308 ページ画像

 ○ 第二号
 壬申二月
○中略
○第一号ノ米穀輸出ニ付入札ノ規則渋沢大蔵大丞直ニ「シヤンブル、オフ、コンメルス」ヘ談判ノ事ニ付、仏国公使ヨリ、右不承諾ノ旨ニテ、大蔵省ト「シヤンブル、オフ、コムメルス」ノ間ニ定メタル約束モ、若シ前以テ自身ノ処置ヲ経サレハ自国人民ニ於テ履行シ難ク、然レハ畢竟無益ニ属スル旨申来ル、則右輸出ノ事件ニ於テハ曾テ同意アリシニ因リ、大蔵省ニテ其規則ヲ定メ、已ニ入札セシメ何等ノ差支無キ処「シヤンブル、オフ、コムメルス」ニ於テ右規則中件々異議申立、其見込書各公使等ヨリ来達セシナレトモ、輸出ニ付異論無キ上ハ、其枝葉タル規則等逐一本省ノ関カル所ニ非ス、亦各公使ヘ引合ニ及フヘキ事ニモ無之、然シナカラ其異存ノ趣意大蔵省ニテ委細聴問シ、猶参考取捨シテ多少改正ヲ加ヘ、中外ノ便益ヲ増シ、且来示ヲモ空シクセサルトノ意ニ出テ右談判ニ及ヒシナリ、因テ猶規則中改正セシ件々ハ更ニ通達スヘキノ旨ヲ答フ
○同上事件ニ付米国公使代ヨリ、都テ約定等ノ事ハ直ニ渠等ト談決ス
 - 第3巻 p.308 -ページ画像 
可キ筋ニ非ス、以来公使等ヘ引合アリ度旨申来、則右ハ「シヤンブル、オフ、コンメルス」ニ於テ規則中件々異存アリ、各公使ヨリモ其旨申立ルニ因リ、有益ノ事ハ採用ヒ改正スヘキ主意ニテ右談判ニ及ヒシノミノ旨ヲ答フ
○各国公使及領事等ヘ、同上ノ事件於横浜「シヤンブル、オフ、コンメルス」ヘ談判ノ末終ニ渠ノ見込ヲモ参考シ、規則改定セシニ因リ則之ヲ贈与スル旨、其書写ヲ添ヘ達ス
○下略



〔参考〕法令全書 ○ 明治四年・第五〇五頁 大蔵省 第三十二 八月二十五日(DK030101k-0003)
第3巻 p.308 ページ画像

法令全書
 ○ 明治四年・第五〇五頁
大蔵省 第三十二 八月二十五日           何 府県
今般米穀輸出ノ儀御差許可相成積御僉議ノ上ハ一般ノ御布告有之候筈ニ候ヘ共、外国人ヘ御談判ノ辺ヨリ自然漏洩致シ、夫カ為メ米価ニモ差響僻邑等ニ至テハ或ハ奸商ノ衒計ニ陥リ可申モ難計候間、先以右ノ趣為心得相達候条管下末々迄不洩様示諭可致事

〔参考〕法令全書 ○ 明治五年・第四三四頁 太政官(無号) 正月二十日(DK030101k-0004)
第3巻 p.308-309 ページ画像

 ○ 明治五年・第四三四頁
太政官(無号) 正月二十日
               東京府  大阪府 開拓使
            各通 神奈川県 兵庫県 長崎県
               新潟県
米麦之儀ハ是迄海外輸出御禁制之処、以来大蔵省在米有余之分ニ限リ各開港場運上所ニ於テ輸出之為メ、公之入札ヲ以テ内外人民ニ可売渡候条、時々同省ヨリ相達次第別紙規則面之通取扱可申事 (東京府ヘハ各開港場並開市場運上所云云ト認ム)
 但本文御払米之外ハ輸出不相成筈ニ付密売等無之様取締相立可申事
 (別紙)
     米穀入札売渡規則
一米穀輸出制禁之儀ハ従来之通ニ有之然共此後国内有余有之節ハ、時宜ニ因リ大蔵省貯蔵之内都合見計ヒ諸開港場ニ於テ海外輸出之為メ公ニ入札ヲ以、内外人民ヘ売渡可申事
一払渡之日限並売渡スヘキ石高ハ、入札日限前ニ米穀ヲ売渡セル地之運上所前ニ張出シ置可申事
一入札望之者ハ入札日限前日迄ニ運上所ヘ申出候ハヽ在米一覧可為致事
一入札ハ開札当日十二字迄ニ其運上所ヘ可差出事
一入札ニハ可買取米穀之石高可買取価一百斤ニ付金貨亦ハ銀貨若干円洋銀何枚ト可記載事
一開札ハ当日午後第二字諸入札人之目前ニ於テ公ニ披封致スヘキ事
一開札之上其落札之価適当ナラハ払渡可申若適当ナラサル時ハ売払不致候事
一若シ落札之者両人以上衝合、其沽価適当ナル時ハ鬮取ヲ以テ其買主ヲ相定メヘキ事
一落札之上ハ価之総額ヲ算シ、即日買主ヨリ其五分一ヲ運上所ヘ納ム
 - 第3巻 p.309 -ページ画像 
ヘシ、残五分之四ハ入札之日ヨリ七日之内ニ皆納可致、右皆納之節米穀之斤量掛改メ買主ヘ引渡可申事
一残金納方七日ヲ過ル者ハ前条五分一之手附金ハ買主ノ損失ト為シ、相当ト思フ時ハ再ヒ公之入札ニ出スヘキ事
一残金皆納之上、尚運上所庫中ニ積置ン事ヲ願フ者ハ、借庫規則ニ随ヒ蔵敷料可差出事
一斤量改方ハ穀物之俵数ニ応シ、三十俵ニ付三俵之割合ヲ以テ鬮取ニテ其俵ヲ定メ、斤量ヲ改メ之ヲ平均シ一俵之斤量若干ト定ムヘシ、則一俵之斤量平均百斤ナラハ百俵ハ一万斤、千俵ハ十万斤ト定ムヘシ、尤モ大ニ軽重差異アルト見ル時ハ俵毎ニ斤量ヲ掛ケ改ムヘキ事
  但風袋モ此例ニ照シ平均法ヲ用ユヘキ事
一右落札之米穀ヲ買主ヨリ他人ニ売渡ストモ、其米穀之輸出ハ元買主ノ名面ニ限リ差許可申事
右之通相定候事
    辛未十二月
   ○米麦輸出売渡規則ハ五年三月四日改正セラレタリ。