デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
3款 東京商業会議所
■綱文

第21巻 p.859-862(DK210146k) ページ画像

明治36年7月28日(1903年)

是日栄一当会議所会頭トシテ、財政策ニ関シ内閣総理大臣伯爵桂太郎・大蔵大臣男爵曾禰荒助ニ建議ス。


■資料

東京商業会議所報告 第一〇五号・第二頁 明治三七年一月刊(DK210146k-0001)
第21巻 p.859 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇五号・第二頁 明治三七年一月刊
○第三回臨時総会  七月 ○明治三六年二十二日開
   出席者数 二十九名
午後五時五分開議、会頭渋沢栄一君欠席ニ付、副会頭大倉喜八郎君議長席ニ着キ、先ツ諸件ノ報告ヲ了リタル後、左ノ件々ヲ順次議事ニ附セリ
○中略
○第二号
 一 第十二回商業会議所聯合会決議事項処分方案
  一移民保護ニ関スル件
  一財政策ニ関スル件
    以上二件ハ本会議所ヨリ更ニ其筋ニ建議スル事
本件ハ一項ツヽ之ヲ議題トナシ ○中略 何レモ全会一致ヲ以テ決定セリ(参照第五号及ヒ第六号参看)
○中略
午後七時五分閉会


東京商業会議所報告 第一〇五号・第一〇頁 明治三七年一月刊(DK210146k-0002)
第21巻 p.859 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇五号・第一〇頁 明治三七年一月刊
○同月同日 ○明治三六年七月二八日 財政策ニ関スル件ニ付、内閣総理・大蔵両大臣ヘ建議書ヲ呈出ス(建議書ノ全文ハ参照第六号ニ掲載ス)


東京商業会議所報告 第一〇五号・第三二―三三頁 明治三七年一月刊(DK210146k-0003)
第21巻 p.859-860 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇五号・第三二―三三頁 明治三七年一月刊
 ○参照
○第六号
 明治三十六年七月二十二日、第三回臨時総会ノ決議ニ基キ七月二十八日附ヲ以テ、其筋ニ建議シタル財政策ニ関スル建議書ノ全文左ノ如シ
    財政策ニ対スル義ニ付建議
我カ行政ヲ根本的ニ整理シ、其ノ節約シ得タル所ヲ以テ国家ノ生産力ヲ増進スルニ必要ナル事業費ニ充用シ、以テ経済利益ノ増進ニ利シ、以テ財政ノ基礎ヲ堅実ナラシムヘシトハ、各商業会議所ノ多年斉シク唱道シ来レル所ニシテ、政府当局ニ於テモ亦既ニ第十六議会ニ於テ従来公債支弁ニ係レル事業費ヲ移シテ経常歳入ノ剰余ニ取リ、以テ民間
 - 第21巻 p.860 -ページ画像 
金融ノ利通ヲ計ルニ至リシハ、現下ノ国状ニ処スルノ財政計画トシテ大ニ見ルヘキモノアリシニ、何ソ図ラン今次ノ議会ニ於テハ政府忽チ其ノ方針ヲ一変シ、再ヒ公債ニ頼リテ十年計画ニ属スル製艦費ヲ得ルノ財政策ヲ採リ、尚ホ且ツ其ノ不足額ニ対シテハ鉄道・電話等ノ建設費ヲ削リテ之ニ転用スルノ議ヲ決セシムルニ至レルカ如キハ、国家ノ為メ深ク遺憾トスル所ナリ、夫レ然リ、然リト雖モ今日ニ於テ強テ往事ヲ議スルモ詮ナシ、要ハ唯之ニ対スル善後策ヲ講スルニ在ルノミ、即チ本会議所カ此際政府当局ニ対シ要望セントスル所ハ、次年度ノ予算ヲ編成スルニ方リ、断然行政ノ整理ヲ遂行シ、及フ限リ生産的事業費・国防完成費、其他必需ノ費途ニ充ツヘキ費額ヲ剰得シ、尚ホ其ノ不足ナルニ於テハ更ニ適当ナル財源ヲ求メテ之ヲ塡補シ、公債ヲ募集セスシテ国費ヲ充足シ、以テ我カ財界ヲシテ安泰ナラシムルノ一事是ナリ、切ニ望ムラクハ政府ニ於テハ今後深ク慮リ細ニ計リ、一時的ノ権策ニ依ラスシテ能ク永久的ニ国家ノ財政ヲ堅実ナラシムルノ財政策ヲ画立実行セラレンコトヲ
右本会議所ノ決議ニ依リ建議仕候也
  明治三十六年七月二十八日
          東京商業会議所会頭 男爵 渋沢栄一
    内閣総理大臣 伯爵 桂太郎殿
    大蔵大臣   男爵 曾禰荒助殿
   ○本巻明治三十六年七月二十二日ノ条参照。



