デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治38年4月17日（1905年）

是ヨリ先一月、韓国貨幣整理ノ事決定セラルルト共ニ典圜局廃止セラレ、貨幣ハ大阪造幣局ニ付託シテ製造スル事ト為リ、是日栄一、第一銀行頭取トシテ造幣局長長谷川為治ト貨幣鋳造ニ関スル契約書ニ調印ス。三十九年九月始メテ新貨幣ヲ製造シ、爾来需要ニ応ジテ其製造百四十五万円ニ及ベリ。

韓国ニ於ケル第一銀行　第一銀行編　第七一―八一頁明治四一年八月刊
　○第三章　韓国貨幣整理始末
　　　　第七節　新貨幣ノ鋳造
光武九年一月貨幣整理ノ事決定セラレタルト同時ニ典圜局ヲ廃止シ貨幣ハ総テ大阪造幣局ニ付託シテ製造スルコトヽナリ、大蔵省ニ於テ韓国貨幣製造ニ関スル取扱手続ヲ定メラレタルヲ以テ、同年四月十七日本行ハ造幣局ト貨幣鋳造ニ関スル契約ヲ締結セリ、右取扱手続及契約書ノ全文左ノ如シ
　　　　韓国貨幣製造ニ関スル取扱手続
　一、韓国政府ノ依頼ニ依リ日本造幣局ハ韓国貨幣ヲ製造スベシ
　二、第一銀行ハ韓国貨幣整理ニ関シ韓国政府ノ依託ヲ受ケタルニ依リ、韓国貨幣製造ニ関スル一切ノ取扱ヲ為スベシ
　三、第一銀行ハ韓国貨幣ノ製造ヲ要スルトキハ其種類・金額ヲ見本ヲ添ヘテ造幣局ニ申込ムベシ、尤モ金貨ノ製造ニ付キテハ金地金ヲ輸納スベシ、貨幣製造期間ハ造幣局トノ協定ニ依ルモノトス
　四、造幣局ハ貨幣ノ製造ニ要スル総テノ経費ヲ予算シテ之ヲ第一銀行ニ通知シ、必要ニ随ヒ時々第一銀行ヲシテ予算金額ヲ納付セシムベシ
　五、第一銀行ハ前条金額納付ノ通知ヲ受ケタルトキハ、直ニ之ヲ造幣局指定ノ金庫ニ納付スベシ
　六、造幣局ハ貨幣ヲ製造シタルトキハ之ヲ大阪第一銀行支店ニ交付スベシ、而シテ製造完了シタルトキハ費用ヲ精算スベシ
　七、造幣局ハ韓国貨幣ヲ製造シタルトキハ其都度之ヲ大蔵省ニ報告スベシ
　八、韓国引上旧貨幣ヲ造幣局ニテ買受ケントスル場合ニハ見本ニヨリ其価格ヲ算出シ第一銀行ト協定スベシ、此場合ニ於テハ大阪造幣局ニテ現物ヲ授受スルモノトス
　九、韓国引上旧貨幣ノ切断鋳潰又ハ精製ヲ造幣局ニテ引受クル場合ニハ第四　《（乃）》至第六ニ準拠スベシ
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　　　　韓国貨幣製造ニ関スル造幣局トノ契約書
　　一銀行ハ韓国政府ノ依託ヲ受ケ韓国貨幣整理ノ取扱ヲナスニ付テハ造幣局ト第一銀行ト契約スルコト左ノ如シ
　第一条　造幣局ハ第一銀行ノ請求ニ依リ韓国貨幣ヲ製造スベシ
　第二条　第一銀行ハ製造ヲ要スル韓国貨幣ノ種類・数量・期日等ニ付前以テ造幣局ニ協議スベシ
　第三条　材料地金ハ銀銅「ニツケル」等ハ造幣局ニ於テ買入ルベキニヨリ、其代金ハ随時造幣局ノ通知ニ依リ時価ヲ以テ第一銀行ヨリ前納スベシ、但金地金ハ第一銀行ヨリ輸納スルモノトス、其精製ヲ要スルモノハ実費ヲ納入スベシ
　第四条　造幣局ハ第一銀行ノ請求ニ依リ製造シタル韓国貨幣ヲ五十枚宛紙包トナシ（箱詰ノ上）造幣局ニ於テ之ヲ第一銀行ニ引渡スモノトス
　第五条　工費・極印製造費及工業減ハ随時造幣局ノ通知ニヨリ第一銀行ヨリ納入スベシ
　第六条　工業費ハ左ノ如ク定ム、但時宜ニヨリ双方協議ノ上改定スルコトアルベシ
　　　補助銀貨　　　百円ニ付　壱円弐拾五銭
　　　五銭白銅貨　　同　　　　参円弐拾銭
　　　壱銭青銅貨　　同　　　　拾六円八拾弐銭
　　　金貨　　　　　同　　　　壱円
　　前項ノ外極印製造費ハ別ニ之ヲ徴収スルモノトス
　第七条　韓国引揚旧貨幣ヲ造幣局ニテ買受ケントスル場合ニハ現物ニ就キ時価ヲ算出シ双方協議スベシ
　第八条　韓国引揚旧貨幣ノ切断鋳潰又ハ精製ヲ造幣局ニテ引受クル場合ニハ、第一銀行ハ造幣局ノ指定スル相当ノ費用ヲ納入スベシ
　右ノ条項ヲ契約シタルノ証トシテ玆ニ記名調印致候也
　　明治三十八年四月十七日　　　株式会社第一銀行
　　　　　　　　　　　　　　　　　頭取　　　渋沢栄一
　　　　　　　　　　　　　　　　　造幣局長　長谷川為治
而シテ新貨幣ノ種類及其品位量目等ハ光武五年二月発布ノ勅令第四号貨幣条例ヲ基礎トシ、尚ホ光武九年一月二十日同条例中改正ノ結果追加セラレタル拾銭銀貨・半銭銅貨等ヲ加ヘタルモノニシテ其種類左ノ如シ
　一、金貨幣　　二十圜　十圜　　　五圜
　一、銀貨幣　　半圜　　二十銭　　十銭
　一、白銅貨　　五銭
　一、青銅銭　　一銭　　五厘
其後銅相場騰貴ノ為メ韓国政府ハ貨幣量目ノ改正ヲ計画シ、従来本行ノ手ヲ経テ造幣局ニ依頼セル手続ヲ改メテ度支部大臣直接ニ同局ニ依頼スルコトヽナシ、明治四十年六月左ノ手続ヲ協定セリ
　第一、貨幣依託ニ関スル詳細ノ事項ハ左ノ方法ニヨリテ定ム
　第二、度支部大臣ハ鋳造ヲ要スル貨幣ノ品質・種類・数量・鋳造期間等ニ付キ予メ造幣局ニ通知スベシ
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　第三、鋳造貨幣ノ地金代金ハ鋳造当時ノ時価ニヨリ造幣局ノ通知ニ応ジ韓国政府之ヲ支払フ、但地金ヲ提供シテ鋳造ヲ依頼スル場合ニ於テハ韓国政府ハ第五及第六ノ費用ノミヲ負担ス
　第四、造幣局ハ鋳造スル貨幣ヲ五十枚宛紙包トナシ、箱詰ノ上之ヲ第一銀行大阪支店ニ引渡スベシ
　第五、工業費・極印製造費・工業減ハ鋳造ノ都度造幣局ノ通知ニヨリ韓国政府之ヲ支払フ
　第六、工業費ハ当分左ノ通之ヲ定ム
　　　　　　弐拾円　　　千円ニ付　　七拾五銭
　　金貨　　拾円　　　　同　　　　　壱円
　　　　　　五円　　　　同　　　　　壱円弐拾五銭
　　銀貨　　　　　　　　百円ニ付　　壱円弐拾五円《（銭）》
　　白銅貨　　　　　　　同　　　　　参円九拾五銭
　　青銅貨　壱銭　　　　同　　　　　弐拾円弐拾弐銭
　　　　　　半銭　　　　同　　　　　参拾円参拾五銭
　　前項ノ費額ヲ変更スルハ相互ノ協議ニ由ル
　第七、韓国引上旧貨幣ノ切断鋳潰又ハ精製ニ関シテハ造幣局ハ此ニ処《（要カ）》スル相当ノ費用ヲ請求スベシ
　第八、造幣局長ハ便宜財政顧問ヲ経テ凡テ度支部大臣ト交渉スルコト
今新貨幣条例ニ基キ光武九年即チ明治三十八年ヨリ同四十年ニ至ル三箇年間ノ新貨鋳造高ヲ挙グレバ左ノ如シ

抑々新貨幣条例ハ其年六月一日ヨリ施行セラレタルモ実際新貨ヲ発行セルハ七月以後ナリトス、其初メニ当リテハ世人未ダ新貨ノ何タルヲ知ラズ、其耳目ニ慣レザルヲ以テ徒ラニ受授ヲ拒ミテ流通頗ル困難ナリキ、蓋シ従来数次施行セラレタル幣制改革ハ常ニ其功ヲ奏セズ却テ其弊ヲ被リタルヲ以テ貨幣ニ対シ疑念ヲ抱クハ当然ニシテ、若シ強テ之ヲ使用セシメントスレバ其価格ヲ低落セシムルニ過ギズ、之レヲ以
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テ本行ハ各支金庫ニ対シテ新貨発行ノ方針トシテ左ノ通達ヲナセリ
　一、支払ニ際シテハ成ルベク新貨ヲ使用スベシト雖モ、受取人ガ之ヲ希望セザルトキハ決シテ其受授ヲ強制セザルコト
　一、各種ノ貨幣ハ成ルベク相換交付シテ同一地方ニ同一貨幣ノミ通用スルノ弊ヲ防グコト
　一、銀行券ハ已ムヲ得ザル場合ノ外ハ成ルベク発行セザルコト
同時ニ新貨受入ニ就テハ其額ノ多少ニ拘ラス総テ之ヲ受入ルヽノミナラズ、若シ他ノ貨幣ト交換セントスルモノアルトキハ之ニ応ジテ力メテ新貨ニ対スル疑念ヲ去ラシメタリ、之ヲ以テ数箇月ニシテ世人漸ク其使用ニ馴レ次第ニ流通ヲ増進スルニ至レリ
其後目賀田顧問ヨリ新貨幣流通ノ景況ヲ問合セアリタルヲ以テ、当銀行京城支店ヨリ答申シタル所左ノ如シ
　韓国新補助貨発行方ノ件ニ付御下問ノ趣拝承仕候、右ハ固ヨリ当行ニ於テモ十分ニ注意シ、已ニ各支店・出張所ヘモ詳細ナル通牒ヲ発シ漫リニ多額ノ発行ヲナスガ如キコトナキ様注意致シ置キ候ニ付、此点ハ十分御安意被下度候、右発行方針ハ大要左ノ通リニ有之候間右様御承知相成度候
　一、今回製造ノ新貨ハ補助貨ナレバ無論補助貨トシテ必要ナル額以上ニハ発行スルコトナク、少シニテモ流通円滑ナラザルガ如キ形跡アルトキハ直チニ発行ヲ停止シ、又ハ還収ヲ務ムルコト
　二、現今旧貨ノ引上尚ホ未ダ一小部分ニ過ギズシテ其残存流通スルモノ多ク、特ニ葉銭流通地方ニ於テハ未ダ旧貨ノ引上ニ着手セラレズ補助貨ノ過多ニ苦ムノ時ナレバ、此等旧貨ノ引上ゲヲナシ補助貨ニ不足ヲ生ズル迄ハ勿論多額ノ発行ヲナスガ如キコトナシ
　三、然レドモ新貨ノ発行流通ニハ何レノ場合モ多少ノ困難アリテ極メテ発達シタル国家ノ外ハ発行ト同時ニ故障ナク流通スルモノニアラズ、特ニ韓国ノ如キハ新貨ノ流通極メテ困難ナリトス、而シテ今日ハ旧貨尚多クシテ補助貨発行ノ必要ナキモ、今秋租税収納ノ後ニハ旧貨大ニ減少シ多少新補助貨ヲ必要トスルニ至ルベシ、其時ニ及ンデ遽ニ新貨ヲ流通セシメントスルモ甚ダ難シ、若シ補助貨不足シテ新貨ノ流通滑カナラザルトキハ諸般ノ取引ニ少カラザル障礙ヲ来スニ至ルベシ、故ニ今日ヨリ少シヅヽ新貨ヲ発行シテ一般民人ヲシテ新貨ノ何タルヲ知ラシメ置クヲ必要トス、是レ今日少許ノ発行ヲ試ミツヽアル所以ニシテ、当地ノ如キ旧貨交換代リ金又ハ官吏ノ俸給支払等補助貨発行ノ機会多キ場所ト雖モ、濫リニ発行セズ白銅貨千五百円、銀貨六千円ニ過ギズシテ回収甚ダ少シ
　四、右ノ如クシテ発行セルヲ以テ漸次信用ヲ得テ市中ニ流通セリト雖モ、若シ濫リニ其発行ヲ為ストキハ為ニ打歩ヲ生ズルノ恐アルヲ以テ大ニ注意ヲ加ヘ居レリ、殊ニ旧貨ノ流通多キニ加ヘテ小額銀行券ノ流通多キ地方ニ於テハ、最モ新貨ノ発行ニ注意ヲ為シ居レリ
　五、新貨ガ一般ノ信用ヲ得テ故障ナク円滑ニ流通スルニ至ル迄ハ銀行ニテハ当分持参人ノ何人タルヲ問ハズ無制限ニ無手数料ニテ銀
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行券其他ノ貨幣ニ引換ユルコトヽセリ
　　　従来各地ニ於テ旧白銅貨又ハ葉銭ノ外ニ日本ノ補助貨流通スル模様ナルヲ以テ、小貨幣ヲ需要スル地方及民度ノ状況ニヨリ新補助貨中其必要ノ種類ニ応ジテ発行ノ都合ヲ異ニシ敢テ一様ナラズト雖モ、目下ノ処寧ロ銀貨ノ発行ヲ先ニシ白銅貨ヲ後ニスルノ方針ナリ
　右及御回答候也
　　明治三十八年八月十日　　　　第一銀行京城支店支配人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　清水泰吉
　　　　目賀田顧問閣下
同年十二月韓国政府ト統監府通信管理局ノ協約ニ依リテ統監府郵便官署ニ於テ国庫金取扱ヲナスニ至リタル以来、郵便局ニ於テ収入シタル旧貨ハ総テ之ヲ金庫ニ送付シテ還収シ、支払ハ総テ新貨ヲ用ヒ其散布ニ少ナカラザル効果アリタリ

