デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
1節 綿業
4款 大日本紡績聯合会
■綱文

第10巻 p.400-418(DK100036k) ページ画像

明治26年8月5日(1893年)

是日ヨリ同月十日ニ亘リ臨時聯合会ヲ開キ、孟買航路開設ニ際シテ日本郵船会社ニ対スル要求条件ヲ議決シ、相談委員五名ヲ撰ビ常務委員三名ト共ニ交渉ニ当ラシム。委員等ハ栄一ノ斡旋ニヨリ交渉ニ努メタルモ、加盟紡績会社中ニ不同意ナル者モアリテ議容易ニ決セズ。遂ニ九月九日有志団体トシテ鐘淵・大阪・三重ノ三紡績会社及ビ内外棉会社・日本棉花会社ノ五会社ト日本郵船会社トノ間ニ仮契約成立シ、後、漸次加盟紡績会社ノ合流ヲ見ルニ至ル。


■資料

明治廿六年八月臨時聯合会議事録(DK100036k-0001)
第10巻 p.400-410 ページ画像

明治廿六年八月臨時聯合会議事録
  明治二十六年八月五日開会、同十日閉会、七日休会
    出席会員
             大阪紡績会社    河村利兵衛
             摂津紡績会社    伊藤九兵衛
             天満紡績会社    池田仁左衛門
 十日及九日欠席     浪花紡績会社    俣野景孝
             平野紡績会社    金沢仁作
             金巾製織会社    田村正寛
 五日及六日欠席     泉州紡績会社    金田角兵衛
             堂島紡績所 兼
             島田紡績所 代   五日、十日出席    林勇輔
                       六日、八日、九日出席 神代延吉
 五日欠席        朝日紡績会社    日野九右衛門
             大阪撚糸会社    森本半四郎
 九日及十日欠席     福島紡績会社    鈴木勝夫
 - 第10巻 p.401 -ページ画像 
 八日及九日欠席     桑原紡績会社    豊島住策
             玉島紡績所     芳谷平左衛門
 八日欠席        岡山紡績会社    谷川達海
 八日及九日欠席     下村紡績所     高田勝吉
 九日及十日欠席     尾張紡績会社    服部俊一
             広島紡績会社
             愛知紡績所  代  渋谷正十郎
             鐘淵紡績会社 兼
             東京紡績会社
             下野紡績会社 代  朝吹英二
 十日欠席        尼ケ崎紡績会社   亀岡徳太郎
 九日欠席        山城紡績会社    坂上要吉
             和歌山紡績会社   赤城友二郎
 八日及九日欠席     前川紡績所     前川迪適
 八日九日十日欠席    名古屋紡績会社   伴正路
 五日欠席        天満織物会社    野田吉兵衛
 五日六日九日十日欠席  三池紡績会社    野田卯太郎
 五日欠席        三重紡績会社    伊藤伝七
   出席准会員
             内外綿会社     渋谷正十郎
             三井物産会社    南一介
             日本綿花会社    佐野常樹
 五日六日九日欠席    日清貿易会社    八日出席 佐野正道
                       十日出席 飯島宗兵衛
         欠席会員         出席会員数
             堺紡績会社     五日 廿八名
             倉敷紡績所     六日 卅一名
             姫路紡績会社    七日 休会
             久留米紡績会社   八日 廿九名
             福山紡績会社    九日 廿五名
             遠州紡績会社    十日 廿七名
             藤井紡績所
             宇和紡績会社
             鹿児島紡績会社
             渡辺紡績所
             宮城紡績所
             小豆島紡績会社
 明治廿六年八月五日午前九時三十五分開議
 出席員抽籤席次ヲ定ム、其順序左ノ如シ
       壱番    山城紡績会社    阪上要吉
       弐番    朝日紡績会社    日野九右衛門
       参番    鐘淵紡績会社 兼
             東京紡績会社 代
             下野紡績会社 代  朝吹英二
       四番    桑原紡績会社    豊島往策
       五番    和歌山紡績会社   赤城友次郎
       六番    天満紡績会社    池田仁左衛門
 - 第10巻 p.402 -ページ画像 
       七番    日本綿花会社    佐野常樹
       八番    玉島紡績所     芳谷平左衛門
       九番    三池紡績会社    野田卯太郎
       拾番
       拾壱番   三重紡績会社    伊藤伝七
       拾弐番   下村紡績所     高田藤吉
       拾参番   大坂撚糸会社    森本半四郎
       拾四番   三井物産会社    南一介
       拾五番   名古屋紡績会社   伴正路
