デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

1章 社会事業
4節 保健団体及ビ医療施設
15款 仏眼協会
■綱文

第31巻 p.186-191(DK310034k) ページ画像

大正14年10月(1925年)

是月栄一、仏眼協会ノ評議員ニ就任ス。


■資料

青淵先生職任年表(未定稿) 昭和六年十二月調 竜門社編 竜門雑誌第五一九号別刷・第二三頁 昭和六年一二月(DK310034k-0001)
第31巻 p.186 ページ画像

青淵先生職任年表(未定稿) 昭和六年十二月調  竜門社編
                竜門雑誌第五一九号別刷・第二三頁 昭和六年一二月
    大正年間
 年 月
一四 一〇 ―仏眼協会評議員―昭和六・一一。


渋沢栄一 日記 大正一五年(DK310034k-0002)
第31巻 p.186 ページ画像

渋沢栄一 日記  大正一五年     (渋沢子爵家所蔵)
二月二十日 晴 寒
午前七時起床、宿痾全愈ニ付、今朝ハ入浴シテ後朝飧ス、畢テ仏眼協会和田裕意及事務員《(和田祐意)》ノ来報《(訪)》ニ接シ、客年来同会ヨリ依頼ノ援助方法ニ付協議シ、不日当方ヨリ案ヲ具シテ通知スベキ事ヲ約ス ○下略
   ○中略。
三月三十一日 晴 軽寒
○上略 片山国嘉博士・和田祐意氏等来リ、仏眼協会ノ事ヲ談ス ○下略


仏眼協会書類 (一)(DK310034k-0003)
第31巻 p.186-187 ページ画像

仏眼協会書類 (一)            (渋沢子爵家所蔵)
拝啓、秋冷の候各位益々御清栄の段奉大賀候
陳者別紙の通り大正十一年創立に係る仏眼協会は幸に事業宜しく発展し、諸官署の助成を得、又一部人士の識る所と相成り申し候へども、その事業は性質上未だ普く一般の後援を得るに至らず、従つて所期の成果を挙げ得ざるは誠に残念千万に存じ候、我国随一の本事業は今後弥々発展せしむべき肝要を感じ仕るにつき、こゝに小生協会の顧問として微力を致し、些か国家社会の進運に奉仕する所存に有之候、庶ば各位に於せられても是非協会の趣旨に御賛同の上、深厚なる御援助を賜り度く、特に奉懇願候 敬白
                      渋沢栄一
(別紙)
拝啓、秋冷の候益々御清栄の段奉大賀候
扨て突然の事にて甚だ恐縮千万に存じ候へども、失明防止及び盲人救護を使命とする仏眼協会の件に関し、是非貴下の御後援を懇願致し度く、大略左に協会の現状を申し述べ候
当協会は主唱者和田祐意が自らの失明による悲惨なる体験より生れしものにして、大正十一年創立以来別表の如き成績を挙げ、昨今本部診療部のみにて日々百数十名の患者に施療をなし、盲学校に於ても約六十名の生徒を収容しつゝある状態に有之候、此れ実に主唱者の献身的努力と、一部人士の貴重なる後援によるものと存ぜられ候、然るに大正十二年の震災に於て、本部は全く烏有に帰し、其後相次ぐ財界の不
 - 第31巻 p.187 -ページ画像 
況に災されて、本部・支部共に資金難に苦しみ、事業の経営今日に於て甚しく不如意を極め、空拳を揮つて経営に努力致し居る次第に御座候、以上の如き情態に御座候間、何卒協会の趣旨に御共鳴の上、特別の御後援を賜り度く、伏而奉懇願候 敬白
               仏眼協会理事 片山国嘉
                      藤岡勝二
                      安藤正純
                      渓内弌恵
                      和田祐意
                   監事 曄道文芸
                      安田力
   ○別表ヲ欠ク。


