デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
1節 綿業
1款 大阪紡績株式会社
■綱文

第10巻 p.54-72(DK100006k) ページ画像

明治16年3月12日(1883年)

栄一相談役ト為ル。是年七月五日三軒家工場操業ヲ開始ス。


■資料

(大阪紡績株式会社)創業二十五年沿革略史 〔明治四一年一〇月〕(DK100006k-0001)
第10巻 p.54 ページ画像

(大阪紡績株式会社)創業二十五年沿革略史 〔明治四一年一〇月〕
    第一 会社之起原沿革
○上略
創立総会ニ於テ撰任セラレタル重役ハ左ノ如シ
            取締役頭取   藤田伝三郎
            取締役     松本重太郎
            同       熊谷辰太郎
            相談役     渋沢栄一
            同       藤本文策
            同       矢島作郎
爾後役員ニ異動アリシモ、渋沢男ハ創業以来今日ニ至ル三十年ノ久シキ引続キ相談役ニ任ジ、松本重太郎氏ハ三十七年六月ニ至ル二十六年間或ハ社長トナリ或ハ相談役トナリ、本社業務ノ統率又ハ顧問ニ任ゼラレタリ
○下略


大阪紡績会社第一回半季考課状 自創業 至明治一六年一二月(DK100006k-0002)
第10巻 p.54-58 ページ画像

大阪紡績会社第一回半季考課状 自創業 至明治一六年一二月
    工場及器械之事
一工場建築器械買入及据付等ノ方案ハ嘗テ株主各位ニ報導シタル所アリ、今又玆ニ其要領ヲ提起シテ報告セントス、則工場ナル者木造ナルトキハ温度常ニ均一ナラズ、且乾湿シ易クシテ製工ニ善シカラズ加フルニ火災ノ虞アルヲ以テ詳ニ議ヲ尽シテ煉瓦石造トナシ、其建坪ハ一千百九坪四合五勺、但紡績器械室・蒸汽器械室及鑵場等此内ニ在リ、外ニ綿庫及綛庫二宇、土蔵造等ニテ其建坪七十八坪ナリ、又木造ノ諸建物ハ其建坪百十二坪七合五勺、但事務所・喫飯所・納屋・石炭庫此内ニ在リ、之レヲ合計シテ工場一切ノ坪数千三百三坪三合八勺トナス
一此工事ヲ受負ヒタルハ大阪藤田組本店ニシテ、十五年六月起工十六
 - 第10巻 p.55 -ページ画像 
年七月竣工セリ
一紡績器械及蒸汽器械・汽鑵等ハ明治十五年一月英国第一等紡績器械製作所オルドハム(地名)プラツト社及第一等機関製造所ボルトン(地名)ハアーグリープス社ニ注文シ、同年十二月ヨリ十六年四月マデニ悉皆到着セリ
一紡績機械ハ其結工尤モ精巧ナルモノナレバ、基据付組立等ヲ為スハ能ク慣熟スル者ヲ選ンデ之ニ任セザルベカラザルガ故ニ、乃チプラツト社ニ依頼シテ組立師ナルモノヲ聘シ目下尚組立ニ従事セリ、其已ニ組立完備スルモノハ全器械三分ノ二余ニ在リ、基余組立完備シ全機ヲ運転シ得ルハ本年○明治一七年二三月ノ交ニ至ラントス
    株主集会議決之事
一明治十三年十月ヨリ十六年三月十二日ニ至ルマデ東京大阪ニ於テ株主ノ総会ヲ開キ、議決シタル事目ハ左ノ如シ
○中略
 藤田伝三郎ヲ頭取ニ松本重太郎・熊谷辰太郎ヲ取締役ニ渋沢栄一・矢島作郎・藤本文策ヲ相談役ニ選挙ス
○中略
    願伺届之事
○中略
一同年○明治一六年三月十九日器械組立師英人ニールドヲ三月ヨリ十月迄八ケ月間雇使スルヲ以テ、其僑寓票ヲ下附セラレンコトヲ大阪府庁ヘ稟申シ、其四月十七日該票ヲ交附セラレタリ
一同年七月廿七日工場建築落成セシニ因リ、該月ヨリ器械ノ一部ヲ試運転スヘキ旨ヲ大阪府庁ヘ上申セリ
一同年十月十八日営業鑑札下附アランコトヲ郡役所ヘ請申シ、其廿七日第二号第一等工業鑑札ヲ交附セラル、因テ地方税則ニ拠リ該税ヲ上納セリ
一同年十一月十八日大阪府庁ヘ器械組立師ニールド雇期進長スベキヲ以テ、二タビ僑寓票下付アランコトヲ請申シ、其廿八日該票ヲ下付セラレタリ
一同年十月廿六日定款承認願書同十二日追加願書ヲ大阪府庁ヘ上申シ其廿日允准セラレタリ
一同年十一月廿七日役員選定牒及其印鑑ヲ大阪府庁ヘ上申セリ
      ○
    製造実況之事
一製造始業明治十六年七月五日ヨリ同年十二月廿八日ニ至ルマデ、操業日数八月廿六日ヨリ昼夜兼業百三拾八日間ノ製糸ハ弐万三千弐拾九貫五百三拾六目ニシテ、其原綿消費ノ高ハ弐万六千弐百三拾貫目、一日平均製糸高ハ百六拾六貫八百目トナス、而シテ減量ノ割合ハ製糸高ノ八分九厘余ニ当ル、其綛糸ハ各種アリト雖、太キモノ十番細キモノ二十二番番号ハ洋糸ト同法ニテ廿二番ハ即チ二十二手ナリヲ適度トナシ、就中多ク製造スルモノハ十四番トナス、蓋従来使用スル和綛ノ度モ此番ニ当ル者ヲ多シトスルガ故ナリ
一前条陳ル如ク器械ノ組立未ダ全備ニ至ラザルヲ以テ、全体紡錘ノ数
 - 第10巻 p.56 -ページ画像 
壱万五百本ノ内、本季内運転ニ係ル者ハ七百本ヨリ七千本ノ間ニ在リテ、之レヲ平均スレバ一日概算三千五百本トナス、今此紡錘数ヲ以テ製糸高ヲ除スルトキハ、壱紡錘ニ付一日製糸四十八目トナス、此数敢テ少乏トナスニアラザレドモ、尚未ダ当任者予期スル所ノ数ニ至ラス、職工漸ク熟シ操業稍々慣ルヽニ至レハ、其予期スル所ニ達シ更ニ増加スルヲ得ヘキナリ
一石炭消費ノ高ハ尤損益ニ関係スル所ナリ、本季間消費スル所四拾七万六千九百八十一斤、之ヲ操業日数ニ割付ルトキハ、一昼夜平均三千四百五十六斤余トナス、本工場ノ如キ平均四五十実馬力ヲ使用シ、許多ノ器械ヲ運転スル者ニシテ、格外消費高ヲ省クト謂フベシ是実ニ汽機汽鑵ノ良好ナルガ為メニシテ、本社ノ一大幸福トスル所ナリ
