デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2021.9.1

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

4章 鉱業
2節 石炭
3款 長門無煙炭礦株式会社
■綱文

第15巻 p.409-424(DK150050k) ページ画像

明治30年5月7日(1897年)

是日栄一、浅野総一郎等ト共ニ東京府知事ヲ経テ農商務大臣ヘ長門無煙炭礦株式会社設立ノ発起認可申請書ヲ提出シ七月二日認可セラル。尋イデ十月一日設立免許ヲ申請シ同十五日付許可セラル。


■資料

第六課文書類別 農商会社ニ関スル書類十六明治三十年第一種(DK150050k-0001)
第15巻 p.409-411 ページ画像

第六課文書類別 農商会社ニ関スル書類十六明治三十年第一種 (東京府庁所蔵)
明治卅年六月十五日   内務部第六課主任属 堀田一衛(印)
 知事(印)    参事官 代理書記官
  内務郡長(印)   第六課長(印)  商工掛(印)
(朱書)
六丙七五二ノ六
    長門無煙炭礦株式会社
    発起認可申請書進達案
府下東京市日本橋区兜町二番地渋沢栄一外六名ヨリ長門無煙炭礦株式会社発起認可申請書進達方出願候ニ付、予テ御内訓ノ事項ニ対シ調査候処意見ノ大略左記ノ通ニ有之候条此段副申候也
  年 月 日
    農商務大臣宛
一法律命令ニ違反セス
一公安公益風俗ヲ害スルノ虞ナシ
一何レノ階級ノ人民ニ於テモ、其生計及営業上多大ノ傷害ヲ被ルノ虞ナシ
一坑内ノ監督取締ヲ完全ナヲシメハ、就業者ノ健康安全ヲ害スルノ虞ナシト認ム
一発起人ハ各相当ノ資産ヲ有スルヲ以テ其信用ノ程度ハ適スト思料ス
一本会社ノ企業ハ無煙炭ヲ採掘シ之ヲ販売スルモノニシテ、実際ノ需用応《(マヽ》シ好結果ヲ収ムヘシト認ム
一資本ノ金額ヲ募集シ得ヘキ見込アリ
一資本金額ハ相当ト認ムルヲ以テ企業ノ目的ヲ達シ、又法律命令ヲ遵行シ得ヘシト認ム

    長門無煙炭礦株式会社発起申請ニ付願
今般私共発起ヲ以長門無煙炭礦株式会社設立仕度、別冊農商務大臣ヘ出願仕候間、御進達方等宜敷御処理被成下度御願仕候也
  明治三十年五月七日
            長門無煙炭礦株式会社
            設立発起人
             東京市日本橋区兜町二番地
                     渋沢栄一(印)
 - 第15巻 p.410 -ページ画像 
              同市深川区清住町一番地
                     浅野総一郎(印)
              同市日本橋区本材木町一丁目七番地
                     渡辺治右衛門(印)
              同市浅草区橋場町三拾七番地
                     真中忠直(印)
              同市麹町区富士見町四丁目十番地
                     唐崎恭三(印)
              同市芝区高輪北町五十二番地
                     小林秀知(印)
             佐賀県東松浦郡鬼塚村大字和多田百六十七番地
                     吉原政道(印)
  東京府知事 侯爵 久我通久殿
(別冊)
    長門無煙炭礦株式会社発起認可申請書
今般私共株式会社ノ組織ヲ以テ長門無煙炭礦株式会社設立仕度候間発起御認可被成下度、別紙目論見書及仮定款相添此段申請仕候也
  明治三十年五月七日
            長門無煙炭礦株式会社
            設立発起人
             東京市日本橋区兜町二番地
                     渋沢栄一
             同市深川区清住町一番地
                     浅野総一郎(印)
             同市日本橋区本材木町一丁目七番地
                     渡辺治右衛門(印)
             同市浅草区橋場町三拾七番地
                     真中忠直(印)
             同市麹町区富士見町四丁目十番地
                     唐崎恭三(印)
             同市芝区高輪北町五十二番地
                     小林秀知
             佐賀県東松浦郡鬼塚村大字和多田百六十七番地
                     吉原政道
    農商務大臣 伯爵 大隈重信殿
  ○明治三十年五月七日付設立目論見書略ス。(三十年四月二十九日決議)
  ○明治三十年五月三日付仮定款略ス。(三十年四月二十九日決議)
    長門無煙炭礦株式会社設立趣意書
我国工業及航海業ノ発達ト漸次各地薪炭ノ欠乏ヲ告ルトニ由リ、一般石炭ノ需用ハ日ニ多キヲ加ヘ現時既ニ全国ノ石炭供給ハ其需用ニ満足ヲ与ヘ難キ状況ナリ、而シテ無煙石炭ハ石灰竈、セメント工場、コークスノ調合等ニ必要ナルノミナラス家事用薪炭ニ代ユル好燃料ニシテ是レ亦既ニ必要ノ時機ニ至リ前途益々多望ナリト雖モ、目下我国ニ於テ知ラレタル有望ノ無煙炭田ハ僅ニ二三ケ所ニ過キス、随テ其産出亦
 - 第15巻 p.411 -ページ画像 
少量ナリトス、然ルニ長門国美禰・豊浦両郡ニ跨ル無煙炭田ハ従来僅カニ露頭ノモノヲ近傍農家ノ焚料ニ供スルニ止マリシモ、今之ヲ調査スルニ其無煙石炭ハ広大ノ面積ヲ埋メ炭質最モ良好、炭層亦タ規則正シク採掘ニ適度ノ数層ヲ有ス、而シテ其採掘ハ最モ至便ニシテ最初数年間ハ水準上ノモノニ依リ殆ト之ニ器械ヲ要セス、又炭田中央ヨリ厚狭郡海岸迄概略拾五六哩ノ距離ニシテ馬関ニ至ルモ三拾哩ニ過キス、実ニ我国無煙炭田中最上ノ位地ヲ占ムルモノナリ、幸ヒ今般此位地ニ於テ大礦区ヲ併合シ無煙炭業ヲ企図スルノ機会ヲ得タルヲ以テ、玆ニ株式会社ヲ設立シ該事業ヲ営ミ、従来世ニ知ラレサル善良ノ無煙石炭ヲ採出シテ以テ国益ノ一助ト為サントス
  明治三十年五月七日


