デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

2章 交通
1節 海運
7款 東京湾汽船株式会社
■綱文

第8巻 p.346-356(DK080021k) ページ画像

明治22年10月14日(1889年)

是日東京平野汽船組合・第二房州汽船会社・三浦汽船会社及内国通運会社ヲ合併シ、東京湾汽船株式会社創立サル。栄一株主ト為ル。


■資料

青淵先生六十年史 (再版) 第一巻・第九〇七頁 〔明治三三年六月〕(DK080021k-0001)
第8巻 p.346 ページ画像

青淵先生六十年史(再版)  第一巻・第九〇七頁〔明治三三年六月〕
東京湾汽船株式会社ハ、明治二十二年ノ交、東京湾内航通ノ各汽船会社カ共同合併シテ創立シタルモノニシテ、其目的ハ多数小会社分立競争ノ獘ヲ矯メントスルニアリ、其現在資本金ハ五十万円ナリ、青淵先生ハ友人ノ依頼ニヨリ嘗テ同会社株主タリ


願伺届録 明治二二年(DK080021k-0002)
第8巻 p.346-351 ページ画像

願伺届録 明治二二年           (東京府庁所蔵)
    有限責任 東京湾滊船会社創立認可願
今般私共、東京湾内及ヒ近海各地方ニ往復スル乗客及ヒ貨物運搬ノ便利ヲ謀リ、従来営業罷在候各船主共一同合併ノ上、将来互ニ競争ノ弊ヲ絶チ、航海上危嶮ナカランコトヲ期シ、玆ニ東京湾滊船会社ヲ創立致度奉存候間、何卒右御認可被成下度、此段別冊定款相添ヒ、発起人連署之上奉願上候也
            発起人
  明治廿二年十月五日  麻布区飯倉町五丁目五十六番地
                       前田清照 
             京橋区築地一丁目一番地
              士族西村茂樹長男 西村一彰 (印)
             京橋区木挽町九丁目十一番地
                       新潟県士族 梅浦精一 (印)
             京橋区築地二丁目十六番地
                       平野富二 
             日本橋区佐内町三番地
               内国通運会社社長 佐々木荘助 (印)
             京橋区越前堀二丁目三番地
                       福沢辰蔵 (印)
             京橋区新船松町五番地
                       桜井亀二 (印)
             京橋区築地三丁目十五番地寄留
                       福井県平民 広部正三 (印)
  東京府知事 男爵 高崎五六殿
(別冊)
    有限責任 東京湾滊船会社定款
東京湾滊船会社ヲ創立スルニ付発起人ニ於テ決定シタル定款ノ条件左
 - 第8巻 p.347 -ページ画像 
ノ如シ
   第壱章 総則
第一条 本社ハ東京湾及近海各地方ニ往復スル乗客及貨物ノ運送ヲ以テ営業ノ目的トス
第二条 本社ハ東京湾滊船会社ト称シ、東京京橋区新船松町将監河岸ニ本社ヲ置キ、各地方便宜ノ地ニ、支社或ハ出張所ヲ設置スルモノトス
  但シ、支社又ハ出張所ヲ設置スルトキハ、其管轄庁ノ指揮ヲ受クルモノトス
第三条 本社ノ営業期限ハ開業ノ日ヨリ満弐拾ケ年トス
  但シ、満期ニ至リ株主協議ノ上営業ヲ継続セントスルトキハ、更ニ府庁ノ認可ヲ受クルモノトス
第四条 本社ノ責任ハ有限トス、故ニ株主ノ負担スベキ義務ハ株金金額ニ止マルモノトス
   第弐章 資本金ノ事
第五条 本社ノ資本金ハ五拾万円トシ、之レヲ壱万株ニ分チ、壱株金五拾円トス、而シテ四分ノ一ハ発起人ニ於テ負担シ、其余ハ広ク同意者ヨリ募集スルモノトス
  但シ、営業ノ模様ニ依リ資本金ヲ増減伸縮スル場合ニ於テハ、株主総会ヲ開キ之レヲ決定シ、更ニ府庁ノ認可ヲ受クルモノトス
○中略
   第参章 株式ノ事
表面