一製造入費ハ製糸価格ニ於テ至大ノ関係ヲ有スルモノニシテ、其多寡ヲ以テ工業ノ盛衰ヲ卜スルニ足ルベシ、玆ニ四ケ月間ノ諸費ヲ合計スレハ実ニ壱万三千九百円ヲ《(脱字アルカ)》以テ除スルトキハ製糸百目ニ付六銭ニ当リ、敢テ過当ニアラスト雖トモ、他日職工慣熟シ、全機運転スルノ位地ニ達スレバ、或ハ此半額以下ニ減スルヲ得ベシ、是当任者ノ予期スル所ナリ
一器械ノ排置運転等端正霊妙ニシテ間然スル所ナシ、故ニ製糸良好ニシテ夙ニ声価ヲ博シ、当業日尚浅シト雖已ニ江湖ノ望ヲ属シ、本社ノ幸慶之ニ過グヘカラス
一工場使役スル所ノ男女職工ノ数ハ別表之ヲ詳ニス、其数弐百八十八人ヲ超ヘ亦少数ト謂フヘカラズ、而シテ之ヲ昼夜二部ニ分チ百四十四人トナス之ヲ器機ノ数ニ比スレハ又甚タ過剰ノ数ニアラザルナリ
一特ニ一事報道スル者アリ、汽鑵ノ小損スル是ナリ、此損スルヲ発見シタルハ実ニ十一月廿七日正午例時監査ノ時ナリニシテ、其損処ハ火壷即ナ《(チ)》「フルユー」ノ一小部ニ在テ膨脹セリ、其原因ハ方今験査究明ニ在ヲ以テ未ダ確報ヲ得スト雖トモ、当下三昼夜ニシテ脩理既ニ成リ、爾後復タ異状ナクシテ使用ニ供セリ、是工業上時トシテ免ルヘカラサルノ損事ト雖トモ、関係少ナカラサルヲ以テ玆ニ報明スル所ナリ
    製糸売捌事情之事
一本季間製糸売捌高ハ太細合計壱万七千六百四十七貫六百八十目ニシテ、此代価三万六千三百六拾円余トナス、即チ製糸百目ニ付平均弐拾銭六厘ニ当ル
一製糸売捌方法ハ本社ヨリ需用者ニ向テ直接ニ売捌クモノアリ、売捌店ヲ経テ売捌クモノアリ、其価格ハ均シク原綿価直製造費ヲ計リ、而シテ供需ノ度ヲ商量シテ価格表ヲ製シ、此価格ヲ照ラシテ売捌クモノトナス
一売捌店トスル者ハ双方商議ヲ以テ約定書ヲ脩メ、且其預リ荷ノ根底当トヲ《(シテ)》通貨或ハ公債証等ノ如キ確実ナル者ヲ質納セシム、現今売捌店ハ東京堀留町二丁目薩摩治兵衛・同通油町辻新兵衛・尾州中島郡国島武右衛門ノ三名トナス、此他各地方ヨリ売捌店タランコトヲ要求スルモノアリ、未タ其応否ヲ決セス
一製糸売捌価格ハ本年米銀非常ノ下落ト綿作ノ豊饒トニ由テ甚ダシキ
 - 第10巻 p.57 -ページ画像 
変動アリ、則晩秋発売ヲ始メタルノ日ニ当テハ、其価格平均百目ニ付二十七八銭ニ下サリシモ、晩冬ニ至テハ平均十八九銭ニ低下セリ即チ一梱(四拾八貫目)ニシテ四拾三円ノ差トナス、実ニ甚シキ下落ト謂ヘシ
一売捌高ノ最多キモノハ東京トナシ、尾州之ニ次大阪之ニ次キ越後之ニ次ク、而シテ東京ノ売捌ハ附近各地ノ織場及奥羽地方ヲ兼有シ将来最属望ノ販路ナリ、尾州ノ如キ多ク細糸ヲ用ヒテ経トナスト云、本社ノ製糸能ク其嗜好ニ適スルヲ得バ、将来販路ノ一方面ニ当ルハ疑ハサル所ナリ、大阪地方販路ハ河泉ノ織場及紀州フラネル織ノ需用少カラスト雖トモ、従前手引糸ノ粗ニシテ廉ナルモノヲ用ヒ未ダ新式ノ糸ニ馴ルヽニ至ラズ、加ルニ近傍紡績所ノ数多ク是等ノ為メ販路尚狭隘ナルガ如シ、越後ハ従前手綿糸ノ需用最多キカ為メニ目下計画シテ販路ヲ拡伸セリ、又四国九州ノ如キハ未タ着手スル暇アラス、後季報道スル所アラントス
一前数項ヲ以テ陳ル如ク本社創業以来日尚浅ク加ルニ一般商情ノ萎縮スルニ遭ヒ此新創ノ工業ヲ以テ相当ノ利益ヲ獲ント欲スルハ難中ノ難ト謂フヘキナリ、幸ニシテ収支相償ヒ本季ノ結果ヲ為スハ之ヲ幸福ト謂ハサルヘカラス、然而シテ去月以来商情少シク回復シ我ガ製糸ノ販路モ稍々広進スルヲ得タリ、他日器械組立竣工シ全機運動スルニ至レハ其収益モ亦本季ニ倍蓰スルコト当任者窃ニ期スル所ナリ
    役員選挙及採用之事
一本社ノ頭取・取締役ハ本年三月廿四日ヲ以テ選挙シ、相談役ハ三月十二日ヲ以テ選挙シ、支配人以下ノ役員ハ右選挙役員ノ商議ヲ以テ採用セリ、現在役員ノ数ハ左ノ如シ

図表を画像で表示--

 等給    一等    二等   三等   四等   五等   工給未定雇   等外雇     同上   合計 月給    三十円   二十円  五十円       十二円  十一円     日給廿二銭   同廿銭 頭取    一人                                              一 取締役         二人                                        二 相談役   無給三人                                            三 工務支配人            一人                                   一 商務支配人            一人                                   一 工務掛                        五人                         五 記録掛                        一人   一人                    二 計算掛                        一人                         一 物品掛                             一人                    一 小使                                      一人      三人    四 合計                                                   二一 



