デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
15節 造船・船渠業
1款 株式会社東京石川島造船所
■綱文

第11巻 p.606-616(DK110093k) ページ画像

明治22年1月10日(1889年)

石川島平野造船所其組織ヲ改メ有限責任東京石川島造船所ヲ設立セントシ、是日東京府庁ニ出願ス。同月十七日許可ヲ得。栄一委員タリ。


■資料

願伺届録 会社明治二二年(DK110093k-0001)
第11巻 p.606-613 ページ画像

願伺届録 会社明治二二年 (東京府庁所蔵)
    東京石川島造船所設立願
                東京々橋区佃島五十四番地
                 東京石川島造船所
右者是迄平野富二名義ニテ営業罷在候処、今般別冊定款ニ拠リ会社組織ニ相更メ、東京石川島造船所之名称ヲ以テ本年一月ヨリ開業仕度奉存候間、右御認許被成下度、此段別冊定款相添ヘ奉願候也
            東京石川島造船所
             発起人総代
  明治廿二年一月十日    京橋区木挽町九丁目十一番地
               新潟県平民 梅浦精一(印)
               京橋区築地弐丁目十六番地
               東京府平民 平野富二(印)
    東京府知事 男爵 高崎五六殿
 - 第11巻 p.607 -ページ画像 

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 収受  乙四〇号  判決  一月十七日  送達  一月十七日第三九八号 



明治廿二年一月月十六日日受出
  (高崎)         (丸田)
 知事 農商課長(印)
    石川島造船所設立願
                発起人総代
                      梅浦精一
                      平野富二
    指令案
書面願之趣追テ一般ノ会社条例制定相成候迄、人民ノ相対ニ任候条其旨可相心得事
 (理由)本願ハ是迄平野富二名義ヲ以、営業致居候石川島造船所ヲ会社組織ニシタルモノナリ、右発起人ハ資産家之聞アル者共ニ付別ニ身元調ヲ要セス、且定款中不都合ノ廉ナキヲ以、本案ノ指令ヲ付ス

