デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
3款 東京商業会議所
■綱文

第21巻 p.717-737(DK210128k) ページ画像

明治34年12月25日(1901年)

是日栄一当会議所会頭トシテ、会計法及ビ会計規則ヲ改正センコトヲ内閣総理大臣子爵桂太郎・海軍大臣山本権兵衛・陸軍大臣男爵児玉源太郎・逓信大臣子爵芳川顕正・内務大臣男爵内海忠勝・文部大臣理学博士菊池大麓・農商務大臣平田東助・司法大臣清浦奎吾・大蔵大臣曾禰荒助・外務大臣小村寿太郎ニ建議シ、貴族院議長公爵近衛篤麿・衆議院議長片岡健吉ニ請願ス。次イデ二十八日同趣旨ヲ桂内閣総理大臣ニ陳情ス。


■資料

東京商業会議所報告 第一〇一号・第一〇―一一頁 明治三四年四月刊(DK210128k-0001)
第21巻 p.718 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇一号・第一〇―一一頁 明治三四年四月刊
○第百八十回役員会議 三月十三日開
 出席者
  渋沢栄一君    渋沢喜作君
  井上角五郎君   長尾三十郎君
  雨宮敬次郎君   加藤正義君
  中村清蔵君
午後二時三十分開議、左ノ事項ヲ決議セリ
○中略
    ○臨時会議議案
     一 井上角五郎君外二君ヨリ建議ニ係ル会計法及会計規則改正ノ件
午後三時四十分閉会


渋沢栄一 日記 明治三四年(DK210128k-0002)
第21巻 p.718 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治三四年     (渋沢子爵家所蔵)
三月十六日 雨
此日ハ歯痛甚キヲ以テ ○中略 夕五時商業会議所定期会ヲ開キシモ出席ヲ断リ遣ス


東京商業会議所報告 第一〇一号・第七―八頁 明治三四年四月刊(DK210128k-0003)
第21巻 p.718-719 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇一号・第七―八頁 明治三四年四月刊
○第百五回臨時会議 三月十六日開
 (出席者ハ第十一回定期会議ト同一 ○森清右衛門外二十三名ニ付略ス)
午後五時十分開議
渋沢会頭欠席ノ為メ、大倉副会頭議長席ニ就キ、左ノ件ヲ議事ニ附ス
    建議
 別冊会計法及会計規則改正案本会議所ノ意見トシテ政府ヘ建議シ、且ツ帝国議会ヘ請願相成度、此段別冊ヲ添ヘ建議候也
  明治三十四年三月十二日
                  提出者 井上角五郎
                  同   中村清蔵
                  同   森清右衛門
                  賛成者 大倉喜八郎
                  同   小松正一
                  同   堀江恒三郎
                  同   星野錫
                  同   藤山雷太
                  同   岡田来吉
                  同   梅浦精一
                  同   大橋新太郎
    東京商業会議所会頭 男爵 渋沢栄一殿
 (別冊会計法及会計規則改正案ノ全文ハ参照ノ部第六号ニ掲載ス)
    役員会議ノ意見
 前記井上角五郎君外二君ノ建議ニ係ル会計法及会計規則改正ノ件ハ九名ノ委員ヲ選挙シテ之ニ其調査ヲ附託スル事
 - 第21巻 p.719 -ページ画像 
本件ハ役員会議ノ意見ノ如ク、九名ノ委員ヲ選挙シテ之ニ其調査ヲ附託スルニ決シ、且ツ委員中二名ハ渋沢会頭及大倉副会頭之ニ任シ、他ノ七名ハ議長ニ於テ指名スルニ決シタルニ付、議長ハ左ノ諸君ヲ委員ニ指名セリ
                    渋沢栄一君
                    大倉喜八郎君
                    森清右衛門君
                    小松正一君
                    中村清蔵君
                    梅浦精一君
                    井上角五郎君
                    加藤正義君
                    木村粂市君
午後五時三十分閉会


