デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治32年10月11日（1899年）

第八回定期会第一日ノ会議ニ於テ、高岡・東京・博多・京都・大阪ノ各商業会議所ヨリノ提案ニ係ル衆議院議員選挙法改正案上程サレ、委員附託トナル。十六日第四日ノ会議ニ於テ、現行法ヲ改正シ郡市選出議員数ノ権衡ヲ得シムベシトノ委員会報告可決セラル。栄一会長トシテ議事ヲ司宰ス。

明治三十二年十月開設
第八回商業会議所聯合会報告　　第三五―三六頁　刊
○議案第六号　　　　　　　　　　　　　（高岡商業会議所提出）
一衆議院議員選挙法改正ノ件
　衆議院議員選挙法改正ノ件ハ、曩ニ第十三帝国議会ヘ提出セシモ其目的ヲ達スルコト能ハサリシヲ以テ、更ニ之ヲ第十四帝国議会ヘ提
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出シ其目的ヲ貫徹セムコトヲ期ス
　　　　理由
　　現行衆議院議員選挙法実施以来星霜ヲ経ルコト既ニ十年、其間社会万般ノ事物ハ頗ル変遷転化シタリ、随テ政権分配ノ法制亦其改正ヲ加フヘキ必要ヲ生セシハ理勢ノ当ニ然ルヘキ所ナリ、其改正スヘキ要点ハ左ノ如シ
　　第一　一府県ヲ一選挙区トナシ、無記名ノ制トスルコト
　　第二　市ヲ独立選挙区トシ、人口五万マテ各壱人ノ代議士ヲ選出シ、五万人ヲ加フル毎ニ一人ヲ増シ、郡部ハ人口十万人ニ付壱人ヲ選出スルコト
　　第三　選挙資格ハ地租五円以上ヲ納ムル者又ハ営業税若クハ所得税参円以上ヲ納ムル者トシ、以テ商工業者ノ権利ヲ伸張スルコト
　　以上三要点ハ衆議院議員選出ノ上ニ於テ国民組織経営スル各業ノ種類ニ重キヲ置キ、偏重偏軽ノ嫌ナカラシメムコトヲ図リ、務メテ政権分配ノ均衡ヲ得ルト同時ニ、選挙人及被選挙人ノ資格制限ヲ簡易ニシテ、選挙権ヲ拡張シ、国民相倶ニ均当ノ参政権ヲ享有セシメ、議院ノ組織ヲ整備シ、国民最多数ノ輿論ヲ遂行シ、以テ能ク立憲ノ美果ヲ奏セムコトヲ望ムニアリ

明治三十二年十月開設
第八回商業会議所聯合会報告　　第三七頁　刊
○議案第七号　　　　　　　　　　　　　（東京商業会議所提出）
一現行衆議院議員選挙法ニ拠レハ市郡代議権其平衡ヲ得サルニ付、各商業会議所ハ左ノ趣旨ヲ以テ政府ヘ建議シ且ツ議会ヘ請願スル事
　　市ヲ一ノ選挙区トシテ必ス議員ヲ選出セシムルモノトシ、其人員ノ割合ハ郡部ト権衡ヲ得セシメ、例ヘハ郡部ハ十二万人毎ニ一人ヲ出スモノトセハ市部ハ五万人未満迄ハ一人、其以上ハ五万人毎ニ一人ヲ出スト云フカ如ク、相等ノ差等ヲ設クル事

明治三十二年十月開設
第八回商業会議所聯合会報告　　第四五頁　刊
○議案第十三号　　　　　　　　　　　　　（博多商業会議所提出）
衆議院議員選挙法改正希望ノ件
　　　　理由要旨
　　衆議院議員ノ選挙ハ時勢ノ進歩ト社会ノ発達トニ伴ヒ其方法ヲ改メサルヘカラス、然ルニ従来ノ如ク農業者選出ノ議員ノ甚タ多数ナルハ、是レ憲政ノ本旨ニ戻ルモノト云ハサルヘカラス、故ニ本会議所ハ現行選挙法ヲ改正シ、大ニ商工業者ノ権利ヲ伸張シ、各市ハ凡テ一人ノ議員ヲ選出シ、而シテ人口五万以上ニ在リテハ五万毎ニ一人ヲ加ヘ、郡市ノ権衡ヲ保チ実業ノ振作ヲ謀ラレン事ヲ第十三帝国議会ニ請願スル所アリシモ、両院ノ意見衝突ノ結果、両院協議会ノ協議不成立トナリ、遂ニ改正案ノ通過ヲ見ル能ハサリシハ誠ニ遺憾ノ極ト云フヘシ、依テ従来ノ意見ヲ貫徹スル為メ政府並ニ本年開会セラルヘキ第十四帝国議会ニ建議・請願セン事ヲ欲ス

明治三十二年十月開設
第八回商業会議所聯合会報告　　第四六―四七頁　刊
○議案第十五号　　　　　　　　　　　　（京都商業会議所提出）
一衆議院議員選挙法ノ改正ヲ政府ニ建議スルノ件
　　　　衆議院議員選挙法改正ノ建議案
　　帝国議会ハ帝国臣民ヲシテ均等ニ立法参政権ニ与カラシムル代議機関ナリ、夫レ代議ノ制ハ以テ公議ノ結果ヲ収メントスルモノナレハ、其代表者選出ノ方法ハ亦必ス均等ノ処置ニ出デサルヘカラサルハ更ニ言フヲ竢タサルナリ、然ルニ現行法ニ依ルトキハ社会ニ階級アルカ為メニハ貴衆両院制ヲ採リ、其大本ニ於テ公平ヲ得タルモノアルニ拘ラス、其庶民ノ機関タル衆議院議員選挙法ハ商工業地タル市ノ独立ヲ認ムルモノハ僅々五・六ニ止リ、他ハ悉ク農業地タル郡部ニ併合セシメタルヲ以テ、其局常ニ農業地ニ左右セラレ、衆議院ハ殆ト農業地代表者タルノ状態ヲ呈スルニ至レリ即チ其数ニ於テ市部ハ僅ニ十七人、郡部ハ二百八十三人ヲ選出シ一ト十七トニ比例セリ、且夫レ輓近国際益々親交ヲ加ヘ、通商愈隆昌ニ趣キ、我帝国ノ商工業ハ著ルシキ発達ヲ為シタルヲ以テ、国家カ財務ヲ理シ利源ヲ厚クスルニ当リ、其隆替消長ハ特ニ商工業ニ関係スル事ノ切実ナルモノ益多キヲ見ルニアラスヤ、由是観之、商工業地選出議員ノ数ハ大ニ増加セサル可ラス、曩ニ政府カ第十三議会ニ提出セラレタル衆議院議員選挙法案ニ依レハ各市ノ独立選挙区ヲ認メ、其議員ノ数ハ商工業者及ヒ農業者ニ比例シタルヲ以テ、参政権分配ノ本旨ニ適合シタルモノアリシト雖トモ、終ニ其成立ヲ見ルヲ得サリシハ洵ニ商工業者ノ恨事ニ属ス、政府及ヒ議会ハ将ニ来ラントスル第十四議会ニハ必ス完全ナル改正案ヲ提出セラルヘキヲ確信スルモノナリト雖トモ、我等商工業者ハ前陳ノ理由ニ基キ、市民ハ郡村住民ニ対シ権衡ヲ維持スルニ足ルヘキ議員ヲ選出スヘク、衆議院議員選挙法ヲ改正セラレンコトヲ切望シテ止マサルナリ

