デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
6款 択善会・東京銀行集会所
■綱文

第6巻 p.401-406(DK060116k) ページ画像

明治29年6月15日(1896年)

東京交換所組合銀行提出ニ係ル証券印紙税率改正ノ件ニ付キ協議シ、委員ヲ選ビテ之ガ調査ニ当ラシムルコトヲ決議ス。後右ニ付キ大蔵大臣ニ稟請セリ。


■資料

集会録事 自明治二十六年一月(DK060116k-0001)
第6巻 p.401-402 ページ画像

集会録事 自明治二十六年一月  (東京銀行集会所所蔵)
    ○第百六十二回定式集会録事
         栄一印    (印)
明治二十九年六月十五日午後五時ヨリ同盟銀行第百六十二回定式集会ヲ開キ出席スルモノ二十八名ナリ
渋沢会長ハ協議ニ先タチ前会加入シタル合資会社加島銀行東京支店主任取締役田口寛氏ヲ紹介シ
夫ヨリ東京交換所組合銀行提出ニ係ル証券印紙税率改正ノ件ヲ報セリ其理由ハ世運ノ進歩ニ伴ヒ益手形取引ヲ発達セシムルハ我々銀行者ノ正ニ努ムヘキ処ナリト雖トモ、之ニ伴ヒ手形小切手税率ノ軽重如何ハ大ニ関係スルヲ以テ充分調査ノ上其意見ヲ当路ニ稟請シタシト云ニアリ、例之ハ小切手ノ如キ五厘ノ印税ヲ要スルカ為メ、不便ナル現金ヲ授受スルモノ多クシテ取引上煩累ニ耐ヘス、又約束手形、為替手形ノ如キモ其税率適当セサルヲ以テ手形面ノ金額ニ端数ヲ現ハスノ弊ヲ生シ、計算上不便尠カラサレハ成ルヘク簡易ノ税率ニ改正セラレンコト
 - 第6巻 p.402 -ページ画像 
ヲ希望スルナリト告ケ種々協議スル所アリシカ、多数ノ希望原案ニ帰着シタルヲ以テ先ツ委員ヲ選ミ、充分審査研究スヘキコトニ議決シ而シテ其委員ハ会長ノ指名ヲ以テ池田謙三・佐々木慎思郎・三村君平・渡辺千代三郎・清水宜輝・大野清敬・松尾謹次ノ七氏ヲ選定セリ
    ○第百六十四回定式集会録事
明治二十九年九月十五日午後五時ヨリ同盟銀行第百六十四回定式集会ヲ開キ来会スルモノ三十名ナリ
是日渋沢会長病気不参ニ付、豊川副会長会長席ニ着キ議事ニ先タチ会員トシテ本日新タニ出席シタル東京銀行副支配人伊藤恕一氏、安田銀行副支配人太田善弥氏ヲ紹介シ、次ニ第一国立銀行ハ本月二十五日営業満期ニ付爾後株式会社第一銀行ト、又第二国立銀行ハ本年十一月二十七日営業満期ニ付同株式会社第二銀行ト、又第三国立銀行ハ本年十一月三十日営業満期ニ付同株式会社第三銀行ト各改称スヘキ事ヲ報道セリ
次ニ兼テ調査委員ノ起草ニ係ル証券印税規則中改正ノ件ニ付、大蔵大臣ヘ稟請書案ヲ協議ニ付セシニ大体異議ナシト雖、只証券印紙規則中ノ最低率「金高百円迄二銭」又手形税率「金高百円ヲ超ヘ五百円迄五銭」トアルハ、小額ノ金円ニ対シ従前ニ比シ反テ苛重ニ失スルトノ動議アリシヲ以テ、熟議ノ末証券印紙ニハ金高十円ヲ超ヘ五十円迄一銭トノ一項ヲ加ヘ、従前ノ第一項ヲ金高五十円ヲ超ヘ百円迄二銭ト修正シ、又手形印税ハ修正ノ必要ナシトノ説多数ヲ占メ、遂ニ原案ニ決定セリ、而シテ本案ハ東京商業会議所ニ関係アルヘキヲ以テ一応同会議所ヘ照議ノ上大蔵大臣ヘ稟請スヘキコトト為シ、其交渉及字句ノ修正大蔵大臣ヘ稟請手続等ハ総テ正副会長ヘ一任スヘキコトニ決セリ