第六課文書類別 農商会社ニ関スル書類十六明治三十年第一種(DK150050k-0002)
第15巻 p.411-412 ページ画像

第六課文書類別 農商会社ニ関スル書類十六明治三十年第一種 (東京府庁所蔵)
    長門無煙炭礦株式会社
    発起申請願ニ付理由書
本会社ハ別冊権利譲渡契約証書謄本ニ列記スル礦区ノ内、既ニ採掘特許ヲ得タル弐礦区ニ付開業採掘仕筈ニ有之候間、為念此段申添候也
            東京市麹町区富士見町四丁目十番地
                設立発起人総代
                     唐崎恭三(印)
  明治三十年六月十四日
    農商務大臣 伯爵 大隈重信殿
(別冊)
第三八〇一号
    鉱業特許証
                    佐賀県
                      吉原政道
                    福岡県
                      森滋
                      花田汎太郎
                      高原平太
                    山口県
                      中屋熊太郎
山口県長門国美禰郡大嶺村
 大字大嶺奥分村小字上峠外壱字官民地
  四万七千七百四拾六坪
前記之場所ニ於テ石炭鉱ノ採掘ヲ特許ス
  明治廿九年十二月三日
    農商務大臣 子爵 榎本武揚殿

第二五〇五号
    鉱業特許証
山口県長門国美禰郡大嶺村
 大字大嶺奥分村            佐賀県
   小字小田外五字官民地         吉原政道
 - 第15巻 p.412 -ページ画像 
                    福岡県
                      森滋
                      花田汎太郎
                      高原平太
  弐万弐千九百六拾八坪
前記之場所ニ於テ石炭鉱ノ採掘ヲ特許ス
  明治三十年五月廿五日
    農商務大臣 伯爵 大隈重信殿

    証
一長門無煙炭株式会社発起申請認可証《(礦脱)》
                 壱通
右正ニ受領仕候也
             長門無煙炭株式会社発起人惣代《(礦脱)》
  明治三十年七月七日         唐崎恭三(印)
    東京府御中


第六課文書類別 農商会社ニ関スル書類十六明治三十年第一種(DK150050k-0003)
第15巻 p.412-414 ページ画像

第六課文書類別 農商会社ニ関スル書類十六明治三十年第一種 (東京府庁所蔵)
明治卅年七月七日 内務部第六課主任属    堀田一清(印)
 知事
  内務部長(印)  第六課長(印)   商工掛(印)
(朱書)
六丙七五二ノ七
    長門無煙炭礦株式会社炭礦譲渡
    契約書及仮定款訂正ニ付回答按
長門無煙炭礦株式会社発起認可相成候処、本月二日付第一一二三三号ヲ以テ書類訂正方ノ義ニ付御通牒ノ趣了承其旨示達候処、別紙炭礦譲渡契約書謄本及仮定款訂正届書差出候ニ付、指令書下附致候間此段及回答候也
  年 月 日                 知事
    農商務省商務局長殿