明治三十二年十月開設
第八回商業会議所聯合会報告　　第四九頁　刊
○議案第十七号　　　　　　　　　　　　（大阪商業会議所提出）
　　　　衆議院議員選挙法改正ニ関スル件
左ノ要旨ニ拠リ現行衆議院議員選挙法ヲ改正センコトヲ政府ニ建議シ及ヒ帝国議会ニ請願スル事
　　一市制地ヲ特立選挙区トシ、其選出議員数ハ人口五万人未満ハ一人、五万人以上ハ二万以上五万未満毎ニ一人ヲ加フル事
　　一選挙人及ヒ被選挙人ノ資格ヲ低下シ其範囲ヲ拡ムル事
　　一無記名単記ノ投票制ヲ採ル事
　　一選挙権ノ行使ハ在籍地タルト否トニ拘ハラス住居地ニ於テセシムル事

 明治三十二年十月開設
第八回商業会議所聯合会議事速記録　　第一三―二三頁　刊
　　　　○第一日
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明治三十二年十月十一日午前十時四十五分開議
　　出席者
　　　委員　　　　五十一名　○氏名略
○上略
○六十二番（東京、中野武営君）　議事進行ノ上ニ付キマシテ一ノ建議ヲ致シマス、ソレハ今日迄提出ニナツテ居ル議案ガ十九号ニ至ツテ居ルノデゴザイマス、其中唯今議長カラ御報告ニナツタ三案ト云フモノハ未ダ印刷ハ出来テ居リマセヌ、併シ此十九号ニ至ル迄ノ議案ヲ調ベテ見マスルト、其中航路補助金ニ関スル問題ガ四ツゴザイマス、ソレカラ衆議院議員選挙法改正ニ関スル議案ガ五ツ、営業税法中改正ニ関スル議案ガ二ツゴザイマス、斯ウ問題ガ一ツニナツテ居ルモノデ色々箇条ニ依テ違ヒハゴザイマスケレドモ大体ハ同ジ案デアリマス、附キマシテハ此議事ノ進行ノタメニ其案ノ場合ニ至ツテ委員ヲ選挙シテ調査ニ掛リマスルト云フト自然ト此会ガ時間ヲ要スルト云フコトニナラウト思ヒマスカラ、一号議案ヨリ議スルニ先立ツテ唯今申シマスル案ノ委員ヲ設ケラレテ、其委員ニ附託シテ調査ヲサセルヤウナ都合ニ致シタイ、之ヲ再言致シマスレバ航路補助金ニ関スル議案ハ、即チ第一号・第四号・第五号・第十八号、此四ツノ議案デゴザイマス、ソレカラ衆議院議員選挙法改正ニ関スル議案ハ即チ第六号・第七号・第十三号・第十五号・第十七号、此五ツノ議案、ソレカラ営業税法ニ関係シマスルモノガ第十四号・第十九号、此二ツノ議案デゴザイマス、即チ此三ツニ別ケマシテ委員ヲ設ケラレタナラバ都合ガ宜カラウト考ヘマス、ソレデ航路補助金ニ関スル委員九名ヲ置キ、衆議院議員選挙法改正ニ関スル委員モ同ジク九名、営業税法ニ関係シマスルモノハ五名ノ委員ヲ置ク、之ヲ建議致シマス
○中略
○二十七番（熊本、下田耕造君）　段々議論ガ二ツニナツテ面倒デゴザイマスガ、ドウカ六十二番ガ先キニ発議シテ居リマスルデ、其説ニ吾吾モ賛成致シマスカラ六十二番ノ説カラ先ニ採決スルヤウニ致シタイ
○会長（東京、渋沢栄一君）　六十二番カラ、三ツノ議案ニ対シテ委員ヲ置カウト云フ説ガ出マシテ、段々御賛成ガゴザイマスシ、且ツ先キニ出テ居ル案デゴザイマスカラ、之ヲ先キニ採決シヤウト考ヘマス、六十二番ノ説ハ衆議院議員選挙法改正ニ関スル件ト、ソレカラ航路補助金ニ関スル件ト、営業税法改正ニ関スル件ト此三ツノ委員ヲ置ク、其委員ハ航路補助金ニ関スル件ハ九名ノ委員、衆議院議員選挙法改正ニ関スル件モ九名ノ委員、ソレカラ営業税法改正ニ関スル件ハ五名ノ委員ヲ置ク、其委員ノ指名ハ会長ニ致サセテ宜カラウト云フ御意見ノヤウデゴザイマス、此動議ニ付テ採決致シマス、六十二番ノ説ニ御同意ノ御方ハ御起立ヲ請ヒマス
　　起立者　　多数
○会長（東京、渋沢栄一君）　総起立デゴザイマス、委員ノ指名ハ追テ申上ルコトニ致シマス

明治三十二年十月開設
第八回商業会議所聯合会議事速記録　　第六八―六九頁　刊
 - 第22巻 p.438 -ページ画像 
　　　　○第一日
明治三十二年十月十一日午前十時四十五分開議
　　出者席
　　　委員　　　　　五十一名　○氏名略
○上略
○会長（東京、渋沢栄一君）　○中略　ソレデハ今日ハ是デ閉会致シマス――只今段々此委員ノ御説ガゴザイマシテ其委員ノ方々ヲ御指名致シマスガ、ドウモ頭ガ錯雑シテ参ツテ甚ダ窮シマシタ　○中略　衆議院議員選挙法ニ関スル件ノ委員ハ大場庄三郎君・中野武営君・小河久四郎君・大沢善助君・土居通夫君・白勢春三君・山田清三君・鈴木摠兵衛君・桐原恒三郎君、右ノ九名様ヲ御指名仕リマス　○下略

明治三十二年十月開設
第八回商業会議所聯合会議事速記録　　第七二頁　刊
　　　　○第二日
明治三十二年十月十二日午前十時五十分開議
　　出席委員　　　　　五十六名　○氏名略
○上略