第一銀行五十年史稿　巻五・第九九―一〇二頁　大正一二年刊
　○第二編　第五章　日清戦後の発達
　　　　第三節　韓国中央金融機関
○上略
旧貨幣の整理と共に新貨幣の発行もまた本行の努力による、韓国の貨幣条例は明治三十八年六月一日より施行せられしが新貨の鋳造成りて実際之を発行したるは七月以後の事なり、然れども当時金貨に就いては已に代用貨幣たる銀行券の流通するあり、正貨準備としては日本銀行券を備ふる定なれば、急に之を製造する必要なきを以て、まず補助貨を製造発行したるに、韓民いまだに新貨に慣れざるがゆえに、概ね其授受を拒み容易に市場に流通せざりしかば、中央金庫たる本行は漸次民衆をして之に慣れしめんとし、各支金庫をして支払には成るべく新貨を使用すべけれども、受取人の希望せざるときは、決して其授受を強制すべからずと命じ、且新貨幣の見本を各郡守・各商業会議所等に配布して民衆に新貨幣を知らしむることに力め、又韓国貨幣問答と称する冊子二万部を印刷して各地方に配付し、以て極めて簡易に貨幣の性質及び貨幣整理の主旨を説明せり。又補助貨の欠乏せる地方には特に行員を派遣して、旧貨又は銀行券と補助貨との交換を為さしめ、以て新補助貨の流布を計りたり、又或は各地方に於て賃銀其他多額の補助貨の支払を要する会社には、新貨幣を現送して其支払に使用せしめ、又或は各地方に取引を有する商人の支払に新貨幣を使用せんとする者には、無利息を以て資金を貸与し、又は運賃を支給し、其返済は銀行券又は旧貨幣を以て之を為さしめ、以て新補助貨の流布を計りし事もあり、就中新貨幣の無利子貸出は特に効力を有し成績頗る良好なりき。斯の如くにして新貨幣は漸く広く各地方に散布するを得たるなり。是等は本行が韓国中央銀行として最初の施設なれども、其能く貨幣整理を完了し、財政・経済の二方面に幾多の貢献を為したるは実に日露戦後数年にあり、そは章を改めて之を叙すべし。
○下略
 - 第16巻 p.239 -ページ画像 

第一銀行五十年史稿　巻六・第二〇―二八頁　大正一二年刊
　○第二編　第六章　日露戦後の発達
　　　　第一節　韓国中央金融機関の譲渡
○上略
新貨幣の発行は、当時既に本位金貨の代用貨幣たる銀行券の流通せるが為に、急に製造するの必要を見ず、よりて先づ補助貨の製造発行を行へること前章に述べたるが如し、然るに貿易其他の関係上、漸次金貨の必要を感ずるに至りたれば、明治三十九年九月光武十年始めて十万円を製造し、爾来必要に応じて漸次製造し総額百四十五万円に及べり、補助貨の製造は三十八年以来継続して其総額また七百八十三万円に達したり、其流通の状態を按ずるに、最初発行の際には民衆いまだ新貨に慣れざるがゆえに、其授受を拒みて市場に流通せざりしかば、本行は当局者と謀りて種々の方法を執れる中にも、新貨幣の無利子貸出が特に功を奏せることは前章に述べたるが、本行は更に此方法を拡張することの得策なるを信じ、当局と商議の末、明治四十一年一月隆熙元年目賀田韓国財政顧問は天一銀行・漢城銀行及各農工銀行に命じて、本行と同じく貸出を行はしめ、其種類及金額は各銀行の請求を参酌して中央金庫たる本行において之を定むる事となし、尋で第十八銀行・第五十八銀行・韓一銀行及び確実なる金融組合等にも拡張し、且各銀行に対する貸出額をも増加せしかば、本行の整理部において直接商人に貸出したるものと相待ちて、新貨幣の流通を助けたる効果は頗る大なりき、又補助貨の運賃支給に就きても其方法次第に完備し、之を僻遠の地方に運送する場合の如き、危険の地に往来し、時に凶徒の襲撃を受くるなど、奇厄に遭遇せることもありたれども、流通は日に添へて円滑となり、発行額も亦増加を来したり、而して補助貨の発行と同じく時期によりて高低あれども、いまだ回収の方法を設けざりしが故に、一旦本行に受入れたるものは営業部の手許に死蔵せざるを得ず、故に発行額の増加するに従ひ、其額も亦増加し困難尠からず、是において明治四十一年二月隆熙二年流通額減少の時期には、銀行の手許に回収せる補助貨は、更に之を貨幣整理部に回収するの道を開かんことを、度支部に請ひ、其許可を得たり、本行即ち各支店の保管額を定め、それ以上に回収せられし場合には之を整理部の保管に移すことゝなし市場の状況によりて或は発行し或は回収し、其流通額を適度に伸縮し、通貨の流通を円満ならしめたり、されども此の如きは金庫所在地にのみ行ふべく金庫未設地においては之を発行すとも、回収に至りては絶対に其道なきがゆえに、本行は更に度支部と交渉の結果、取扱銀行は勿論其他の銀行及び金融機関と雖も、亦整理部に対し交換回収を請求し得ることゝなり、流通額の調節能く行はれたり、之が為に流通の状況は年と共に良好を加へ、本行が其業務を韓国銀行に譲渡せる際には、嘗て其受授を喜ばざりし地方も之を歓迎し、却て旧貨の不便を感ずるに至り、かくて貨幣整理の大事業は殆んど完結せられたるなり。今新貨幣の製造額を表示すること左の如し。
　（一）金貨
 - 第16巻 p.240 -ページ画像 
　　弐拾圜　　　　　　一、三五〇、〇〇〇円
　　拾圜　　　　　　　　　　五〇、〇〇〇
　　六圜《（五）》　　　　　　五〇、〇〇〇
　　合計　　　　　　　一、四五〇、〇〇〇
　（二）補助貨
　　銀貨半円　　　　　二、一〇〇、〇〇〇
　　同二十銭　　　　　二、〇〇〇、〇〇〇
　　同十銭　　　　　　一、〇七〇、〇〇〇
　　白銅貨五銭　　　　二、〇〇〇、〇〇〇
　　青銅貨一銭　　　　　　三九〇、〇〇〇
　　同半銭　　　　　　　　二七〇、〇〇〇
　　合計　　　　　　　七、八三〇、〇〇〇
回収を了したる韓国旧貨幣の処分は、是亦中央金庫たる本行の手によりて行はれたり、此の旧貨幣は再び貨幣として使用すべからざるが故に、先づ其形を変じて貨幣の効力を失はしめたる後、地金として売却せんとす、本行即ち旧典圜局内に工場を設けて、中央金庫鎔解部と称せり、蓋し旧貨の変形作業は之を鎔解する外なしと信じたればなり、かくて明治三十八年九月光武九年以来鎔解に従事せしが、幾もなく研究の結果機械を以て切断するの簡便なることを発見せしかば、同三十九年四月以来は専ら切断作業に附することゝなれり、本行が中央銀行の業務を韓国銀行に譲渡せる四十二年十一月隆熙三年において、旧貨の切断又は鎔解を了したるものと未了のものとは左の如くなりき。
○中略
かくて鎔解又は切断せる旧貨幣地金の内、銀貨は大阪造幣局に送附して新貨製造の材料に供し、銅貨は之を売却せり、又白銅貨は新白銅貨鋳造の材料と為さんと欲したれども、多量の亜鉛其他の雑物を含有せるがゆゑに、其材料に適せず、又葉銭は銅相場の騰貴を待ちて売却する方針なりしも、相場の下落は容易に恢復すべき見込なきを以て、速に処分するの有利なるを認め、此両貨は共に競争入札に附し之を売却せり、中央銀行の業務譲渡の際までに売却せる旧貨は、八十九万六千余貫、其代金百六十八万余円なりき。
韓国貨幣整理前における通貨は、白銅貨及び葉銭を主とし、此外に銀貨・銅貨等あれども流通額極めて少かりしが故に、貨幣整理の大斧鉞は専ら白銅貨と葉銭とに下されしが、就中白銅貨は量重くして多額の取引に適せず、且偽造多く価格の変動も常なきがゆゑに、経済上弊害最甚しかりしに、今や本行の苦心と努力とによりて之が回収を結了し僅に市場に残留するものあるも、憂ふるに足らざるに至れり、葉銭は相場の一定と共に流通著しく減少して、準補助貨たらしむることを得たり、是において韓国政府が屡々計画して実行を果さず、久しき間韓国国民を苦しめ、又韓国と商取引を有する諸外国に不便を与へたる旧貨幣は、玆に一掃せられ、純良なる新貨幣と確実公正なる銀行券とは之に代りて流通することゝなり、韓国の財政及び経済を安定せしむるに至りしは、本行の光栄とする所なり。
○下略
 - 第16巻 p.241 -ページ画像 

韓国貨幣整理報告書　第一銀行編　第一八九―二四〇頁　明治四二年刊
　　第七章　新貨幣
　　　　第一節　新貨幣ノ製造
旧貨幣ノ整理ト同時ニ新ニ実施セラルヘキ貨幣制度ハ光武五年二月勅令第四号貨幣条例ニシテ、光武九年一月勅令第二号ニ依リ同年六月一日ヨリ実施スヘキ旨ヲ定メラレタルコトハ已ニ述ヘタル処ナルカ、同条例ハ光武五年二月ニ発布セラレタルモ実施ノ期限ハ定メラレス、其儘トナリ居リタルヲ以テ、貨幣整理ニ際シ之ヲ実施スルコトヽシ、九年一月勅令ヲ以テ其期限ヲ定メラレタルモノナリ
同条例ハ主トシテ日本国ノ貨幣法ニ依リタルモノニシテ金貨ハ日本国ノ制ト同シク二十圜・十圜・五圜ノ三種トシ、其品質及量目亦同一ナリ、補助貨ハ稍異ニシテ、半圜及二十銭銀貨並ニ五銭白銅貨ハ同一ナルモ、十銭銀貨ヲ欠キ、又銅貨ハ赤銅ニシテ稍品位ヲ異ニスルノミナラス、一銭銅貨ノミニシテ二銭及五厘ヲ欠キタルカ、光武九年十月二十日勅令第四十二号ヲ以テ十銭ヲ加ヘ、又赤銅貨ヲ青銅貨トシテ五厘銅貨ヲ加ヘタルヲ以テ、二銭青銅貨ヲ欠ク外ハ全然日本国ノ制度ト同一トナレリ、其後日本国ニ於テ補助貨ノ品位量目ヲ改正シテ之ヲ減スルヤ、又之ニ倣ヒ隆熙元年八月勅令第四号ヲ以テ補助貨ノ品位量目ヲ改正シタルヲ以テ、今日ニテハ同シク二銭銅貨ヲ除ク外ハ全然日本ノ制度ト同一トナレリ
韓国政府ハ数年前竜山ニ典圜局ナルモノヲ置キ、洋式ノ機械ヲ備ヘ日本技師ヲ聘用シ専ラ貨幣ノ製造ヲ司ラシメタルモ、同局ノ組織不完全ナルノミナラス、従来殆ント白銅貨ノミヲ製造シ白銅貨濫発ノ根元ヲナシタルヲ以テ、目賀田顧問就任後間モナク其廃止ヲ建議シ、韓国政府ハ光武八年十一月二十二日ヲ以テ其廃止ヲ発布シタルヲ以テ、新貨ノ製造ニ付テハ日本政府ト協商シ大阪造幣局ニ依頼スルコトヽナレリ依テ大蔵省ハ右製造ニ関スル取扱ノ手続ヲ定メタリ、其全文左ノ如シ
　　　　韓国貨幣製造ニ関スル手続
　　　○前掲（第二三四頁）ニツキ略ス。
右ノ如ク第一銀行ハ貨幣製造ニ関スル一切ノ取扱ヲナスコトヽナリタルヲ以テ大阪造幣局ト左ノ契約ヲ締結セリ
　　　　韓国貨幣製造ニ関スル造幣局トノ契約書
　　　○前掲（第二三五頁）ニツキ略ス。
右取扱手続ハ多少ノ不便ナキニアラサルヲ以テ隆熙元年六月ニ至リ之ヲ改正シテ度支部ヨリ直接造幣局ニ依頼スルコトヽナリ、左ノ手続ヲ協定セラレタリ
　　　○前掲（第二三五頁）ニツキ略ス。
金貨ニ就テハ已ニ代用貨幣タル銀行券ノ流通スルアリ、正貨準備トシテハ日本銀行券ヲ備フルコトヽナリシヲ以テ、差当リ製造ノ必要ナカリシヲ以テ之ヲ後廻トナシ、初期ニ於テハ製造ヲナサヽリシモ、貿易其他ノ関係上漸次其必要ヲ生スルニ至リシヲ以テ、光武十年十月ニ初メテ十万円ヲ製造シ、爾後必要ニ応シテ漸次製造セリ、今同月以後毎月ノ製造ヲ挙クレハ左ノ如シ
 - 第16巻 p.242 -ページ画像 
　　　　毎月各種金貨製造額表