図表を画像で表示--

  第号   有限責任東京湾滊船会社株式券状  府県下 国区町郡村 番地何之誰殿儀当東京湾滊船会社ノ定款ヲ確守シ明治 年 月 日ヨリ当東京湾滊船会社資本金ノ内五拾円乃チ一株ノ株主タルコト相違ナキ証拠トシテ此株式券状ニ当会社ノ印章ヲ押捺シ之ヲ附与スル者也  此株式券状ヲ売買譲与セント欲スル者ハ当東京湾滊船会社ヘ持参スヘシ而シテ当会社ハ相当ノ検査ヲ為シ此券状裏面ノ欄内ヘ社長支配人記名調印ノ上返戻スヘシ             東京湾滊船会社   明治年月日        社長 何之誰                支配人 何之誰 



裏面

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 年号月日   売譲渡人記名調印   買譲受人記名調印   社長記名調印   支配人記名調印                                                                                                                                           



 - 第8巻 p.348 -ページ画像 
第九条 本社ノ株主ヘハ、其引受ケタル株式壱個ニ付株券壱通宛ヲ附与スベシ、而シテ株金払込中ハ仮株券ヲ渡シ置キ、最終払込ミ済ミノ上更ニ本株券ト交換ス可シ
  但シ、本社株券ノ雛形左○前頁所掲ノ如シ
第十条 本社ノ株券ヲ売買譲与スルトキハ、左ニ掲クル所ノ文例ニ依リ証書ヲ作リ、本社ニ出シ、其書換ヲ求ムヘシ、本社ニ於テハ株券台帳ト引合セ、相違ナキヲ認メタル上ハ、定期ノ手数料ヲ受取リ、其書換ヲ為ス可シ
      株式売買譲与証
一東京湾滊船会社株券ノ内 株
   但シ第 号
 右之株式何某所有ノ処今回何某ヘ売譲渡候処実正也然ル上ハ向後買譲受人ハ前株主同様ノ責任ヲ負担シ貴社ノ成規ヲ遵守可致候也
                住所族籍
  年月日              売譲渡人姓名印
                   買譲受人姓名印
 東京湾滊船会社御中
第十一条 株券ヲ磨滅汚損シタルトキハ、其趣書面ヲ以テ本社ニ届出テ、新券ノ交換ヲ乞フベシ、若シ焼亡紛失シ新ニ交附ヲ請求スルトキハ、其事実ヲ明瞭ニ認メテ、二人以上ノ証人ヲ立テ、之ヲ本社ニ申出ツヘシ、本社ニ於テハ直チニ其売買ヲ停止シ、三日間新聞紙ニ広告シ、十五日ヲ経ルモ尚ホ発見セザレバ、新株券ノ交附ヲ為ス可シ
  但シ、本条ノ場合ニ於テハ、本社規定ノ手数料並ニ広告料ヲ、其株主ヨリ本社ニ仕払フ可シ
第十二条 株主姓名ヲ変スルカ若クハ族籍・住所ヲ転スルトキハ、其趣書面ヲ以テ本社ニ申出ベシ
  但、姓名ヲ改ムルトキハ、第十条ノ例ニ依リ、株券ノ書換ヲ為スヘシ
第十三条 定式総会ノ三十日前ヨリハ株券ノ書換ヲ中止スルモノトス
  但シ、其節新聞紙ヲ以テ其趣ヲ広告ス可シ
第十四条 株券ヲ売買若クハ譲与スルニ付、直接間接ニ関セズ、重役ニ於テ本社公益ヲ妨害スルコトアリト認ムルトキハ、本社ハ其登録ヲ拒ムコトアル可シ
   第四章 役員ノ事
第十五条 本社ノ役員ハ左ノ如シ
 一 社長  壱名
 一 副社長 壱名
 一 取締役 五名
  以上之ヲ重役トス
 一 支配人 定員ナシ
 一 手代  定員ナシ
第十六条 重役ハ、株主総会ニ於テ、五拾株以上ヲ所有スル株主中ヨリ投票ヲ以テ取締七名ヲ撰挙シ、而シテ取締ハ互撰ヲ以テ社長壱名
 - 第8巻 p.349 -ページ画像 
副社長壱名ヲ定ム可シ
  但、最初ノ一任期ハ発起人中ヨリ撰挙スルモノトス
第十七条 重役ハ三年ヲ以テ任期トス、満期毎ニ改撰ス可シ
  但シ、衆望ニ依テ幾度ニテモ重年勤続スルコトヲ得
第十八条 重役ノ協議ニヨリ別ニ相談役ヲ置キ、相当ノ手当金ヲ定メ其労ニ向テ報酬ス可シ
第十九条 社長・副社長・取締役ノ会議ヲ以テ重役会トス
第二十条 重役会ノ議長ハ社長之ニ任ス、社長事故差支アルトキハ副社長又ハ取締役之ニ代ル可シ
第廿一条 重役会議ハ毎月一度ト定メ、営業ノ順序及其他必要ノ事項ヲ議定スルモノトス
  但シ、其議定シタル要件ハ之ヲ重役会議事録ニ記載シ、各自検印ヲ捺シ、以テ後証ニ備ヘ置ク可シ
第廿二条 重役ハ在任中其所有株券五拾箇ヲ本社ニ預ケ置ク可シ
  但、本社ハ之ヲ挌護シ、其株券ノ保護預リ証書ヘ禁授受ノ朱印ヲ捺シ、之ヲ渡シ置ク可シ