       拾六番   堂島紡績所     林勇輔
                       神代延吉
       拾七番   内外綿会社  兼
             広島紡績会社 代
             愛知紡績所  代  渋谷正十郎
       拾八番   前川紡績所     前川迪適
       拾九番   浪花紡績会社    俣野景孝
       廿番    岡山紡績会社    谷川達海
       廿壱番   摂津紡績会社    伊藤九兵衛
       廿弐番   大阪紡績会社    河村利兵衛
       廿三番   金巾製織会社    田村正寛
       廿四番   尼ケ崎紡績会社   亀岡徳太郎
       廿五番   平野紡績会社    金沢仁作
       廿六番   天満織物会社    野田吉兵衛
       廿七番   尾張紡績会社    服部俊一
       廿八番   日清貿易株式会社  佐野正道
右席順定マルヤ、廿四番亀岡君議場正面ニ起チ、委員長ニ代リテ開会ノ主旨ヲ述ブ
廿四番亀岡君 ヱー皆サンヱ申上ゲマスガ、佐伯委員長ハ今日欠席デゴザイマスカラ、私ガ代ツテ開会ノ主旨ヲ申上ゲマス、抑モ今日炎暑ノ砌リニモ拘ハラズ、斯ク臨時会ヲ開キマスモノハ、嘗テ御通知ヲ申上ゲテゴザイマスル通リ、福島紡績会社始メ十三会社ヨリ、別記議案ノ趣意ヲ議定ノ為メニ至急臨時会ヲ開会セラレタイトノコトニテ、規約第二十五条ニ依リマシテ請求ヲ受ケマシタニ就キマシテ、此会ヲ開キマシタ訳デゴザリマス、加フルニコノ支那地方ニ向ヒマシテ内国製綿糸ヲ輸出販売ノ点ニ就キマシテ、目下該地ノ模様ヲ調査致シマスルト云フコトハ、将来我営業上ニ取テ必要ノ事ト感ジマシタコトガアリマスノデ、幸ヒ臨時会ヲ開ク機会ヲ得マシタニ付キ、一応此事ニ就キマシテモ御意見ヲ伺ツテ置キタイト云フ考ヘデ、斯ク御来集ヲ願ヒマシタ訳デアリマス、右様御承知下サレマシテ、御議定ニ成ランコトヲ偏ニ希望致シマスル
理事(菅沼君) ヱー是カラ仮議長ヲ誰方ニカ願ヒマシテ、当議場ヲ御整理下サル所ノ議長ヲ一ツ御選挙ヲ為シテ頂キタイト存シマスルガ、誰方ニカ仮議長ヲ願ハレタモノデゴザイマセウカ、又便宜ノ為メ不肖ガ仮議長ノ席ニ着キマシテ、議長選挙ノ手続ヲ致シマシタモノデゴザイマセウカ、成ベクハ誰方ニカ願ハレマスレバ至極便利ト思ヒマス、
 - 第10巻 p.403 -ページ画像 
ドーカ宜シク願ヒマス
廿三番(田村君) 私ハ選挙ノ手続ヲ省キマシテ、直ニ弐拾四番サンニ議長、拾九番サンニ副議長ヲ願ヒマシテ、議事ノ御整理ヲ為テ頂クコトニ致シタイト思ヒマスガ、ドウデゴザイマセウカ皆サン
三番(朝吹君) 私ハ頗ル賛成デス
拾九番(俣野君) 私ヲ副議長ニ御指名ニナルヤウデゴザイマスガ真平御免蒙リタイ、併シ議長ヲ御指名デアリマスナラ弐拾四番サンニ私共ハ願ヒタイ、サウ致シマシタラ直グ決マラウト思ヒマス、ドーカ皆サンモ御賛成アランコトヲ願ヒマス
   (此時賛成ト呼ブ者多シ)
廿四番(亀岡君) 私ハ迚モドウモ議長ナドニハ………
拾九番(俣野君) モー決ツタンジヤアリマセンカ、ソレデ皆サンモ御異議ガ無イノデスカラ、ドーゾ廿四番サンニ願ヒマス
廿四番(亀岡君) 私一身ニ取テハ光栄デゴザイマスガ、夫レデハ甚ダ恐入リマスコトデ………イヤ夫程ニ仰セ下サイマスナレバ御受ケ致シマス
   (此時亀岡君議長席ニ着ク)
議長(亀岡君) 夫デハ御指名ニ依リマシテ暫ラク此席ヲ汚シマス、エー皆サンニ一寸伺ヒマスルガ、副議長デゴザイマスガ、ドーカ御選挙ニ成リマスルヤウニ
弐拾参番(田村君) 私ハ曩程モ申上ゲマシタ通リ拾九番サンニ御願ヒ申シタイモノデアリマス
拾九番(俣野君) 副議長ヲ設ケネバナラヌモノデアリマセウカ、私ハ入リマスマイト思ヒマスガ
   (此時列席員拾九番ニ副議長ヲ望ムモノ多シ)
議長 ドーカ拾九番サン御承諾下サイマスヤウニ、議長ヨリモ御願ヒ申シマス
拾九番(俣野君) 別ニ皆サンニ御手数ヲ懸ケルノモ御気ノ毒デアリマスカラ、夫デハ甚ダ僣越デゴザイマスガ御受致シテ置キマセウ
   (各員一同礼ヲ為ス)
議長 是ヨリ議事ニ取掛ラウト思ヒマスルガ、一応皆サンニ御伺ヒ致シタイノハ、此議題ニ就キマシテハ傍聴ヲ禁ジマシテ議事ヲ開キマシタモノデゴザイマセウカ、或ハ又内議ヲ要スルト云フコトニシテ相談会ノヤウナコトニ致シタモノデゴザイマセウカ、斯ウ云ウ重大ナ件デゴザイマスカラ、能ク御意見ノゴザイマス所ヲ伺ヒタイノデスガ、如何ナ御見込デゴザイマスカ、一応伺ヒタウゴザイマス
三番(朝吹君) 此事柄ハ議案デモ拝見シタ通リデ、此事ガ世間ニ知レマスト直ニ、競争者ハ外国人ニ在ルコトデゴザイマスカラ、此会議ノ纏ツテ仕舞フ迄ト云フモノハ余リ不纏リナコトヲ少シヅヽ発表スルコトハ如何デセウカ、決ツタ上ハ兎モ角モ、決マル迄ハ禁ジテ置イタラドウデセウ
十九番(俣野君) 既ニ受附ニ禁傍聴ト云フ札ガ貼テアリマスカラ、私ハソウト心得テ居リマシタガ、左様デハナイノデスカ
議長 只今迄ノ所ハ傍聴ヲ許スベカラザルモノト見認テ受附ヘ掲示ヲ
 - 第10巻 p.404 -ページ画像 
致シマシタガ、尚皆サンニ御意見ヲ伺ヒマシテ彼ノ通リデヤツテ行クガ宜シイト云フ事デゴザイマスレバ、其如ク継続致シテ参リマスルガ………
十九番(俣野君) 私ハ三番ノ御説ニ賛成致シマシテ、無論傍聴ヲ禁ズル方ガ宜シク思ヒマス
議長 尚ホ本会議ハ議事体ニ致シマセウカ、或ハ協議会ノヤウナコトニ致シマスルカ、是モ併セテ伺ヒタイデス