　　　年月　　　　　弐拾圜　　　　　　　　拾圜　　　　　　　五圜　　　　　　　　　　　計
　光武十年
　十月　　　　　五〇、〇〇〇・〇〇　五〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　――　　　一〇〇、〇〇〇・〇〇
　十一月　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　十二月　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　隆熙元年
　一月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　二月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　三月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　四月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　五月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　六月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　七月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　八月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　九月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　十月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　十一月　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　十二月　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　隆熙二年
　一月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　二月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　三月　　　　八〇〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　――　五〇、〇〇〇・〇〇　　　八五〇、〇〇〇・〇〇
　四月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　五月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　六月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　七月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　八月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　九月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　十月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　十一月　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　十二月　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　隆熙三年
　一月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　二月　　　　二五〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　二五〇、〇〇〇・〇〇
　三月　　　　二五〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　二五〇、〇〇〇・〇〇
　四月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　五月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　六月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　七月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　八月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　九月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　十月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　十一月　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　合計　　一、三五〇、〇〇〇・〇〇　五〇、〇〇〇・〇〇　五〇、〇〇〇・〇〇　一、四五〇、〇〇〇・〇〇

補助貨ハ貨幣整理著手ト同時ニ直ニ其必要ヲ生スヘキヲ以テ、光武九年五月ヨリ其製造ヲ始メタリ、今同月以後毎月ノ製造額ヲ挙クレハ左ノ如シ


 - 第16巻 p.243 -ページ画像 
　　　　毎月各種補助貨製造額表

　　　　年月　　　　　銀貨半圜　　　　　　　　同二十銭　　　　　　　　　同十銭　　　　　　　　　　白銅貨五銭　　　　　　　　青銅貨一銭　　　　　　　　同半銭　　　　　　　　　　　合計
　　　光武九年
　　　五月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　一二〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　一二〇、〇〇〇・〇〇
　　　六月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　二三九、七〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　二三九、七〇〇・〇〇
　　　七月　　　　二七〇、〇〇〇・〇〇　　　二〇〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　二四〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　七一〇、〇〇〇・〇〇
　　　八月　　　　　三〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　六〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　九〇、〇〇〇・〇〇
　　　九月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　一一七、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　一一七、〇〇〇・〇〇
　　　十月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　十一月　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　十二月　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　一二〇、三〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　一二〇、三〇〇、〇〇
　　　光武十年
　　　一月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　一〇三、〇〇〇・〇〇　　　　五、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　一〇八、〇〇〇・〇〇
　　　二月　　　　　四〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　二〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　六〇、〇〇〇・〇〇
　　　三月　　　　三六〇、〇〇〇・〇〇　　　三〇〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　五、〇〇〇・〇〇　　　　九、〇〇〇・〇〇　　　六七四、〇〇〇・〇〇
　　　四月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　一一、〇〇〇・〇〇　　　　一一、〇〇〇・〇〇
　　　五月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　四、〇〇〇・〇〇　　　二〇、〇〇〇・〇〇　　　　二四、〇〇〇・〇〇
　　　六月　　　　　　　　　　　　――　　　一五九、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　三〇、〇〇〇・〇〇　　　一八九、〇〇〇・〇〇
　　　七月　　　　　　　　　　　　――　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　一四八、一七二・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　三四、〇〇〇・〇〇　　　一五、〇〇〇・〇〇　　　一九八、一七二・〇〇
　　　八月　　　　　六〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　一五、〇〇〇・〇〇　　　　七五、〇〇〇・〇〇
　　　九月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　一五、〇〇〇・〇〇　　　　一五、〇〇〇・〇〇
　　　十月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　二五、〇〇〇・〇〇　　　　五、〇〇〇・〇〇　　　　三〇、〇〇〇・〇〇
　　　十一月　　　　四〇、〇〇〇・〇〇　　　　四〇、〇〇〇・〇〇　　　　五一、八二八・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　　五、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　一三六、八二八・〇〇
　　　十二月　　　一〇〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　二〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　一二〇、〇〇〇・〇〇
 - 第16巻 p.244 -ページ画像 
　　　隆熙元年
　　　一月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　一二、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　一二、〇〇〇・〇〇
　　　二月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　三月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　一八〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　一八〇、〇〇〇・〇〇
　　　四月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　二四〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　二四〇、〇〇〇・〇〇
　　　五月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　六〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　六〇、〇〇〇・〇〇
　　　六月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　一二〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　一二〇、〇〇〇・〇〇
　　　七月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　二〇〇、〇〇〇・〇〇　　　　六〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　二六〇、〇〇〇・〇〇
　　　八月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　一二〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　一二〇、〇〇〇・〇〇
　　　九月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　二〇、〇〇〇・〇〇　　　一〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　三〇、〇〇〇・〇〇
　　　十月　　　　一〇〇、〇〇〇・〇〇　　　二〇〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　二〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　三二〇、〇〇〇・〇〇
　　　十一月　　　一〇〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　四〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　五〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　一九〇、〇〇〇・〇〇
　　　十二月　　　三〇〇、〇〇〇・〇〇　　　一〇〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　二〇、〇〇〇・〇〇　　　　四、〇〇〇・〇〇　　　四二四、〇〇〇・〇〇
　　　隆熙二年
　　　一月　　　　　　　　　　　　――　　　二〇〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　一二、〇〇〇・〇〇　　　二一二、〇〇〇・〇〇
　　　二月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　二一、〇〇〇・〇〇　　　　二一、〇〇〇・〇〇
　　　三月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　二三〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　一三、〇〇〇・〇〇　　　二四三、〇〇〇・〇〇
　　　四月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　五月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　二〇、〇〇〇・〇〇　　　　二〇、〇〇〇・〇〇
　　　六月　　　　　　　　　　　　――　　　四〇〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　二〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　四二〇、〇〇〇・〇〇
　　　七月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　二八、〇〇〇・〇〇　　　一〇、〇〇〇・〇〇　　　　三八、〇〇〇・〇〇
　　　八月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　四、〇〇〇・〇〇　　　　　四、〇〇〇・〇〇
　　　九月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　四〇〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　四〇〇、〇〇〇・〇〇
　　　十月　　　　五〇〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　一五、〇〇〇・〇〇　　　五一五、〇〇〇・〇〇
 - 第16巻 p.245 -ページ画像 
　　　十一月　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　一〇、〇〇〇・〇〇　　　　一〇、〇〇〇・〇〇
　　　十二月　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　二〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　二〇、〇〇〇・〇〇
　　　隆熙三年
　　　一月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　一二、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　一二、〇〇〇・〇〇
　　　二月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　三月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　一〇、〇〇〇・〇〇　　　　一〇、〇〇〇・〇〇
　　　四月　　　　二〇〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　一一、〇〇〇・〇〇　　　二一一、〇〇〇・〇〇
　　　五月　　　　　　　　　　　　――　　　一〇〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　三〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　一〇、〇〇〇・〇〇　　　一四〇、〇〇〇・〇〇
　　　六月　　　　　　　　　　　　――　　　三〇〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　一二〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　四二〇、〇〇〇・〇〇
　　　七月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　五〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　五〇、〇〇〇・〇〇
　　　八月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　九月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　一〇、〇〇〇・〇〇　　　一〇、〇〇〇・〇〇　　　　二〇、〇〇〇・〇〇
　　　十月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　六〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　六〇、〇〇〇・〇〇
　　　十一月　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　一〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　一〇、〇〇〇・〇〇
　　　計　　　二、一〇〇、〇〇〇・〇〇　二、〇〇〇、〇〇〇・〇〇　一、〇七〇、〇〇〇・〇〇　二、〇〇〇、〇〇〇・〇〇　　三九〇、〇〇〇・〇〇　　二七〇、〇〇〇・〇〇　七、八三〇、〇〇〇・〇〇

右ノ内、隆熙元年八月勅令第四号ニ依リ品位量目ヲ改正セラレタルヲ以テ、改正前ノ大形銀銅貨ヲ改鋳ノ為ニ鋳潰シタルモノアリ、其額ハ左表ノ如シ
　　　　毎月各種補助貨鋳潰高表

　　　　年月　　　　　銀貨半圜　　　　　　　　同二十銭　　　　　　　　　　同十銭　　　　　　　　　白銅貨五銭　　　　　　　　青銅貨一銭　　　　　　　　同半銭　　　　　　　　　　計
　　　隆熙元年
　　　九月　　　　　六九、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　六九、〇〇〇・〇〇
　　　十月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　十一月　　　　三六、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　三六、〇〇〇・〇〇
　　　十二月　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
 - 第16巻 p.246 -ページ画像 
　　　隆熙二年
　　　一月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　二月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　三月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　四月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　五月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　六月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　七月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　八月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　九月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　十月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　十一月　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　十二月　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　隆熙三年
　　　一月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　二月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　三月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　四月　　　　二〇〇、〇〇〇・〇〇　　　一〇〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　二五、〇〇〇・〇〇　　　五〇、〇〇〇・〇〇　　　三七五、〇〇〇・〇〇
　　　五月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　三、二〇〇・〇〇　　　　　　八〇〇・〇〇　　　　　四、〇〇〇・〇〇
　　　六月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　六、五〇〇・〇〇　　　　六、五〇〇・〇〇　　　　一三、〇〇〇・〇〇
　　　七月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　二、五〇〇・〇〇　　　　　二、五〇〇・〇〇
　　　八月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　五、〇〇〇・〇〇　　　　　　五〇〇・〇〇　　　　　五、五〇〇・〇〇
　　　九月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
　　　十月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――
 - 第16巻 p.247 -ページ画像 
　　　十一月　　　　二〇、〇〇〇・〇〇　　　一〇〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　一二〇、〇〇〇、〇〇
　　　　計　　　　三二五、〇〇〇・〇〇　　　二〇〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　三九、七〇〇・〇〇　　　六〇、三〇〇・〇〇　　　六二五、〇〇〇・〇〇