仏眼協会事業要覧 同協会本部編 第一〇―一九頁 刊(DK310034k-0004)
第31巻 p.187-191 ページ画像

仏眼協会事業要覧 同協会本部編  第一〇―一九頁 刊
    ○沿革ノ大要
 大正十一年四月、和田祐意氏主唱ノ下ニ組織セラレマシタ仏眼協会ハ、大正十二年九月ノ大震火災ニ全焼ノ厄ニ遭遇致シマシタガ、罹災者中眼疾患者ノ激増ニ鑑ミマシテ、直チニ東京府・東京市・警視庁等ノ援助ニ依ツテ再ビ眼科無料診療所ヲ開設シマシテ、帝大眼科部長石原博士・慶大眼科部長菅沼博士監督ノ下ニ、両大学医局員交代シテ毎日一般患者ノ診療ヲ行ヒマシタ。所ガ該患者中ニハ中年失明者ガ尠クナカツタノデ、更ニ盲人ノ職業教育機関ノ緊要ナルコトガ痛感サレ、取リ敢エズ赤十字社浅草臨時病院ノ建物ヲ借リ校舎トシマシテ、大正十三年四月一日文部大臣ノ認可ヲ得、仏眼協会盲学校ノ設置ヲ見マシタ。ソウシテ規定ノ学問技芸ヲ授クルコトトナリマシタ。
 其ノ後大正十五年ニ至リマシテ初等部ヲ増設シ、義務教育ヲ受ケ得ナイ盲児ノ教育ニ微力ヲ注グヤウニナリ、小規模ナガラ着実ニ歩ミヲ続ケテヰル中、年ト共ニ一般ニ認メラレテ、昭和三年五月ニハ警視庁ノ指定ヲ受ケルコトトナリマシタノデ、卒業生ハ無試験開業ノ特典ヲ与ヘラレ、頓ニ入学志願者ガ増加シマシタ。
 又眼科診療所ハ昨年四月マデハ昼間ノミデアリマシタガ、無料診療ヲ受ケヤウトスル者ハ凡テ勤労者ニ多イ所カラ、無産労働者ノ為メニ昭和四年五月ヨリ夜間ノ診療ヲモ開始シマシタ所、昼間ト職業ヲ全然異ニスル患者ヲ多ク見ルニ至リマシタ。
    ○御下賜金並御下附金一覧表  (単位円)


図表を画像で表示御下賜金並御下附金一覧表

        官内省  内務省     文部省   慶福会    東京府  東京市   大谷派本願寺  震災善後会  浅草本願寺   計 大正十一年度                            五〇    二〇〇    六〇〇                   八五〇 同十二年度                            一〇〇    三〇〇  八、五四一  四、〇〇〇         一二、九四一 同十三年度  四〇〇  三、〇〇〇    七三七         一〇〇    三〇〇  三、九〇〇                 八、四三七  以下p.188 ページ画像  同十四年度  四〇〇         一、〇〇一  三、〇〇〇  一〇〇    三〇〇  三、六〇〇                 八、四〇一 同十五年度  四〇〇         一、〇七六  一、五〇〇  一〇〇    二五〇  三、六〇〇                 六、九二六 昭和二年度  四〇〇         一、〇九三  一、〇〇〇  一〇〇    二五〇  三、六〇〇                 六、四四三 同三年度   四〇〇           九九三    八〇〇  一〇〇    二五〇  一、五〇〇                 四、〇四三 同四年度   五〇〇           九八八    四〇〇  一〇〇    二五〇    七五〇         一、〇〇〇   三、九八八 計    二、五〇〇  三、〇〇〇  五、八八八  六、七〇〇  七五〇  二、一〇〇 二六、〇九一  四、〇〇〇  一、〇〇〇  五二、〇二九 