東京商業会議所報告 第一〇一号・第一五―二一頁 明治三四年四月刊(DK210128k-0004)
第21巻 p.719-726 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇一号・第一五―二一頁 明治三四年四月刊
 ○参照
○第六号
 明治三十四年三月十六日第百五回臨時会議ニ附セラレタル井上角五郎君外二君ノ建議ニ係ル会計法及会計規則改正案ノ全文ハ左ノ如シ
    会計法及会計規則改正案
 理由
  現行会計法及会計規則ハ其創定既ニ十数年以前ニ在リテ、該法規中方今ノ時勢ニ伴ハス、事実ニ適セサル点少ナカラス、就中工事及物件ノ売買・貸借ニ関スル条項ニ於テ、法文ノ不備若クハ規律ノ狭小ナルカ為メ、当事者間ニ不便ヲ醸シ、相互ニ不利益ヲ来スコト甚シトス、故ニ今之ヲ既往ニ鑑ミ実地ニ照ラシ此等ノ情弊ヲ除去シ、以テ改善セント欲スルニ在リ
 改正ノ要点
 一 現行法ハ官吏ノ権能ヲ拘束シ、商家ノ信用ヲ無視シタルモノナリ、故ニ改正案ニ於テ此等ノ拘束ヲ解キ、官吏ニ自由ヲ与ヘ充分ニ其技能ヲ施スノ余地アラシメ、而シテ商估ニモ相応ノ信用ヲ置キ便宜ヲ得セシメ、以テ誠実ナル競争若クハ供給ヲ為サシメムトス
 二 公告入札ノ方法ハ其名公平ニシテ善美ナリト雖モ、其実之ニ伴フ弊害ノ甚シキコトハ普ク世人ノ熟知スル所ナリ、然レトモ亦是レ敢テ廃スヘキモノニ非ス、故ニ改正案ニ於テハ指名入札法ヲ設ケ、普通入札ト相両立シテ其宜シキニ従ハシメムトス
 三 会計年度決算締切ニ際シ、繰越金ノ範囲狭隘ナルカ為メ、年度ノ終ニ至リ頗ル之カ処分ニ苦ミ、遂ニ不廉不用ノ物品ヲ購入シ往々会計ノ条理ヲ誤ルモノ少ナカラス、依テ改正案ニ於テ其範囲ヲ拡メタリ
 四 外国品ニ対シ競争ノ目的ニヨリ内地ニ於テ生産製造ニ従事スル者ニ対シ保護奨励ノ途ヲ講スルハ実ニ国家経済上ノ急務タリ、
 - 第21巻 p.720 -ページ画像 
然レトモ其方法未タ全ク備ハラサルノミナラズ、一方ニ於テハ海関協定税率ノ如キ内地工業者ノ競争ヲ阻碍スルモノアルアリ而モ之カ生産製造ノ業ヲ興スモノヽ当初ニ於テハ、其事業尚ホ幼稚ナルヲ免カレス、為メニ外国品ニ対シ充分ナル競争ヲ為ス能ハサルハ、亦已ムヲ得サルトコロトス、故ニ改正案ハ更ニ之ヲ随意契約範囲内ニ加ヘタリ
 五 入札又ハ契約ノ保証金ヲ現金若クハ公債証書ニ限ルハ不便ナルヲ以テ、改正案ニ於テハ国庫金取扱銀行ノ預金券及日本銀行ノ担保トナルヘキ有価証券ヲ以テ保証金ニ代用スルコトヲ得セシメムトス
 六 現行ノ会計法規ハ工事請負ト物品供給ト同一視セリ、故ニ改正案ハ内払金ノ条項ニ於テ之レカ区別ヲ為セリ
 七 入札公告ノ期間ヲ十五日以前トセシハ時日短キニ過キ、遠隔ノ地ニ在リテハ容易ニ之ニ応シ難シ、外国品ノ如キハ殊ニ然リトス、故ニ改正案ハ内国注文ト海外注文トヲ区別シ、相当期間ノ猶予ヲ与ヘタリ
 八 従来官庁ニ於ケル売買・貸借契約ハ、対等合意ノ契約ニアラスシテ、頗ル強制的ノモノナリ、例セハ納入期限ヲ規定シテ検査期限ヲ定メス、違約処分ヲ規定シテ代金支払期限ヲ定メサル等矛盾モ亦甚シトス、故ニ改正案ニ於テハ、其契約書ニハ必ス相互ノ違約処分及検査期限、並代金支払期限ヲ規定セリ
 九 現行会計規則ニヨレハ、契約書ニハ違約トナリタルトキ保証金ノ処分ヲ規定スヘキコトヲ明示シアルニ拘ハラス、官衙ニヨリ単ニ違約ノ際ハ保証金全部ヲ没収スト而已規定シ、内納トナリタルモノニ対スル保証金ノ処分ヲ規定セス、為メニ十分ノ九迄納入シ僅カ其残一分ノ為メ保証金全部没収ヲ主張シ、供給者ヲ強制スルコトアリ、是レ甚シキ難題ト云ハサルヲ得ス、故ニ改正案ニ於テ此規定ヲ明記シタリ
 十 改正案ニハ便宜上官吏ノ見込ヲ以テ、随意契約品供給常用達ヲ指定スルコトヲ許シタリ、是レ一ハ官吏ノ手数ヲ省キ、一ハ無資産者ノ入札ヲ排除セムカ為メナリ
 十一 現行法規中物件又ハ製造等ノ文字ヲ用ヰ一定セス、故ニ改正案ニ於テハ普通ノ場合ハ都テ物件ト訂正シタリ
    但改正案製造ト称スルハ船舶・車輛ノ如キ殆ト工事ニ等シキ大製造ヲ指スモノナリ
 十二 現行法規ハ工事又ハ物件供給者ノ資格ヲ二年以来営業ニ従事シタル証明アルモノトナセルモ、改正案ハ営業登記満一年以上継続シタル証明アルモノト改メタリ、何トナレハ区町村長ノ証明ニハ往々不確定ナルモノアルカ故ナリ
 前記ノ外各条項ニ就キ詳細ナル説明ヲ付記ス
   会計法改正案
第十五条第六中(五百円)ヲ(弐千円)ニ改ム
同条第八中(参千円)ヲ(六千円)ニ改ム
  説明 本条ノ官吏前渡金ハ本法制定当時ニ比スレハ物価殆ント倍
 - 第21巻 p.721 -ページ画像 
額ニ騰貴セリ、故ニ之ヲ増額ス、且官吏前渡金少額ナレハ代金支払ニ遅延ヲ来シ自ラ事務ヲ渋滞セシム
第廿一条中別ニ左ノ一項ヲ加フ
 一年度内ニ納付スヘキ物件ニシテ避クヘカラサル事故ノ為メ納付シ能ハサルトキ及工事製造又ハ物件ノ検査上不合格トナリ、更ニ改造若クハ代品ヲ追納セシムルトキハ、前項ノ規定ヲ準用ス
  説明 原文ハ工事及製造ヲ規定スルノミニシテ物件ニ付不可抗力ヲ規定セス、故ニ之ヲ二項トシテ玆ニ加ヘタリ、要ハ物件ノ運搬中ニ係ルモノハ容易ニ取捨シ得サルモノトス、殊ニ航海中ニ在ルモノヽ如キハ災害ノ最モ多クシテ、妄リニ期限ヲ以テ之ニ迫ルトキハ、自然冒険ノ行為ニ出テ、為メニ人命財産ヲ滅尽スルコトアリ、従来官ノ納品ニ其例少ナカラス、是大ニ酙酌ヲ要スル所タリ、又工事若クハ物件ノ検査上不合格トナリタルトキ海外ヨリ更ニ代品ヲ輸入スル場合等、年度内ハ勿論会計規則第四十四条ノ期間即チ六月三十日迄ニモ結了シ難キモノアリ、是等ノ為メ従来当事者間ニ種々困難ヲ生シ遂ニ不実ノ窮策ヲ施スコト亦少シトセス、一例ヲ示セハ従来年度内ニ到着セス若クハ検査未済ノモノハ仮リニ支払未済ノ部ニ組入レ物品領収済ノ体ニ装フコトアリ、猶是レヨリ甚シキハ俄カニ不用ニシテ且高価ノモノヲ購入スル等種々奇怪至極ノ取扱ヲ為スノ実例甚タ多シ故ニ本文ノ如ク繰越金ヲ公許スレハ斯ル不実ノ取扱ヲ要セサルカ為メナリ
第二十四条中「公告シテ」ノ四字ヲ刪除ス
  説明 公告入札ハ其方法ハ公平ナリト雖トモ、之ニ伴フ所ノ弊害モ亦甚シトス、故ニ競争入札法ヲ二箇ニ分チ、一ハ普通入札法一ハ指名入札法トス、而シテ普通入札ハ公告ヲ要シ、指名入札ハ通告ヲ要ストナス、故ニ本文「公告シテ」ノ四字ヲ除キタリ委シキコトハ会計規則第七十二条ヲ参照スヘシ
同条第四ノ次ニ左ノ一項ヲ加ヘ、第五以下順次繰下ケ
 第五 内国工業奨励ノ為メニ内地ニ於テ相当ノ設備ヲ有スル製造者ヨリ直接ニ其物品ヲ買入ルヽトキ
  説明 第四ノ次ニ新タニ本項ヲ加ヘタルハ、政府ハ国家経済ノ為ニ可成内国品ヲ採用シ内国生産工業ヲ奨励セラレムコトヲ希望スルカ為ナリ、且第四ノ「特種ノ物貨又ハ特別使用ノ目的アル云々」ノ項ト本項ト殆ト同一ノ観アレトモ、第四ハ内外品ヲ問ハス政府ノ側ニ於テ必要トスル目的物ヲ購入スル場合ヲ規定シタルモノニシテ、本項ハ之ニ反シ政府ニ於テ品ヲ撰ハサル場合勉メテ内国品ヲ採用センコトヲ規定シタルニアリ
同条第七(修正第八)中(五百円)ヲ(参千円)ニ改ム
  説明 第十五条、第六・第八ニ同シク当局者ノ自由範囲ヲ拡ムル為ナリ
   附言本条ノ第八売却品弐百円ヲ其儘ニ置ク理由ハ従来官ノ払下品ニハ往々不正ノ行為アリ、加之官ノ予定価格ナルモノハ頗フル不確実ノモノニテ、二百円ト見積ルモ其実五百円以上ノ価ア
 - 第21巻 p.722 -ページ画像 
ルモ知ルヘカラス、故ニ増額セサルナリ
同条第九(修正第十)「軍艦ヲ買入レ、又ハ艦船ヲ製造セシムルトキ」ト改ム
同条第十四(修正第十五)ノ次ニ左ノ六項ヲ加フ
 第十六 工事又ハ物件ノ売買貸借ニシテ競争ニ付スルモ入札者ナク若クハ再度ノ入札ニ付スルモ尚ホ予定価格ノ制限ニ達セサル場合ニ於テ、価格及其他ノ条件ヲ変更セスシテ引受者アルトキ
   但本項ノ場合ニ於テ建築工事ニ限リ総価並ニ設計落成期限ニ付必要ナル条件ヲ変更スルコトナクシテ工事又ハ之ニ要スル物件ヲ分割請負ニ付スルヲ妨ケス
 第十七 外国軍艦ニ於テ石炭欠乏ノ為メ其供給ヲ請フニ際シ、海軍貯蔵ノ石炭ヲ売渡ストキ
 第十八 官有ノ建物及其所属物ヲ公用ニ供スル為メ府県郡市町村及公共組合ニ売渡シ又ハ貸渡ストキ
 第十九 在外各庁ニ於テ工事又ハ物件ノ売買貸借ヲ為ストキ
 第二十 軍事上緊急ノ必要ニ因リ購入シタル政府ノ物件ヲ貸付ケ、又ハ売渡ストキ
 第二十一 政府ニ於テ施行スル海水ニ触接シタル工事及水道工事ニ要スル「セメント」ヲ購入スルトキ
  説明 以上第十六乃至第二十一ノ各項ハ已ニ勅令ヲ以テ発布セラレタルモノニシテ、便宜ノ為メ玆ニ編入セリ、其各勅令ハ明治廿三年勅令第百九十三号、同年勅令第二百九十五号、同廿六年勅令第二百二十八号、同廿七年勅令第四十号、同年勅令第七十六号、同三十二年勅令第四百三十七号ヲ参照スヘシ
   (上記ノ外之ニ類スル単行勅令数多アリ総テ適当ノ約文ヲ以テ規定スルヲ要ス)
同条第一乃至第四・第七・第十一「物品」トアルヲ「物件」ニ改ム
第二十五条中「軍艦」ヲ「艦船」ニ改ム
   会計規則改正案
第三十九条第三中(参千円)ヲ(六千円)ニ改ム
第四十条第一及第二中(参千円)ヲ(六千円)ニ改ム
  説明 会計法第十五条ニ同シ
第五十八条中「各事件毎ニ」ノ下ヲ左ノ如ク改ム
 竣功遅延若クハ納入遅延ノ事由ヲ示シ、又請負ニ係ル工事若クハ製造ナレハ竣功遅延ノ事由ノ外、物件ナレハ納入遅延ノ事由ノ外ニ請負人職業住所名ヲ示シ契約書ノ写ヲ添ユヘシ
  説明 会計法第二十一条ヲ参照スヘシ
第六十七条(イ)中(五百円)ヲ(参千円)ニ改ム
  説明 工事上ノ事ハ概シテ複雑ナルモノニシテ一見当否ヲ判シ難キモノナリ、故ニ敢テ此ノ増額ヲ要セサルカ如キ観アリト雖モ既ニ随意契約ノ条(会計法第二十四条第七参照)ニ於テ壱千円ト改メタルニヨリ比較上玆ニ修正セリ