    職工之事
一現今男女職工ノ等級人員ハ左ノ如シ

図表を画像で表示--

 等給  五等   六等   七等   八等   九等   十等   十一等   十二等   見習一等  同上二等  同上三等   合計 工銀  廿四銭  廿二銭  廿銭   十八銭  十六銭  十四銭  十二銭   十銭    九銭    八銭    七銭 工男  二人   十三人  廿四人  八人   十五人  廿八人  廿三人   六人    三人    二人    四人     百廿八人 等給  七等   八等   九等   十等   十一等  十二等  見習一等  同上二等  同上三等  同上四等 工銀  十七銭  十五銭  十三銭  十一銭  九銭   七銭   六銭    五銭    四銭 女工  二人   三人   九人   十七人  十八人  八六人  十一人   六人    八人                 百六十人  以下p.58 ページ画像  等外雇 月給三十円  日給三十銭  同上二八銭 機関方 一人     一人 焚夫                三人 




大阪紡績会社第一回半季考課状 自創業 至明治一六年一二月(DK100006k-0003)
第10巻 p.58 ページ画像

大阪紡績会社第一回半季考課状 自創業 至明治一六年一二月
    株式名簿
  姓名         住所           株数      金額
 渋沢栄一    東京府深川区福住町四番地     三三六   三三、六〇〇
 前田利嗣    同府本郷区元富士町十二番地    一八〇   一八、〇〇〇
 蜂須賀茂昭   同府日本橋区浜町壱丁目壱番地   一六二   一六、二〇〇
 毛利元徳    同府品川高輪南町二十六番地    一五〇   一五、〇〇〇
 徳川義礼    同府本所区横網町一丁目十九番地   八九    八、九〇〇
 亀井玆監    同府京橋区木挽町二丁目十五番地   八八    八、八〇〇
 益田孝     同府北品川宿百六十八番地      八五    八、五〇〇
 松本重太郎   大阪府平野町四丁目二拾番地     六九    六、九〇〇
 大倉喜八郎   東京府築地一丁目二十一番地     六六    六、六〇〇
 伊達宗徳    同府本所区小泉町三十五番地     六四    六、四〇〇
 伊達宗城    同府浅草区山谷今戸町廿二三番地   六三    六、三〇〇
 西園寺公成   同府京橋区木挽町十一番地      六三    六、三〇〇
 藤田伝三郎   大阪府東区高麗橋壱丁目一番地    五九    五、九〇〇
 矢島作郎    東京府麻布区三浦台廿八番地     五八    五、八〇〇
 松平頼聡    同府本郷区元町一丁目一番地     五四    五、四〇〇
 松平茂昭    同府小石川区水道町二十七番地    五一    五、一〇〇
 小室信夫    大阪府北区網島町三拾五番地     五〇    五、〇〇〇
 林甚左衛門   同府西区北堀江三番町十四番地    五〇    五、〇〇〇
 蒲田清蔵    同府東区瓦町二丁目六番地      五〇    五、〇〇〇
 阿部元太郎   同府東区南本町二丁目六番地     五〇    五、〇〇〇
 ○中略
 総計九拾五人                  二八〇〇  二八〇、〇〇〇


大阪紡績会社収支決算報告(DK100006k-0004)
第10巻 p.58-62 ページ画像

大阪紡績会社収支決算報告

一翰啓上致候、盛暑之候益御壮栄奉賀候、然者本社工場建築之義モ已ニ竣功致シ、目下器械組立中ニ候間、不遠開業之運ニ可相成ト存候尤モ試業運転ノ義ハ本月ヨリ着手候処、器械ノ工合モ宜敷、上等ノ綛糸製出相成候間、此段御安心可被下候、右ニ付本社起業費ニ係ル支出ノ金員ハ、此際一旦決算相立、別表ヲ以テ御報告申上候間、右ニテ御詳悉可被下候、且此余ニ創業費トシテ可仕払分モ有之候ニ付預算ト実費ト比較表ヲ製シ、右等仕払未済ノ分ハ該表ニ記載シ、御参考ノ為メ差出シ申候間、御一覧可被下、其内第一回ノ予算ハ明治十四年十月中調査致シ、御一覧ニ供シ候モノニテ、第二回ノ予算ハ其後洋銀相場及建築用材ノ価格等ニ昂低有之候ニ付、同十五年五月工事着手前ニ本社世話掛ニ於テ一層精密ニ調査致シ候モノニ御座候然ルニ実費ノ金額ハ第二回ノ予算ヨリモ稍超過致候ニ付、其理由概略説明ヲ付シ供御参観候
 - 第10巻 p.59 -ページ画像 
過般御議決相成候本社定款及定款ノ要旨ニ遵ヒ草定致シ候営業規則印刷出来候ニ付、各壱部ツヽ送呈仕候、御落手可被下候
 右之段可得貴如此御座候也《(マヽ)》
  明治十六年八月            大阪紡績会社
                      頭取  藤田伝三郎
                      取締  松本重太郎
                      同   熊谷辰太郎

