デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
3款 東京商業会議所
■綱文

第21巻 p.616-629(DK210109k) ページ画像

明治34年2月6日(1901年)

臨時商業会議所聯合会ノ決議ニ基キ、是日栄一当会議所会頭トシテ、協定税率ノ存在ハ商工業ノ発達ヲ阻害スルヲ以テ速ニ之ヲ廃棄センコトヲ内閣総理大臣侯爵伊藤博文・外務大臣加藤高明・大蔵大臣渡辺国武・農商務大臣林有造ニ建議シ、翌七
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日貴族院議長公爵近衛篤麿・衆議院議長片岡健吉ニ請願ス。


■資料

東京商業会議所報告 第一〇〇号・第三―四頁 明治三四年二月刊(DK210109k-0001)
第21巻 p.617 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇〇号・第三―四頁 明治三四年二月刊
○第百一回臨時会議 明治三十四年一月三十一日開
 出席者
  井上角五郎君 ○外十七名氏名略
午後六時開議
渋沢会頭欠席ノ為メ大倉副会頭議長席ニ就キ、先ツ井上角五郎君ヨリ臨時商業会議所聯合会ノ議事ニ関スル報告アリ、猶審議ノ末該聯合会決議事項ノ処分ニ関シ左ノ如ク決議ヲ為セリ
 一 経済整理ニ関スル件
 一 国家経済ノ方針ニ関スル件
 一 協定税率ノ廃止ニ関スル件
 一 試掘鉱区課税ニ関スル件
以上四件ハ全然聯合会ノ決議ヲ是認シ、本会議ニ於テモ其決議ノ趣旨ニ基キ政府ヘ建議シ、議会ヘ請願スルモノトシ、其文章ノ起草ハ役員会議ニ一任スルモノトス
○中略
 一 協定税率廃止期成同盟会組織ノ件
本件ハ聯合会ノ決議ヲ承認シ、本会議所ニ於テモ之ニ加盟スルニ決ス
○中略
午後六時五十分閉会


渋沢栄一 日記 明治三四年(DK210109k-0002)
第21巻 p.617 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治三四年     (渋沢子爵家所蔵)
二月六日 曇
昨夜ヨリ下痢症ニテ朝来出勤スルヲ得サルニヨリ、午後一時ノ郵船会社重役会及商業会議所臨時会ニハ電話ヲ以テ断リ遣シ、終日在宅治療ニ勉ム


東京商業会議所報告 第一〇〇号・第四―五頁 明治三四年二月刊(DK210109k-0003)
第21巻 p.617 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇〇号・第四―五頁 明治三四年二月刊
○第百二回臨時会議 明治三十四年二月六日開
 出席者
  馬越恭平君 ○外二十四名氏名略
午後五時五十分開議
渋沢会頭欠席ノ為メ大倉副会頭議長席ニ就キ、先ツ左ノ件ヲ報告ス
前回臨時会議ノ決議ニ基キ左ノ手続ヲ執行シタリ
○中略
 一 協定税率廃止ニ関スル件
    四《(二)》月四《(六)》日付ヲ以テ内閣総理・外務・大蔵・農商務四大臣ヘ建議書ヲ進達ス
○中略
午後七時十分閉会

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東京商業会議所報告 第一〇〇号・第八頁 明治三四年二月刊(DK210109k-0004)
第21巻 p.618 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇〇号・第八頁 明治三四年二月刊
○同月同日 ○二月六日 協定税率廃止ニ関スル件ニ付、内閣総理・外務・大蔵・農商務四大臣ニ建議書ヲ進達ス(建議書ノ全文ハ参照ノ部第七号ニ掲載ス)


東京商業会議所報告 第一〇〇号・第八頁 明治三四年二月刊(DK210109k-0005)
第21巻 p.618 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇〇号・第八頁 明治三四年二月刊
○同月 ○二月七日、経済整理ニ関スル件外三件ニ付、貴族・衆議両院ヘ請願書ヲ進達ス(請願書ノ全文ハ参照ノ部第五号乃至第八号ニ掲載ス)