第廿三条 正副社長ハ本社全般ノ事務ヲ総轄シ、営業上一切ノ事ヲ総理シ、支配人以上諸役員等ヲ任免黜陟スルノ権アルモノトス
第廿四条 取締ハ常ニ、本社全般ノ事務ヲ監察整理スルノ責ニ任ス可シ
第廿五条 支配人ハ正副社長ノ指揮ニ従ヒ、本社ノ庶務一切ヲ暢達整理スルノ責ニ任ス可シ
第廿六条 手代ハ正副社長及ヒ支配人ノ指揮ニ従ヒ、其分担ノ事務ヲ執ルモノトス
   第五章 総会ノ事
第廿七条 株主総会ハ定式及ヒ臨時ノ二様トス
第廿八条 定式総会ハ毎年両度、則チ一月・七月ニ之ヲ開キ、損益計算及報告ヲ為スヘシ
第廿九条 臨時総会ハ、重役ノ同意又ハ資本金額弐分ノ一以上ニシテ株主過半数以上ノ同意ヲ得テ請求スルトキハ、之ヲ開クコトヲ得可シ
第三十条 定式総会々場及其日時ハ少クモ十日以前ニ臨時総会ニ其議按ヲ附シ十五日以前ニ其報告ヲ為スヘシ
第卅一条 臨時総会ハ、出席株主過半数以上ニシテ其所有株数資本金全額弐分ノ一以上ニ満タザレバ、議事ヲ開クコトヲ得ズ、此場合ニ於テハ三十日以内ニ第弐回ノ招集ヲ株主ニ通知スヘシ
第卅二条 株主ヨリ請求シタル臨時総会ヲ、正副社長及取締ニ於テ理由ナクシテ遅延スルコト二週間以上ナル時ハ、其請求シタル株主ニテ自ラ他ノ株主ヲ招集シテ会議ヲ開クコトヲ得ベシ
第卅三条 会社ノ株主ハ、総会ニ於テ、其所有株数拾株以下ハ一箇ノ発言投票ヲ為スノ権アリ
  但シ、拾株以上ハ拾株毎ニ壱箇ヲ増加スベシ
第卅四条 総会ノ時出席シ難キ株主ハ(会社役員ヲ除キ)拾株以上ノ株主中ニ限リ、委任状ヲ附シ其代理ヲ為サシム可シ、此規定ヲ履マザル者ハ
 - 第8巻 p.350 -ページ画像 
決議ノ後異議ヲ唱フルモ決シテ其功ナカルベシ
第卅五条 総会ノ議長ハ社長之ニ任ス、社長事故差支アルトキハ副社長或ハ取締役之レガ代理ヲ為ス可シ
第卅六条 総会ニ於テ議決シタル事項ハ議決録ニ記シ、議長捺印ノ上後証ニ供シ置ク可シ
   第六章 計算報告及純益金配当ノ事
第卅七条 本社ノ総勘定ハ毎年六月・十二月両度ニ精算ヲ為シ、総収入金ノ内ヨリ営業上一切ノ経費ヲ引去リ、其残金高ヲ純益トシ、其季ノ総会ニ於テ積立金・配当金ノ事ヲ決スヘシ
第卅八条 支配人ハ毎季一切事務及営業ノ事情ヲ編述シタル考課状ヲ作リ、重役会ニ提出シ、其議決ヲ経テ、株主総会ニ於テ報告ノ後、季表ト共ニ印刷シテ各株主ニ配付スベシ
第卅九条 本社ノ純益金配当ノ割合ハ左ノ如シ
  純益金ノ内
   百分ノ十五 積立金 但内百分ノ五ハ船舶大修繕準備費ニ充ツ
   百分ノ五  興業費及創業費消却
   百分ノ五  役員並ニ諸傭員賞与
   百分七十五 株主ヘ配当金
   第七章 本社ノ印章及商標
第四十条 本社ノ印章及ヒ商標ハ左○下段所掲ノ如シ
   第八章 加除訂正ノ事
第四十一条 此定款中実際不便ノコトアリテ更正ヲ要スルトキハ、株
  有限責任東京湾滊船会社   
  有限責任東京湾滊船会社之印章
 主協議ヲ以テ加除訂正スルコトアルベシ
  但シ、本条ノ場合ニ於テハ府庁ノ認可ヲ得ルモノトス
第四十二条 本社ノ事務規程其他ノ雑則ハ、重役会ニ於テ之ヲ議定ス可シ
  但シ、議定ノ要旨ハ本定款ニ抵触スヘカラズ
右之条々発起人ニ於テ決定シタル証トシテ、発起人一同記名調印スル者也
            発起人
             麻布区飯倉町五丁目五十六番地
                    前田清照 (印)
             京橋区築地一丁目一番地
                    西村一彰 (印)
 - 第8巻 p.351 -ページ画像 
             京橋区木挽町九丁目十一番地
                    梅浦精一(印)
             京橋区築地二丁目十六番地
                    平野富二(印)
             日本橋区佐内町三番地
             内国通運会社々長
                    佐々木荘助(印)
             京橋区越前堀二丁目三番地
                    福沢辰蔵(印)
             京橋区新船松町五番地
                    桜井亀二(印)
             京橋区築地三丁目十五番地
                    広部正三(印)

