デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
21節 瓦斯
2款 東京府瓦斯局
■綱文

第12巻 p.430-437(DK120051k) ページ画像

明治10年5月14日(1877年)

本局創業以来家内引用希望者無キハ、寧ロ瓦斯取
 - 第12巻 p.431 -ページ画像 
付費ノ一時多額ノ出金ヲ要スルニヨルモノトナシ、是日栄一、瓦斯局事務長トシテ引用家持費用金百円以上瓦斯使用量一ケ月二千立方尺以上ニシテ且身元確実ナル者ニ限リ、別ニ瓦斯引用取付人費月賦割納付ノ方法ヲ設ケ度旨府庁ニ伺出ヅ。依テ府庁之ヲ認許シ、取付費ノ半額ヲ即納シ余金ハ六ケ月月賦割ニテ完了スベキコトト定ム。同年八月更ニ右月賦上納証書案ヲ府庁ニ上申ス。其後明治十五年八月之ガ廃止案出タルモ姑ク見合セルコトト決シ継続セリ。


■資料

瓦斯局書類 明治十年会計課(DK120051k-0001)
第12巻 p.431-432 ページ画像

瓦斯局書類  明治十年会計課     (東京府文庫所蔵)
    家内引用瓦斯売捌ニ付別法設立之義伺
瓦斯之義ハ可成家内引用ニ売捌候様致度、最前低価広告仕候得共其後望人も無之ニ付猶考按仕候処、望人有無ハ価格之不廉又ハ便利ヲ確知之者少キ而已ニ無之、多分ハ引用器具取付之為メさし向若干之入費相懸候故ニ可有之候間、右入費取立方ニ付別法設ケ置勧誘致度掛之者一同申合候折柄、海運橋兜町製紙分社より家内引用之註文申来候間、瓦斯計量器ヲ除キ取付入費金百五拾四円余相掛候旨申遣候処、別紙之通取付入費月割ニ納メ度旨申越候ニ付、入念直談致候得ハ全ク瓦斯引用之便利経験不致前ニ一時多分之出金致候義差支候由ニ而、予テ考案罷在候趣旨ニ符合致候間、此上弘ク家内引用瓦斯ヲ売捌クニハ右之場合を斟酌シ別法設ケ置取扱申度、則左ニ
一瓦斯家内引用望人有之節線路接続遠近ニ付取付入費本局持之分些少ニ而、該家持之分金百円以上ニ至リ引用瓦斯壱ケ月弐千立方尺以上ニ及ヒ、其談判之場合ニより望人身元手堅ク且確証書差出ス者ハ、事務長之見込ヲ以取付入費取立方六ケ月より十ケ月迄割済之義承諾、臨機取計可申事
右之通方法設ケ置候ハヽ自然引用望人増殖可致と奉存候間、此段御許可被成下度奉伺候也
  明治十年五月十四日
               瓦斯局事務長
                 渋沢栄一 東京瓦斯局事務長印
    東京府知事 楠本正隆殿
                     (東京瓦斯局)