    明治十六年六月三十日大阪紡績会社収支決算表
   収入ノ部
 一金弐拾五万円也        株金
    内訳
  一金壱万弐千五百円也      創業費出金
   小以金壱万弐千五百円      一株ニ付金五円ノ割
  一金四万七千八百五拾円也    器械代第一回出金
                   一株ニ付銀貨拾壱円六拾銭此円銀相場壱円六拾五銭ノ割
  一金四万千百六拾七円五拾銭也  同  第二回出金
                   一株ニ付銀貨九円九拾八銭此円銀相場前同断
  一金三万五千八百五円也     同  第三回出金
                   一株ニ付銀貨拾弐円ノ割此円銀相場前同断
   小以金拾弐万四千八百弐拾弐円五拾銭也
  一金三万円也          工場建築費第一回出金
                   一株ニ付拾弐円ノ割
  一金三万円也          工場建築費第二回出金
                   一株ニ付拾弐円ノ割
  一金弐万七千六百七拾七円五拾銭也 器械代残余及建築費ニ対シ出金
                   一株ニ付拾壱円七銭ノ割
  一金弐万五千円也         工場建築費及営業資本金
                    一株ニ付拾円ノ割
   小以金拾壱万弐千六百七拾七円五拾銭也
  一金弐千七拾九円八拾七銭壱厘   雑入金
   但銀行預ケ金利朱及株金払込延滞日歩
  総計
   金弐拾五万弐千〇七拾九円八拾七銭壱厘也
   支出ノ部
 一金拾四万六千五百弐拾弐円五拾七銭六厘也 器械代
    内訳
  一金拾四万五千三百九拾三円四拾銭弐厘也 紡績器械蒸汽器械汽鑵等買入代価及英国ヨリ日本迄ノ運賃トモ合計
  一金壱千百弐拾九円拾七銭四厘也  工場用器械付属品購求費
 一金七万六千四百六拾三円弐拾八銭四厘也 工場建築費
 一金四百六拾弐円四拾三銭九厘    工場用什器
 一金壱万六千四百五拾弐円四銭七厘也 創業費
   内訳
 - 第10巻 p.60 -ページ画像 
  一金七千弐百五拾六円七拾弐銭也 器械内地運送陸上ケ費及海関税等
  一金四千三百〇四円五拾三銭三厘也 器械据付及組立諸費
  一金九百拾五円〇八銭八厘也   水利並工場位置探討及建築取調費用
  一金弐千百円三拾七銭六厘也   伝習費
  一金壱千八百七拾五円三拾三銭也 株金第一回払込百分五ニ対スル利子仕払高
 一金四千〇七拾九円七拾壱銭弐厘也 諸入費
    内訳
  一金弐千六百七拾三円五拾銭也   役員及小使給料
  一金弐百七拾円五拾五銭五厘也   地租村入費
  一金壱千百三拾五円六拾五銭七厘也 雑費
 一金壱千六百七拾七円〇三銭四厘也 伝習費操替金未決算
 通計
  金弐拾四万五千六百五拾七円〇九銭弐厘也
 差引残金六千四百弐拾弐円七拾七銭九厘 銀行預金及手元有高
 総計
  金弐拾五万弐千〇七拾九円八拾七銭壱厘也
右之通相違無之候也
  明治十六年八月
                 頭取   藤田伝三郎
                 取締   松本重太郎
                 同    熊谷辰太郎
    滊力紡績工場創設資本金予算ト実費ト之比較表
 本文各項ノ金額別冊決算書ト其異同アル処以ハ、決算書ノ各項費額ヲ加減シ予算書各項ニ適合記入シタルニ依ル
第一項
 器械一式及蒸滊機滊鑵英国ニテ買入神戸迄運送賃保険並関税手数料及組立据付諸費合計
 第一回予算
 一金拾四万六千七百〇〇円八拾三銭也
 第二回予算
 一金拾五万千弐百弐拾四円八拾四銭六厘也
 実費
 一金拾五万八千〇八十三円八拾弐銭九厘也
 差引実費ノ予算ニ超過スル高
 金六千八百五拾八円九拾八銭三厘也
  右ハ英国ヨリ本邦マテノ器械運送費ヲ重量ニヨリテ予算セシニ容積ニヨリテ取立ラレタルト、其外電信料為替割引料等予算外ノ支出アルニ由ル
第二項
 煉化工場及附属建築物一切ノ建築費並蒸滊機械滊鑵室及煙突等築造
 - 第10巻 p.61 -ページ画像 
費合計
 第一回予算
 一金七万千百拾五円也
 第二回予算
 一金七万円也
 実費
 一金七万六千四百六拾三円弐拾八銭四厘也
 差引実費ノ予算ニ超過スル高
 金六千四百六拾三円弐拾八銭四厘也
  右ハ工場建築費ノ内模様替仕様増等ニテ予算外ノ増費アルニ由ル
第三項
 工場用什器買入費合計
 実費
 一金四百六拾弐円四拾三銭九厘
  右ハ第一回第二回ノ予算ニ於テハ器械費中ヱ見込置キタレドモ、器械代ハ已ニ予算ニ超過セシノミナラス、器械代ニ加算スルハ不都合ニ付別ニ之ヲ掲記ス
第四項
 創業費合計
 第一回予算
 一金五千円也
 第二回予算
 一金八千七百七拾五円拾五銭四厘也
 実費
 一金壱万〇六百四拾七円五拾四銭也
 差引実費ノ予算ニ超過スル高
 金壱千八百七拾弐円三拾八銭六厘也