同条二項中「工事ノ既済部分」ノ下「若クハ製造ノ既成」ノ八字
 - 第21巻 p.723 -ページ画像 
ヲ挿加ス
第六十八条中「又ハ」以下ヲ左ノ如ク改ム
 製造ノ既成トナリタル部分ニ対スル代価ノ十分ノ九ヲ超ユヘカラス
  但数個連続ノ工事又ハ製造ニシテ、毎全部ノ既済既納トナリタル部分ニ対スル代価ノ支払ハ、本条ノ規定ニ拠ルコトヲ要セス
  説明 原文物品ノ二字ヲ刪除シタルハ、物件ノ既納部分ニ対シテハ其代価全額ヲ支払フヲ至当トスルカ故ナリ、蓋シ物件ハ個々ニ代価ノ責任ヲ負フモノナリト雖モ、工事及製造ハ概シテ個々連帯ニテ代価ノ責任ヲ負フモノト云ハサルヘカラス、例セハ堀割ノ如キ土一坪ヲ何円ト定ムルモ最近ト最遠、最浅ト最深等各其位地ニヨリ其価ヲ異ニス、亦建築ニ於テモ其内訳代価ハ必シモ確実ナル標準ト為スヲ得ス、是等ハ竣功ヲ俟テ精算スルヲ至当トス、併工事製造トモ一ノ契約書ヲ以テ数個ノ請負ヲ為シタルモノハ物件ト同シク既済既納ニ対スル全部ノ代価ノ支払ヲ妨ケス、故ニ但書ヲ加ヘタリ、尚ホ本文製造トアルハ専ラ船舶・車輛ノ如キ工事ニ等シキ大製造ヲ指ス、又五分ノ四ヲ十分ノ九ニ改メタルハ今日商工業者競争ノ時代保証金一割ノ外更ニ一割ヲ留置セハ充分ナリトス
同条三項中「現金」ノ下ヲ左ノ如ク改ム
 若クハ国庫金取扱銀行ノ預金券、又ハ公債証書其他有価証券ヲ以テ保証金ヲ納ムヘシ
  但公債証書ハ時価、其他ノ有価証券ハ日本銀行担保価格ニ拠リ計算スヘシ
  説明 現金保管預ハ徒ラニ国庫ノ手数ヲ煩ハスノミナラス大ニ金融ヲ阻遏スルノ虞アリ、故ニ銀行預リ券ヲ以テ之ニ換ヘ、金融ヲ円滑ニシテ手数ヲ省キ納付者ニモ利子ヲ収得セシムルノ便アリ、而シテ銀行ヲ国庫金取扱所ト定メタルハ既ニ政府之レニ信用ヲ置ケルカ為メナリ、又有価証券ヲ加ヘタルハ価格ノ信用ハ独リ政府証券ノミニアラス、民間証券ニシテ払込額ヨリ高価ニシテ華族世襲財産ト為セルモノアリ、殊ニ日本銀行ニ於テ已ニ価格ヲ定メテ担保トナルヘキモノノ如キハ政府之レニ信用ヲ置ク事当然ナリ
同条二項及ヒ三項中「物品」トアルヲ「物件」ニ改ム
第七十一条中「結ハサルトキ」ノ下ヲ左ノ如ク改メ、別ニ一項ヲ加フ
 又ハ契約後其契約ヲ履行セサルトキハ其保証金ハ政府ノ所得トス、物件ノ既納トナリタル部分ニ対スル保証金ハ之ヲ割戻スコトヲ得、又避クヘカラサル事故ニヨリ解除シタル契約ノ保証金ハ之ヲ返付スヘシ
  説明 契約不履行ノトキ保証金ニ対スル処分方法ハ第八十条ニ於テ其原文ヲ刪除シタルヲ以テ更ニ玆ニ明記セリ、又第二項ヲ加ヘタルハ官衙ニヨリ内納部分ニ対スル保証金ノ処分ヲ契約書ニ記載セサルカ為メ、検査上不合格トナリタル僅カノ不足品ニ対シ全部ノ保証金没収ヲ主張シ供給者ヲ強制スルコトアリ、例セハ物件請負ノ保証金弐割ト定メ、内九分ノ品ハ既納トナリ残リ
 - 第21巻 p.724 -ページ画像 
一分ノ不合格アル為メ保証金全部ヲ没収スルコトアリ、豈不道理モ甚シカラスヤ、試ミニ其不納品一分ノ代価ヲ千円ト仮定スレハ此ノ弐割ハ弐百円ナリ、然ルニ全部ノ保証金二千円ヲ没収セシムト主張セリ、二割ノ没収スラ猶ホ多シト云ハサルヘカラス、況ヤ之ニ十倍ノモノオヤ、惟フニ斯ル無道理ニ服従スルモノハ商人トシテ常ニ得意先ニ対シテハ只管歓心ヲ失ハサラムコトヲ恐レ敢テ抗議シ得サルモノナレハナリ、尚ホ保証金割戻ノ必要ニ付一ノ実例ヲ挙ケムニ、或ル者曾テ官ニ対シ代価凡五拾万円ノ物品ヲ請負ヒ其全部ヲ完納シタルニ、其内予備品ノ代価五拾円ノモノ一個不合格トナリ、之ニ対スル違約金五円ヲ納ムルノ手続ヲ為スニ当リ凡ソ一ケ月ヲ要セリト云フ、其間保証金公債六万円ト五分ノ一ノ残金拾万円合計拾六万円ハ依然トシテ領収スルコトヲ得ス、如何ニ制法ノ結果トハ云ナカラ苛酷モ亦タ甚タシカラスヤ
第七十二条ヲ左ノ如ク改ム
 競争ハ普通入札若クハ指名入札ノ方法ヲ以テ之ヲ行フヘシ、指名入札ハ時宜ニヨリ各省大臣若クハ其委任ヲ受ケタル官吏ノ見込ヲ以テ当業者ヲ適宜指名シテ其請負事項ニ就キ競争セシムルモノトス、此指名ニ於テハ被指名者ニ対シ第七十三条ニ規定ノ期日前ニ第七十四条ノ各項ヲ通告スヘシ
  但シ本条指名入札ノ場合ニ於テハ各省大臣ノ見込ニヨリ入札保証金及契約保証金ヲ免除スルコトヲ得
  説明 入札者ヲ指名スルノ権利ヲ官吏ニ与ヘタルハ、当局者ニ自由ヲ与ヘ大ニ其ノ技能ヲ振ハシメムトスルニ在リ、又商人ノ誠実ナル競争ヲ促カサムトスルニ在リ、是レ本法改正ノ骨子ナリトス、普通入札必シモ悪キニ非ス、指名入札必スシモ善キニ非ス、実ニ当局者ノ技能応用ノ如何ニ在リ、依テ玆ニ両方法ヲ設ケテ其宜ニ従ハシメ以テ当局者タルモノヽ責任ヲ重カラシム、而シテ指名入札ノ保証金ヲ免除シタルハ、相互ニ信用ヲ重ンシ誠実ニ従事セシメムカ為ナリ、公告入札ノ保証金ヲ免除セサルハ未知ノ者ニ対シテハ保証物ノ外ニ信用ヲ置クヘキモノナキカ故ナリ
第七十三条中「入札」ノ上ニ「普通」ノ二字ヲ加ヘ「十五日」ヲ「二十日」ニ改メ、別ニ左ノ一項ヲ加フ
 海外注文ヲ目的トスルモノハ入札期日ヨリ少ナクモ五十日以前ニ前項ノ手続ヲ為スヘシ
  但本条ノ公告ヲ為スト同時ニ明細方示書ヲ準備開示スヘシ
  説明 十五日間ニテハ九州・北海道ノ如キ遠隔ノ地ハ明細書取寄出張等ノ時日不足ナリ、故ニ二十日トス、又海外注文ハ欧洲ヘ明細書ヲ郵送シ電信ニテ代価ノ通知ヲ得ル時日ヲ見込タルモノナリ、或ハ云フ為メニ購入時期ヲ後ルヽ恐アリト、是ハ事実ヲ知ラサルモノヽ謂ナリ、已ニ明細書ヲ郵送シ其回答ヲ得レハ直チニ電報ニテ注文シ彼ノ地ニテモ即時着手シ得ル為メ却テ納期ヲ短縮シ得、確実ノ代価ヲ以テ確実ノ物品ヲ供給シ得ル最安全
 - 第21巻 p.725 -ページ画像 
ノ方法ナリ、尤モ米国品ハ三・四十日間ニテ充分ナレハ本文中相当時日ノ予備ヲ与フヘシト規定スルモ妨ケナキカ如シト雖モ動モスレハ其間ニ於テ多少ノ弊害ナキヲ保セス、故ニ本案ノ如ク規定シ置ク方可トス、従来入札ニ付テ最モ不正若クハ不公平ノ行ハルヽハ重ニ入札期日若クハ納入期限ヲ故ラニ短縮シタルニアリ、或ハ物品ノ不合格トナルモノモ重モニ之ニ在リテ存ス惟フニ代価其他ニ充分ノ調査ヲ為スノ余裕無キカ為メナリ、近来鉄道作業局ニ於テハ専ラ此法ヲ取リ爾来外国品不合格破約等甚タ少シト云フ
第七十四条第四ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
 第五、竣功又ハ納入期限並ニ場所ノ異ナルモノハ納入場所
  説明 竣功又ハ納入期限ノ長短ニヨリ入札ニ応シ得ルト否トアリ且代価ノ高下ニ大関係アリ、故ニ之ヲ指示セサレハ切角ノ公告モ其価値ヲ失フコトアリ、其他ノ事項ハ明細書ヲ俟テ知ルモ可ナリ
第七十六条中「公告」ノ下「若クハ通告」ノ五字ヲ挿加ス
第七十九条但書ヲ左ノ如ク改メ別ニ一項ヲ加フ
  但本条ノ場合ニ於テハ第七十三条第一項ノ期日ヲ七日マテ、第二項ノ期日ヲ十五日マテ短縮スルコトヲ得
 特別ノ事由アルトキ若クハ普通入札ニ於テ予定価格ノ制限ニ達セサル為メ更ニ之ヲ指名入札ニ付スルトキハ、本条及第七十三条ノ期間猶予ヲ与フルノ限ニアラス
  説明 再入札ニ外国品ヲ十五日トシタルハ海外電報往復ノ時日ヲ見込タルモノナリ、特別ノ事由アルトキハ敢テ急需品ト云フニアラサレトモ、電報ニテ注文ヲ為シ得ルモノニテ年度ノ締切ニ後ルヽ恐レアルモノ等強テ規定ノ猶予ヲ要セサルナリ、又普通入札ノ予定価格ニ達セサルモノヲ直チニ指名入札ニ付スルコトヲ許シタルハ普通入札ニハ往々申合セ入札ヲ為スノ悪風アリ、故ニ時宜ニヨリ之ヲ指名入札ニ付スレハ或ハ此悪弊防止ノ一助トモナランカ
第八十条中「保証金額」ノ下ヲ左ノ如ク改ム
 相互ノ違約処分・検査結了期限・代金支払期限、其他一切必要ナル条件ヲ掲クヘシ
  説明 従来或ル官衙ニ於テハ契約書中ニ検査期限・代金支払期限ヲ規定セス、物品ヲ持込ムモ容易ニ検査ニ着手セス、又代金ヲ請求スルモ容易ニ支払ヲ為サヽルコトアリ、為メニ供給者ノ損害少ナカラス、但原文ニ受渡期限トアルハ査収ノ意味ヲ含ミ居ル如クナレトモ、単ニ納入期限ヲ指シタル如クニシテ判明ナラス、故ニ玆ニ明記シタルナリ、又代金支払期限ヲ規定スルコトハ契約ノ要件ニシテ、之ヲ記入セサルハ売買貸借ノ契約ノ体ヲ為スト云フモ可ナリ、又相互ノ違約処分ヲ規定スルハ合意契約ノ精神ヲ表示シタルモノナリ
第八十二条中(五百円)ヲ(三千円)ニ改メ、別ニ左ノ一項ヲ加フ
 各省大臣若クハ其委任ヲ受ケタル官吏ハ便宜上随意契約常用達ヲ指
 - 第21巻 p.726 -ページ画像 
名許可シ、又ハ何時タリトモ之ヲ取消スコトヲ得
  但常用達ハ一年度内一定ノ保証金ヲ納付セシメ置キ毎次保証金納付ヲ省略スルコトヲ得
  説明 本条ノ規定ハ余リ些末ノ事ニ立入ルノ嫌ヒナキニアラザルヲ以テ敢テ主張スルニ非サレ共、凡ソ商工業者ハ各自ニ得長ノ物件専業ノ品種アル者故、兼テ此等ノ者ヲ指定シ置クハ頗フル便宜ナリト信スルノミナラス、凡ソ公明ノ入札法ヲ乱シ誠実ナル商工業者ノ信用ヲ堕落セシムル者実ニ無資力商人ノ多数ノ集合ニ在リ、試ミニ各官庁ノ商人控所ニ至リ見レハ実ニ其数夥タシ、而シテ彼等ノ内果シテ誠実ノ商人若干アルカ、彼等ハ所々ニ屯集私語シテ頻リニ申合入札ヲ計画シ居ルニアラスヤ、而シテ偶々外来商人ノ入札セムトスルモノアレハ忽チ之ヲ抑留シテ容易ニ入札セシメス、強ヒテ同盟ニ引入レムトシ甚シキハ争討流血ニ至ルコト屡々見聞スル所ナリ、故ニ可成斯ル無頼漢ヲ排斥スルハ真誠ノ実業家ハ勿論亦タ当局官吏ノ為メ便益ナリトス尤モ指名入札ヲ許シ、若クハ常用達ヲ置クトキハ少数商人ノ為メニ利益ヲ壟断サルヽノ恐ナキニアラスト雖モ、是等ハ官吏ノ鑑識ニヨリテ容易ニ防キ得ルモノナリト信ス