東京商業会議所報告 第一〇〇号・第一四頁 明治三四年二月刊(DK210109k-0006)
第21巻 p.618 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇〇号・第一四頁 明治三四年二月刊
 ○参照
○第七号
 明治三十四年二月六日及七日附ヲ以テ協定税率廃止ニ関スル件ニ付内閣総理・外務・農商務三大臣及貴族・衆議両院ヘ進達シタル建議請願書ノ全文ハ左ノ如シ
    協定税率廃止ニ関スル建議(請願)
港ハ国ノ門戸ニシテ、海関ハ即チ其鎖鑰ナリ、一国経済ノ緩急ニ応シテ鎖鑰ノ開閉ヲ制スルハ、元ヨリ其国自衛ノ権利ニ属ス、苟モ独立自主ノ邦国皆此自由ナカル可カラス
不幸我国ノ通商条約ニハ一種ノ協定税率ナルモノアリテ、向フ十年間ハ自主ノ権利ヲ箝制セラレ、尚門戸アルモ任意ニ鎖鑰ノ開閉ヲ為シ能ハサルカ如シ、今試ニ我国現行ノ税率ヲ以テ之ヲ欧米各国ノ税率ニ対比セハ、課税ノ軽重素ヨリ同日ノ論ニアラス、例之ハ本邦ノ綿糸ノ輸入税ハ加工ノ程度ヲ論セス百斤ニ付僅ニ四円拾八銭ナルモ、仏国ニ於テハ其晒シタルモノ百斤ニ付六拾壱円五拾四銭ヲ徴スルカ如シ、之ヲ以テ我ノ彼ニ輸出スルハ難ク、彼ノ我ニ輸入スルハ易ク、為メニ我国商工業ノ発達ヲ阻害スルコト最モ甚シ、若シ一タヒ此協定税率ヲ廃棄シテ、機ニ臨ミ時ニ応シテ自由ニ改定スルコトヲ得ハ、必ス我カ商工業ノ発達ヲ期スルヤ昭カナリ、既ニ綿糸及綿布ノ二品ノミニ於テモ数千万円ノ輸入ヲ減少シテ、忽チ内地ニ其生産ヲ増殖スルコトヲ得ルヤ必セリ、由是観之、此協定税率ノ今日ニ存在スルハ洵ニ国家ノ一大病源ニシテ、我商工業ノ健全ハ遂ニ得テ望ム可カラス、本会議所ハ一日モ速ニ之カ廃棄ヲ見ンコトヲ切望ニ堪ヘサルナリ
右本会議所ノ決議ニ依リ建議(請願)仕候也
  明治三十四年二月六日(請願ハ七日附)
          東京商業会議所会頭 男爵 渋沢栄一
    内閣総理大臣 侯爵 伊藤博文殿
    外務大臣      加藤高明殿
    農商務大臣     林有造殿  (各通)
    貴族院議長  公爵 近衛篤麿殿
    衆議院議長     片岡健吉殿