    石川島造船所定款
石川島造船所ヲ創設スルニ付キ其株主ノ衆議ヲ以テ決定スル所ノ定款左ノ如シ
   第一章 総則
第一条 本所ハ滊船風帆船及諸機械ノ製造ヲ引受ケ又ハ各般ノ工業ニ関スル諸機械材料買入請負等ヲ以テ営業ノ目的トス
第二条 本所ノ名号ハ石川島造船所ト称ス
第三条 本所ハ東京佃島五十四番地ニ設置スベシ
第四条 本所ノ営業年限ハ明治二十二年一月ヨリ満三拾ケ年トス
   但シ株主総会ノ決議ニ依リ延期スルヲ得ベシ
第五条 本所ハ有限責任トシ負債弁償ノ為メニ株主ノ負担スベキ義務ハ株金ニ止マルモノトス
第六条 本所ノ営業ハ第一条ニ定メタル目的外ノ業務ニ干預スヘカラズ
   第二章 資本金
第七条 本所ノ資本金ハ拾七万五千円ト定メ壱株ヲ金百円トシ、総計千七百五拾株ノ内発起人ニ於テ其四分ノ一以上ヲ負担シ、残額ヲ他ノ内国人民ヨリ募集スベシ
   但シ営業ノ都合ニ依リ株主ノ決議ヲ以テ此株高ヲ増減スルヲ得ベシ
   第三章 役員
第八条 本所株主ノ投票ヲ以テ三拾株以上ヲ所有スル株主中ヨリ人員三名ヲ撰挙シ、之ヲ本所ノ委員トナスベシ
第九条 委員ハ其会議ノ決議ヲ以テ本所株主中若クハ株主外ヨリ所長以下ノ職員ヲ撰挙シ、本所全体ノ事ヲ総理スルノ権アルニ付キ、株主ニ対シテ其責ニ任スベシ
第十条 委員ハ本所営業ノ都合ニヨリテハ他ニ向テ負債ヲ起スコトヲ得ベシト雖モ、其証書ハ必ラス委員一同之ニ連署スヘキモノトス
第十一条 委員ハ少クモ毎月一回本所ニ於テ会議ヲ開キ、本所ノ要務
 - 第11巻 p.608 -ページ画像 
ヲ議決スベシ
第十二条 委員ハ所長ノ稟議ニ依リ本所ノ諸職員ヲ任免黜陟シ、及其給料旅費賞与金等ノ配付ヲ定ムルノ権アルベシ
第十三条 委員ハ所長ノ稟議ニ依リ本所ノ営業ニ関スル諸規則ヲ制定施行スルヲ得ベシ
第十四条 委員ハ上任ノ日ニ当リ所持ノ株式三拾個ヲ本所ヘ預ケ置クヘシ、本所ハ之ヲ格護シ、其券状ノ保護預リ証書ニ禁授受ノ印ヲ押シ之ヲ渡スベシ
第十五条 委員ノ任期ハ二ケ年間トシ、三ケ年目ヨリ株主総会ノ投票ヲ以テ其中壱名宛ヲ抽籤法ニ拠テ順次交代スルモノトス
   但シ再撰挙ヲ得タルモノハ重任スルヲ得ヘシ
第十六条 委員中若シ不時ノ欠員アル時ハ株主臨時総会ヲ催シ其代人ヲ撰挙セシムベシ
第十七条 委員ハ同僚中ニ職任不適当ノ所為アリト認ムルトキハ、株主臨時総会ヲ開キ三分ノ二以上ノ多数説ニ従ヒ之レヲ退職セシムルヲ得ベシ
   但シ此場合ニ於テ其行為不適当ノ理由ヲ株主ニ証明スベシ
第十八条 委員ノ勤務ニ対スル報酬ハ第五十二条ノ賞与金ノ内ヲ以テ之ヲ仕払フベシ
   第四章 職員
第十九条 本所職員ノ職名ハ左ノ如シ
   所長
   支配人
   理事
   機関製図部長
   造船製図部長
   機関部長
   造船部長
   倉庫課長
   会計課長
   書記
   但シ職員ハ事務ノ都合ニ依リ其主任外他ノ事務ヲ兼勤セシムルコトアルベシ
第二十条 所長ハ委員ノ議決ニ基キ本所ノ庶務一切ヲ統轄シ、業務ヲ暢達整頓スルノ責ニ任スヘシ
第二十一条 支配人ハ所長ノ命ヲ受ケ諸般ノ事務ヲ整理シ所長不在ノ節ハ之レカ代理ヲ為スヘシ
第二十二条 理事ハ所長ノ命ヲ受ケ支配人ト協議ノ上内外各般ノ事務ヲ所弁シ、支配人不在ノ節ハ之レカ代理ヲ為スベシ
   但シ理事ハ事務ノ都合ニヨリ便宜二名若クハ三名ヲ置クコトアルベシ
第二十三条 機関製図部長ハ諸機関製造ニ関スル設計調査ヲ為ス等、都テ其責ニ任スベシ
第二十四条 造船製図部長ハ造船ニ関スル設計調査ヲ為ス等都テ其責