  右ハ株金第一回払込金百分ノ五ニ対スル利子其他予算外ノ雑支出アルニ由ル
第五項
 差引残額営業資本ニ向クヘキ分
 第一回予算
 一金弐万七千百八拾四円拾七銭也
 第二回予算
 一金弐万円也
 実際
 一金六千四百弐拾弐円七拾七銭九厘也
 差引実際額ノ予算ニ及ハサル高
 金壱万三千五百七拾七円弐拾弐銭壱厘也
   右ハ前数項ニ於テ支出ノ増加セシヲ以テ残額ヲ減スルニ至ル、加之此余ニ創業費トシテ可仕払モノ左ノ如シ
 (以下三行朱書)
 一金四千円也         器械組立費仕払未済費
 一金六百円也         開業入費
  小以金四千六百円也
 - 第10巻 p.62 -ページ画像 
 再差引残額
  金壱千八百弐拾弐円七拾七銭九厘也
右之通御座候也


紡績懐旧談 (岡村勝正翁口述) 第三―九頁 〔昭和七年四月〕(DK100006k-0005)
第10巻 p.62-64 ページ画像

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孤山の片影 (石川安次郎著) 第一六二―一六五頁〔大正一二年四月〕(DK100006k-0006)
第10巻 p.64-65 ページ画像

孤山の片影 (石川安次郎著) 第一六二―一六五頁〔大正一二年四月〕
    第十八 創業時代の辛苦
○中略
 丈夫氏○山辺丈夫は明治十三年の七月帰朝し、十一月より正式に会社創立組合の雇員となり、月手当四十五円を給せられて創立事務に鞅掌し十五年六月からは月給六十円を給せられたが、十六年一月七日附を以て大阪紡績会社の工務支配人となり、三等社員月給八十円に昇つた。
    種々の困難
 壱万錘以上の紡績の大工場は、日本開闢以来初めてのレコードで有るから、其の赤煉瓦の三層楼の大建築が竣成した時には大阪人士を驚かしたが、当時に於ける丈夫氏を初め内部の関係者の苦心は真に容易ならざる者で有つた、丈夫氏は操業と同時に先づゲレンに依て正確なる番手を作ることにし、西洋番手で売出さうとしたが、今迄買手が和綛に慣れてゐるので、之が調和を計らねばならず、そこで西洋綛を和綛にした場合の寸法、即ち換算表を一枚一枚玉の中に入れて使用者の便宜を謀つた、之は確かに当時の使用者に取て福音で好評を博した。
    工場用品の不足
 当時のことであるから、工場需用品の不足を来たした時は惨めなもので有つた、未だ大阪には吋尺やスパンナーを売つてゐる家もない位で、ローラー皮の如きも舶来品が切れたとなると羊の皮を職人をして鉋でけづらして使つたりした、殊に始め困つたのはローラー皮を継ぐ薬で之には丈夫氏も閉口せられた、種々糊でやつて見たが結局皆駄目でニールド氏の言によりてアイシングラスと云ふことになつたが大阪中探してもそんな物はなく、神戸の或る西洋料理屋にあつたのを漸く手に入れた様なこともあつた、又ローラーバニツシユの如きのも非常の苦心の下に漸やくシケラクが出来上つた、ベルトの如きも舶来の代用品として当時大阪帯皮から入れたものがあつたが何うも切れる而も継目から切れるので同所でも種々研究して追々立派なものを拵へて来る様になつた、尤もロープの方は芦森の製品が可成良いものがあつたが使うとするに及んでその継目に困り、幾ら素人連が首を拈つても駄目であるから、之れは帆船の船頭を傭つてやらして見るにしくはないと云ふので、彼等一流の継方で出来た者をさてプーレーに掛けて見ると、之もすぽりすぽりと抜け出すのでどうも仕様がない、ニールド氏なども色々と数へて呉れたがうまく行かず、丈夫氏を初め関係者が日夜苦心の結果、当今専ら行つてゐる方法を発見して始めて完全に運転が出来るやうになつた。
    砲兵工廠に頼む
 又鉄工所の如きも其頃安治川に新熊鉄工所と云ふのがあつて、ツイストやチエンヂホヰールを拵へるにも可い加減のビツチで拵へてある
 - 第10巻 p.65 -ページ画像 
ので、一度機械に掛けると皆な壊れる始末に、之ではならぬと、砲兵工廠に願書を出して歯車を拵へて貰ふと云ふ有様であつた。
 以上の如く操業当時の苦心は夥しきもので、出来た糸の売捌きは易易たるものであつたが、操業に関しては一物と雖も備はらない時には丈夫氏はこれが為め自ら研究考査し、其の為め寧日もなき有様であつた。
  ○「洋綛は愛知紡績所以下、他の小紡績でも幾らも之を採用するものがあつた。併し当時の需要者は皆永年和綛に慣熟して容易に洋綛を使用することを欲せず、各紡績中已むなく和洋双方を製出したものもある。○中略 尚ほ岡村氏(勝正)から直接聞いた和綛の仕立方法によれば
    鯨尺五尺を一回とし八十回を一紽とし九紽を一綛とす、而して一綛が十匁あれば十番、十五匁あれば十五番と称し、当時一般世上には一番から十五六番迄の糸ほかなかつた。
   大阪紡績では勿論斯かる鵺式和綛を採用すべくもなかつたが、製糸販売上普遍的に洋綛を認識せしむるに就て頗る苦心を払つた。」(絹川太一編「本邦綿糸紡績史」第二巻第四一〇―四一一頁)


