デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治33年7月14日（1900年）

是日栄一、二十六年十一月五日以来毎期重任セル京都織物株式会社取締役会長ヲ辞シ、取締役ト為ル。是ヨリ後毎期取締役ヲ重任シテ明治三十七年十二月ニ至ル。

（京都織物株式会社）営業報告　第二六回　明治三四年一月
　　　　株主総会
明治三十三年七月十四日京都市下京区河原町通四条上ル備前嶋町共楽
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館支店ニ於テ定時総会ヲ開キ、第二十五回営業報告ヲ為シ、利益金分配案ヲ決議シ、直ニ出席株主ヘ配当金払渡ヲ為セリ
引続キ臨時総会ヲ開キ、取締役辻川新三郎、監査役渡辺伊之助辞任ニ依リ補欠撰挙ヲ行ヒシニ、左ノ通リ当撰並ニ承諾セリ
　　　　　　　　　　　　　　　　　取締役　　渡辺伊之助
　　　　　　　　　　　　　　　　　監査役　　辻川新三郎
○下略

（京都織物株式会社）営業報告　第二六回　明治三四年一月
　　　　役員及職工
一七月一日　監査役渡辺伊之助辞任セリ
一同日十四日　取締役辻川新三郎補欠渡辺伊之助当撰就任セリ
一同日　監査役渡辺伊之助補欠辻川新三郎当撰就任セリ
一同日　取締役会ノ互撰ヲ以テ田中源太郎ヲ取締役会長ニ、渡辺伊之助ヲ専務取締役ニ撰定セリ
○下略
　　○栄一取締役会長ヲ辞任シテ取締役トナル。

（京都織物株式会社）営業報告　第二九回　明治三五年七月
　　　　株主総会
明治三十五年一月十四日京都市下京区河原町通四条上ル備前島町共楽館支店ニ於テ定時総会ヲ開キ、第二十八回営業報告ヲ為シ、利益金分配案ヲ決議シ、直チニ出席株主ヘ配当金払渡ヲ為セリ
次ニ取締役田中源太郎・渋沢栄一・磯野小右衛門・中井三郎兵衛・渡辺伊之助、監査役船橋繁之助・辻川新三郎、満期改撰ヲ行ヒシニ満場一致ヲ以テ再撰重任ニ決シ、直チニ承諾就任セリ

京都織物株式会社五十年史　第一六一―一六二頁　〔昭和一二年一一月〕
　○第一部第三章　業績
　　　　第二節　第二期（明治三十一年より同四十年に至る）
　　　　　三、明治三十三年
○上略
　田中源太郎氏取締役会長就任　　三月十二日専務取締役辻川新三郎氏専務を辞任し取締役互選を以て田中源太郎氏専務取締役に就任。また七月十四日取締役会長渋沢栄一氏会長辞任につき、取締役の互選を以て田中源太郎氏取締役会長に渡辺伊之助氏専務取締役に就任した。

渋沢栄一　日記
　○明治三二年
九月廿日　雨
午前辻川新三郎来、織物会社ノコトヲ談ス　○下略
十二月二十四日　晴
○上略　午後兜町ニ帰宅ス、田中・船坂二氏来ル、午後五時築地香雪軒ニ抵リ田中源太郎氏ト共ニ藤田農商務次官・木内・美濃部・崎川・手島
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精一ノ諸氏ヲ招宴ス、船坂八郎仏蘭西ヨリ帰朝セシニヨリ其修業中ノコトヲ報告スル為ナリ　○下略

　○明治三三年
一月九日　晴
午前　○中略　辻川新三郎氏来ル、織物会社ノ要務ヲ談シ田中源太郎氏ヘ書送《（状）》ヲ裁ス　○下略
六月廿二日　曇
○上略　午前田中源太郎氏来、織物会社ノコトヲ談ス　○下略
十二月九日　晴　風強ク寒甚シ
午前九時過大坂発ノ滊車ニ搭シ、十一時西京ニ抵ル、○中略　午餐後荒神口織物会社ニ抵リ、田中源太郎・渡辺伊之助・辻川・中井・船坂ノ諸氏ニ面会シ、営業ノ概況ヲ聴キ且工場ヲ一覧ス　○下略
　　○韓国旅行ノ帰途立寄リタルモノナリ。

　○明治三六年
四月廿八日　晴　午後雨
○上略　十一時織物会社ニ抵リ、田中源太郎・渡辺伊之助氏等ニ面会シ工場ヲ一覧ス　○下略
　　○四月二十一日ヨリ京阪地方旅行中ナリ。

（八十島親徳）韓国旅行日誌　明治三三年
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（八十島親義氏所蔵）
　　　　十二月九日
川端ノ京都織物会社ニ至リ田中・渡辺・中井・辻川・舟橋ノ諸氏ト会談、終テ工場ニ導カル、羽織裏地・半襟地等ノ手織ヨリ都繻子・生繻手等《（子）》ノ器械機場ヲ始メ、燃糸場《（撚カ）》・仕上場・染工場等ヲ巡覧ス、器械ノ精巧驚クヘキハ勿論、前日見タル紡績工場○大阪紡績会社等ト違ヒ清浄且優美ニ見エ、工女ノ頭髪ヨリ着衣等ノ美ハ容色ト相映シテ、紡績工女ノ垢面汚衣ト同一ノ談ニ非ス
中ニ青淵先生肖像ヲ美術写真織ニ附スル処アリ、技師舟坂八郎氏先キニ仏国里昂ニテ伝習シタル処ノモノヲ、玆ニ同先生還暦祝賀ノ為、初メテ試ミ成功シタルモノナリト云フ
　　○此日大阪ヨリ京都ニ至ル。

渋沢栄一　書翰　田中源太郎宛　（年未詳）五月七日　（田中一馬氏所蔵）
過日ハ尊書御恵投被下候処、取込中拝答延引仕候、然者小生此度之旅行ニ付御懇切之来示拝承仕候、格別之用事とても無之候得共、老後之漫遊として一巡相試候積ニ候、もし出立前拝眉も出来得さる時ハ留守中之事共何卒可然御願申上候、殊ニ織物会社之義ニ付てハ昨今不景気之為計算も不充分之由ニ候得共、尚御高配ニて幾分ニても回復候様御尽力頼上候
○中略
　　五月七日　　　　　　　　　　　　　　　　渋沢栄一
　　　　田中源太郎様
　　　　　　　　　拝復
　○書翰中ノ旅行ハ韓国旅行ノコトナラン、然リトスレバ明治三十三年カ。