○会長（東京、渋沢栄一君）　皆様御苦労デゴザイマス、開会ニ先立チマシテ一・二御報告申シマスコトガゴザイマス、昨日決議ノ結果委員ノ成立致シマシタ、此委員諸君ガ今朝委員会ヲ開カレテ委員長ノ互選ガゴザイマシタ、其結果ヲ申上ゲマス　○中略　ソレカラ衆議院議員選挙法改正ノ件ニ土居通夫君ガ委員長ニ御当選デゴザイマス　○下略

明治三十二年十月開設
第八回商業会議所聯合会議事速記録　　第二七六―二八五頁　刊
　　　　○第四日
明治三十二年十月十六日午前十時二十分開議
　　出席委員　　　　　四十七名　○氏名略
○上略
○会長（東京、渋沢栄一君）　ソレデハ此報告ノ次ノ議ニ移リマス、即チ衆議院議員選挙法改正ノ件調査報告
　　　〔書記議案ヲ朗読ス〕
　　　　衆議院議員選挙法改正ノ件調査報告
全会ノ決議ニ依リ調査ヲ附託セラレタル衆議院議員選挙法改正ノ件審議ヲ遂ゲ候処、委員会ノ意見ハ別記建議案ノ趣旨ニ依リ政府ニ建議致候方可然ト決定致候間、此段及御報告候也
　　明治三十二年十月十三日
　　　　　　　　　　衆議院議員選挙法改正ノ件調査委員長
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　土居通夫
　　　　第八回商業会議所聯合会々長　渋沢栄一殿
（別記）
　　　　衆議院議員選挙法改正ノ建議案
　　帝国議会ハ帝国臣民ヲシテ均等ニ立法参政権ニ与カラシムル機関ナリ、然ルニ衆議院議員選挙法ハ商工業地タル市ノ独立ヲ認ムルモノハ僅ニ五・六ニ止リ、他ハ悉ク農業地タル郡部ニ併合セシメ
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タルヲ以テ、其勢常ニ農業地ニ左右セラレ衆議院ハ殆ンド農業地代表者タルノ状態ヲ呈スルニ至レリ、即チ其数ニ於テ市部ハ僅ニ十七人、郡部ハ二百八十三人ヲ選出シ、一ト十七トニ比例セリ、而モ輓近国際益親交ヲ加ヘ通商愈隆昌ニ趣キ、我帝国ノ商工業ハ著シキ発達ヲ為サントスルニ際シ、国家ガ財務ヲ理シ利源ヲ厚クスルニ於テ、其隆替消長ハ特ニ商工業ニ関係スル事ノ切実ナルモノ益多キヲ見ルニアラズヤ、由是観之、商工業地選出議員ノ数ハ大ニ増加セザル可ラズ、曩キニ政府ガ十三議会ニ提出セラレタル衆議院議員選挙法案ニ依レバ各市ノ独立選挙区ヲ認メ、其議員ノ数ハ商工業者及農業者ニ比例シタルヲ以テ、参政権分配ノ本旨ニ適合シタルモノアリト雖モ終ニ其成立ヲ見ルヲ得ザリシハ洵ニ商工業者ノ恨事ニ属ス、政府及議会ハ将ニ来ラントスル第十四議会ニハ必ズ完全ナル改正案ヲ提出セラルベキヲ確信スルモノナリト雖モ我等商工業者ハ前陳ノ理由ニ基ツキ、市民ハ郡村住民ニ対シ権衡ヲ維持スル様衆議院議員選挙法ヲ改正セラレンコトヲ切望ス
○三十七番（大阪、土居通夫君）　私ハ委員長トシテ委員会ノ経過ヲ一通リ御説明ヲ致シマス、此議案ハ第六・第七・第十三・第十五・第十七、此五ツノ議案ヲ同ジ出来デゴザイマスルデ、一纏メニシテ委員ニ嘱托サレタノデ、ソレデ此七号議案ハ高岡商業会議所ヨリ提出ニナリマシタ、先ヅ此選挙法ノ改正ヲ求ムル理由ト云フモノハ一府県ヲ一選区トシテ無記名ノ制トスル事、市ヲ特別選挙区トシテ人口五万マデ一人ノ代議士ヲ選出スル、五万人ヲ加フル毎ニ一人ヲ増ス、郡部ハ人口拾万人ニ付一人ヲ選出スルコトニシタイ、ソレカラ選挙ノ資格ハ、地租五円以上ヲ納ムル者又ハ営業税若クハ所得税三円以上納メル者トシテ、商工業者ノ権利ヲ伸張シタイト云フ意味デ、市ヲ一選挙区トシテ必ズ議員ヲ選出セシムルコトヽ、及其人員ノ割合ハ郡部ト権衡ヲ得セシメテ、例ヘバ郡部ハ十二万人ニ一人、市部ハ五万人未満マデハ一人其以上ハ五万人ニ一人ヲ出スト云フヤウナ如キ制度ニ差等ヲ設ケタイト云フ主義、十三号議案ハ博多商業会議所ノ提出デゴザイマシテ、其理由ハ衆議院議員ノ選挙ハ時世ノ進歩ト社会ノ発達ニ伴ヒ其方法ヲ改メナケレバナラヌ、現行選挙法ヲ改正シテ大ニ商工業者ノ権利ヲ伸張シ、市ハ総テ一人ノ議員ヲ選出シ、人口五万以上ニ在ツテハ五万毎ニ一人ヲ加ヘ、郡部ノ権衡ヲ保ツテ実業ノ振作ヲ図ルト云フ事、十五号ハ京都商業会議所ノ提出デ、是モ商工業地タル市ノ独立ヲ認メタルモノハ僅々五・六箇所ニシテ、其他皆農業地タル郡部ニ変更セシムルト云フ訳デアル、丁度割合カラ申スト一ト十七ト云フヤウナ割合ニナリマス、デ商工業者著ク発達ヲ為シタルガ故ニ其権衡ヲ取ツテ、市部ヨリ十分ニ議員ヲ出サネバナラヌト云フ主義デゴザイマス、十七号議案ハ大坂商業会議所ノ提出デゴザイマシテ、改正ノ理由ハ市制地ヲ特立選挙区ト致シマシテ、其選出議員ノ数ハ人口五万人其未満ハ一人、五万人以上ハ二万以上七万ニ至リマスレバ又一人ヲ加ヘル、例ヘバ十二万アリマスレバ三人ヲ出スト云フヤウナ趣意ニシタラ宜カラウト云フ考デ、選挙人及被選挙人ノ資格ヲ短クシマシテ、其範囲ヲ広メルコトニ無記名単記ノ投票制ヲ採ル、即チ選挙人ノ行使ハ在籍地タルト否ト