啓者当分社江瓦斯灯設立致し度ニ付御依頼ニ及ひ、夫々為御積総代金百五拾四円三拾六銭四厘之概算ニ相成候由承知仕候、右設立之上は簡便且点火之出費も石炭油より更ニ減少致し至極重宝ニ有之申候、然ルニ右取付諸入費仕払之義一時相納候様ニてハ却てランプ之方計算上幾分歟之得失も相立一挙両便之都合ニ至リ兼、其辺甚躊躇罷在候、就而は貴局之御成規も可有之奉存候得共左之割合ニて御承諾被下候様致し度此段及御談候也
 - 第12巻 p.432 -ページ画像 
               海運橋
  五月十二日         製紙会社 東京製紙分社会計課之印
    瓦斯局御中
一金百五拾四円三拾六銭四厘
  此十ケ月ニ割合壱ケ月金拾五円四拾三銭余
 右之割合ニ相願申度候也
                       (製紙会社)
  ○右資料中ニ記シタル家内瓦斯引用枝管取付ニ於テ、本局持引用枝管ト需用家持引用枝管トノ分別ノ明ラカナル規定ヲ見ズ。即チ何レ迄ヲ本局持トナシ何レヨリ需用家持ナルヤ明瞭ナラザレドモ、供給本管及ビ幹管ハ本局持ナルコト勿論ナリ。然レドモ本管或ハ幹管ヨリ分岐スル処ノ枝管ニツキテハ何処迄本局持ナルヤハ上述ノ如ク不明ナリ。明治十五年九月ニ十九日ノ条ニ載セタル家内瓦斯引用規定ニ依レバ、本局持瓦斯供給管ハ、本局ニ於テ既ニ埋布ノ本管及ビ幹管ヨリ連繞シテ需求者ノ居住地境界ニ至ルト規定セリ。之ニ依リ同様ナル解釈ヲ下スモ可ナラン。即チ居住地境界迄ヲ本局持枝管ト做シ、境界内ヨリ要スル一切ノ取付費ヲ月賦割納付トナシ、本局ニ於テ其工事ヲ引受クルモノト見ルナリ。本款明治十五年九月二十九日ノ条(第五三三頁)参照。
  ○瓦斯引用取付費ヲ月賦割ヲ以テ納入スベキ別法ヲ設ケントスル理由ハ、上掲本文中ニ見ユル如ク、一般需用家ノ瓦斯ノ効用ヲ知ラズ或ハ多額ノ点灯費用ヲ厭フヨリモ、一時ニ取付費ニ多分ノ出金ヲナスヲ以テ其需用家ノ増加セザル論拠トナスニアリ。当時瓦斯ハ街灯ト引用家ノ点灯ニヨリ消費サル。サレド街灯点火費ハ引用家ヨリノ点火収入ノ二倍半ニ当レバ、到底本局収支相償ハザル状態ナリ。為メニ十年三月一日ヨリ街灯費ハ府税ヨリ補償セラレ、専ラ家内引用瓦斯ノ増加ヲ図リ本局ノ維持ヲ完ウシ、進ンデ経営ノ基礎ヲ固メントスル方針ハ、本局ノ最モ根本的ナル而モ急務トスル処ナリキ。


瓦斯局書類 明治十年会計課(DK120051k-0002)
第12巻 p.432-433 ページ画像

瓦斯局書類  明治十年会計課     (東京府文庫所蔵)
明治十年五月 日受五月十七日出   御用掛 岡田信英(印)
 知事    書記官 (印)   出納課(印)
           (印)   庶務課
 (楠本)
 (印)
 (朱書)
 二千立方尺以上望ノ者ニ限リ月賦ニ致度トノ伺尤ニ相考ラル、依テ伺立通リ可及指令、併シ章程ヲ立幾分ノ事務ヲ為任迄ハ矢張其時ニ可申立当然ナリ
瓦斯局事務長ヨリ瓦斯引用売捌方別法申立之趣勘弁仕候処、月賦返済之期限ニ至聊淹滞等無之ニ於テハ間然ナシト雖モ、若シ其期ニ臨ミ苦情申立淹滞相成候様ニテハ意外之手数ヲ生シ候ノミナラス、射利之為メニ万一損失有之候節ハ甚以不都合之至ニ付予メ損失不相成様ニ思考専一と存候、因テハ引用望人身元確実ナルモノニ限リ取付入費之半金ヲ当座領収シ、残リ半金ハ六ケ月賦割済之約定ヲ以確乎タル証書取置候様可取計旨御指揮相成可然哉と存候、依之御指令按左ニ相伺申候也
    按
 書面瓦斯家内引用望人頼談之次第ニ寄、其身元堅固ナル者ニ限リ取付入費ノ半金ヲ当座領収シ、残リ半金ハ六ケ月賦割済シ約定ニ而確証取置候様可取計積ヲ以、其時々可伺出候事
 - 第12巻 p.433 -ページ画像 
  年 月 日             長官御名
 (張紙)
  書面伺之趣聞届候条其時々申立之上可取計儀と可相心得候事
   年 月 日            長官御名
                    (東京府庁回議用)


瓦斯局書類 明治十年会計課(DK120051k-0003)
第12巻 p.433 ページ画像

瓦斯局書類  明治十年会計課     (東京府文庫所蔵)
    家内瓦斯引用望之者瓦斯管並附属品共取附代価
    月賦上納願出候節可為差出証書案上申
金高ノ印紙帖用之事 記
一金何百何拾円也 瓦斯家内引用ニ付瓦斯管並附属品取附代価
  此済方壱ケ月金何拾何円宛何ケ月賦可相納候事
右者此度瓦斯引用ニ付附属品取附代金書面之通何ケ月賦済之儀取極候処相違無御座候、仍本月ヨリ来ル明治何年何月迄毎月三十日限リ無遅滞相納可申候、万一本人不納等之節ハ保証人引請速ニ弁納可仕候、為後証連印証書如件
                  第何大区何小区
                   何町何丁目何番地
  年号月日            本人 何ノ誰印
                  第何大区何小区
                   何町何丁目何番地
                  保証人 何ノ誰印
    瓦斯局
      御中