  ○明治二十二年十一月二十二日、定款第三章第十四条ハ、株式売買上ノ都合ニ依リ刪除ヲ要スルタメ、株主協議ヲ以テ東京府庁ニ願出、廿六日認可サレ第十五条以下逐条繰上グ。
  ○東京湾汽船会社ノ成立ニヨリ合併セラレタル会社ハ、東京平野汽船組合・第二房州汽船会社・三浦汽船会社及ヒ内国通運会社ニシテ、当時東京湾内ノ就航ニ於テ競争ノ弊ニ悩ミヰタルモノナリ。上掲創立願書ハ十月十四日東京府達第六三八七号ヲ以テ「追テ一般会社条例制定迄ハ人民ノ相対ニ任ス」旨ヲ以テ認可セラル。綱文ニハコノ日ヲトレリ。同年十一月七日福沢辰蔵・梅浦精一・前田清照・平野富二・佐々木荘助・桜井亀二・西村一彰ノ七氏取締役ニ当選就任シ、ソノ互選ヲ以テ前田清照ヲ社長トス。(東京湾汽船株式会社所蔵、東京湾汽船会社議事録ニ拠ル)


東京湾汽船株式会社株主臨時総会議事録(DK080021k-0003)
第8巻 p.351 ページ画像

東京湾滊船株式会社株主臨時総会議事録
              (東京湾汽船株式会社所蔵)
第一回株主臨時総会
    明治二十二年十一月十四日木挽町東京商工会議場ニ於テ開ク○中略
     集会出席集会欠席人名簿
    出席 福沢辰蔵 ○外六〇名連名略
    欠席 渋沢栄一 ○外三四名連名略
  ○東京湾汽船株式会社ニ於テ現蔵スル営業報告書・株主総会議事録ノ中栄一ニ関スル資料上掲ヲ得タルノミ。創立当初ノ株主名簿ヲ得ス。従テソノ所有株数不明。明治二十八年度株主名簿ニハ栄一ノ名見エス。株主タルヲ止メシ年月未詳。