    ○事業ノ概況
 眼科診療所ハ昼間ハ帝大眼科部長石原博士、夜間ハ慶大眼科部長菅沼博士監督指導ノ下ニ、両大学医局員交代デ、出張診療セラルヽヲ以テ、医術上ニ於テハ恰モ両大学ノ延長分院ノ観ガアリマス。従テ実績ハ益々挙リ、一般患者カラ多大ノ期待信用ヲ受ケツヽアリマスカラ、現今ノ患者ハ毎日昼夜合計百二・三拾名ヲ数ヘ、経済界ノ不況ガ深刻ノ度ヲ加フルニ連レテ、無産階級ヨリ所謂中産階級ノ患者ノ多キヲ見ルノハ、特ニ注目ニ値スルモノト考ヘラレマス。
 次ニ盲学校ハ入学志願者年ト共ニ増加致シマシテ、教室ノ増築ヲ余義ナクセラルヽ状態デ、目下在籍生徒約七拾名ノ多数ニ及ビマシタ。此等ノ中、多クノ生徒ハ中年失明者デアリマシテ、従来ノ職業ヲ離レ苦学ノ難道ヲ辿ル者ノ中、生活ニ窮スルモノニハ相当ノ補助ヲ与ヘテヰマス。尚ホ初等部ニハ義務教育ヲ受ケ得ナイ盲児ノ教育ヲ施シ、其ノ内学齢児童ガ九名アリマス。因ニ本校ノ特長トスル所ハ、極端ナル視力薄弱生ニ対シテハ、絶エズ保護ト医療ヲ加ヘナガラ盲教育ノ十全ヲ期シツツアルニ在リマス。
 次ニ現在設置ノ七ケ所ノ支部ニ於テハ、該地医科大学眼科部長担任トナリマシテ、貧困ナル者ノ重疾患者ヲ一ケ月五拾名限リ診療シ、治癒ノ見込アルモノハ大学病院ニ入院、又ハ通院サセマシテ、無料治療ヲ施シツヽアリマシテ、中ニハ数拾年来明界ヲ知ラナカツタ盲人ガ立派ニ開明シタ例モ尠クアリマセン。今左ニ其ノ概要ヲ挙ゲマセウ。
     一、失明防止部
      1、本部事業
       ○仏眼協会眼科診療所
   イ、取扱患者人員表

  年度     新患者    手術患者    再来患者      合計
 大正十二年度  二、八二六     不明    一、九五三   一八、七七九
 大正十三年度  二、一四〇    四〇八   二三、二〇一   二五、七四九
 大正十四年度  一、五〇二    二〇三   三〇、三三八   三二、〇四三
 大正十五年度  一、三一二    一三三   二八、五五七   三〇、〇〇二
 昭和二年度   一、二〇五    一六一   二〇、〇三七   二一、四〇三
 昭和三年度     九七〇     四七   一六、二六五   一七、二八二
 - 第31巻 p.189 -ページ画像 
 昭和四年度   一、三四三     五二   二一、〇〇七   二二、四〇二
 昭和五年度     七四八    一五二   一二、〇九六   一二、九九六
  累計    一二、〇四六  一、一五六  一六七、四五四  一八〇、六五六

   ロ、治癒患者人員表

図表を画像で表示治癒患者人員表

 年度     種類 開眼   全治    快復     視力増進   眼鏡 大正十三年度    三五   八四七     七七五    八〇二  一五〇 大正十四年度    二八   五八六     三〇六    四〇八   九八 大正十五年度    一五   四〇三     四〇〇    三八〇   八〇 昭和二年度     二〇   五〇一     三八二    四三〇   九五 昭和三年度     一八   四三五     三八〇    三〇四   八〇 昭和四年度     二八   四一九     三五四    三四三   五九 合計       一四四  三、一九一  二、五九七  二、六六七  五六二 





      2、支部事業
 各地支部ニ於テハ、支部所在地医科大学眼科部長担任デ、毎月五拾人ヅヽ盲人又ハ貧困重患者ヲ診察シ、治癒ノ見込アル患者ハ大学病院ニ入院セシメ、特ニ無料デ手術又ハ加療シツヽアリマス。
     二、失明者救護部
      1、本部事業
       (A)、盲人修養及慰安会
        春秋二回盲人修養会及慰安会ヲ開催ス
       (B)、仏眼協会盲学校
  仏眼協会盲学校学則抜抄
    一、目的
第一条  本校ハ盲人ニ普通教育ヲ施シ、併セテ生活ニ須要ナル知識技能ヲ授クルヲ以テ目的トス
    一、学科修業年限及入学資格
第二条  本校ニ初等部・予科・中等部鍼按科及研究科ヲ置ク
第三条  修業年限ハ初等部六年、予科二年、中等部鍼按科四年、研究科一年トス
第四条  初等部ニ入学シ得ル者ハ満八歳以上十四歳以下
     予科ニ入学シ得ル者ハ、年齢十五歳以上
     中等部鍼按科ニ入学シ得ル者ハ、初等部又ハ予科ヲ卒ヘタル者、又ハ之ニ準ズル者
     研究科ニ入学シ得ル者ハ、盲学校中等部鍼按科ヲ卒ヘタル者、又ハ之ニ準ズル者タルベシ
第五条  相当ノ年齢ニ達シ相当ノ学力アリト認メタル者ハ第二学年以上ニ入学ヲ許シ、又ハ一学年ノ課程ヲ修メザルモ其学年ヲ進ムルコトヲ得
    一、入退学
第十四条 入学ヲ志願スル者ハ書式第一号ニ依リ入学願書ヲ差出シ、許可セラレタル上書式第二号ニ依リ入学証書ニ戸籍謄本ヲ添ヘ差出スベシ、保証人ハ東京市若クハ附近ニ居住シ、丁年以上ニシテ保証ノ責任ニ堪フル者タルベシ
第十六条 疾病其他ノ事由ニ依リ止ムヲ得ズ休学又ハ退学セントスル
 - 第31巻 p.190 -ページ画像 
時ハ、其事由ヲ具シ保証人連署ノ上学校長ニ願出スベシ
    一、入学料授業料及学資補給
第十九条 入学金ハ之ヲ徴集セズ
第二十条 授業料ハ之ヲ徴集セズ
第廿一条 本校在学者ニ対シテハ、別ニ定ムルトコロノ規定ニ依リ学資ヲ補給スルコトアルベシ
    一、寄宿舎
第廿二条 寄宿ヲ志願スル者ハ、書式第六号ニ依リ保証人連署ノ上寄宿願ヲ差出スベシ
     前項ノ保証人ハ、第十四条ノ規定ニ従フモノトス
第廿三条 寄宿料ハ一ケ月凡ソ拾五円トス
     特典 本校予科卒業生ハ按摩、中等部鍼按科卒業生ハ鍼灸按摩・マツサージニ付、無試験開業スル事ヲ得
        本校生徒ハ本協会附設眼科診療所ニテ無料診療ヲ受ル便アリ
     入学願書其他用紙ハ本校ニ於テ交附ス
    イ、卒業生一覧