大阪紡績会社第二回半期実際考課状[大阪紡績会社第二回半季実際考課状] 自明治一七年一月 至同年六月(DK100006k-0007)
第10巻 p.65 ページ画像

大阪紡績会社第二回半期実際考課状[大阪紡績会社第二回半季実際考課状] 自明治一七年一月 至同年六月
    ○役員選挙及採用之事
一本社頭取々締役及相談役ハ本年一月株主総会ニ於テ撰挙シ、旧員再任シ、支配人以下ノ役員依旧増減ナシ



〔参考〕大阪紡績会社営業規則 下篇・第一―二九頁(DK100006k-0008)
第10巻 p.65-72 ページ画像

大阪紡績会社営業規則 下篇・第一―二九頁
  営業規則 下篇
    第一章 職工総則
第一条 職工就業ノ間ハ総テ其掛役員ノ差図ニ従ヒ規則ヲ遵守シテ誠実ニ勉励スヘシ
第二条 職工就業時間ハ毎日午前六時ヨリ午後六時迄ト定メ、此時間ハ各受持ノ場所ヲ離レス其業ニ従事スヘシ
  但営業ノ都合ニ依リ昼夜兼業ヲナスコトモアルヘシ
第三条 日給ノ職工ハ毎日出場ノ際各勤工表ヲ職工受付ニ渡シ掛リ役員ノ検印ヲ受ケ、退場ノ際各部受持ノ主任者ヨリ受取携回ス可キモノトス
  但シ勤工表破損若クハ紛失スルトキハ、本人及保証人連署ノ事由書ヲ出タシ新規付与スルヲ請フヘシ
第四条 賃払職工並諸職工共工場出入及勤務時間ハ、事務処ヨリ下付シタル鑑札ヲ携帯スヘシ
  但鑑札ヲ破損若クハ紛失スルトキハ、第三条但書ノ手続ニ従フヘシ
第五条 工場号報滊笛ノ声数種別及時刻ハ左ノ如シ
 午前五時三十分  三声   五時四十五分  二声
   六時     壱声   九時      壱声
 正午       壱声
 午後三時     壱声   五時三十分   三声
   五時四十五分 弐声   六時      壱声
 - 第10巻 p.66 -ページ画像 
第六条 出場時刻ハ午前五時四十五分ト定メ毎朝号鈴ヲ聴テ各其業二就クベシ
第七条 休息時間ハ午前九時午後三時ヨリ各十五分間、喫飯時間ハ午下三十分間均シク滊笛一声ヲ以テ之ヲ報ス
  但休息喫飯等ノ時間タリトモ出門規則ニ依ラサレハ出門ヲ許サス
第八条 毎日終業時刻十五分前滊笛二声ヲ以テ機械ノ運転ヲ止メ、各持場内油気ノ散布シ綿塵ノ堆積シタルモノヲ丁寧ニ掃除シ諸品ヲ整頓シ、滊笛一声ヲ聴テ其受持器械ヲ離レ整列シ、第三条ノ手続ヲ経テ退場スヘシ
第九条 工男女ノ給料ハ第廿四条ニ定ムル所ノ等級ニ照シ、毎月一回之ヲ給与スヘシ
第十条 各操業上屑綿糸又ハ油浸綿糸等生スルトキハ、漫リニ棄損セス、丁寧ニ之レヲ撰別シ掛役員ノ指示ヲ聴キ処分スヘシ
第十一条 就業中発病又ハ不已得事故ヲ以テ退場スヘキトキハ其状ヲ掛役員ニ告ケ其許可ヲ得、出門鑑札ヲ持帯シテ退場スヘシ、此場合ニ於テハ各日給高ヲ十分シタル率ヲ以テ其就業時間ニ応シ給与ス
第十二条 病気又ハ不已得事故ヲ以テ不参スルモノハ午前九時ヲ限リ届出ツヘシ、而シテ其欠勤五日ヲ過ルモノハ保証人連署医師診断書ヲ添テ再ヒ届出ヘシ
  但保証人連署届書ヲ為スト雖モ、不参二週間ヲ過クルモノハ本社ノ都合ヲ以テ解雇スルコトアルへシ
第十三条 工場ノ休日ハ左ニ記載スル数日ニ限ルヘシ
 但工業ノ都合ニ因リテハ此定日内ニ於テモ操業スルコトアルヘシ
  歳暮十二月廿八日ヨリ年始一月三日マデ 紀元節二月十一日
  神武天皇祭四月三日          起業記念会
  天満神社祭              天長節十一月三日
  孟蘭盆会               毎月一日十五日
   但昼夜兼業ノ節ハ毎日曜日ヲ以テ一日十五日ノ両回ニ換フへシ
第十四条 定式休暇日(操業スル時ハ此限ニアラス)ハ均シク工銀ヲ給セス、本社ノ都合ニ因リ予告ナク臨時休業スルトキハ、其日例刻出場スル者ニ対シ日給ノ半額ヲ給与スヘシ
  但賃払雇工ハ此限リニ非ス
第十五条 毎季一回便宜時日ヲ定メテ器械全部ノ大掃除ヲ行フヘシ
第十六条 工男女ノ性行誠実技工優等ノモノアレハ之ニ授クルニ一部ノ主任ヲ以テシテ、其部内ノ操業ヲ監督セシムルコトアルヘシ
第十七条 他ヨリ来リ工男女ヲ訪問スルモノアルトキハ掛リ役員ノ許可ヲ受ケ、喫飯所ニ於テ応接スルヲ許シ場内ニ於テ談話スルヲ厳禁トス、而シテ面談ノ時間ハ何時ノ緊要タリトモ二十分時間ヲ過スヘカラス
第十八条 本社ノ工男女タランコトヲ志願スル者ハ、其申込人ヲ立テ姓名・年齢・属籍・住所・履歴ヲ詳記シ(以前他紡績ニ従事シタルモノハ其進退情由ヲ詳記)差出スヘシ
  但申込人ハ現在当会社勤務ノ社員職工ニ限ルト雖、若其本人ニ於テ合格ノ申込人ヲ得ルニ途ナキトキハ直ニ志願書ヲ差出スヲ得ヘ
 - 第10巻 p.67 -ページ画像 
シ、本社ニ於テ其保証人確実ナル者ナリト認ムルトキハ之ヲ雇入コトアルヘシ
第十九条 工男女ヲ採用スルトキハ其技工ノ優等ナル者ニ限リ試験ヲ須ヒズ直ニ採用スト雖モ、其経験ナキモノハ一週間試験ヲ経、本社ニ於テ見込アル者ハ相当ノ等級ニ採用スベシ、故ニ此採用ニ当ル者ハ第廿六条ノ書式ニ照ラシ即時身元保証書ヲ差出スヘシ
第二十条 工男女雇入期限ハ三ケ年ヨリ短カラス五ケ年ヨリ長カラザルベシ、而シテ満期ニ至リ解雇ノ手続ヲナサヾルモノハ尚勤続スルモノト看做シ、更ニ年限ヲ定メ雇用スヘシ
第廿一条 工男ハ十四歳ヨリ卅五歳マテ、工女ハ十四歳ヨリ四十歳マテヲ限リ雇用スヘシト雖トモ、其技工特別ニ見込アル者ハ此限ニアラス
第廿二条 工男女雇期限内ハ各一身ニ関スル公務ヲ除クノ外解雇ヲ請フコトアルモ一切之レヲ許サス、若万不得已事故ヲ以テ服務シ難キハトキハ必ス四週間前ニ保証人ヨリ其事由ヲ具稟スベシ、本社之ヲ審案シ無期休暇ヲ与フルコトアルヘシ、若シ此手続キヲ経ス退場スル者ハ逃亡ト看傚シ償金トシテ四週間ノ工銀ヲ没収スヘシ、若シ其工銀ヲ有セサルトキハ本人又ハ保証人ヨリ追徴スベシ