(別紙)
第陸阡肆陌伍拾壱号
    石炭鉱採掘特許権譲渡契約証書謄本
長門無煙炭礦株式会社発起人総代唐崎恭三ハ花田汎太郎・森滋・高原平太・吉原政道肆名代理兼中屋熊太郎ト、明治参拾年漆月壱―日公証人中村正直役場ニ於テ、桜井庄太郎ノ立会ヲ以テ左ノ契約ヲ蹄結《(締)》ス
第壱条 長門無煙炭礦株式会社発起人惣代唐崎恭三ハ、自己等発起ニカカル長門無煙炭礦株式会社ガ設立ノ認可ヲ受ケタル時ハ、花田汎太郎・中屋熊太郎・森滋・吉原政道・高原平太等ヨリ其権利ニ属スル後記ノ石炭鉱採掘特許権ヲ右長門無煙炭鉱株式会社ヘ譲受クル旨申述ベ、花田汎太郎・中屋熊太郎・森滋・高原平太及ビ吉原政道ノ伍名ハ之ヲ譲渡スコトヲ承諾シタリ
 山口県美禰郡大嶺村大字大嶺奥分小字上峠外壱字
 一石炭鉱採掘特許権肆万漆阡漆陌肆拾陸坪、此特許番号第参捌零壱
 - 第15巻 p.413 -ページ画像 
号名義人花田汎太郎・中屋熊太郎・森滋・吉原政道・高原平太
 同県同郡同村大字大嶺奥分村小字小田外伍字
 一石炭鉱採掘特許権弐万弐阡玖陌陸拾捌坪
  此特許番号第弐伍零伍号名義人花田汎太郎・森滋・吉原政道・高原平太
第弐条 花田汎太郎・中屋熊太郎・森滋・高原平太及ビ吉原政道ノ伍名ハ、右長門無煙炭鉱株式会社ガ設立ノ認可ヲ受ケタル時ハ、何時ニテモ右会社ヨリ請求次第採特許権名義書換《(掘脱)》ノ手続ヲ履行スル旨盟約シタシ《(リカ)》
第三条 右長門無煙炭鉱株式会社設立ガ不認可トナリタル時ハ、本契約ハ無効タル旨一同申述タリ
右関係人ヘ読聞カセタル処、一同相違ナキ事ヲ認メ左ニ署名捺印ス
             東京府武蔵国東京市麹町区富士見町肆丁目拾番地寄留山口県士族会社員
            長門無煙炭礦株式会社発起人惣代
                    唐崎恭三(印)
                      当肆拾肆年弐ケ月
            福岡県筑紫郡水城村大字水城参陌玖拾肆番地住居平民鉱業
                    花田汎太郎
                      当参拾壱年弐ケ月
            福岡県遠賀郡若松町陸陌参拾弐番地住居士族石炭商
                    森滋
                      当伍拾参年弐ケ月
            福岡県筑紫郡大野村大字筒井陸陌伍拾玖番地住居平民鉱業
                    高原平太
                      当参拾漆年弐ケ月
            佐賀県東松浦郡鬼塚村大字和多田陌陸拾漆番地住居士族鉱業
                    吉原政道
                      当肆拾伍年弐ケ月
            山口県赤間関市仲ノ町陌弐拾参番地住居平民鉱業
     右花田汎太郎・森滋・高原平太・吉原政道肆名代理兼
                    中屋熊太郎
                      当肆拾漆年弐ケ月
右中屋熊太郎ハ花田汎太郎森滋ノ部理代人タル委任状ヲ所持シタリ
右中屋熊太郎ハ高原平太吉原政道ノ部理代人タル委員状《(任カ)》ヲ所持シタリ
            東京府武蔵国東京市京橋区木挽町参丁目伍番地住居士族無職業
                立会人 桜井庄太郎(印)
                      当肆拾伍年参ケ月
右契約ヲ為シタル事ヲ確証スル為メ左ニ署名捺印スルモノ也
  明治参拾―年漆月―壱日公証人中村正直役場ニ於テ
 - 第15巻 p.414 -ページ画像 
   東京区裁判所管内東京府武蔵国東京市京橋区銀座参丁目拾玖番地住居
                公証人 中村正直
此――謄本ハ花田汎太郎・森滋・高原平太・吉原政道・中屋熊太郎ノ請求ニ依リ原本ニ就キ謄写ス
依テ其確実ヲ証スル為メ左ニ署名捺印スルモノ也
  明治参拾―年漆―月―壱日公証人中村正直役場ニ於テ
   東京区裁判所管内東京府武蔵国東京市京橋区銀座参丁目拾玖番地住居
                公証人 中村正直
                    中屋熊太郎
  ○仮定款訂正届欠ク。

    願書進達願
長門無煙炭礦株式会社発起申請ニ付差出候契約書弐通ノ内壱通下戻方別紙之通リ願書差出候間、農商務省ニ御進達被成下度此段奉願候也
  明治三十年八月十一日
              麹町区富士見町四丁目十番地
          右会社発起人惣代  唐崎恭三(印)
    東京府知事 侯爵 久我通久殿
  追而七月三十一日付ノ下戻願書ハ御棄却被成下度此段申添候也


第六課文書類別 農商会社ニ関スル書類十六明治三十年第一種(DK150050k-0004)
第15巻 p.414-422 ページ画像

第六課文書類別 農商会社ニ関スル書類十六明治三十年第一種 (東京府庁所蔵)
明治三十年十月七日     内務部第六課属 中村幹助(印)
 知事(印)
  内務部長(印)  第 課長(印)   商工掛(印)
    株式会社設立申請書進達之件
       (朱書)
      按 六丙二七六四ノ二
先般発起認可相成候長門無煙炭礦株式会社発起人共ヨリ設立申請書提出候ニ付取調ノ処不都合無之被認候条、此段進達此如副申候也
  年 月 日                知事
    農商務大臣殿
    六丙二七六四ノ御進達願
本社設立免許申請ノ為メ別冊定款・目論見書・株式申込簿謄本・発起認可証謄本等一件書類四通農商務省ヘ提出仕候ニ付御進達被成下度、此段奉願上候也
  明治三十年十月一日
           長門無煙炭礦株式会社
           設立発起人
            東京市日本橋区兜町二番地
                     渋沢栄一(印)
            東京市深川区清住町一番地
                     浅野総一郎(印)
            東京市日本橋区本材木町一丁目七番地
                     渡辺治右衛門(印)
 - 第15巻 p.415 -ページ画像 
            東京市浅草区橋場町三十七番地
                     真中忠直(印)
            東京市麹町区富士見町四丁目十番地
                     唐崎恭三(印)
            東京市芝区高輪北町五十二番地
                     小林秀知(印)
            佐賀県東松浦郡鬼塚村大字和多田百六十七番地
                     吉原政道(印)
    東京府知事 侯爵 久我通久殿