　　　　第二節　新貨幣発行及流通ノ状況
前節述ヘタルカ如ク金貨ノ製造高ハ百四十五万円ニシテ其全部已ニ発行ヲ了セリ、発行高ノ中極メテ僅少ノ一部ヲ見本等トシテ各地金庫其他ヘ配布シタル外、殆ント全部ハ銀行券発行ノ正貨準備トシテ第一銀行発行部ニ保管セリ、第六章ニ述ヘタル正貨準備ノ中金貨及金地金ノ殆ント全部ハ則チ韓国金貨ナリ、此ノ如ク金貨ハ殆ント全部正貨準備トシテ庫底ニ蔵セラレ市場ニ流通スルモノ殆ント之ナク、其代用トシテ銀行券ノ流通スルモノナルヲ以テ、金貨ニ就テハ玆ニ其詳細ヲ述フルノ必要ヲ認メス
貨幣整理ニ当リテ最モ急務トシタルハ本位貨幣ノ流布ニシテ、従来補助白銅貨ノ濫発ニ依リテ本位貨幣ヲ駆逐シ、遂ニ価格ノ本位タルヘキ適当ノ貨幣ヲ欠闕スルニ至リタルヲ以テ、旧貨ノ引上ト同時ニ先ツ本位貨幣ノ流布ヲ必要トセシナリ、然ルニ本位貨ニ就テハ之カ代用タル銀行券ノ已ニ多大ノ信用ヲ以テ流通スルモノアリシカ為少カラサル便宜ヲ得タルハ前ニ述ヘタルカ如シ、補助貨ニ就テハ已ニ葉銭並ニ白銅貨ノ多額ニ流通スルアルヲ以テ、其額ノ上ヨリ見レハ急ニ発行ノ必要ナカリシト雖モ、之レ又漸次ニ交換ノ必要アルノミナラス、其必要ヲ生シタルニ及ヒ急ニ之ヲ発行セントスルモ、無智ノ細民新貨ノ如何ナル性質ノモノナルヤヲ解セスシテ遽ニ円滑ノ使用ヲ望ミ難キノミナラス、従来数次行ハレタル幣制ノ改革ハ往々ニシテ一般ノ損害ヲ招クニ終リシヲ以テ、今回ノ貨幣整理ニ対シテモ民心頗ル不安ナルハ已ムヲ得サル所ニシテ、強イテ之ヲ使用セシメントセハ徒ラニ其価格ヲ低落セシメ取引ノ安全ヲ害スルニ終ルヘキヲ以テ、未タ其必要ヲ生セサルニ及ヒテ漸次之カ発行ヲ為シ、其必要ヲ生スル時ハ已ニ多数民人ノ其使用ニ慣レテ十分ノ信用ヲ有セシメサルヘカラス、之ヲ以テ第一銀行ニ於テハ深ク此点ニ留意シ、新貨幣ノ発行ニツキ各支店出張所ニ対シ特ニ左ノ通達ヲ為セリ
　　貨第二号
　　　　新補助貨幣発行方針ニ関スル件
　新補助貨発行ノ多寡ハ貨幣整理ノ上ニ至大ノ関係アルヲ以テ、大凡左記ノ方針ニ依リ漸次発行スル義ニ有之候間、実際ノ状況ニ応シ活用ノ道ヲ誤ラサル様御注意相成度、此段及御通達候也
　　明治三十八年六月十日
　　　　　　　　　　　　金庫出納役
　　　　　　　　　　　　　　京城支店支配人　清水泰吉
　第一、現今旧白銅貨ノ流通過多ナルヲ以テ当分ノ内新補助貨ハ可成発行セス旧貨ノ引上ニ伴ヒ漸次発行スルヲ必要トス、加之多額ノ旧白銅貨ヲ持参シテ引換ヲ請求スルモノハ其代リ金トシテ再ヒ不便ナル補助貨ヲ受取ルコトヲ好マス、多クハ銀行券ヲ要求スルカ又ハ銀行ニ取引ヲナセルモノハ当座ニ振替ユルコトヲ予期セラル
 - 第16巻 p.248 -ページ画像 
ヘキヲ以テ、旧白銅貨交換ノ代リ金ハ当分左記ノ方針ニヨリテ交付スルコト
　　一、新補助貨ハ希望者ノ要求ニ依リテ渡スヘシ
　　　但シ可成代リ金ノ一割ヲ超ヘサル事
　　一、代リ金ヲ当座口ニ振替ヲ希望スルモノハ其取扱ヲ為ス事
　　一、其他ハ可成銀行券ヲ交付スル事
　第二、国庫金支払ノ場合ニ於テ受取人カ現金先授官吏其他ノ官吏ニシテ、更ニ多数ノ債権者ニ分割支払ヲ要スルモノナルトキハ其官吏ノ申出ニ依ルコト
　第三、普通銀行取引ノ関係ヨリシテ新補助貨ヲ希望スルモノアルトキハ特ニ新貨ノ発行ヲ不便トスル事情ナキ限リ其希望ヲ容ルヽ事
　第四、小額銀行券（五拾銭以下）及日本補助貨ハ補助貨不足ノ場合ノ外可成之ヲ発行セサル事
　第五、銀貨及白銅貨ハ各金庫整理部保管高ニ比例シテ取交セ交付スルノ方針ナルモ、両種貨幣流通ノ状況ヲ酙酌シテ其交付割合ヲ増減スルコト
　第六、五銭以下ノ支払ニ付テハ青銅貨ノ鋳造来年度ニアラサレハ出来上ラサルヲ以テ当分従来ノ赤銅貨及日本青銅貨ニ依ルコト
　第七、各金庫ハ新貨流通ノ状況ヲ注意シ前諸項ノ方針ヲ変更スヘキ事情アルトキハ、特ニ旧白銅貨ノ流通額減少シテ新貨幣ヲ増発スルノ時機ニ達セルコトヲ発見シタルトキハ、其事情ヲ速ニ中央金庫ニ通告シテ其指揮ヲ待ツ事
　　但シ至急ヲ要スル場合ニハ決行ノ後其事情ヲ詳細報告スルコト
右ノ如ク第一銀行ハ将来ノ必要ニ応スルカ為ニ予メ其発行ニ務メ、同時ニ慎重ナル注意ヲ以テ世人ヲシテ嫌悪ノ念ヲ起サシメス歓ンテ使用セシムルコトヲ計リ、新貨幣ニ対シテ疑念ヲ抱クモノアル時ハ鄭重ニ其性質ヲ説明シ其任意受領スルヲ待チテ授受ヲナセリ、元来細民カ新貨ヲ使用スルハ法令ニ依リテ与ヘラレタル性質ヲ解得スルニ非スシテ単ニ久シク使用ニ慣レタルカ為ナルヲ以テ、新貨幣ヲ民間ニ円満ニ流通セシメントセハ屡々彼等ノ手ニ入リ屡々之ヲ使用シテ何人モ故障ナク授受スルモノナル事ヲ知ラシメサルヘカラス、故ニ通常ノ支払ニハ決シテ強制的ニ交付セサリシモ、官吏ノ俸給其他官庁又ハ官吏カ直接現金ヲ債主ニ交付スル場合ニハ当該官庁ト協議ノ上毎回必ス若干ノ新貨ヲ交付スルコトヽシタリ、是官庁又ハ官吏ヨリ直接支払フモノニ対シテハ世人ノ信用モ自然ニ厚ク新貨ノ流通ニ便宜ナリシカ為ナリ
新貨ノ発行ニ就テハ周到ナル注意ヲ用ヒタリト雖モ、之ヲ受入ルヽニ当リテ法定制限ニ依リ其限度以上ノ受入ヲ拒絶スルトキハ、世人未タ法定制限ノ何者タルヲ知ラサルカ故ニ遂ニ新貨幣ノ信用ヲ失スルニ至ルヘキヲ以テ、之カ受入ヲ為スニ当リテハ其額ノ多少ニ拘ラス総テ之ヲ受取ルノミナラス、若シ他ノ貨幣ト交換スルコトヲ願フモノアルトキハ亦其額ノ多少ニ拘ラス之ニ応シ、新貨幣ノ信用ヲ維持スルコトニ務メタリ、当時目賀田財政顧問ノ新貨幣ノ状況ニ関スル問合ニ対シテ答申シタル所左ノ如シ
　　　○答申書前掲（第二三七頁）ニツキ略ス。
 - 第16巻 p.249 -ページ画像 
前章述ヘタルカ如ク旧白銅貨ノ還収ハ甚タ速カニシテ数月ナラスシテ其額已ニ数百万円ニ達シ、新補助貨ノ流布ヲ必要トスヘキ時期ノ来ルコトモ意外ニ速カナルヘキ模様ナリシヲ以テ、可成各地方ニ広ク新貨幣ヲ流布スヘキコトヲ務メタリ、今其方法ノ主ナルモノヲ挙クレハ左ノ如シ
　一、新貨幣ノ見本ヲ各郡守各商業会議所等ニ配付シテ各地ノ民人ニ新貨幣ヲ知ラシムルコトニ務メタルコト
　二、韓国貨幣問答ト称スル問答体ニシテ極メテ簡易ニ貨幣ノ性質及貨幣整理ノ主旨ヲ説明シタル小冊子二万部ヲ印刷シテ之ヲ各地方ニ配付シタルコト
　三、補助貨ノ欠乏セル地方ニハ特ニ行員ヲ派遣シテ旧貨又ハ銀行券ト補助貨ノ交換ヲ為サシメ以テ新補助貨ノ流布ヲ計リタルコト
　四、各地方ニ於テ賃銀其他多額ノ補助貨ノ支払ヲ有スル会社ニ委託シテ運賃ヲ支給シ新貨幣ヲ現送シテ其支払ニ使用セシメタルコト
　五、各地方ニ取引ヲ有スル商人ニシテ各地方ノ支払ニ新貨幣ヲ使用セントスル者ニハ無利息ヲ以テ資金ヲ貸与シ、又ハ運賃ヲ支給シ其返済ハ銀行券又ハ旧貨幣ヲ以テ之ヲ為サシメ以テ新補助貨ノ流布ヲ計リタルコト
以上五項何レモ新貨流布ノ上ニ少カラサル効果ヲ有シ、新貨幣ノ流通日ニ日ニ円滑トナレリ、而シテ新貨幣ノ無利子貸出ハ特ニ効力ヲ有シ其成績見ルヘキモノアリシヲ以テ、更ニ之ヲ拡張シテ他ノ銀行ヲ経由シテ貸出スコトヽナリ、隆熙元年一月ヲ以テ目賀田財政顧問ヨリ漢湖農工銀行外十銀行ニ対シ貸出ヲ為スヘキコトヲ命セラレ、次テ同年二月一日同顧問本部ヨリ右貸出ニ関スル条件ヲ達セラレタリ、其条件ハ左ノ如シ
　一、新補助貨ノ散布ヲ計ル為メ各銀行ニ対シ貨幣整理資金ヲ以テ貸付ヲナスコトヲ得
　二、貸出ヲ為スヘキ銀行ハ天一銀行・漢城銀行及各農工銀行ニ限ルモノトス
　三、貸付ハ総テ新補助貨ヲ以テスルモノトス、其種類及金額ハ各銀行ノ請求ヲ参酌シ中央金庫ニ於テ之ヲ定ム、但シ中央金庫ハ顧問本部ト予メ打合ヲナス事
　四、貸付金額ハ天一銀行及漢城銀行ハ一回各弐千円以内、農工銀行ハ一回各五千円以内トス
　五、貸付期間ハ三個月以内トス
　六、貸付ハ総テ無利子トシ担保ヲ要セス
　七、貸付ノ際現金ヲ各銀行ニ逓送スル費用ハ貨幣整理資金ノ負担トス
　八、右貸付金ノ返済ハ補助貨ヲ以テスルコトヲ得ス、但シ旧貨ヲ以テスルハ此限ニアラス
　九、返済ノ際ノ送金料ハ各貸付ヲ受ケタル銀行ノ負担トス、但シ旧貨ヲ以テ返済シタルトキハ其逓送実費ヲ整理資金ヲ以テ支払フコトヲ得
　十、貸付ヲ為シタルトキハ貨幣整理資金勘定ニ於テ各銀行補助貨貸
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付ノ科目ヲ設ケ記帳整理スルモノトス
　十一、右貸付ヲナシタルトキハ其貸付条件及貸付補助貨ノ種類及其額ヲ財政顧問部ヘ届出ツヘシ、返済ヲ受ケタルトキ亦同シ
　十二、貸付金ノ三分ノ二以上返済シタルトキハ更ニ同一条件ヲ以テ貸付ヲナスコトヲ得
　十三、貸付期間中毎週新貨発行報告書ヲ差出サシムルコト
其後右貸付方法ハ十八銀行・五十八銀行・韓一銀行・金融組合及其他確実ナル会社ニモ拡張シ、又各銀行ニ対スル貸出額ヲ増加シタルヲ以テ、整理部ニ於テ直接商人ニ貸出シタルモノト相待テ新貨幣流布ニ多大ノ効果ヲ致セリ
右方法ニ依リ貸出シタル金額ハ合計百九十七万二千二百九十円ニシテ已ニ還収シタル額百五十八万九百十七円二十銭、差引十一月二十日ニ於ケル残高三十九万一千三百七十二円八十銭ニシテ、又毎月末ノ残高ハ左表ノ如シ
　　　　毎月末補助貨貸附金残高表

