デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

1章 社会事業
2節 中央社会事業協会其他
6款 財団法人労働奨励会
■綱文

第30巻 p.768-770(DK300091k) ページ画像

大正8年6月16日(1919年)

是日栄一、警視総監岡喜七郎ヲ会長トセル労働奨励会ニ出席演説シ、其顧問ニ就任ス。


■資料

渋沢栄一 日記 大正八年(DK300091k-0001)
第30巻 p.768 ページ画像

渋沢栄一 日記  大正八年      (渋沢子爵家所蔵)
六月十六日 雨 冷気
○上略 三時岡警視総監ノ官邸ニ抵リ、労働奨励会ノ発会ニ出席ス、来会者ノ総代トシテ賛成演説ヲ為ス ○下略


竜門雑誌 第三七四号・第四九頁 大正八年七月 ○労働奨励会と青淵先生(DK300091k-0002)
第30巻 p.768 ページ画像

竜門雑誌  第三七四号・第四九頁 大正八年七月
○労働奨励会と青淵先生 岡警視総監を会長とせる労働奨励会理事会は、六月十六日午後総監官邸に於て開催されたるが、当日は青淵先生田尻市長・安田善三郎・松方五郎・服部金太郎、諸氏外二十余名、並に同会役員側たる岡会長・野口警務部長其他警視庁の諸氏列席し、席上会長より同会の沿革及現在の状況、並に将来の事業等に就き陳述する所あり、次で青淵先生より同会に於ける事業の機宜に適したる事、及び労働者の職業紹介に対し警視庁の多大なる援助に対して賛辞を述べらるゝ所あり、終つて出席者諸氏は将来の方針に就きて種々協議を重ねたる上散会せる由なるが、右に就き警視庁の伴保安課長は下の如く語れる趣、東京朝日新聞は報ぜり
 今日の会合は曩に労働奨励会から書状を以て、顧問の承諾を渋沢男を初め諸名士に願つて置いたが、改めて今日出席を求め賛同を願ひ且目下四十名収容せる深川本村町の託児所の拡張、安価浴場の建設簡易授産場の新設、労働者に安価な長屋を建て提供する事等を種々協議したのであるが、渋沢男は過般渡米の際費府の無料浴場を視察し、これを我国に及ぼさんと予て腹案中であつたとかで非常に賛成された、又安価浴場建設の計画を聞いて、本所三田土護謨会社の田崎忠恕氏は、同社使用の湯をこの浴場に提供すべく申出でられた、労働長屋の建設地は未だ決定してゐないが、多分深川本村町附近になるかと思つてゐる、尚本会の資本金は現在三十万円だが、行く行くは百万円位までに拡張する計画である


中外商業新報 第一一九三二号 大正八年六月一三日 ○労働奨励会活躍 十六日の評議員会で協議(DK300091k-0003)
第30巻 p.768-769 ページ画像

中外商業新報  第一一九三二号 大正八年六月一三日
    ○労働奨励会活躍
      十六日の評議員会で協議
労働問題は今や全世界の懸案として論究され、其解決の一日も早からん事を切実に感じてゐるが、我国ではまだまだ混沌として、今秋の国際労働会議に
 ◇派遣 すべき代表者の選定にさへ狼狽してゐる状態である、処で戦後の失業・減給等に基く国民生活の動揺を除き、資本と労働との和
 - 第30巻 p.769 -ページ画像 
衷協同を図る為に、昨秋から岡警視総監・藤山商業会議所会頭等の官民協同で企画せられた労働奨励会も、三月一日に財団法人組織としたのみで、地方官の異動等の為に更に事業は進捗しなかつたが、愈々来る十六日評議員会を開催して基金五十万円の募集方法を
 ◇決定 する事となつた、現在では東京労働保護協会の事業を継承し、深川区富川町に本部を置き、無料職業紹介を行ひ、同区本村町に託児所があるのみで、資金も僅かに五千円に過ぎぬから、充分な活動を行ふことも出来ぬが、評議員には都下の富豪を網羅してゐるから、十六日には五十万円位、その人々の手からでも醵出されさうな形勢であるから、早速事業に着手し、市内に五・六ケ所の
 ◇支部 を設置し、職業労働の紹介を円滑にし、労働者宿泊所並に授産場も設置し、今の托児場も拡張し、深川本村町と富川町には実費浴場を設け、僅か二銭で入浴をさせ、安価食堂の開設なども漸次実現する計画で、猶ほ労働者及び細民の慰安・救済とか、矯風並に向上につきても充分の施設を行ふ事に努めると云ふ