〔参考〕明治大正財政史 大蔵省編 第一巻・第二一六―二一九頁 昭和一五年五月刊(DK210146k-0004)
第21巻 p.860-862 ページ画像

明治大正財政史 大蔵省編  第一巻・第二一六―二一九頁 昭和一五年五月刊
 ○第一編 第三章 日清戦役及其以後の財政
    第九節 歳計の概観
○上略
 明治三十六年度予算の編成に当りては、政府は事の緩急を図り、一面経費の節減若くは繰延を為すと同時に、一面国運の伸張に伴ふ急要の事業は努めて之が遂行を期し、即ち本年度予算に於て鉄道建設費・兵器製造費等の既定額に対し巨額の繰延を行ふと共に、他面行政及財政整理を行ひし結果、節減又は繰延に依り約一千万円を得、之を以て河川修築・電話交換第二次拡張・税関設備・工学専門学校新設其他農工商の振作奨励に要する費途に充当したり。而して以上の計画と同時に、政府は世界の形勢に鑑み将来に於ける帝国の勢力を維持せんが為め、更に海軍力を充実するの緊要なるを認め、第三次海軍拡張計画として三十六年度以降十一箇年を期して艦艇の製造並に之に伴ふ陸上設備完成の計画を定め、之に要する臨時費約一億円及其の経常維持費並に艦艇補充積立金八箇年約千五百万円、総計約一億千五百万円の財源として、明治三十六年度限り旧率に復せらるべき地租を、三十七年度以降に継続増徴して之に充つるの計画を立てたり。斯くて政府の第十七回帝国議会に提出したる明治三十六年度予算案は、歳入二億五千三百三十万三千余円、歳出二億四千三百二十三万六千余円にして、外に尚ほ鉄道建設費予算は追加予算案として提出するの予定なりき。然る
 - 第21巻 p.861 -ページ画像 
に議会は海軍拡張には反対ならざるも、其の財源を地租増徴に求むるを不可と為し、軍備拡張の財源は須く行政費の整理節減に俟つべしとの論最も有力なりき。之に対し政府は行政整理は昨年度来引続き施行し、其の整理額は通じて四百七十余方円に上り、此の上節約の余地なしとして、海軍拡張の財源として最も確実なる地租増徴の継続を主張し、両々相持して譲らず、遂に衆議院の地租増徴継続案を将に否決せんとするに当り衆議院の解散を命ぜられたり。斯くて三十六年度予算案は不成立となり前年度予算を施行せらるるに至れり。仍て政府は右施行予算の範囲内に於て実際施行すべき標準予算を編成せしが、其の金額は歳入二億四千六百六十四万四千余円、歳出二億三千三百二万三千余円なりとす。尋いで明治三十六年五月第十八回臨時議会開会せらるるや、政府は本年度追加予算三件を提出せしが、此等追加予算案は前議会に於て不成立に帰したる新規計画を含むものにして、即ち第三期海軍軍備拡張計画に属する軍艦製造及建築費を始め鉄道改良及建設費・電話交換第二期拡張費・製鉄所創立費補足・航海及造船奨励費・台湾経費補充金等を主たるものと為し、其の金額合計歳入七百五十五万余円、歳出千六百四十八万五千余円に達したり。議会は之に対し電話交換拡張費・台湾経費補充金其他を削除して、歳入に於て二百五十一万余円、歳出に於て四百七十五万余円を削減せしを以て、追加予算は結局歳入五百三万七千余円、歳出千百七十二万八千余円と決定したり。尚ほ右経費中、最も主要なる海軍拡張費の財源に就ては、最初政府は依然地租増徴継続に依るの計画なりしが、議会の反対に遭ひて此の案を撤回し、海軍拡張費(十箇年合計一億千五百万円)の財源は行政及財政整理に依り毎年度百万円(十箇年一千万円)、電話拡張費の繰延に依り毎年度五十万円(十箇年五百万円)、鉄道費の繰延に依り毎年度四百五十万円(十箇年四千五百万円)を剰して之に充つると共に、別に五千五百万円の公債を募集して其の不足を補ふことに計画を改め、玆に海軍拡張費は成立を見たり。斯くて右追加予算額を施行予算額に加算すれば、本年度予算の総額は歳入二億八千七百四十七万余円、歳出二億九千四百二十七万三千余円となり、之を実行予算額に加算すれば歳入二億五千百六十八万千余円、歳出二億四千四百七十五万二千余円となるの計算なりとす。次に本年度決算額を見るに、歳入二億六千二十二万余円、歳出二億四千九百五十九万六千余円にして、歳入歳出差引千六十二万四千余円の剰余を生じ、右剰余は之を翌年度の歳入に繰入れたり。而して右決算額を其の予算額に比すれば、歳入は二千七百二十四万九千余円、歳出は四千四百六十七万七千余円を夫々減少せり。之れ即ち歳入に在りては官業及官有財産収入・雑収入・償金繰入・前年度繰入金・公債募集金・臨時事件費資金繰入等に於て合計千六百五十九万三千余円を増加せりと雖も、他方前年度限の収入たる四分利付清国債券売却代三千三百三十万千余円の皆減を始めとして租税・森林資金繰入・献納金・一時借入金等に於て、合計四千三百八十四万三千余円を減少せし為め、差引前記の減少を見しものにして、歳出に在りては予算決定後に於て前年度予算定額を本年度に繰越したるものありし為め三千五十八万七千余円、国庫予備金外に予算超過及
 - 第21巻 p.862 -ページ画像 
予算外の支出を為したるものありし為め六百四十二万二千余円、合計三千七百万九千余円を増加せしと雖も、他方各種事業費にして年度内に支出を終らずして翌年度に繰越したる金額合計二千六百四十六万九千余円ありしと、国債費・恩賞諸禄・諸払戻及欠損補塡金・陸海軍軍事費・憲兵費・屯田兵費・逓信費・台湾経費補充金・清国事件費・清国事件第二予備金・電信線営繕費・補助費其他に於て、合計五千五百二十一万七千余円の不用減少額を生ぜしを以て、差引前記の減少を見しものとす。
○下略