　　年月　　　　　　　　　　　　　金額
　隆熙元年二月　　　　　　　一七、〇〇〇・〇〇〇
　同　　　三月　　　　　　　二六、五〇〇・〇〇〇
　同　　　四月　　　　　　　五二、〇〇〇・〇〇〇
　同　　　五月　　　　　　　六一、五〇〇・〇〇〇
　同　　　六月　　　　　　　六八、一五〇・〇〇〇
　同　　　七月　　　　　　　四五、四五〇・〇〇〇
　同　　　八月　　　　　　　七二、六五〇・〇〇〇
　同　　　九月　　　　　　　七六、三五〇・〇〇〇
　同　　　十月　　　　　　　八五、六五〇・〇〇〇
　同　　十一月　　　　　　一四二、六五〇・〇〇〇
　同　　十二月　　　　　　一九〇、一五〇・〇〇〇
　隆熙二年一月　　　　　　一八九、八五〇・〇〇〇
　同　　　二月　　　　　　一八〇、二五〇・〇〇〇
　同　　　三月　　　　　　一五三、四五〇・〇〇〇
　同　　　四月　　　　　　一三七、九五〇・〇〇〇
　同　　　五月　　　　　　一〇七、七五〇・〇〇〇
　同　　　六月　　　　　　　八一、八五〇・〇〇〇
　同　　　七月　　　　　　　七三、六五〇・〇〇〇
　同　　　八月　　　　　　　八九、三五〇・〇〇〇
　同　　　九月　　　　　　一〇九、三五〇・〇〇〇
　同　　　十月　　　　　　一三九、六〇〇・〇〇〇
　同　　十一月　　　　　　一五六、一五〇・〇〇〇
　同　　十二月　　　　　　一一七、七三三・四五〇
　隆熙三年一月　　　　　　一二〇、六五〇・〇〇〇
　同　　　二月　　　　　　一二六、六〇〇・〇〇〇
　同　　　三月　　　　　　一六一、四五〇・〇〇〇
　同　　　四月　　　　　　二一四、三二〇・〇〇〇
　同　　　五月　　　　　　二二五、八四〇・〇〇〇
 - 第16巻 p.251 -ページ画像 
　同　　　六月　　　　　　二五八、一九〇・〇〇〇
　同　　　七月　　　　　　三二九、四二〇・〇〇〇
　同　　　八月　　　　　　二八二、一〇〇・〇〇〇
　同　　　九月　　　　　　二九一、一三二・八〇〇
　同　　　十月　　　　　　三七三、七四二・八〇〇
　同　　十一月　　　　　　三九一、三七二・八〇〇

又補助貨ノ運賃支給ニ付テハ隆熙元年四月一日付ヲ以テ目賀田財政顧問ヨリ左ノ通通達アリタリ
　中央金庫ハ新補助貨ノ普及ヲ助成スル為、第一銀行各支店及韓国各農工銀行ヲシテ左ノ規程ニヨリ之ニ要スル運賃支給ノコトヲ施行セシム
　　　　新補助貨散布運賃支給規程
　第一、深ク内地ニ入リテ新補助貨ヲ散布セントシ、其見込確実ナルモノニ対シテハ其運賃ノ全部若クハ一部ヲ補助スルコト
　　右運賃ハ必ス実費ヲ超過セサルコトニ厳ニ注意スヘキ事
　第二、運賃ノ支給ヲ為サントスルトキハ其個々ノ場合ニツキテ銀行支配人ト財務官ト協議ノ上其要否並ニ支給額ヲ決定スルコト
　第三、運賃ハ別途ニ支払ヒ差引計算ヲナスコトヲ要ス、其支給運賃ノ領収証等支払証憑ノ整理ハ特ニ厳重ニ注意スルコト
　第四、運賃ハ銀行ニ於テ一時之ヲ立替ヘ置キ、毎月明細書ニ証憑書類ヲ添ヘ中央金庫ニ請求スヘキコト
　　右請求書ニハ其関係財務官ノ認印ヲ受クルコトヲ要ス
　第五、貨幣整理部ハ毎月其支払ヒタル運賃ヲ各銀行別ニ計算シ本部ヘ報告スルコト
以上ハ其大要ヲ述ヘタルモノニシテ其詳細ハ之ヲ玆ニ尽スヲ得スト雖モ、各金庫ハ勿論金庫ノ取扱ヲナサヽル処ト雖モ各銀行等亦能ク新貨幣ノ流布ニ務メ、特ニ新貨幣ヲ僻遠ノ地ニ運送スル場合ノ如キ屡々危険ノ地ニ往来シ、時ニ兇徒ノ襲フ処トナリタル等其困難名状スヘカラサルモノアリシニ拘ラス、新貨ハ次第ニ円滑ニ流通スルニ至リ発行亦従テ日々増加セリ
補助貨ノ発行ハ銀行券ノ発行ト同シク時期ニ依リテ自ラ高低アリ、秋ヨリ春ニ掛ケ米穀ノ買出其他商業繁盛ノ時期ニ於テハ其流通著シク増加スルモ、春ヨリ夏ニ掛ケ商業沈衰ノ時期ニ於テハ其流通亦漸次減少スルヲ常トス、而シテ銀行券ハ発行還収共ニ自由ニシテ市場ノ状況ニ応シ伸縮自在ナルモ、補助貨ニ付テハ還収ノ道ヲ設ケアラサルカ為メ銀行ノ手許ニ受入レタルモノハ銀行営業部ノ手許ニ死蔵セサルヲ得サルコトヽナリ、発行ノ増加スルニ従ヒ其額益々増加シ、銀行ノ困難甚シキヲ以テ隆熙二年二月ヲ以テ左ノ申請書ヲ度支部次官ニ提出シ、右流通減少ノ時期ニ於テハ銀行ノ手許ニ還収サレタル補助貨ハ更ニ之ヲ貨幣整理部ニ還収スルノ道ヲ開カンコトヲ乞ヘリ、其全文左ノ如シ
　従来補助貨ハ貨幣整理部ニ於テ保管シ置キ、必要ニ応シテ発行スルモ、一旦発行シタル補助貨ヲ再ヒ整理部ニ還収スルノ道ナキ為メ、市場ニ於テ補助貨ノ過多トナリタルトキハ其剰余ノ補助貨ハ総テ銀行営業部ノ持高ト相成リ、独リ銀行ノ負担ニ堪エサル処ナルノミナ
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ラス、補助貨ノ調理上不便少ナカラス候ニ付、今後ハ市場ニ於テ補助貨ノ過多ナル場合ニハ整理部ニ於テ還収スルノ道ヲ開キ度、此段稟申候也
　　隆熙二年一月十日　　　　　金庫出納役　市原盛宏
　　　　度支部次官　荒井賢太郎閣下
右ニ対シ度支部次官ヨリ左ノ通指令アリタリ
　貨幣整理部ニ於テ一旦発行シタル補助貨ヲ市場ノ状況ニ依リ還収スル件ハ差支無之候条、予メ各金庫ノ必要額ヲ定メ置キ、其以上ハ毎週一回還収セラレ度、右及御通知候也
　　隆熙二年一月十六日　　　　　度支部次官　荒井賢太郎
　　　　金庫出納役　市原盛宏殿
右ニ対シ第一銀行ハ各支店ノ保管額ヲ定メテ届出テ、爾来其保管額以上ニ還収セラレタル場合ニハ之ヲ整理部ノ保管ニ移スコトヲ得ルニ至リ、市場ノ状況ニ依リ或ハ発行シ或ハ還収シ、其流通額ヲ適度ニ伸縮シ以テ通貨ノ流通ヲ円満ナラシムルヲ得ルニ至レリ
然レトモ右ハ金庫所在地ニ於テ行フヲ得ルモノニシテ、金庫ノ設ナキ地ニ於テハ之ヲ発行スルノ道ナキニアラサルモ、還収ニ付テハ絶対ニ其道ナキ為補助貨ノ過多トナリタル場合ニ於テハ頗ル不便ヲ感シ、或ハ時ニ打歩ヲ生セントスルノ恐ナキニ非ラサリシヲ以テ、同年八月補助貨交換手続ヲ定メラレ還収方法ヲ改正スルト同時ニ、各銀行其他金融機関ニ於テ還収ヲ請求スルノ道ヲ開カレタリ、右ニ関スル令達ノ全文ヲ挙クレハ左ノ如シ
補助貨交換順序左ノ通定メタルニ付各銀行其他金融機関ヲシテ其通用制限ニ拘ラス之ヲ務図領収セシムヘシ
　　隆熙二年八月二十日　　　　　度支部大臣　任善準
　　　　金庫出納役　市原盛宏貴下
　　　　補助貨交換手続
　一、銀行其他金融機関ニ於テハ韓国補助貨ハ其通用制限ニ拘ラス可成之ヲ領収セシムヘシ
　二、領収シタル補助貨ヲ以テ支払ニ充テ難キトキハ最近金庫ニ就キ他貨幣ト交換請求スルコトヲ得
　三、前項ノ交換請求額ハ左記ノ最低限度額ヲ下ルコトヲ得サルモノトス
　　　　補助貨交換請求最低限度

　　　銀行名　銀貨　白銅貨　青銅貨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　円　　　　　　円　　　　　　円
　京城平壌　第一銀行　　　二〇、〇〇〇　　三、〇〇〇　　一、〇〇〇
　仁川・群山・木浦
　　　　　　　　　　同　　一〇、〇〇〇　　三、〇〇〇　　一、〇〇〇
　釜山・元山・大邱
　其他各銀行及金融機関　　　三、〇〇〇　　一、〇〇〇　　　　三〇〇

　四、金庫ニ於テ交換シタル補助貨ハ即時貨幣整理部保管ニ移スヘシ
　五、交換請求ノ為要シタル補助貨ノ運賃ハ其所在地ヨリ最近金庫間ニ限リ正当ノ証憑書ニ依リ其実費ヲ支給スヘシ、但シ証憑不完全ナルトキハ支撥ヲ拒絶スルコトアルヘシ
　六、前項ノ運賃ハ当分ノ内貨幣整理資金ヨリ支出スヘシ
右交換手続ノ実施ニヨリ金庫取扱銀行ハ勿論其他ノ銀行及金融機関ト
 - 第16巻 p.253 -ページ画像 
雖モ亦整理部ニ対シ交換還収ヲ請求スルコトヽナリタルヲ以テ、何レノ地方ニ於テモ補助貨ノ多キトキハ金融機関ニ於テ之ヲ受入レ其少キトキハ之ヲ発行スルコトヲ得、爾来補助貨ハ自然ノ安全弁ニ依リテ流通額ヲ調理セラルヽコトヽナリ、補助貨政策上非常ノ便宜ヲ得、其流通ハ益々円滑トナレリ、元来補助貨ノ流通ハ銀行券ニ付テ述ヘタルト同シク一般商業取引伸縮ノ状況、旧貨幣整理ノ進行等ニ依リ時ニ依リ其発行額ニ増減ヲ来スモノニシテ、概言スレハ秋ヨリ春ニ増加シ春ヨリ夏ニ減少スルヲ常トセリ、今毎月末発行現在額ヲ挙クレハ左ノ如シ