第十一回東京商業会議所事務報告 第三―四頁 明治三五年四月刊(DK210109k-0007)
第21巻 p.618-619 ページ画像

第十一回東京商業会議所事務報告  第三―四頁 明治三五年四月刊
一協定税率廃止ニ関スル義ニ付、内閣総理・外務・大蔵・農商務四大
 - 第21巻 p.619 -ページ画像 
臣ヘ建議、貴族・衆議両院ヘ請願ノ件
 本件ハ京都外十五会議所ヨリ本年一月東京ニ於テ開設中ノ臨時商業会議所聯合会ニ提出シテ其可決ヲ得タルモノニ係リ、其要旨ハ、協定税率ノ今日存在スルハ国家ノ一大病源ニシテ、商工業ノ発達ヲ阻害スルモノナルヲ以テ、一日モ速ニ之ヲ廃棄スルニ勉メラレタキ旨ヲ政府ニ建議シ、議会ニ請願スヘシト云フニ在リ、仍テ明治三十四年一月三十一日第百一回ノ臨時会議ニ附シタルニ其可決ヲ得、建議書及請願書ノ起草並ニ提出方ハ役員会議ニ一任スルニ決シタルニ付其後役員会議ニ於テ起草ノ上二月六日附(請願書ハ七日附)ヲ以テ左ノ如ク内閣総理・外務・大蔵・農商務四大臣ヘ建議シ、貴族・衆議両院ニ請願シタリ
  ○建議・請願書ハ報告所載ノモノト同一ニツキ略ス。
  ○右建議書ハ内閣総理・外務・大蔵・農商務ノ四大臣ニ進達セリトナス資料ト、大蔵大臣ヲ除ク三大臣ニ進達セリトナス資料トアリ。ココニハ姑ク四大臣ニ進達サレタリトナスモノニ従フ。
  ○本資料第二十二巻所収「商業会議所聯合会」明治三十四年一月二十三日ノ条参照。



〔参考〕銀行通信録 第一七七号 明治三三年八月 経済時事談(渋沢栄一男談)(DK210109k-0008)
第21巻 p.619-620 ページ画像

銀行通信録  第一七七号 明治三三年八月
  経済時事談(渋沢栄一男談)
    協定税率改正の論に就て
近頃今回の事件を機として列国に交渉して、協定税率を改正して国定税率となし関税の収入を増さんと云ふ説を聞しが、是れは中々容易に行はれないと思ひます、よし行はるゝにして見ても協定税率の改正を無制限の保護の主義に用ゐよふと云ふに到つては、経済上余程の研究問題であると思ひます、我国は開港以来保護主義であつたか自由主義であつたかと云へば、保護と云ふよりは自由であつた方が多いかと思ふ、然るに今協定税率を廃して之に代ふるに米国の如く無制限の保護主義を採ると云ふ主旨であれば、向後自国の工業に如何なる影響を与へるか十分考へんければならん、米国か保護の結果商工業が繁栄すると云へばとて、米国なればこそ出来て他の国には出来ぬかも知れぬ、米国の鉄がずんずん輸出せらるゝ様になりしには特別の事情がありはせぬか、即ち米国は学理の原則に反する方針を採りても国力に余裕があるから打勝てるかも知れぬ、仮へば相撲にしても大砲の様な大力の者は四十八手以外の逆手でも勝てるかも知れぬが、之れを誰れにも及ぼすことは出来ない、近頃八釜しい輸入防止論から輸入税を酷課すると云ふことになると、内地の工業品は自然と改良進歩を計ることは底抜けとなつて、唯代価の高いばかりで少こしも発達をしないといふ結果を呈しはせぬか、一個人の購買力か集まつて一国の購買力となり、外国から品物を輸入するのであるから、買ふ力がなければ自然と輸入も止むものであるが、無理に之れを止めよふとするは条理に反するのみならず、之れが為め高い品物を買はせるが如き却て不利益のことを生する、若しも今の協定税率は不完全であるから改正をしよふと云ふならば、出来る事ならば改正もし廃止もしたいものだが、無制限の保護税主義を達する為めに之れを改正したいと云ふ様なことなれば、今
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申す通り経済上の根本から大に研究をして貰ひたい、又税を多くとると云ふことと、保護の主義をとると云ふことは別物で、保護の主義は輸入を防止するにあり、収入の主義は輸入を害せぬ範囲内に於て税率を定めよふと云ふのである、孰れにしても協定税率の改正の如きは、余程研究を要することであるから、世の中に於て此論を為す方々の主旨は何処にあると云ふことを承りたいものであります、まだ申上げたきことも沢山あれど、一寸と心に浮んだ所の事丈けを申上げた次第であります。



〔参考〕明治大正財政史 大蔵省編 第八巻・第五七六―六一五頁 昭和一三年九月刊(DK210109k-0009)
第21巻 p.620-629 ページ画像

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