デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

5章 農・牧・林・水産業
2節 水産業
9款 大日本遠洋漁業株式会社
■綱文

第15巻 p.683-685(DK150093k) ページ画像

明治40年5月1日(1907年)

是日、資本金百五十万円ヲ以テ臘虎及ビ膃肭獣ノ漁獲ヲ目的トスル当会社創立セラル。栄一創立委員長タリ。


■資料

中外商業新報 第七五一四号 明治三九年一二月九日 漁業トラスト創立(DK150093k-0001)
第15巻 p.683 ページ画像

中外商業新報 第七五一四号 明治三九年一二月九日
    漁業トラスト創立
渋沢男・大倉喜八郎・三輪信一郎《(三輪信次郎)》・皆川四郎氏等の発議により資本金二百五十万円にて太平洋遠洋漁業会社と称する臘虎及膃肭臍漁獲の一大トラストを創設し、株式は発起人等の予約申込にて既に満株の盛況なるか、素と国家的事業を一部人士にて専有するは其主旨に反すとの渋沢男の意見に従ひ、発起人持株に制限を置き一般に加盟を許す筈にて、不日発表株式募集に着手する筈なりといふ


東京経済雑誌 第五四巻第一三六七号・第一〇九八頁明治三九年一二月一五日 ○漁業トラストの創立(DK150093k-0002)
第15巻 p.683 ページ画像

東京経済雑誌 第五四巻第一三六七号・第一〇九八頁明治三九年一二月一五日
○漁業トラストの創立 渋沢男・大倉喜八郎・三輪信一郎・皆川四郎氏等の発議により、資本金二百五十万円にて太平洋遠洋漁業会社と称する臘虎・膃肭獣の漁獲トラストを創設し近日発表株式募集に着手する筈


東京経済雑誌 第五四巻第一三六八号・第一一四三頁明治三九年一二月二二日 △大日本遠洋漁業発起人会(DK150093k-0003)
第15巻 p.683 ページ画像

東京経済雑誌 第五四巻第一三六八号・第一一四三頁明治三九年一二月二二日
△大日本遠洋漁業発起人会 去る十三日開会、定款を可決し創立委員長に渋沢栄一、委員に横山一平・皆川四郎・三浦政一・角利助・江崎礼一・本多敏明・吉田温苗・菊池美尚・波多野伝三郎・高久馨・佐野渡の諸氏当選、資本金二百五十万円株数五万株とし、発起人六十余名にて二百株以上を引受くる都合となし、一般募集株其他に就ては委員に一任することに決定したり


銀行通信録 第四三巻第二五五号・第九六頁 明治四〇年一月 △大日本遠洋漁業会社(DK150093k-0004)
第15巻 p.683 ページ画像

銀行通信録 第四三巻第二五五号・第九六頁 明治四〇年一月
△大日本遠洋漁業会社 渋沢栄一・横山孫一郎・高島小金治・三輪信次郎・皆川四郎等の諸氏は資本金二百五十万円を以て大日本遠洋漁業株式会社を設立することゝなり、総株数五万株の内四万五千株は発起人及賛成人に於て引受、残り五千株を一般より募集することゝし、一月十五日を限りて之を募集せり


中外商業新報 第七六三〇号 明治四〇年四月二八日 遠洋漁業会社創立総会(DK150093k-0005)
第15巻 p.683-684 ページ画像

中外商業新報 第七六三〇号 明治四〇年四月二八日
    遠洋漁業会社創立総会
遠洋漁業会社は三月廿八日第一回創立総会を開きたるも紛擾の為遂に成立せざりしより、廿七日午後二時赤坂溜池三会堂に於て更に創立総会を開催せり、元来同会社は船主派・非船主派の両派ありて利害の状
 - 第15巻 p.684 -ページ画像 
態を異にし、加之近来経済界の不振なる余波を蒙りし為解散派の意気込頗る烈しかりしが、二三日前より多少妥協の姿となり此に開会を告げしものにて、開会するや三輪信次郎氏は推されて座長となり、委員角利助氏は諸般の経過及事項の報告を行ひ次て協議に進みしが、議論百出容易に帰著を見ず、時には人身攻撃の声も聞へ鉄拳も降らんばかりなりしが、漸くにして(一)本日の創立総会を延引し廿八日より五日間以内に渋沢委員長の出席を求め創立総会を開くこと(二)七名の委員を挙げて重要事項の調査を遂げしむる事に一決したるに、又候委員の選定に議論の花を咲せたるも、結局座長指名の下に渡辺・菊地・藤田・稲本・山田・宮嶋・桜井の七氏を選定し調査委員となし、創立委員と協力して万事の行進を図り一般の満足を充すべき事に決せり、今日の処にては解散・非解散の外に立つ中立者は頗る迷惑を感じある由なれば、諸種の事由を闡明にして速に善後を結ぶこと頗る緊要事なるべし


