デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
3款 東京商業会議所
■綱文

第20巻 p.115-117(DK200009k) ページ画像

明治25年8月31日(1892年)

是日栄一、当会議所会頭トシテ、商業通信ノ敏速ヲ計ルガ為メ東京・大阪間汽車発着時刻ヲ改正サレタキ旨逓信大臣伯爵黒田清隆ニ建議ス。


■資料

東京商業会議所月報 第一号・第一―七頁 明治二五年九月 【○同月同日 ○八月二六日午後六…】(DK200009k-0001)
第20巻 p.115-116 ページ画像

東京商業会議所月報  第一号・第一―七頁 明治二五年九月
○同月同日 ○八月二六日午後六時、東京銀行集会所ニ於テ臨時会議ヲ開ク、当日出席会員ハ二十八名ニシテ左ノ議案ヲ審議シ午後九時散会ス、其議決ノ要領ハ左ノ如シ
○中略
右終ルノ後会員益田克徳君ハ緊急建議トシテ成規ノ賛成者ヲ得テ左ノ問題ヲ提出ス
 東京・大阪間ノ汽車発着時間ニ改正ヲ要スル件ニ付其筋ヘ建議スル
 - 第20巻 p.116 -ページ画像 

本案ハ全会一致ニテ之ヲ可決シタルガ、右ハ至急ヲ要スルニ付、書記ヲシテ建議書ヲ調成セシメ、正副会頭之ヲ査閲シテ直ニ逓信大臣ヘ建議スルコトニ決ス
○中略
○同月同日 ○八月三一日東京・大阪間汽車発着時間ニ改正ヲ要スル儀ニ付、逓信大臣ヘ建議書ヲ呈ス(建議書ノ全文ハ参照第二号ニ掲載ス)


東京商業会議所月報 第一号・第九―一〇頁 明治二五年九月 参照第二号 東京・大阪間汽車発着時刻ニ改正ヲ要スル義ニ付建議(DK200009k-0002)
第20巻 p.116-117 ページ画像

東京商業会議所月報  第一号・第九―一〇頁 明治二五年九月
○参照第二号
    東京・大阪間滊車発着時刻ニ改正ヲ要スル義ニ付建議
夫レ本邦ニ於テ商業ノ繁盛ナルハ東京・大阪ニ勝ルモノナク、随テ其取引ノ関係広大ニシテ商業通信ノ緊要ナルハ蓋シ亦此両地ヲ以テ最ト為ス、然ルニ今此両地間ニ於ケル郵信ノ実況ヲ案スルニ、滊車出発ノ時刻其宜ヲ得ザルガ為メ往々商機ヲ失スルコト少シトセス、是商業者ノ大ニ遺憾トスル所ナリ
現今東京・大阪間ヲ往復スル直行滊車ノ出発ハ両地共毎日各三回アリテ、右両地間ノ郵信ハ総テ此滊車便ニ依ルモノトス、今試ニ其発着ノ時刻ヲ示セバ左ノ如シ

      第一滊車便    第二滊車便    第三滊車便
 東京発 午前六時     午前十一時四十分 午後九時五十分
 大阪着 午前零時十分   午前六時十七分  午後五時
 大阪発 午前四時四十分  午後一時七分   午後十時四十六分
 東京着 午後十一時五十分 午前八時三十分  午後五時三十五分

蓋シ本邦各商業者ノ営業時間ハ商業ノ種類ト土地ノ情況トニヨリテ固ヨリ其ノ長短ヲ同フセズト雖トモ、要スルニ各種ノ商業ニ通シテ必要ナル営業時間ハ午前十時ヨリ午後四時迄ナリトス、是蓋シ各銀行・米商会所・株式取引所等ノ主要ナル取引ハ多クハ此間ニ行ハルヽニ付各種ノ商業取引モ亦之ニ連繋シテ此間ニ行ハルヽノ事情アルガ為メナリ左レバ商業取引上ニ関スル通信ノ往復ハ多クハ此時間内ニ於テ弁スルノ必要アリ、然リ而シテ東京・大阪ノ商業者ガ互ニ往復スル通信ノ如キ第一ノ滊車便ハ営業時間前ノ発車ニ係ルヲ以テ無論之ニ依ルヲ得ス又第二ノ滊車便モ郵便締切時刻ノ切迫ト取引上ノ都合等トニヨリ之ニ依リ難キノ事情アルニ付、結局第三ノ滊車便ニ依ラザルヲ得ス、之カ為メ両地間ノ郵信自ラ敏活ヲ失シテ大ニ取引上ノ不便ヲ来スコトアリ例ヘバ今東京ノ商業者甲ヨリ大阪ノ取引先乙ヘ通信スル為メニ月曜日ノ営業時間内ニ郵書ヲ投函スルトセンニ其ノ郵書郵便締切時間切迫ノ為メ到底第二ノ滊車便ニ依リ難キニ付此等ハ総テ第三ノ滊車便ニ依ラザルヲ得ズ、随テ其郵書ガ大坂ニ着スルハ火曜日ノ午後五時ニシテ営業時間ノ後ナルニ付此郵書ガ乙ノ手ニ入リテ其用便ヲ達スルヲ得ルニハ更ニ水曜日ノ営業時間ヲ待タザルヲ得ズ、然ルニ乙ガ若シ同日午後ニ至リ其返書ヲ発スルモノトセバ甲ハ前ノ例ト同シク一日ヲ超ヘテ金曜日ノ営業時間ニ至ラザレバ之ヲ接手スルヲ得ザルベシ、之ヲ要スルニ月曜日ノ営業時間ニ発スル郵信ハ金曜日ノ営業時間ニ至ラザレバ其
 - 第20巻 p.117 -ページ画像 
返信ヲ得ル能ハザルナリ、夫レ東京・大阪両地間ノ如キ緊要ノ商業通信ニシテ斯ノ如ク敏活ヲ欠クハ商業上ノ一大欠点ト云ハザルヲ得ス
本会議所ノ見ル所ニ拠レバ、此両地ニ於ケル直行滊車出発ノ時刻ヲ改正シ、之ヲシテ双方共午後四時若クハ五時ノ間ニ発スルコトヲ得セシムルトキハ、一方ヨリ月曜日ニ発スル郵書ハ遅クモ火曜日ノ正午迄ニハ他ノ一方ニ着スルヲ得ベキガ故ニ、即日其返書ヲ発スルモノトセバ水曜日ノ営業時間ニハ之ヲ接手スルヲ得ベシ、即チ之ヲ今日ニ比スレバ其遅速殆ンド二日ノ差異アリ、夫レ東京・大阪間ノ商業通信ニシテ其往復ニ二日ヲ短縮スルヲ得ルトセバ、之ガ為メ商業ヲ裨益スルコト果シテ如何ゾヤ
以上陳述スルガ如キ実況ナルニ付、仰キ願ハクバ閣下ニ於テ深ク此点ニ留意セラレ今後東京・大坂ノ商業者ヲシテ益々郵信ノ便利ヲ感セシムルノ道ヲ講セラレンコトヲ、此段本会議所ノ決議ニ依リ建議仕候也
                東京商業会議所会頭
  明治二十五年八月三十一日        渋沢栄一
    逓信大臣 伯爵 黒田清隆殿