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ニ任スヘシ
第二十五条 機関部長ハ其製図部長ノ設計ニ基キ工事一切ヲ担当シ、職工ヲ督励スルノ責ニ任スベシ
第二十六条 造船部長ハ其製図部長ノ設計ニ基キ工事一切ヲ担当シ、職工ヲ督励スルノ責ニ任スベシ
第二十七条 倉庫課長ハ所長及支配人ノ命ヲ受ケ工業用諸般ノ材料買入方一切ヲ担当シ、常ニ倉庫所在ノ物品ヲ整頓調理スル等ノ責ニ任スベシ
第二十八条 会計課長ハ所長及支配人ノ命ヲ受ケ金銭出納簿記計算等ヲ調理スル等ノ責ニ任スヘシ
第二十九条 書記ハ文書ノ往復及記録向等一切ヲ担当シ、之レヲ保存整理スルコトヲ務ムベシ
第三十条 所長以下分掌事務細則及規定ハ委員会ノ決議ニ依リ本所ノ営業規則ニヨリテ之ヲ定ムベシ
第三十一条 本所ノ職員ハ諸有金及諸物品ヲ規程外ニ出入使用スベカラザルハ勿論、仮令本所営業用タリト雖モ他ヨリ借用金ヲ為スコトヲ得ス
第三十二条 本所ノ職員万一勤務上不都合ノ行為アレバ之ヲ解職スルハ勿論、若シ其行為ヨリ損耗ヲ生スルトキハ其者ニ賠償セシムベシ、本人其義務ヲ果サヾレバ引受証人ヲシテ之ヲ弁償セシムベシ
第三十三条 本所職員ニ採用スルモノハ一ケ月見習トシテ勤務セシメ然ル後慥ナル身元引受人ヲ立テ引受証書ヲ出サシメテ其等級ヲ定ムヘシ
   但シ委員会ノ議決ニ依リ特ニ採用スル者及職工ノ雇人ハ此限ニアラズ
   第五章 株主ノ権利主任
第三十四条 本所ノ株主ハ即チ本所ノ資本主ナルヲ以テ株数相当ノ権利ヲ有シ、且本所ノ営業ニ差支ナキニ於テハ何時ニテモ金銭出納簿帳簿計算ヲ撿査スルヲ得ベシ
第三十五条 本所ノ株主ハ委員会ノ議決ニ不適当ノ事アルヲ認ムルトキハ、第四十三条ノ順序ニ照ラシ臨時総会ヲ催シ、三分ノ二以上ノ多数説ヲ以テ委員ノ全数又ハ幾名ヲ解任スルノ権アルヘシ
第三十六条 本所ノ株主ハ其所有株拾個マテハ一株毎ニ一個宛ノ発言投票ヲ為スノ権アリ、而シテ十一株以上百株迄五株毎ニ一個宛ヲ増加シ、百一株以上十株毎ニ一個宛ヲ増加スベシ
第三十七条 本所ノ株主タル者ハ其引受タル株式一個ニ付株券状壱通ヲ受領スルヲ得ヘシ、其券状之書式ハ左ノ如シ
  第何号
    有限責任石川島造船所株券状
         何府県何国何郡区何町村何番地
             何某殿
   石川島造船所ノ定款ヲ遵守シ明治何年何月何日ヨリ本所株式ノ内百円即チ壱株ノ株主タル事相違ナキ証拠トシテ、此券状ニ所印及主任ノ印章ヲ鈐シテ之レヲ交付スル者也
 - 第11巻 p.610 -ページ画像 
   此券状ヲ売却又ハ譲与セント欲スル時ハ定款第五章第四十一条ノ手続ヲ経テ後此株券ヲ本所ニ持来スヘシ、本所ハ至当ノ撿査ヲ遂ゲ券状裏面ニ主任者鈐印シ及其時日ヲ記載シテ、以テ所有ノ転換ヲ証明スベシ
                   石川島造船所
                       委員会
第三十八条 右株式券状磨滅敗裂等ノ事アルトキハ其趣ヲ書面ニ認メ之レカ書替ヲ乞フベシ
  若シ又焼亡紛失スルコトアレバ其事実ヲ明瞭ニ認メ、二人以上ノ証人ヲ立テ各之ニ記名調印シ、更ニ新券状ノ交付ヲ乞フベシ
   但シ株券状ヲ書替フルトキハ本所ニ於テ定メノ手数料ヲ払フベシ
第三十九条 前条株式券状焼亡紛失等ノ場合ニ於テハ、本所ハ之ヲ新聞紙ニ広告シ、三十日経テ後新株式券状ノ交付ヲ為スベシ
   但シ広告料ハ株主ヨリ本所ニ仕払フヘシ
