デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
18節 人造肥料業
2款 日本肥料協会
■綱文

第12巻 p.248-249(DK120029k) ページ画像

明治41年12月22日(1908年)

肥料ノ改良発達ヲ図リ且ツ諸般ノ調査ヲナス目的ヲ以テ日本肥料協会ノ設立ヲ計画シ、是日東京銀行集会所ニ於テ協議会ヲ開催ス。栄一委員長トナル。


■資料

竜門雑誌 第二四七号・第六五―六六頁〔明治四一年一二月〕 ○日本肥料協会(DK120029k-0001)
第12巻 p.248 ページ画像

竜門雑誌  第二四七号・第六五―六六頁〔明治四一年一二月〕
○日本肥料協会 肥料の改良発達を図り且つ諸般の調査を為す目的を以て、今回関係者間に日本肥料協会なるものを設置する事に決し、同会規則並に諸般の協議を為す為め左の委員を選定したるが、該委員は本月二十二日午前十一時三十分より東京銀行集会所に於て委員会を開催したり
 委員長 青淵先生
 委員  下岡惣治   酒匂常明   恒藤規隆
     鈴木梅四郎  江守襄次郎  伊藤悌蔵
     三松武夫   今関常次郎  大工原銀太郎
     牛村一氏   磯村豊太郎  犬丸鉄太郎
     田中栄八郎  藤江章夫


中外商業新報 第八一五〇号〔明治四一年一二月二三日〕 肥料協会成立(DK120029k-0002)
第12巻 p.248-249 ページ画像

中外商業新報  第八一五〇号〔明治四一年一二月二三日〕
    肥料協会成立
近時農業の発達と共に益々肥料問題は重要視せらるゝに到り、而も今秋新肥料法の実施と共ニ一般当事者に覚醒を促したる者の如く、新肥料法の改正運動を外にして先づ官民有志に於て真面目に肥料の改良其他諸般に渉る研究の要ありとて、過般三井集会所に大浦農相・下岡局長・伊藤・三松両課長を始め当業者側としては渋沢男・益田孝氏外重なる関係者及学者側として松井・麻生・江守諸博士等相会し種々協議の結果、先づ日本肥料協会設立の議起り、取り敢えず右設立準備の為め渋沢男を委員長に下岡農務局長外十三名を委員に挙げたりしが、廿二日正午右委員諸氏は銀行倶楽部に会合し午餐を共にしたる上、愈々協会設立に関し協議し、左の規則を議定し三時散会せり、因に当日会長に渋沢男を、副会長に下岡氏を推すに内定せる由にて、今後肥料に関しては同協会に於て之を実地に或は科学的に種々調査研究し、飽迄も肥料改良の目的を達す可しと、兎に角肥料界に一生面を開く有益なる会と云ふ可し
 第一条 本会は日本肥料協会と称し本部を東京に、支部を必要の地に置く
 第二条 本会は肥料に関する調査研究をなし、其改良及普及を図るを以て目的とす
 - 第12巻 p.249 -ページ画像 
 第三条 会員の入会は評議員会に於いて之を定む
 第四条 本会は毎年春季総会を開く、但し必要ある時は臨時之を開く
 第五条 本会に会頭一名、副会頭・評議員・幹事若干名を置き会務を処理す
 第六条 会頭及副会頭は総会に於て撰挙す、評議員及幹事は会頭之を委嘱す、役員の任期は三ケ年とす
 第七条 本会の経費は寄附金を以て之を支弁す
    附則
 第八条 初期の会頭及副会頭は発起人に於て推薦す


渋沢栄一 日記 明治四一年(DK120029k-0003)
第12巻 p.249 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四一年
十二月十六日 曇寒
○上略 午後一時三井集会所ニ抵リ人造肥料会社聯合会ニ於テ催ス処ノ農事関係者ノ会同ニ出席ス、大浦農商務大臣・同押川次官・下岡農務局長・酒匂・松井其他多数ノ学士技師来会ス、午飧前後ニ於テ種々ノ談話ヲ為シ一ノ協会設立ノコトニ関シ委員撰定ノ議ヲ決シ、十二名ヲ指名シ、近日其委員会同シテ組織ヲ議定スヘキコトト協議ス○下略
十二月二十二日 晴寒
○上略 十二時銀行倶楽部ニ抵リ肥料協会設立ノコトヲ談ス、下岡農務局長・酒匂常明氏其他十数名来会ス、畢テ午飧ヲ共ニシ○下略