    設立免許申請書
一長門無煙炭礦株式会社ハ明治三十年九月廿四日創業総会ヲ開キ、商法規定ノ各事項ヲ議定シ確定仕候ニ付、別冊確定定款及目論見書・株式申込簿謄本・発起人認可証謄本等相添ヘ設立免許ノ申請仕候也
   明治三十年十月一日
           長門無煙炭礦株式会社
           設立発起人
            東京市日本橋区兜町二番地
                     渋沢栄一(印)
            東京市深川区清住町一番地
                     浅野総一郎(印)
            東京市日本橋区本材木町一丁目七番地
                     渡辺治右衛門(印)
            東京市浅草区橋場町三十七番地
                     真中忠直(印)
            東京市麹町区富士見町四丁目十番地
                     唐崎恭三(印)
            東京市芝区高輪北町五十二番地
                     小林秀知(印)
            佐賀県東松浦郡鬼塚村大字和多田百六十七番地
                     吉原政道(印)
    農商務大臣 伯爵 大隈重信殿
(別冊)
    長門無煙炭礦株式会社定款
      第一章 総則
第一条 当社ハ商法ニ準拠シ株式会社ノ組織トス
第二条 当社ハ長門無煙炭礦株式会社ト称ス
第三条 当社ハ本社ヲ東京市内ニ設置シ、鉱業所ヲ山口県長門国美禰郡ニ置ク
第四条 当社ハ長門ノ無煙石炭ヲ採掘シ及ヒ之ヲ運搬販売スルヲ以テ目的トス、但営業ノ都合ニ依リテハ株主総会ノ決議ヲ以テ骸炭又ハ煉炭ヲ製造及ヒ販売スルコトアルヘシ
第五条 当社ノ資本金ハ五拾万円トス
第六条 当社ノ営業年限ハ之レヲ予定セス
 - 第15巻 p.416 -ページ画像 
      第二章 株式
第七条 当社ノ株式ハ一株金五拾円トシテ其株数ヲ壱万株トス
第八条 当社ノ株式ハ一株毎ニ株券一通ヲ発行ス
  但株主ノ望ミニ依リテハ拾株券ヲ発行スルコトアルヘシ
第九条 資本金払込ノ期限及ヒ其割合左ノ如シ
 第一回 一株ニ付金弐拾参円五拾銭
      但当会社設立免許ヲ得タル后一ケ月内ニ取締役ノ通知ニヨリ直チニ払込ムモノトス
 第二回 以後ノ払込ハ明治三十四年十二月マテヲ限リ数回ニ払込マシムルモノトシ、其都度ノ金高及期日ハ取締役会ノ決議ヲ以テ十四日以前ニ各株主ニ通知スルモノトス
第十条 株主株金ノ払込ヲ怠リタルトキハ其払込期限ノ翌日ヨリ払込タル日迄、金壱百円ニ付日歩金四銭ノ割ヲ以テ遅滞利息ヲ払ハシメ且ツ其遅滞ノ為メ生シタル費用ヲ仕払ハシムヘシ
第十一条 株主株金ノ払込ヲ怠リタルトキハ当社ハ十四日以内ニ払込ムヘキ旨ヲ催告スヘシ、此催告ヲ受ケ尚払込マサルトキハ更ニ株式公売ノ旨ヲ通知シテ之ヲ公売シ、其代金ヲ以テ払込金額遅滞利息及其費用ヲ引去リ、剰余アルトキハ之ヲ還付シ不足アルトキハ之ヲ償ハシムヘシ
第十二条 当会社株券ハ株金全額払込迄ハ仮株券ヲ交付シ置キ、最後株金全額払込済ノ際之ヲ本株券ト交換スヘシ
第十三条 当社ノ株式券状及仮株式券状ノ雛形左ノ如シ
株式券状雛形

図表を画像で表示株式券状雛形

  第何号  [img 図]印紙消印       長門無煙炭礦株式会社株式券状 一、何株                氏名殿    此金額 何円 右記名者長門無煙炭礦株式会社ノ定款ヲ遵守シ 本会社株式ノ内   株即チ   円ノ株主タルコトヲ相違ナキ証トシテ、此株式券状ニ本会社ノ印章ヲ押捺シ之ヲ交付スルモノ也 此券状ヲ売買譲受渡セント欲セハ本会社ヘ持参スヘシ、本会社ニ於テ検査ヲ遂ケ此券状裏面罫画内ヘ専務取締役記名調印シ之ヲ還付スヘシ   年月[img 図]社印日                    長門無煙炭礦株式会社                     取締役会長 氏名 印                     専務取締役 氏名 印 



同裏面

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 年月日   売譲渡人記名調印   買譲受人記名調印   買譲受人住所   専務取締役記名調印 



 - 第15巻 p.417 -ページ画像 
仮株式券雛形

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 第何号  [img 図]印紙消印 長門無煙炭礦株式会社仮株式券状                          氏名殿 一 何株    此金額 何円      回数   払込年月日   金額   領収書印  右記名者長門無煙炭礦株式会社ノ定款ヲ遵守シ 本会社株式ノ内  株即  円ヲ引受タルコト相違ナキ証拠トシテ此券状ヲ交付ス 払込金ヲ為ス時ハ此券状ヲ其都度本会社ヘ持参スヘシ、本会社ハ領収セシ証トシテ金額並ニ年月日ヲ記シ専務取締役ノ印ヲ押捺スヘシ、追テ全額払込ノ上ハ本券状ト引換フヘキモノトス  但此券状ヲ売譲渡買譲受ント欲セハ裏面罫画内ヘ売渡譲買譲受人ト共ニ記名調印シ本会社ヘ持参スヘシ、本会社ニ於テ検査ヲ遂ケ専務取締役捺印ノ上所有ノ移転ヲ証明スヘシ    [img 図]社印   年月日                  長門無煙炭礦株式会社                   取締役会長 氏名 印                   専務取締役 氏名 印 