第四十条 株主ハ何等ノ事故アルモ本所営業年限リ間《(マヽ)》ハ其株金ヲ取戻スコトヲ得サルヘシ
第四十一条 株主ハ委員ノ許諾ヲ経タル後第六十条ノ手続ヲ為セハ其所有株式ヲ売却譲与スルヲ得ベシ
   第六章 株主総会
第四十二条 株主総会ハ定式臨時ノ二類ト為シ、定式総会ハ毎年一月委員会ノ議決ヲ以テ指定シタル時日ニ之ヲ開キ、臨時総会ハ委員会ノ議決ニ拠リ適当ナリト認ムル場合ニ於テハ何時ヲ論セス、之レヲ開設スルヲ得ベシ
第四十三条 株主中其株数本所惣株高ノ五分ノ一ニ下ラザルモノニシテ臨時総会ヲ要スルトキハ、之レヲ委員会ニ通牒シテ開会スルヲ得ベシ
第四十四条 右ノ通牒ニハ其総会ヲ要スル事件ノ目的ヲ詳明ニ記載スヘシ、而シテ委員会ニ於テ理由ナク開会ノ手続ヲ怠ルコト二週間以上ニ及フ時ハ、通牒者自カラ招集開会スルヲ得ベシ
第四十五条 第四十三条・第四十四条ノ手続ヲ以テ開会シタル総会ニ於テ、株主出席ノ数第五十一条ノ限員ニ満タザル時ハ、此議案ハ全ク之レヲ棄却スベシ
第四十六条 株主総会ノ議案ハ定式臨時共ニ予テ委員会ノ議決ヲ以テ之レヲ定メ、書面又ハ口頭ヲ以テ之レヲ提出スヘシ(第四十三条第四十四条ノ場合ヲ除クノ外)故ニ其総会ニ於テハ委員ノ許可ヲ得ルニ非ラサレハ議題外ノ事ヲ討議スルヲ得ズ
第四十七条 総会ノ決議ハ過半数ヲ以テスベシ(第十七条・第三十五条及第六十五条ヲ除クノ外)故ニ病気其他事故アリテ会同セザル株主ハ、必ズ本所ノ株式ヲ有スルモノヲ以テ(委員並ニ職員ヲ除ク)代人ニ立テ之ニ其委任状ヲ授クベシ、此規定ヲ履マサル者ハ決議ノ後異議ヲ発スルトモ決シテ採用スヘカラズ
第四十八条 右代人ニ付与スヘキ委任状ノ書式ハ左ノ如シ
    代理委任之事
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   石川島造船所株主何某儀何某ヲ以テ代人ト為シ、左ノ権限ノ事ヲ委任致候事
   一何年何月何日何々総会ヘ出席投票発言ノ事
    年 月 日              何 某 印
   石川島造船所御中
第四十九条 株主遠隔ノ地ニ住シ又タハ旅行ヲ以テ会同シ難キ者ハ、定式臨時総会ノタメ代人ヲ立テ其姓名ヲ本所ニ通知シ置クコトヲ得ヘシ
第五十条 総会議長ハ委員ノ内壱名之レニ当ルベシ、若シ差支アレバ他ノ委員中ヨリ之ヲ務ベシ
第五十一条 総会ニ当リ其会員株主総数ノ三分ノ二(委任状ヲ有スル代人モ亦之ニ算ス)ニ満タザルトキハ延会シ、必ラス五日以内ニ更ニ招集開会スルヲ得ベシ
   但シ利益配当ニ係ル総会ハ此限ニ非ラズ
   第七章 純益金配当
第五十二条 本所総勘定ハ毎年一月ノ末ニ於テ前年中ノ決算ヲ為シ、総収益金ノ内ヨリ一切諸経費ヲ引去リ其残額ヲ純益トナシ、之ヲ配当スルコト左ノ如シ
   一本所起業資本高百分ノ三
   是レハ純益金ノ多少ニ拘ハラズ毎年ノ決算ニ於テ必ラズ之ヲ引去リ、本所ノ家屋諸器械ノ原資償却トシテ之ヲ積立テ臨時消費スルヲ得ズ
    但シ本項積立金ハ起業資本金額ニ充ツルヲ以テ其度トス
   一純益百分ノ十三 賞与金
   是レハ委員ノ報酬及職員賞与金トシテ毎年純益金ノ内ヨリ引去リ、其十三分ノ三ヲ委員慰労金トシ、十三分ノ二ヲ以テ臨時慰労積立金トシ、其残額ヲ所長以下ノ賞与ニ充ツベシ、而シテ職員ハ各等給ニ従ヒ其割合ニ等差ヲ立テ一般ノ勤怠ヲ鑑別シテ、委員会ノ考按ヲ以テ毎年之ヲ給与スベシ
   臨時慰労積立金ハ委員会ノ考案ヲ以テ職員中万一災厄ニ罹リ又ハ特別功労アル者ニ対シ臨時相当ニ支給スベシ