東京日日新聞 第五四一七号〔明治二二年一一月一五日〕 東京汽船会社臨時会(DK080021k-0004)
第8巻 p.351-352 ページ画像

東京日日新聞  第五四一七号〔明治二二年一一月一五日〕
○東京汽船会社臨時会 東京湾汽船会社ハ従来各別に営業し居たる浦和・横須賀・千葉・木更津其他房州等の諸海岸へ往復し居たる諸種の汽船会社が合併して此の一社となし、一層営業を拡張するの目的にて前田清照・梅浦精一・西村一彰・平野富二・福沢辰蔵・桜井亀二・佐々木荘助の諸氏等が発起となり久しく計画中の処、遂に好結果を得て、去月中に協議一決し、資本金五十万円(一株五十円券一万株)を募り、此社を創設したる者なり、其第一回募集金廿五円ハ已に本月五日迄に悉皆払込済となりたれバ、之を以て当分の営業を試み、残る二
 - 第8巻 p.352 -ページ画像 
十五万円ハ必要を俟て払込むことに議決せり、右に付き昨日午後二時三十分より木挽町商工会議事室に於て第一回株主臨時総会を開きたるが、当日の議案ハ第一号、定款第三章第十四条刪除の事、即ち株券売買等にて公益を害することありと認むるとき其登録を拒むことあるべし、との条項ハ株式取引所に於て売買に附する節差支ゆる点あるに付き削除することになし、次に第二号議案ハ重役俸給、号外議案ハ補欠取締役二名選挙すること等の議題に付議事を始め、前田清照氏会長席に着き、梅浦精一氏逐一説明を為せり、本議事を開く前、山中隣之助氏ハ定款に修正を加ゆべき箇条なきに非ず、依て出来得る丈ハ定款を逐条審議したしとの意見を述べたれども、詰り目下差支ゆべき廉なきに依り、先づ当分此儘にて施行することとなし、猶他に協議会を開く時に於て完全ならしむることに評決せり、右に付総て原案の通りに決し、午後三時四十分散会せり、会社の役員ハ社長元田清照《(前田清照)》・取締役西村一彰・梅浦精一・平野富二・佐々木荘助・福沢辰蔵・桜井亀二、相談役遠武秀行・真中忠直・支配人広部正之《(広部正三)》の諸氏にして、取締役補欠員にハ安藤源之丞・佐久間精一の二氏を役員中より指名委嘱することとなりしが、何れも承諾して退きたり、当日出席員ハ都合三十余名にてありし



〔参考〕願伺届録 農商掛ノ七明治廿三年(DK080021k-0005)
第8巻 p.352 ページ画像

願伺届録 農商掛ノ七明治廿三年       (東京府庁所蔵)
    御届
                  社長  梅浦精一
                  取締役 佐久間精一
今般前田清照儀、事故有之、社長並ニ取締役辞職ニ付、前記ノ通リ撰定上任仕候間、旧社長連署ノ上此段御届申上候也
            東京市京橋区新船松町将監河岸
                  東京湾汽船会社
  明治二十三年四月二十五日     社長 梅浦精一 (印)
                  旧社長 前田清照 
 東京府知事 男爵 高崎五六殿

〔参考〕庶政要録 工部会社 丁 明治廿六年(DK080021k-0006)
第8巻 p.352-356 ページ画像

庶政要録 工部会社 丁 明治廿六年     (東京府庁所蔵)
発第一七六号
    願書御進達願
商法施行条例第拾条ニ依リ別冊定款認可之義農商務省ヘ願出度御座候間、御進達被成下度、此段奉願候也
            東京市京橋区新船松町将監河岸
                     (社印)
            東京湾滊船株式会社 
  明治廿六年十一月二日  専務取締役 最上五郎(印)
 東京府知事 三浦安殿