附言
一本案説明中引用スル各官庁従来ノ慣行ハ官庁ニヨリ各々寛厳粗緻一様ナラザルモノアリ、又本案ノ説明ハ敢テ本文解釈ノ意ニアラス、単ニ改正ノ主要ヲ説明セムカ為メ坐上ノ覚書ヲ供シタルニ過キス、故ニ言詞往々余事ニ渉ルモノアリ読者之レヲ諒セラレムコトヲ請フ
一又説明中官吏ノ自由範囲ヲ拡ムト云ツヽ官吏ノ処置ヲ拘束シ、又ハ商估ニ信用ヲ置ク云々ト云フニ拘ハラス或場合ニ於テ自ラ商估ヲ信セサルカ如キ言詞アリ、人或ハ之ヲ以テ直ニ自家撞着ノ説トナサム乎、然リト雖凡事物ニハ時アリ場合アリ、故ニ縦ルスモ放任ナルヘカラス、抑サユルモ束縛スヘカラス、一縦一抑其宜キヲ制セサルヘカラス、例ハ現行ノ会計法規ノ如キハ創定当時ハ先ツ至善ノ法ト云フモ敢テ過言ニアラス、何トナレハ当時頗フル官ノ会計事務紊乱シ且商估モ自ラ信用ヲ破リ、其間往々不正ノ行為行ハレタリ、此時ニ当リ此法律ノ発布ハ頗ル適宜ノ者ナリ、然レトモ今日稍々秩序ノ定マリタル場合自ラ此改正ヲ要スルニ至レリ、而シテ今後幾歳月ノ後チ亦タ若干ノ改正ヲ要スルコト起ル可シ、是皆時ト場合トニヨリ亦不得已コトナリトス
一法律ハ如何ニ完美ナリト雖モ、之ヲ実行スル所ノ当局者ニシテ偏頗私行アリテハ、到底法律ヲ以テ改善シ得ルコト能ハサルナリ、故ニ是等ノコトハ別ニ行政監督ニ俟タサルヘカラズ、然ラサレハ幾タヒ法規ノ改正ヲ為スモ毫モ其効用ヲ見ルコト難タカル可シ、故ニ本法施行ニ付テハ別ニ訓令ヲ以テ法規ノ応用方針ヲ訓示シ、殊ニ曲解偏私ノ行為ヲ戒メ以テ監督官ニ注意ヲ与ヘ当局者自カラ省ミル所アラシメムコトヲ要ス