   第八章 簿記計算報告
第五十三条 本所簿記計算書類ハ簡明ナル表紙ヲ設ケ其主任者ヲシテ之ヲ遵拠セシムベシ
第五十四条 凡ソ計算ハ日表・月表・年表ヲ以テ整頓シ、日表ハ毎日支配人之ヲ点撿シ、月表・年表ハ委員之ヲ撿閲シ、均シク之レニ撿印スベシ
第五十五条 所長ハ毎季一切ノ事務及営業ノ事情ヲ編述シタル考課状ヲ作リ、委員会ニ提出シテ其議決ヲ経、株主総会ニ於テ報告ノ後年表ト共ニ印刷シテ各株主ニ配付スヘシ
   第九章 印章並ニ記録
第五十六条 本所ニ於テ使用スル印章左ノ如シ○印章記入ナシ
第五十七条 本所ノ印章ハ之ヲ管轄庁ニ具申シ、改刻スルトキハ更ニ之レヲ上具スベシ
 - 第11巻 p.612 -ページ画像 
第五十八条 営業規則及委員会録事、株主総会ノ録事、官庁ニ具申スル文書等ハ皆所長及支配人ノ鈐印ヲ以テ証トナシ、文ヲ存録スベシ
第五十九条 官庁ニ具申スル文書及重要ナル証書等ニシテ本所ノ名ヲ以テスルモノハ皆所印ヲ押捺スヘシ、而シテ其金銭出納ニ係ル重要ノ書類又ハ約定書等ニハ所長支配人之レニ署名鈐印シ、其他通常文書ニハ支配人之レニ署名鈐印スヘシ
   第十章 株式買売授受
第六十条 本所ノ株式ヲ買売授受スルニハ必ラス本所委員ノ准認ヲ受クベシ、故ニ其買売スルモノハ券状裏面ニ主任者ノ証印ヲ受ケザル間ハ売買授受ノ約アルモノト雖モ、本所ノ損益ハ必ズ株券状ノ名前人ヲシテ負担セシムベシ
第六拾一条 株式ヲ売買受授スルニハ左ニ掲クル文例ニ照ラシテ証書ヲ造リ、之ヲ本所ニ差出シテ書替ヲ求ムベシ
    株式売買授受証書文例
   石川島造船所株式ノ内、第何号株券何枚何某所有ノ分何某ヘ売渡(又ハ譲渡)候処実正也、然ル上ハ向後右買受人(又ハ譲受人)者、従前ノ所有人遵守スル処ノ諸規則及約定等堅ク相守ルベク候、仍テ証書如件
            住所族籍
               売渡(譲渡)人 姓名印
               同
               買受(譲受)人 姓名印
               同
               証人 姓名印
   石川島造船所御中
第六十二条 定式総会前十日間ハ株式記名替ヲ停止シ、株式帳ノ書替ヲ為サヾルベシ
第六十三条 株式所有主死亡ノ後其嗣子又ハ遺族ノ名前ニ書換ヲ要スルトキハ、其親族二名連署ノ証書ヲ以テ書替ヲ要求スルヲ得ベシ
第六十四条 総テ株券書替ニ於テ其買受人又ハ譲受人ヨリ本所ニ於テ定メタル所ノ書替手数料ヲ差出スベシ
   第十一章 定款改正
第六十五条 此定款ハ株主ノ衆議ニ依リテハ増減更正スルコトアルベシ、尤モ総会ノ議決ハ三分ノ二以上ノ多数説ニ従フベシ
   但シ其改正ノ項目ハ速ニ管轄庁ノ認可ヲ請フベシ
右拾壱章六拾五条ハ本所株主ノ衆議ヲ以テ相定メタルニ付、一同記名鈐印シテ以テ之レヲ証明致候也
             発起人
               東京深川区福住町四番地
                      渋沢栄一
               同京橋区築地二丁目十六番地
                      平野富二
               同京橋区木挽町九丁目十一番地
 - 第11巻 p.613 -ページ画像 
                      梅浦精一
   ○右社名ヲ東京石川島造船所、或ハ単ニ石川島造船所ト混用セリ。
   ○定款ニハ栄一・平野富二・梅浦精一発起人ナレド、右願書ハ後二者発起人総代トナル。


