デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
6款 択善会・東京銀行集会所
■綱文

第6巻 p.160-163(DK060047k) ページ画像

明治21年4月15日(1888年)

是日春季懇親会開カレ、栄一開宴ニ先立チ当座預金貸借利息ノ件及ビ大阪銀行集会所ヨリ照会アリシ「クロスチエツキ」ノ件ニ付協議セントシタルモ、宴期已ニ到リタルヲ以テ他日輪札廻議ニ付スベキコトヲ決議ス。後両件共要急ナラザルヲ以テ次会ニ於テ決議セリ。


■資料

銀行通信録 ○第二九号・第七九頁〔明治二一年四月二八日〕 春季懇親会録事 ○明治二一年四月一五日(DK060047k-0001)
第6巻 p.160-161 ページ画像

銀行通信録
 ○第二九号・第七九頁〔明治二一年四月二八日〕
    ○春季懇親会録事 ○明治二一年四月一五日
明治二十一年四月十五日、同盟銀行春季懇親宴会ヲ嬉ノ森八百松ニ開キ、請招ニ因リ来会セラレタルハ富田日本銀行総裁、与倉・三野村ノ両理事、奈良原日本鉄道会社長、間島第十五国立銀行支配人ノ諸氏ト之レニ同盟銀行ヨリ出席ノ諸氏ヲ合セテ六十有八名ナリ
○中略
次ニ従来諸預金貸付金ニ於テ壱円以下ノ端数ニ利息ヲ付スルハ計算上繁雑ニ渉リ、実際自他得失ヲ論スル程ノ数ニモアラサルヲ以テ自今此
 - 第6巻 p.161 -ページ画像 
端数ヲ算入セサルコトニ定ムヘク、又送金手形ノ類ハ去月二十三日大坂同盟銀行ヨリ照会アリシ「クロースチヱツキ」ノ例ニ拠リ其裏面ノ式様ニ照ラシ印章ヲ押捺シテ以テ盗奪其他ノ弊害ヲ予防スヘキ等ノ事項ヲ協議スヘキ事ヲ予期センカ、宴期已ニ到リタルヲ以テ他日輪札廻議ニ付シテ各位ノ意見ヲ聴クヘキ事ニ決定セリ