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ニ拘ラズ住居地ニ於テ定ムルコト、是ガ大坂提出デゴザイマスガ、要シマスルニ郡部ト市部ト甚ダ権衡ガ取レマセヌデ、市ヨリ多数ノ議員ヲ出スト云フコトガ趣意デゴザイマスデ、委員会ノ決議ハ大体目的トスル所ハ大同小異デ格別違ウタコトハゴザイマセヌガ、既ニ第十三議会ニ於テ是ハ議院ニモ現ハレマシテ、既ニ貴衆両院ノ協議ノ成立タヌタメニ其儘ニナツテ居ルノデアリマス、必ズ第十四議会ニハ政府モ提出スルデアリマセウ、其方針トシテモ決シテ自分等ノ目的ニ反スルコトハアルマイト云フ考ヲ持ツテ居リマス、此際余リ商業会議所ノ聯合会トシテ、人数ニ区別ヲ立テヽ細々シキ意見ヲ述ベ、或ハ其他ニ於テモ余リ詳シク事ヲ申立ツルヨリハ、唯郡部《（市）》ヨリ出テ居ル議員ガ市部《（郡）》ヨリ出テ居ル議員ヨリ少イカラ、之ヲ商工業ノ発達ノ出来ルヤウニ十分ノ議員ヲ選出スルヤウニシタイト云フ位ニ止メテ置ク方ガ、極ク穏当デ宜カラウト云フ委員会ノ決議デゴザイマシタ、唯今朗読ヲサレマシタ通リノ趣意デ決シマシタカラ、之ヲ一応申シテ置キマス
○会長（東京、渋沢栄一君）　差上ゲテゴザイマスル建議案ノ文字ニ誤植ガゴザイマス、一枚終ヒノ項ニ「第十四議会ニハ充全」トアル「完全」ノ誤リデアリマスカラ左様御承知ヲ願ヒマス
○十七番（阿波、根本民治君）　十七番ハ、今委員カラ此調査ヲサレマシタ要旨ヲ説明サレマシタガ、尚一応伺ヒタイ、ト云フハ此衆議院議員選挙法改正ト云フ事ニ付テハ、既ニ今年ノ二月ニ於キマシテ各地商業会議所ガ此東京デ集会シテ、即チ改正ニ対スル所謂運動ヲシタト云フ話ガアル、デ是ニ付テハ各地ノ商業会議所ガソレゾレ多少ノ意見ヲ有シテ居ツテ、其間ニ少シク意見ノ異ナル所ハアリマシタガ、詰ル所ハ所謂十三議会ニ提出セラレタ即チ政府案、此政府案ヲ各地商業会議所ガ一致ヲ以テ賛成ヲシテ、此政府案ヲ徹頭徹尾貫徹ヲスルヤウニ十三議会ニ於テ各地商業会議所ガ運動ヲシタノデアリマス、ソレデ今日ニ至ツテ見ルト各地ノ商業会議所ハ種々ノ意見案ガ具ハツテ出テ居リマスガ、実ハ二月ニ決定シタ意見ト今日ト多少ノ変更ガアルト云フコトハ、商業会議所ノ定論トシテモ甚ダ世間ヘ対シテ私ハ恥入ルト云フ考ヲ持ツテ居リマス、此委員ノ調査ヲセラレマシタ説明書ニアル所ノ末項ノ中カラ考ヘマスルト云フト、詰リ政府ニ別表ノ如キモノヲ示シテヤルカ否ヤ、要スルニ十三議会ヘ政府ガ提出サレタ所ノ案ヲ今日委員ノ調ベラレタ所ニ於テモ先ヅ賛成ヲ表セラレテ居ルト云フ迄ニ解釈シテ宜イノデゴザイマスカ、又委員ノ調査ハ十三議会ニ提出サレタ所ノアノ政府案以外ノ意味ヲ有シテ居ルノデアルカ、此書キ方ハ実ハ漠然トシテ居リマスガ、漠然トシテ書ク所ニ利益モアリマセウガ、要スルニ委員会ノ決定ハ、十三議会ニ政府ガ提出セラレタアノ案ヲ以テ賛成ノ意思ヲ表スルモノト解釈シテ宜イカ、ドウモ其辺ガ甚ダ了解シカネマスカラ、一応御説明ヲ願ヒタイ
○三十七番（大阪、土居通夫君）　只今十七番ノ御述ベニナツタコトハ茫漠トシテ居ルヤウニ御認メニナツタヤウデスガ、別ニ政府案同一ト云フコトヲ協議モシマセヌデスガ、約リ政府案通リニナツタラ宜イト云フ趣意ニ止マリマスカラ、左様御承知ヲ願ヒマス
○十一番（名古屋、鈴木摠兵衛君）　只今委員長タル土居君カラ御報告
 - 第22巻 p.441 -ページ画像 
ガアリマシタガ、曩ニ委員長カラ御報告ニナツタ通リ選挙資格、其他単記トカ連記無記名トカ、記名トカ云フ細カイコトニハ這入ラヌガ宜イト云フノデ、其方ハ一向此案ニハナイノデアリマスカラ御参考マデニ……
○三十一番（鹿児島、宮里正静君）　サウスルト徹頭徹尾政府案ニ御同意ノ積リデ此案ガ出来マシタノデゴザイマセウナ
○三十七番（大阪、土居通夫君）　固ヨリサウ御承知下サレタラ宜シウゴザイマス――併シ御注意ノタメニ申上ゲテ置キマスガ、徹頭徹尾ト云フコトデハ決シテナイノデアリマスカラ、ソコハ宜シク御承知ヲ願ヒマス
○番外二十五番（京都、岩村茂君）　チヨツト申上ゲマスガ、何モ前ノ聯合会ノ決議ガ次ノ聯合会ニ持続スルト云フコトハナイノデアリマス前ノ通リヤリタイト云フコトハ希望スル所デアリマスガ、必ズシモ前ノ決議通リヤラナケレバナラヌト云フコトハナイノデアリマス、サウナレバ委員モ何モ要ラヌノデアリマス、併ナガラ此衆議院議員選挙法改正ハサウ変ツテ居ラヌノデス、此度ノ建議ハ唯少シ寛大ニ書イテアルダケニ止マルノデアリマス、尤モ寛大ニ書イタノハ必要ナノデアリマス、政府案トカ云フノハ前ノ決議ノ趣意ニスレバ人口ヲ標準ニシテ商工業地カラシテ五万若クハ八万人ニ付テ一人トカ、或ハ農業地カラ十二万人ニ付テ一人トカ、人口標準ガ大分ヤカマシクアツタノデス、所ガ今日ノ場合ハ人口標準ハ余リヤカマシク言フコトハ面白クナカラウ、何ントナレバ人口標準ハ其ノ前ノ政府案トシテ、伊藤案トシテ出タ選挙法ニ依レバ、余リ議員ノ数ガ沢山出ルト云フ嫌モアル、賛成ガ出来ヌト云フコトヲ往々耳ニスルコトモアルシ、議員ノ数バカリ沢山ニシタイト云フコトガ商工業者ノ希望デモナイ、唯農業地ト商工業地ト権衡ヲ維持スルニ足ルダケノ数ヲ出シテ貰ハウト云フノガ趣意デアル、ソレ故ニ議員ノ数ノ多イ少イト云フノガ先ヅ眼中ニ無イト見テモ宜カラウト思ヒマスデ、数ノコトヲ言フノハイカヌ、詰リ農業地ト商工業地権衡ヲ保ツコトニ於テ、人口カラ云ヘバ商工業地ハ人口ノ四分ノ一、納税ノ負担額カラ云ヘバ三分ノ一ニナル、少クモ四分ノ一若クハ三分ノ一ノ議員ヲ商工業者カラ選出シタイ、ソレ等ノコトヲ窮屈ニ言ヒマスト却テイカヌカラ、斯ウ云フコトニシタラ一番宜カラウト云フノデ、今委員長カラ御報告ニナツタ通リニナツタノデアリマス