諸達願並指令綴込 自明治十一年至明治三十三年(DK060116k-0002)
第6巻 p.402-404 ページ画像

諸達願並指令綴込 自明治十一年至明治三十三年  (東京銀行集会所所蔵)
明治十七年七月太政官第十一号ヲ以テ御公布相成候証券印税規則ハ其税率煩雑ニシテ経済社会ノ面目大ニ発達セル今日ニ方リテハ、一層其不便ヲ感シ候ニ付当銀行集会所同盟銀行ハ既往ノ実験ニ徴シテ特ニ銀行業務ニ関シ修正ヲ要スル諸点ヲ講究シ、左ノ通リ開陳仕候間、御採納被下度此段稟請仕候也
 明治二十九年十月九日  東京銀行集会所
                  会長 渋沢栄一
    大蔵大臣 伯爵 松方正義殿
  当座小切手免税ノ事
近時当座小切手ノ流通著シク増加セルハ我経済社会進歩ノ一徴トシテ賀スル所ナリ、然レトモ其所謂流通高ノ増加トハ唯往年ニ比シテ之ヲ言フノミ、未タ一般経済社会ノ進運ニ伴ヘリト言フヲ得サルナリ、一葉ノ小切手能ク巨万ノ取引ヲ弁シ、幾多ノ手数ト幾多ノ時間ヲ要スル現金授受ノ煩ヲ省略シ得ルヲ見レハ、誰カ其至便至利ヲ認メサル者アランヤ、而モ之ヲ我国商業家ノ実況ニ鑑ミルニ錙銖ノ利ヲ争フノ常トシテ、印税ヲ惜ミ殊更ニ現金授受ヲ為スモノ尠カラズ、然ルニ翻テ現行印税規則実施以来小切手押印税(小切手印税ノ殆ント全額ヲモ占ムヘキ)ノ累年歳額ハ別表ニ摘記セルカ如ク実ニ僅々ニシテ数千円ヲ超
 - 第6巻 p.403 -ページ画像 
過シタルコトナシ、況ンヤ之ニ対シテハ必ス若干ノ費用ヲモ要セラルヘケレハ、小切手印税ヨリ生スル国庫ノ歳入ハ甚タ些少ノ金額ニシテ今日之ヲ全廃スルモ敢テ国家ノ財政ニ至大ノ影響ヲ及サヽルヘシト信ス、将タ之ヲ泰西諸国ノ類例ニ徴スルモ印税規則ヲ実施スルノ邦国ニシテ特ニ小切手ヲ免税ナラシムル者アルヲ見レハ、今後速ニ之ヲ免税シ以テ金融ノ円滑取引ノ発達ニ資セラレンコト切望ニ堪ヘサルナリ
  印税規則第二条第二類印税ノ改正並ニ手形印税改正ノ事
近時経済界ノ進歩ト共ニ銀行取引ノ発達ヲ来シ、日ニ月ニ倍々盛ナラントス、故ニ今日ノ急務ハ力メテ取引上ノ不便ヲ矯メ、極メテ簡易ノ手続ニ拠リ以テ之カ便ヲ図ラサルヘカラス、然ルニ現行印税規則第二条第二類ノ如キハ、煩雑ナル類別ニ基キ一円以上四千円未満ノ金額ニ対シ貼用印紙ノ種別ヲ十有八種ノ多キニ至ラシメタルカ為メ、取引上大ニ不便ヲ感スルハ我同盟銀行多年ノ実験ニ徴シテ疑ハサル所ナリ、特ニ現行印税規則ニ於テハ同額印税ヲ支払フヘキ金額ノ区域ヲ画スルニ何円以上何円未満ト定メシヲ以テ、印税ノ幾分ヲ避ケンカタメ金四十九円九十九銭九厘、金九十九円九十九銭九厘金百九拾九円九十九銭九厘等ノ手形ヲ発行シ、以テ次ノ高額印税ヲ支払フヘキ金高タル金五拾円、金百円、金二百円等ノ手形ニ代用シ取引上言フヘカラサル煩雑ヲ蒙ルコト少カラス、故ニ今後ハ成ルヘク簡易ニシテ各人ノ記憶ニモ便ナランコトヲ欲シ、第二条第二類証書ハ一万分ノ二、手形類ハ一万分ノ一ト定メ、其税率ヲ左ノ如ク修正アランコト切望ニ堪ヘサルナリ証券印税規則第二条第二類ヲ改正スルコト左ノ如シ
 金高十円ヲ超ヘ五十円迄       一銭
 同 五十円ヲ超ヘ百円迄       二銭
 同 百円ヲ超ヘ二百円迄       四銭
 同 二百円ヲ超ヘ三百円迄      六銭
 同 三百円ヲ超ヘ四百円迄      八銭
 同 四百円ヲ超ヘ五百円迄      十銭
 同 五百円ヲ超ヘ六百円迄      十二銭
 同 六百円ヲ超ヘ七百円迄      十四銭
 同 七百円ヲ超ヘ八百円迄      十六銭
 同 八百円を超ヘ九百円迄      十八銭
 同 九百円ヲ超ヘ一千円迄      二十銭
 同 一千円ヲ超ヘ二千円迄      四十銭
 同 二千円ヲ超ヘ三千円迄      六十銭
 同 三千円ヲ超ヘ四千円迄      八十銭
 同 四千円ヲ超過シタルモノ     一円
為替手形荷替手形及約束手形ノ印税ヲ改正スルコト左ノ如シ
 金高百円迄             一銭
 同 百円ヲ超ヘ五百円迄       五銭
 同 五百円ヲ超ヘ一千円迄      十銭
 同 一千円ヲ超ヘ二千円迄      二十銭
 同 二千円ヲ超ヘ三千円迄      三十銭
 同 三千円ヲ超ヘ四千円迄      四十銭
 - 第6巻 p.404 -ページ画像 
 同 四千円ヲ超過シタルモノ     五十銭
@記印税規則ノ修正ト共ニ現行ノ手形用紙ハ形式ノ不便ナル点少カラ@ルヲ以テ之レカ改正アランコトヲ希望ス、且現行商法中ニ明文アリ@未タ手形用紙ノ発行ナキ持参人払ノ為替手形、約束手形並ニ一覧払@約束手形ヲ発行セラレ、以テ手形使用ノ区域ヲ拡張シ、併セテ一切@手形ハ必ス所定ノ用紙ヲ使用スヘキ現制度ヲ改メ、書式ト印税トニ@クル処ナキニ於テハ何等ノ用紙ヲ用フルモ、手形トシテ能ク効力ヲ有スヘキノ余地ヲ存セラレンコト切望ニ堪ヘサルナリ