　　　　　　毎月末各種補助貨発行額表

　　　　年月　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　銀貨　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　白銅貨　　　　　　　　　　　　　　　青銅貨　　　　　　　　　　　　　　　合計
　　　　　　　　　　　　　半圜　　　　　　　　　　二十銭　　　　　　　　　　　十銭　　　　　　　　　　　　五銭　　　　　　　　　　一銭　　　　　　　　　　半銭
　　　　　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円
　　　光武九年
　　　六月　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　二、四〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　二、四〇〇・〇〇
　　　七月　　　　　　二、〇〇〇・〇〇　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　三、三〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　六、三〇〇・〇〇
　　　八月　　　　　七八、一二五・〇〇　　　　三九、〇六〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　一〇、八一五・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　一二八、〇〇〇・〇〇
　　　九月　　　　　八九、五二五・〇〇　　　　四四、三三〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　一四、七四五・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　一四八、六〇〇・〇〇
　　　十月　　　　　九四、〇〇〇・〇〇　　　　四六、八二〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　一九、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　一五九、八二〇・〇〇
　　　十一月　　　一〇六、一五〇・〇〇　　　　五六、一九〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　五三、二八〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　二一五、六二〇・〇〇
　　　十二月　　　一五〇、七〇〇・〇〇　　　　九八、七二〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　一一八、二六〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　三六七、六八〇・〇〇
　　　光武十年
　　　一月　　　　一七九、七〇〇・〇〇　　　一二一、八〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　一三三、二八〇・七五　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　四三四、七八〇・七五
　　　二月　　　　一七九、七〇〇・〇〇　　　一二一、八〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　一三六、六八〇・七五　　　　　　　五七五・〇〇　　　　　　　　　　――　　　四三八、七五五・七五
　　　三月　　　　二〇一、七〇七・五〇　　　一三五、八〇三・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　一五二、五八〇・七五　　　　　四、五二五・〇〇　　　　　　　三〇・〇〇　　　四九四、六四六・二五
　　　四月　　　　二二六、七〇七・五〇　　　一四三、九一三・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　一六〇、九〇〇・七五　　　　　六、八八〇・〇〇　　　　　　五六五・〇〇　　　五三八、九六六・二五
　　　五月　　　　二四八、八五七・五〇　　　一四六、〇一三・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　一七〇、四〇〇・七五　　　　　七、五〇〇・〇〇　　　　　　七〇〇・〇〇　　　五七三、四七一・二五
　　　六月　　　　二六一、八五七・五〇　　　一四八、一一三・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　一七一、九三〇・七五　　　　　七、六六〇・〇〇　　　　　　七三五・〇〇　　　五九〇、二九六・二五
　　　七月　　　　二九三、九〇七・五〇　　　一五一、二一三・〇〇　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　一七六、四六〇・七五　　　　　八、〇九〇・〇〇　　　　一、〇六五・〇〇　　　六三一、七三六・二五
　　　八月　　　　三八八、九〇七・五〇　　　一五八、二一三・〇〇　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　二四八、七七〇・七五　　　　　八、七七五・〇〇　　　　一、一二五・〇〇　　　八〇六、七九一・二五
 - 第16巻 p.254 -ページ画像 
　　　九月　　　　四六九、〇五七・五〇　　　一六一、三一三・〇〇　　　　一六、〇〇〇・〇〇　　　三九七、三〇〇・七五　　　　　九、一五〇・〇〇　　　　一、七〇〇・〇〇　一、〇五四、五二一・二五
　　　十月　　　　五五九、五五七・五〇　　　一八二、三一三・〇〇　　　　一七、〇〇〇・〇〇　　　五五五、七〇〇・七五　　　　一〇、二二五・〇〇　　　　一、七二五・〇〇　一、三二六、五二一・二五
　　　十一月　　　六六六、〇五七・五〇　　　二五八、三一三・〇〇　　　　二二、〇〇〇・〇〇　　　八九四、九〇〇・七五　　　　一一、九五〇・〇〇　　　　一、九二五・〇〇　一、八五五、一四六・二五
　　　十二月　　　七一三、〇五七・五〇　　　三〇四、三一〇・〇〇　　　　五四、〇〇〇・〇〇　　　九五二、六〇〇・七五　　　　一五、七二五・〇〇　　　　二、三五〇・〇〇　二、〇四二、〇四三・二五
　　　隆熙元年
　　　一月　　　　七九〇、〇五七・五〇　　　三四七、三一〇・〇〇　　　　六八、〇〇〇・〇〇　　　九七一、二〇〇・七五　　　　一七、五七五・〇〇　　　　二、九二五・〇〇　二、一九七、〇六八・二五
　　　二月　　　　七九一、〇五〇・〇〇　　　三八〇、三一〇・〇〇　　　　八二、〇〇〇・〇〇　　　九七二、五〇〇・〇〇　　　　二二、四〇〇・〇〇　　　　七、四七五・〇〇　二、二五五、七三五・〇〇
　　　三月　　　　七九四、〇〇〇・〇〇　　　四〇三、〇〇〇・〇〇　　　　九四、〇〇〇・〇〇　　　九七四、二〇〇・〇〇　　　　二七、八二五・〇〇　　　一一、六二五・〇〇　二、三〇四、六五〇・〇〇
　　　四月　　　　八二七、〇〇〇・〇〇　　　四六九、〇〇〇・〇〇　　　一二九、〇〇〇・〇〇　　　九八二、〇〇〇・〇〇　　　　三九、三〇〇・〇〇　　　二〇、五二五・〇〇　二、四六六、八二五・〇〇
　　　五月　　　　八二九、〇〇〇・〇〇　　　四九四、〇〇〇・〇〇　　　一四六、五〇〇・〇〇　　　九八三、八〇〇・〇〇　　　　四八、一五〇・〇〇　　　二八、三五〇・〇〇　二、五二九、八〇〇・〇〇
　　　六月　　　　八二九、〇〇〇・〇〇　　　五三〇、〇〇〇・〇〇　　　一六九、五〇〇・〇〇　　　九八四、七〇〇・〇〇　　　　五五、五五〇・〇〇　　　三四、四七五・〇〇　二、六〇三、二二五・〇〇
　　　七月　　　　八二九、〇〇〇・〇〇　　　五六七、〇〇〇・〇〇　　　一七八、〇〇〇・〇〇　　　九八五、三〇〇・〇〇　　　　六一、二五〇・〇〇　　　三九、五〇〇・〇〇　二、六六〇、〇五〇・〇〇
　　　八月　　　　八二九、〇〇〇・〇〇　　　六〇八、〇〇〇・〇〇　　　二〇八、五〇〇・〇〇　　　九八八、三〇〇・〇〇　　　　七〇、四五〇・〇〇　　　四四、四七五・〇〇　二、七四八、七二五・〇〇
　　　九月　　　　八二九、〇〇〇・〇〇　　　六四一、〇〇〇・〇〇　　　三一八、〇〇〇・〇〇　一、〇一六、二〇〇・〇〇　　　　八二、〇〇〇・〇〇　　　五一、三〇〇・〇〇　二、九三七、五〇〇・〇〇
　　　十月　　　　八三八、五〇〇・〇〇　　　八一〇、〇〇〇・〇〇　　　三六一、〇〇〇・〇〇　一、一四二、四〇〇・〇〇　　　　八九、八五〇・〇〇　　　五六、〇五〇・〇〇　三、二九七、八〇〇・〇〇
　　　十一月　　　八七五、五〇〇・〇〇　　　八六八、〇〇〇・〇〇　　　四〇〇、〇〇〇・〇〇　一、三八三、三〇〇・〇〇　　　一一五、一七五・〇〇　　　六四、一七五・〇〇　三、七〇六、一五〇・〇〇
　　　十二月　　　九九八、〇〇〇・〇〇　　　八七六、〇〇〇・〇〇　　　四一六、〇〇〇・〇〇　一、五一〇、五〇〇・〇〇　　　一三四、七二五・〇〇　　　六九、四五〇・〇〇　四、〇〇四、六七五・〇〇
　　　隆熙二年
　　　一月　　一、〇〇九、〇〇〇・〇〇　　　八九三、〇〇〇・〇〇　　　四一一、〇〇〇・〇〇　一、四八七、五〇〇・〇〇　　　一三四、八〇〇・〇〇　　　六八、〇二五・〇〇　四、〇〇三、三二五・〇〇
　　　二月　　　　九八九、〇〇〇・〇〇　　　八七五、五〇〇・〇〇　　　四〇四、〇〇〇・〇〇　一、四五四、〇〇〇・〇〇　　　一三三、〇五〇・〇〇　　　六七、五五〇・〇〇　三、九二三、一〇〇・〇〇
　　　三月　　　　九七八、〇〇〇・〇〇　　　八六八、五〇〇・〇〇　　　三九四、〇〇〇・〇〇　一、三七三、五〇〇・〇〇　　　一三四、九七五・〇〇　　　六七、三〇〇・〇〇　三、八一六、二七五・〇〇
　　　四月　　　　九四九、五〇〇・〇〇　　　八五二、〇〇〇・〇〇　　　三七六、二六五・〇〇　一、三〇八、二五〇・〇〇　　　一三六、七二五・〇〇　　　六六、四〇〇・〇〇　三、六八九、一四〇・〇〇
　　　五月　　　　八七九、〇〇〇・〇〇　　　七九一、〇〇〇・〇〇　　　三四一、二六五・〇〇　一、一七八、六〇〇・〇〇　　　一三三、八二五・〇〇　　　六四、五七五・〇〇　三、三八八、二六五・〇〇
　　　六月　　　　八三七、〇〇〇・〇〇　　　七五五、〇〇〇・〇〇　　　三三二、七六五・〇〇　一、一〇二、六五〇・〇〇　　　一三一、一二五・〇〇　　　六三、四二五・〇〇　三、二二一、九六五・〇〇
 - 第16巻 p.255 -ページ画像 
　　　七月　　　　八〇二、〇〇〇・〇〇　　　七二九、〇〇〇・〇〇　　　三二五、七六五・〇〇　一、〇二八、一〇〇・〇〇　　　一二四、四五〇・〇〇　　　六一、四二五・〇〇　三、〇七〇、七四〇・〇〇
　　　八月　　　　八〇〇、五〇〇・〇〇　　　七三〇、〇〇〇・〇〇　　　三三三、五〇〇・〇〇　一、〇一三、一五〇・〇〇　　　一二三、二五〇・〇〇　　　六〇、六四〇・〇〇　三、〇六一、〇四〇・〇〇
　　　九月　　　　七九二、五〇〇・〇〇　　　七三七、五〇〇・〇〇　　　三四四、〇〇〇・〇〇　　　九八二、六五〇・〇〇　　　一二三、〇七五・〇〇　　　六〇、五二五・〇〇　三、〇四〇、二五〇・〇〇
　　　十月　　　　七七五、〇〇〇・〇〇　　　七五七、〇〇〇・〇〇　　　三五三、五〇〇・〇〇　　　九七二、四五〇・〇〇　　　一二二、一三五・〇〇　　　六〇、二〇〇・〇〇　三、〇四〇、二八五・〇〇
　　　十一月　　　七八四、五〇〇・〇〇　　　八二二、五〇〇・〇〇　　　三九二、五〇〇・〇〇　　　九九五、五〇〇・〇〇　　　一二五、三八五・〇〇　　　六〇、七六〇・〇〇　三、一八一、一四五・〇〇
　　　十二月　　　七五八、五〇〇・〇〇　　　八四六、〇〇〇・〇〇　　　四二七、〇〇〇・〇〇　　　九八一、二五〇・〇〇　　　一三三、七二五・〇〇　　　六二、〇五〇・〇〇　三、二〇八、五二五・〇〇
　　　隆熙三年
　　　一月　　　　六八三、〇〇〇・〇〇　　　七七八、五〇〇・〇〇　　　四〇二、〇〇〇・〇〇　　　九一五、九五〇・〇〇　　　一三三、二七五・〇〇　　　六一、八五〇・〇〇　二、九七四、五七五・〇〇
　　　二月　　　　六五二、五〇〇・〇〇　　　七五五、〇〇〇・〇〇　　　三八九、五〇〇・〇〇　　　八五七、三五〇・〇〇　　　一三一、四二五・〇〇　　　六一、四七五・〇〇　二、八四七、二五〇・〇〇
　　　三月　　　　六四六、〇〇〇・〇〇　　　七三八、五〇〇・〇〇　　　三九二、〇〇〇・〇〇　　　八二七、七〇〇・〇〇　　　一三一、五五〇・〇〇　　　六一、〇四〇・〇〇　二、七九六、七九〇・〇〇
　　　四月　　　　六六四、五〇〇・〇〇　　　七一八、〇〇〇・〇〇　　　三九一、〇〇〇・〇〇　　　七九七、八〇〇・〇〇　　　一三四、九八〇・〇〇　　　六一、三一〇・〇〇　二、七六七、五九〇・〇〇
　　　五月　　　　六七四、五〇〇、〇〇　　　七三一、〇〇〇・〇〇　　　四一九、〇〇〇・〇〇　　　七九三、二五〇・〇〇　　　一三八、二三〇・〇〇　　　六二、七四〇・〇〇　二、八一八、七二〇・〇〇
　　　六月　　　　六七三、五〇〇・〇〇　　　七四〇、〇〇〇・〇〇　　　四四一、五〇〇・〇〇　　　七八〇、三五〇・〇〇　　　一三九、三八〇・〇〇　　　六三、〇四五・〇〇　二、八三七、七七五・〇〇
　　　七月　　　　六八六、五〇〇・〇〇　　　七六六、〇〇〇・〇〇　　　四七八、〇〇〇・〇〇　　　七八五、五五〇・〇〇　　　一四三、四〇五・〇〇　　　六三、四〇五・〇〇　二、九二二、八六〇・〇〇
　　　八月　　　　七〇〇、五〇〇・〇〇　　　八〇六、〇〇〇・〇〇　　　五八四、五〇〇・〇〇　　　七七四、七五〇・〇〇　　　一五四、四五〇・〇〇　　　六四、四六〇・〇〇　三、〇八四、六六〇・〇〇
　　　九月　　　　七一三、〇〇〇・〇〇　　　八六〇、〇〇〇・〇〇　　　五六六、五〇〇・〇〇　　　七六七、二五〇・〇〇　　　一六九、九七〇・〇〇　　　六五、八七〇・〇〇　三、二四二、五九〇・〇〇
　　　十月　　　　七六六、五〇〇・〇〇　一、〇〇八、〇〇〇・〇〇　　　八四六、五〇〇・〇〇　　　七六一、八〇〇・〇〇　　　一九八、一七〇・〇〇　　　六八、五四〇・〇〇　三、六四九、五一〇・〇〇
　　　十一月　　　八三四、五〇〇・〇〇　一、二二三、〇〇〇・〇〇　　　九八一、〇〇〇・〇〇　　　七六〇、五五〇・〇〇　　　二二四、九六〇・〇〇　　　七二、四〇〇・〇〇　四、〇九六、四一〇・〇〇