○十三番（神戸、横田孝史君）　採決前ニチヨツト委員長ニ伺ツテ置タイ、本案ハ最モ重大ナ議案ト認ムルモノデアラウト信ジマス、大凡委員会ノ趣旨ノアル所ハ唯今ノ御報告ニ依ツテ伺ヒマシタガ、此目的ヲ貫クニ付テノ方便如何ト云フコトニ付テ御聞キ申シタイ、唯是ハ吾々ガ其地方々々ノ会議所ニ帰ツテ一片ノ建議案トシテ出スニ止マルカ、或ハ第十三議会ニ於ケルガ如ク所謂運動的ノ手段ニ出ヅルヤ否ヤ、詰リ目的ヲ貫クニハ一片ノ建議位デハイカヌト思ヒマス、又十三議会ノ際ニ於ケル有様ヲ吾々モ其事ニ従事シテ居ツタ一人デアリマスカラ承知シテ居リマスガ、各地団体ト云フモノトソレカラ商業会議所ノ結合団体ノ間ガ、兎ニ角気脈ヲ通ズル上ニ於テ多少ノ遺憾ヲ免レナカツタノデアリマス、聞ナラク政府ノ当局者ハ今後這般ノ問題ニ付テ運動ガ
 - 第22巻 p.442 -ページ画像 
マシイ事ニ出ナイヤウニ、地方自治体ニ向ツテ何カ示シガアツタカニ聞キマス、幸ニシテ我商業会議所団体ハ斯カル覊束ヲ受ケルノ不便モナカラウト思ヒマス、否ナ道理ノ存スル所一片ノ文章ヲ起草シテ差出シテ置ケバ貫徹スルト云フヤウナ単純ナ事デ目的ヲ達スルナラバ姑ク措イテ問ハズ、今日ノ世ノ中ハ如何ナル有様デアル、殊ニ議会ノ有様ハ如何ナル有様デアルカト云フコトハ、最早多弁ヲ費ズシテ明カナル次第デアル、政府ニ於テモ此問題ハ既ニ伊藤内閣ノ時代カラ宿題ノ如キ有様ニナツテ居ル、又議会ニ於テモ此衆議院議員選挙法ノ改正ヲ厭ツテ居ラヌノデアル、必ズ目前ニ来ルベキ十四議会ニ現ハレベキ問題デアラウト思ヒマス、扨此現ハレタ暁ニ於テ如何ナル方法手段ヲ取ルカト云フコトヲ、幸ヒ此会合ノ時期ニ際シテ御相談シテ置クコトハ必要デアラウト思ヒマス、若シ又公会ニ於テ差支アルト云フコトデアレバ協議会ヲ開クモ可ナリ、ソレ等ハ如何様デモ宜シウゴザイマスガ、委員会ニ於テハドウ云フ方法ニ由テ此目的ヲ貫徹スルヤ否ヤ、幸ニ御評議ノ出来テ居ルコトデゴザイマスレバ承ツテ置キタイ
○三十七番（大坂、土居通夫君）　委員会ニ於キマシテハ、別ニ是ガ決議ニナリマシタ以上ハ運動委員デモ設ケテ奔走スルナドト云フコトハ評議ハ致シマセヌ、既ニ十三議会デ殆ンド成立セムトスル間際ニ至ツテ貴衆両院ノ協議ノ整ハヌタメニ今日ニ至ツタノデアリマスカラ、必ズ此第十四議会ニハ提出ニナルダラウト思フ、然ラバ此際余リ騒ギ立テルノモ穏当デナイデ、此聯合会トシテハ希望ヲ述ベテ建議ヲスルニ止メテ置クガ宜カラウト云フコトデ議ガ了リマシタカラ、左様御承知ヲ願ヒマス
　　　〔「採決、々々」ノ声起ル〕
○会長（東京、渋沢栄一君）　衆議院議員選挙法改正ノ問題ハ、調査委員カラノ報道即チ建議案ガ今朗読サレタ通リデアリマス、是ニ対シテハ修正若クハ反対ノ意見ハ別ニ無イヤウデアリマス、単ニ原案ニ由ツテ採決致シマス、今御報道ニナリマシタ建議案ニ御同意ノ御方ノ御起立ヲ請ヒマス
　　起立者　　多数
○会長（東京、渋沢栄一君）　多数デゴザイマス、読会省略シテ之ヲ確定議ニ致シマス
　　　（「異議ナシ」ト呼ブ者アリ）
　　　○明治三十二年一月九日衆議院議員選挙法改正期成同盟会組織セラレ、栄一ソノ会長タリ。本資料第二編第二部第六章政治自治行政中「衆議院議員選挙法改正期成同盟会」明治三十二年一月九日ノ条参照。
　　　○明治三十二年一月二十四日、同年十二月十二日ノ両度ニ亘リ栄一ハ東京商業会議所ヲ代表シ同件ニツキ建議・請願セリ。本資料第二十一巻所収「東京商業会議所」明治三十二年一月二十四日、同年十二月十二日ノ両条参照
　　　○政府提出ノ衆議院議員選挙法改正案ハ第十四議会ニ於テ可決セラレ、明治三十三年三月公布セラレタリ。其結果市選出議員ハ六十一名トナリテ従前ニ比シ四十三名ヲ増加スルニ至レリ。本巻明治三十二年十二月十二日ノ条参照。

明治三十二年十月開設
第八回商業会議所聯合会議事速記録　　第三〇六―三〇八頁　刊
 - 第22巻 p.443 -ページ画像 
　　　　○第五日
明治三十二年十月十八日午前十時十分開議
　　出席委員　　　　　五十名　○氏名略
○上略
○副会長（東京、中野武営君）　○中略　ソレカラ実業会中央本部前田正名君カラ全国商業会議所聯合会議長・副議長ニ宛テマシテ書面ヲ寄越サレマシタノヲ一応御吹聴致シテ置キマス
　　　〔書記朗読ス〕
拝啓、時下益々御揃御健勝奉賀候、陳者今般全国商業会議所聯合会御開催之由、実以テ我実業界ノ為メ慶賀スル所ニ有之候、然ルニ右問題中衆議院議員選挙法改正ニ関スル議案モ見受候処、右ハ政治ニ渉リ候問題ニシテ、又兼テ伝承スル処ニ依レバ農民ニ対シテ商工業家選出議員ヲ増加セントノ風説等有之ヨリ、全国農業団体ニ於テ不快ノ感ヲ誘起セントスルノ状況有之、已ニ過般大津市ニ於テ開会セル実業京摂聯合大会ニ於テモ右ノ問題ニ付農事部会ノ一大問題ト相成リ、或ハ将来我実業界ニ大不幸ヲ来スヤノ虞有之、誠ニ以テ憂慮ニ不堪儀ニ御座候昨秋東京ニ於テ開会セル全国実業聯合大会ノ折ハ恰モ地租増否論最極点ニ達シタル時ナリシモ、已ニ該問題ハ政治問題ノ性質ヲ有スル故一言此儀ニ及バザリシ次第ニ御座候得者、彼是御省慮我農工商ノ円満ニ発達センコト希望ノ至リニ御座候、右ハ農事会本部ノ注意モ有之旁貴意ヲ煩ハシ度候也