集会録事 自明治二六年一月(DK060116k-0003)
第6巻 p.404 ページ画像

集会録事 自明治二六年一月  (東京銀行集会所所蔵)
    ○第百六十五回定式集会録事○明治二九年一〇月一五日
渋沢会長ハ会長席ニ着キ協議ニ先タチ○中略前会ノ協議ニヨリ証券印税規則中改正ノ件ハ本月九日大蔵大臣ヘ稟請書ヲ進達シタルコトヲ報道セリ
    ○臨時集会録事○明治三〇年三月六日
次ニ昨年十月大蔵大臣ヘ稟請シタル証券印税規則改正ノ件ハ爾後其筋ニ交渉スル所アリシモ、未タ其要領ヲ得サレハ寧ロ議員ヨリ議会ヘ建議スル方可ナルヘシトシテ、其手続ヲ正副会長ヘ委托スルノ件ヲ諮リ全会一致ヲ以テ正副会長ヘ一任スヘキコトニ決シ十一時下散会セリ
           第一   渋沢栄一君 外二六名氏名略
  ○明治三十一年十月十五日ノ項参照。



〔参考〕銀行通信録 第一三五号・第三二―三六頁〔明治三〇年二月〕 証券印税規則の改正を望む(双石生)(DK060116k-0004)
第6巻 p.404-406 ページ画像

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