ニ十三番(田村君) 只今議長ヨリ議事体ニスルカ何ウ斯ウト云フ御商リデゴザイマシタガ、此御廻シニナツタノハ大体ノ趣意ダケノコトデ議案トシテ惣体ノ事ヲ議決シヤウト云フニハ、議案ト云フモノヲ時々作ラヘマセネバ、議事ニ掛ツテカラ決議ガ難イコトデアラウト思ハレマス、ソレデ大体ノ総体議ヲ決メマスレバ、兎モ角モニ次会ニ移リマスレバ、無論ソウナラネバナランコトハ頭デ分ツテ居リマスカラ、大体ハ正則ノ議事ニ御ヤリ下サレテ、ソシテ纏マリマセンコトハ仕方ガゴザイマセンガ、纏リマシタ上ハ調査委員ヲ設ケテ議案ヲ制定致シマスルカ、或ハ相談会ヲ開イテヤルトカ、何トカ方法モゴザイマスカラ纏マルコトデアリマセウガ、兎ニ角一次会ト云フモノハ惣体議デアリマスカラ、正則ヲ履ンデ議場ニ御掛ケヲ願ヒマシタ上ノ結果ニ因テ仕テ頂イタラ可イカト考ヘマス
議長 只今廿三番ノ御意見モゴザイマシタカラ、夫デハ兎ニ角本案ニ対シマシテ一次会ヲ開キマスコトニ致シマス、左様ニ御承知ヲ願ヒタイ、夫デハ是ヨリ議案ヲ朗読致サセマス
    議案
 第一項 日本郵船会社ハタヽー氏ト結合シテ弐艘ノ船ヲ孟買ヘ回航セシムルコト
 第ニ項 繰綿一噸ノ運賃十七ルーピーナルヲ引下ケ十三ルーピートスルコト
 第三項 前二項ヲ実行スルニ於テハ、他汽船会社ト競争ノ結果ニ依リ、十三ルーピー以内ニ引下ゲザルトキハ、其減額ニ対シ聯合会ハ之ヲ補給スルコト
   以上
議長 ドーカ皆サン十分御質議等ガゴザイマスコトナレバ、御質議ニナランコトヲ希望致シマス
二十三番(田村君) エー此事柄タルヤ、曩ニ即チ本会ニ列セラレタ三番サン朝吹君ナドハ、余程御尽力下サイマシテ、段々ト其筋々々ヘモ御渡リ下サレテ、玆マデニ御纏メ下サレマシタコトニ就キマシテハ、誠ニ同業者タル我々ハ深ク御尽力ノ程ヲ謝シタイト考ヘマス、就テハ其レ是レ御尽力下サレタ上ニ付テ、夫是レモー一段進ンダ所ノ御質議モ申タイト考ヘマスルガ、細密ナ所マデ此席デ立入リマシタ所デ、直チニ其レデ考案ヲ立テルト云フ訳ニハ私共ハ参ルマイヤウニ考ヘマスルカラ、願クバ玆デマア十分御議《(マヽ)》シヲ願ツテ、好イヤウニ決メタイト思ヒマス、実ニ決議ノ如何ニ依リマシテハ、我々同業者ニ取テ重大ノ事件デアリマスカラ、纏メヤウト云フコトニ至リマシタラ、此議案三項ノミヲ決議シテ、決シテ実行シヤウト云フコトハ出来マスマイ、此
 - 第10巻 p.405 -ページ画像 
間ニドウシヤウ斯ウシヤウト云フ御修正モ出マセウガ知レマセンガ、少々ハ手間取レマシテモ………実ニ遠方カラ御出ノ御方ハ御迷惑カハ知レマセンガ、只今ヨリ七名ノ委員ヲ選ンデ此ノ調査ヲ仕テ頂キ、其者ヲ以テ決議スベキ所ノ議案トナルベキヤウニ致シタイノデ、其調製ノ為メニ委員ヲ七名丈ケ御選ビヲ願ツテ、而シテ御暑イ時分ニ御苦労テゴザイマスガ、願クバ今晩カラ明朝ニカケテ、明朝迄ニ其案ヲ御作リ下サルヤウニナツタラ、却テ其事柄サヘ纏リマスレハ、大体ノコトハ議事ニ掛ケマシテ早ク纏マラウト考ヘマス、依テ委員七名ノ選挙ヲ願ヒタイ
議長 ソウスルト、何ト申シマス、議案起草委員トデモ仕タモノデセウカ
廿三番(田村君) 名称ハ起草委員デモ何デモ宜シウゴザイマス
二十番(谷川君) 二十三番ニ賛成致シマス、大体之ヲ行フカ行ハレナイカ決リマセンノニ、委員抔ヲ選ブト云フハドウカト思ヒマスルガ、何分我々ナドハ突然玆ニ参リマシテ、此議案ヲ見マシタヤウナコトデ併シ大体ハ成程好イヤウデゴザイマスケレトモ、其方法ニ至テ、此事ガ行ハレルカ行ハレナイカト云フコトニ就テハ、今一々質問致シテモ出来ナイヤウデアリマスカラ、何トカ方法ヲ設ケテ為ネバ判リマセンデアリマス、夫故二十三番ノ説ハ甚ダ便法デアラウト思ヒマスカラ、此レニ賛成致シマス
議長 二十三番説ニ賛成ヲ得マシテゴザイマスカラ、之ヲ議題ト致シマス、ヱー二十三番ハ先以テ此議案ニ対シテ今一応細イ所ノ議案ノ起草ヲ托サン為メ、七名ノ委員ヲ選定シテ、其レヲ以テ議題ト致シタイト云フ御意見デ、ソコデ明朝迄ニ御作リヲ願ヒタイト云フ、是ニ二十番ノ賛成ヲ得テ居リマスルガ、他ニ御異議ガゴザイマセンケレバ議題ト致シマス
三番(朝吹君) 賛成致シマス
十五番(伴君) 私ハ成程廿三番ノ御説ノ如ク、委員ヲ選ンデ此議案ノ纏メヲ付ケルト云フコトハ至極結構ナヤウデアリマス、併シナガラ十五番ノ考ヘマス所デハ、余程コレハ困難デアラウト思ハレル、到底此聯合会ガ協同一致デ補給スルト云フコトハ行届クマイカト云フ考ヘデアルノデス、成程ソレモ二十三番アタリデ結構ナ御修正ガ出来テ実行シタナラバ、或ハソウ云フ結果ヲ生ズルカ知レマセンガ、到底見越シタ話デゴザイマスケレトモ、此聯合会カラ補給スルト云フコトハ難カシカラウト思ヒマス、私ハ難カシイモノデアルナラ、委員ヲ選ブノ例ヲ採ラズ、此案ハ廃棄ヲ為タイト云フ意見デゴザ《(イ脱)》マス、故ニ一言廃棄説ヲ述ベマス
四番(豊島君) 段々ト御説モゴザイマシタガ、畢竟本案ニ対シ御説明ヲ願ヒマセウト考ヘルハ、補給スルト云フ其方法即チ割合デゴザイマスガ、コレガ少シ判ラン、夫レデ別ニ委員サンヲ設ケテ御苦労ニナルベキコトハ無イヤウニ考ヘマス、只補給スルニ就テハ其割合ガ正当カ不正当カ丈ケガ決マレバ、直チニ御決行ニ成レルダラウト思ヒマス
議長 夫デハ委員ヲ設ケルコトハ不同意ト云フノデアリマスカ
四番(豊島君) 先ヅ夫レデゴザイマスレバ不必要デアラウト考ヘマス
 - 第10巻 p.406 -ページ画像 