　　明治三十二年十月十六日
　　　　　　　　　　　　　　　　実業会中央本部
　　　　　　　　　　　　　　　　　　監督　前田正名
　　全国商業会議所聯合会
　　　　議長　　渋沢栄一殿
　　　　副議長　中野武営殿
○下略

東京商業会議所月報　　第九二号・第六九―七三頁　明治三三年四月
○第三号
衆議院議員選挙法改正　全国商業会議所聯合委員会報告書
　　　　○本会ノ組織
明治三十二年十二月十二日、衆議院議員選挙法改正ノ希望ヲ貫徹スル為メ上京シタル各地商業会議所委員、東京商業会議所内ニ集会シ左ノ決議ヲ為セリ
　一　衆議院議員選挙法ノ改正ヲ期スルカ為メ各地商業会議所ノ委員ヲ糾合シテ一ノ団体ヲ組織シ、其名ヲ衆議院議員選挙法改正全国商業会議所聯合委員会ト称シ、事務所ヲ東京商業会議所内ニ設置スル事
　一　右ノ次第並委員選定ノ事ヲ各商業会議所ニ通知スル事
　一　選挙法改正期成全国各市聯合会ニ交渉シテ共ニ運動スル事
　一　大倉喜八郎君ヲ委員長ニ推選スル事
此決議ニ依リ委員長ヨリ即日左ノ照会書ヲ各商業会議所ヘ発送セリ
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　衆議院議員選挙法改正ノ件ニ関シ目下上京中ノ各地商業会議所委員集会シ、過般第八回商業会議所聯合会ニ於テ決議シタル趣旨ニ基キ今回衆議院議員選挙法改正全国商業会議所聯合委員会ヲ組織シ、其事務所ヲ東京商業会議所内ニ置キ、夫々運動ニ着手致候ニ就テハ、貴会議所ニ於テモ至急委員ヲ御選定ノ上、必要ノ場合ハ電信ヲ以テ御通知可申上ニ付、其際直ニ上京セシメラルヽ様御手配相成度、此段得貴意候也
　　明治三十二年十二月十二日
　　　　　　　衆議院議員選挙法改正　全国商業会議所聯合委員会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　委員長　大倉喜八郎
　　　　各地商業会議所宛
　　尚々御選定相成リタル委員ノ氏名ハ至急御一報ヲ煩ハシ度、此義為念申添候
　　　　○委員並評議員
本会創設ノ際ヨリ解散ノ時ニ至ルマテ前後上京シテ運動ニ従事セル各商業会議所ノ委員氏名左ノ如シ
　　東京　　　　大倉喜八郎君　　中野武営君
　　　　　　　　井上角五郎君　　横山孫一郎君
　　　　　　　　田口卯吉君
　　大阪　　　　土居通夫君　　　渋谷史春君
　　　　　　　　佐伯勢一郎君　　三谷軌秀君
　　　　　　　　沢田佐助君　　　今西林三郎君
　　　　　　　　荒木英一君　　　浜田健次郎君
　　　　　　　　熊谷銓吉君
　　宇都宮　　　斎藤欣多君　　　福田富次郎君
　　　　　　　　木村作次郎君
　　福井　　　　藤井五郎兵衛君
　　堺　　　　　上林惣三郎君　　錦池千鶴之助君
　　　　　　　　小谷力造君
　　高知　　　　松村俊男君
　　酒田　　　　佐藤直中君
　　京都　　　　浜岡光哲君　　　中野忠八君
　　　　　　　　鈴鹿弁三郎君　　高木文平君
　　　　　　　　岩村茂君
　　赤間関　　　松尾寅三君
　　金沢　　　　水登勇太郎君　　村田庄四郎君
　　　　　　　　堀内深君
　　浜松　　　　中村忠七君
　　岡山　　　　高田音次郎君　　光藤亀吉君
　　　　　　　　中山寛君　　　　布施謙太郎君
　　横浜　　　　若尾幾造君　　　渡辺福三郎君
　　　　　　　　左右田金作君　　小野光景君
　　　　　　　　来栖壮兵衛君　　田中茂君
　　　　　　　　木村利右衛門君　岡田猛熊君
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　　八王子　　　平林定兵衛君　　林虎三郎君
　　山形　　　　戸狩権之助君
　　仙台　　　　遠藤敬止君
　　熊本　　　　堀部直臣君
　　神戸　　　　岡田元太郎君　　杉山利介君
　　高岡　　　　鳥山敬次郎君
　　阿波　　　　高尾楳治君
　　広島　　　　桐原恒三郎君　　早速整爾君
　　　　　　　　岡田庄四郎君
又委員中ヨリ選挙セラレタル本会評議員左ノ如シ
　東京商業会議所委員　　　　　　横山孫一郎君
　大坂商業会議所委員　　　　　　佐伯勢一郎君
　京都商業会議所委員　　　　　　中野忠八君
　熊本商業会議所委員　　　　　　堀部直臣君
　金沢商業会議所委員　　　　　　水登勇太郎君
　堺商業会議所委員　　　　　　　上林惣三郎君
　高知商業会議所委員　　　　　　松村俊男君
　仙台商業会議所委員　　　　　　遠藤敬止君
　　但後ニ至リ京都ハ高木文平君、金沢ハ村田庄四郎君、堺ハ錦池千鶴之助君交代ス
　　　　○本会ノ宣言