中外物価新報 第二〇三〇号〔明治二二年一月五日〕 石川島造船所組織の改革(DK110093k-0002)
第11巻 p.613 ページ画像

中外物価新報 第二〇三〇号〔明治二二年一月五日〕
    石川島造船所組織の改革
府下石川島造船所は是まで専ら平野富二氏の経営に係りしものにて、他の数名の資本家には若干万円を出し、此の資金に対しては平野氏より年九朱の割合を以て利益配当を保証して営業せし処、今度其組織を改めて純然たる株式会社と為し渋沢栄一・西園寺公成・深川亮蔵・梅浦精一・松田源五郎等の諸氏にも之に加入し、平野富二氏には相応の株主となり、更に委員を撰挙せしに渋沢・平野・梅浦の三氏之が委員となりたり、尤も其社長には斯業に充分心得ある人を撰任せんとて目下尚詮索中なりと云ふ


有限責任石川島造船所報告 第一次明治二三年二月(DK110093k-0003)
第11巻 p.613-614 ページ画像

有限責任石川島造船所報告 第一次明治二三年二月
                  (株式会社東京石川島造船所所蔵)
  有限責任石川島造船所第一次報告
当造船所ハ明治廿一年ニ於テ有志数名ノ合本ヲ以テ平野富二氏ヨリ其現在物件及工業一切ヲ譲受ケ、更ニ石川島造船所ト称シテ廿二年一月ヨリ其業ニ従事シ、二月ニ於テ海軍省ニ向ヒ当造船所地所船渠其他附属品一切払下ヲ請求シ、其四月船渠ノ附属品払下ラレ、地所ハ一時内務省管轄ニ転セシカ再ヒ海軍省ノ管理ニ帰シ、未タ允准ヲ得ス、玆ニ廿二年一月ヨリ十二月ニ至ル工業ノ概況諸般ノ要略ヲ挙ケ、並ニ諸計算ヲ精査シ、株主諸君ニ報告スル左ノ如シ
    造船部之事
此部ノ工事ヲ別ケ三科トス則造船、船舶修理及雑類是ナリ、而シテ本季間各科ノ統計ハ造船大小廿二隻(内五隻廿一年繰越ノ分)船舶修理三十五件(内三件出張工事)雑類二十九件ナリ、要之本季間工事ハ極メテ不景気ニシテ、僅ニ入渠修繕工事ヲ以テ職工ヲ維持使用シタルニ過サリシ
    機関部之事
此部ノ工事ハ品彙浩繁ニシテ枚挙スルニ遑アラス、敢テ之ヲ大別スレハ海陸用蒸滊機械・蒸滊鑵・印刷器械・鉱山用諸器械・其他諸器具ノ類ニシテ、其情況ハ上半季ニ閑ニシテ下半季稍々繁忙ヲ告ケシカ、尚前年ニ比スレハ幾分カ減少シタル所アリ
    官庁諸件之事
一二月十六日海軍省ヘ当造船所地所及船渠其他附属品払下ヲ稟請シ、四月一日船渠附属物品代価金七百拾六円拾四銭ヲ以テ払下ノ指令アリ、且地所ハ同省ヨリ内務省ヘ返地セラレタルニ付、該省ヘ稟候スヘキ旨内示セラレタルニ因リ、東京府庁ヲ経テ之ヲ稟請セシカ、十二月ニ至リ再ヒ海軍省之所轄ニ転換セシヲ以テ更ニ之ヲ同省ニ稟請シ、未タ其允准ヲ得ス
 - 第11巻 p.614 -ページ画像 
一一月十九日《*》東京府庁ヨリ、嚮ニ上申シタル当造船所ヲ更ニ会社組織ニ変更シタル件ヲ認明セシ旨、指令セラレタリ
 *欄外記事
  〔設立免許ノ日ハ一月十七日
一同廿一日海軍省艦政局ヘ当造船所ヲ会社組織ニ変更シタルニ付、従前同局ト平野富二トニ係ル約定ハ当造船所ニ於テ引続履行スヘキ旨ヲ上申セリ
○中略
    資産負債勘定之事
      貸即資産之部
                        円
 家屋機械船舶          一〇六、九四〇・九六四
 公債証書             一一、八〇〇・〇〇〇
 海軍省保証金              六七〇・〇〇〇
 諸材料              三三、四九三・八二六
 諸製造品半作工費高        三七、九一九・〇二八
 諸製造品代価受取未済高       九、三九九・二五八
 諸仮出金              一、八二一・八三四
 広部正三貸金              三〇〇・〇〇〇
 受取手形              二、一〇〇・〇〇〇
 第一銀行当坐預金          一、九八九・〇八七
 創業費                 三八三・〇四〇
 正金                  五五一・七六二
  総計             二〇七、三六八・七九九
      借即負債之部
                        円
 株金              一七五、〇〇〇・〇〇〇
 諸製造品代内金          一九、七六七・五五〇
 海軍省払下家屋機械代残金      二、五三〇・〇〇〇
 物品買入代価仕払未済高         五九九・六八二
 利益金               九、四七一・五六七
 総計              二〇七、三六八・七九九
    損益勘定之事○略ス
右之通ニ相違無之候也
  明治二十三年二月
               石川島造船所
                 委員       渋沢栄一
                 同        平野富二
                 同        梅浦精一
                 支配人兼所長心得 進経太
   ○右二月十六日附当所地所及ビ船渠共他附属品払下願書、同四月一日附払下指令書及ビ十二月海軍省ヘノ願書等之ヲ得ズ。
   ○明治二十六年商法施行ニ因リ社名ヲ株式会社東京石川島造船所ト改称ス。従ツテ同時ニ委員ノ職名モ亦取締役ト改称ス、同年九月五日ノ項参照。
   ○栄一、当造船所委員及ビ取締役トシテ在任中ノ会社営業状況ヲ〔参考〕トシテ左ニ掲グ。