同裏面

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 年月日   売譲渡人記名調印   買譲受人記名調印   買譲受人住所   専務取締役記名調印 



第十四条 当社ノ株式ヲ売買譲与シタルトキハ其株式ノ裏面ニ売渡人買受人又ハ譲渡人譲受人ニ於テ記名調印シ、而シテ双方連印ノ上売譲渡証書ヲ添ヘ当社ニ差出シ名義書換ヲ請求スヘシ、当社ハ之ヲ株主名簿ト照合シ相違ナキニ於テハ其書換ヲナスヘシ
  但株主死亡シ其相続人ヨリ名義書換ヲ乞フ時ハ、親属若クハ当会社ニ於テ適当ト認メタル二名以上ノ保証人ヲ立ツヘシ
  株主氏名ヲ変更シタル時モ亦同シ
第十五条 当社ノ株主其所有ノ株券ヲ損傷シタル時ハ申出ニ従ヒ損傷株券引換ニ新株券ヲ交附スヘシ、若シ紛失焼亡シタルトキハ二名以上ノ証人連署ノ上其番号枚数及ヒ紛失若クハ焼亡シタル理由ヲ当社ニ申出ツヘシ、当社ハ本人ノ費用ヲ以テ三日以上適宜ノ地ノ新聞紙ニ広告シ五十日ヲ経テ尚発見セサルトキハ新株券ヲ交付スヘシ
第十六条 当社株式券状ノ記名書換及新券ヲ請求スルモノハ別ニ定ムル所ニ依テ手数料ヲ納ムヘシ
第十七条 通常総会前三十日ヲ超過セサル期間ハ株式ノ名義書換ヲ停止スルコトアルヘシ
第十八条 当社ノ株式ヲ売買又ハ譲受渡スルモノアルモ名義書換ヲナ
 - 第15巻 p.418 -ページ画像 
サヽル間ハ其株券ノ名義人ヲ以テ株主ト認メ、当社ノ損益ハ総テ其名義人ニ負担セシメ又ハ配当スヘシ
第十九条 当社株主其住所氏名及印章ヲ変更シタルトキハ当社ニ届出ツヘシ
      第三章 役員
第二十条 当社ノ重役ハ左ノ如シ
  取締役    三名以上五名以内
    内
   取締役会長  一名
   専務取締役  一名
   取締役    三名以内
   監査役    二名若クハ三名
      但監査役ハ当社ニアリテ他ノ役員ヲ兼勤スルコトヲ得ス
第二十一条 当社ノ取締役ハ当社ノ株式百株以上、監査役ハ五十株以上ヲ所有スル株主中ヨリ株主総会ニ於テ之ヲ選挙ス、其得点均シキモノアルトキハ年長者ヲ挙ケ、其生年相等シキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
  但取締役会長及専務取締役ハ取締役中ヨリ無記名投票ヲ以テ互選スヘシ
第二十二条 当社取締役在職年限ハ三ケ年、監査役ハ二ケ年トス、尤モ再選ニ依リテ重任スルコトヲ得ヘシ
  但在職期限ヲ経過スルモ新取締役及監査役ノ選挙セラルヽ迄ハ其職務ヲ継続スルモノトス
第二十三条 当社取締役及監査役欠員シタルトキハ臨時総会ニ於テ補欠選挙ヲナスヘシ、其補欠員ハ前任者ノ残期ヲ継クモノトス、然レトモ法定ノ人員ニ欠クルコトナク、且ツ業務ニ差支ナキトキハ現役員ノ協議ニヨリ次ノ改選期迄該選挙ヲ猶予スルコトアルヘシ
第二十四条 当社ノ取締役ハ自己所有ノ当社株式百株ヲ当社ニ預ケ置クヘシ、当社ハ禁授受ノ三字ヲ明記シタル預リ証書ヲ渡スヘシ
第二十五条 当社ノ取締役ハ会社一切ノ業務ヲ統括シ之レヲ施行スルノ権ヲ有ス、又タ取締役会長ハ取締役会及株主総会ノ議長トナリ社務ヲ統督ス
第二十六条 当社ハ取締役会ノ決議ヲ以テ三名以下ノ顧問又ハ相談役ヲ置キ重要ノ事件ヲ協議スルコトヲ得
第二十七条 当社ノ技師・支配人以下社員ヲ任免黜陟スルハ取締役会ノ決議ニ依ルモノトス
第二十八条 当社ノ取締役ハ、監査役ノ同意ヲ経テ当社ノ営業取扱規則・申合規則其他ノ細則ヲ制定施行スルモノトス
第二十九条 当社ノ取締役ハ定会及臨時ノ集会ヲ開キ当社ノ要件ヲ議定スヘシ
第三十条 当社監査役ノ職務ハ左ノ如シ
 第一 取締役ノ業務施行カ法律・命令・定款及総会ノ決議ニ適合スルヤ否ヤヲ監視スルコト
 第二 計算書・財産目録・貸借対照表・事業報告書・利足又ハ利益
 - 第15巻 p.419 -ページ画像 
配当金ノ分配案ヲ検査シ、此事ニ関シ株主総会ニ報告ヲナスコト
 第三 会社ノ為メ必要又ハ有益ト認ムルトキハ総会ヲ召集スルコト
第三十一条 当社ノ監査役ハ何時ニテモ当社ノ営業実況ヲ尋問シ、帳簿其他ノ書類ヲ展閲シ、金庫及全資産及負債ノ現況ヲ検査スルノ権アリ
第三十二条 当社ノ取締役及監査役ニハ報酬ヲ贈与ス、其額ハ株主総会ノ決議ヲ以テ之ヲ定ム
      第四章 株主総会
第三十三条 当社ノ株式総会ハ分ツテ通常・臨時ノ二種トス、通常総会ハ毎年両度六月十二月之ヲ開キ、臨時総会ハ取締役及監査役ノ適当ト思考スル場合ニ於テ何時ニテモ之ヲ開クヘシ
第三十四条 当社株主ノ内、総株金高ノ五分ノ一以上ニ当ル株主ヨリ会議ノ目的ヲ示シテ請求アルトキハ、十五日以内ニ臨時総会ヲ招集スヘシ
第三十五条 当社株主総会ヲ開カントスルトキハ、開会ノ場所・日時及其会議ニ付スヘキ目的事項ヲ記載シ、少ナクトモ十五日以前ニ各株主ニ通知スヘシ
  但緊急ヲ要スル場合ハ本条ノ期間ヲ短縮スルコトアルヘシ
第三十六条 当社通常総会ニ於テハ取締役ヨリ提出スル前年期間ニ係ル財産目録・貸借対照表・利益配当・事業報告ノ計算書ヲ議定スルノ外他議ニ渉ルコトヲ得ス
第三十七条 当社ノ臨時総会ヲ開クニハ其総会ヲ要ス目的事項ノ各株主ニ報告シ、其会議ニ於テハ予メ報告シタル事項ノ外他議ニ渉ルコトヲ得ス
第三十八条 当社通常総会ハ議決権ヲ有スル株主及株高共十分ノ三以上、臨時総会ハ議決権ヲ有スル株主及株高共十分ノ四以上ニ当ル株主出席スルニアラサレハ議事ヲ開クコトヲ得ス
第三十九条 当社株主総会ニ於テハ取締役会長之カ議長タルヘシ、若シ取締役会長又ハ取締役差支アリ議長タルコトヲ辞スルトキハ、出席株主中ヨリ議長ヲ選挙スヘシ
第四十条 当社株主総会ノ議事ハ通常総会ニ於テハ出席員委任状加算ス以下之ニ倣フ議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ決シ、臨時総会ニ於テハ出席議決権ノ三分ノ一以上ノ同意ヲ以テ之ヲ決スヘシ
  但総会ニ於テ若シ投票権相半スルトキハ議長之ヲ決スヘシ
第四十一条 定款ノ変更及任意ノ解散ニ付テノ決議ハ、総株主ノ半数以上ニシテ総株金ノ半額以上ニ当ル株主出席シ、其議決権ノ過半数ニ依テ之ヲ為ス