議長 十五番説ハ御聴キノ通リ、本案ハ全廃ト云フコトデアリマス、コレハドーモ先決問題トナルベキモノデ、是ガ倒レテ仕舞ヘバ根ガナクナツテ仕舞ヒマスガ、併シ御賛成ガゴザイマセンカラ、之レハ消滅致シマシテゴザイマス、ソウ致シマスルト他ニ御説ガ起ツテゴザイマスノハ、二十三番ノ七名ノ委員ヲ設ケテ起草サセヤサト云フ、此説ニハ賛成者ガアリマス、ソレカラ四番ハ委員ヲ設ケルノ必要ハナイカラ只少シ補給ト云フコトニ就テ判リ悪イカラ、夫サヘ確メレバ可イト云フ、此ノ二説デアリマスガドウデゴザイマセウ、御意見ガゴザイマセンケレバ可否ヲ決シマセウ
廿一番(伊藤君) 先刻十五番ノ御説ノ如ク、此聯合会カラ致シテ一体ニ補給スルト云フコトハ、到底行ハレ難イデ有ラウト思ヒマス、併シ仲買ノ綿屋サンカラデモ其補給ノ所ガ出来ルト云フコトニナリマシタラ、可カラウカト存シマスルガ、兎ニ角其レガ決リマセント、補給スルカセンカト云フコトカ先ニ決定ガ仕悪クカラウト考ヘマスルカラ、其辺ヲ委員サンガ出来マシタラ、御協議ニ預ツテ其上デ議案ノ御起草ニナリマスルヤウニ願ヒマス
議長 二十一番サンモツマリ委員ヲ設ケルト云フ御意見デスカ
二十一番(伊藤君) ツマリ委員ヲシテ起草ヲ願フニ就テ、其方法ノコトヲ一寸申上ゲタノデス
二十三番(田村君) 先刻来補給ト云フ点ニ付テ段々ト御説ガ出マシテゴザイマスガ、只今ノ所デハ総体ノコトデゴザイマスカラ委シクハ申上ゲマセンデシタガ、此総体ト云フモノハ無論可否スル訳ハナイヤウデアリマスガ、其補給スルニ就テノ方法順序、即チ郵船会社ノ滊船ナリ船ノ数ナリ又郵船会社トノ契約法ナリ、此契約ト云フモノハドウ云フ順序ニシテヤルカト云フコトガ皆附帯シタ上決メネバ、此事ヲ決議シテ遖レ目的ヲ達シヤウト云フコトハ出来マセン、ソコデ之ヲ決議仕ヤウト云フニハ議案ガ定マランケレバ決議スルコトハ出来マセン、所謂聯合会デハ不可ヌカラドウ云フ所カラヤルトカ、或ハ又聯合会カラヤルベキモノデナイカラ、斯ウ云フ所カラヤルトカ、夫ニハ何云フ順序方法デスルトカ、又其結果ニ依リマシテ方法順序ニ就テ費用ト云フモノガ入ル、其費用ノ賦課法トカ、或ハ臨時費トカ云フモノヲ出サンケレバナランコトガアリマスカラ、夫デ是等ノ事ヲ調べタイト云フ考デ、為メニ述ベタ訳デゴザイマス、一寸御話ガ出マシタカラ尚一応布演致シタノデゴザイマス
十五番(伴君) 只今二十三番ノ御説ニ付キマシテ、少シク伺ヒタイコトガゴザイマス、宜シウゴザイマスカ
議長 宜シウゴザイマス
十五番(伴君) 二十三番サンニ伺ヒマスルガ、委員ヲ設ケテ取調ヲスルト云フ御話ヲ下サイマシテ能ク分リマシタガ、廿三番サンノ御考デハ此聯合会カラ補給スルト云フ主意デ設ケラレルノデアリマスカ、或ハ他ニ何カ方法ガゴザイマスカ、夫等ヲ一応伺ヒタイノデス
二十三番(田村君) 只今十五番サンカラノ御質問ガアリマシタガ、実ハソウ云フコトナゾハ委員サンニ御考案ガアリマセウカラ、十分御調ベヲ願ヒタイト云フ大体ノ考デアリマシテ、夫デ意見ヲ提出シタ訳デ
 - 第10巻 p.407 -ページ画像 
アリマス、併シナガラマダ自分モ十分練ツタ考モ持テ居リマセンガ、今拾五番サンノ御質問ニ対シテ、昨今弐拾参番ガ持テ居リマスル考ヲ申セバ、若シ本案ヲ議場ニ在テ採用サレテ可決致シマシタナラバ、郵船会社ト契約セネバナラン、其契約ヲ為スニ就テハ、聯合団体ト云フ名義ガ必要デアラウト思ハレマス、表面的ハ聯合団体カラ補給スルト云フコトニシテ、夫モ補給スルヲ要セント云フコトニナルカ、其辺ハ分リマセンガ、若シ補給スルト決ツタ以上デ、郵船会社ト契約スルナラ、大体ハ聯合団体ノ名義ヲ以テ致シタイ考デアリマス、併シ其補給スル金ノ賦課法ト云フモノハ、或ハ其買入タ棉花ノ数ニ依テ賦課スルトカ、或ハ又或場合ニ於テハ錘数ニ依テスルトカ、又ハ資本金ニ依テ課スルトカ、何トカ色々ナ御説モアリマセウガ、兎ニ角公平ヲ得タ賦課法デ致シタイノデアリマス、若シ夫等ノ事ニ拘ハラズ、買入レタ俵数ニ応ジテ賦課スルト云フコトニナリマスレバ、俵数デ買入レ又処ニ在テハ、私ハ俵数デハ買入レヌカラ賦課ニ応ジナイト云フカモ知レマセン、夫レデ是等ノ方法ニナツタラ、予メ此輿論ノ帰着スル所ニ那ノ辺ニ至ルカ分リマセンガ、私共ノ考デハ極ク公平ナ所ニ決マルナラバ決メネバナラン者ト考へマス、ソレデ若シ好イト云フコトニナツタラ此事ハ矢張リ聯合団体デ契約セネバ世間ニ対シテモ、内地ノ新聞ハ兎モ角モ外国新聞迄ニ載テ居ル次第デアリマスカラ、決行スル以上ハ聯合団体デ其手続ヲセネバ成リマスマイ、ヤラネバ兎モ角モ、ヤルト云フコトナレバ表面丈ハ然ウセネバナラン、内部ハ同業一般ニ賦課シテ何云フ所カラ出ストカ、仲買ノ綿屋サンノ方カラ出シテ貰ツタラ可カラウト云フ御説モアリマシタガ、其賦課法ニ就テハ色々御考モアリマセウガ、弐拾参番ノ考案ハ先ヅ概略其様ナモノデアリマス
拾四番(南君)弐拾参番カラ述べラレマシタ委員ヲ選ンデ調査ヲスル其方法ハ云々トアリマスガ然ル処其調査方法ト云フモノハ、我々准会員ニハ本件ノ議案ハ容易ナラヌ関係ヲ及ボスモノデアリマスカラ、ドーカ准会員一同ハ必ラズ其レニ参与シテ十分評議スルヤウニ致シマセント、将来容易ナラザル困難ヲ惹起シマセウト存ジマスルカラ、此事ハ本会員諸君ニ商ツテ置キタウゴザイマス
議長 只今ノハ本会員諸君ニ向テノ御照会デアリマスカ
十四番(南君)左様デゴザイマス、本会員ニ向テ余程御注意ヲ願ツテ置キタキト思ヒマスカラ、其事ヲ一言申述べテ置キマス
弐拾参番(田村君)拾四番サンノ御説ハ御尤ナルノミナラズ、我々会員ノ側カラ望ンデモ御願仕タイ位デ、此委員ヲ設クル説ガ幸ニ御採用ト云フコトニナレバ、一言致シタイト思フテ居ル位デアリマスガ、委員説ガドウナルカ分リマセンカラ、何レ決ツタ其節ニ述べタイト思ヒマス