 - 第21巻 p.727 -ページ画像 

東京商業会議所報告 第一〇一号・第一一頁 明治三四年四月刊(DK210128k-0005)
第21巻 p.727 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇一号・第一一頁 明治三四年四月刊
○会計法及会計規則改正ノ件調査委員会議 三月十六日開
 出席者
  大倉喜八郎君   森清右衛門君
  小松正一君    中村清蔵君
  梅浦精一君    加藤正義君
  木村粂市君
午後五時三十分開議、左ノ事項ヲ決議セリ
 一 委員長ニ渋沢栄一君ヲ選挙スル事
午後五時四十分閉会
   ○其後会計法改正案ハ八月二十日ノ臨時会議ニ於テ第十回商業会議所聯合会ニ提出スルニ決シ、九月十五日ヨリ同月十八日迄新潟ニ於テ開カレタル同聯合会ニ於テ議決セラレタリ。本巻明治三十四年九月十五日ノ条参照。


東京商業会議所報告 第一〇二号・第七―一三頁 明治三四年一二月刊(DK210128k-0006)
第21巻 p.727 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇二号・第七―一三頁 明治三四年一二月刊
○第百九回臨時会議 十一月六日開
 出席者
  大木口哲君 ○外二十二名氏名略
午後五時開議
会頭渋沢栄一君議長席ニ就キ、先ツ左ノ件々ヲ報告ス
○中略
次ニ議長ハ左ノ件々ヲ議事ニ附ス
○中略
第二号
 第十回商業会議所聯合会決議事項中、商業会議所条例改正ノ件外七件ハ之ヲ左ノ如ク取扱フ事
○中略
一 会計法及会計規則改正ノ件
 本件ハ聯合会決議ノ趣旨ヲ兼テ本会議所ニ設置シアル会計法及会計規則改正ノ件調査委員ヘ附託シ、其報告ヲ待チテ採否ヲ決スル事
○中略
午後七時三十分閉会


東京商業会議所報告 第一〇二号・第一三頁 明治三四年一二月刊(DK210128k-0007)
第21巻 p.727-728 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇二号・第一三頁 明治三四年一二月刊
○第二回会計法及会計規則改正ノ件調査委員会議
                    同月同日 ○一一月一四日開
 出席者
  渋沢栄一君   大倉喜八郎君
  小松正一君   梅浦精一君
  木村粂市君
午後八時十分開議、予テ附託セラレタル改正案ニ付大体ノ審議ヲ為シタル末、近日中今一回委員会議ヲ開テ之ヲ協議スルコトニ決ス
午後八時閉会《(マヽ)》
○中略
 - 第21巻 p.728 -ページ画像 
○第三回会計法及会計規則改正ノ件 同月 ○一一月二十六日開
 出席者
  渋沢栄一君   大倉喜八郎君
  小松正一君   梅浦精一君
  木村粂市君
午後四時十分開議、予テ附託セラレタル改正案ニ就テ種々審議シタル末、結局来二十九日午後五時更ニ委員会議ヲ開テ之ヲ確定スルコトニ決ス
○第四回会計法及会計規則改正ノ件 同月二十九日開
 出席者
  渋沢栄一君    大倉喜八郎君
  井上角五郎君   小松正一君
  梅浦精一君    木村粂市君
  外ニ参席者
  有賀長文君
午後五時三十分開議、予テ附託セラレタル改正案ニ就テ逐条審議ヲナシ、一・二修正ノ上之ヲ確定シ、直ニ会頭ヘ報告スルコトニ決シタリ
午後八時二十分閉会


渋沢栄一 日記 明治三四年(DK210128k-0008)
第21巻 p.728 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治三四年     (渋沢子爵家所蔵)
十二月廿一日
東京商業会議所ノ臨時会ヲ開ク


東京商業会議所報告 第一〇三号・第一―二頁 明治三五年一二月刊(DK210128k-0009)
第21巻 p.728-729 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇三号・第一―二頁 明治三五年一二月刊
○第百十回臨時会議 明治三十四年十二月二十一日開
 出席者
  栗生武右衛門君 ○外二十名氏名略
午後六時三十分開議
会頭渋沢栄一君議長席ニ就キ、先ツ左ノ件々ヲ報告ス
○中略
次ニ議長ハ左ノ件々ヲ議事ニ附ス
○第一号
 一 会計法及会計規則改正ノ件調査委員報告
   (本件ノ全文ハ明治三十四年事務報告ニ掲載シタル者ト大差ナキヲ以テ之ヲ略ス)
本件ハ二・三ノ修正ヲ加ヘタルノミニテ全会一致ヲ以テ原案ヲ可決シ更ニ本件ニ関シ陳情委員七名ヲ選挙シ、内一名ハ議長之ニ任シ、他ノ六名ハ議長ノ指名ニ一任スルニ決シタルニ付、議長ハ左ノ諸君ヲ委員ニ指名シタリ
                    渋沢栄一君
                    大倉喜八郎君
                    井上角五郎君
                    雨宮敬次郎君
                    小松正一君
 - 第21巻 p.729 -ページ画像 
                    梅浦精一君
                    堀江恒三郎君
○中略
午後九時四十分閉会


東京商業会議所報告 第一〇三号・第三八頁 明治三五年一二月刊(DK210128k-0010)
第21巻 p.729 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇三号・第三八頁 明治三五年一二月刊
○同月同日 ○明治三四年一二月二五日 会計法及会計規則改正ノ義ニ付、内閣総理・海軍・陸軍・逓信・内務・文部・農商務・司法・大蔵・外務ノ各大臣ヘ建議書、貴族・衆議両院議長ヘ請願書ヲ呈出ス(建議・請願書ノ全文ハ明治三十四年事務報告ニ掲載シアルニ付略ス)