第四十二条 総会ニ於テ出席株主其定数ニ満タサルトキハ、其出席株主議決権ノ過半数ヲ以テ仮リニ議決ヲナシ、其決議ヲ総株主ニ通知シ更ニ十四日以内ニ開会スヘシ、其通知ニハ第二ノ総会ニ於テ亦定数ニ満タサルトキハ、出席株主ノ議決権ノ過半数ヲ以テ仮議決ノ件ヲ承認シタルトキハ之ヲ有効トスヘキ旨ヲ明告スヘシ
第四十三条 当社ノ株主ハ株式一個毎ニ一個宛ノ議決権ヲ有スルモノトス
 - 第15巻 p.420 -ページ画像 
第四十四条 株主総会ニ於テ議決シタル事件ハ之ヲ決議録ニ登載シ、議長並ニ監査役記名捺印スヘシ
第四十五条 総テ総会ニハ株主自身出席スルヲ要スト雖モ、若シ事故アリ出席シ能ハサルトキハ、当社ノ役員ヲ除キ他ノ株主ニ議決ノ事項ヲ委任スヘシ
      第五章 計算
第四十六条 当社ハ毎年両度、即五月ト十一月ノ末日ニ於テ計算書・事業報告・財産目録・貸借対照表ヲ製シ、利足又ハ利益金配当ノ割合ヲ定メ、六月・十二月ニ於テ通常総会ノ会議ニ付スヘシ、且ツ決議済ノ上ハ新聞紙ヲ以テ広告スヘシ
第四十七条 利益金配当割合ノ方法ハ其半期間売上代金・手数料等収入高ヨリ総テノ営業諸経費ヲ引去リ消却ヲ要スル場合ハ其消却金ヲ差引残高ヲ以テ純益金トシ、此内ニテ準備金・役員賞与金又ハ積立金ヲ要スルトキハ之ヲ引去リ其残額ヲ以テ株主ヘ配当スルモノトス尤モ毎期配当割合ノ都合ニヨリ多少後期ヘ繰越金ヲ為スヘシ
第四十八条 準備金及役員ノ賞与金ハ左ノ割合ニ依ルモノトス
  一準備金   毎期純益金ノ百分ノ五以上
  二役員賞与金 毎期純益金ノ百分ノ五以上十五迄
第四十九条 当社ノ株主及債権者ハ本店ニ就キ株主名簿・目論見書・定款・設立免許書・総会ノ議決書・毎事業年度ノ計算書・財産目録・貸借対照表・事業報告書・利益金配当案・動不動産帖簿ノ展閲ヲ請求スル場合ニハ当社ハ之レヲ許スノ義務アリ
  但シ毎期損益金決算ノ際ハ取締役ノ見込ヲ以テ三十日以内之レカ展閲ヲ停止スルコトアルヘシ
      第六章 印章
第五十条 当社ノ印章ハ左ノ如シ
    長門無煙炭礦株式会社之印 方一寸
第五十一条 取締役ハ当社ノ印章ニ付特ニ注意シ、厳重ニ之ヲ取扱ハシムヘシ
      第七章 解散
第五十二条 当社解散ノ場合ニ於テハ取締役ハ株主臨時総会ヲ招集シ其決議ヲ取ルヘシ
第五十三条 解散ヲ決議セシトキハ其総会ニ於テ清算人ヲ選定スヘシ
右之条々明治三十年九月廿四日創立総会ニ於テ確定シ、玆ニ各自記名調印スルモノ也
          長門無煙炭礦株式会社創立発起人
             東京市日本橋区兜町弐番地
                     渋沢栄一(印)
             同市深川区清住町一番地
                     浅野総一郎(印)
             同市日本橋区本材木町一丁目七番地
                     渡辺治右衛門(印)
 - 第15巻 p.421 -ページ画像 
             同市浅草区橋場町二十七番地
                     真中忠直(印)
             同市麹町区富士見町四丁目十番地
                     唐崎恭三(印)
             同市芝区高輪北町五十二番地
                     小林秀知(印)
             佐賀県東松浦郡鬼塚村大字
             和多田百六十七番地
                     吉原政道(印)
    長門無煙炭礦株式会社設立目論見書
第一 当会社ハ株式組織トス
第二 当会社ハ長門国美禰・豊浦両郡ノ無煙石炭ヲ採掘シ及之ヲ運搬販売スルヲ以テ目的トス、但事宜ニ由リ株主臨時総会ノ決議ヲ以テ煉炭又ハ骸炭ノ製造及販売ヲ兼営スルコトアルヘシ
第三 当会社ハ長門無煙炭礦株式会社ト称シ、本社ヲ東京市ニ設ケ、鉱業所ヲ長門国美禰那ニ置ク
第四 当会社資本金ノ総額ハ金五拾万円ニシテ、之ヲ壱万株ニ分チ壱株ノ金額ヲ金五拾円トス
第五 当会社資本金使用ノ概算左ノ如シ
 一金五拾万円   資本金総額
      内訳
  金弐拾参万五千円 鉱区買入及其整理資本金
  金拾六万五千円  坑道開鑿及諸建造物資本金
  金拾万円     流通資本金
第六 当会社発起人ノ氏名住所及其引受株数左ノ如シ
 引受株数     住所                  氏名
 五百株  東京市日本橋区兜町二番地           渋沢栄一
 五百株  同市深川区清住町一番地            浅野総一郎
 五百株  同市日本橋区本材木町一丁目七番地       渡辺治右衛門
 参百株  同市浅草区橋場町三十七番地          真中忠直
 五百株  同市麹町区富士見町四丁目十番地        唐崎恭三
 五百株  同市芝区高輪北町五十二番地          小林秀知
 五百株  佐賀県東松浦郡鬼塚村大字和多田百六十七番地  吉原政道
第七 当会社ハ存立期限ヲ予定セス
右者明治三十年四月廿九日発起人ニ於テ決議シ、玆ニ各自記名調印スルモノナリ
          長門無煙炭礦株式会社設立発起人
             東京市日本橋区兜町二番地
                     渋沢栄一(印)
             同市深川区清住町一番地
                     浅野総一郎(印)
             同市日本橋区本材木町一丁目七番地
                     渡辺治右衛門(印)
 - 第15巻 p.422 -ページ画像 
             同市浅草区橋場町三十七番地
                     真中忠直(印)
             同市麹町区富士見町四丁目十番地
                     唐崎恭三(印)
             同市芝区高輪北町五十二番地
                     小林秀知(印)
             佐賀県東松浦郡鬼塚村大字和多田百六十七番地
                     吉原政道(印)