 - 第11巻 p.615 -ページ画像 

〔参考〕東京石川島造船所五十年史 附録・第一四一―一四三頁〔昭和五年十二月〕(DK110093k-0004)
第11巻 p.615 ページ画像

東京石川島造船所五十年史 附録・第一四一―一四三頁〔昭和五年十二月〕
    株金払込高、損益金、株主配当金及株主人員累年表

図表を画像で表示株金払込高、損益金、株主配当金及株主人員累年表

 年次   資本総額  株金払込高      一株金額  本期純益損金        後期ヘ繰越益損金      株主配当金                      株主人員                                                         一株ニ付                  利率 明治   千円            円     円            円            円       円                  割分厘    人 二二   一七五     一七五、〇〇〇   一〇〇    九、四七一・五六七      一四八・五二七      二・六〇〇               〇二六   一七 二三   一七五     一七五、〇〇〇   一〇〇   二七、九八五・〇〇七    一、二六七・三〇七     一〇、〇〇〇               一〇〇   一七 二四   一七五     一七五、〇〇〇   一〇〇   一九、五三二・九五七      五二三・六八〇      八・五〇〇               〇八五   一七 二五   一七五     一七五、〇〇〇   一〇〇   二七、五八六・一一二    一、〇四〇・七九二     一〇・〇〇〇               一〇〇   一八 二六   二五〇     一九三、七五〇   一〇〇   三三、九九三・〇三五    一、〇〇一・三二七   旧 一二・〇〇〇               一二〇   二〇                                                        新  八・三三三 二七   二五〇     二一二、五〇〇   一〇〇   七二、四八五・六九六    二、一五六・五四四   旧 一八・〇〇〇               一八〇   二一                                                        新  四・五七三 二八   五〇〇     二一二、五〇〇    五〇  一三三、六一三・六二五    二、八五三・九五四   旧 一〇・〇〇〇               二〇〇   五二                                                        新  五・〇〇〇 二九   五〇〇     三三七、五〇〇    五〇   七八、八九八・九〇九    二、八八三・六九七   旧 一〇・〇〇〇               二〇〇   八七                                                        新  五・〇〇〇                                                        第二新三・六四五 三〇   一、〇〇〇   五二七、五〇〇    五〇  一一六、六七三・九六一   二〇、三四九・一五八   旧 一〇・〇〇〇               二〇〇  一五九                                                        新  五・六一一                                                        第二新〇・三四七 三一   一、〇〇〇   九一四、一六〇    五〇  二四二、〇七四・三六三   四〇、七二〇・七八一   旧 一〇・〇〇〇               二〇〇  二二九                                                        新  七・七五〇                                                        第二新六・九七一 三二   一、五〇〇 一、一二五、〇〇〇    五〇   九六、二六七・二五九   一三、〇八一・〇四〇   旧  五・〇〇〇               一〇〇  三七四                                                        新  四・九五八                                                        第二新三・七五〇 三三   一、五〇〇 一、三一九、一七七    五〇   三三、八五〇・五五七  此損失金ハ前期繰越金及別途積立金ヲ以テ補塡ス                 ―  四二〇 三四上  一、五〇〇 一、三八四、九〇五    五〇   六三、一二九・八八九    六、〇七九・八八九   旧  一・五〇〇               〇六〇  四二〇                                                        新  一・一七五  〃下  一、五〇〇 一、三九三、九三二    五〇    三、五八〇・六九三    九、六六〇・五八二          ―                 ―  四一九 三五上  六〇〇     五八八、六五〇    五〇  一三八、二四五・〇四六  一三八、二四五・〇四六          ―                 ―  四一四  〃下  三六〇     三六〇、〇〇〇    三〇  一〇三、五五八・五一七  損失金合計二四一、八〇三円五六三ハ減資二四万円ト別途積立金トヲ以テ補塡ス   ―  四〇六 三六上  三六〇     三六〇、〇〇〇    三〇    八、九六九・三六八    一、七七三・三六八      〇・四五〇               〇三〇  四〇二  〃下  三六〇     三六〇、〇〇〇    三〇   一〇、五〇九・七三二    二、九三三・一〇〇      〇・六〇〇               〇四〇  三九九 



  明治二十二年より同三十三年までは一年一回の決算なり。
  明治三十四年以降は一年二回の決算にして、其年一月より六月までを上半期とし、七月より十二月までを下半期とす。
  明治三十五年上半期に於て浦賀分工場売却に依る損失金二六六、九五九円一七三の内、一一〇、五八八円九三四は積立金の中より、六、四四〇円三八八は繰越金の中より補塡し、残り一四九、九二九円八五一は三十五年上半期の総損金として勘定せり。