中外商業新報 第一一九三六号 大正八年六月一七日 ○渋沢男爵以下皆快諾す 労働会の顧問に(DK300091k-0004)
第30巻 p.769 ページ画像

中外商業新報  第一一九三六号 大正八年六月一七日
    ○渋沢男爵以下皆快諾す
      労働会の顧問に
岡警視総監を会長とせる財団法人労働奨励会理事会は、本日午後三時より総監官邸に開会されたり、出席者は渋沢男・田尻市長・安田善三郎・松方五郎・服部金太郎の諸氏外廿余名にして、警視庁より岡総監を始め野口警務部長・本間官房主事・熊谷保安部長・伴保安課長等出席の上、岡総監より同会の沿革及現在の状況、将来の方針等に付き詳細説明を為せる後、書翰を以て顧問に推薦の事を通知しありたる前記渋沢男外諸氏に承諾を求め、満場一致之を快諾し、渋沢男一同を代表し挨拶を為したる後、相談会に移り、会の将来の方針を協議し、五時散会したり


東京朝日新聞 第一一八五一号 大正八年六月一七日 ○労働奨励会の資本を百万円に殖して渋沢男や市長が顧問(DK300091k-0005)
第30巻 p.769 ページ画像

東京朝日新聞  第一一八五一号 大正八年六月一七日
 ○労働奨励会の資本を百万円に殖して渋沢男や市長が顧問▽岡会長以下も集まつて▽昨夜総監官邸の協議会
岡警視総監を会長とする労働奨励会理事会は、十六日午後三時から総監官邸で開催された、出席者は渋沢男を筆頭に田尻市長、安田善三郎松方五郎、服部金太郎氏等外二十数名、及び同会役員側なる岡会長、野口警務部長等警視庁のお歴々が列席した、岡会長は先づ同会の沿革から現在の状況及び将来の事業に就き縷々述べ立て、次で予て顧問に推薦して置いた右の諸氏に対して承諾を求めたので、渋沢男は顧問者側を代表して起ち、同会事業の機宜に適してゐる事から、労働者の職業紹介に対し警視庁の多大なる援助に賛詞を呈して着席し、次で一同は将来の方針に就いて種々協議を重ねる所ありて午後六時散会した


報告書 労働奨励会編 第七―一〇頁 大正一一年一一月刊(DK300091k-0006)
第30巻 p.769-770 ページ画像

報告書 労働奨励会編  第七―一〇頁 大正一一年一一月刊
 ○財団法人労働奨励会寄附行為
 - 第30巻 p.770 -ページ画像 
    財団法人労働奨励会役員
理事 ○略ス
監事 ○略ス
顧問
   ○中略
  渋沢栄一
   ○下略



〔参考〕日本社会事業名鑑 中央慈善協会編 第二輯・第七五頁 大正九年五月刊(DK300091k-0007)
第30巻 p.770 ページ画像

日本社会事業名鑑 中央慈善協会編  第二輯・第七五頁 大正九年五月刊
    財団法人労働奨励会         東京市深川区富川町三一(会長 岡喜七郎)
 事業 労働紹介
 組織 財団法人、醵金及寄附金等を以て維持経営し、職員として会長以下副会長・理事・書記各若干名を置く。
 沿革 大正六年五月、附近細民窟居住者に日々適当なる労働を紹介し、以て悲惨なる境遇より救ふを目的として設立せらる。大正八年三月組織を改めて財団法人となし、爾来事業拡張の計画中なり。尚ほ初め東京労働保護協会と称せしが、法人組織に改むるに当り現称の如く改む。
 現況 大正七年度中の労働就業人員八六、九八〇名(内男八四、九六〇名・女二、〇二〇名)毎朝事務所前に集合せる労働者に就業の紹介を為す。大正七年十二月末日現在資産の総額五、四〇〇円、同年度の経費金一、三七〇円なり。