明治三十二年十二月十四日ノ委員会ニ於テ左ノ如ク宣言書ヲ決定シ、内閣諸大臣・枢密院顧問官・貴衆両院議員・各新聞社及ヒ各地商業会議所ニ配布セリ
　　　　　衆議院議員選挙法改正ニ関スル全国商業会議所ノ意見
　第十二議会以来ノ宿題タル衆議院議員選挙法改正ノ一事ハ今又将ニ第十四議会ノ問題タラントス、於是乎全国商業会議所ハ第八回商業会議所聯合会決議ノ趣旨ニ本キ、同法改正ニ対スル意見ヲ左ニ表白ス
　　市ヲ独立ノ選挙区タラシメ、市郡人口ノ割合ニ差等ヲ設テ、市部選出議員ノ数ヲシテ少ナクモ議員総数ノ四分一ニ達セシムル事
　抑モ代議政体ノ本旨ハ、各種人民ノ代表者ヲシテ其負担スヘキ租税ヲ議セシムルニ在リ、而シテ衆議院ハ此代表者ヲシテ均等ニ協賛権ニ与カラシムルノ機関ナリ、然ルニ現行衆議院議員選挙法ハ商工業地タル市ノ独立ヲ認ムルモノ僅ニ五・六ニ止マリ、他ハ悉ク農業地タル郡部ニ併合セシメタルヲ以テ、衆議院ハ殆ント農業地ヨリ選出セラレタル議員ノミヲ以テ組織セラルヽノ状態ヲ呈スルニ至レリ、之ヲ租税負担ノ上ヨリ算スルモ之ヲ人口ノ割合ヨリ見ルモ、商工業地タル市部選出ノ議員ハ少ナクトモ議員総数ノ四分ノ一ヲ下ル可ラサルニ、現実ノ数ニ於テ僅々二十分一強ヲ占ムルニ過キス、是豈代議政体ノ本旨ヲ没却スルノ甚シキモノニ非スヤ
　且夫現時ノ我邦ハ商工立国ヲ国是トスヘキ時期ニ到達セリ、国富増進ノ原動力タルヘキ商工業ノ発展ヲ謀ルハ特ニ刻下ノ急務ニ属ス、況ンヤ新条約実施セラレ国家経済上一大革新期ニ際シタル今日ニ於
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テオヤ、此時ニ当リ尚市郡代議権ニ平衡ヲ得セシメサルカ如キハ、理勢ノ共ニ許サヽル所ナリト謂フ可シ
　惟フニ全国商業会議所カ表白スル所ノ意見ハ、独リ商工業者ノミナラス苟クモ国家ノ為メニ重大ナル責務ヲ共担スル者ノ均シク賛同スヘキ所ナルヲ信ス、今期議会カ第十二議会以来ノ宿題ヲ解釈シテ以テ一般国民ヲ満足セシメラレンコト、全国商業会議所ノ切ニ冀望シテ止マサル所ナリ
　　明治三十二年十二月
　　　　　　　　　　　　衆議院議員選挙法改正　全国商業会議所聯合委員会
　　　　○選挙法改正期成全国各市聯合会トノ提携
本会組織ノ当日選挙法改正期成全国各市聯合会理事長朝倉外茂鉄氏ト会合、左ノ申合ヲ為セリ
　一　衆議院議員選挙法改正全国商業会議所聯合委員会ト選挙法改正期成全国各市聯合会トハ、其目的希望ヲ同フスルヲ以テ、両団体同一ノ歩調ヲ取リ互ニ提携シテ大ニ運動スル事
　一　市郡選出議員数ノ割合等ハ予メ定メサルモ、少ナクトモ十三議会ニ政府ヨリ提出シタル改正案ノ員数ヲ標準ト為シ漫リニ譲歩セサル事
　一　大体ノ方針ハ両団体互ニ協議シタル上ニ非サレハ変更セサル事
尚本会委員ト各市聯合会理事トハ、明治三十二年十二月十五日帝国ホテルニ会合シテ左ノ決議ヲ為セリ
　一　市郡人口ノ割合ニハ必ラス差等ヲ設ケシムル事
　一　衆議院ノ決議如何ニ拘ハラス飽クマテ政府案（政府案ハ未タ発表アラサルモ市郡人口ニ差等アルコト十三議会ヘ提出セシ案ト同一ト仮定シテ）ノ如ク改正セシムル方針ヲ以テ運動スル事
　一　貴衆両院協議会ヲ開ク場合ニ至リ万一多少ノ譲歩ヲ必要トスルトキハ、両団体協議ノ上其方針ヲ定ムル事
爾後本会評議員ト各市聯合会理事トハ、或ハ日本倶楽部ニ、或ハ帝国ホテルニ会合シテ、時々運動方法ニ関シ協議スル所アリタリ
　　　　○本会ノ運動
本会創設以来解散ニ至ルマテ、各委員ハ部署ヲ定メテ内閣大臣・次官ヲ首メ貴衆両院議員並ニ各政党本部、若クハ総務委員等ヲ訪問シテ本会ノ希望ヲ貫徹スルコトニ力メ、特ニ両院協議会成立後数日間ハ委員長以下各委員徹夜奔走、以テ協議案ノ成立並ニ通過ヲ図レリ
更ニ一面ニ於テハ各政党院外有志者及ヒ新聞記者ノ手ニ依リテ組織セラレタル選挙法改正同盟会ノ運動ヲ助ケ、又大ニ輿論ヲ喚起センカ為メニハ東京市内ニ於ケル二十七種ノ各新聞記者ヲ柳橋亀清楼ニ招請シテ本会ノ意見ヲ公表シ、其ノ賛同ヲ求メタリ
　　　　○本会解散ニ付テノ決議
明治三十三年二月二十三日衆議院議員選挙法改正案（人口三万以上ノ市ヲ独立ノ選挙区ト為シ、市郡人口十三万人毎ニ一人ヲ選出スル割合トシテ、議員総数三百六十九人ノ内、市ヨリ六十一名ヲ選出セシムル案）ハ帝国議会ヲ通過シ粗ホ本会ノ目的ヲ遂達シ得タルヲ以テ、翌二十四日委員会ヲ開キ左ノ決議ヲ為シ、畢テ新橋花月楼ニ祝宴ヲ催シ、
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委員長大倉喜八郎君ノ労ニ酬ユル為、金杯ヲ贈クルコトニ決シテ散会シタリ
　　　　決議
　衆議院議員選挙法改正全国商業会議所聯合委員会ハ本会ヲ解散スルニ当リ左ノ如ク決議ス
　第一　本会ハ、衆議院議員選挙法改正法律案ヲ成立セシムルカ為メ鋭意尽力セル憲政党・帝国党及ヒ中立議員ノ行動ヲ多トスルト同時ニ、之カ成立ヲ妨クルニ力メタル党派ノ行為モ亦記臆ニ存スル事
　第二　各市選出衆議院議員ニハ必ス商工業者ヲ選出スルヲ期スル事
　　　　○本会経費収支決算
本会経費収支決算左ノ如シ
　　　　　収入之部