東京経済雑誌 第五五巻第一三八六号・第七八〇頁明治四〇年五月四日 △日本遠洋漁業総会(DK150093k-0006)
第15巻 p.684 ページ画像

東京経済雑誌 第五五巻第一三八六号・第七八〇頁明治四〇年五月四日
△日本遠洋漁業総会 日本遠洋漁業株式会社第二回創立総会は去る二十七日赤坂三会堂に開会、三輪信次郎氏座長席に着き、常務委員角利助氏より、創立事務開始以来の報告あり、尋で議事に入り論難攻撃熾なりしが、結局本会社の創立に関しては、渋沢男も軽からざる責任あることなれば、今後五日間を期し同氏の出席を請ふて、更に議事を進行すること、並に七名の調査委員を設けて、同期間内に本会社の事業状態を調査せしめん等の発議あり、満場異議なく之に可決し、座長は左の七氏を委員に指名して散会したり
 渡辺宗吉・菊地長右衛門・藤田信太郎・稲茂登三郎・山田喜久次郎・宮島鎗八・桜井直理


東京経済雑誌 第五五巻第一三八九号・第九一八頁明治四〇年五月二五日 △大日本遠洋漁業の総会(DK150093k-0007)
第15巻 p.684 ページ画像

東京経済雑誌 第五五巻第一三八九号・第九一八頁明治四〇年五月二五日
△大日本遠洋漁業の総会 本月一日赤坂三会堂に開会せり、同会は紛議に紛議を重ねたりしも漸く妥協成立し、同日は委員長渋沢男会長席に着き、稲茂登三郎氏は調査委員として資金二百五十万円の中百万円を減じ百五十万円とするに決したりと報告せしに満場之に賛成し、次に創立費支出の件を承認確定し、夫れより減資に関する定款改正は総て取締役に一任し、又減資百万円の一回払込廿五万円は六月五日より払戻すに決し、取締役に三浦政一・本多敏明・佐野渡・角利助・渡辺宗吉・石垣隈太郎・宮島鎗八、監査役に小栗富次郎・高久馨・大河内輝剛諸氏当選、次に創立委員十一名に対する報酬の件を決し、夫より船主との契約書・船価格等を決定して玆に其成立を告げたり


渋沢栄一 日記 明治四〇年(DK150093k-0008)
第15巻 p.684-685 ページ画像

渋沢栄一 日記 明治四〇年         (渋沢子爵家所蔵)
五月五日 晴 暖                起床七時就蓐十二時
○上略 皆川四郎・竹田政智二氏来ル、遠洋漁業会社・人造肥料会社ノコトヲ談ス○下略
  ○中略。
 - 第15巻 p.685 -ページ画像 
十一月二十日 晴 寒              起床七時
○上略 遠洋漁業会社佐野・角二氏来リテ謝品ヲ贈与セラル○下略


青淵先生公私履歴台帳(DK150093k-0009)
第15巻 p.685 ページ画像

青淵先生公私履歴台帳            (渋沢子爵家所蔵)
    民間略歴(明治二十五年以後)
○上略
一大日本遠洋漁業株式会社相談役 四十一年二月 同○四十二年六月六日辞任
○中略
  以上明治四十二年六月七日迄ノ分調


竜門雑誌 第二五三号・第四七―五〇頁 明治四二年六月 青淵先生の各種関係事業引退(DK150093k-0010)
第15巻 p.685 ページ画像

竜門雑誌 第二五三号・第四七―五〇頁 明治四二年六月
    青淵先生の各種関係事業引退
我青淵先生○中略本月六日○中略同日附を以て左記の如き辞任書及書状を発送せられたり
    辞任書
 拙者儀頽齢に及び事務節約致度と存候間、貴社「何何役」辞任仕候此段申上候也
  明治四十二年六月六日          渋沢栄一
    書状
 拝啓時下向暑の候益々御清泰奉賀候、陳は小生儀追々老年に及び候に付ては関係事務を減省致度と存し、今回愈々第一銀行及東京貯蓄銀行を除くの外一切の職任を辞退致候事に取極候に付、別紙辞任書差出候間事情御了察の上可然御取計被下度候、尤も右様役名は相辞し候へ共、向後とて従来の御交誼上必要に臨み御相談に与り候事は敢て辞する処に無之候間其辺御承知置被下度候、此段申添候 敬具
  明治四十二年六月六日          渋沢栄一
辞任せられたる各種事業の名称及職任左の如し
○中略
  大日本遠洋漁業株式会社同上○相談役
○下略