(別紙)
東京湾滊船株式会社定款
   第一章 総則
 - 第8巻 p.353 -ページ画像 
第一条 当会社ハ東京湾滊船株式会社ト称ス
第二条 当会社ハ資本金弐拾五万円ヲ株式ニ分チ株式会社トス
第三条 当会社ハ東京湾及ヒ内国各港ニ往復スル旅客及ヒ貨物ヲ運送スルヲ以テ営業ノ目的トス、本業ニ必要又ハ便利ノ事業ハ、当会社ノ附帯業トシテ之ヲ施行スルコトアルベシ
第四条 当会社ハ本店ヲ東京市京橋区新船松町将監河岸ニ置キ、各地方便宜ノ地ニ支店又ハ出張所ヲ置ク
第五条 当会社ノ営業期限ハ明治廿二年十一月十五日ヨリ向フ二十ケ年トス
第六条 当会社ノ印章及ヒ徽号ハ左ノ如シ
東京湾滊船株式会社 寸法 堅曲尺壱寸壱分二厘 横同壱寸壱分
朱→
第七条 当会社ノ印章ハ官庁ニ宛テタル文書又ハ報告書・株券・手形及ヒ当会社ニ於テ権利ヲ得義務ヲ負フヘキ一切ノ書類ニ之ヲ用ユ、是等ノ書類ニシテ該印ヲ用ヒサルモノハ当会社ハ其責ニ任セサルモノトス
第八条 当会社ハ、毎事業年度最終ノ翌日ヨリ該年度ノ通常総会ヲ終ル迄ノ間、三十日以内ニ於テ諸帳簿ノ展閲ヲ謝絶ス
第九条 此定款ニ規定ナキモノハ、総テ商法第六章商事会社法ノ規定ニ従フ
   第二章 株式
第十条 当会社ノ資本金弐拾五万円ヲ壱万株ニ分チ、壱株ヲ金弐拾五円トシ、壱株毎ニ株券状壱枚ヲ交付ス
第十一条 日本帝国ノ臣民ニシテ定款ヲ遵守スルニ於テハ、何人タリトモ当会社ノ株主タルコトヲ得
第十二条 当会社株主タルノ権利義務ハ、会社ニ保存スル株主名簿ニ登録ヲ経タルトキヨリ生スルモノトス
 数人共同シテ当会社ノ株式ヲ所有シ、株主名簿ニ登録セラルヽモノハ、一人ノ代表者ヲ定メ置クコトヲ要ス
第十三条 株式ヲ売買譲与セントスルモノハ、当会社ニ於テ定メタル書式ニ従ヒ、双方連署ノ書面及ヒ買受譲受人ノ印鑑ヲ株券ニ添ヘ、名義ノ書換ヲ請求スベシ、会社ハ株主名簿ト照合シ、相違ナキニ於テハ其書換ヲ為シ、取締役調印ノ上之ヲ交付スベシ
 所有主死亡シ其財産相続人ニ於テ名義ノ書換ヲ請求スル場合ニ於テハ、親族又ハ故旧弐名以上ノ連署ヲ要ス
 株券ノ名義書換手数料トシテ、券状一枚ニ付売買譲与ニ係ルモノハ金五銭、財産相続ニ係ルモノハ金参銭ヲ当会社ニ差出スベシ
第十四条 株券ヲ毀損シタルトキハ、其事由ヲ記シタル書面ニ毀損券状ヲ添ヘ、新券ノ交付ヲ請求スヘシ、会社ハ壱枚ニ付金拾五銭ノ手数料ヲ受取、旧券ト引換ニ新券ヲ交附スベシ
第十五条 株券ヲ亡失シタルトキハ、親族又ハ故旧二名以上連署ノ書
 - 第8巻 p.354 -ページ画像 
面ヲ以テ請求スベシ、会社ハ、所有主ノ費用ヲ以テ、三種以上ノ新聞紙ニ其旨ヲ三日間以上公告シ、尚三十日ヲ経テ異議ノ申出アラサルトキハ、壱枚ニ付金拾五銭ノ手数料ヲ受取、更ニ券状ヲ交附スベシ
第十六条 株主姓名ヲ更ヘ又ハ実印ヲ改メ若クハ族籍・住所ヲ転シタルトキハ、直ニ当会社ニ報告スベシ、但姓名ヲ更ヘ実印ヲ改メタル場合ニ於テハ、二名以上ノ株主又ハ親族ノ証明ヲ要ス
第十七条 当会社ハ、毎事業年度最終ノ翌日ヨリ該年度ノ通常総会ヲ終ル迄ノ間、三十日以内ニ於テ、株券ノ名義書換ヲ停止ス
   第三章 役員
第十八条 当会社ニ左ノ役員ヲ置ク
 取締役   三名
 監査役   二名
第十九条 取締役及ヒ監査役ハ総会ニ於テ投票ヲ以テ選挙ス、但取締役ハ百株、監査役ハ三十株以上ヲ所有スルモノタルヲ要ス
第二十条 当会社ハ、百株以上ヲ所有スル株主中ヨリ、評議委員五名以内ヲ総会ニ於テ選挙ス
第二十一条 役員ノ選挙ハ株主議決権ノ多数ヲ得タルモノヲ以テ当選者トス