右者家内瓦斯引用望之者江取附代価月賦済約定之儀第弐万千弐百三十一号ヲ以テ御指令ニ相成候ニ付、当局江可取置証書案取調奉伺候也
               瓦斯局事務長
  明治十年八月         渋沢栄一 東京瓦斯局事務長印
    東京府知事 楠本正隆殿
割印
 書面証書名宛之儀瓦斯局事務長何某ト可記載、其余伺之通可相心得候事
  年 月 日 長官御名


瓦斯局書類 明治十五年会計課(DK120051k-0004)
第12巻 p.433-434 ページ画像

瓦斯局書類  明治十五年会計課     (東京府文庫所蔵)
    (朱書)
    家内取付費月賦済方証書式
      記
一金何百何拾円也     瓦斯家内引用ニ付瓦斯管並附属品取付代価
  此済方壱ケ月金何拾何円宛何ケ月賦可相納候事
右ハ此度瓦斯引用ニ付附属品取付代金書面之通何ケ月賦済之義取極候処相違無御座候、仍本月ヨリ来ル明治何年何月迄毎月三十日限リ無遅滞相納可申、万一本人不納等之節ハ保証人引請速ニ弁納可仕候、為後証連印証書如件
                  第何大区何小区
 - 第12巻 p.434 -ページ画像 
                   何町何丁目何番地
  年 月 日           本人 何ノ誰印
                  第何大区何小区
                   何町何丁目何番地
                  保証人 何ノ誰印
   瓦斯局長宛
                      (東京府)


瓦斯局書類 明治十五年会計課(DK120051k-0005)
第12巻 p.434 ページ画像

瓦斯局書類  明治十五年会計課     (東京府文庫所蔵)
明治十五年八月十六日出
                      会計課
                      庶務課
瓦斯局刱業数年間人民未タ瓦斯灯之便否ヲ了知セス、随テ家内引用方望人モ少ナク且器械取付費等許多之金員ヲ要シ候ニ付、縦令需用候トモ実際経験之上出金致度内情モ有之、右器械取付代金延納之義出願ニ及候輩モ出来候間、身元確実之者追々願意聞届候得共其方法順序確定不致ニ付、明治十年ニ至リ始テ一法ヲ設ケ該費金百円以上ハ十ケ月以内之月賦ヲ以延納方允許候ニ付、益引用用家モ増加セリ、現今亦其方法ヲ連続施行候処、右ハ当初人民ヲ誘掖シ便益ヲ与ヘ候考案ナリシモ今日ニ至リ候テハ最早人民一般ニ瓦斯之便利ヲ確信スルニ付、敢テ此方法ヲ実施不致トモ大ニ将来引用家之増減等ニ影響ヲ来シ候義モ有之間敷ト相考候、就テハ今後都テ該費金ハ即納為致候方当然ト被存候、依之別紙議案先以常置委員会ヘ御下付相成可然哉、此段相伺候也

家内取付費貸付金爾後相廃止得失有無御問合之趣承知仕候、右者是迄瓦斯引用家之増加ヲ図リ貸付候ニ付、多少差閊モ可有之候得共、知事公ニ於テ廃止之御考案ニ候得共敢テ拙者ニ於テ差支無之、此段御答仕候也
               渋沢栄一病気ニ付
  明治十五年八月廿八日       代理 小林桂(印)
    会計課長 荒木功殿


回議録 常置委員会議事 明治十五年調査掛(DK120051k-0006)
第12巻 p.434-435 ページ画像

回議録  常置委員会議事 明治十五年調査掛   (東京府文庫所蔵)
区第四号
区部常置委員決議会ヘ下付相成候瓦斯器械取付費月賦済方廃止案之義ハ、当分之内尚方従前之振合ニ依リ、本案ハ姑ク見合スコトニ議決相成候条、此段上申仕候也
  明治十五年九月七日
       東京府区部常置委員会議長 沼間守一
    東京府知事 芳川顕正殿