第十一回東京商業会議所事務報告 第一三―一八頁 明治三五年四月刊(DK210128k-0011)
第21巻 p.729-736 ページ画像

第十一回東京商業会議所事務報告  第一三―一八頁 明治三五年四月刊
一会計法及会計規則改正ノ義ニ付、内閣総理・海軍・陸軍・逓信・内務・文部・農商務・司法・大蔵・外務各大臣ニ建議、貴族・衆議両院ニ請願ノ件
 本件ハ井上角五郎君外二君ノ提出ニ係リ、其要旨ハ、現行会計法及会計規則ハ十数年前ノ制定ニ係リ方今ノ時勢ニ適応セサル点少カラサルヲ以テ、速ニ之ヲ改正セラレタキ旨ヲ政府ニ建議シ、議会ニ請願スヘシト云フニ在リ、仍テ明治三十四年三月十六日第百五回ノ臨時会議ニ附シタルニ議長指名ノ委員九名(内一名ハ会頭之ニ任ス)ヲ設ケテ其調査ヲ附託スルニ決シタルニ付、議長ハ左ノ諸君ヲ委員ニ指名セリ
               委員長 渋沢栄一君
                   大倉喜八郎君
                   森清右衛門君
                   小松正一君
                   中村清蔵君
                   梅浦精一君
                   井上角五郎君
                   加藤正義君
                   木村粂市君
 其後委員ニ於テ審議中偶々第十回商業会議所聯合会ノ開設ニ際シタルヲ以テ、本会議所ヨリ本問題ヲ同聯合会ニ提出シタルニ、其大体ヲ可決セラレタルニ付、更ニ之ヲ同委員ニ附託シ其報告ヲ得タルヲ以テ、十二月二十一日第百十回ノ臨時会議ノ議決ヲ経、同月二十五日附ヲ以テ左ノ如ク内閣総理・海軍・陸軍・逓信・内務・文部・農商務・司法・大蔵・外務各大臣ニ建議シ、貴族・衆議両院ニ請願シタリ、尚ホ本件ニ関シテハ同上ノ臨時会議ニ於テ陳情委員七名ヲ選挙シ、同月二十八日ヲ以テ桂総理大臣ニ陳情セシメタリ
    会計法及会計規則改正ノ義ニ付建議(請願)
按スルニ、現行会計法及会計規則ハ十数年前ノ創定ニ係リ、其法規中方今ノ時勢ニ背馳シ事実ニ適応セサル点少ナカラス、就中工事及物件ノ売買貸借ニ関スル条項ノ如キ、其法文ノ不備若クハ規律ノ窮屈ナルカ為メ、当事者間ノ不便ヲ醸シ相互ノ不利益ヲ来スコト甚シク、結局
 - 第21巻 p.730 -ページ画像 
国家経済上ノ損失実ニ至大ナリトス、是本会議所カ一意其改正ヲ希望シテ已マサル所以ナリ、是ヲ以テ本会議所ハ其ノ審案スル所ニヨリ、左ニ改正ヲ希望スル要旨ヲ開陳シテ、以テ閣下ノ垂鑑ヲ請ハントス
 一 現行法ハ官吏ノ権能ヲ拘束シ商家ノ信用ヲ無視シタルモノナリ故ニ此等ノ拘束ヲ解キ官吏ニ自由ヲ与ヘ充分ニ其技能ヲ施スノ余地アラシメ、而シテ商估ニモ相応ノ信用ヲ置キ便宜ヲ得セシメ、以テ誠実ナル競争若クハ供給ヲ為サシムルコト
 二 公告入札ノ方法ハ其公平ニシテ善美ナリト雖モ、其実之ニ伴フ弊害ノ甚シキコトハ普ク世人ノ既ニ熟知スル所ナリ、然レトモ亦是敢テ廃スヘキモノニ非ス、故ニ指名入札法ヲ設ケ普通入札ト相両立シテ其宜シキニ従ハシムルコト
 三 会計年度決算締切ニ際シ繰越金ノ範囲狭隘ナルカ為メ、年度ノ終リニ至リ頗ル之カ処分ニ苦ミ、遂ニ不廉不用ノ物品ヲ購入シ往々会計ノ条理ヲ誤ルモノ少カラス、依テ其範囲ヲ拡ムルコト
 四 外国品ニ対シ競争ノ目的ニヨリ内地ニ於テ生産製造ニ従事スル者ニ対シ保護奨励ノ途ヲ講スルハ実ニ国家経済上ノ急務タリ、然レトモ其方法未タ全ク備ハラサルノミナラス、一方ニ於テハ海関協定税率ノ如キ内地工業者ノ競争ヲ阻碍スルモノアリ、而モ之カ生産製造ノ業ヲ興スモノヽ当初ニ於テハ其事業尚幼稚ナルヲ免カレス、為メニ外国品ニ対シ充分ナル競争ヲ為ス能ハサルハ亦已ムヲ得サルトコロトス、故ニ他日海関協定税率ノ改正行ハルヽ迄之ヲ随意契約範囲内ニ加ヘ、且ツ之ニ対シ前払金ヲ為スコトヲ許スコト
 五 現行会計法ハ軍艦ニ限リ随意契約購入ヲ許シ、未タ之ヲ他ノ艦船ニ及ホサルヽナリ、然ルニ他ノ艦船ト雖トモ之ヲ製造若クハ修理セシムル場合ニハ、単ニ代価ノ低廉ノミヲ以テ満足安心スヘカラス、実ニ其製造所其監督者ノ信用上ニ重ヲ置クモノ居多加之艦船製造ハ莫大ノ資金ト長日月ヲ要スルモノナルヲ以テ、更ニ之ヲ随意契約範囲内ニ加フルコト
 六 入札又ハ契約ノ保証金ヲ現金若クハ公債証書ニ限ルハ不便ナルヲ以テ、国庫金取扱銀行ノ預金券及日本銀行ノ担保トナルヘキ有価証券ヲ以テ保証金ニ代用スルコトヲ得セシムルコト
 七 現行ノ会計法規ハ工事請負ト物品供給ト同一視セリ、故ニ内払金及違約保証金処分ノ条項ニ於テ之カ区別ヲ為スコト
 八 入札公告ノ期間ヲ十五日以前トセシハ時日短キニ過キ、遠隔ノ地ニ在リテハ容易ニ之ニ応シ難シ、外国品ノ如キハ殊ニ然リトス、故ニ内国注文ト海外注文トヲ区別シ、相当期間ノ猶予ヲ与フルコト
 九 従来官庁ニ於ケル売買貸借契約ハ対等合意ノ契約ニアラスシテ頗ル強制的ノモノナリ、例セハ納入期限ヲ規定シテ検査期限ヲ定メス、違約処分ヲ規定シテ代金支払期限ヲ定メサル等、偏重モ亦甚シトス、故ニ其契約書ニハ必ス相互ノ違約処分及検査結了期限並ニ代金支払期限ヲ規定スヘキモノト為スコト
 十 現行会計規則ニヨレハ契約書ニハ違約トナリタルトキ保証金ノ
 - 第21巻 p.731 -ページ画像 
処分ヲ規定スヘキコトヲ明示シアルニ拘ハラス、官衙ニヨリ単ニ違約ノ際ハ保証金全部ヲ没収スト而已規定シ、内納トナリタルモノニ対スル保証金ノ処分ヲ規定セス、為メニ十分ノ九迄撿査結了済ニテ納入シ僅ニ其残一分ノ為メ保証金全部没収ヲ強制スルコトアリ、是供給者ニ取リテハ甚シキ難題ト云ハサルヲ得ス、故ニ物件内納部分ニ対スル保護金割戻ヲ許スコト
 十一 現行法規中物件物品又ハ製造等ノ文字ヲ用ヰ一定セス、故ニ普通ノ場合ハ都テ物件ト訂正スルコト
本会議所カ現行会計法及会計規則ニ対シ改正ヲ希望スルノ要旨実ニ前陳ノ如シ、然リ而シテ本会議所ハ猶御参考ノ為メ此要旨ニヨリテ改正案ヲ起草シ玆ニ添附シテ以テ閣下ニ上呈ス、仰キ願ハクハ閣下本建議ノ趣旨ヲ採択シ速ニ之カ改正ノ手続ヲ執行セラレンコトヲ
右本会議所ノ決議ニ依リ建議(請願)仕候也
  明治三十四年十二月二十五日
          東京商業会議所会頭 男爵 渋沢栄一
    内閣総理大臣  子爵 桂太郎殿
    海軍大臣       山本権兵衛殿
    陸軍大臣    男爵 児玉源太郎殿
    逓信大臣    子爵 芳川顕正殿
    内務大臣    男爵 内海忠勝殿
                      (各通)
    文部大臣  理学博士 菊池大麓殿
    農商務大臣      平田東助殿
    司法大臣       清浦奎吾殿
    大蔵大臣       曾禰荒助殿
    外務大臣       小村寿太郎殿
    貴族院議長   公爵 近衛篤麿殿
    衆議院議長      片岡健吉殿
     会計法改正案
第十五条第六号中(五百円)ヲ(一千円)ニ、第八号中(三千円)ヲ(六千円)ニ改ム
第二十一条ニ左ノ一項ヲ加フ
 一年度内ニ納付スヘキ物件ニシテ避クヘカラサル事故ノ為メ納付シ能ハサルトキ、及工事製造又ハ物件ノ撿査上不合格トナリ更ニ改造セシメ、若クハ代品ヲ追納セシムル為メ其年度内ニ完済シ能ハサルトキハ前項ノ規定ヲ準用ス
第二十四条ヲ左ノ如ク改ム
 法律勅令ヲ以テ定メタル場合ノ外、政府ノ工事又ハ物件ノ売買・貸借ハ総テ競争ニ付スヘシ、但左ノ場合ニ於テハ競争ニ付セス随意ノ約定ニ依ルコトヲ得ヘシ
 第一 一人又ハ一会社ニテ専有スル物件ヲ買入レ又ハ借入ルヽトキ
 第二 政府ノ所為ヲ秘密ニスヘキ場合ニ於テ命スル工事又ハ物件ノ売買・貸借ヲ為ストキ
 第三 非常急遽ノ際工事又ハ物件ノ買入・借入ヲ為スニ競争ニ付スル暇ナキトキ
 - 第21巻 p.732 -ページ画像 
 第四 特種ノ物質又ハ特別使用ノ目的アルニ由リ生産製造ノ場所又ハ生産者・製造者ヨリ直接ニ物件ノ買入ヲ要スルトキ
 第五 工業奨励ノ為メニ内地ニ於テ相当ノ設備ヲ有スル製造者ヨリ直接ニ其物件ヲ買入ルヽトキ
 第六 特別ノ技術家ニ命スルニ非サレハ製造シ得ヘカラサル製造品及機械ヲ買入ルヽトキ
 第七 土地家屋ノ買入又ハ借入ヲ為スニ当リ其位置又ハ構造等ニ限アル場合
 第八 三千円ヲ超エサル工事又ハ物件ノ買入・借入ノ契約ヲ為ストキ
 第九 見積価格二百円ヲ超エサル動産ヲ売払フトキ
 第十 軍艦ヲ買入レ、又ハ艦船ヲ製造セシメ、若クハ修理セシムルトキ
 第十一 軍馬ヲ買入ルヽトキ
 第十二 試験ノ為ニ工作製造ヲ命シ又ハ物件ヲ買入ルヽトキ
 第十三 慈恵ノ為メニ設立セル救育所ノ貧民ヲ傭役シ、及其生産又ハ製造物品ヲ直接ニ買入ルヽトキ
 第十四 囚徒ヲ傭役シ又ハ囚徒ノ製造物品ヲ直接ニ買入ルヽトキ、及政府ノ設立ニ係ル農工業場ヨリ直接ニ其生産又ハ製造物品ヲ買入ルヽトキ
 第十五 政府ノ設立シタル農工業場又ハ慈恵教育ニ係ル各所ノ生産製造物品及囚徒ノ製造品ヲ売払フトキ
 第十六 工事又ハ物件ノ売買貸借ニシテ競争ニ付スルモ入札者ナク若クハ再度ノ入札ニ付スルモ尚ホ予定価格ノ制限ニ達セサル場合ニ於テ価格及其他ノ条件ヲ変更セスシテ引受者アルトキ但本号ノ場合ニ於テハ建築工事ニ限リ総価額並ニ設計落成期限ニ付必要ナル条件ヲ変更スルコトナクシテ工事又ハ之ニ要スル物件ヲ分割請負ニ付スルコトヲ得
第二十五条中(軍艦)ヲ(艦船)ニ改ム
 (参照)
 第十五条 国務大臣ハ政府ニ対シ正当ナル債主若ハ其代理人ノ為ニスルニ非レハ仕払命令ヲ発スルコトヲ得ス
  左ノ諸項ノ経費ニ限リ国務大臣ハ主任ノ官吏ニ委任シ、又ハ政府ノ命シタル銀行ニ委任シテ現金支払ヲ為サシムル為ニ現金前渡ノ支払命令ヲ発スルコトヲ得
   第一 国債ノ元利払