第二十二条 取締役・監査役及ヒ評議委員ノ任期ハ各壱ケ年トス、但再選スルコトヲ得
第二十三条 取締役在任中ハ、各其所有株式百株ノ券状ヲ監査役立会封印シテ、当会社ニ預リ置クヘシ、会社ハ其預リ証書ニハ融通ヲ禁スル旨ヲ明記シテ之ヲ交附ス
第二十四条 取締役ハ当会社ノ業務ニ付会社ヲ代表シ、営業上一切ノ事ヲ処理スル専権ヲ有ス、但其職分上ノ責務ヲ尽スコト及ヒ定款並ニ総会ノ決議ヲ遵守スルコトニ付、会社ニ対シテ責任ヲ負フ
第二十五条 取締役ハ、左ノ各項ハ、評議委員ノ協賛ヲ経タル後ニアラサレハ、施行スルコトヲ得ス
  一第三条第二項ヲ施行スル事
  一新航路ヲ開キ及ヒ現航路ヲ廃スル事
  一不用ノ船舶土地建物売却ノ事
  一金五百円以上ヲ要スル船舶ノ修繕
  一営業上必要ニ際シ土地及ヒ建物ヲ買収シ又ハ借地借家若クハ新築スル事
第二十六条 何等ノ場合ト雖トモ、総会ノ決議ヲ経タル後ニアラサレハ、会社ノ名義ニ於テ負債ヲ起スコトヲ得ス
第二十七条 取締役ハ社務ヲ弁センガ為メ、協議ニ依リ、社員・海員等ノ雇傭・解傭及ヒ貨物、乗客取扱ノ契約ヲ為スコトヲ得、其契約方法及ヒ給料・賞罰等ノ事項モ亦協議ヲ以テ之ヲ定ムベシ
第二十八条 取締役ハ、同役中ヨリ主トシテ業務ヲ取扱フヘキ専務取締役ヲ置クヘシ、又各取締役ニ於テ事務ヲ分担スルコトヲ得、然レトモ総テ其責任ハ異ルコトナシ
第二十九条 専務取締役ヲ置キ若クハ事務ヲ分担スト雖トモ、権利ヲ
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取得シ義務ヲ認諾スル事項ニ付テハ、必ス取締役総員ノ共同ヲ要ス
第三十条 監査役ハ当会社日常ノ業務ヲ監視シ、且毎事業年度ニ於ケル計算書・財産目録・貸借対照表・事業報告書、利息又ハ配当金ノ分配案等ヲ撿査シ、別ニ意見アルトキハ之ヲ総会ニ提出ス
第三十一条 評議委員ハ、第二十五条ノ協賛権ヲ有スルノ外、当会社ノ利害ニ関シテハ何時ニテモ取締役ニ対シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第三十二条 取締役及ヒ監査役ノ俸給ハ総会之ヲ議定ス、評議委員ハ無給トス、但総会ノ決議ニ依リ報酬ヲ為スコトアルベシ
第三十三条 取締役又ハ監査役ニ欠員ヲ生シタルトキハ、臨時総会ヲ開キテ補欠選挙ヲ為シ、評議委員ノ欠員ハ次期ノ総会迄選挙ヲ猶予スルコトアルヘシ、但補欠員ノ任期ハ前任者ノ任期ニ同シ
   第四章 株主総会
第三十四条 総会ハ取締役又ハ監査役之ヲ招集ス
第三十五条 総会ハ通常・臨時ノ二種トシ、各開会ノ日ヨリ少クモ七日前ニ、場所並ニ議事ノ大意ヲ記載シ、各株主ニ通知状ヲ発シテ之ヲ招集ス、故ニ通知状記載ノ事項及ヒ之ニ附随スル事項ノ外他議ニ渉ルヲ得ス、但急施ヲ要スル場合ニ於テハ本条ノ日数ヲ減縮スルコトアルベシ
第三十六条 通常総会ハ毎年一月・七月ノ両度ニ之ヲ開キ、専ラ半期ノ計算書・財産目録・貸借対照表・事業報告書、配当金ノ割合、及ヒ之ニ付テノ監査役ノ報告書ヲ提出シテ其決議ヲ為シ、及ヒ総テノ事項ニ付決議ヲ為スモノトス
第三十七条 臨時総会ハ臨時ノ事項ヲ議スル為メ何時ニテモ之ヲ招集スルコトヲ得、又総株金ノ五分ノ一ニ当ル株主ヨリ会議ノ目的ヲ示シテ総会ヲ要求スルトキハ、十五日以内ニ之ヲ招集セサルコトヲ得ス
第三十八条 総会ノ決議ニ要スル出席株主ノ人員及ヒ株数ハ左ノ如シ但委任状ヲ付シタルモノモ加算ス
  一定款改正及ヒ任意ノ解散ニ付テハ、株主総員ノ二分ノ一以上及ヒ株金総額ノ二分ノ一以上