急施第三号
    瓦斯器械取付費月賦済方廃止案
 - 第12巻 p.435 -ページ画像 
各家引用瓦斯諸器具及取付代金ハ引用人ヨリ即納セシムヘキノ処、当初ニアリテハ人民未タ瓦斯ノ効用ヲ了知セル者鮮ナク、且各自営業ノ都合ニヨリ一時出金スルヲ厭ヒ、引用ヲ見合セタル者往々之アルヲ以テ、其実況ヲ酌量シ身元確実ナル者ニシテ該費金ノ延納ヲ請願スルトキハ、金高百円以上ノ者ニ限リ十ケ月以内ノ月賦ヲ以テ之ヲ許容セシガ故ニ、引用家逐年増加シ現今二百余戸ノ多キニ至ル、而シテ其取付等ニ係ル資金ハ十二年度十五区会ニ於テ議決セル瓦斯局原資繰替金壱万円ノ内ヨリ之カ繰替ヲナセリ、右ハ主トシテ引用家ノ増加センコトヲ謀リ之ヲ誘導スルニ在リト雖モ、今日ニ至リテハ数年経験ノ末一般瓦斯ノ便利ヲ確知スルニ付、今之レヲ廃スルモ将来望人ニ影響ヲ及ボスコトアラサルヘシ、目下請願者モ之アルニヨリ、至急月賦済方ヲ廃止セントス

区第七号
区部常置委員会決議会ヘ下付相成候急施第十号瓦斯局コールタール及コークス売却案、別紙朱線之廉削除シ議決相成候ニ付此段上申仕候也
  明治十五年九月廿八日
         東京府区部常置委員会議長 沼間守一
    東京府知事 芳川顕正殿

急施区第十号
    瓦斯局コールタール及コークス売却案
瓦斯副生物コールタール及「コークス」ハ、是迄年限ヲ約シ売却セシ処、向後一般ノ入札法ニヨリ一ケ月或ハ二ケ月毎ニ、之ヲ公売セントス、尤其都度新聞紙ヲ以テ三日間広告《(朱線)》シ尚日本橋掲示場ヘ入札心得書ヲ添ヘテ之ヲ張出スヘシ、而シテ其広告料ハ該品売却代ノ内ヨリ支出セントス

急施区第十三号
    コークス売却方法議案
コークス及コールタール公売方曩ニ委員会ノ議決ヲ経施行セシ処、コークスノ義ハ望人少ナク且廉価ニ付一時入札ヲ中止セリ、因テ今後右品望人アレハ本年度予算額一噸金拾壱円ヲ目途トナシ、入札法ニヨラズ直チニ之ヲ売却セントス
  ○明治十五年十月二十五日常置委員会ニテ原案ノママ可決ス。