  年度         男      女      計
 大正十四年度      三      二      五
 大正十五年度      五      二      七
 昭和二年度       四      四      八
 昭和三年度      一〇      一     一一
 昭和四年度       八      二     一〇
  合計        三〇     一一     四一

   ロ、教職員
     校長 医学博士 片山国嘉  主幹      欠員
     幹事  兼教諭 万沢誠証  教諭 医学博士 森田澄一
     教諭 医学博士 猪口貞治  同       神林誠一郎
     同       平井信雄  同       牧野二郎
     訓導      三枝美恵  教員      熊井正男
      2、支部事業
       (A)、盲人修養及慰安会
        春秋二回盲人修養会及慰安会ヲ開催ス
       (B)、仏眼協会京都支部鍼按講習会
        毎年長期鍼按講習会ヲ開催シ、盲人ノ生活ニ須要ナル知識技能ヲ授ク
        本部
           東京市浅草区松清町浅草本願寺境内
                     (電話)浅草三七四〇
        支部
          京都支部  京都市富小路四条南入徳正寺内
          大阪支部  大阪市港区九条町北通リ勝光寺内
          名古屋支部 名古屋市南区下茶屋町
                東本願寺別院内
 - 第31巻 p.191 -ページ画像 
          北海道支部 札幌市山鼻町東本願寺別院内
          新潟支部  新潟市西堀五長照寺内
          金沢支部  金沢市横安江町東本願寺別院内
          仙台支部  仙台市東三番丁東本願寺別院内
          横浜出張所 横浜市梅ケ枝町東本願寺別院内



〔参考〕全国社会事業名鑑 昭和二年版 中央社会事業協会編 第九〇三―九〇四頁 昭和二年一〇月刊(DK310034k-0005)
第31巻 p.191 ページ画像

全国社会事業名鑑 昭和二年版 中央社会事業協会編
                    第九〇三―九〇四頁 昭和二年一〇月刊
    ◇仏眼協会本部
所在地  東京市浅草区松清町四〇東本願寺境内
代表者  常務理事 和田祐意
事業種別 診療
経営組織 会員組織
設立年月 大正十一年四月
維持方法 補助金・寄附金
宗教関係 仏教
沿革   和田祐意氏は、嘗て失明せしも、手術の結果開明せしを喜び、自ら主唱して失明防止・失明者保護を目的とする本会を設立し、同十三年四月文部大臣の認可を得て、仏眼協会盲学校を開始せり。
○中略
    ◇仏眼協会京都支部
所在地  京都市下京区富小路四条 徳正寺内
代表者  井上智月
事業種別 診療
経営組織 会員組織
設立年月 大正十一年四月
維持方法 会費・寄附金
宗教関係 仏教
○下略