補助貨ノ発行額ハ時期ニ依リ増減アルノミナラス地方ニ依リテ其額ヲ異ニセリ、是レ一ハ鉄道収入金ノ払込ノ如キ補助貨ノ還収多キ地方ト内地産物ノ買出ノ如キ常ニ発行ノ多キ地方トアルカ為ナルモ、一ハ旧貨整理進行ノ状況ニモ至大ノ関係アリテ、旧白銅貨流通地方ノ早クヨリ発行高ノ多キニ反シ、葉銭流通地方ノ発行高ノ近来ニ至リ漸ク増加シタルハ全ク之カ為ナリトス○毎月末各地方別発行高表略ス
次ニ新補助貨ノ流通ニ就キ更ニ注意ヲ要スルハ流通補助貨ノ種類ナリトス、貨幣整理ノ初期ニ於テハ各種補助貨ノ案配甚不平衡ヲ免カレサリシモ、近来ハ稍々各種平衡ヲ得ントシツヽアリ、是レ一ニ世人ノ慣習上ノ勢力ニ原因スルモノニシテ、旧白銅貨流通地方ニ於テハ新白銅
 - 第16巻 p.256 -ページ画像 
貨ノ流通速ニシテ葉銭地方ニ於テハ其流通ノ遅キハ従来ノ慣習ノ然ラシムル処ニシテ、半圜・半銭等ノ流通ノ遅キハ無智細民ノ計算上ノ智識ニ乏シク、旧貨ヲ標準トシテ計算スルニ多少ノ不便アルカ為ニシテ二十銭銀貨ノ流通宜シキハ葉銭ノ二厘ニシテ其百倍ハ二十銭ナルカ故ニ計算ニ便ナルカ為ナリ、今毎年末ニ於ケル各地方別各種補助貨ノ発行高ヲ挙クレハ左ノ如シ


　　　　　　各種補助貨発行額地方別表　光武九年十二月三十一日

　　　　　　種類　　　　　　　　　　　　　　　　　　銀貨　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　白銅貨　　　　　　　　　　　　　　　青銅貨　　　　　　　　　　　　　　　　計
　　　金庫別　　　　　　　半圜　　　　　　　　　　二十銭　　　　　　　　　　　十銭　　　　　　　　　　　五銭　　　　　　　　　　一銭　　　　　　　　　　半銭
　　　　　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円
　　　中央　　　　一二四、〇〇〇・〇〇　　　　五六、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　四七、一〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　二二七、一〇〇・〇〇
　　　仁川　　　　　　八、〇〇〇・〇〇　　　　　三、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　四、五〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　一五、五〇〇・〇〇
　　　釜山　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　三、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　三、〇〇〇・〇〇
　　　平壌　　　　　　五、〇〇〇・〇〇　　　　　二、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　二一、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　二八、〇〇〇・〇〇
　　　鎮南浦　　　　　二、〇〇〇・〇〇　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　一六、五〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　一九、五〇〇・〇〇
　　　群山　　　　　　八、〇〇〇・〇〇　　　　三四、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　二五、八〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　六七、八〇〇・〇〇
　　　木浦　　　　　　三、〇五〇・〇〇　　　　　二、二三〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　二八〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　五、五六〇・〇〇
　　　大邱　　　　　　　　六五〇・〇〇　　　　　　　四九〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　八〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　　　一、二二〇・〇〇
　　　合計　　　　一五〇、七〇〇・〇〇　　　　九八、七二〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　一一八、二六〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　――　　　三六七、六八〇・〇〇


　　　　　　各種補助貨発行額地方別表　光武十年十二月三十一日

　　　　　　種類　　　　　　　　　　　　　　　　　　銀貨　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　白銅貨　　　　　　　　　　　　　　　青銅貨　　　　　　　　　　　　　　　　計
　　　金庫別　　　　　　　半圜　　　　　　　　　　二十銭　　　　　　　　　　　十銭　　　　　　　　　　　五銭　　　　　　　　　　一銭　　　　　　　　　　半銭
　　　　　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円
　　　中央　　　　一九一、〇〇七・五〇　　　一〇一、〇〇三・〇〇　　　　一八、〇〇〇・〇〇　　　一〇〇、八〇〇・七五　　　　　七、一九〇・〇〇　　　　一、一〇〇・〇〇　　　四一九、一〇一・二五
　　　仁川　　　　　七一、〇〇〇・〇〇　　　　一〇、九九七・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　六八、七〇〇・〇〇　　　　　五、六一〇・〇〇　　　　　　　七五・〇〇　　　一五六、三八二・〇〇
　　　釜山　　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　　三、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　八、七〇〇・〇〇　　　　　　　三九〇・〇〇　　　　　　二五〇・〇〇　　　　一三、三〇〇・〇〇
　　　平壌　　　　二五一、〇〇〇・〇〇　　　　二〇、〇〇〇・〇〇　　　　二〇、〇〇〇・〇〇　　　二八五、〇〇〇・〇〇　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　　　四七五・〇〇　　　五七七、四七五・〇〇
 - 第16巻 p.257 -ページ画像 
　　　鎮南浦　　　一七二、〇〇〇・〇〇　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　三一五、三〇〇・〇〇　　　　　　　一五〇・〇〇　　　　　　　五〇・〇〇　　　四八八、五〇〇・〇〇
　　　群山　　　　　一七、〇〇〇・〇〇　　　一四三、〇〇〇・〇〇　　　　一五、〇〇〇・〇〇　　　一一九、四〇〇・〇〇　　　　　　　四五〇・〇〇　　　　　　　七五・〇〇　　　二九四、九二五・〇〇
　　　木浦　　　　　　五、〇五〇・〇〇　　　　　四、三一〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　二、五〇〇・〇〇　　　　　　　四七五・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　一二、三三五・〇〇
　　　大邸　　　　　　三、〇〇〇・〇〇　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　四〇〇・〇〇　　　　　　　二二五・〇〇　　　　　　　七五・〇〇　　　　　四、七〇〇・〇〇
　　　開城　　　　　　　　　　　　――　　　　一八、〇〇〇・〇〇　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　五一、〇〇〇・〇〇　　　　　　　二七五・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　七〇、二七五・〇〇
　　　元山　　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　五〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　二〇〇・〇〇　　　　　二、七〇〇・〇〇
　　　城津　　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　三〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　五〇・〇〇　　　　　二、三五〇・〇〇
　　　合計　　　　七一三、〇五七・五〇　　　三〇四、三一〇・〇〇　　　　五四、〇〇〇・〇〇　　　九五二、六〇〇・七五　　　　一五、七二五・〇〇　　　　二、三五〇・〇〇　二、〇四二、〇四三・二五


　　　　　　各種補助貨発行額地方別表　隆熙元年十二月三十一日

　　　　　　種類　　　　　　　　　　　　　　　　　　銀貨　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　白銅貨　　　　　　　　　　　　　　　青銅貨　　　　　　　　　　　　　　　　計
　　　金庫別　　　　　　　半圜　　　　　　　　　　二十銭　　　　　　　　　　　十銭　　　　　　　　　　　五銭　　　　　　　　　　一銭　　　　　　　　　　半銭
　　　　　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円
　　　中央　　　　二一八、五〇七・五〇　　　二五四、〇〇三・〇〇　　　一一九、〇〇〇・〇〇　　　二七七、二〇〇・七五　　　　六一、二四〇・〇〇　　　五〇、一五〇・〇〇　　　九八〇、一〇一・二五
　　　仁川　　　　　七一、九九二・五〇　　　　四二、九九七・〇〇　　　　　八、一七二・〇〇　　　一三一、九九九・二五　　　　一九、二三五・〇〇　　　　三、二七五・〇〇　　　二七七、六七〇・七五
　　　釜山　　　　　　五、〇〇〇・〇〇　　　　　八、〇〇〇・〇〇　　　　　五、八二八・〇〇　　　　一五、三〇〇・〇〇　　　　　七、八〇〇・〇〇　　　　二、五〇〇・〇〇　　　　四四、四二八・〇〇
　　　平壌　　　　三三六、〇〇〇・〇〇　　　一六四、〇〇〇・〇〇　　　一一〇、〇〇〇・〇〇　　　三六六、三〇〇・〇〇　　　　　五、一〇〇・〇〇　　　　二、一二五・〇〇　　　九八三、五二五・〇〇
　　　鎮南浦　　　一九〇、〇〇〇・〇〇　　　　二〇、〇〇〇・〇〇　　　　二三、〇〇〇・〇〇　　　三二七、三〇〇・〇〇　　　　　九、〇五〇・〇〇　　　　二、三五〇・〇〇　　　五七一、七〇〇・〇〇
　　　群山　　　　　七六、五〇〇・〇〇　　　二三三、〇〇〇・〇〇　　　　三五、〇〇〇・〇〇　　　二一五、四〇〇・〇〇　　　　　三、三五〇・〇〇　　　　　　五七五・〇〇　　　五六三、八二五・〇〇
　　　木浦　　　　　　六、〇〇〇・〇〇　　　　一八、〇〇〇・〇〇　　　　一一、五〇〇・〇〇　　　　　三、九〇〇・〇〇　　　　　七、八二五・〇〇　　　　一、四七五・〇〇　　　　四八、七〇〇・〇〇
　　　大邱　　　　　　九、〇〇〇・〇〇　　　　一三、〇〇〇・〇〇　　　　一三、〇〇〇・〇〇　　　　一二、三〇〇・〇〇　　　　一〇、〇二五・〇〇　　　　三、五二五・〇〇　　　　六〇、八五〇・〇〇
　　　開城　　　　　　七、五〇〇・〇〇　　　　三五、〇〇〇・〇〇　　　　　二、〇〇〇・〇〇　　　　八五、二〇〇・〇〇　　　　　一、〇二五・〇〇　　　　　　一二五・〇〇　　　一三〇、八五〇・〇〇
　　　元山　　　　　四七、〇〇〇・〇〇　　　　三〇、〇〇〇・〇〇　　　　五五、〇〇〇・〇〇　　　　六六、〇〇〇・〇〇　　　　　五、一七五・〇〇　　　　一、〇二五・〇〇　　　二〇四、二〇〇・〇〇
　　　城津　　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　九〇〇・〇〇　　　　　　　二〇〇・〇〇　　　　　　一〇〇・〇〇　　　　　三、二〇〇・〇〇
 - 第16巻 p.258 -ページ画像 
　　　馬山　　　　　二八、〇〇〇・〇〇　　　　三二、〇〇〇・〇〇　　　　一四、〇〇〇・〇〇　　　　　七、八〇〇・〇〇　　　　　二、二二五・〇〇　　　　一、二〇〇・〇〇　　　　八五、二二五・〇〇
　　　咸興　　　　　　一、五〇〇・〇〇　　　　一二、〇〇〇・〇〇　　　　　六、〇〇〇・〇〇　　　　　　　三〇〇・〇〇　　　　　　　七二五・〇〇　　　　　　　二五・〇〇　　　　二〇、五五〇・〇〇
　　　羅州　　　　　　　　　　　　――　　　　　四、〇〇〇・〇〇　　　　　二、五〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　　　五〇〇・〇〇　　　　　八、〇〇〇・〇〇
　　　鏡城　　　　　　　　　　　　――　　　　　九、〇〇〇・〇〇　　　　一一、〇〇〇・〇〇　　　　　　　六〇〇・〇〇　　　　　　　七五〇・〇〇　　　　　　五〇〇・〇〇　　　　二一、八五〇・〇〇
　　　合計　　　　九九八、〇〇〇・〇〇　　　八七六、〇〇〇・〇〇　　　四一六、〇〇〇・〇〇　一、五一〇、五〇〇・〇〇　　　一三四、七二五・〇〇　　　六九、四五〇・〇〇　四、〇〇四、六七五・〇〇