 印紙 株式申込書
一長門無煙炭礦株式会社株式五百株
  此証拠金壱千円也
        但壱株ニ付金弐円也
右ハ今般貴会社設立ヲ賛成シ前記ノ株数引受候、会社設立後定款通リ無相違株金払込可致候、依テ証拠金相添ヘ此段申込候也
             東京市日本橋区兜町二番地
  明治三十年七月廿一日          渋沢栄一
    長門無煙炭礦株式会社創立事務所
                  御中
(朱印) (筆)(筆)
農商務省指令商第一〇一六八号
             東京府東京市日本橋区兜町二番地
                      渋沢栄一
                        外六名
明治三十年五月七日付申請長門無煙炭礦株式会社発起ノ件認可ス
  明治三十年七月二日
          農商務大臣 伯爵 大隈重信


青淵先生六十年史 (竜門社編) 第二巻・第三三―三五頁 明治三三年二月刊(DK150050k-0005)
第15巻 p.422-423 ページ画像

青淵先生六十年史(竜門社編)第二巻・第三三―三五頁明治三三年二月刊
 ○第二十三章 鉱山業
    第七節 長門無煙炭礦会社
長門無煙炭礦株式会社ハ、明治三十年五月ノ交、青淵先生・浅野総一郎・吉原政道外四名ノ発起ニ係リ、資本金五十万円ヲ以テ設立シタルモノニシテ、其礦区ハ千四百三十五万六千五百八十二坪ナリ
同社ノ目的ハ長門国美禰・豊浦両郡ノ無煙石炭ヲ採掘シ、及之ヲ運搬販売スルニアリ、本社ヲ東京ニ置キ礦業所ヲ長門国美禰郡ニ設ク、今左ニ設立趣意書ヲ掲ク
  ○前掲(第四一〇頁)ニツキ略ス。
同社ハ設立以来礦区ノ要部各所ノ試掘ニ従事セシカ、現今ニ至リ更ニ其歩ヲ進メ、炭質炭層及其採掘方法等ヲ調査セシニ、頗ル良好ノ成績ヲ呈シタルヲ以テ、事業着手ノ設計略ホ定マリタリ、故ニ目下ハ試掘ヲ止メ、専ラ荒川ト称スル所ノ坑道掘進ヲ兼ネ、全山ニ係ル地質測量中ナリ、今試掘ニ依リテ得タル所ノ成績ヲ掲クレハ左ノ如シ
 - 第15巻 p.423 -ページ画像 