   第二 軍隊・軍艦及官船ニ属スル経費
   第三 在外各庁ノ経費
   第四 前項ノ外総テ外国ニ於テ支払ヲ為ス経費
   第五 運輸・通信ノ不便ナル内国ノ地方ニ於テ仕払ヲ為ス経費
   第六 庁中常用雑費ニシテ一箇年ノ総費額五百円ニ満タサルモノ
   第七 場所ノ一定セサル事務所ノ経費
   第八 各庁ニ於テ直接ニ従事スル工事ノ経費、但シ一主任官ニ
 - 第21巻 p.733 -ページ画像 
付三千円迄ヲ限ル
 第二十一条 予算ニ於テ特ニ明許シタルモノ、及一年度内ニ終ルヘキ工事又ハ製造ニシテ避クヘカラサル事故ノ為ニ事業ヲ遅延シ年度内ニ其ノ経費ノ支出ヲ終ラサリシモノハ、之ヲ翌年度ニ繰越使用スルコトヲ得
 第二十四条 法律・勅令ヲ以テ定メタル場合ノ外、政府ノ工事又ハ物件ノ売買・貸借ハ総テ公告シテ競争ニ付スヘシ、但左ノ場合ニ於テハ競争ニ付セス随意ノ約定ニ依ルコトヲ得ヘシ
   第一 一人又ハ一会社ニテ専有スル物品ヲ買入レ、又ハ借入ルルトキ
   第二 政府ノ所為ヲ秘密ニスヘキ場合ニ於テ命スル工事又ハ物品ノ売買・貸借ヲ為ストキ
   第三 非常急遽ノ際工事又ハ物品ノ買入・借入ヲ為スニ競争ニ付スル暇ナキトキ
   第四 特種ノ物質又ハ特別使用ノ目的アルニ由リ生産製造ノ場所又ハ生産者・製造者ヨリ直接ニ物品ノ買入ヲ要スルトキ
   第五 特別ノ技術家ニ命スルニ非サレハ製造シ得ヘカラサル製造品及機械ヲ買入ルヽトキ
   第六 土地家屋ノ買入又ハ借入ヲ為スニ当リ其ノ位置又ハ構造等ニ限アル場合
   第七 五百円ヲ超エサル工事又ハ物品ノ買入・借入ノ契約ヲ為ストキ
   第八 見積価格弐百円ヲ超エサル動産ヲ売払フトキ
   第九 軍艦ヲ買入ルヽトキ
   第十 軍馬ヲ買入ルヽトキ
   第十一 試験ノ為ニ工作製造ヲ命シ又ハ物品ヲ買入ルヽトキ
   第十二 恵慈ノ為ニ設立セル救育所ノ貧民ヲ傭役シ、及其ノ生産又ハ製造物品ヲ直接ニ買入ルヽトキ
   第十三 囚徒ヲ傭役シ又ハ囚徒ノ製造物品ヲ直接ニ買入ルヽトキ、及政府ノ設立ニ係ル農工業場ヨリ直接ニ其ノ生産又ハ製造物品ヲ買入ルヽトキ
   第十四 政府ノ設立シタル農工業場又ハ慈恵教育ニ係ル各所ノ生産製造物品、及囚徒ノ製造物品ヲ売払フトキ
 第二十五条 軍艦・兵器・弾薬ヲ除ク外、工事製造又ハ物件買入ノ為ニ前払金ヲ為スコトヲ得ス
     会計規則改正案
第三十九条第三号中(三千円)ヲ(六千円)ニ改ム
第四十条第一号及第二号中(三千円)ヲ(六千円)ニ改ム
第五十八条ヲ左ノ如ク改ム
 会計法第二十一条ニ拠リ年度内ニ其経費ノ支出ヲ終ラサリシ金額ヲ翌年度ニ繰越サントスルトキハ、其繰越サントスル金額ノ計算書ニ各事件毎ニ竣功遅延・納入遅延ノ事由ヲ示シ、又請負ニ係ル工事・製造、若クハ物件供給等ニ関スル場合ニハ竣功遅延・納入遅延ノ事
 - 第21巻 p.734 -ページ画像 
由ノ外ニ請負人ノ職業住所氏名ヲ示シ、契約書ノ写ヲ添フヘシ
第六十七号第一項中(五百円)ヲ(三千円)ニ改メ、第二項ヲ左ノ如ク改ム
 契約ニ拠リ工事・製造ノ既成部分又ハ物件ノ既納部分ニ対シ完済前ニ代価ノ一部分ヲ仕払ハントスルトキハ、各省大臣ハ特ニ検査ノ官吏ヲ命シテ事実ヲ調定シ其調書ヲ作ラシムヘシ
第六十八条ヲ左ノ如ク改ム
 前条第二項ノ仕払ヲ為サントスルトキハ工事又ハ製造ノ既成部分ニ対シテハ其代価ノ十分ノ九ヲ超ユヘカラス、但物件ノ既納部分又ハ個々ニ分立若クハ分割シ得ヘキ性質ノ工事、又ハ製造ニ於ケル各個ノ完済部分ニ対シテハ其代価ノ全部ヲ仕払フコトヲ得
第六十九条第一項第二項中「物品」ヲ「物件」ニ改メ、第三項ヲ左ノ如ク改ム
 工事又ハ物件売買ノ競争ニ加ハラントシ、若クハ其契約ヲ結ハントスル者ハ、現金若クハ国庫金取扱銀行ノ発シタル預金券又ハ公債証書、其他日本銀行ノ担保タルヘキ有価証券ヲ以テ保証金ヲ納ムヘシ但公債証書ハ時価、其他ノ有価証券ハ前段ノ担保価格ニ拠リ計算スヘシ
第六十九条ニ左ノ一項ヲ加フ
 指名入札ノ場合ニ於テハ各省大臣ノ見込ニヨリ前項保証金ノ納附ヲ特免スルコトヲ得
第七十一条ヲ左ノ如ク改ム
 競争ノ落札者請負又ハ売買ノ契約ヲ結ハザルトキ、若クハ契約後其契約ヲ履行セサルトキハ其ノ保証金ハ政府ノ所得トス、但避クヘカラサル事由ニ因リテ履行不能トナリタル為メ契約ヲ解除スルトキハ此限ニアラス
 前項ノ場合ニ於テ既納ノ物件アリタルトキハ其部分ニ対スル割合ニ応シテ保証金ヲ割戻スヘシ
第七十二条ニ左ノ一項ヲ加フ
 入札ノ方法ハ普通及指名ノ二種トシ各場合ニ就キ各省大臣之ヲ定ム
第七十三条ヲ左ノ如ク改ム
 競争ヲ以テ工事又ハ物件ノ売買・貸借ヲ契約セントスルトキハ其入札期日ヨリ少クモ二十日以前ニ、普通入札ノ場合ニ於テハ掲示又ハ官報・新聞紙其他ノ方法ヲ以テ成ルヘク広ク公告シ、指名入札ノ場合ニ於テハ被指名者ニ通告スルモノトシ、同時ニ明細方法書ヲ準備開示スヘシ
 海外注文ヲ目的トスルモノハ入札ノ期日ヨリ少クモ五十日以前ニ前項ノ手続ヲ為スヘシ
第七十四条中(公告)ノ下ニ(若クハ通告)ヲ加ヘ第四号ノ次ニ左ノ一号ヲ加フ
  第五 竣功若クハ納入期限並ニ納入場所ノ異ナルモノハ其場所
第七十六条中(公告)ノ下ニ(若クハ通告)ヲ加フ
第七十九条但書ヲ左ノ如ク改ム
 但本項ノ場合ニ於テハ第七十三条第一項ノ期間ヲ七日マテ、第二項
 - 第21巻 p.735 -ページ画像 
ノ期間ヲ十五日マテニ短縮スルコトヲ得
第七十九条ニ左ノ一項ヲ加フ
 前項ノ場合ニ於テ特別ノ事由アルトキ、若クハ普通入札ニ於テ予定価格ノ制限ニ達セサル為メ更ニ之ヲ指名入札ニ附スルトキハ、即時通告シテ入札ヲ為サシムルコトヲ得
第八十条ヲ左ノ如ク改ム
 工事及物件ノ売買・貸借契約書ニハ其契約セントスル事項ノ細密ナル設計・仕訳・落成期限・受渡期限・保証金額・相互ノ違約処分・検査結了期限・代金仕払及内払期限其他一切必要ナル条件ヲ掲クヘシ
 (参照)
 第三十九条 元金前渡ノ仕払命令ハ左ノ区分ニ従ヒ之ヲ発スヘシ
  第一 当時ノ費用ニ係ルモノハ毎一箇月分ノ費額ヲ予定シテ仕払命令ヲ発スヘシ、但在外各庁ノ経費外国ニ於テ仕払ヲ為ス経費、運輸通信ノ不便ナル内国ノ地方ニ於テ仕払ヲ為ス経費、其他仕払場所ノ一定セサル経費ハ、事務ノ必要ニ由リ二個月以上六個月分マテ合セテ仕払命令ヲ発スルコトヲ得
  第二 随時ノ費用ニ係ルモノハ所要ノ費額ヲ予定シテ事務上差支ナキ限リハ成ルヘク分割シテ仕払命令ヲ発スヘシ
  第三 各庁ニ於テ直接ニ従事スル工事ノ経費ハ工事ノ大小ニ由リ其所要ヲ量リ、三千円以内ニ於テ仕払命令ヲ発スヘシ
 第四十条 会計法第十五条第八ニ拠リ現金前渡ヲ為シタルトキハ、左ノ場合ヲ除クノ外更ニ同一ノ主任官吏ニ現金前渡ヲ為スタメ仕払命令ヲ発スルコトヲ得ス
  第一 前ニ発シタル仕払命令ノ金額三分ノ二以上ノ仕払済証明アリタルトキ、但此場合ニ於テハ更ニ発スル仕払命令ノ金額ト前ニ発シタル仕払命令ノ仕払済証明未済ノ金額ト合シテ三千円ヲ超ユル事ヲ得ス
  第二 前ニ発シタル仕払命令ノ金額三千円未満ニシテ、更ニ発スル仕払命令ノ金額ト合シテ三千円ヲ超ヘサルトキ
 第五十八条 会計法第二十一条ニ拠リ年度内ニ其経費ノ支出ヲ終ラサリシ金額ヲ翌年度ニ繰越サントスルトキハ、其繰越サントスル金額ノ計算書ニ各事件毎ニ竣功遅延ノ事由ヲ示シ、又請負ニテ為サシムル工事若クハ製造ナレハ竣功遅延ノ事由ノ外ニ請負人職業住所氏名ヲ示シ契約書ノ写ヲ添ユヘシ
 第六十七条 各省大臣五百円以上ノ工事ニ付テハ竣功ノ後、其工事ヲ監督シタル官吏又ハ技術者ヲシテ之カ調書ヲ作ラシムヘシ
  契約ニ拠リ工事ノ既済部分又ハ物品ノ既納部分ニ対シ完済前ニ代価ノ一部分ヲ仕払ハントスルトキハ、各省大臣ハ特ニ撿査ノ官吏ヲ命シテ事実ヲ調定シ其調書ヲ作ラシムヘシ
  仕払命令官ハ前各項ノ調書ニ拠ルニアラサレハ仕払命令ヲ発スルコトヲ得ス
 第六十八条 前条第二項ノ仕払ヲ為サントスルトキハ、工事ノ既済又ハ物品ノ既納トナリタル部分ニ対スル代価ノ五分ノ四ヲ超ユヘカラス
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 第六十九条 工事又ハ物品供給ノ競争ニ加ハラントシ、若クハ其契約ヲ結ハントスル者ハ其工事又ハ物品ノ供給ニ二年以来従事スルコトヲ証明スヘシ
  各省大臣ハ工事又ハ物品ノ性質ニ依リ必要アルトキハ前項ノ外特ニ省令ヲ以テ其競争者ノ資格ヲ定ムル事ヲ得
  工事又ハ物品売買ノ競争ニ加ラントシ、若クハ其契約ヲ結ハントスル者ハ現金又ハ公債証書ヲ以テ保証金ヲ納ムヘシ
 第七十一条 競争ノ落札請負又ハ売買ノ契約ヲ結ハサルトキハ其保証金ハ政府ノ所得トス
 第七十二条 競争ハ総テ入札ノ方法ヲ以テ之ヲ行フヘシ
 第七十三条 入札ノ方法ヲ以テ工事又ハ物件ノ売買・貸借ヲ契約セントスルトキハ、其入札期日ヨリ少ナクモ十五日以前ヨリ掲示又ハ官報・新聞紙其他ノ方法ヲ以テ成ルヘク広ク公告スヘシ
 第七十四条 前条ノ公告ニハ左ノ事項ヲ示スヘシ
  第一 競争入札ニ付スル事項
  第二 契約書案ヲ示ス場所及其契約ノ取結ヲ担任スル官吏ノ官氏名
  第三 競争執行ノ場所・日限及時刻
  第四 入札保証金額
 第七十六条 開札ハ公告ニ示シタル場所・日限・時刻ニ入札人ノ面前ニ於テ之ヲ行フヘシ
  入札人又ハ其代理人若シ開札ノ場所ニ出席セサルトキハ其入札ハ無効トス
 第七十九条 競争ノ落札者請負又ハ売買貸借ノ契約ヲ結ハサルトキハ更ニ競争ヲ行フヘシ、但本条ノ場合ニ於テハ第七十三条ノ期限ヲ七日マテニ短縮スルコトヲ得
 第八十条 工事及ヒ物件ノ売買、貸借契約書ニハ其契約セントスル事項ノ細密ナル設計・仕訳・落成期限・受渡期限・保証金額・契約違背ノトキ保証金ニ対スル処分其他一切必要ナル条件ヲ掲クヘシ