第廿三条 雇入期限内本社ノ都合ニ因リ解雇スル時ハ四週前ニ予告スヘシ、若シ此予告ナキ時ハ其解雇ノ日ヨリ後四週間ノ工銀ヲ会社ヨリ給与スヘシ、但本篇第一章職工総則第十二条、第三章罰例第二条・第五条・第六条・第七条・第八条ノ意義ニ該当スルカ、又ハ病気其他ノ事故ニ因リ工務ニ堪ヘザルヲ以テ解雇スル時ハ其予告ヲ為サスト雖、其四週間ノ工銀ヲ給与セス
第廿四条 職工等級及工銀ノ割合ハ左ノ如シ
      工銀表
 工男   日給一等四拾銭  二等卅五銭  三等三拾銭   四等廿六銭
      五等廿四銭    六等廿二銭  七等弐拾銭   八等拾八銭
      九等拾六銭    十等拾四銭  十一等拾弐銭  十二等拾銭
 等外見習 一等 九銭    二等 八銭  三等 七銭   四等 六銭
      五等 五銭    六等 四銭
 工女   日給一等卅三銭  二等廿九銭  三等廿七銭   四等廿三銭
      五等廿一銭    六等拾九銭  七等拾七銭   八等拾五銭
      九等拾三銭    十等拾一銭  十一等九銭   十二等七銭
 等外見習 一等 六銭    二等 五銭  三等 四銭
 但精紡機・粗紡機・綛機及綛作方ノ工銀ハ、時トシテ其仕事高ニ応シ賃払ノ割ヲ以テ支給スルコトアルヘシ、其割合ノ如キハ工場内規ヲ以テ之ヲ定ムベシ
 工業ノ都合ヲ以テ早出居残リニ従事スル時ハ本文日給額ノ外、其日給額ヲ十分シタル率ヲ以テ其時間ニ準シ給与スヘシ
第廿五条 賃払傭工ノ準等例規左ノ如シ
    準技男女              八年以上勤続ノ者
    準技男女補             六年以上同
    甲級(工男女一等ヨリ三等ニ準ス)  五年以上勤続ノ者
 - 第10巻 p.68 -ページ画像 
    乙級(同 上四等ヨリ六等ニ準ス)  四年以上同
    丙級(同 上七等ヨリ十二等ニ準ス) 三年以上同
第廿六条
    ○身元保証状文例ハ左ノ如シ(用紙美濃一銭印紙貼用)
                族籍
               本人  姓名
                    年齢
  右之者今般志願ニ依リ自今何ケ月間貴社工場職工ニ御使用被下候上ハ、奉職中総テ御規則遵奉誠意勉励為致候ハ勿論工事上ニ付御命令ノ件々決テ違背為致間敷候、且本人身上ノ儀万端於拙者引受御迷惑相掛申間敷候、依テ為後日保証状如件
                 族籍住所
   年 月 日        保証人  姓名   印
                申込人  姓名   印
               但シ申込人ナキモノハ二名ノ保証人ヲ立ツベシ
      大阪紡績会社御中
    第二章 職工賞与例
第一条 常ニ怠惰ナク殊ニ勉強シテ皆勤シ他ノ摸範タルベキ者ハ、皆満壱ケ月ヲ以テ其日給一日半分ヲ賞与スベシ
  但賃工ノ者ハ工場内規規程日給一日半分ヲ給ス
第二条 執業上殊ニ意ヲ加エ勉強シ、其製品佳良製額他ニ超過スル者ニ工場内規ニ照シ毎二週ニ賞金ヲ付与スヘシ
第三条 第壱条・第弐条ニ相当スルモノニテ殊ニ技工衆ニ超ヱ、他ノ摸範タルヘキ者ハ毎半季特別ニ賞与スヘシ
第四条 工業上疵傷ヲ被ムル者ハ其軽重ヲ酌量シテ療養資或ハ扶助料ヲ給与シ、其死ニ至ルモノハ埋葬料及遺族扶助料ヲ給与スヘシ
第五条 雇入期限内始終正実ニ勉強シ一ノ過失ナキモノハ、満期退場ノ日其事蹟ヲ記シタル保証状ヲ附与スヘシ
   第三章 職工懲罰例
第一条 出場例刻ニ後ルヽ者ハ届出ノ有無ニ拘ハラス、午後始業時刻ニ至ラザレハ就業セシメザルベシ
第二条 無届ニテ出場セス及ヒ出場時刻ヲ後ルヽ一月三回以上ニ及者ハ、均シク其日数ニ依リ一週間ヨリ少ナカラス一ケ月間ヨリ多カラサル降等ニ処ス、若シ無届不勤一週日ヲ過クル者ハ職工総則第廿三条ニ照シテ解雇スヘシ
第三条 器械其他ノ物品ヲ毀損シ或ハ紛失スル者ハ其事実ヲ査シ、其損失ノ軽重ニ従ヒ日給三分ノ一ヨリ三分ノ二マテヲ定度トシテ二週間以内減給ニ処スヘシ、其故造ニ出ルト認ルモノハ其修繕又ハ賠償ノ義務ヲ負ハシムヘシ、但此場合ニ於テ本人其義務ヲ尽サヽル時ハ保証人ヲシテ代償セシム
第四条 第三条ハ各男女工ヨリ一部主任ニ至ルマテ一般之ニ準シ、而シテ各男女工之ニ触ルヽ時ハ該部主任ハ不注意ノ責ニ任シ、日給或
 - 第10巻 p.69 -ページ画像 
ハ月給ノ一割ヨリ三割マテヲ定度トシテ一週以内減給スルコトアルヘシ
第五条 吸烟ハ喫飯処ノ外堅ク之ヲ禁ス、若シ工場内其外禁烟ノ場所ニ於テ之ヲ犯ス者ハ未払工銀没収ノ上、職工総則第廿三条ニ拠リ即時解雇スヘシ
  但本文ノ場所ニ於テ燐寸其外発火器ヲ弄シ、又ハ所持シタル者モ同ク処ス
第六条 工場内ニ於テ男女ヲ論セス猥褻ノ言語及所行ヲ作ス者ハ、均シク職工総則第廿三条ニ拠リ即時解雇ス
第七条 工場内ニ在テ喧嘩口論スル者規則ヲ犯ス者不平ヲ唱フル者不平ヲ唱ヘ他人ヲ煽動スル者等均シク審査ヲ遂ケ、其犯状ノ軽重ニ随ヒ日給ノ三分ノ一ヨリ三分ノ二ニ至ルマテヲ定度トシテ一週間減給ニ処スヘシ、其不平ヲ唱ヘ他人ヲ煽動スル者ハ殊ニ審訊ヲ遂ケ其情状ニ因リ未払工銀没収ノ上、職工総則第廿三条ニ拠リ解雇ス
第八条 各受持器械ニ於テ注油ノ適度ヲ誤リ或ハ之ヲ怠リタルニヨリ自然熱気ヲ発スルニ至ラシムルモノハ、其景状ヲ審査シ一週間ヨリ少ナカラス一ケ月ヨリ多カラサル間降等ニ処スヘシ、其過誤怠慢ノ甚シキ者ニ至テハ未払工銀没収ノ上、職工総則第廿三条ニ拠リ解雇スルコトアルヘシ
    第四章 技男女機械方鉄工火夫注油方心得

