デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治30年7月15日（1897年）

是ヨリ先、当集会所組織改正ノ件ニ付キ建議アリ。是日右ニ付テハ従来ノ組織ニヨリ存続スベキコトヲ決議シ、而シテ集会所規定中経費醵出ノ方法其他ノ改正ヲ決議ス。

集会録事　自明治二十六年一月　　（東京銀行集会所所蔵）
　　　　　○第百六十八回定式集会録事○明治三〇年一月八日
次ニ佐々木慎思郎氏ヨリ集会所組織ヲ倶楽部体ニ修正スルノ建議アリシニ多数ノ賛成ニヨリ追テ会長ヨリ委員ヲ指名シ之レカ調査ニ着手スヘキコトニ決シ、晩餐ノ後八時下散会セリ
　　　　当日出席者
　　　　　　　　　　第一　　　渋沢栄一君○外三五名氏名略
　　　　○第百七十四回定式集会録事
明治三十年七月十五日午後四時ヨリ同盟銀行第百七十四回定式集会ヲ開キ来会スルモノ二十八名ナリ
副会長豊川良平氏会長席ニ着キ、協議ニ先タチ前会加入シタル株式会社日本興業銀行ヨリ支配人島甲子二氏出席ニ付之ヲ紹介シ、次ニ第二十国立銀行ハ営業満期ニ付本月十一日ヨリ株式会社二十銀行ト改称、第八十四国立銀行ハ営業満期前特別処分法ニ拠リ来九月一日ヨリ株式会社八十四銀行と改称、富山第十二国立銀行ハ営業満期ニ付本月二日ヨリ株式会社十二銀行と改称、静岡第三十五国立銀行ハ営業満期前特別処分法ニ拠リ本月一日ヨリ株式会社三十五銀行ト改称、函館第百十三国立銀行ハ営業満期前特別処分法ニ拠リ本月一日ヨリ株式会社百十三銀行ト改称シテ各従前ノ営業継続ノ事、又横浜第七十四国立銀行副支配人大島成渡氏本月六日病死ノ事ヲ報道シ
次ニ本年上半季当集会所経費決算ヲ報告シ異議ナク承認ヲ得タリ
此時会長渋沢栄一氏出席ニ付豊川氏ニ代リ会長席ニ着キ、本年一月定式集会ノ協議ニ係ル当集会所組織改正ノ件ハ委員会ニ於テ審査ノ結果依然従来ノ組織ニ拠リ銀行集会所ヲ存続スヘキコトヽ為シ、而シテ集
 - 第6巻 p.420 -ページ画像 
会所内別ニ銀行倶楽部ヲ設クヘキ議アレトモソハ此集会所トハ別物トシ、集会所規程ハ少シク之ヲ修正スヘシト云フニ一決セリ、則チ其要旨ハ同盟ノ文字ヲ組合ト改メ、入社金ヲ入会金ト修正シ且ツ其第三十一条ニ於テ経費醵出ノ方法ヲ改メタルコト左ノ如シ
　一資本金五十万円未満　　　　　　　　金六十円
　一同　　五十万円以上百万円未満　　　金百円
　一同　　百万円以上弐百万円未満　　　金百五十円
　一同　　二百万円以上　　　　　　　　金弐百円
右資本金ハ払込高ニ拠ル、但支店ハ本店ノ半額トス
斯ノ如ク経費ノ増加ヲ要スルニ至リタルハ、畢竟春来銀行通信録拡張ノ為メ其費用ニ増加ヲ来シタルニ由リシモノナリ、左レハ最初此規程修正ノ要点ハ主義上ニアリシカ、前述ノ次第ニヨリ却テ経費醵出ノ方法ニ修正ヲ加フルニ至リタル旨ヲ告ケシニ、山中隣之助氏曰ク、本問題トハ別案ナレトモ当集会所ノ事務モ従前ハ国立銀行問題ニ付種々ノ要件アリタリシカ、該問題モ今日ハ既ニ整理シテ格別ノ事ナク、只重ナルモノハ銀行通信録発行ニ関スル事務ナルヘク、又入社金ノ如キモ最初加入シタルモノト、近時加入シタルモノトハ其金額並ニ年月ニ於テ大ニ差等アリテ権衝ヲ失スルヲ以テ、此際寧ロ集会所資産即地所家屋等ヲ精算シ、条件ヲ付シテ実業家組織ニ係ル毎月会、経新倶楽部等ノ如キ諸会ヲ誘導シテ商業倶楽部トナサハ如何トノ説アリシモ、同業者集会ノ場所ヲ置クハ目下愈必要ノ感アリ、況ンヤ別ニ銀行倶楽部ヲ設置スルノ議アレハ当集会所ヲ廃シテ商人倶楽部トナスハ不可ナルヘシトノ説多数ニヨリ遂ニ消滅シ、更ニ規程改正ノ件ニ移リ評議ノ末異議ナク原案ニ可決セリ
次ニ本年下半季当集会所経費予算ヲ協議ニ付セシニ、改正規程第三十一条中更ニ修正ノ結果収入ニ於テ百七十五円ノ減額ヲ生シタルノ外異議ナク原案ニ決セリ