銀行通信録 ○第三〇号・第三―九頁〔明治二一年五月二八日〕 第八十三回定式集会録事(DK060047k-0002)
第6巻 p.161-163 ページ画像

 ○第三〇号・第三―九頁〔明治二一年五月二八日〕
    ○第八十三回定式集会録事
明治二十一年五月十五日、同盟第八十三回ノ定式集会ヲ開キ、来会スルモノ二十三名ナリ、各位席ニ着クニ及ヒ書記ハ委員ノ指示ニ依リ報道シテ曰ク、前月懇親会ニ当リ報告シタル当坐預金貸借円以下端数ニ利息ヲ付加スヘカラサル事、及大阪同盟銀行ヨリ曾テ照会アリシ「クロスチヱッキ」ノ例ニ拠リ手形金額ノ受取人ヲ指定スヘキ件等ハ、其後輪札ヲ以テ廻議スヘキ筈ナリシカ両件共要急ナラス、且ツ「クロスチヱッキ」ノ事ニ至リテハ多少説明スヘキ者ト思惟シ、因テ今日ヲ俟ツ所ナレハ各位ト十分討議シテ以テ取捨決定スヘシト、乃チ議決シタル所左ノ如シ
一当坐預金貸借利息ノ件 提議ノ旨意ハ従来当坐預金及其貸越勘定等ニ係ル利息ハ壱円以下端数トイヘトモ之ヲ計算スルノ慣例ナリシヲ以テ其計算上ノ手数実ニ浅少ナラス、而シテ貸借ノ双方ニ在リテハ敢テ得失ヲ論スヘキ程ノ者ニアラサリシナリ、今仮リニ一例ヲ挙クレハ当坐預ケ勘定ニ於テ毎日残高九十銭アルモノトスレハ其利息ハ年四歩トシテ一ケ年僅カニ三銭六厘ナリ、当坐貸越ニ於テスルモ亦拾銭内外ノ少額ニ出テサレハ是亦是非ヲ論弁スヘキ程ノ必用アルヲ看ス、因テ自今計算上ノ便利ヲ謀リ、同盟協同シテ端数ノ利息ヲ廃セントスルニ在リ、反対説ニ於テハ当坐預リ金ノ如キハ元来利息ヲ付スヘキ性質ノモノニアラサレハ特ニ申合ヲ以テ取扱フニ及ハス、宜シク各行適宜ニ取捨スヘシト云モノアリ、然レトモ其実際全額ハ些少ナリト雖トモ甲ハ利息ヲ付シ、乙ハ之レヲ付セサル時ハ各行取引先中或ハ不快ノ感ヲ生スル者アルヲ免カルヘカラス、是些事ト雖望ムヘカラサルヲ以テ尚コルレスホンデンス勘定ヲモ併セテ之ニ準シ、同盟申合ヲ以テ一般本議ノ如ク改正スルヲ要シ、竟ニ本議ヲ賛成スルモノ多数ナルヲ以テ本年下半季即来ル七月一日ヨリ当坐預金及コルレスホンデンス勘定壱円以下ノ端数ハ貸借共利息ヲ付スヘカラサルコトニ議決セリ
一クロスチヱツキノ件 本議ハ大阪同盟銀行集会所ヨリ本年三月廿三日付ヲ以テ照会スル所ニ係ル、此方法ハ現ニ欧米諸邦ニ行ハレ一個人ノ間ニ於テ諸手形及小切手等ヲ送致スルトキハ其手形面ニ「クロス」ヲ為シ、何銀行ニ交付スヘシト指定スルモノナレハ逓送途中万一遺失又ハ盗難其他ノ災害ニ罹ルト雖、其指名銀行ノ持参スルニアラサレハ其金額ヲ仕払ハサルモノニシテ至極安全ノ良法ナリ、今大阪同盟銀行モ亦此方法ヲ酌用シテ手形裏面ニ印章ヲ押捺スルモノハ要之其災害ヲ予防スルノ点ニ至リテハ蓋長短ナキカ如クナルヲ以テ我同盟銀行ハ此照会ニ対シ同意ヲ答フヘキヤヲ発議セシカ衆皆同意ヲ表シ、而シテ東京ヨリ大阪等ヘ送達スヘキ手形ハ多クハ送金手形ノ類ニシテ我同盟銀行ヨリ発送スヘキ分ハ手形面ニ何銀行又ハ持参人トアル其持参人云々
 - 第6巻 p.162 -ページ画像 
ノ数字ヲ抹殺スヘキヲ以テ、其抹殺シタル手形及裏書ヲ以テ特ニ其受取銀行ヲ指名シタル等ノ手形仕払ハ総テ其指定シタル銀行ニ限ルモノト領知セラレンコトヲ大阪同盟銀行ヘ回答スヘク、又我同盟銀行中ニ於テハ従前他店手形及小切手等裏書ヲ以テ該金額ヲ収領スルトキハ其社員ノ小印ヲ押捺シテ受授スルモノモアレトモ漸次手形流通ノ拡伸スルニ至レハ、随テ弊害無キヲ期シ難ク、已ニ「クロスチヱッキ」ノ方法ヲ実行スルニ決定シタレハ、自今各行共ニ他店手形ノ受取方ニ押用スヘキ印章ヲ一定シ(在来ノ略印ヲ用ユルモ妨ケナシ)同盟中相互ニ其印鑑ヲ交換スヘク、尚其実施日限ヲ定ムルコト及印鑑交換ノ手続等ハ都テ集会所ヨリ通知スヘキコトニ決議セリ
右議事畢リ晩餐シ、八時下散会セリ
    大阪同盟銀行盟会書
拝啓陳ハ本月十八日大阪同盟銀行集会ニ於テ「クロスチヱッキ」ノ例ヲ用ヒ、同盟者間ニ於テ諸手形ヲ送致候節、盗難或ハ其他ノ災厄ヲ防カン為メ左ノ雛形ノ印章ヲ裏面ヱ押捺致候間、該印章有之候諸手形類ハ左ノ通リ御承諾願度候、右者来ル四月一日ヨリ実施致候ニ付、貴所御同盟各行ニ於テモ幸ニ御賛成実行相成候様御協議願度右御通報旁々御照会迄如此御座候也
  明治廿一年三月二十三日       大阪同盟銀行集会所
   東京
    銀行集会所 御中
  雛形
五分 曲尺壱寸五分 渡シ 第何々銀行 印章ハ朱肉ヲ用ヒ渡先ハ墨ニテ書記ス
一右印章中空白ノ所ヘ何々銀行ト墨書指名シタルモノハ、必ス其指名ノ銀行ニ限リ仕払フヘキモノトス
一右印章中渡先ヲ記入セス、空白ノ儘ニナシアルトキハ同業者中ニ限リ転々スル事ヲ得
 但本文ノ場合ニ於テハ最終ノ銀行ニ於テ其行名ヲ記入スルモノトス
    大阪同盟銀行ヘ回答案
一翰啓上仕候陳ハ同業者間ニ於テ諸手形類ヲ送致候節盗難其他ノ災害予防ノ為メ貴同盟会ニ於テ彼ノ「クロスチヱッキ」ノ例ニ傚ヒ、四月一日ヨリ一定ノ朱印ヲ手形及小切手ノ裏面ヘ御押捺被成之ニ墨書ヲ以テ指名セラレシモノハ必ス其指名銀行ヘ仕払可申又右印章空白ノ儘ナルトキハ同業者中ニ限リ転々スヘキモノト承知可致旨三月廿三日付御状ヲ以テ御照会有之候ニ付、疾ニ御確答可申上筈ニ候処、大ニ延引致シ候、漸ク去ル十五日定式集会ニ於テ篤ト協議致シ候処、一同御同意申上御来示之通承諾致候、乍去当地ヨリ貴地ヘ送達可致手形ハ重ニ送金手形ノ類ニ付、当地同盟銀行ヨリ発送候分ハ其手形面何々銀行又ハ持参人トアル其持参人云々ノ数字ヲ抹殺可致ニ付、右抹殺シタル手形及裏書ヲ以テ特ニ其受取銀行ヲ指名シタル手形等ハ総テ其指定シタル銀行ニ限リ御支払可被下義ト御承諾相成度候、此段御回答旁得貴意候也
 - 第6巻 p.163 -ページ画像 
  明治廿一年五月廿四日
                  東京
                   銀行集会所
    大阪同盟銀行集会所 御中