瓦斯局書類 敷地絵図 明治十八年会計課(DK120051k-0007)
第12巻 p.435-437 ページ画像

瓦斯局書類 敷地絵図  明治十八年会計課   (東京府文庫所蔵)
(朱書)
第七百八拾三号
    家内取附事業之儀ニ付上申
去ル明治七年本局創立ノ時ヨリ其十年頃ニ至ル迄ハ瓦斯購売ノ途ニ乏シク、各延用家ハ概ネ其引用費途一時多額ヲ要スルヲ厭ヒ、為メニ逡巡シテ当局ノ誘導ニ応ゼザリシニ付、明治十年五月ヲ以テ右延用費途ニ限リ特ニ月賦貸費ノ方法ヲ伺済ノ上、其方法ニ拠リテ更ニ拮据仕候処、次第ニ延用家増加致シ以テ今日ヲ見ルニ致リ候、而シテ其貸費ハ
 - 第12巻 p.436 -ページ画像 
年賦又ハ月賦ヲ以テ漸次消却ナサシメ、牽テ今日其消却未済ノ高ハ金九百弐拾壱円三拾四銭八厘ト相成居候(此分当時収入ノ見込無之損失ト見做スヘキモノニ御座候)扨右引用器械物品及取附工費等ノ操換ニ供スル資金ハ、明治八年旧会議所ヨリ金三千円受取、明治十一年府庁ヨリ金七千六百七拾四円五拾六銭六厘御下渡相成、合金壱万六百七拾四円五拾六銭六厘ヲ以テ此業務ニ従事シ、爾来其取付工費ノ収入ノ都度追々ニ返納シ来リ、当時未納ノ分金千弐百壱円ト相成、之ニ前書月賦貸金九百弐拾壱円三拾四銭八厘ヲ加ヘテ合計金弐千百弐拾弐円三拾四銭八厘ハ全ク返納残額ニ御座候、然ルニ右各家引用ノ事タル瓦斯製造ニ附着仕候得共、其平素ノ事務ハ自ラ区別有之、全ク一商家ノ体ヲナシ、先ツ物品ニ価格ノ定マラザルト其工事ニ見積ヲナスノ難キニヨリ間々予算ニ不足ヲ生シ、加フルニ商家ノ常態精算ニ取捨不仕テハ不相成場合往々有之、其上此物品ニ至リテハ多クハ舶載物ニシテ臨時ニ購求ナシ得ヘキモノニ無之、短クモ一年余ノ貯蓄ヲ要スルニ付、其間銀貨ノ昂低ニヨリ価直ニ多少ノ差違ヲ生シ、其為メ多少ノ損失ヲ生シ候事モ不少儀ニ候
前陳ノ如キ次第ニ付、従来此工事ニ付テハ相当ナル営利ノ計画無之テハ維持難相成ノ故ヲ以テ、創立ノ際ヨリ引用各家取附ノ分其費額ニ応シ多少収益ヲ目途トシ、是ヲ以テ前件ノ如キ不時ノ予備ニ充テ事務継続仕居候事既ニ十年、其間多少ノ差違及損失ハ有之候得共、要スルニ事務漸ク相増シ随テ収益モ多キニ付、決局左ノ計算書ノ如ク其出入損益ノ決算ハ十七年六月三十日ニ至ル迄ニシテ金高壱万三千五百拾九円六拾八銭七厘ノ収益ト相成候、内尚現在ノ年月賦貸当時損失ト見ナスヘキ金高千三百八拾六円六拾九銭八厘ヲ引去リ、金壱万弐千百三拾弐円九拾八銭九厘純益ト相成候
右ノ決算ハ本局創立以降各家延用ニ付器械工費等一切ノ出納向始テ整理了完致シ、即前書金ハ差引残ノ純益ト相成候儀ニ候得共、此金タル都テ物品ニ換リタルモノニシテ此物品ヲ貯ヘサレハ各家臨時ノ引用ニ応スルコト不能ニ付、詰リ此計算ニ於テハ資本ハ物品ニシテ、物品則チ資本ニ御座候
右様此決算ノ儀モ十年来始テ結了仕候ニ付テハ、既ニ先般本局資本ヲ定ムルガ為メ上申仕候次第モ有之ニ付、随テ向後此家内延用事務ニ係ルノ経費モ一定ノ方法御定相成候様仕度ニ付、其取扱手続ヲ左ニ条陳仕候間早々御允裁被下度候、依テ計算報告書相添此段開申仕候也
           瓦斯局長渋沢栄一代理
 明治十七年十月六日 瓦斯局副長 藤本精一 東京瓦斯局副長藤本精一
    東京府知事 芳川顕正殿
                    (東京瓦斯局)

    家内取附事業手続
一明治七年十二月ヨリ同十七年六月マテ家内取付工業純益金壱万弐千百三拾弐円九拾八銭九厘ヲ、家内取付準備金ト定ムル事
一明治十七年七月已降ハ此準備金ヲ以テ家内取付資本金トシテ営業スヘキ事
一家内取付ノ事務ハ収入支出及損益ヲ予算シ能ハサルニヨリ、工費及物品買売等ハ家内取付ノ請求アルニ従テ其時々便宜処分スヘキ事
 - 第12巻 p.437 -ページ画像 
一此事業ニ属スル雇給及諸雑費其他一切ノ費途ニ於テモ、前項ノ如ク予定シ得サルニ付其時々適当ノ処分ヲナスヘキ事
一毎半季損益決算ヲ遂ケ、其利益ハ家内取付準備金ニ累積シ、損失ハ家内取付準備金ヨリ償却スヘキコト
一其決算ノ結果ハ毎半季報告書及計算表ヲ以テ府庁ニ上申スヘキコト
  ○東京瓦斯局家内瓦斯器取付工業会計帳簿調査報告書略ス。