　　　　　　各種補助貨発行額地方別表　隆熙二年十二月三十一日（×印ハ還収超過）

　　　　　　種類　　　　　　　　　　　　　　　　　　銀貨　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　白銅貨　　　　　　　　　　　　　　　青銅貨　　　　　　　　　　　　　　　　計
　　　金庫別　　　　　　　半圜　　　　　　　　　　二十銭　　　　　　　　　　　十銭　　　　　　　　　　　五銭　　　　　　　　　　一銭　　　　　　　　　　半銭
　　　　　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円
　　　中央　　　　一五五、五〇七・五〇　　　二三〇、〇〇三・〇〇　　　一三七、五〇〇・〇〇　　　一三七、九〇〇・七五　　　　四九、四四〇・〇〇　　　四七、〇五五・〇〇　　　七五七、四〇六・二五
　　　仁川　　　　　五一、九九二・五〇　　　　一九、九九七・〇〇　　　　　三、四三七・〇〇　　　　六〇、四四九・二五　　　　三七、二三五・〇〇　　　　三、八二五・〇〇　　　一七六、九三五・七五
　　　釜山　　　×　一六、〇〇〇・〇〇　　　×　八、〇〇〇・〇〇　　　×　二、四三七・〇〇　　×　一〇、五〇〇・〇〇　　　　　二、九五〇・〇〇　　　　　　六五〇・〇〇　　×　三三、三三七・〇〇
　　　平壌　　　　二二五、〇〇〇・〇〇　　　一〇七、〇〇〇・〇〇　　　　七六、〇〇〇・〇〇　　　二〇三、二〇〇・〇〇　　　　　六、八〇〇・〇〇　　　　二、九五〇・〇〇　　　六二〇、九五〇・〇〇
　　　鎮南浦　　　二〇〇、五〇〇・〇〇　　　　二七、〇〇〇・〇〇　　　　三四、〇〇〇・〇〇　　　三一四、一〇〇・〇〇　　　　　九、三五〇・〇〇　　　　二、四〇〇・〇〇　　　五八七、三五〇・〇〇
　　　群山　　　　　七三、五〇〇・〇〇　　　二七六、〇〇〇・〇〇　　　　三二、〇〇〇・〇〇　　　一五五、七〇〇・〇〇　　　　　　　六五〇・〇〇　　　　×　五七五・〇〇　　　五三七、二七五・〇〇
　　　木浦　　　　　　三、〇〇〇・〇〇　　　　一七、五〇〇・〇〇　　　　一二、五〇〇・〇〇　　　　　二、七〇〇・〇〇　　　　　五、六二五・〇〇　　　　　　　七五・〇〇　　　　四一、四〇〇・〇〇
　　　大邱　　　　　一二、五〇〇・〇〇　　　　一九、〇〇〇・〇〇　　　　一五、〇〇〇・〇〇　　　　一二、〇〇〇・〇〇　　　　　九、七五〇・〇〇　　　　二、四〇〇・〇〇　　　　七〇、六五〇・〇〇
　　　開城　　　　　　二、〇〇〇・〇〇　　　　四一、〇〇〇・〇〇　　　　　三、〇〇〇・〇〇　　　　七七、五〇〇・〇〇　　　　　×　二五〇・〇〇　　　　×　一五〇・〇〇　　　一二三、一〇〇・〇〇
　　　元山　　　　　一一、〇〇〇・〇〇　　　　一四、〇〇〇・〇〇　　　　四〇、〇〇〇・〇〇　　　　二四、〇〇〇・〇〇　　　　　五、〇〇〇・〇〇　　　　一、三七五・〇〇　　　　九五、三七五・〇〇
　　　城津　　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　×　一、〇〇〇・〇〇　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　×　一、三五〇・〇〇　　　　　　　五七五・〇〇　　　　　　一〇〇・〇〇　　　　　　　三二五・〇〇
　　　馬山　　　　　二五、〇〇〇・〇〇　　　　四一、〇〇〇・〇〇　　　　二〇、〇〇〇・〇〇　　　　　九、三〇〇・〇〇　　　　　二、二〇〇・〇〇　　　　　　八五〇・〇〇　　　　九八、三五〇・〇〇
　　　咸興　　　　　　四、五〇〇・〇〇　　　　一四、〇〇〇・〇〇　　　　一〇、〇〇〇・〇〇　　　×　一、三〇〇・〇〇　　　　　　　六二五・〇〇　　　　　×　七五・〇〇　　　　二七、七五〇・〇〇
　　　羅州　　　　　　　　　　　　――　　　　一〇、〇〇〇・〇〇　　　　　四、五〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　二、〇〇〇・〇〇　　　　　　五〇〇・〇〇　　　　一七、〇〇〇・〇〇
 - 第16巻 p.259 -ページ画像 
　　　鏡城　　　　　　九、〇〇〇・〇〇　　　　一七、〇〇〇・〇〇　　　　二五、〇〇〇・〇〇　　　　　三、三〇〇・〇〇　　　　　一、四五〇・〇〇　　　　　　六九五・〇〇　　　　五六、四四五・〇〇
　　　春川　　　　　　　　　　　　――　　　　　二、〇〇〇・〇〇　　　　　四、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　五〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　　六、〇五〇・〇〇
　　　忠州　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　×　七五・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　　　×　七五・〇〇
　　　公州　　　　　　　　　　　　――　　　　　九、〇〇〇・〇〇　　　　　四、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　一五〇・〇〇　　　　　×　五〇・〇〇　　　　一三、一〇〇・〇〇
　　　寧辺　　　　　　　　　　　　――　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　　二、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　一〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　　三、一〇〇・〇〇
　　　海州　　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　　　　　　　　　――　　　×　五、七五〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　二五・〇〇　　　×　五、七二五・〇〇
　　　水原　　　　　　　　　　　　――　　　　　九、五〇〇・〇〇　　　　　五、五〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　一〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　一五、一〇〇・〇〇
　　　合計　　　　七五八、五〇〇・〇〇　　　八四六、〇〇〇・〇〇　　　四二七、〇〇〇・〇〇　　　九八一、二五〇・〇〇　　　一三三、七二五・〇〇　　　六二、〇五〇・〇〇　三、二〇八、五二五・〇〇


　　　　　　各種補助貨発行額地方別表　隆熙三年十一月二十日

　　　　　　種類　　　　　　　　　　　　　　　　　　銀貨　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　白銅貨　　　　　　　　　　　　　　　青銅貨　　　　　　　　　　　　　　　　計
　　　地方別　　　　　　　半圜　　　　　　　　　　二十銭　　　　　　　　　　　十銭　　　　　　　　　　　五銭　　　　　　　　　　一銭　　　　　　　　　　半銭
　　　　　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　円　　　　　　　　　　　　円
　　　中央　　　　一五四、五〇七・五〇　　　二六二、〇〇三・〇〇　　　二一六、〇〇〇・〇〇　　　　五三、五〇〇・七五　　　　四四、二一五・〇〇　　　四四、九三五・〇〇　　　七七五、一六一・二五
　　　仁川　　　　　三八、九九二・五〇　　　×　八、〇〇三・〇〇　　　×　三、五六三・〇〇　　　　二四、七四九・二五　　　　五四、一三五・〇〇　　　　四、四二五・〇〇　　　一一〇、七三五・七五
　　　釜山　　　×　二一、〇〇〇・〇〇　　　×　一、〇〇〇・〇〇　　　　三六、五六三・〇〇　　×　一七、一〇〇・〇〇　　　　一一、三五〇・〇〇　　　　　　六〇〇・〇〇　　　　　九、四一三・〇〇
　　　平壌　　　　二四六、五〇〇・〇〇　　　一七八、〇〇〇・〇〇　　　一七三、〇〇〇・〇〇　　　一六四、八〇〇・〇〇　　　　一六、一五〇・〇〇　　　　六、五〇〇・〇〇　　　七八四、九五〇・〇〇
　　　鎮南浦　　　二〇五、〇〇〇・〇〇　　　　四七、〇〇〇・〇〇　　　　六六、〇〇〇・〇〇　　　三一三、五〇〇・〇〇　　　　一五、二五〇・〇〇　　　　四、七六〇・〇〇　　　六五一、五一〇・〇〇
　　　群山　　　　　八一、五〇〇・〇〇　　　三一五、〇〇〇・〇〇　　　　四五、〇〇〇・〇〇　　　一三二、六〇〇・〇〇　　　　　二、七五〇・〇〇　　　　×　一〇五・〇〇　　　五七六、七四五・〇〇
　　　木浦　　　　　二五、〇〇〇・〇〇　　　　八八、五〇〇・〇〇　　　　五二、五〇〇・〇〇　　　　　一、一五〇・〇〇　　　　一六、二二五・〇〇　　　　　　七七五・〇〇　　　一八四、一五〇・〇〇
　　　大邱　　　　　三五、五〇〇・〇〇　　　　五四、〇〇〇・〇〇　　　　九二、〇〇〇・〇〇　　　　一七、一〇〇・〇〇　　　　二八、五五〇・〇〇　　　　五、〇七〇・〇〇　　　二三二、二二〇・〇〇
　　　開城　　　　×　七、〇〇〇・〇〇　　　　三五、〇〇〇・〇〇　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　六六、六〇〇・〇〇　　　×　一、九二五・〇〇　　　　×　六七〇・〇〇　　　　九三、〇〇五・〇〇
　　　元山　　　　×　四、五〇〇・〇〇　　　　一四、〇〇〇・〇〇　　　　五七、〇〇〇・〇〇　　　　　九、六〇〇・〇〇　　　　　七、五五〇・〇〇　　　　二、一七五・〇〇　　　　八五、八二五・〇〇
　　　城津　　　　　　　　　　　　――　　　×　二、〇〇〇・〇〇　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　×　一、三五〇・〇〇　　　　　一、〇七五・〇〇　　　　　　四六〇・〇〇　　　　　×　八一五・〇〇
 - 第16巻 p.260 -ページ画像 
　　　馬山　　　　　三三、五〇〇・〇〇　　　　七五、〇〇〇・〇〇　　　　六九、〇〇〇・〇〇　　　　一一、一〇〇・〇〇　　　　　九、七五〇・〇〇　　　　一、三一五・〇〇　　　一九九、六六五・〇〇
　　　咸興　　　　　　九、〇〇〇・〇〇　　　　一八、〇〇〇・〇〇　　　　一四、〇〇〇・〇〇　　　×　二、三〇〇・〇〇　　　　　　　六五〇・〇〇　　　　　　　二〇・〇〇　　　　三九、三七〇・〇〇
　　　羅州　　　　　　三、五〇〇・〇〇　　　　一七、〇〇〇・〇〇　　　　一七、五〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　四、三〇〇・〇〇　　　　　　五〇〇・〇〇　　　　四二、八〇〇・〇〇
　　　鏡城　　　　　一二、〇〇〇・〇〇　　　　二五、〇〇〇・〇〇　　　　三四、〇〇〇・〇〇　　　　　三、三〇〇・〇〇　　　　　二、三二五・〇〇　　　　　　八一五・〇〇　　　　七七、四四〇・〇〇
　　　春川　　　　　　　　　　　　――　　　　一三、〇〇〇・〇〇　　　　二六、〇〇〇・〇〇　　　　　　　五〇〇・〇〇　　　　　　　六五〇・〇〇　　　　　　一二〇・〇〇　　　　四〇、二七〇・〇〇
　　　忠州　　　　　　　　　　　　――　　　　　一、五〇〇・〇〇　　　　　二、〇〇〇・〇〇　　　×　三、六〇〇・〇〇　　　　　×　六七五・〇〇　　　　×　三〇〇・〇〇　　　×　一、〇七五・〇〇
　　　公州　　　　　一四、五〇〇・〇〇　　　　三〇、五〇〇・〇〇　　　　二三、五〇〇・〇〇　　　　　　　八〇〇・〇〇　　　　　三、九二五・〇〇　　　　　　四二五・〇〇　　　　七三、六五〇・〇〇
　　　光州　　　　　　三、〇〇〇・〇〇　　　　一六、〇〇〇・〇〇　　　　一五、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　二、〇〇〇・〇〇　　　　　　一二〇・〇〇　　　　三六、一二〇・〇〇
　　　寧辺　　　　　　二、〇〇〇・〇〇　　　　　六、〇〇〇・〇〇　　　　　六、〇〇〇・〇〇　　　　　一、八〇〇・〇〇　　　　　　　三〇〇・〇〇　　　　　　二〇〇・〇〇　　　　一六、三〇〇・〇〇
　　　全州　　　　　　　　　　　　――　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　　二、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　　四四〇・〇〇　　　　　　二〇〇・〇〇　　　　　三、六四〇・〇〇
　　　晋州　　　　　　一、五〇〇・〇〇　　　　　八、〇〇〇・〇〇　　　　一〇、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　二、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　　二一、五〇〇・〇〇
　　　海州　　　　　　　　　　　　――　　　　　二、〇〇〇・〇〇　　　　　二、〇〇〇・〇〇　　×　一二、〇〇〇・〇〇　　　　　　　三〇〇・〇〇　　　　　　　　　　――　　　×　七、七〇〇・〇〇
　　　水原　　　　　　　　　　　　――　　　　二〇、五〇〇・〇〇　　　　一六、五〇〇・〇〇　　　×　四、二〇〇・〇〇　　　　　二、五二〇・〇〇　　　　×　一五〇・〇〇　　　　三五、一七〇・〇〇
　　　義州　　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　　一、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　　×　五〇・〇〇　　　　　×　四〇・〇〇　　　　　二、九一〇・〇〇
　　　清州　　　　　　　　　　　　――　　　　　六、〇〇〇・〇〇　　　　　六、〇〇〇・〇〇　　　　　　　　　　　――　　　　　一、二〇〇・〇〇　　　　　　二五〇・〇〇　　　　一三、四五〇・〇〇
　　　合計　　　　八三四、五〇〇・〇〇　一、二二三、〇〇〇・〇〇　　　九八一、〇〇〇・〇〇　　　七六〇、五五〇・〇〇　　　二二四、九六〇・〇〇　　　七二、四〇〇・〇〇　四、〇九六、四一〇・〇〇


以上述フルカ如ク新補助貨ノ発行ハ時期ニ依リ多少ノ増減アリト雖モ年々増加ノ大勢ハ明カニシテ、流通ノ状況亦年々ニ良好トナリ、信用次第ニ増加シ流通次第ニ円滑トナリ、今日ニテハ何レノ地方ニテモ殆ト其授受ヲ喜ハサルモノナク、従来旧貨幣ヲ以テスルニアラサレハ米穀其他内地産物ノ買出ヲナスヲ得サリシ地方ト雖モ、今ヤ却テ之ヲ不便トシ新貨幣ヲ悦フモノアルニ至リ、新制度施行ノ目的ハ已ニ其八分ヲ達スルヲ得タリ