議長 モー他ニ御説ハ無イヤウデゴザイマスカラ、是デ可否ヲ決シマセウト思ヒマス、御説ノ成立テ居リマスルノハ弐拾参番説ノ委員七名ヲ望ンデ起草ヲ托シ、其議案ニ対シテ議サウト云フ、之ニ弐拾番サント参番サント弐拾壱番サンノ賛成ガゴザイマス、弐拾参《(番脱カ)》説ニ同意者ハ起立
   起立    多数
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議長 起立多数デゴザイマスカラ、弐拾参番説ニ決シマス、ソコデ弐拾参番サンニ伺ヒマスルガ、此選挙法ハ何ウ云フコトニ致シマス、御投票ニデモナリマスルカ
弐拾参番(田村君) 私ノ先刻来ノ考デハ、拾四番サンモ関係ノアルコトノミナラズ、当局ノ御方ニ願ハヌコトニハ何日事ノ間違ガ起ルマイトモ限レマセンカラ、願クバ准会員ノ方々ヲ其七名ノ内ノ半数………ト云フ訳ニモ参リマセン、七名デゴザイマスカラ三名サン迄ハ是非御参会ヲ願フコトニ致シタイト思フテ居リマス、皆サンモ其辺ハ御同感デアラウト思ハレマスカラ、准会員サンモ込メテ選挙ニナツタラ好都合デアラウト思ヒマス
議長 選挙法ハドウ云フコトニ致シマセウ、投票ニナルノデアリマスカ
弐拾参番(田村君) 斯ク熱イ時分デアリマスカラ、投票ト云フモ煩ハシウゴザイマセウカラ、議長ノ御指名ニテ結構ダラウト考へマスルガ………
議長 如何デゴザイマセウ、重大ノ件デアリマスカラ一寸投票ヲ煩ハシタイト思ヒマスガ、只今弐拾参番ノ御説モアリマシタカラ准会員ヲ幾名トカ云フコトニシテ………
弐拾番(谷川君) 是ハ議長ノ御指名ヲ願フタ方ガ却テ行届ケバ《(キハ)》致シマセンカ、准会員三名其外ヲ本会員カラ御選定ニナリマスルヤウニ、何レ御指名ノコトユエ、誰方ガ委員ニナルカ分リマセン
    (此時賛成々々ト呼ブ声所々ニ起ル)
議長 夫デハ指名スルコトニ致シマセウ………エー指名ヲ致シマスル即チ
      参番    朝吹英二君
      七番    佐野常樹君
      拾四番   南一介君
      拾七番   渋谷正十郎君
      弐拾番   谷川達海君
      弐拾弐番  河村利兵衛君
      弐拾参番  田村正寛君
此七名ノ諸君ヲ指名致シマス、甚ダ御苦労デゴザイマスガドーカ宜シク願ヒマスル
参番(朝吹君) 一寸申シマスルガ、私ハ当地方ノコトハ知リマセンカラ、コチラノ御方ト御一所ニ御話ヲ致シタ所デ纏マリマスマイト思ヒマスガ………
議長 併シ議長ニ御托シニナツタノデスカラ、私モ極ク適当デアラウト存ジマシテ御指名致シタノデスカラ、ドーカ御受ケヲ願ヒマス
参番(朝吹君) イヤ宜シウゴザイマス致方ガゴザイマセン
議長 サテ右件御承知下サリマシタコトトナリマスレバ、最早今日議スル議案モゴザイマセン、之ガ決定セネバ勢ヒ今日ハ是デ閉会セネバナランコトデゴザイマス、就キマシテハ明日ハ午前八時ヨリ議事ヲ開キマスルユエ、甚ダ炎暑ノ節御苦労デゴザイマスガ、其時刻迄ニ御集リヲ願ヒタイノデゴザイマス………併シ明日ハ恰モ日曜ニ相当致シマ
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スルガ如何デゴザイマセウ、御苦労下サルモノト見認テハ居リマスルガ、其辺ニ就キ一応伺ツテ置キマセント、又御都合モゴザイマセウカラ………
拾五番(伴君) 御開キヲ願ヒタイモノデゴザイマス
参番(朝吹君) 日曜ニ休マヌ職人ヲ使テ居リマスル我々デスカラ、日曜モ何モアリマセン、拾五番サンニ賛成致シマス
拾四番(南君) 併シ調査ガ明朝八時迄ニ出来マセウカ
議長 兎ニ角明朝ノ議事ニ掛リマスヤウニ御考案ヲ下サルト云フコトニ願テ置キマスカラ、ドーカ宜シク願ヒマス、尚モー一ツ願テ置タイノハ、斯ク炎熱ノ時分デゴザイマスカラ、午前八時ニ始メ十一時過ギ午前ノ内ニ散会ヲ致シタイ位ノコトニ考へテ居リマスルカラ、ドーカ御苦労ナガラ成べク正八時ニ御参集ニ成リマスヤウニ偏ニ希望致シマス、夫デハ一寸是レデ休憩致シマス
   時ニ午前十時二十五分 休憩
    ○
○明治廿六年八月六日午前九時二十分開議
議長(亀岡君) エー夫デハ只今ヨリ、昨日ノ議事ニ引続キ開会致シマス、先以テ昨日御托ヲ致シマシタ委員諸氏ノ御調査以後ノ議案等ガ御調ベニ成テゴザリマスレバ、御報告ヲ得マスルコトニ致シタイト心得マス
 一日本郵船会社トノ契約ハ常務委員三名ノ名ヲ以テスル事
 一同社トノ契約ハ一ケ年ト定ムル事
 一総テ孟買ヨリ買入ル、棉花ノ運賃ハ一噸ニ付拾参ルーピーヲ払フ事
 一同盟綿商ノ外ヨリ一切同業者ハ棉花ヲ買入レザル事
 一内外船ニテ競争上一噸拾参ルーピー以下ニ運賃ヲ引下クルト雖トモ、同盟綿商ヨリハ紡績業ニ対シ一噸拾参ルーピー運賃ヲ申受クル事
 一競争上運賃ヲ引下ゲタル結果ニ依リ生ジタル差金ハ之ヲ積置キ、同盟綿商ハ確実ナル方法ヲ設ケ保管スル事
 一競争上反対ノ結果ニ依リ外船ニ於テ運賃ヲ拾七ルーピー以上ニ引上ゲ、又ハ拾参ルーピーニ引下ゲザルトキハ拾参ルーピー以上ノ差金ハ積置金ヲ以テ之ヲ支弁スル事
 一前条ノ場合ニシテ若シ積置金之レ無キトキハ、同盟綿商ニ於テ立換ヘ支弁シ置キ、毎半季各社孟買棉花買入高ニ応ジ賦課徴集スル事
 一運賃引上高ノ差金ニ対シ、積置金ヲ以テ支弁シタル上、剰余金ナキ《(アル)》トキハ毎半季ニ孟買棉花買入高ニ応シ分賦返戻スル事
 一内外ノ商店ヲ問ハズ、確実ナル商店ヨリ同盟ヲ申込ムトキハ、常務委員ノ見込ヲ以テ之ヲ許ス事
 一本案ニ係ル一切ノ経費ハ都テ孟買棉買入高ニ賦課スル事
 一同業中約束ヲ破リ同盟外ノ綿商ヨリ孟買棉花ヲ買入レタルトキハ発見次第何時ニテモ相当違約金ヲ申受クル事
 一孟買ニ於テノ回漕事務所ハ各取引先ノ綿商ヲ以テ組織スル事