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 名称       塊炭粉炭ノ割合  層厚      炭ノ厚    狭ミノ厚   傾斜   方位 櫨ケ谷上層炭   塊炭五分     十一尺五寸   十尺五寸   一尺     三十度  西北          粉炭五分 同  下層炭   塊炭三分     十四尺     十一尺六寸  二尺四寸   同    西々北          粉炭七分 桃ノ木越下層炭  塊炭四分     二十尺六寸   十二尺三寸  八尺三寸   同    同          粉炭六分 草井川上層第一  塊炭三分     十一尺     十一尺    〇      同    同          粉炭七分 同  上層第二  塊炭二分     十一尺九寸五分 十尺九寸   一尺五分   同    同          粉炭八分 同  下層第一  塊炭       十八六寸    十五尺五寸  三尺一寸   同    同          粉炭 粉 猪ノ木谷     塊炭四分     七尺四寸    六尺三寸   一尺一寸   同    同          粉炭六分 梯山杉ノ木    塊炭       六尺二寸    五尺四寸   八寸     同    同          粉炭 粉 桃ノ木下層炭   塊炭三分     十尺九寸    八尺     二尺九寸   同    同          粉炭七分 荒川新坑第一   塊炭五分     十二尺五分   八尺九寸五分 三尺一寸   同    同          粉炭五分 





青淵先生公私履歴台帳(DK150050k-0006)
第15巻 p.423 ページ画像

青淵先生公私履歴台帳(渋沢子爵家所蔵)
    民間略歴(明治二十五年以後)
明治三十年
○上略
一長門無煙炭礦株式会社ヲ設立シ其取締役会長トナル
  本会社ハ長門国所在無烟炭ヲ採掘シ、世ノ需要ニ供セントスルモノニシテ、委員長トシテ其創立ニ尽力シ、会社成立後取締役会長ニ選マレ、現ニ其職ニアリ
○中略
一長門無煙炭礦株式会社取締役会長卅七年五月解散
○中略
  以上明治三十三年五月十日調



〔参考〕渋沢栄一 書翰 小林徳太郎宛(明治三五年)一二月二七日(DK150050k-0007)
第15巻 p.423 ページ画像

渋沢栄一 書翰 小林徳太郎宛(明治三五年)一二月二七日
                   (小林徳太郎氏所蔵)
拝啓然者別紙艦政本部より被申越候書面ニ付而ハ、昨日農商務省へ罷出、製鉄所経理課長大谷と申人ニ面会之上、篤と其要旨申述置候処、早々大臣・総務長官へも申立且製鉄所之方へ問合せ、其中何分之回答可致と申事ニ候
右之段小林氏○長門無煙炭礦専務小林秀知へも御序御申通可被下候 匆々不一
  十二月廿七日
                      渋沢栄一
    小林徳太郎様



〔参考〕(八十島親徳) 日録 明治三七年(DK150050k-0008)
第15巻 p.423-424 ページ画像

(八十島親徳) 日録 明治三七年    (八十島親義氏所蔵)
一月廿日 晴
○上略 午後、柏木倶楽部ニ於テ長門無烟炭礦会社不払込株競売アリ、渋沢代表出席《(ヲ脱カ)》ス、三百株計リ(廿七円半払込)第二ノ安直(一円四十銭)ニテ競落ス○下略
  ○中略。
三月七日 晴
 - 第15巻 p.424 -ページ画像 
昨日青淵翁ノ命ニ依リ、今朝箔屋町渡部治右衛門氏方《(渡辺治右衛門)》ニ至リテ、長門無烟炭礦海軍省売上一件ニ付テ同氏ノ異論ノ要領ヲ聞取リ、十一時兜町ヘ出勤○下略
  ○中略。
六月廿七日 快晴 大ニ暑シ
○上略 夕北新堀浅野氏方ニ至ル、長門無烟炭礦ニ対スル中屋等強談仲裁岡田治衛武氏ヨリ申出ノ件協議会也○下略
  ○中略。
六月三十日 快晴
朝西園寺公毅氏ヲ訪フ長門無烟炭坑解散後紛紜ノ件ニ付テノ談也○下略
  ○中略。
十二月廿六日 曇後晴
○上略 昼偕楽園ニ至ル、長門無烟炭会社紛議結了ニ付、仲裁人岡田治衛武、先方代理人元田肇其他ヲ浅の・小林諸氏ガ招キタル祝宴也○下略
  ○長門無煙炭礦株式会社ハ設立ノ後利益ヲ見ズ、明治三十五年上半期迄ニ一万二千六百八十八円ノ損失ヲ計上シ(「竜門雑誌」第一七一号〔明治三五年八月〕ニヨル)明治三十七・八年戦役ニ際シ、所有炭田ヲ海軍省ニ売渡シテ解散シタリ。(元当会社々員小林徳太郎氏談)