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 明治     千円           円    円         円            円       円      割分厘     人 三七上     三六〇   三六〇、〇〇〇   三〇    九、〇一六・七九八    三、〇〇八・二二八   〇・六〇〇   〇四〇   三九五 〃 下     三六〇   三六〇、〇〇〇   三〇   一五、七三六・九八八    三、九七一・五一八   〇・九七五   〇六五   三八九 三八上     三六〇   三六〇、〇〇〇   三〇   二五、二三三・六五五    六、二八一・八〇八   一・五〇〇   一〇〇   三七三 〃 下     三六〇   三六〇、〇〇〇   三〇   四一、六四八・八七九   一八、一六五・七二六   一・八〇〇   一二〇   三六三 三九上     三六〇   三六〇、〇〇〇   三〇   二七、四八一・一六三   一八、六九八・七七三   一・八〇〇   一二〇   三三七 〃 下     三六〇   三六〇、〇〇〇   三〇   二三、二九八・九一四   一五、八六七・七九六   一・八〇〇   一二〇   三三七 四〇上     三六〇   三六〇、〇〇〇   三〇   二八、五九九・九〇六    八、四〇七・七一二   一・八〇〇   一二〇   三四四 〃 下     五一〇   五一〇、〇〇〇   五〇   三八、三六二・六三七    八、七三四・〇八六   三・〇〇〇   一二〇   三六九 四一上   一、〇二〇   六三七、五〇〇   五〇   四〇、九九九・三〇二    九、七五八・四五八  旧二・五〇〇   一〇〇   三六九                                                       新〇・六二五 〃 下   一、〇二〇   六三七、五〇〇   五〇   四一、四五二・六六〇   一一、一九〇・八五二  旧二・五〇〇   一〇〇   三七二                                                       新〇・六二五 四二上   一、〇二〇   六三七、五〇〇   五〇   三六、五九八・二五五   四七、七八九・一〇七       ―     ―   三六九 〃 下   一、〇二〇   六三七、五〇〇   五〇   三四、一〇四・〇三二   一四、八四八・五四二  旧二・五〇〇   一〇〇   三七二                                                       新〇・六二五 




〔参考〕東京石川島造船所 三十五年(五十八期)間概記 自明治二十二年一月至大正十二年十一月末日(DK110093k-0005)
第11巻 p.615-616 ページ画像

東京石川島造船所
三十五年(五十八期)間概記 自明治二十二年一月至大正十二年十一月末日
   (営業報告書摘録)〔未定稿〕
   営業報告書摘録
 - 第11巻 p.616 -ページ画像 
     備考
   左ノ事項ハ別表ニ示ス
   一、各決算期ニ於ケル資本総額、払込金、損益額、後期繰越金、株主配当金及株主人員
   一、取締役及監査役ノ氏名就任退任年月日
   一、各年度ノ新造船及修理船数等
   一、資本総額ノ変更各株金払込期日
   一、営業目的事項
  ○明治二十二年
従来平野富二氏ノ経営ニ係ル、石川島造船所ヲ譲受ケテ本会社ヲ設立シ、社名ヲ有限責任石川島造船所ト称シ、資本総額ヲ拾七万五千円ト定メ、一月一日ヨリ業務ヲ開始ス
本会社ノ業務ハ委員三名ヲ以テ之ヲ担当ス、渋沢栄一・平野富二・梅浦精一之ニ任シ、平野富二常務委員トシテ専ラ経営ニ従事ス、日常ノ事務ヲ掌理セシムル為、進経太ヲ支配人兼所長心得ニ任用ス
一月十九日曩ニ東京府知事ヘ認許ヲ願出タル、当造船所ヲ会社組織ニ変更ノ件認許ノ旨指令アリ、設立免許ノ日附ハ一月十七日ナリ
一月二十一日海軍省艦政局ヘ当造船所ヲ、会社組織ニ変更シタルニ付キ、従来同局対平野富二ノ約定ハ総テ本会社ニ於テ継承履行スヘキ旨ヲ上申ス
二月十六日海軍省ヘ従来平野富二ノ借用セル当造船所敷地並船渠其他附属品ノ払下ヲ請願シタル処、四月一日船渠附属品ノミ払下ノ指令アリ、地所ハ内務省ヘ転管セラレタルニ依リ同省ヘ出願スル様内示アリタルヲ以テ、東京府庁ヲ経由シテ請願セシカ、十二月ニ至リ再ヒ海軍省ノ所轄トナリタルニ依リ更ニ又同省ニ請願ス
  ○明治二十三年
二月五日本社ニ於テ第一回株主総会ヲ開キ、二十二年中ノ営業報告ノ承認及利益金処分ヲ議決ス
支配人兼所長心得進経太ヲ所長ニ専任シ片山新三郎ヲ支配人ニ任用ス当造船所地所ハ三月七日ヲ以テ更ニ又宮内省ノ管轄ニ移サレタルヲ以テ、宮内大臣ヘ払下ノ請願ヲ為シタル処、払下ハ許可セラレス、向フ十五年間貸渡シ、借用料トシテ一ケ年金五百円上納スヘキ旨指令アリタレトモ、其年限短キヲ以テ五十年間拝借ノ儀ヲ歎願セシモ許可セラレス、漸ク十二月末ニ至リ三十年間貸渡スヘキ旨指令アリ
本年上野公園内ニ於テ開催ノ第三回内国勧業博覧会ニ小蒸汽船用併列高圧聯成汽機ヲ出品シ、一等有功賞ヲ授受セラル
○下略