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 一本案決議ノ上ハ相談委員五名ヲ撰ミ、常務委員ト協議ノ上、郵船会社及ヒ綿商ニ関スル都テ決定執行方ヲ委託スル事
 一都テ決定後ノ事務ハ聯合会事務所ニ於テ執行スル事
 一郵船会社ノ契約中、殊ニ期節ニ依リ船舶ノ大小又ハ増減ヲ協議シ得ル事ヲ記載スル事
 一日本郵船会社ハ海上保険船積入費其他回漕ニ係ル入費ハ外国滊船会社ト同一ノ価格ヲ以テ支弁セシムル事
二十三番(田村君) 昨日御托シノ件ハ先刻複写版ニ摺リ御手許へ御廻シ致シマシタ通リデゴザイマシテ、昨日委員ガ其レ此レ相談ノ上結局此ノ十七項ニ別ツテ御報告申上ゲタヤウデゴザイマス、是ヨリ委員会ニテ纏マリマシタ其大体ヲ摘ンデ申上ゲマセウガ、詰リ競争ノ結果トシテ十三ルーピート決メマシテモ、幾ラカ其レヨリ高賃ノモノヲ積マンケレバナラン場合モアルカ知レマセヌガ、又競争ノ結果トシテ十三ルーピー以下デ積ムコトモアラウト思ハレマス、併シソレハ想像ノコトデゴザイマシテ、差向キ極点ノ考デハ、信ヲ置クコトガ出来マセンガ、ドウシテモ現今ノ状況ニ徴シ、将来ノ有様ヲ想像シテ見ルニ、ソウト云フコトハアルマイト云フ、ダカラシテ今日ニ在テ売買ノ利益上ト云フ方カラ云へバ、先ヅ為シ得ラレル道カラ開イタラ好カラウト云フノガ、委員会大体ノ決議デゴザイマス、其精神カラ行クニ就テハ、日本郵船会社ニ向テノ希望ト云フモノハ色々ゴザイマスガ、ドウカ会社其者モ最ウ一段勇気ヲ出シテヤツテ貰ハネバナラン、夫ニ就テハ斯ウモ為タラ好カラウ、彼モ仕タラ好カラウト、色々御説モゴザイマシタガ、先ヅ今日迄郵船会社ニ直接ニ当テ、是丈ノ点ナラ行ケヤウト云フ点カラ道ヲ開イタラ可カラウト云フノデ、夫ニ就キ凡ソ十七項ニ別テ御報告申上ゲテゴザイマス通リ、大体ガ決議致シタナラバ、常務委員三名ト其他五名ノ相談委員ト云フ者ヲ設ケテ、夫等ノ方ニ御委セヲ為タラ何ウデアラウカト云フ、尤モコレハ事ノ決定シタ上ノコトデゴザイマスケレトモ、其他尚ホ皆サンニ御心付ノ点モゴザイマスナラバ夫々御申聞ケヲ願ヒタイコトデアリマス、先ヅ大体此十七項ニテ要領丈ケハ尽シタモノデアラウト云フノデ、斯ク御報告ヲ申上ゲタ次第デゴザイマス、尚細密ナコトニ至テ御質問等モゴザイマスレバ、他ニ委員モゴザイマスカラ御答ニ成ラウト考へマス、又自分モ御答ヲ致シマスルガ、先ヅ大略昨日ノ結果丈ケ御報告致シマス
  ○委員作製ノ原案十七条ニ就テハ逐条審議ヲ行ヒ、十日ニ至リ若干ノ修正ヲ加へテ可決セラレタリ。審議ノ詳細ハ煩瑣ニ亘ルヲ以テ総テ省略ス。
  ○「決議条項」ハ紡績聯合会ニ所蔵セズ。ヨツテ「孟買棉花回漕事情」ヨリ左ニ引用ス。


孟買棉花回漕事情 第二二―二八頁(DK100036k-0002)
第10巻 p.410-412 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。

本邦綿糸紡績史(絹川太一編)第四巻・第四二三―四三七頁 〔昭和一四年二月〕(DK100036k-0003)
第10巻 p.412-414 ページ画像

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大日本紡績聯合会月報 第一三一号・第七―一四頁 〔明治三六年七月〕 ◎大日本紡績聯合会沿革史(八)(DK100036k-0004)
第10巻 p.414-418 ページ画像

大日本紡績聯合会月報 第一三一号・第七―一四頁 〔明治三六年七月〕
    ◎大日本紡績聯合会沿革史(八)
震災の害は既に我同業者中、尾張外四五の紡績会社に打撃を与へ、自然工場の建築法に警覚し又器械建物償却に留意せしめたりしか、明治二十六年十二月二十日《(五)》に至り祝融の災は更らに大阪紡績会社を襲ひ、為めに男女職工死傷する者百二十余名に及ひ凄惨の状一見人をして酸鼻に堪ゑさらしめたり、此報一たひ四方に伝はるや相争ふて金品を義捐し、其額無慮壱万七千円に上り一会社に対する義捐金としては実に異数の多額に上れり、而して惨聞の遂に九重の天に達し特に救恤金も百五十円を賜はる、枯骨栄を荷ふや多し、我同業者は聖旨の寓する所別に之あるを拝察し、此殊恩を荷ふもの独り同会社のみにあらさるを信し廿六年四月の総会に於て議決の上、上表天恩を拝謝せり
規約の厳にして又職工取締に関する付則の密なる、此頃新設の会社に便ならす、既に幾分か操業するものにして加盟を申込まんとするも過去の事歴に於て制裁を免かるゝを得す、為めに依然同盟外に在りて営業するの已むなきものあり、同業者利害共通の本義に戻り且該付則は半歳余の経験に於て各地画一の制を執る能はさるを証したれは、地方の便宜に従ひ之を取捨し、只大本のみ規約に規定すへきの要を認め、当会社に於て復又之を修正せんとの建議出て調査委員長たるを撰挙したり
経費の賦課法は去る廿二年の定期総会に於て規模の大小に依り之を賦課することとなしたりしか、当初経費の大目たる月報の編輯は地方僻
 - 第10巻 p.415 -ページ画像 
陬に偏在し技術上の智識に迂なるものに対し、最も便益なるの故を以て地方の紡績会社は比較的多くの経費を負担せしにより、一旦標準を定め更革する所あり、稍々其平衡を得るに幾かりしも尚ほ従来の余弊を蝉脱せす、小工場は大工場を保護するに似たるの状ありて甚た其当を得ず、当時各地に設立せられたる小工場(総数約二十七八万錘にして五千以上壱万本のもの多し)を招来して加盟せしむるにも不便なるを以て、廿六年四月の総会に於て之を改正し一切総錘数に割当て之を賦課することゝなしたり