  一其余ノ議事ニ付テハ、株主総員ノ三分ノ一及ヒ株金総額ノ三分ノ一以上
  一計算事項而已ニ付テハ株金総額ノ四分ノ一
第三十九条 前条ニ掲ケタル決議ニ要スル人員及ヒ株数ニ満タサルトキハ仮ニ決議ヲナシ、十四日内ニ再ヒ総会ヲ招集スベシ、其通知ニハ第一総会ノ仮決議ヲ明記シ、且第二総会ニ於テ出席株主議決権ノ多数ヲ以テ第一総会ノ仮決議ヲ認可シタルトキハ之ヲ有効ト為スベキ旨ヲ明告スヘシ
第四十条 当会社株主ノ議決権ハ、其所有株式拾株迄ハ壱株毎ニ壱個拾壱株以上ハ五株毎ニ壱個ト定ム
第四十一条 当会社ノ株主ハ、拾株以上ノ株主(役員ヲ除ク)エ委任状ヲ付シテ、議決権ヲ代理セシムルコトヲ得
第四十二条 総会ノ会長ハ取締役ノ一員之ニ当ル、然レトモ其議事取締役ノ職務取扱上ニ関シタルトキハ、出席株主中ヨリ選任ス
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第四十三条 総会ノ決議ハ議決権ノ過半数ニ依ル、可否同数ナルトキハ会長ハ自己議決権ノ外裁決権ヲ有ス
第四十四条 総会ノ議事及ヒ採決ノ順序方法ハ会長ノ意見ニ依ル、若シ異議アルトキハ議決権ノ多数ニ依テ決ス
第四十五条 総会ノ決議ハ決議録ニ記載シ、会長・監査役及ヒ出席株主二名以上之ニ連署スベシ
   第五章 計算及ヒ配当
第四十六条 当会社ハ毎年六月・十二月ノ両度ニ会計ヲ閉鎖シ、計算書・財産目録・貸借対照表・事業報告書、配当金ノ分配案ヲ作リ、監査役ノ撿査ヲ経、総会ノ認定ヲ得テ、積立金及ヒ配当ヲ為シ、且財産目録・貸借対照表ヲ公告スヘシ
第四十七条 当会社ハ総収入金ヨリ諸税金公費及ヒ営業上一切ノ諸経費諸損失ヲ支払ヒ、若シ資本ニ欠損ヲ生シタル場合又ハ其事業年度ニ償却ヲ要スヘキ負債アル場合ニ於テハ、之ヲ塡補償却シタル残金ヲ純金《(益カ)》トシ、左ノ各項ニ依リ其割合ヲ定ム
  一準備積立金      百分ノ五以上
  一船舶元価償却金    百分ノ五以上
  一船舶大修繕積立金   百分ノ五以上
  一別段積立金      便宜之ヲ設ク
  一役員及ヒ諸傭員賞与金 百分ノ五ヨリ十迄
  一株主配当金      若干金
  一後半期繰越金     若干金便宜之ヲ設ク


〔参考〕願伺届録 農商掛ノ七 明治廿三年(DK080021k-0007)
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願伺届録 農商掛ノ七 明治廿三年     (東京府庁所蔵)
当組合所有滊船ヲ以テ東京横須賀間乗客荷物回漕営業罷在候処、昨廿二年十一月中東京湾滊船会社ヘ合併致候ニ付、其筋ヘ御届済ノ上、同月十九日限リ廃業仕候、就テハ爾来残務取調中ニ有之候処、今般残務結了仕候ニ付、株主一同協議ノ上、当組合本月三十一日限リ解散仕候間、此段御届申上候也

       京橋区新船松町将監河岸東京平野滊船組合
                     (社長印)
  明治廿三年一月卅一日    社長 平野富二(印)
                     (幹事印)
                幹事 梅浦精一(印)
                     (支配人印)
                支配人広部正三(印)
東京平野汽船組合印
 東京府知事 男爵高崎五六殿
前書之通届出ニ付奥印候也
          東京市京橋区長林厚徳代理
            東京市京橋区書記 橋口正弘