第壱条 技男女・同補・機械方・鉄工・火夫、等級月級《(給)》左ノ如シ

図表を画像で表示--

 技男        一等    二等    三等    四等    五等    六等           廿五円   廿円    十八円   十六円   十四円   十二円 技男補       一等給   二等給   三等給   四等給   五等給   六等給           十円    九円五十銭   九円  八円五十銭 八円    七円五十銭 技女        一等    二等    三等    四等    五等    六等           廿円    十六円   十四円   十二円   十一円   十円 技女補       一等給   二等給   三等給   四等給   五等給   六等給           七円五十銭 七円    六円五十銭   六円  五円五十銭 五円 機械方鉄工     一等    二等    三等    四等    五等    六等  七等    八等           四十円   卅五円   卅円    廿五円   廿円    十五円 十二円   十円 火夫注油方鉄工見習 一等    二等    三等    四等    五等    六等  七等           九円    八円    七円五十銭 七円    六円五十銭 六円  五円五十銭 


第二条 技男技女補ハ雇入後七等以上三ケ年間誠実ニ勤勉セシモノヲ挙テ登用スルモノトス
  但本文ノ年限勤続スルモノト雖トモ平素不勤多ク又ハ技工未熟ノモノハ之ヲ挙ケス、又技工衆ニ超ヘ性行誠実他ノ摸範タルモノハ本文ノ順序ニ依ラス特別ニ挙用スルコトアルヘシ
第三条 病気又ハ事故ヲ以テ一ケ月不勤七日ヲ踰ユレハ月給四分ノ三、十四日ヲ踰ユレハ四分ノ二、廿一日ヲ踰ユレハ四分ノ一ヲ給シ、廿八日ヲ踰ユルモノ之レヲ給セス
第四条 病気又ハ事故ヲ以テ不勤ニ及フ時ハ出場時刻前ニ届出ヘシ、而シテ其三日ヲ過ルモノハ医師ノ診断書ヲ添ヘ保証人ノ連署ヲ以テ更ニ届出ツルヲ要ス
第五条 月給ハ毎月一回月末ニ於テ払渡スヘシ
第六条 徹夜操業ノ節ハ弁当料トシテ男ニハ金八銭女ニハ金六銭ヲ給シ早出居残(三時間以上六時間以内例刻外ノ出勤ヲ早出居残リトス)ノ節ハ手当金五銭ヲ給スヘシ
  但シ夜業割増及三ケ月皆勤賞与ハ之ヲ給与セス、半季特別賞与ハ
 - 第10巻 p.70 -ページ画像 
此限ニ非ラス
第七条 毎日出勤ノ節ハ事務所ニ備ヘアル日勤簿ニ本人ノ見認印ヲ押捺スヘシ
第八条 技男女・器械方・鉄工・火夫・注油方等、操業上本章ニ抵触セサル事項ハ総テ各章ノ条項ニ準ス
    第五章 積立金規程
第壱条 本社ニ従事スル技男女以下男女工ハ左ノ割合ニ準シ、毎月必ス積立金ヲナスベシ
  但本文割合ノ外別途積立金ヲナサント欲スルモノハ金高廿銭以上ナレハ之ヲ預ルヘシ
   月給十円以上ノ者    一ケ月六十銭
   同 十円以下ノ者    同  三十銭
   男女工日給賃銀二十銭以上及同額相当ノ者
               一ケ月二十銭
   以上三項貯蓄金ハ毎勘定ノ節差引入金スベシ
第二条 此積立金ハ大阪府下確実ナル銀行ニ委存スルカ故ニ、此規程ニ抵触セサル事項ハ総テ該行預金規則ニ従フモノトス
第三条 積立金通牒ハ取扱上便利ノ為メ、本社職工掛ニ保存スルヲ以テ、若シ一覧ヲ要スル者ハ操業時間ヲ除クノ外何時ニテモ請求スヘシ
第四条 此積立金ハ左項ノ場合ニ非サレハ総テ引出スコトヲ得ス
 一本人三週間以上病気ニテ欠勤シ又ハ満期或ハ事故アリ解雇無期休暇及老衰退職シタル時
   但病気ノ為メ積立金引出方ヲ請フモノハ保証人連印医師ノ診断書ヲ添ヘ請求スヘシ、第一条但書ニ係別途積立金ハ何時ニテモ引出スヲ得ル
    第六章 恩給規則
第一条 此恩給ハ本社役員賞与金ノ内、頭取々締役管保スル所ノ別項ヲ以テ支弁スルモノナリ
第二条 本社職工五ケ年以上勤続シタル者ニ対シ左ノ割合ヲ以テ積立金ヲ為シ、自後勤続満一ケ年毎ニ各現在ノ等級ニ応シ、其積金額ヲ加算スヘシ
  壱等  廿五円 技男女一等ヨリ六等迄、機械方・鉄工一等ヨリ五等迄及準技男女
  弐等  廿円  技男女補一等ヨリ六等迄、機械方・鉄工六等ヨリ八等迄及準技男女補
  三等  十五円 工男女一等ヨリ三等迄、火夫・注油方一等ヨリ三等迄及甲級工男女
  四等  十円  同上四等ヨリ六等迄、火夫・注油方四等ヨリ七等迄及乙級工男女
  五等  八円  工男女七等ヨリ十二等迄及丙級工男女
第三条 此積立金ハ左ノ場合ニ於テ之ヲ給与スヘシ
 一本人勤務中死亡シタル時
 一本人老衰・疾病・職務上負傷等総テ職務ニ堪ヘザル身体ニ及ヒタル時
 一本人過失ナク本社ノ都合ヲ以テ解雇シタル時
  但第一項ノ場合ニ於テ給与スルハ必ス其遺族ニ限ルト雖トモ、本人生前ニ於テ受領人ヲ指名スルトキハ審査ノ上本人ヨリ証書ヲ取
 - 第10巻 p.71 -ページ画像 
置キ、其指名人ヘ交附スヘシ
第四条 此積立金ハ左ノ場合ニ於テハ之ヲ給与セザルベシ
 一本人勝手ヲ以テ解雇ヲ請求シタル時
 一総テ本社ノ規則ニ背キタル行為ニ因リ本社ヨリ解雇シタル時
  但第一項ハ頭取々締役ノ審査ヲ以テ憫諒スヘキ事アリト認ムル者ハ、全額又ハ幾分ヲ給与スルコトアルベシ
第五条 此積立金額ハ総テ現在ノ等級ニ応スヘキヲ以テ初次ノ積立ヲ受ケタル者、後進退アルトキハ其現等級ニ応シ第二次以後ノ増加ヲ積算スルヲ法トシ、而シテ其進退ノ区別ハ上下ノ二季ヲ以テ分ツベシ
第六条 職工中水火其他非常ノ変災ニ遭遇シ実際憫諒スヘキ事情アリト認ムル者アル時ハ頭取々締役ノ審議ヲ以テ第二条積立金ノ内ニテ若干ヲ操替ヘ交附スルコトアルベシ
第七条 本社ヘ従事シタル職工中不幸ニシテ五ケ年以内ニ死亡シ其生前ノ勉励衆ニ超ヘタル者ニ限リ頭取々締役ノ考案ヲ以テ第一条管保金ノ内ヨリ若干ヲ給与スヘシ
    第七章 生命保険恩典
第一条 此保険ノ恩典ヲ与ヘラルヽモノハ五ケ年以上勤続シ、六等以上ニシテ本社ヱ永年勤続ノ目的アル職工ニ限ルヘシ
第二条 此保険ハ左ノ等級金額ニ準シ之ヲ給与スヘシ、技男女・機械方・鉄工壱等弐等同上三等四等同上五等六等(及技男女補並準技男女補・職工六等以上、火夫・注油方三等以上、甲級工男女、乙級工男女)
  金参百円 金弐百円 金百円
第三条 此保険掛金ハ定款第五十一条慰労積立金ヨリ生スル利子ヲ以テ之ヲ支払ヘシ
第四条 此保険証書ハ総テ本社ニ於テ管保シ各被保人ニ交付セス、被保人ヘハ其恩典ノ証票ヲ付与スヘシ
第五条 被保人死後其保険金ハ本社頭取ノ名義ヲ以テ保険会社ヨリ領収シ、之ヲ其遺族ヘ給付スヘシ
第六条 此保険ハ左ノ場合ニ於テハ本社ハ其恩典ヲ履行セサルニ付、第四条ノ証票ヲ本人ヨリ収還シ、而シテ本社ト保険会社トノ約定ヲ解廃スヘシ
 一被保人勝手ヲ以テ退職シタル時
 一過失又ハ不都合ノ行為ニ因リ解雇シタル時
    第八章 職工賜暇規程
第一条 本社ニ従事スル技男女以下各職工ハ皆此規程ニ準スヘシ
第二条 毎年一月ヨリ十二月迄満一ケ年間皆勤シタル者ハ、会社ノ都合ヲ以テ壱週日ノ休暇ヲ与フベシ
第三条 第二条一ケ年間皆勤シタル者ハ一月十五日迄ニ届出賜暇証明書ヲ受取ルヲ得ベシ
第四条 賜暇ノ日数ハ勤務ノ日数ニ算入スベシ
第五条 賜暇ヲ得タル職工ハ其人名ヲ掲示スベシ
第六条 賜暇期日満期ノ節ハ賜暇証明書ヲ返還スベシ
右条々確定シタル証拠トシテ重役各姓名ヲ自記シ調印致候也
 - 第10巻 p.72 -ページ画像 
   年 月 日
                   重役
  ○右規則ハ明治二十二・三年頃印刷サレシモノノ如シ。上篇ハ見ルヲ得ザリシニヨリ下篇ノミヲ掲グ。