毎会修正を免かれさるものは規約にして、其改善は亦実に我紡績業の進歩を示すの標識と為すに足らすとせす、而も此頃新設会社の少なからさる、之れを招来して加盟せしめんには固より其便宜を計らさるへからさると同時に、一層の厳制を立ら《(て)》さるへからさるの要ありて当会に至り終に六章四十九条を規定し、更に職工取扱準則九章三十二条を定めたり、当時人之を称して綱目皆張るとなしたるもの盖し所以なきにあらさるへし、而して規約第五条に於て一地方限り特に其地方同盟者の利害に関する規約を定むることを許したれは、玆に中央綿糸紡績業同盟会なるもの起り同盟者間の職工に係る事務を取扱ひ以て聯合会に隷属したり
常務委員の改撰は例に仍りて行はれたりしか、委員長を除き天満・摂津の両委員は退き、尼崎又泉州の二社代りて当選せり
従来印度棉は専ら彼阿会社の船便に依りて輸入し常に不廉の運賃を支払ふたるのみならす、時としては方外の運賃を徴せらるゝことあり、為めに製産費を増加し紡績業者の不利少々ならす、渋沢栄一氏等之を憂ふること深く前きに孟商と相謀る所あり、議熟するに及ひて又日本郵船会社に交渉せられ、其結果同社も日孟の棉業者にして協商の上後援を吝むなくんは之を承諾せんとの意を洩したるに因り、此年○明治二六年六月、鐘淵紡績会社の朝吹英二氏及三井物産会社の端善二郎氏は命を銜んで大阪に来り、十日会席上に於て同業者同盟して之を援け日本郵船会社と特約せんことを協議せらる、然るに其事の重大なる一夕の能く決する所にあらさるを以て、更に十二日を卜して銀水楼に会し商議数刻、結局其運送を郵船会社に委托することとし、又若し外船と競争上、約定運賃より低下する場合は其差金を保護として郵船会社に支払ふことに決し、同社も亦之を承諾せり、因て直ちに臨時総会を開き広く全国の同業者に諮ることゝなし、理事は其翌十三日を以て東上し郵船会社に交渉したり、議の相諧ふや八月五日を以て臨時総会を大阪商業会議所に開き、議案三項を掲けて契約の大綱となし決議要領廿二条を議決して同盟を約束し、併せて補給の方法を定めたり
聯合会の支属としては十日会あり五日会あり月曜会あり、咸な是れ融和商量の便宜たりしか中央同盟会は別に懇話会なるものを組織し、規約の応用を円滑にし職工の遷善を計図したり、於是技抄旁午鬱乎として麟趾振々の概あり
伊予紡績会社は機械据付の為め職工の必要を感じて、浪華・平野両社傭使期限中の職工を誘引したるの証跡露はるゝに及ひ、理事は運動委員と共に同社に臨み訊究検査する所あり、略ほ其実を得たりしも同社
 - 第10巻 p.416 -ページ画像 
の加盟するに至り事局成を告けたり是れを運動委員任撰の初となす
先是決議要領を議して同業者の確認書を徴し了るや、十月一日を以て相談委員及理事は東上して郵船会社と契約草案を商定し、遂に常務委員の名を以て本契約を締結したり、斯くて初航船広島丸は十一月七日○明治二六年を以て、歓呼声裡に神戸港を発し孟買に向ひたれは、先つ熱望の第一段を遂けたるを以て常務・相談の両委員八名は、決議要領第十七項に拠り内外の斯業関係者を羅致し不逞の門を杜かんか為め、准会員にあらさる棉商の同盟に関する規則を草定し、之を特約同盟員と称し契約の標準を按定したり、後「フレザー」商会及「イリス」商社は相前後して特約同盟者として加盟し、永く率先者の名を残したり
棉業取引所は曩に議決の上各地有志者の任意設立に委したりしか、大阪に於ては中村惣兵衛・岩田宗三郎・斎藤善徳・山木治兵衛・芦田芳蔵及佐野常樹等の諸氏之を発起し、棉花・木棉・綛糸の三品を取引することゝなし、此年十月其筋の認可を経、月尾創立総会を開き役員の撰挙を行ひたり
  ○ボンベイ棉花運送ニ関シテ、日本郵船株式会社ト大阪紡績株式会社・鐘淵紡績株式会社・三重紡績株式会社・内外綿会社及ビ日本棉花株式会社トノ間ニ締結サレタル約定書ハ本資料「日本郵船株式会社」明治二六年一一月七日ノ項ニ収メタレドモ、重ネテ次ギニ掲グ。
   川村利兵衛翁小伝 第七〇―七五頁 〔大正五年四月〕
       約定書
    「ボンベー」棉花運送ノ事ニ関シ、日本郵船会社ト大阪紡績株式会社・鐘淵紡績株式会社・三重紡績会社・内外綿会社及日本棉花株式会社トノ間ニ協議約定スル所左ノ如シ
   第一条 日本郵船会社ハ此約定ノ条件ニ依リ、大阪紡績株式会社・鐘淵紡績株式会社・三重紡績会社・内外綿会社及日本棉花株式会社ガ印度「ボンベー」ヨリ輸入スル棉花ヲ運送スベシ
    前項大阪紡績株式会社外四会社ヲ併称シ、以下各条之ヲ組合会社ト謂フ
   第二条 日本郵船会社ハ英国ロイド会社ノ登記ヲ経、第一等ニ該当スル汽船ヲ使用スベシ
   第三条 前条ノ航海ハ天災其他不時ノ出来事ニテ航海ニ堪ヘサル場合ヲ除キ、通常毎三週一回ヲ目的トシ、少ナクトモ毎四週一回「ボンベー」ヨリ出船シ、適宜ノ港津ヲ経テ相当ノ期間ニ神戸ヘ到達スベシ
    日本郵船会社ハ其便宜ニ依リ「ホンコン」又ハ他ノ港津ニ於テ積替ヲナス事アルベシ
   第四条 日本郵船会社ニ於テ前両条ノ約束ヲ履行セズ、組合会社ノ輸入棉花五万俵ヲ一ケ年ノ期間ニ運送シ得ザル場合ニ於テハ、其運送不足俵数ニ相当スル噸数ニ対シ、毎噸四「ルーピー」ノ割合ヲ以テ日本郵船会社ヨリ組合会社ヘ補償金ヲ支払フベシ
   第五条 組合会社ニ於テ棉花運送ノ為メ「シンガポール」「ホンコン」「シヤンハイ」ノ外、更ニ他ノ港津ヘ寄船ヲ要シ、其積荷一港ニ付千俵以上アリテ、本船「ボンベー」出船前相当ノ期間ニ於テ通知スル時ハ、毎三週一回ノ航海ニ差支ナキ限リハ、日本郵船会社ハ其請求ニ応ズベシ
