公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15
第29巻 p.218-219(DK290064k) ページ画像
明治37年6月9日(1904年)
是日栄一、天皇陛下ヨリ病中御尋トシテ、菓子一折ヲ賜ハル。即チ和歌ヲ詠ズ。
竜門雑誌 第一九三号・第一八―一九頁 明治三七年六月 ○和歌(DK290064k-0001)
第29巻 p.219 ページ画像
竜門雑誌 第一九三号・第一八―一九頁 明治三七年六月
○和歌
左に録するは本月九日青淵先生の病気御尋ねとして、畏き辺りより御菓子を賜はりし折、天恩の渥きに感涙に咽ばれつゝ、直に詠出せられたるもの ○中略
○ことし春の末つかたよりふたゝひ病にかゝりて、ほとほと命もあやふきはかり煩ひけるか、やうやうおこたりさまになりける程、六月九日ゆくりなく侍従職よりの御使にて、いとうるわしき御菓子一折のたまものにそへて
畏き仰せことによりかつけさせらるゝ旨、幹事岩倉朝臣の御書あり、こは微臣のわつらひぬるよし
叡聞に達せしよりの御事なりとそ、そもそもやむことなきつかさに有る人々は知らす、野にある身のかゝる大御恵を蒙るはまことにためし少き事にて、こは全く常に実業の発達につきてそゝかせ給ふ深き大御心のやかて微臣か身にも及ほせる御事なるへしと、かしこくも又喜はしくかたしけなく思ひつゝけて
渋沢栄一
伏屋もるうめきの声の思ひきや
くもの上まてきこゆへしとは
○本巻「健康」及ビ「恩賜」同日ノ条参照。