一金四百拾参円参拾弐銭　　選挙法改正期成同盟会ヨリ寄附
　　　但同会剰余金四百六拾参円参拾弐銭ノ内金五拾円ヲ同会事務員ヘ手当トシテ贈リ、其残額ヲ寄附セラレタルナリ
一金八百弐拾五円　　　　　各商業会議所ヨリ寄附
　　　　　内訳（領収順）
　　　金弐拾円　　　　　　　　　　　　前橋商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　新潟商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　岡山商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　仙台商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　尾道商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　和歌山商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　酒田商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　高岡商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　熊本商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　津商業会議所
　　　金参拾円　　　　　　　　　　　　横浜商業会議所
　　　金弐拾円　　　　　　　　　　　　八王子商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　桑名商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　高崎商業会議所
　　　金参拾円　　　　　　　　　　　　小樽商業会議所
　　　金弐拾円　　　　　　　　　　　　知多商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　高知商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　赤間関商業会議所
　　　金五拾円　　　　　　　　　　　　東京商業会議所
　　　金弐拾円　　　　　　　　　　　　久留米商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　福井商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　阿波商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　静岡商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　四日市商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　松江商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　堺商業会議所
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　　　金弐拾円　　　　　　　　　　　　長崎商業会議所
　　　金参拾円　　　　　　　　　　　　神戸商業会議所
　　　金五拾円　　　　　　　　　　　　大阪商業会議所
　　　金弐拾円　　　　　　　　　　　　佐賀商業会議所
　　　金弐拾五円　　　　　　　　　　　名古屋商業会議所
　　　金弐拾円　　　　　　　　　　　　広島商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　山形商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　金沢商業会議所
　　　同上　　　　　　　　　　　　　　栃木商業会議所
　　　金参拾円　　　　　　　　　　　　京都商業会議所
一金参円弐拾六銭　　　　　　　　　　　三菱銀行預金利子
合計金千弐百四拾壱円五拾八銭

　　　　　支出之部
一金千弐百四拾壱円五拾八銭　　支出総額
　　　　　内訳
　　　金参百六拾八円九拾壱銭四厘　　会合費
　　　　但各市聯合会ト交渉会費三回分、並亀清楼新聞記者招待会費花月楼祝宴会費共
　　　金百五拾円　　　選挙法改正同盟会（院外団体）ヘ寄附
　　　金四拾弐円拾弐銭　　　委員会弁当料
　　　金参拾六円参拾八銭　　郵便電信料
　　　金百七拾円　　　　　　本会事務主任ヘ手当
　　　金五拾円　　　　　　　本会雇員ヘ手当
　　　金百五拾円　　　　　　東京商業会議所事務員一同ヘ慰労手当
　　　金弐百七拾四円拾六銭六厘　　雑費
　　　　但印刷費・筆紙墨料・金杯製作費・人力車賃・其他事務所諸雑費