   第六条 組合会社ガ「ボンベー」ヨリ積入ルヽ棉花ノ運賃ハ、荷物本船受渡シニテ、長崎神戸又ハ横浜ニ至ルマデ一噸(四拾立方尺)ニ付印度貨十七「ルーピー」ト定メ、日本郵船会社ハ其内四「ルーピー」ヲ割引スベシ、沿道寄港ノ地ヨリ積入ルヽ棉花ハ、現今普通ノ運賃ヲ標準トシ、二割五分ヲ割引スべシ
 - 第10巻 p.417 -ページ画像 
   第七条 組合会社ハ一ケ年少ナクトモ壱会社壱万俵即チ通計五万俵ノ棉花積荷ヲ担保シ、万一積荷ノ高通計五万俵ニ上ラザルトキハ、組合会社ハ一噸十三「ルーピー」ノ割合ヲ以テ、五万俵ニ対スル不足俵数ノ運賃ヲ日本郵船会社ニ補充スべシ
   前項補充ノ金額ハ組合会社中其積荷一会社一万俵ニ上ラザルモノ、其不足俵数ノ多少ニ割合セテ之ヲ支出スルモノナレドモ、日本郵船会社ニ対シテハ組合会社連帯ニテ任ズベシ
   第八条 日本郵船会社ハ組合会社外ノ棉花ヲ日本ヘ運送スルトキハ、総テ壱噸ニ付十七「ルーピー」ノ割合ヲ以テ運賃ヲ収入シ、其内四「ルーピー」ヲ組合会社ニ譲与スベシ、但約定外ノ棉花運賃十七「ルーピー」以下十三「ルーピー」以上ナル時ハ、其差金ヲ譲与スベシ、十三「ルーピー」以下ニ降リ、船腹ニ空虚ヲ生ズル場合ニ於テハ、日本郵船会社ハ及ブベキ限リ棉花以外ノ荷物ヲ以テ之ヲ充タス事ヲ勉ムベシ、而シテ尚荷物不足スルトキニ限リ、棉花ヲ積入ルヽコトヲ得
   第九条 組合会社ニ於テ棉花ニアラザル他ノ貨物ヲ印度地方ヨリ輸入スルトキハ、日本郵船会社ハ其種類ニ依リ、積入当時普通ノ運賃ヨリ相当ノ割引ヲナスベシ
   第十条 内外国汽船会社ニ於テ棉花ノ運賃ヲ十三「ルーピー」以下ニ引下グルモノアルトキハ、日本郵船会社モ第七条ニ掲グル担保ノ俵数ニ超過スル積荷ニ対シテハ、同一ノ割合ヲ以テ運賃ヲ引下グベシ
   第十一条 日本郵船会社ハ此約定荷物ト「ボンベー」約定荷物ト輻湊スル時ト雖モ常ニ公平ヲ旨トシ、本船容量ノ半数マデハ組合会社ノ荷物ヲ積入ルベシ、其公平ヲ維持スルガ為メ、組合会社ガ其取引先ノ綿商ヲシテ「ボンベー」ニ於ケル回漕事務ニ参与セシムル事ヲ要スルトキハ、日本郵船会社ハ其請求ニ応ズベシ
   第十二条 日本郵船会社ハ組合会社ノ積荷ヲ差措キ、他人ノ荷物ヲ積入ルベカラズ
   第十三条 日本郵船会社ハ一ケ年組合各会社ノ社員二名ヲ限リ、食卓料自弁ヲ以テ往復乗船ヲ許スベシ
   第十四条 組合会社ノ積荷多キニ随ヒ、船舶ノ更替又ハ航海回数ノ増加ヲ要シ、其得失相償フベキ見込アルトキハ、日本郵船会社ハ其請求ニ応ズベシ
   第十五条 日本郵船会社ニ於テ、若シ日本政府ヨリ「ボンベー」航海ニ対シ、特別ノ保護ヲ受クル事アル場合ニ於テハ、該会社ハ組合会社ニ相当ノ譲与ヲナスベシ
   第十六条 日本郵船会社ニ於テ其便宜ニ依リ、他ノ運送者ヲシテ此約定運送ノ事ニ参加シ、若クハ連合セシメント欲スルトキハ、組合会社ハ之ヲ承諾スベシ
   第十七条 本邦又ハ印度ニ於テ天災若クハ人事上予期スベカラザル異変ヲ生ジ、棉花ヲ輸入シ又ハ輸出シ能ハザルニ至リタルトキハ、協議ノ上、此約定ノ一部若クハ全部ノ施行ヲ中止シ、若クハ廃止スルコトアルベシ
   第十八条 紡績業者及綿商業者ニ於テ此約定ニ加名セント欲スル者アルトキハ、此契約者双方協議ノ上其許否ヲ決スベシ
   第十九条 組合会社ハ日本郵船会社ニ対シ、第七条補充金連帯責任ノ場合及分ツコトヲ得ベカラザル条件ヲ除クノ外、此約定ニ依リ各自権利ヲ得義務ヲ負フベシ
   第二十条 此約定ハ一ケ年ヲ以テ期限トス、但シ契約者ノ一方ガ約定期間ニ其義務ヲ完クシ、尚向フ一ケ年約定継続ヲ申出ル時ハ、他ノ一方ハ之ニ応ズベシ
   右ノ通約定シタル証拠トシテ正本六通ヲ作リ、双方記名調印シ、各一通ヲ
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分有スルモノ也
     明治二十六年九月九日
                    日本郵船会社
                         内田耕作
                         浅田正文
                         加藤正義
                    大阪紡績株式会社
                         川村利兵衛
                    三重紡績会社
                         伊藤伝七
                    内外綿会社
                         渋谷庄十郎
                    日本棉花株式会社
                         佐野常樹
                    鐘ケ淵紡績株式会社
                         朝吹英二
  ○「川村利兵衛翁小伝」所載ノ契約書ハ同家所蔵ノ正本ニ拠リタルモノナリ。蓋シ聯合会ト郵船会社トノ契約成立ノ後、不用ニ帰シタルヲ以テ同人ノ手ニ保存セラレシナルベシ。各署名ノ下ノ捺印ハ抹消シアリ。
  ○聯合会ト郵船会社トノ契約書全文ハ「孟買棉花回漕事情」第二十八頁以下ニアリ。明治二十六年十月附ニシテ同ジク二十条ヨリ成リ、五会社トノ契約書ニ比較シ、組合会社ヲ聯合会社ト改メタル外殆ド異ル所ナシ。
  ○コノ頃ニ関シテハ、本款明治二十二年七月ノ項(第二三七頁)殊ニソノ中「川村利兵衛翁小伝」ヨリ所引ノ記事参照。
  ○尚、本資料第八巻所収「日本郵船株式会社」明治二十六年十一月七日ノ項(第一五一頁)参照。