東京商業会議所報告 第一〇三号・第三四頁 明治三五年一二月刊(DK210128k-0012)
第21巻 p.736 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇三号・第三四頁 明治三五年一二月刊
○第一回会計法及会計規則改正ノ件並鉄道国有実行ノ件陳情委員会議
十二月 ○明治三四年二十六日開
 出席者
  渋沢栄一君    大倉喜八郎君
  雨宮敬次郎君   小松正一君
  堀江恒三郎君
午前十時開議、左ノ事項ヲ決議セリ
 一 渋沢栄一君ヲ委員長ニ選挙スル事
 一 一両日中委員相携ヘテ桂総理大臣ヲ訪問スル事
午後零時十分閉会


渋沢栄一 日記 明治三四年(DK210128k-0013)
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渋沢栄一 日記  明治三四年     (渋沢子爵家所蔵)
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十二月廿七日《(マヽ)》
商業会議所ノ件ニ関シ桂総理大臣ヲ官邸ニ訪フ


渋沢栄一 日記 明治三五年(DK210128k-0014)
第21巻 p.737 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治三五年     (渋沢子爵家所蔵)
一月十一日 晴
○上略 九時原町阪谷ヲ訪ヒ ○中略 会計法修正ノ件・銀行法改正案ノ件ヲ談ス ○下略
   ○中略。
一月十七日 晴
○上略 十時大蔵省ニ抵リ、商業会議所委員ト共ニ会計法及会計規則改正ニ関スル条項ヲ大臣・総務長官・理財局長・官房長・主計局長等ト談話ス ○下略
   ○当時ノ会計法・会計規則ニツイテハ「明治大正財政史」第二巻第九―六〇頁参照。